社会との対話 最終レポート 研修先:全日本空輸株式会社 研修テーマ 「国際線に強い ANA を!」 ―中国路線に注目して利用客を増やす為の方策を考える― 慶應義塾大学 商学部 2 年ネ組 40307935 小山 陽子 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 ∼目次∼ 【問題提起】 【研修テーマをめぐる現状と問題点】 現状1―中国路線の需要拡大について― ① 中国への日本人旅行客の増加 ② 訪中の日本人にビザ免除 ③ 中国におけるレジャー施設の開発 ④ 日本の若者の中国への関心 現状2―現在の ANA と問題点について― ① ANA の中国路線における利用者層 ② ANA の中国路線のサービスとプロモーション ③ 日本における ANA の位置づけ 【改善提案をする前に・・・①―学生のニーズ―】 【改善提案をする前に・・・②―運賃について―】 【改善提案】 1. 特徴 ① ANA グループの経営理念に沿った、グループとしての収益 UP ② 期間を限定して、なるべく低価格な値段での提供 ③ ANA ブランドのプロモーション 2. 提案のコンセプト 3. ツアーの提案 4. 今後の展望 ① プロモーション活動 ② 修学旅行生への対応 【社会全体の視点からの研修テーマをめぐる問題点】 1. SARS の影響 2. 航空運賃の規制 3. 他旅行業者との競争 4. インフラ整備 5. 日中関係 【参考文献】 【アンケート結果】 -2- 小山陽子 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 【問題提起】 JAL(日本航空)と JAS(日本エアシステム)の統合により、航空業界はさらに競争が 激化した。国際線に強みを持っていた JAL は、もともと国内線を主としていた JAS の力 が加わり、国際線のみならず、国内線にも力を増してきた。現在国内線の航空市場は新 JAL と ANA(全日空)とで拮抗しており、ANA は、強みの源泉であった国内線に収益を頼る ことが出来なくなった。そこで、激しい競争の中での生き残りをかけた重要な鍵となるの が、国際線である。国際線における収益拡大が、今後の対抗策として必要不可欠となった。 それらを踏まえ、今回は国際線の競争力を強化する方策を考える。 【研修テーマをめぐる現状と問題点】 現在、ANA の国際線事業の中で最も注目すべき点は「中国路線」である。「ANA VISION2004」によると、今年度の国際線事業計画の概要として、 「中国を中心としたアジ アへのネットワークを拡充」を掲げている。現に、2004 年夏ダイヤで去年より 20 便増の 週 112 便、コードシェア便1も含め週 139 便も運航しており、今後の中国路線の需要拡大 への対応も大いに期待出来る。この中国路線の拡大に伴い、今後の更なる需要が予想され ることから、今回着目すべきポイントであると考え、中国路線に焦点を当ててみた。では、 その今後の需要について、現状から分析してみたい。 現状1―中国路線の需要拡大について― ① 中国への日本人旅行客の増加 <資料1>を参照していただくと明らか であるが、中国への日本人旅行者が年々ほ ぼ増加傾向にあることが分かる。2003 年に おける旅行客の減少については、当時流行 した SARS の影響によるものと考えられる が、2002 年までのデータからだけでも、日 本人の中国に対する関心が高まっているこ とが分かる。同時に、SARS の影響はある にせよ、これまでの増加傾向から考えて利 用者の更なる増加が期待できると判断され <資料1>中国への日本人旅行客の変化 人 3,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 0 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 年 る。 ※2002 および 2003 年については収集したデータより作 成。「中国」には香港およびマカオを含む。 ② 訪中の日本人にビザ免除 (資料)中国国家旅游局から得たデータをグラフ化 中国政府は、2003 年 9 月 1 日から、訪中の日本人に対してビザを免除することを発表 した。具体的には、 「一般旅券を所持し、観光、ビジネス、親族・友人訪問、通過上陸の目 1 外国航空会社との共同運航便 -3- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 的で中国に渡航する日本国民で、滞在日数が 15 日以内の人」2とされている。このことに より、我々日本人にとって以前より中国に行きやすくなったと同時に、より身近に感じら れるようになったと考えられる。これをきっかけに、中国へ行こうと思う人もいることだ ろう。今後の中国路線の需要が大きくなることが期待出来る。 ③中国におけるレジャー施設の開発 2005 年に香港ディズニーランド、2006 年に上海ユニバーサルスタジオが開園する。そ れに伴い、これらのレジャー施設を目当てに中国への旅行を計画する日本人が増えること が考えられる。実際、友人にこの情報を話したところ、 「ディズニーランドができるなら中 国に行ってみたい」という返答があり、特に若年層におけるレジャー施設の効果は大きい ものと思われる。現在、ディズニーランドは、日本国内において、最新の決算期の売上高 No.1 のテーマパークである3。根強い人気のあるディズニーランドの日本人の集客効果は 大いに期待出来る。実際、東京ディズニーランド、ユニバーサルスタジオ・ジャパンが開園 した時期の国内線の利用者は 170-180%にものぼったということを伺った。この数字は国 内線に限ったことであり、国際線に関しても同じ結果が得られるとは言い切れないが、影 響力として一つの目安にはなるだろう。日本人の心にとって、これらのレジャー施設の開 園が多大な力を持つことがここから分かる。また、レジャー施設だけでなく、2008 年の北 京オリンピックや、2010 年の上海万博を契機とした観光客の増加も可能性として考えられ る。 ④ 日本の若者の中国への関心 次に、焦点を若者にむけて現状を見て行きたい。以下は、私の周りの 113 人の大学生を 対象に、中国に関するアンケートをとった結果をグラフ化したものである。男女構成比は 男性 4 割、女性 6 割となっている。 <資料 2>大学生へのアンケート結果① あなたは中国に興味がありま す か? 全くない, 0.00% ない, 3.88% どちらとも いえない, 26.21% 回答なし, 5.83% 非常にあ る, 22.33% ある, 41.75% あなたは今、中国語を勉強していますか? 回答なし, 以前勉強 した, 4.85% 現在、勉強 8.74% 中, 24.27% つもりはな い, 48.54% これからす るつもり, 13.59% 2 「中国関係オンライン日本語総合誌」から引用。 3 「日本一ネット」から引用。 -4- 中国は好きな国です か? 嫌い, 7.77% どちらかと いえば嫌 い, 26.21% 回答なし, 5.83% 好き, 19.42% どちらかと いえば好 き, 40.78% 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 まず、「中国は好きな国ですか?」という質問に対して、「好き」もしくは「どちらかと いえば好き」と答えた人の割合が全体の約 60%も占めている。また、 「あなたは中国に興 味がありますか?」という質問に対して、興味が「ある」という答えをした人が全体の約 64%を占めている。以上2つのデータから、明らかに、中国に対して好印象を持っている 学生が多いということが分かる。一方「あなたは今、中国語を勉強していますか?」とい う質問に対する回答からは、中国語を勉強したことがある人、これからしようとしている 人を合わせて全体の約 40%を占めているということが読み取れる。半分には満たないが、 数ある語学のうち、中国語に対して関心のある人が約 4 割もいるという事実から、中国語 を身近に感じている人が少なくないということが言える。現在、慶應義塾大学でも、年々 中国語履修者が増えているという。実際私もその一人であるが、中国への何らかの関心か ら中国語を選択する学生が増えているとも考えられる。これら 3 つのデータから、現在、 学生の中国に対する関心が高まっていることが分かる。 以上 4 つの側面から、中国に関する日本の現状を考察してみると、日本人の中国に対す る関心は高まっており、同時に、今後さらに中国路線の需要拡大が見込まれるということ は想像に難くない。このような現状の下での中国路線の増便が有益であることは明らかで ある。 ここで私が独自に行なったアンケートの興味深い結果を以下に示す。<資料 3>は、 <資料 2>と同じ条件で行なったアンケートの結果である。 <資料 3>大学生へのアンケート結果② 中国に行ったことがありま すか? 回答なし, 6.80% ない, 81.55% 中国に行きたいと思いま すか? どちらとも いえない, 12.62% ある, 11.65% 全くない, 0.00% 回答なし, 13.59% 思わない, 11.65% あなたは中国に興味があり ま すか? ない, 3.88% 思う, 62.14% 回答なし, 5.83% 非常にある, 22.33% どちらともい えない, 26.21% ある, 41.75% <資料 3>から明らかなように、 「中国に行きたいと思っている」もしくは「中国に興味 がある」と答えた人が全体の約 60%であるのに対し、実際に「中国にいったことがない」 と答えた人が全体の約 80%を占めた。これらの関係性を調べる為に、3 つの問いから 2 つ の問いを 2 パターン(「中国に行きたいと思いますか?」と「中国に行ったことがありま すか?」、「あなたは中国に興味がありますか?」と「中国に行ったことがありますか?」 の 2 組)取り上げ、データ解析ツールを使用し、分析してみた。すると、次頁のような結 果を取得することが出来た。 -5- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 <資料 4>アンケートの関係性① 質問 中国に行きたいと思いますか? の内容を横軸に、 質問 中国に行ったことがありますか? の内容を縦軸にとった表示結果 回答なし 思う 思わない どちらともいえない 合計(人) 回答なし 7 0 0 0 7 ある 8 6 0 0 14 ない 0 63 15 14 92 15 69 15 14 113 合計(人) <資料 5>アンケートの関係性② 質問 あなたは中国に興味がありますか? の内容を横軸に、 質問 中国に行ったことがありますか? の内容を縦軸にとった表示結果 回答なし 非常にある ある どちらとも いえない まったく ない ない 合計 (人) 回答なし 6 0 1 0 0 0 7 ある 0 7 5 2 0 0 14 ない 0 17 43 27 5 0 92 合計(人) 6 24 49 29 5 0 113 <資料 4>が示すように、 「中国に行ったことがない」と答えた 92 人のうち、行きたい と「思う」と答えた人が 63 人、割合にして約 70%にも及ぶ。また、<資料 5>では、中 国に行ったことがなく、格別に強い興味を持たない学生も現実にいる一方で(27 人)、興 味が「非常にある」もしくは「ある」と答えた 73 人のうち、中国に行ったことが「ない」 と答えた人が 60 人、割合にして約 82%である。つまり、中国に興味がある、中国へ行き たいと思っているのに行ったことがない学生が数多く存在するということが言える。何ら かの理由で実際の消費には現れていない需要、つまり、学生の中に「潜在需要」があると いうことが言えそうだ。 以上、アンケートの結果から、 今後さらに中国路線の需要拡大が見込まれる 学生の中に「潜在需要」がある ことが分かり、中国路線は着目するに十分値するといえる。 -6- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 現状2―現在の ANA と問題点について― さて、ここで、現在の ANA とそれを取り巻く現状から問題点を考えていきたい。 ① ANA の中国路線における利用者層 現在国際線における中国路線の比率は、旅客数が 22.6%、貨物の重量は 34.2%へと上が り4、中国線(香港を除く)だけでみれば黒字である。この旅客数5のうち、中国路線の利 用者の大半はビジネス客であるという。ANA セールス&ツアーズが 03 年度に扱った中国 向け旅行客は 5 万 2 千人であり、中国路線の利用者の 13%である。つまり、全日空の中国 路線の利用者のうち ANA セールス&ツアーズの商品を利用して「観光目的で旅行した人」 がわずか 13%であることを示す。これは SARS などの影響で 24%減少した数字6であるが、 やはり、 「たった」13%という印象をもった。このデータは ANA に限ったもので、日本全 体からすると一部のデータでしかないが、現状①で示したように中国への旅行客数が年々 増加している事実に対して、ANA の利用者の割合にしてみればビジネス客の割合のほう が多いようだ。 実際に研修中、現在の中国路線の利用者構成比について聞いてみた。具体的な数値につ いては、全体を把握することが難しく、顧客個人のデータになるため、細かい数字を得る ことは不可能だったが、担当の方からの目 <資料6>月毎の利用者推移 安として伺うことが出来た。 利用者数 個人での利用者と団体での利用者の比率 は約 6 対4であり、大まかに見て、個人と はビジネス目的、団体とは旅行目的の利用 者と捉えているようだ。また、年齢別では 最も多いのが 30~50 代のビジネス目的の 利用者、20 代は 2 割ほどしかおらず、ビジ 4 ネス客が大半を占めているそうだ。<資料 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 月 6,7>に、今回伺ったデータの傾向を元に、 <資料7 >日本⇒中国の曜日別利用者推移 予想グラフを作成してみた。月別利用者推 利用者数 移としては、1 月、2 月が最も少ない時期 であり、これは、1 年を通して利用者数に 変化の少ないビジネス客に対して、冬の寒 い時期に利用者数が落ち込む旅行客の影響 を受けていると思われる。つまり、中国路 線全体の利用者推移≒旅行者ということを 日 示し、利用者数の安定したビジネス客に収 月 火 水 木 金 土 曜日 益のベースを頼らざるを得ない状況といえ る。下のグラフを見てみたい。さらに細かく分析すると、1 週間のうち、中国行きの利用 者が集中するのは日曜と月曜、逆に利用者が少ない曜日は金曜と土曜だそうだ。これはビ 4 5 6 『週刊朝日』2004 年 6 月 11 日号より引用。 観光目的、ビジネス目的に関わらず利用者全体を指す。 『日本経済新聞』2004 年 6 月 20 日の記事より引用。 -7- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 ジネス客の利用状況を反映しており、ビジネス客の動向が需要の波、さらに供給の波を作 りあげ、ひいては運賃の波に大きな影響を与えているのである。これらの現状より、現在 の ANA では中国路線の利用者、そしてそれに準ずる売り上げは明らかにビジネス客を中 心に動いていることが分かる。 ② ANA の中国路線のサービスとプロモーション 年間を通して利用者数の変動が少なく、ビジネスクラスの需要が多い顧客、つまり、安 定して高収入を得ることが出来るビジネスマンは、当然ターゲットとすべき顧客だ。では、 そのターゲット層に対する ANA のプロモーションはいかなるものか。ANA からの供給に 応じて、これほどまでにビジネスマンの需要を充たしているわ けは何だろうか。それには、ビジネスマンにとって ANA を利 用したくなる魅力的な、 「何か」があることが予想できる。魅力 的な「何か」があるからこそ、需要と供給の良い循環がうまれ、 ANA の中国路線の顧客がビジネス客中心となっているのであ ろう。 現在、ANA で行なっているビジネス客に対するサービスを以下に示す。 • 「ビジネスサポートデスク」 現地アシスタントサービス、ビザや保険の手配サービス、ドクターパスポートなど のサービスを兼ね備えている。 • 「エコノミークラス快適出張」 ラウンジの利用や優先チェックインなどのサービスが受けられる。 • 「スカイポーターサービス」 自宅やオフィスから空港まで荷物を無料配送のサービスが受けられる。 • 「ANA @ desk」 オフィスにいながらオンライン予約や、チケットレス発券・法人一括精算が出来、 効率化やコスト最適化が実現可能。 • 「中国出張の達人」 中国の基礎知識や、フライト情報、各交通情報、地図からお役立ち情報まで満載の 便利な手帳。 このほかにも沢山のサービスが用意されている。これらはビジネスマンにとって非常に 便利なサービスであり、ANA の中国路線を利用して、快適な出張をしたいと思うであろ う。 では、旅行客にとってはどうだろうか。ANA の中国路線の利用者の割合からすると、 もっと旅行客を増やす必要性があるのではないだろうかという疑問が残る。確かに、ビジ ネス客に比べれば顧客獲得のメリットは小さいかもしれない。しかし、年々増え続ける海 外旅行者をターゲットに中国への旅行客を増やすことで全体の利用者増加につなげ、収益 拡大を目指すことが可能ではないか。旅行客にとって ANA を利用したくなる魅力的な、 -8- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 「何か」はあるだろうか?現在、ANA のホームページには、旅行客向けの ANA のツアー や観光情報が載っている。9月から始まった面白キャンペーンもその一つであるように、 実際に旅行客獲得強化の動きは出てきているようだ。中国路線の旅行客獲得の観点から、 旅行客にとって魅力的な「何か」を見てみたい。以下に、現在の中国路線のプロモーショ ンを載せた。 <資料 8>中国に関するプロモーション (資料)ANA SKY WEB より 上の図は現在、ANA の Web サイトに掲載されているものである。 「杭州ツアー情報」や、 「中国ツアー情報」の文字からは、ANA セールス&ツアーズが出している旅行商品、 「ANA ハローツアー」の案内情報を見ることが出来る。ここではいくつもの旅行商品が紹介され ている。また、面白キャンペーンや、好好 CHINA キャンペーンをクリックすると、中国 のお得な情報や、クーポン、観光情報が満載のページへと行くことが出来る。見ていて非 常に面白く、行きたいと思わせるに十分な内容と思われる。 -9- 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 一方、右のポスターは私が独自に撮影してきたものであ 40307935 小山陽子 <資料 9> る。整備場に見学に行ったときに見つけたものであるが、 数日後、汐留の地下道に早くも貼り出されているのを発見 した。面白キャンペーンのポスターだ。 「中国 BOX あけに いきましょう。ANA で。」テーマで、中国の各観光都市の BOX が描かれている。「現代の中国、また古代の中国、新 しいものと古いものが入り混じった日本にはない異色の文 化。意外と知られていない部分が沢山ある。そんな未知の 世界を、知られざる美しい世界を発見しに行きましょう」 というコンセプトだ。 このように、現在、Web 上で、ツアーの紹介や、「面白 中国キャンペーン」のプロモーションを行なっている。と ころが、全体の印象として、ビジネス客向けのサービスに 比べて規模が小さく、プロモーションに関してもよく見る (資料)整備場にて掲示されていたポスタ と、上から順番にビジネス客向けアピール⇒旅行者向けア ーを撮影 ピールというように、やはり前面にでているのはビジネス 客向けサービスだ。観光情報は下のほうに小さく出ているだけである。他の Web ページを 見ても同様である。ツアー情報など、よく見ないと気がつかれないこともあるだろう。実 際にツアー情報を見始めると非常に魅力的なページも設けられているのに、このページを 見た限りでは、旅行客に向けたサービス、プロモーションはビジネス客に向けたものより も小規模という印象を受けた。 どんなに魅力的な「何か」を持ち合わせていても利用者にとっては、情報が入ってこな ければサービスがないも同然である。つまり、ここでは魅力的な「何か」の更なる追求と 並行してそのプロモーションも同時に行っていく必要性が出てくる。 利用客にとって・・・ ビジネス客にとって 旅 行客 にとっ ての の魅力的な「何か」 魅力的な「何か」 このように感じられているのではないか? そこで、『旅行者にとって魅力的な「何か」』に着目して旅行目的の利用者の拡大を目指 し、ANA における旅行者の位置づけを大きくすることを考えてゆきたい。 - 10 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 ③ 日本における ANA の位置づけ 現在の ANA の国内線と国際線の比率は<資料 10>から明らかなように、便数、旅客数 共に国内線が大部分を占めている。しかしそれにも関わらず、国内線シェアにおいて JAL と比較すると、<資料 11>が示すように、2003 年では JAL を下回り、2004 年四半期に 首位を奪還したものの、未だなお不安定で激しい競争が続く。国内線のシェアがこれだけ 不安定な状況にあるだけに、国際線での差別化、そして競争力の更なる強化が航空会社と しての生き残りをかけた重要なポイントとなることが分かるだろう。その状況の中で、次 に<資料 12>において現在の ANA と JAL の国際線の規模を比較すると、ANA は JAL の約 3 割にしかすぎないという、さらに厳しい状況であることが見て取れる。 <資料 10>2004 年 6 月現在の国内線、国際線比率 国内線と国際線比率 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 7 .1 % 国際線 国内線 8 .7 % 92.9% 91.3% 国内線 国内線 便数(週) 旅客数(人) 428 5,565 334,949 3,522,857 (資料)ANA 社内報より抜粋 <資料 11>国内線旅客数シェア 国内線旅客数シ ェア ( 2 0 0 3 年度) 国内線旅客数シェア ( 2 0 0 4 年4 ∼6 月) その他 4.4% JAL 48.7% その他 7.9% ANA 46.9% JAL 42.7% ANA 49.4% (資料)日本経済新聞 2004/7/28、7/31 より抜粋 - 11 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 <資料 12>ANA と JAL の国際線旅客数(2004 年 4-6 月) ANAとJALの国際線旅客数比較 ANA 95 JAL 334 0 100 200 300 400 万人 (資料)日本経済新聞 2004/7/31 より 重要なポイントを占める国際線において、現在旅客数にこれだけの差がある。この競争 の中で、供給を需要が上回れば黒字達成となるわけであるが、国際線の底上げにおいて、 中国路線がどこまで効力を持つかが問題になってくる。 中国路線の便数に関しては、現在、ANA が週 139 便、JAL が 137 便7とほぼ同数となっ ており、今後の競争がさらに激しくなると思われる。ANA がわずかに上回り、現在中国 路線を強みにしているが、このように便数にしてみればやはり拮抗しているため、利用者 はちょっとしたきっかけでどちらにも流れ得るといえる。差別化戦略が重要なキーとなる であろう。 以上のことから次のような問題点を取り上げ、テーマとして設定してみた。 問題点 現在の ANA では、中国路線の利用者がビジネス客に偏っており、旅行目的 の利用者が少ない。 テーマ 先に示した激しい競争の中で、 旅行目的での中国路線の利用者の増加 ⇒収益拡大 ⇒国際線全体の強化 を図るにはどうしたらよいか? 7 (資料)ANA セールス&ツアーズより - 12 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 ここで、先に示した私が独自に行なったアンケート結果に着目してみたい。5∼6 ページ の<資料 3><資料 4><資料 5>で、現在の中国への関心の割に、実際中国へ行ったこと のある学生が少ないという現状から、学生に潜在需要が見込まれることを示した。今、私 が主張する、旅行目的の利用者拡大にあたり、この部分に学生マーケットをあててみては どうだろうか。言い換えれば、ANA の中国路線事業において、旅行目的で中国へ行く人 を増やす余地はまだあるといえそうだ。また、現在の中国路線利用者の割合からしても、 もっと増やす必要があると先にも述べた。 そこで、 「旅行目的で」で中国へ行きたい「人」=「学生」を獲得する方策を考えていき たいと思う。旅行者獲得による中国路線のさらなる収益拡大、そして、中国路線での収益 を他の国際線の原資として、全体の強化へと繋げていくことを考える。 【改善提案をする前に・・・①―学生のニーズ―】 再び、現状1−④を見てみたい。<資料 3><資料 4><資料 5>の大学生へのアンケー ト結果で細かく分析をしたとおり、現在、学生に「潜在需要」があることが読み取れる。 このデータを参考にして今回の改善提案を考える。 今回の目的は、 「旅行客を増やすにあたり、潜在需要のある学生をターゲットにして学生需 要を増やす」ことである。ではまず、学生のニーズについて、アンケートを基に分析して みたい。下の表は、問:「中国へ行ったことがありますか?」という問に対して、「ない」 と答えた人(5 ページ<資料 3>参照)にのみ答えてもらった結果である。以下に示すよ うに、アンケートの際、 「ない」と答えた人に対しては、続けて「中国に行きたいと思いま すか?」と「これまで行けなかった(行かなかった)一番の理由は何ですか?」という質 問をした。 <資料 13>アンケートの関係性③ 質問 中国に行きたいと思いますか? の内容を横軸に、 質問 これまで行けなかった(行かなかった)一番の理由は何ですか? の内容を縦軸にとった表示結果 回答なし 回答なし 思う 思わない どちらとも いえない 合計 15 3 0 0 18 金銭的余裕がなかったから 0 16 0 2 18 時間がなかったから 0 31 0 2 33 安全性に不安があったから 0 6 3 0 9 興味がなかったから 0 12 11 8 31 その他 0 1 1 2 4 15 69 15 14 113 合計 - 13 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 「これまで行けなかった(行かなかった)一番の理由は何ですか?」という問に対する結 果の中から、 「中国に行ったことはないが行きたいと思っている」人からの回答に限定する ために、前ページの結果を基に、「中国に行きたいと思う」人に絞り、「これまで行けなか った一番の理由」についてのアンケート結果を円グラフにしてみた。 <資料 14>大学生へのアンケート結果③ 問9 :こ れま で行けな かっ た一番の理由は何です か? 興味がなかっ たから 17% 安全性に不 安があったか ら 9% その他 1% 時間がなかっ たから 46% 回答なし 4% 金銭的余裕 がなかったか ら 23% 結果、1 位が「時間がなかったから」、2 位が「金銭的余裕がなかったから」となった。 まず、1 位の「時間」について考察したい。 「中国に行きたいと思う」のに「時間がなかっ たから」これまで中国に行けなかった、つまり、興味があるのに時間がなくて行けなかっ たという言い分である。しかし、大学生たるもの、一年のうち学校が休みの期間は、延べ、 約 4 ヶ月半。しかも、授業の組み方次第では、休みなどどうにでも作れそうなものだ。研 修にいって強く感じたことの一つに、 「社会人に比べた学生の時間の自由度」がある。2 週 間の研修では、当たり前だが、時間の拘束を強く感じ、いかに大学生が自由な時間を過ご しているかということを身をもって感じた。とはいえ、私を含め、多くの学生は確かにア ルバイトにサークルに忙しい。だから時間に「余裕」があるわけではないが、しかし、時 間に「自由度」があることは確かだ。学生の特権は、時間を本当にやりたいことに優先的 に費やすことが出来るという事だ。この観点からすると、この回答結果は、 「時間がない= 中国へ行きたい気持ちがそれほど強くない」と考えることも可能である。つまり、本当に 行きたいと思うならば、時間など、作ることは出来るだろう、時間のせいになどしないだ ろうということである。ということは、逆に<資料 3><資料 4><資料 5>で潜在需要が あることが判明していることから、どうしても行きたいという強い動機付けがあれば、学 生は自由に時間をやりくりできるのではないか。先に示した、時間を言い訳にしている人々 にとって、言い訳をするまでもなく中国に行きたくなるような、魅力的な「何か」があれ ばこの潜在需要を掘り起こすことが出来るのではないだろうか。 2 位の金銭的余裕については、いうまでもなく、旅費のことだ。行きたいけれど、飛行 機代が高くてなかなか手がでないということだろう。現在の中国路線の運賃は他国に比べ - 14 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 てどうしても高くなってしまうのが現状だ。この点については後述する。 また、 「その他」を選択した人からは、 「中国より行きたい国があったから」 「アジアより 欧米のほうがよいから」「まだまだの国というイメージがあるから」「ごみごみしていそう だから」という声もあり、どれも抽象的ではあるが、なんとなくイメージとして、国自体 に興味はあっても「行く」までにはたどり着いていない様子が窺えた。 次に、 「飛行機を選ぶ際に最も重視する点は何ですか?」という問に対する答えを以下に 示す。 <資料 15>大学生へのアンケート結果④ 問25 飛行機を選ぶ際に、最も重視する点は何ですか? その他, 1.77% 回答なし, 7.96% 安さ, 32.74% 安全性, 45.13% 高級感, 0.88% 機内食, 0.00% 快適さ, 11.50% アンケートの結果、1位は安全性、2位が安さとなった。安全性という意味では、ANA は現在、世界の航空会社の安全性ランキングで 11 位という好成績を納めていることから も、有利といえるだろう。<資料 16>→次ページ しかし、その次にくるのがやはり、 「安さ」となってしまう点については、外国の航空会 社には勝らないといえる。前ページの「これまで行けなかった理由」の結果からも分かる ように、金銭的理由が根強く 2 位の座を占めている。やはり、学生の意識として、金銭の 問題は大きな関心事であるといえる。このことは、以下に示す学生の可処分所得と、現在 の ANA の航空運賃からも読み取ることができる。<資料 17>8<資料 18>9 <資料17>大学生の1ヶ月のアルバイト 収入 平均 <資料18>行き先別運賃(2004∼2005) 北京 200,000 上海 1万未満 3.9 万 180,000 「若者ライフスタイル資料集 2004」より 8 9 ANA SKY WEB より - 15 - 31 4∼ 2/ 9 3/ 1∼ 3/ 3 4/ 1 23 ∼ 4/ 28 5/ 4∼ 7/ 1 7/ 9∼ 7/ 1 8/ 5 30 ∼ 9/ 30 2/ /2 7 12 2∼ 1/ 1/ 前ページの 2 つのグラフからわかる /1 6 100,000 100% 12 50% 瀋陽 120,000 3∼ 23.6 12.57.7 厦門 /2 0% 6.3 20.2 青島 140,000 /2 1 29.8 男子(n=208) 大連 160,000 11 4.2 万 杭州 12 1.3 1万∼3万 未満 3万∼5万 未満 5万∼7万 未満 7万∼10 万未満 /1 ∼ 17.4 14.2 /1 ∼ 32.9 12 11 10 女子(n=155) 23.2 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 前ページの 2 つのグラフから分かるように、大学生の平均アルバイト収入と、ANA の正 規割引運賃とでは大きな価格の差がある。 <資料 16>安全性ランキング10 順 航空会社 順位 航空会社 順位 航空会社 位 1 Delta Airlines 31 British Midland 61 Asiana Airlines 2 Southwest Airlines 32 Cathy Pacific Airways 62 TACA International Airlines 3 US Airways 33 USAir Shuttle 63 Lan Chile Airlines 4 American Airlines 34 Yugoslav Airlines (JAT) 64 Aloha Airlines 5 United Airlines 35 Air China 65 South African Airways 6 Continental Airlines/Cont. Exp. 36 Mexicana Airlines 66 China Eastern Airlines 7 Northwest Airlines 37 Saudi Arabian Airlines 67 Philippine Air Lines 8 Lufthansa 38 Malev-Hungarian Airlines 68 Nigeria Airways 9 British Airways 39 BWIA International Airways 69 AirTran Airways 10 United Express 40 Varig 70 China Southern Airlines 11 All Nippon Airways 41 Japan Air Lines 71 Midwest Express Airlines 12 SAS Scandinavian Airlines 42 American Trans Air 72 Royal Air Maroc 13 Alaska Airlines/Horizon Air 43 KLM /KLM Cityhopper 73 Kenya Airways 14 America West Airlines 44 Air Europa 74 Singapore Airlines/SilkAir 15 American Eagle 45 Air France 75 Lauda Air 16 Air Canada 46 Icelandair 76 Air India 17 Comair 47 Air Jamacia 77 Thai Airways International 18 Malaysia Airlines 48 Delta Express 78 China Northwest Airlines 19 Alitalia 49 EL AL 79 Pakistan International Airlines 20 Qantas Airways 50 Kuwait Airways 80 Aeromexico 21 Finnair 51 Royal Jordanian Airline 81 Garuda Indonesian 22 Braathens 52 Olympic Airways 82 Iran Air 23 Hawaiian Airlines 53 Air Zimbabwae 83 China Southwest Airlines 24 Iberia Airlines 54 Virgin Atlantic Airways 84 THY Turkish Airlines 25 Air New Zealand 55 JetBlue Airlines 85 Indian Air Lines 26 Aerol 匤 eas Argentinas 56 Oman Aviation 86 Korean Air 27 Midway Airlines 57 Lithuanian Airlines 87 EgyptAir 28 Air Lingus 58 Ukraine International Airlines 88 TAM 29 Austrian Airlines 59 Transaero Airlines 89 Avianca Colombian Airline 30 Tap Air Portugal 60 VASP 90 China Airlines 91 Cubana 10 (資料)「Plane Crash Info.com ホームページ」より - 16 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 これらの結果を踏まえて、現代の学生の生の声から学生ニーズを分析してみた。 アンケート分析 <学生のニーズ> (1) 中国に行きたいと思っている学生を実際に行かせる何かきっかけが 必要。 (2) 安全性など、ある程度の質は重視。 (3) それでも、できればお金をかけずに旅行したい。 ということになる。これこそまさに、旅行客(ここでは学生)にとって魅力的な『何か』 を表しているのではないだろうか。つまり、これらのニーズを充たすことができれ ば、学生の旅行客を獲得することが可能だと考える。 【改善提案をする前に・・・②―運賃について―】 今回私が行ったアンケートの結果からも分かるように、やはり、金銭的な問題に関して は学生にとって敏感な部分であり、私自身非常に気になる部分である。<学生ニーズ>の (3)にも挙げておいたが、「航空運賃」については今回私が最も力を入れて調査した点であ る。 飛行機という乗り物は、維持費がかる。例えば、機体購入、エンジン、燃料などである。 さらに、大規模な産業の為、人が沢山動くことから人件費もかかる。つまり、航空運賃は これらの「コスト構造」で出来上がっており、コストの積み重ねで運賃が決まる。しかし それでも少しでも運賃を下げるためにコストの削減を考えてみる。すると、出来るとすれ ば人件費だが、人材の質が低くなってしまう恐れもあり、簡単に人件費を削減することも 難しくなる。航空業界は、単純に人件費をインターネットで電子化してコンピュータで置 き換える事で済むような業界ではないのだ。人と人とのコミュニケーションから始まるサ ービス業であるため、高品質=高価格はやむを得ないという結論になる。しかし、その中 でも顧客のニーズに合わせて運賃設定をしなければならないのが現状だ。顧客の需要と航 空会社の供給のバランスに応じて、つまり、時期と座席数に応じて運賃をコントロールす る。航空会社にとっては、いかにして限られた座席数で効率的に収益をあげるかが最重要 課題となる。 運賃は需要と供給で決まる。つまり、需要が在る時は高く、需要が無い時は安く設定す るのである。実際、需要がある時期には多少高額でも需要がカバーしてくれるため、高価 格な座席を数多く売り、低価格で売る座席数を減らす。そして需要が無い時期には低価格 な座席を多く提供する。さらに、需要がある市場では量より質の競争に、需要が無い市場 では質より量、つまり低価格競争になる。次のグラフは、需要と供給の関係を表したグラ フである。 - 17 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 <資料 19>年間の運航便数と旅客数 月毎の運航便数と旅客数(国際線2003∼2004) 旅客数 運航便数 600 500 400,000 350,000 300,000 250,000 200,000 150,000 100,000 50,000 0 旅客数 400 運航便数 300 200 100 6月 5月 4月 3月 2月 9月 10 月 11 月 12 月 1月 8月 7月 0 (資料)社内報よりデータをグラフ化 上のグラフで、旅客数を需要、運航便数を供給とみなすと、毎年、需要と供給の関係の 推移はこのように現れていることが分かる。これらのコントロールは、割引制度が複雑多 岐にわたる国内線では顕著に表れる。 では、国際線ではどうだろうか。そもそもの原理はいうまでもなく同じだが現実にはこ のようなコントロールの前に様々な条件が含まれている。まずは、時期によって価格の変 動が激しい事である。 <資料 20>年間運賃表 成田∼北京 年間運賃表(2004∼2005) 円 190,000 180,000 170,000 160,000 150,000 140,000 130,000 火∼金発 120,000 土∼月発 110,000 10 /1 ∼ 11 /2 12 1 /1 ∼ 12 12 /1 /2 6 3∼ 12 /2 7 1/ 2∼ 1/ 31 2/ 4∼ 2/ 9 3/ 1∼ 3/ 31 4/ 23 ∼ 4/ 28 5/ 4∼ 7/ 1 7/ 9∼ 7/ 15 8/ 30 ∼ 9/ 30 100,000 (資料)ANA SKY WEB 運賃表から作成 - 18 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 <資料 20>からも分かるように、成田∼北京間の運賃においては 1 年間のうちで最大で 約 6 万もの幅がある。よって、利用者には、複雑な割引制度をさがしてもらうよりは、時 期で選んで頂く形になっているそうだ。 航空運賃を決定する要因に、二国間協定という規制がある。この協定は日本と相手国と の間で、割引運賃を認める協定のことである。相手国との合意さえあれば、この協定を通 じて比較的自由に運賃設定出来るようになっている。この協定により割引が可能になった 路線には、国際線でも割引運賃が設けられている。割引の程度は国によって様々であるが、 残念ながら、現在日本と中国の間の協定で定められた運賃は、割引をほとんどしていない ため他国と比べて非常に高額な金額になっている。現在中国路線のエコノミークラスの運 賃は普通運賃と正規割引運賃の2つしか設定されていない。<資料 18>で示した運賃は、 正規割引運賃であるが、学生のアルバイト収入では到底手の届かない金額に設定されてい るのが実情だ。 しかし現実的には、私たちは、正規運賃よりも低い価格で航空券を手に入れることが出 来る。これはどういうことか。実は、航空券が航空会社から利用者の手に行くまでのルー トが大きく関係してくる。 航空会社から航空券を市場に売り出す際の方法は二つある。 「直売」と「代売」だ。直売 は ANA が顧客に直接売る事であり、個人に売る航空券、つまり「個札」を扱う。代売は 旅行代理店を通して ANA が一定の手数料を支払ったうえで売ってもらうことである。こ の場合、旅行代理店は「個札」と、団体旅行用の航空券、つまり「旅行」の両方を扱う。 運賃の面からみると、 「個札」は航空券のみの販売なので、単体での運賃が提示される。< 資料 18>はまさに、ANA が「直売」している「個札」の運賃表だ。グラフを見て分かる ように、単体で買うと割高である。一方「旅行」では、規定により、パッケージ販売しか 認められておらず、航空費に加え、ホテルや移動手段にかかる費用も含めた「ツアー」と しての価格を提示しなければならない。そのため航空券単体の価格は提示する必要がなく、 ツアーに組み込まれているため、多少ツアーの拘束はあるが、結果として割安な搭乗がで きることになる。私たち学生にとってはどうしても割安な「旅行」 (ツアー)に流れがちな のが現状だ。 以上、学生のニーズ(3)に対して、ANA の立場からするとこのような事情が現状として あるということが、研修を通して分かった。 これらを踏まえ、次に、学生ニーズを満たす改善提案をしたい。 - 19 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 【改善提案】 ¾ ANA と ASX(ANA セールス&ツアーズ) の学生向け旅行商品の発売 ANA の飛行機で行く学生向けツアー 1. 特徴 ① ANA グループの経営理念に沿った、グループとしての収益 UP ② 期間を限定して、なるべく低価格な値段での提供 ③ ANA ブランドのプロモーション ① ANA グループの経営理念に沿った、グループとしての収益 UP ⇒学生ニーズ(1)と(3) ANA グループ経営ビジョン ANA グループは、国内及び日本とアジアそして世界の 旅客・貨物輸送を担う航空事業を中核としてアジアを代表 する企業グループを目指す。 アジアを代表するとは、 クオリティで一番 顧客満足で一番 価値創造で一番 となることである。 基本理念 ―私たちのコミットメント― ANA グループは、『安心』と『信頼』を基礎に • 価値ある時間と空間を創造します • いつも身近な存在であり続けます • 世界の人々に「夢」と「感動」届けます グループ行動指針 6 ヶ条 1. 「安全」にこそ経営の基盤、守り続けます。 2. 「お客様」の声に徹底してこだわります。 3. 「社会」とともに歩み続けます。 4. 常に「挑戦」し続けます。 5. 「関心」を持って議論し、 「自信」を持って決定し、 「確信」を 持って実行します。 6. 人を活かし、チームワークを「力」にし、強い ANA グループ をつくります。 - 20 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 このように、現在 ANA の経営理念は「グループとしての向上」と「クオリティの追求」 を大きく掲げている。特に注目すべき点は、 「ANA」ではなく「ANA グループ」となって いる点だ。これはつまり、全日本空輸株式会社としての経営理念ではなく、グループ会社 を含めた全体としての経営理念を掲げている。グループ行動指針 6 ヶ条の 6 番目の「チー ムワーク」がまさにその象徴ともいえるだろう。現在、ANA では、各会社ごとではなく ANA グループとしての全体の向上を目指している。航空会社としての ANA は、旅行業と しての役割を果たしてはいけないことになっているが、これまで、ANA グループとして 航空会社と旅行会社とで協力して双方のイメージアップを図ってきた。ANA のイメージ アップを図ることはグループ全体の拡大に貢献する一つの案として非常に有効だ。今回は、 グループの成長を目指すという観点から、ANA と ASX が協力して新分野を開拓する⇒新 たな顧客獲得を考えた。 この経営理念に基づいて ANA と ASX で協力体制を組むことは、相乗効果が期待でき、 ANA グループ全体にとって非常に有効であると考える。また、先に運賃の章で述べたよ うに、顧客(学生)にとっては、航空券を単体ではなくツアーを通して、割安な価格で購 入でき、質のよい ANA の飛行機を利用できるという選択肢を与えられることになる。学 生向けツアーとしての価格については次章で述べる。 ② 期間を限定して、なるべく低価格な値段での提供 ⇒学生ニーズ(3) 運賃の章で述べたように、そもそも航空運賃とは、需要と供給の関係によって決定され る。需要がない時期は低価格で、需要がある時期は高価格で提供される。<資料 21>11は 現在 ASX が出している旅行商品の価格データである。また、<資料 22>12は曜日別の利 用者推移である。これは<資料 7>と同様のデータである。 円 <資料21>行き先別運賃(2004∼2005) 110000 90000 北京 上海 杭州 大連 <資料22>日本⇒中国への曜日別利用者推移 利用者数 70000 50000 日 2 3月 月 前 3月 半 後 半 1月 1 1 1 0月 月 前 11 半 月 後 12 半 月 前 12 半 月 1月 後 1日 半 付 近 30000 月 火 水 木 金 この2つの資料から、11 月後半、12 月前半、1 月、2 月の金、土曜日発の期間限定ツア ーを企画すればより低価格なツアーの実現が可能になるのではないか。利用者の少ない時 期であれば、ツアーということもあり、比較的大胆な値下げが出来るのではないか。どこ まで実現可能か具体的には分かりかねるが、少なくとも、誰も乗らない飛行機を飛ばすこ 11 12 (資料)ANA ハローツアーのパンフレットより(2 泊分のパッケージツアーの金額) (資料)研修中のインタビューから予想して作成 - 21 - 土 曜日 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 とを考えれば、上のグラフから想像できる限り、大学生のアルバイト収入の平均である 3 万∼4 万くらいまで下げることが出来るのではないかと考える。おそらく、このくらいの 価格であれば、学生として手の届く範囲であろう。価格に加え、時期についても注目した い。上で述べた限定期間のうち、特に 2 月は学生だけが休みの期間であり、より行きやす い環境であると考えられる。その行きやすい環境において、この時期低価格になることを 知らない人も多いだろう。中国へ行きたいけれどお金がかかると思っていた人にとっては、 「こんなツアーがあるならば、このチャンスに行こう」というように旅行に行くきっかけ にもなるのではないか。また、時期的に、卒業旅行目的で中国へ行く学生の囲い込みにも なると考えられる。もちろん、この時期低価格になることを知らない人がいることが予想 されるので、学生に向けたプロモーションもあわせて行なうことが必要不可欠だ。プロモ ーションについては後述する。確かに北京など東北地方は、日本の東北地方から北海道の あたりと同じくらい寒くなり、旅行向きではないかもしれないが、他の地域に関しては日 本と同じかそれ以南の地域が多い。そこで、一斉に低価格になるこの時期に限定して、 「今 だけの」旅行商品という名目で学生ツアーを売り出すことを提案する。 ANA ブランドのプロモーション ③ ⇒学生ニーズ(2) ANA は、「グループとしての向上」に加え、クオリティ=質を求めた経営方針を掲げて いる。お客様を第一に考えた「安心」と「信頼」を基盤とした経営を目指すということだ。 このことに関しては、先に述べた安全性ランキングの好成績も、顧客の信頼を得る一つの 指標となるだろう。研修中、多くの方からご意見を伺ったが、すべてこの理念に基づいて いた。量より、質。規模的、物理的な部分ではなく、質で勝負するという姿勢、ANA の 強みはまさにこれに限るのではないだろうか。それに伴い、徹底した社員教育も行なって いる。平成 13 年から GOOD JOB カードというものを導入している。 「ホメル⇔ガンバル」 という合言葉で、社員同士、良いところを褒め合い、質の向上を目指している。模範的社 員を見つけたら本人宛に GOOD JOB カードにコメントを書いて渡す。そして社員はそれ をもらうことで励みにしてガンバル、というしくみだ。沢山もらった人はある回数に達す ると表彰される。こういった日々の努力が ANA グループのクオリティを生み出している のだろう。こういった観点から、ANA ブランドを前面に出すことで、ANA 商品を利用し てもらい、さらなる ANA ファンが増えることが期待出来る。 現在、ASX としては、「学生向けツアー」というものを売り出していない。ASX の旅行 商品は、質の高い旅行プランを質なりの価格で売り出しているが、ANA と ASX で学生ツ アーを企画する際の利用者、ANA 双方にとってのメリットを以下にあげたい。 z 様々な規制の中でも低価格が実現 利用者にとって z 質の高い旅行が出来る は・・・ ANA 全体の収益向上につながる ANA (ANA グループとしてのスタンス) に と っ て は・・・ - 22 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 z 40307935 小山陽子 「質の高い旅行」について ¾ ANA から出す ASX 商品の強み この場合の強みとは、反スケールメリットである。つまり、顧客の規模が大きい JTB な どの大手に対して、ASX は規模が小さい。ならば、そのメリットを生かしたサービスを提 供しようということである。具体的には、利用者の都合にあわせた一人一人に対する細か なケアのことである。例えばツアーのホテルやレストランは直接契約しており ASX だけ の契約先であったりするので、その情報を細かく伝え、行き先の不安を利用者から取り除 く事が出来る。不安を取り除くという点では ASX では、直に添乗員の面接をし、その質 を保証した認定証を発行してパンフレットに載せている。まさに、スケールが小さいから こそ利用者にとって快適な旅を提供出来るという点が ASX にとっての強みだ。それこそ、 ANA グループの経営理念でもある質を追求するスタンスがここに現れているのだ。もう 一つ、ANA(航空会社)のグループ会社である利点として ANA の安全性、信頼性がバッ クにあるということで、利用者にとっても良いイメージを与え、安心して旅をしていただ く事が出来る。これは、ある種のブランド力といえる。さらに、8 月にできた現地法人が 機能し、迅速な対応が可能になり、これは ANA グループであることの強みだろう。 ANA 全体の向上につながる ¾ ASX と ANA の協力体制の利点 これらの強みを通して、ASX が売り出した際に ANA の名前が前面に出ることで、ANA の認知度 UP にもつながり、イメージアップ、ひいては ANA、および ASX のリピーター、 つまりファンを生み出す事が可能と考えられる。協力体制を踏む事で相乗効果が期待出来 る。 また、現在行われている ANA SKY WEB とリンクした ASX の WEB ページ、最近始ま った中国面白キャンペーンなどのプロモーション活動も重要だ。利用者にとっては ANA の WEB ページを見て中国へ行きたいと思った時に、それにのっとったツアーが ASX にし かないとすればまさに相乗効果の現われとなる。ASX の商品の売れ行き=ANA のリピー ター獲得のチャンスという構図だ。 2. 提案のコンセプト 現在も ANA の旅行商品が数多く存在する。しかし、ここで私が言いたいのは、今、ANA 利用者の中に観光客を増やす為に、もっと強固なつながりを創造し、ASX&ANA のこの つながりの部分から ANA として観光客を増やそうという事である。つまり旅行マーケッ トの喚起である。そのために、まず、学生に視点をむけ、ツアーを企画することで、この ASX で行った中国旅行が起爆剤となり、リピーター、つまり ANA グループファンを増や すことが可能になりはしないか、という提案である。そのツアーも現在の需要が無い時期 =価格の安い時期を狙い目に、その空席を旨く利用してリーズナブルな値段で学生に提供 したいという思いから考案した。 - 23 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 3. 40307935 小山陽子 ツアーの提案 では、学生の潜在需要を掘り起こすようなツアーとは、いったいどのようなものだろう か。仮に低価格が実現したとしても、ただ単に格安ツアーというだけでは魅力に欠けてし まい、旅行マーケットの喚起は期待出来ない。そこで、新たなツアーを提案するに当たり、 私の夏休みの経験をご紹介したい。 今年の夏休み、私は、サークルの活動の一環で、提携校である北京大学の学生と国際交 流をする機会があった。北京に 6 日間滞在し、使用言語は英語、毎日中国の見所や大学な どを紹介してくれ、非常に充実した 6 日間を過ごすことが出来た。お互いに学生であるた め、金銭的な面では共通する感覚があり、航空費と最小限の旅費で済ませることが出来た。 この滞在期間中、最も有意義だったのは、北京大学の学生と意見交換をする場や、北京大 学の国際政治の日本事情専門の教授と対談する機会を設けていただいたことだ。これは、 個人旅行ではなかなか出来ない事だろう。折しも、サッカー日中戦の影響で、反日感情が 高まっている最中だったので、その点に関しても教授の見解を伺うことができた。日本と 中国は今後、どう考えても協力体制が必要不可欠になる。それなのに今の状況は非常に残 念だとおっしゃっていた。反日感情に関しては、経済格差からくる教育の問題などが挙げ られたが、最も影響力の大きいのは、マスコミだ。反日感情を持っている人々はごく一部 であるのにそれが大きく報道されてしまい、日本人にとってはそれがあたかも中国全土で あるかのように思えるような、一種の情報操作が行われているという。中国でも同様に、 私たち日本人が聞いて逆にびっくりするような反中感情を持った人に関する大げさな報道 がされているようだ。2 国を良好な関係に導くことが出来るのは、最前線で直に交流がで きる、学者、政府、そして私たち大学生であるとおっしゃっていた。今回の旅行では、互 いに大学生同士であったこと、地域に密着した滞在が出来たこと、そして何より、異文化 を肌で感じ、直接交流ができたことが非常に貴重であった。私が行なったアンケート結果 にも表れていたが、中国に対するマイナスイメージが拭いきれていない現実は未だに残る。 しかし、実際にはマイナスイメージは皆無といっていいほど無く、非常に良い交友関係を 結ぶことが出来た。とはいえ、実際に体験をしないと実感として沸かないのが現状である。 そこで、私が提案したいのは、大学生同士の交流の場を設けることだ。体制としては、 今年8月に設立された現地法人の旅行会社、もしくは現在 ANA とコードシェアしている 中国国際航空とその提携先の旅行会社の協力を得る。現地の大学生をアルバイト、もしく はインターンという形で雇い、現地の案内人のような役割を担ってもらうのである。逆に、 日本に来た中国人を日本の大学生が受け入れ、一種の国際交流をすることが出来れば相互 の関係が築けるだろう。実際に、私が体験したように、ツアー的な要素を含めつつ、国際 交流をするという方針であれば、勉強中心の研修とは違い、まさにタイムリーな流行に触 れることができ、ショッピングや観光の要素を含めることが出来る。特に今回私は、日本 語を勉強している学生と友達になり、1 日中、英語、中国語、日本語の 3 つの言語を使っ て話をしたという面白い体験も出来た。コストも、学生の立場を考慮しつつ、滞在場所な ど自由に決めることが出来れば相当割安になるであろう。こういったツアーは、先に述べ た、反スケールメリットとして捉えることが出来はしないか。スケールが小さいからこそ、 - 24 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 質にこだわった内容の濃いツアーが実現可能ではないか。アンケートの結果にもあったよ うに、現在中国に興味を持つ人は増えている。そのような中、私が今回感じたことを出来 るだけ多くの学生に同じように経験し味わってもらいたいと思い、今回の提案に至った。 4. 今後の展望 ① プロモーション活動 現在、観光情報のプロモーションが盛んに行なわれ始めているが、先にも述べたように、 より多くの学生に知ってもらう為には更なるプロモーションが必要だと考える。どんなに 魅力的なツアーがあってもそれが人々の下へ情報としてたどり着かなければ全く意味がな いからである。現在の WEB でのプロモーションに加え、もっと広い視点で ANA をアピ ールすることも必要ではないか。今回、学生マーケットに焦点をしぼるにあたり、プロモ ーションの方法をいくつか挙げてみたい。一つの案として「アルバイト検索サイトとのリ ンク」だ。アルバイトは多くの学生にとって関心のある分野だ。私を含む、大学生が良く 目にするこのサイトからのリンクを張れば、自然と目に入り、観光情報の学生に対する影 響も大きくなるのではないだろうか。また以下に、大学生の興味、関心のあることについ てのランキングデータを示す。ここから、現在、もっとも大学生に近い場所を見出し、宣 伝の切り口とすることを考えた。 <資料 23>興味・関心のあること 男子大学生(n=40) 1 (家の中で)音楽を聴く % 女子大学生(n=40) 67.5 映画館で映画を見る % 75 2 TV ゲーム・パソコンゲーム 60 (家の中で)音楽を聴く 75 3 コミック・漫画を読む 60 旅行 70 4 インターネット・パソコン通信 57.5 ショッピング 5 ビデオで映画・アニメを見る 52.5 ビデオで映画・アニメを見る 70 67.5 6 映画館で映画を見る 50 友人とのおしゃべり 67.5 7 スポーツ観戦 45 インターネット・パソコン通信 62.5 8 友人とのおしゃべり 45 食べ歩き・グルメ 9 ドライブ 55 42.5 コンサート・ライブ鑑賞 50 10 旅行 37.5 エステ・肌のお手入れ 50 11 カラオケ 37.5 − (資料)若者ライフスタイル分析 2002−2003 <資料 23>から明らかであるが、現在、映画や音楽、通信機器に関心のある大学生が多 いようだ。これらを踏まえると、映画や音楽の情報サイト、コンサート、映画館への協賛 - 25 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 もひとつの手ではないかと考える。特に、中国関係の映画であれば、ロケ地をアピールす ることも出来る。また、女子大学生に関しては3位に旅行がランキングされている。先日、 ANA と私立の女子大とが協力し、大学生の生の声を反映したツアーが考案された。プロ モーション次第では更なる旅行者獲得が期待出来そうだ。 ② 修学旅行生への対応 現在中国に関心を持つ学生が増えており、中国を修学旅行先に選ぶ学校が増えている。 この流れの中で、ANA と ASX とで修学旅行生にむけた新たな商品を作ることも、旅行需 要喚起の一つの案として有効ではないか。特に、学校側が航空会社を選ぶ際に重視するで あろう安全性や信頼度の面からしても、ANA は優位にあるといえる。また、航空会社側 としても、丁度修学旅行が集中する時期である 10 月∼12 月に掛けては利用客が減る時期 <資料 24>外国への修学旅行生 にあたり、オフ対策としてまさに必 要不可欠な顧客となる。こういった意味で 平成14年度の高等学校等における 外国への修学旅行(参加人数) 今修学旅行生を囲い込む必要性は決して小 さくない。 現在、修学旅行に中国を選ぶ学校が増え ている傍ら、実は全国に中国の都市と姉妹 都市を結んでいる都市が約 270 もある。こ の切り口から修学旅行生を増やし、ASX が 仲介することで ANA の飛行機を利用して もらうという方策も有効ではないかと思う。 修学旅行生獲得の切り口は他にもある。今 人 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 36607 26114 20867 中 年の 9 月 1 日から、中国人の学生が日本に 修学旅行で来る際にビザが要らなくなった。 実は中国でも日本の学校と交流したいという 35364 国 韓 国 オー ラリ スト ア ガポ シン ール (資料)文部科学省 目的で修学旅行にくる学生が増えており、これはその現れかとも思われるが、その学生を ターゲットに日本に誘致すれば、逆に、交流した日本の学校が、修学旅行にと中国を選ん でくれる可能性も広がり、相乗効果になると考えられる。これも一つの策だ。 - 26 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 【社会全体の視点からの研修テーマをめぐる問題点】 1. SARS の影響 2002 年に発令された SARS の影響で、中国路線の利用者が落ち込んでいることは周知 の事実である。現状の①で示したように、現に 2003 年の旅行者数は 24%もマイナスにな ってしまった。今年に入って回復はしてきたものの、我々日本人にとっては依然として不 安が拭いきれないのも事実だ。特に、今回提案した 2 月はまさにウイルスが蔓延し始める 時期と重なるため、利用客の増加が見込めるかどうかが一つの問題点として挙げられる。 2. 航空運賃の規制 現在、国際線では二国間協定における両国の同意なしには勝手に運賃の値下げをするこ とが出来なくなっている。中国とは他国に比べて割引運賃が高く設定されているため、学 生にむけた割安航空券の実現がほとんど不可能である。そこで今回ツアーに視点を向けた わけだが、それでも他国へのツアーがさらに低価格なものであれば、中国は学生にとって は決して行きやすい国とはいえないだろう。協定により、大幅な割引が実現可能になれば、 中国路線の利用者、とくに旅行者が増えるものと思われる。現時点では運賃規制が厳しい ため、実現までは至らないのが現状だ。 3. 他旅行業者との競争 旅行業界には、ASX の他にも多くの旅行会社が存在する。その中でも大手の旅行会社は 特に、学生ツアーや修学旅行を昔から扱ってきた強みもあり、顧客にとっては利用しやす い印象を持つであろうことが危惧される。今回は航空会社との競争に留まらず、広い視野 でグループ全体、つまりここでは旅行商品の販売競争に焦点をあてた。こういった場合、 競争相手は航空会社のみならず、各旅行会社まで拡大すると思われる。 4. インフラ整備 中国国内の交通事情や、施設、衛生面が障壁となって、旅行の足を鈍らせる旅行者もい ると思われる。確かに、日本に比べれば未発達な部分も多い。国内の移動手段については、 日本から行った場合、国内航空への乗り継ぎの利便性が求められる。この部分での開発が 進み、より便利に快適な旅行ができるとなれば自ずと旅行者も増えるのではないかと思う・ 5. 日中関係 現在の日中関係は決して良好と言い切ることは出来ない。今年の夏行われたサッカー日 中戦でも顕著であったように、今でもなお、日本と中国の相互のイメージ低下がおさまら ない。私が行なったアンケートでも、サッカーの影響で好感度が下がったという意見や、 「ごみごみしていそう」といった声が見受けられた。国交正常化から 30 年余り経ったと はいえ、度々起こる日中間の事件などの影響により、良い部分よりも悪い部分が浮き彫り になってしまっている。そのような中で、今後の中国路線の拡大事業は決して容易なもの ではないが、日中関係における大きな原動力となることは期待出来る。 - 27 - 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 【参考文献】 「ANA SKY WEB」http://www.ana.co.jp/ 大阪明浄大学観光学部 http://www2.meijo.ac.jp/mei-suzu/ 文部科学省HPhttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/05/04051101.htm 日経テレコン21http://telecom21.nikkei.co.jp/nt21/service 国際観光振興会 http://www.jnto.go.jp/info/ 中国関係オンライン日本語総合誌 http://www.come.or.jp/hshy/j2003/2003_08e.html#top 若者ライフスタイル分析 2002−2003 http://www.tfm.co.jp/wakamono/2003data/finance/01-01.html 日本一ネット http://www.nippon-1.net/cgi-bin/database.cgi Plane Crash Info.com ホームページ http://planecrashinfo.com/rates.htm 杉浦一機 (2000)『21 世紀の航空新常識』中央書院 杉浦一機 (2001)『エアライン(超)利用術』平凡社新書 杉浦一機 (2003)『新 JAL vs ANA 最後の攻防』中央書院 街風隆雄 (2004)「トップの源流」 『週刊朝日』6 月 11 日号 国分良成 (2004)『中国政治と東アジア』慶應義塾大学出版会株式会社 佐藤言夫 (2004)「巨大市場に挑むANA」『月刊 AIRLINE』4 月号 ハリー・ベックウィス(2001)『インビジブル・マーケティング」 ダイヤモンド社 ANA 社内報 【アンケート結果】 大学生 113 人に対するアンケート。構成は男性 4 割、女性 6 割。 論文の構成上、載せ切れなかった分を最後にまとめて掲載しておく。 問7 中国に行った際、あなたにとって何が魅力的で したか? 雄大さ 5 物価の安さ 2 文化 4 近さ 2 食べ物 3 値切り 1 歴史 3 経済 1 観光 2 人の誠実さ 1 活気 2 建造物 1 人の寛大さ 2 - 28 - イカロス出版 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 40307935 小山陽子 問 10 「これがあったら中国へ行くのに・・・」という何か願望があれば自由にお書き 下さい。 お金 10 時間 9 反日運動がなければ・・・ 7 清潔感 5 安全性 4 学生向けツアー 2 仲間 2 現地に知り合い 2 中国語ができれば・・・ 1 もう少し年をとってから・・・ 1 問 26 あなたにとって機内での楽しみは何ですか?自由にお答え下さい。 映画 37 シート 2 景色 20 ゲーム 2 音楽 18 安全性 1 機内食 16 快適さ 1 睡眠 8 自由な時間 8 サービス 5 旅先のことを考えること 4 飛ぶ瞬間 3 雑誌 3 問23 中国についての知識は主として何から得ています か?(3つまで) インターネット, その他, 0.88% 16.81% 雑誌・週刊誌, 回答なし, 6.19% 6.19% テレビ・ラジオ, 32.57% 映画, 18.58% 授業, 44.25% 問24 年に何回飛行機を利用しますか? 6回以上, 0.00% 回答なし, 6.19% 3∼5回, 15.04% 書籍, 14.16% 友人・知人の 話, 25.66% 1∼2回, 53.98% 新聞, 56.64% - 29 - 0回, 24.78% 商学部 2 年ネ組 全日本空輸株式会社 大国意識がある どちらともいえ ない, 11.50% 回答なし, 7.08% 回答なし, 6.19% どちらともい えない, 30.97% そう思う, 45.13% そう思う, 70.80% 思わない, 17.70% 経済発展が順調 全体的に地味 回答なし, 6.19% 回答なし, どちらともいえ 7.08% ない, 23.89% そう思う, 59.29% 思わない, 11.50% どちらともい えない, 40.71% 社会主義の国だ そう思う, 12.39% どちらともい えない, 32.74% 思わない, 40.71% そう思う, 40.71% ファッショナブルな国だ 回答なし, 7.96% 思わない, 20.35% 回答なし, 7.08% 思わない, 19.47% 将来、日本のライバルだ どちらともい えない, 16.81% そう思う, 42.48% 思わない, 26.55% 人間がいい 回答なし, 6.19% 小山陽子 民主化が遅れている 思わない, 10.62% どちらともいえ ない, 23.01% 40307935 どちらともい 回答なし, そう思う, 自然が美しい 6.19% えない, 3.54% 13.27% 回答なし, 6.19% そう思う, 54.87% ど ち らともいえ ない, 28.32% そう思う,思わない, 55.75% 思わない, 9.73% - 30 - 76.99%
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