第1四半期

http://www.sk-japan.co.jp
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エスケイジャパン
久保
敏志
(クボ
サトシ)
株式会社エスケイジャパン社長
当四半期業績は不振だが次の商材を着々と準備
◆SKグループ事業内容
SK グループの事業内容として、(株)エスケイジャパンには、アミューズメント向けにキャラクター卸を行う AM 部
門、ノベルティのセールスプロモーションを行う SP 部門、インターネットショッピングの EC 部門があり、セグメントは
キャラクターエンタテインメント事業とする。子会社の(株)サンエスは、ヴィレッジヴァンガード、ドン・キホーテ、キ
デイランド等へキャラクターグッズの販売を行い、セグメントはキャラクター・ファンシー事業である。(株)ケー・ディ
ー・システムは、キャラクターグッズの企画開発・販売で、グループのメーカー部門として展開しており、グループ内
での売上が全体の約 60%、セグメントは同じくキャラクター・ファンシー事業である。(株)ナカヌキヤは小売販売で、
「ナカヌキヤ」は心斎橋店、広島本通り店、松山銀天街店、「SALAD BOWL」はつかしん店、広島 ASSE 店、河原町
店があり、セグメントはリテイル事業とする。SKJ USA, INC.は、2010 年 8 月よりアメリカでのキャラクターグッズ販売
およびアメリカのキャラクター発掘と日本への情報提供を行っており、セグメントはキャラクターエンタテインメント
事業である。
◆震災後の消費低迷を受け業績が悪化
2012 年 2 月期第 1 四半期の業績は、売上高が 19 億 46 百万円(前四半期比 15.1%減)となり、キャラクターエ
ンタテインメント事業が 11 億 18 百万円(同 18.1%減)、キャラクター・ファンシー事業が 6 億 6 百万円(同 10.2%減)、
リテイル事業が 2 億 20 百万円(同 12.1%減)であった。営業利益は、前四半期には 1 億 27 百万円であったが当
四半期は 23 百万円の赤字で、キャラクターエンタテインメント事業が 35 百万円の赤字、キャラクター・ファンシー事
業が 16 百万円(同 55.4%減)、リテイル事業が 8 百万円の赤字となった。経常利益は、前四半期 1 億 29 百万円に
対し当四半期は 28 百万円の赤字、四半期純利益は、前四半期 15 百万円に対し当四半期は 44 百万円の赤字で
ある。キャラクターエンタテインメント事業の不振により減収となり、販管費は削減したものの営業損失となった。
事業別に見ると、キャラクターエンタテインメント事業の売上高は AM 部門が 8 億 93 百万円(前四半期比 14.3%
減)、SP 部門が 2 億 7 百万円(同 34.1%減)、EC 部門が 17 百万円(同 102.0%増)であった。AM 部門は、オペレ
ーター向け売上高の 91 百万円減に加え、前期ヒットした「スージー・ズー」の反動による 2 億 63 百万円減が大きく
影響した。SP 部門では、出版会社向けが 28 百万円減、製薬会社向けが 42 百万円減となり、EC 部門ではフィギュ
アの売上高が 6 百万円増であった。昨年後半以降苦戦が続いているのは、アミューズメント施設において「ワンピ
ース」が独占的なシェアを得ている中、当社はアミューズメント施設向けではこの版権を持っておらず AM 部門が厳
しいためである。ワンピース以外の商品を多数扱っているものの、ことごとくそれらがはねられている状態で、2 月
の決算時には業績が苦しく在庫過多のまま今期のスタートとなった。客先の売り場の半分近くがワンピース一色と
なっている現在、当社商品は伸びが期待できないため、新たな発注を止めて在庫を落とし、夏以降にこれに代わ
るキャラクター選別を行うなど、新商品の開発は全て後半戦につなげる動きにシフトした。これにより、7~8 月の繁
忙期で業績を戻し、後半戦に新商材をぶつけていく計画である。一方、SP 部門は、昨年の厳しい中でも伸長して
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いたが、震災の影響で大型付録やキャンペーンなどの中止が多く発生し、キャンセルが相次いだ。この部門の業
績不振は想定外で、震災の影響を直接的に被った結果である。なお、AM 部門も 3~4 月は客先で被災した商品の
交換を行うなど、震災の影響でさらに厳しさが増すことが予想されたが、被災地以外のエリアはその後近場のレジ
ャー施設で需要が戻り、売上は昨対比を超えるペースとなりつつある。
キャラクター・ファンシー事業は、昨年大きく売上を伸ばした事業である。当四半期は、震災の影響で一時売上
が落ち込んだものの、節電により扇風機や涼感グッズ等のファンシー商品が伸び、ドン・キホーテ向けの販売など
も回復している。物販ではワンピースの版権を保持しているが、同商品の売上高は前四半期比 10 百万円減と勢
いが緩んでいる。ワンピースに続く売上のあった「ウサビッチ」商品は 77 百万円減であったが、売上のなかった「モ
ンスターハンター」商品は 35 百万円と、徐々に伸びてきている。
リテイル事業は、ナカヌキヤ 3 店舗で売上高が前四半期比 44 百万円減であった。特に旗艦店である心斎橋店
において、震災以降中国や台湾を初めとする外国人来店客が減少したことに加え、天王寺のキューズモールや梅
田の大型ショッピングセンターなど競合店の出店により、38.6%減と大幅に落ち込んだ。SALAD BOWL では売上高
が徐々に増えたが、心斎橋のダウンを補うには至らなかった。
◆アメリカは拡大軌道
今期のトピックスとして、EC 部門では、現在楽天およびヤフーのサイトで販売を行っているが、今年 8 月より自
社サイトを開設する予定である。依然大半は楽天およびヤフーであるが、月商で計 10 百万円前後の売上があり、
年間 1 億円程度が見込まれる。増加してきた顧客を自社サイトに取り込み、システム利用料・ロイヤリティを削減し
て利益率向上を図りたい。
SKJ USA では、現在ラウンドワンのロサンゼルス店のみに納めているが、9 月ころから他のディストリビューター
に「ピンクパンサー×チャッ X」の商品納入が決まる見込みとなった。ラウンドワンも好調で新規出店計画があり、
新店にも納入する予定である。アメリカでの版権取得を加速させており、同地で非常に人気のある「NARUTO」、少
女マンガ LaLa で連載中の「ヴァンパイア騎士」、「モンスターハンター」、根強い人気のある「ストリートファイター」、
「ワンピース」の 5 キャラクターに係る版権を 7 月中にも契約予定である。ラウンドワンに対しては、日本の店舗で
人気の商品をピックアップし、アメリカ向けの加工を施して発送しているため、経費がかかり粗利も低い。一方、他
のアメリカの顧客に対しては、オーダーを受けた製品を中国で生産して中国からダイレクトにアメリカに発送する展
開を進めている。ラウンドワンの好調のほか、他の顧客でも受注が取れる環境が整い、日本の低迷を北米で補う
よう努める。さらに、ヨーロッパでも日本のアニメキャラクターは人気が高いことから、今後はヨーロッパ向けにも受
注活動を展開したい。
リテイル事業では価格競争が厳しいが、現在 SALAD BOWL は、経費を抑えた小ぶりな店ながら比較的売上が
伸びてきている。今後は駅ビル等にも条件が合えば出店を検討する。
◆通期業績は横ばいの見込み
2012 年 2 月期通期の業績予想は、売上高が 95 億円(前期比 0.4%増)、営業利益は 2 億 88 百万円(同 0.4%
増)、経常利益は 2 億 90 百万円(同 1.0%増)とし、ほぼ横ばいの計画である。当第 1 四半期は赤字であったが、
上期決算では、エスケイジャパンは 7~8 月の受注が上向いていることからイーブンに、子会社はヴィレッジヴァン
ガード、ドン・キホーテなど物販の卸が比較的好調であることから利益が 50 百万~60 百万円程度出ると予想する。
その後、下期利益がエスケイジャパンで 1 億 50 百万円から 2 億円程度、子会社で 60 百万円程度とし、前期同様
とする計画である。今後もキャラクターの版権を数多く取得し、顧客の受注に応じた生産体制を図りながら、売上
は 100 億円前後を目指す。また、経常利益率は、ヒットがなくても 3%のレベルに、3 年以内に戻していきたい。秋に
出るワンピースの新シリーズ「新世界編」がブレイクし他の商品がはまらなくなる可能性もあるが、売れている手持
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ちの商材もあり、これらでカバーしていけると考える。
株主還元については、上場以来安定した配当を続けてきた。今期も上期は黒字化する見込みで、財務内容で
は現預金が有利子負債を上回っていることもあり、中間 6 円、期末 6 円の安定配当を予定する。
オリジナル商品の展開として、東京ファッショングッズトレードショーでは、3 回連続してケー・ディー・システムが、
バイヤーが選ぶファッショングッズ大賞を受賞した。また、「ピンクパンサー×チャッ X」につき、当社が日本とアメリ
カでマスターライセンスを取得した。これについて、アミューズメント施設向けや小物などは当社で製造するが、タ
オル、文房具、ネットの待ち受け画面といったアイテムに関しては専門業者にライセンスを卸していく。これまで当
社はライセンサーとして個別に版権を取得していたが、これはマスターライセンスであるため版権を卸すことができ
る。大阪の USJ についてもぬいぐるみの先行発売が決まっているが、これもマスターライセンスであり、今後店頭
で人気が出れば、引き合いが増加する可能性がある。さらに、以前流行したスポンジ・ボブは今年 10 周年を迎え
るが、このアミューズメント向けの版権を保持している。ワンピースについては、10 月からの新シリーズ新世界編に
合わせ、物販のケー・ディー・エスでさまざまな商品を展開する予定である。
◆質
疑
応
答◆
在庫の適正規模はどの程度か。
年間 24 回転すなわち月 2 回転、期末では年商の 3%程度が目標である。現在は在庫処分を行っており、20~
25 日で 1 回転程度となっている。
アメリカの売上はどの程度か。
昨年 8 月にスタートし、顧客はラウンドワンのみで、2 月までの前期売上高が 14 百万円、約 3 百万円の赤字で
あった。今期予想は売上高 76 百万円でイーブンを目標とした。内訳はラウンドワンが半分、他社が半分である。
(平成 23 年 7 月 20 日・東京)
(平成 23 年 7 月 22 日・大阪)
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