国連開発計画(UNDP)と ジェンダー平等 主要事実 ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの推進は、国連開発 計画(UNDP)の使命であり、持続可能な人間開発を目指す中 心的な活動です。ジェンダー平等は、国際人権法の中に定着 しており、ミレニアム開発目標(MDGs)達成と持続可能な人間 開発の実現にも不可欠です。 ジェンダー平等の推進により、女性や女子の生活が改善され るだけでなく、家庭、コミュニティ、さらに国全体の未来への展 望を開くことができます。またジェンダーの不平等が是正され れば、子どもの就学率や家族の健康状態が改善し、農業の生 産性向上と収入増加にもつながります。UNDP は、ポスト 2015 開発アジェンダの下でもジェンダー平等や女性のエンパワーメ ントに対する取組みが確実に行われるよう、国連システム内外 の世界中のパートナーと密接に協力しています。 UNDP は、『UNDP 戦略計画 2014-2017』の下、以下の3分野 における活動を通じて、ジェンダー平等に取組んでいます。 1.持続可能な開発プロセス 女性の社会参加の実現と平等な権利と機会を確保すれば、包 摂的かつ持続可能な成長が達成され、貧困も削減されます。 特に、貧困層や農村部の女性は、周囲の環境が生計に深く結 びついているため、知識と経験を活かせば、包摂的な環境政 策の策定に貢献することができます。UNDP は、以下の支援を 各国のパートナーに提供しています。 生態系資源に対する女性のアクセス、オーナーシッ プ、持続可能な資源管理への関与の拡大を支援す る。これには気候変動ファイナンスを通じた取組みも 含まれる。 2.包摂的で効果的なガバナンス・システム 極度の貧困状態で暮らす 14 億人のうち、3 分の 2 は女性が占めています。 世界の国会議員に女性が占める割合は、わずか 20.4%に過ぎません。 サハラ以南アフリカと南アジアの女性が従事する 仕事の 80%は、インフォーマル経済です。 世界中の女性の 10 人に 3 人は、配偶者やパート ナーによる身体的・性的暴力を経験しています。 女性の経済的エンパワーメントを阻む要因を特定し、その 軽減と根絶に取組む。この取組みには、女性の無償ケア 労働(食事の支度や洗濯等の家事、育児、老人や病人の 介護等)への取組み、ディーセントワーク(働きがいのある 人間らしい仕事)やジェンダーに配慮した予算編成の推進 を含む。 女性と男性双方の経済活動を促進するために社会保障 政策にジェンダーへの配慮を取り入れる。 天然資源管理のための仕組みや意思決定プロセスへの 女性の関与を強化する。 女性も男性と同様にガバナンスの制度と過程に参加し、 社会サービスを享受することは、包摂的かつ効果的なガ バナンスを実現するための前提条件といえます。UNDP は、各国のパートナーに以下の支援をしています。 投票者・被選挙者としての女性の政治参加を推進し、 制憲議会、国会、行政、司法で活躍する女性の数を 増やす。 女性の権利保全を法的制度の内外で強化する。 地方行政サービスの優先付けとその提供に関する意 思決定に女性が平等に関与できるようにする。また保 健と HIV に関するサービス、社会保障、司法や治安 サービスに女性がアクセスしやすいように取組む。 紛争下や紛争後を含む様々な状況において、性的暴 力やジェンダーに基づく暴力の予防と対処のために、 国家の能力を強化し、被害者のための支援サービス と司法へのアクセスを充実させる。 3.危機からの強靭な回復力の構築 ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、個人、組織、社 会全体の強靭な回復力の柱となります。危機により荒廃がも たらされる一方、危機後の復興期間は、ジェンダー平等と女 性のエンパワーメントを促進させ、より包括的なガバナンス 機構の構築と社会変革を実現させるまたとない機会ともなり ます。UNDP は、以下の支援を各国のパートナーに提供して います。 紛争の予防、緩和、調停、平和構築および、気候変動 への適応、緩和と災害リスク削減等に関わる政策決定 において、女性の平等な参加促進とリーダーシップ強 化を支援する。 災害および気候変動のリスク削減に関する政策や計画 において、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを 主流化する。 地方開発、雇用創出、紛争・災害後の緊急支援および 社会再統合プログラムを実施する際には、女性が平等 に参画し、成果を享受できるように取組む。 災害・紛争後のニーズアセスメントに際して男女別に集 計されたデータが活用されるように取組む。 UNDP の組織変革 UNDP は、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントの達成 を目指し、自らの活動のあり方も見直しています。UNDP は、 組織内の職種の全レベルで男女比が等しくなるよう、また、 職場においても開発プログラムの実施に際しても、男女双方 のニーズに応えるよう取組んできました。UNDP は、職場と 開発プログラムにおいて、ジェンダー平等の進捗状況を把握 するための説明責任の仕組みを整えています。 UNDP はまた、ジェンダー・マーカーを初めて導入した組織で もあります。ジェンダー・マーカーとは、ジェンダー平等に寄 与した案件と支出額を記録するツールで、国連事務総長か らも評価されています。現在では、UNDP の取組みは他の国 連機関にとって模範例となっています。 UNDP の活動例 UNDP はイラクにおいて、「女性に対する暴力とドメステ ィック・バイオレンスに関する国家データベース」の本格 的な導入を支援しています。これは、連邦政府と地方 政府の双方から、統一され一貫した形式による報告を 内務省に集めるためのデータベースです。これにより、 女性に対する暴力とドメスティック・バイオレンス事案に 関する報告や起訴内容を効果的に把握できるようにな ることが期待されます。 UNDP はサハラ以南アフリカ 10 か国において、投票 者・被選挙者としての女性の政治参加を促進すべく、ジ ェンダー平等に配慮した法律、憲法改正、独立選挙委 員会の活動のために、技術協力および財政支援を行い ました。これにより、選挙により選出された議員に占め る女性の割合は、ガーナで 2.2%、レソトで 4.3%、トーゴで 2.5%増加しました。 UNDP は、ハイチの地震被害からの復興支援におい て、女性の優先事項とニーズに配慮したインフラ復旧、 社会問題、所得創出支援が行われるよう調整機能を担 う、8 つのコミュニティ集会所を支援しました。このプロ ジェクトにより、1600 件近くの就業機会が創出され、う ち 65%は女性に提供されました。 UNDP は セ ネ ガ ル に お い て 、 地 球 環 境 フ ァ シ リ テ ィ (GEF)の資金協力を受け、女性を対象としたマングロ ーブの植林・育成手法の研修を実施しました。プロジェ クトに参加した女性は、収入源を得たばかりでなく、同 国北部における 2,000 ヘクタール以上のマングローブ 林の復元に、重要な役割を果たすことができました。 UNDP はカンボジアにおいて、政府、市民社会ネットワ ーク、HIV 感染者・エイズ患者の女性や女子のネットワ ークに対し、支援を提供しました。新たに策定された「女 性に対する暴力に関する国家行動計画」は初めて、性 産業従事者を含む HIV 感染者・エイズ患者の女性や女 子の被害に特別に配慮した内容となっています。 詳細に関するお問い合わせ: www.undp.org/ United Nations Development Programme 304 East 45th Street New York, NY 10017 USA http://www.jp.undp.org/ 国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所 150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 UNハウス8F 電話:03-5467-4751 2013 年 11 月
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