(報道資料) 新潟大学の学生等によるマダガスカル訪問のお知らせ 「国際開発研究会」による(財)三菱銀行国際財団助成 「アジアの国マダガスカル訪問・交流」事業 2007 年 8 月 27 日 国際開発研究会 代表:高橋拓也 (新潟大学経済学部 4 年) 080-5511-9588 [email protected] 顧問:宮田春夫 (新潟大学国際センター教授) 025-262-7794 [email protected] 新潟大学の学生他が作った「国際開発研究会」では、(財)三菱銀行国際財団の助成を頂いて実施 する「アジアの国マダガスカル訪問・交流」事業の中心的活動として、9 月 7―21 日にマダガス カルを訪問し、現地の若者と意見交換会等を行うとともに、その交流会及び村や現地の機関等へ の訪問により、自然、文化、若者の意識や暮らしについて学び、交流します。 帰国後は、その結果を基にした、マダガスカルや開発途上国、開発途上国と日本についての理 解の拡大活動(特に若者等に対する報告会の開催等による。)を行うとともに、マダガスカルの訪問 の結果を活用して、ホームページを作成し、マダガスカルや開発途上国、開発途上国と日本につ いて日本の若者に発信する予定です。 1. 背景 一つの有限な地球において、先進国の人間は、開発途上国の人たちと同じ人類社会を構成し、 同じ人類として未来を共有しています。例えば 1993 年の環境基本法に、従来の「現在及び将来 の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与する」という目的に加え、「人類の福祉に貢献する」 という目的が加えられています。特に、次の時代を担う若者が、このような事実を認識すること に加え、開発途上国の人々の暮らし等を具体的理解することが重要です。 私たちは、そのようなことに強い関心を持ち、大学の授業や勉強会において種々学んできまし たが、その具体例を見たり、体験したり、現地の若者と議論したりすることにより、「百聞プラ ス一見」の力(教室や書籍による知識に加えて開発途上国の現地を見て、現実に即して先進国と開 発途上国との関係を考えられるようになること。)をつけ、また、それを広く他の若者等に広めよ うと、この事業を企画しました。 2. 訪問の目標 (1)開発途上国の事例として、マダガスカルの自然・社会・経済・暮らしを知る。特に環境と 開発について、行政、マダガスカルの人々による努力、国際機関・他国政府の協力につい て具体的に見て考える。 (2)マダガスカルの若者との相互理解を深める。 (3)人類社会における開発途上国の人々との関係を考える。 (4)開発途上国との交流のあり方を考える。 なお、帰国後、事後の学内及び市民向け報告会、インターネットでの発信等も、みんなで行い ます。 1 3. 日程 9 月 7 日(金) 8 日(土) 9 日(日) 10 日(月) 10 日(月) ―11 日(火) 12 日(水) ―14 日(金) 15 日(土) 16 日(日) 17 日(月) 18 日(火) ―20 日(木) 21 日(金) 成田発 18:30 バンコク着 23:10(ユナイテッド航空 UA837) 01:10 バンコク発(マダガスカル航空 MD11)、07:55 アンタナナリボ着 市内散策等: 町に慣れる。 ツィンバザザ動植物園 日本大使館(安全対策、新潟大学 OB の宮村医務官との面会)、JICA 事務所(マダ ガスカルにおける JICA 事業) 環 境 省 、 ANGAP( 国 立 公 園 等 を 管 理 し て い る 特 殊 法 人 ) 、 マ ダ ガ ス カ ル の NGO(FANAMBY)等訪問 FANAMBY が実施を担当している GEF/UNDP1プロジェクトを見学(自然林保護 と隣接地の農民収入増加策)(首都から 90 キロの農村)、青年海外協力隊員訪問、 マダガスカルの学生等との交流会 アンダシベ・マンタディア国立公園 アンタナナリボ付近に派遣されている青年海外協力隊員と昼食をとりながら懇 談。 07:45 アンタナナリボ発、22:20 バンコク着(MD10) 国連環境計画アジア・太平洋地域事務所、FAO アジア・太平洋地域事務所他訪 問。後発開発途上国のマダガスカルと比較。 バンコク発 06:50 成田着 15:00 (UA838) 4. 訪問者 これまでに、次の参加者が確定しています。 新潟大学経済学部経済学科企業経営履修コース 4 年(男性) (国際開発研究会代表 高橋拓也) 同工学部建設学科社会基盤工学コース 4 年(男性) 同農学部農業生産科学科 2 年(女性) 中央大学人文学部 4 年(男性) 新潟大学准教授(医学部保健学科看護学専攻) 齋藤君枝 (9 月 12-14 日は、本隊とは別日程で、 保健・看護・医療等のプロジェクトや施設を視察。元青年海外協力隊員。) 同教授(国際センター: 環境と開発を巡る南北関係) 宮田春夫(国際開発研究会顧問) 5. 帰国後後の予定 (1)マダガスカル訪問の結果を基にした、マダガスカルや開発途上国、開発途上国と日本につい ての理解の拡大活動 マダガスカルの訪問の後、会員の間で報告会と反省会及び結果の取りまとめを行った上で、新 潟において、一般市民、特に若者を対象に、報告会を開催し、マダガスカルや開発途上国、開発 途上国と日本についての理解の拡大を図ります。 (2) マダガスカルや開発途上国、開発途上国と日本についての全国への発信 マダガスカルの訪問の結果を活用して、ホームページを作成し、マダガスカルや開発途上国、 開発途上国と日本について日本の若者に発信します。 GEF: Global Environment Facility 地球環境ファシリティー。オゾン層破壊、地球温暖化、生 物多様性保全、海洋の保全等の地球的規模の環境問題に開発途上国が取り組むのを支援するため、 1991 年に発足し、世界銀行、国連環境計画、国連開発計画(UNDP)が共同で運営している資金供 与の仕組み。UNDP を通じて資金が供与されるプロジェクトには、NGO が実施するものが多く なっています。今回訪問するものも、UNDP を通じて資金が供与されるプロジェクトで、マダガ スカルの NGO である FANAMBY が実施しています。 1 2 6. 参考資料 (1) マダガスカルの概要 (2) マダガスカルと新潟との関係 (3) 国際開発研究会の概要 3 参考資料(1) マダガスカルの概要 マダガスカルは、地理的にはアフリカであり、また、アフリカ連合の加盟国であり、また、ア フリカ南部経済共同体の加盟国であるなどして、経済的・政治的にも、アフリカの一員です。と ころが、山口洋一・元在マダガスカル特命全権大使が、マダガスカル紹介の著書の表題を「マダ ガスカル:アフリカに一番近いアジアの国」としたとおり(1991 年、サイマル出版会)、その社会の 基層はインドネシア等と共通です。 実際、マダガスカル全島で話されるマダガスカル語は、 「マレー・ポリネシア系」言語群に分類 されています。食事も、 「1 日 3 食、米を食わないと気持が悪い。」(ロンリープラネット・ガイド ブック「マダガスカル」)と言われる通り、たくさんの御飯におかずを乗せて食べるという、東南 アジアと全く同じ食べ方をしています2。社会の基層がインドネシアと共通であるのは、それまで 無人であったマダガスカル島に 2,000 年前にインドネシアから移動して行った人々が住みついた のがマダガスカル社会の始まりであるためであると言われています(米国国務省ウェブサイト他)。 このようにして、東南アジア、とりわけインドネシアと共通の社会の基層を持ちながらアフリ カの一員として生きているマダガスカルは、日本人がアジア以外の地域について学び、交流する 上で、大変馴染みやすい国です。 1.面積: 587,041 平方キロメートル(日本の 1.6 倍) 2.人口: 1,910 万人(2006 年。国連人口基金による。) 3.首都: アンタナナリボ(人口 484 万人:2003 年) 4.言語: 全土で、インドネシア語と同じくマレー・ポリネシア系言語のマダガスカル語が話される。 教育を受けた人達が読み書きに使うフランス語も公用語。2007 年 4 月の憲法改正で英語も公用語 となった。 5.宗教: キリスト教 41%、伝統宗教 52%、イスラム教 7% (情報源により数値がかなり異なる。) 2 アフリカのうち、西アフリカの乾燥地域では、湿地で米の栽培を伝統的に行っていますが、米は、 めでたい時等に食べる贅沢な「野菜」とされています。アフリカのその他の地域では、一般の人は米 を日常的に食べる習慣がありません。 4 6. 歴史 1 世紀頃 18 世紀末~19 世紀初頭 1896 年 1960 年 無人島だったところに、現在のインドネシアから南インド、 東アフリカ等を経由して人々がやってきた。 メリナ王朝 フランスの植民地となる。 独立 7. 外交の基本方針 全方位外交、非同盟との善隣友好。1980 年代半ば以降特に西側諸国との関係強化を図る。旧宗 主国のフランスは主要パートナーであるが、米国との経済関係も活発化。2003 年 7 月にアフリカ 連合(AU)復帰が承認された他、2005 年には南部アフリカ開発共同体(SADC)に正式加盟。 8. 主要産業 農牧業(米、コーヒー、バニラ、砂糖、丁子、牛) 漁業(えび、まぐろ) (従事人口割合: 農業 80%、工業 7%) 9. 一人当たり GNI: 290 米ドル(統計のある国の中では、下から 11 位。)(2005 年、世界銀行) 10. 国連開発計画(UNDP)が毎年計算している人間開発指数(Human Development Index: 平均余命、 識字率・就学率、1 人当たり経済力を組み合せて、自分たちの生活を良くする力がどれだけある かを示したもの): 143 位( 統計のある国の中の下から 35 位。指数自体は、 「中の下」に相当。) 11. 主要輸出品: 織物、バニラ、丁字、甲殻類。主要輸入品: 機材、消費財、燃料 12. 日本との外交関係 1960 年 7 月 1968 年 2 月 1969 年 3 月 マダガスカル(1960 年 6 月独立)を承認。 日本大使館をマダガスカルに開設。 駐日マダガスカル大使館を東京に開設。 13. 日本との経済関係(2006 年) 対日輸出額 33 億 7,522 万円(甲殻類、バニラ、丁字など) 対日輸入額 24 億 2,198 万円(自動車など) 14. 我が国からの直接投資: 68 百万ドル(1951~2004 年度累計) 15. 我が国企業(合弁を含む)で事務所を有する企業: 5 社 16. 在留邦人数: 142 人(2005 年 10 月現在) 17. 在日マダガスカル人数: 41 人(2005 年 12 月末現在) 18. 2005 年以降の要人の訪日 2005 年 1 月 ソジャ内務・行政改革大臣(国連防災会議) 2005 年 3 月 アンジアンナリスン産業化・通商・民間セクター開発大臣(愛知博) ラヴァルマナナ大統領、ランジェヴァ外相(愛知博) 2005 年 5 月-6 月 2005 年 8 月 ランジャリマナナ農業・畜産・漁業大臣 2005 年 10 月 ランジャリマナナ農業・畜産・漁業大臣 2006 年 2 月 ラザフィンジャトヴォ国民教育・科学研究大臣 2006 年 4 月 ロビンソン保健家族計画大臣 2006 年 8 月 ラファヌメゾンツ産業化・通商・民間セクター開発大臣 5 19. 最近の日本の要人のマダガスカル訪問 秋篠宮さまと長女の眞子さま(15)が 8 月 13 日から 25 日まで、マダガスカルを訪問。絶滅し た鳥の調査や現地の森林の復元状況の視察などが目的とのこと。秋篠宮さまの御訪問は、1990 年 4 月以来(当時は礼宮。)。 (情報源: 外務省ウェブサイト: マダガスカル(2007 年 4 月現在)。一部は 米国国務省の 2007 年 6 月時点の資料による。) 6 参考資料(2) マダガスカルと新潟との関係 ジョスラン・ラディフェラ駐日マダガスカル特命全権大使は、地方レベル・市民レベルでの交 流に大変積極で、新潟にも、2004 年と 2006 年に来訪し、経済界との意見交換や工場等の見学だ けでなく、マダガスカルについてのシンポジウムへの参加(2004 年)、県立燕中等教育学校での国 際理解授業への参加(2006 年)、新潟大学での特別講義(一般公開。同年)などを行っています。新潟 側においても、2004 年の大使来訪の機会に、市民により「新潟マダガスカル友の会」(倉田洋子会 長)が設立されています。 大使以外にも、2006 年 4 月には、新潟青稜大学短期大学部において、マダガスカル在住の浦田 あゆみさん(前 JICA マダガスカル事務所企画調査員)の講演会(一般公開)が開催されるなどしてい ます。今回の訪問の準備を兼ねて、昨年までマダガスカルで青年海外協力隊活動に従事していた 田中ちひろさん(現在仙台市八木山動物園で、マダガスカルの動物園との姉妹縁組等を担当)の講演 会(一般公開)も行いました。 そのほか、マダガスカル産のエビが、新潟のスーパーマーケットでも売られています。 新潟大学においても、 「百聞プラス一見」の力を得るべく、2005 年度と 2006 年度、宮田春夫教 授による試験的な教養科目「開発途上国の環境と開発:事例研究」が企画され、宮田教授の下に学 生たちがマダガスカルを訪問しています。この授業に対しては、駐日マダガスカル大使館に加え、 マダガスカル政府(特に環境省及び特殊法人のマダガスカル自然保護区管理協会)、JICA、外務省、 現地日本大使館の積極的な支援が差し伸べられました。その授業を基礎として、今回、(財)三菱銀 行国際財団の助成を頂いて、「国際開発研究会」の事業として実施するものです。 このようにして、新潟においては、市民や学生のレベルにおいて、2005 年に日本でも広く上映 された映画「マダガスカル」のような動物だけの暮らす島ではなく、マダガスカルが「アフリカ に一番近いアジアの国」であることについての理解が少しずつ拡大しつつあります。そのため、 若者のレベルにおいて、更に理解を拡大し、加えて交流の芽をはぐくみ、また、それらの経験を 日本国内の他の地域の若者にも広めることが効果的にできる条件が生じています。 7 参考資料(3) 国際開発研究会の概要 国際開発研究会は、新潟大学の学生が中心となって発足しました。しかし、新潟大学という枠 組みに捉われず、他県の大学生や大学院生が参加する会となっています。国際開発研究会は、宮 田春夫教授をはじめとした多くの方々のサポートを受け、参加者と共に成長を続けています。 会の目的 学生を中心としたメンバーが、学生同士だけでなく、途上国に関わるお仕事(特に、開発)を 専門とされている方に会い、話し、自分の今後を考えるキッカケを得ることです。学生たちがそ のような機会を得て、知識・心構えの土台を固めたうえで、実際に発展途上国を訪問し現地の方々 に会い、話して、自分の生き方・考え方に磨きをかけ、そして国際協力に貢献していくことを目 指します。 具体的には、次の時代を担う日本の若者に対して、開発途上国の社会、自然、文化、若者の意 識や暮らしについて学び、交流し、開発途上国の人々の暮らし等の具体的理解をする機会を提供 する事業を行い、もって日本の未来および国際協力に寄与することを目的として、開発途上国の 社会、自然、文化、若者の意識や暮らしについて学ぶこと、 開発途上国の若者と交流すること、 開発途上国の人々の暮らし等の具体的理解をする機会を提供すること等を行っていくこととして います。 当会のメンバー 現在、新潟大学のほか、中央大学、つくば大学及び京都大学の学部レベル及び大学院の学生の ほか、青年海外協力隊経験者等の、開発途上国に関心のある若手大学教員、社会人等も会員とな っています。会員数は約 30 名です。 8
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