認知症高齢者が安心して徘徊できるまち(山口市)

認知症高齢者が安心して徘徊できるまち(山口市)づくり
医療法人社団青藍会 あんの循環器内科
部坂 佳生
(2013年度後期)
平成27年2月28日提出
Ⅰ.はじめに
地域包括ケアシステムの実現に向けて、当法人では「認知症高齢者が安心して徘徊できるまちづくり」を目標
に認知症高齢者の早期発見・早期受診により、家族・家族協力者のチームの形成を図っている。
あんの循環器内科で行っている、
もの忘れ外来での取り組みと併設している通所リハビリを利用している患者
の事例を報告する。
Ⅱ.対象
もの忘れ外来を受診しており、且つ併設の通所リハビリを利用している患者。
対象人数=8 人(要支援者=6 人・要介護者=2 人、全て通所リハビリを利用)
Ⅲ.取り組み
当法人では、寄り添うケアシート(氏名・認知度・介護度・家族協力者・利用中サービス)に情報を一つにま
とめ、情報共有している。受診時には、サービス担当者やケアマネジャーが必要であれば家族と同席し、サー
ビス利用中の状態や今後の対応方法等の意見交換を行っている。
新規患者であれば、家族・本人から情報収集し、介護保険の申請や本人に適切なサービスの情報を提供し、早
い段階で社会資源の活用へと継げている。
また、もの忘れ外来とは別に周辺地域在住の方を中心に「はあとカフェ」を開催している。毎月テーマ別に講
義を行い、その中で認知症者への関わりを含めて啓蒙活動も行っている。
そして、地域住民のみではなく市民全体への働きかけとして竹内先生による「認知症を治すケア研究会」を開
催し、理解が得られるよう活動している。
Ⅳ.活動と評価
今回は対象の 8 人の事例を挙げる。
事例1
80 代、女性、独居
2014 年にもの忘れ外来を初受診。受診内容として、軽度のもの取られ妄想と見当識障害が認められた。記銘
力や礼節に問題は認められず MMSE=26 点であった。医師の所見としては、頭部 CT にて頭頂葉の萎縮と下
角の拡大がある。受診当日に、併設されている通所リハビリを見学し、担当者からの説明で、利用へ前向きと
なった。介護保険の申請と合わせ、体験利用も行った。
当初は独居で、自宅内の掃除と最低限の買い物をする程度で他者との交流は無かったが、体験後には「ここへ
来たい」との言葉が聞かれた。
要介護認定申請の結果、要支援1と認定されたため通所リハビリ利用となった。
定期的な運動の機会と他者との交流の機会を得たことと合わせ内服薬のコントロールが良好で、
約 1 年後の受
診では MMSE=30 点となり、著明な問題も認められなくなった。
この方は現在も、もの忘れ外来の定期受診と通所リハビリを継続されている。
事例2 90 代、男性、夫婦で息子家族と同居
2011 年からもの忘れ外来を定期受診されている。現在の介護度は要介護2。通所リハビリは要支援1の奥様
と一緒にご夫婦で利用されている。本人の認知度はⅡbで、MMSE=10 点と高度認知症である。気分にムラ
があり奥様やケアマネジャーの協力で週 1 回通所利用されている。しかし、奥様の介護疲れと本人の体調の
タイミングが合う日でないと連れ出しが困難で定期的なご利用が困難な状態で継続している。また、奥様が不
在となると著明な不隠状態となるため一人での通所が困難であり、短時間である当通所の利用となっている。
もの忘れ外来時に同席し、
医師と相談もしたが、
前述の通り一人でのサービス利用は困難との意見は変わらず、
現在に至っている。
今後も、無理の無い範囲で利用を続ける方針であるが、頻回にケアマネジャーとの情報交換を行いながら在宅
生活が送れるようにアプローチを継続していく。また、この方は奥様の介護が困難となった場合に施設入所以
外の手段が殆どない状態のため奥様の状態も考慮していく必要がある。
事例3
80 代、女性、事例2(男性)の奥様
2011 年にご主人ともの忘れ外来を初受診。受診内容としては、予防の意味合いが大きい方である。記銘力等
に問題は認められない。主な訴えとしては、認知症を罹患されたご主人へのストレスが主になっている。医師
からの認知症の症状の説明を受け、メンタル面に変化があった。
ストレスから不眠症となっていることを含め、認知症への処方はないが眠前の睡眠薬の処方あり。
訪問系のサービスを利用していたが、
当事業所の開設に合わせ外出することでの気分転換と定期的な運動を目
的に通所サービスを開始される。
定期的な運動の機会と他者との交流の機会を得たことでストレスの発散の場となりメンタルコントロールが
良好となる。しかし、事例2でも記載したようにタイミングが合わないと、外出が困難となることが多く、定
期的な運動の継続が困難となる期間も存在している。
奥様の体調が崩れると、
ともに自宅での生活の継続が困難となるケースであるため今後もケアマネジャーとの
連携を密に行いながら、適切なサービスの検討を続けていく必要がある。
事例4 90 代、女性、娘と同居
2009 年からもの忘れ外来を定期受診されている。現在の介護度は要支援1。通所リハビリは週2回の利用を
されている。
現在の本人の認知度はⅠで、
礼節や言動に問題は見られていない。
基礎疾患が多い方ではあるが、
定期的な運動の継続が出来ており、体力測定では身体機能に向上している項目もあり、認知機能に関してもし
っかりと保たれている。
年齢も考慮し、家族・本人ともに施設入所の検討を視野に入れているとのことだが、通所サービスとしてご本
人が続けたいことを継続して出来るよう関わっていく。
事例5 80 代、女性、独居
2010 年から定期受診されている。基礎疾患はパーキンソン病で、もの忘れ外来へは予防のために受診されて
いる。介護度は要支援1で、自宅での生活は現在も問題なく継続されている。
受診・買い物等を全てご自身で行われており、利用されているサービスは当通所サービスを週 1 回のみであ
る。
進行性の疾患ということもあり、身体機能は季節や天気に左右されるが比較的維持出来ている。
今後も、徐々に進行していくことが予想され、介護度にも変化がでてくると思われる。可能な限り現在の生活
を継続することを目標にアプローチを続けていき、
もの忘れ外来の受診と通所サービスの利用を続けて頂きた
いと考える。
事例 6 80 代、男性、内縁の妻と同居
2012 年にもの忘れ外来を受診。探し物をする機会が増えたことによる、軽度のもの忘れが認められ受診され
た。MMSE=26~28点と比較的良好な状態は保たれているが、軽度のもの忘れ症状は続いている。
現在、要支援2で当通所サービスと合わせ訪問系のサービスも利用されている。
廃用性の進行が強かった開始当初と比較すると、身体機能面の向上は著しく現在は維持出来ている。
認知機能面の低下も認められず、車の運転も頻回ではないが継続されている。
現在の状態の維持が、ご本人、御家族の目標である。
事例 7 80 代、女性、娘家族と同居
2013 年にもの忘れ外来初回受診。家族から、
「探しものをよくしている・同じことを何度も言う」とのことか
ら受診となる。CT 所見では、右海馬に著明な萎縮が認められた。MMSE=27 点で、検査上でははっきりと
認知症状は認められない。現在、当通所サービスのみ利用で週2回利用されている。仕事の関係で帰りが遅い
娘夫婦の代わりに夜の家事を全て行っており、就寝時間が深夜 0 時過ぎになることが多いとのこと。また、
日中は孫の世話も任されており昼間に休む時間も少ない状況である。寝不足で来所された日には、ふらつきが
強く血圧も高いことが多い。
ケアマネジャーと連携をとり、家族の協力依頼と本人へ早く寝ることを勧めたが状況の改善は認められない。
認知症状への処方もあり、現在も継続し服用している。会話の中でも曖昧な点が聞かれることもあり、その都
度ケアマネジャーに報告・連絡を行っている。
まだまだ、自宅での役割が多いご本人にとって現在の身体機能の維持は必須であり、認知症状の悪化を防ぐこ
とが最優先されるべき事項であることは明白である。
今後も、
もの忘れ外来の受診を続けていただき状態の維持を行い家事動作が続けられるよう身体機能の維持を
行って頂きたいと考える。
事例 8 80 代、女性、義娘・孫と同居
2012 年に初回受診。もの忘れ症状が認められ、家族と受診。内服と当時は一日コースの通所サービスをご利
用されていた。
現在に至るまで、
入院や退院を繰り返し現在の MMSE=15 点。
著明な認知症状が認められる。
また、変形性膝関節症に伴い自発的に動くことが減少し、廃用性の進行が懸念されたため 2014 年より短時間
通所リハビリとデイサービスの併用を行われている。
開始当初は、車椅子での来所となっていたが現在は杖歩行にまで改善されている。また、職員の名前を間違え
ることも多くみられていたが、徐々に覚えてきている様子もある。MMSE 上では、変化は認められないが細
かな点では改善が認められてきている。今後も、継続し家族の負担の軽減と本人の状態維持を目標に継続して
いく。
Ⅴ.考察
今回の事例は、ごく一部であり、その他にも多種多様な事例がある。
当通所サービスは、利用者の 7~8 割が要支援者となっており、重度者は少ない状態である。しかし、要支援
1の人が全ての介護保険利用者の中で一番、
1年後に重度化している可能性が高いというデータが厚生労働省
から公表されていることから、
現在利用している要支援者がこれから重度認知症となる確率は十分高いことが
予想される。そうならない為にも、定期的な運動の機会と来所された時の他者との交流を持つことで早期から
の予防が必要であると考える。
Ⅵ.おわりに
当通所サービスでは、医療機関併設という利点を活かしながら受診時の情報共有を図りながら医師からの指
示・専門職としての関わり・通所サービス内での対応といったあらゆる視点からのアプローチを続け、地域包
括ケアシステムの考えの下に、その方が在宅で「最後までその人らしい生活」を送ることが出来るよう関わっ
ていく。
また、定期的に開催している「はあとカフェ」と「認知症を治すケア研究会」を続け、まち全体で認知症高齢
者をフォローしていけるような活動を続けていきたい。
公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による
公益社団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 事務局 御中
昨年に引き続き、8 月 30 日、31 日に山口市にあります山口県総合保健会館にて、
「第 4
回竹内教授の認知症を治す研究会 in 山口」を開催いたしました。日々、認知症の患者を抱
えて悩んでいる家族、施設・介護事業所等で認知症介護に携る職員の方々に向けた、認知
症を正しく理解し、正確なケアを習得するための研究会です。
『認知症を治せない病気だと、諦めていないか!?』認知症は治せない脳の病気という
単純な捉え方を棄て、治るものとして考えていく。竹内教授が提唱する理論では、認知症
の基本的理解・基礎知識として、認知症の成立ち、
「認知」を正しく理解し、タイプ別(認
知障害型・身体不調型・環境不適合型・葛藤型・遊離型・回帰型の6タイプ)判定を正確
に行い、タイプ別に合ったケアをきちんと行なえば認知症が改善されるというものです。
研究会の内容は、1 日目は「認知症は治る」として、竹内教授の提唱する「水、食事、便
秘、運動」の講演が行われ、認知症高齢者の情動について以前よりも深まっていると感じ
ました。認知症高齢者がどのように感じ、それに基づいて行動していることについて、介
助をする我々がどこまで汲み取れるか、それが認知症ケアにおいて重要になってくるとの
ことでした。そして、何より竹内理論の根底になる「水、食事、便秘、運動」について「水
分 1500ml、食事 1500kcal、便秘の解消、運動」を行うことで、大幅に改善する例がある
と言われました。
2 日目は、全国より認知症改善の取り組み事例の発表があり、講師、発表者、参加者によ
る事例のディスカッション形式での検討会が行われ、より竹内教授の提唱する認知症改善
ケアのノウハウについて、学ぶ機会となりました。
今年は 2 日間合わせて 126 名の参加がありました。例年、回を重ねる度に参加者が増え続
けており、認知症ケアの関心が広まることで、正しいケアによって認知症の改善につなが
るきっかけが増えていく事を願っております。
認知症を治ケア研究会 in 山口 事務局
安田裕一
目
次
山口地域包括ケアフォーラム
(第20回全国の集い in 岡山 2014 山口プレ大会)ご挨拶
·················
1
大会長 青木 佳之(医療法人 青木内科小児科医院 理事長)
第 1 部 プログラム
····················································
子育てシンポジウム(ランチョンセミナー)
·····························
2
3
山口芸術短期大学 講師 大田 紀子 氏
スポーツクラブ・キャプテン 代表 衣川 信直 氏
第2部 プログラム ·····················································
7
基調講演
1.講師プロフィール ·················································
8
認知症は治せる ····················································
9
国際医療福祉大学大学院
竹内 孝仁教授
事例検討
1.水分ケアで認知症改善!
~グランドゴルフ再開~ ···········································
25
株式会社 ポラリス ポラリスデイサービスセンター多田 山田 美鈴
2.チームで取り組んだ認知症の事例
~2 週間で症状改善!家族に笑顔が戻った~
·························
30
株式会社 ポラリス ポラリスデイサービスセンター川西 菅 美恵
3.認知症状改善への取り組み
~夫婦で暮し続けるために~
·······································
45
社会福祉法人 青藍会 ハートホーム南山口 脳活性リハビリ 善岡 奈々
4.認知症教育への道筋
~青藍会グループにおける、家族交流会からの情報発信について~
·····
49
············
51
·································
57
社会福祉法人 青藍会 ハートホーム宮野 武永 昇
NPO 在宅ケアを支える診療所市民全国ネットワーク入会のご案内
第 20 回全国の集い in 岡山 2014 のご案内
《第 2 部
プログラム》
8月 30 日(土)
8月 31 日(日)
13:30~
9:00~
受付
受付
14:00~17:00 講演
9:30~13:00 事例発表・事例検討
1.全国の集い in 岡山 2014 大会長挨拶
1.水分ケアで認知症改善!
大会長 青木 佳之
~グランドゴルフ再開~
(医療法人 青木内科小児科医院 理事長)
株式会社 ポラリス
ポラリスデイサービスセンター多田
2.
「山口市認知症対策の取り組みについて」
所長・生活相談員 山田 美鈴
山口市健康福祉部
山口市基幹型地域包括支援センター
所長 高津 久子 氏
2.チームで取り組んだ認知症の事例
~2 週間で症状改善!家族に笑顔が戻った~
株式会社 ポラリス
3.
「認知症は治せる」
国際医療福祉大学院 竹内
ポラリスデイサービスセンター川西
孝仁 教授
所長・生活相談員 菅 美恵
第Ⅰ章 認知と認知障害を知る
1.認知とは
3.認知症状改善への取り組み
2.認知に関係する要因
~夫婦で暮し続けるために~
第Ⅱ章 認知症の症状と心理
社会福祉法人 青藍会
1.2つの大分類、6 つのタイプ
ハートホーム南山口 脳活性リハビリ
2.認知症の心理
事業所長 善岡 奈々
第Ⅲ章 認知症のケア
1.アセスメント
2.ケア
4.認知症教育への道筋
~青藍会グループにおける、
家族交流会からの情報発信について~
社会福祉法人 青藍会
ハートホーム宮野
拠点長 武永 昇
※公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成による
〔認知症介護〕
認知症介護の目標は「認知症を治す」こと
・・
精神の病が治るとは「症状がとれる」こと
〔認知症を治すポイント〕
①むずかしく考えないこと
②症状には「原因」があり、その原因を取除けば症状はなくなることを強く
認識すること。
③理論的にアプローチすること。
「思いつき」「非論理的ケア」はやめること。
④すべては認知障害が本態であること。
1
第Ⅰ章
認知と認知障害を知る
この原因は?
夜になると騒ぐ
ティッシュを食べてしまう
( × )騒ぐには理由があるので(ケアは)本人にその理由を聞き対応します。
( × )ティッシュペーパーは食べるものではないことをよく説明し、本人に
断って片付けます。
(正解)原因は「認知障害」にあって、ケアはその認知を正常に戻すこと。
※ 理由を聞いても解決しない。
翌日また同じことをくり返す。
再び同じ症状をくり返さないようにするのが真の介護
2
1.認知とは
1)定義
認知心理学・認知科学
認知とは置かれている状況を「認識」「理解」「判断」する総合的な精神の
はたらき
「認識」
「理解」
「判断」
その場がどういう場であるか正しくわかること。
その場と自分の関係がわかること。
(なぜ自分はここにいるのか)
どうすれば(行動)いいかがわかること。
2)状況とは
・つねに周囲をとりまいているもの。
・人は状況から離れることはできない。
・時々刻々変化するもの。
・状況が変化するごとに、その正しい認知を必要とする。
〔状況の構成〕
時間
「場」
人
状況をつくっているのは、
「人」「物」「時間」でそれらが
全体として「場」をつくる
物
3
3)状況を正しく「認識」し、自分との関係を「理解」する
①ここは「施設」だという場、人や物への認識
職員
備品
施設
物
人
自分
利用者
・周囲の人たちが職員であるとの認識(人の認識)
・机や椅子、部屋が備品であるとの認識(物の認識)
・人・物を総合した「施設」であるとの認識(場の認識)
・自分は利用者であるとの認識(自己認識)
施設(場)と自分との関係の理解
スタッフと自分との関係の理解
備品などと自分との関係の理解
4
*そわそわと落ち着きがない、椅子に座ってもすぐ立つ、食事のテーブルでも
すぐ立つ、
“身の置きどころがない”、
“帰りたい”、
“電話して迎えにきてもらっ
て”(帰宅願望)
―
○施設という場の認識障害
○施設と自分は利用者との関係の理解障害
*職員でも利用者にでも乱暴する
―
○介護する職員、利用している人という「人の認識障害」
○それぞれの人たちと自分との関係の理解障害
*トイレットペーパーをもってくる
―
○施設の備品という物の認識障害
○自分の物ではないという自分との関係の理解障害
*出かけると迷子になる
―
○ここがどこかという場の認識障害
○(場所をはっきりさせるために)どうすべきかという(行動の)
判断障害=ひたすら歩き続ける
5
②状況をつくる時間への認識
時間
状況
※状況は時間とともに変化する
※時間は連続して流れている
※状況を知る手がかりの1つに時間がある
*深夜に“夫が面会に来る”と玄関へ
―
○深夜という状況の時間の認識障害
*“ごはんまだ?”と頻繁にいう
―
○時間の流れに関する認識障害
すべて認知症の症状は認知障害を原因とする
⇒
認知障害を正常に戻すことができれば、症状は消失する
6
2.認知に関係する要因
①認知の直接要因(この場、自分との関係、とるべき行動)
・眠っていたのではわからない(意識、覚醒レベル)。
・関心や興味がなければわからない。
・注意力がある程度ないとわからない。
・人や物の記憶があれば認知しやすい(逆に忘れると認知しにくい)。
・すべては言葉で表現している。
記憶
言語
心的エネルギー
注
意
意
②認知の間接要因
―
興味・関心
識
認知は変動する
認 知
体 調
環 境
7
第Ⅱ章
認知症の症状と心理
1.2つの大分類、6つのタイプ
A.
認知障害そのものの症状(認知障害型)
①場の認知障害
②人の認知障害
③物の認知障害
④時間の認知障害
B.
「きっかけ」によって生じる特有の症状
①新しい環境(場、人)への「拒否」
②身体不調による「興奮」
「脱水」 夕方以降の興奮・日内変動
「便秘」 排便日の興奮
「低体力」(低栄養・低活動) 活動の強制への興奮(怒り)
「病気けが」 活動の強制への興奮(怒り)
③抑制に対する「粗暴」
④孤独(感)による「モノ集め」「人集め」「異食」
⑤現実からの遊離「無為・無動」
⑥過去の自分への「回帰」
8
認知障害型
「拒否」
身体不調型
環境不適応型
脱 水
便 秘
低体力
病気けが
(周辺症状)
葛藤型
抑制 → 粗暴
孤独 → 人・物あつめ、異食
遊離型
無為・無動
回帰型
古き良き時代への回帰
認知症の症状の6つのタイプ
「認知障害型」はきっかけのない、いわば“純粋型”といえる。
〔ケアの戦略〕
認知障害型
きっかけ型
認知力を回復させる
認知力の回復と
「きっかけ」の除去
環境不適応型、身体不調型、葛藤型、遊離型、回帰型
9
「興奮」
2.認知症の心理
認知症の心理と周辺症状への発展
無為・無動
うつ
悲しみ
怒り
怯え
自
不安
己
混乱
状
況
孤独
※「混乱」がすべての出発点
※「不安」=自己の存在の不確さ=が認知症の心理の核
[周辺症状への発展]
認知力の低下
わけのわから
ない状況
不気味な
状況
混乱
不安
状況(現実)への構えの固定化
葛藤型の
遊離型の
回帰型の
行動パターン
行動パターン
行動パターン
10
[葛藤型認知症]
第Ⅲ章
認知症のケア
[遊離型認知症]
[回帰型認知症]
1.アセスメント
※アセスメントをきちんと行わないと“症状のとれるケア”はできない。
〔アセスメントの目的〕
①その症状(ことばや行動の異常、言動の異常)が、
「認知障害そのものによ
る症状」か「何らかのきっかけによる症状」か。
②行動観察を行って「きっかけ」の有無と症状内容(例.拒否、興奮など)
からタイプ判定を行う。
※タイプ判定を間違えると“症状のとれるケア”にならない。
③タイプ判定は症状ごとに一つずつ、その症状(言動の異常)が「いつ」「ど
こで」「どのような状況で」おこっているのかを記載する。
④タイプは複数になることがある。
11
<例>
言動の異常①
落ちつかず、じっとしていない。食卓についてもすぐ離れる。
(いつ)
一日中、時間帯にかかわらず
(どこで)
居室でも、デイルームでも、食堂でも場所を問わず
(どういう状況で)まわりに人がいてもいなくても、状況にかかわりなく
言動の異常②
帰りたい帰りたいとしきりに訴える。
(いつ)
おやつの後から夕方にかけて
(どこで)
デイルームなど人の集まる場所
(どういう状況で)まわりに人がいると他の利用者にもスタッフにも訴え
る。
〔解説〕
言動①は「場の認知障害」―ここは施設で自分はここの利用者、だから決まり
に従って行動しよう―という認知の障害。タイプは認知障害型となる。
言動②はおやつ(午後3時頃)のあとくらいから訴えがおこるという“時間的
特徴”を持っている。午前中からおやつの前にかけては症状はなく、
こういうかたちを「日内変動」とよんで「脱水」の特徴である。タイ
プは脱水による「身体不調型」となる。
この利用者には、認知障害型と身体不調型(脱水)の2つのタイプがあること
になった。
12
<次の症状のタイプ判定を>
①
夜になると騒いだり興奮して動き回る。
②
週のうち、1~2回ひどく興奮する日がある。
③
デイサービスでいつもボンヤリしているが、気にいらないことがあると怒る。
④
デイサービスの玄関先で「家に帰る」といって中に入らない。
⑤
こんどのヘルパーは物を盗むので油断ができないという。
⑥
「こぼさないで食べて下さい」などというと、大声でどなり出す。
⑦
皆でゲームをしていたら、いきなり隣の人をなぐった。
⑧
一日中ボンヤリして食事もスムーズにとれない。
⑨
トイレに行くとトイレットペーパーを全部もってきてしまう。
⑩
隣の人の物でももってきてしまう。
⑪
目を離すとティッシュペーパーなどを食べてしまう。
⑫
「家に帰ります」といって、ずっと昔に住んでいたところに出かけてしまう。
⑬
お人形さんを見ると、赤ん坊をあやすようにいつまでも離さない。
13
2.ケア
①すべての例の基本となる認知力を回復させるケア
1500ml の水分
1500kcal の食事
毎日~3 日くらいの排便
運動・外出・散歩
体調を良くする
(水)
(メシ)
(クソ)
(運動)
<基本ケア>
②きっかけのあるタイプ
(ⅰ)身体不調型
脱水
― 水分補給、日内変動がとれるまで
便秘
― 自然排便 3 日以内
低体力
― 低栄養 1500kacl もしくはそれ以上の食事へ
低活動 歩行、外出、散歩、運動
病気けが ― 病気けがの治療
(ⅱ)環境不適応型 ― 環境への順応をはかる
入所・通所施設 ― 担当職員を決めて頻回の顔合わせ、なじみの関係
を早い時期に
(ⅲ)葛藤型の「抑制」
―
「孤独」
―
・このタイプは①の認知力回復ケアでほと
んど解決するが
・抑制的言動の廃止
・買物、散歩外出
(ⅳ)遊離型
―
その人に合った「役割」をもってもらう(役割療法)
(ⅴ)回帰型
―
過去の世界に付き合う
14
③ケアの4原則 ―
ケアする者の姿勢・態度
(利用者と介護者の苦痛共同体)
共にある
なじみの環境
安定した関係
行動の了解
タイプ別ケア
(前述)
15
(人生史からの共感)
(新)認知症高齢者のアセスメント・ケアチャート
施設 No.
Case No.
利用者のお名前
記入者
記入日
年
言 動 の 異常 と そ 言動の異常①
の発現状況(言動 (いつ)
の 異 常 それ ぞ れ (どこで)
ごとに記述
(どのような状況で)
◆生活状況とケアプラン
<ケアプラン>
1 日の水分
ml
1 日の食事
Kcal
)日に 1 回
排便状況
(
下剤
□無
□有
急性の病気・ケア □無
□有
日常の活動性
散歩や運動
□週 3 日以上外出
□閉じこもりがち
□ほぼ毎日
□ほとんど行っていない
◆認知症のタイプとケアプラン
タイプ
判断した根拠
ケアプラン
□認知障害型
□身体不調型
□環境不適応型
□葛藤型
□遊離型
16
月
日
□回帰型
17
事例検討
1
水分ケア認知症改善!
~グランドゴルフ再開~
株式会社
ポラリス
ポラリスデイサービスセンター多田
所長・生活相談員 山田 美鈴
フェイスシート
イニシャル
T・I様
性別
年齢
75
1:男性
歳
要介護度
寝たきり度
認知症度
1:要介護1
2:J2
4:Ⅱb
1.入所経過
H25
生活歴・入所日
年
12
4
月
日
S13H県T市で出生。地元の高校卒業後、農協で3年間働く。21歳の頃ガラス製造業に転職と同時に同県A市に転居する。そ
の後、27歳で結婚、現住所のK市に転居。29歳の頃一人娘をもうける。60歳の定年まで勤め上げた後、再就職はせず、趣味
のゴルフに7回/月程行く生活を送っていた。H23.自ら運転する車が、一旦停止を怠った車に衝突される事故に遭う。その頃
から、同じことを繰り返し言う、言ったことを忘れる、つじつまの合わない話をするなどの症状が見られ始める。H24.10
月、奥様の内科受診の際に、物忘れが目立つようになったご主人のことを相談し、その後受診。特に異常はないが、物忘れ
があるならとメマリー錠処方され服用開始。H24.12月脳外科受診の際にも異常なしとの診断。H25.1月、正月休みに訪れた
娘が「お父さんの表情が乏しく、言動もおかしい」と指摘され、H25.2月、別の病院を受診しアルツハイマー型認知症と診
断。メマリー錠に加え、リバスタッチパッチ処方される。今言ったこと聞いたこともすぐに忘れてしまい電話の応対も出来
なくなり、一人での留守番が困難。奥様が一泊で出かける予定があるためショートステイを利用させたい、とH25.9月介護
保険申請。要介護1の認定を受ける。当初はショートステイのみの希望であったが、奥様の過介助がT様の症状を進行させ
てしまう一因ではないかと考えた担当ケアマネージャーが、妻にデイサービス利用体験の提案。「お父さんがそんな所に
行っても大丈夫か。周りの人に迷惑をかけてしまうんじゃないか」と不安を口にされていたため、体験利用に同伴してもら
う体験終了後「なんかお父さん楽しそうやったし、ご迷惑をかけてしまうかもしれないけどお世話になります」とのこと
で、奥様の趣味である卓球の練習日(2回/W、昼から4時間程度)に合わせ、奥様以外の他者との交流を図る目的で、H
25.12月~2回/W利用開始となる。H26.3月他県専門医に受診し、海馬に少し萎縮があり前頭側頭葉変性症との診断を受け
る。
162
身長
㎝
体重
63
kg
24
BMI
2.おむつ歴とその原因
なし
3.歩行歴
屋内歩行が出来なくなった時期
独歩
屋内歩行が介助を必要とするようになった時期
独歩
4.疾病(治療中のものに○)
<病名>
5.家族構成(介護者に○)
<内服薬>
アルツハイマー型認知症 メマリー錠20mg(安定剤)
前立腺肥大
リバスタッチパッチ18mg
緑内障
(認知症の薬)
ユリーフ錠4mg(前立腺の薬)
73
75
38
姫
路
在
住
40
10
アセスメント総括表
イニシャル
T・I様
記入者
林田
みのり
アセスメント実施日
栄養量
水分量
1000
ml
1800
歩
行
移
動
Kcal
食事栄養量
形態
基
本
項
目
2013年12月4日
■常食
離床時間
16時間
外出
運動体操
6回/週
その他
□常食外(
)
24回/月
活動量
回/月
生活リズム ■規則的
□日中不規則
□夜間不眠
意識レベル □問題なし
■活動時以外低下
□終日低下
■自立
□見守り
□W/C併用
□歩行器
□シルバーカー
□4点杖
□T杖
□介助・つかまり
■自立
□見守り
□W/C併用
□全W/C
□行わず
□歩行器
□シルバーカー
□4点杖
□T杖
□補助員なし
屋内歩行
移動
屋外歩行
移動
□昼夜逆転
□全W/C
回
数
1
場
所
■トイレ
□Pトイレ
□ベッド上
用
具
■布パンツ
□おむつ
□その他(
回/日
下
剤
■なし
□寝たきり
□あり
便
□補助員なし
意 □なし
■あり
□その他(
)
排便
規則性
排
泄
日中排尿
排便日
■ほぼ等間隔
)
時間帯
□不規則
用
具
■布パンツ
□リハパンツ
□尿パッド
□おむつ
場
所
■トイレ
□Pトイレ
□ベッド上
□その他(
回
数
誘
導
10回
失
禁
■なし
□時間
□適宜
外出時の失禁 ■なし
□一部
□全量失禁
用
具
■布パンツ
□リハパンツ
場
所
■トイレ
□Pトイレ
回
数
誘
導
む
せ
■なし
失
■ほぼ一定
□その他(
□不定
)
)
□一部
敗
□ほとんど失禁
■ほぼなし
□1/2
□2/3以上
外出時間
□尿パッド
□ベッド上
1.5時間
□おむつ
□その他(
□その他(
)
)
夜間排尿
1
■なし
回
□時間
■なし
□あり(□水分
(頻度)
摂
食
嚥
下
□適宜
■なし
□あり
座位
■椅子
□車椅子
腔
口腔ケア
義
他の要介助ADL
認知症状
歯
禁
■なし
□一部
失
敗
■ほぼなし
□ほとんど失禁
□固形物
□ときどき
食事介助
口
失
□両方)
□毎日
胃ろう経管
□あり
□その他
■清潔とはいえない
□不潔
■自立
□見守り
□一部介助
□適合良好
□適合不良
□必要あるも使用せず
□なし
■なし
□毎飲食時
□清潔
□着替え(□ 上
□ほとんど失禁
□下
□両)
■あり
□洗面
□全介助
□整容
■必要なし(自歯)
□入浴
見守り+H19
認知症高齢者のアセスメント・ケアチャート
イニシャル
T・I
記入者
林田 みのり
言動の異常① デイサービスとグランドゴルフの区別が付かない
(いつ)
迎えの時
言動の異常と
(どこで) 自宅門扉付近・送迎車中
その発現状況
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)自宅に迎えに行った時、グランドゴルフのステッキを探し
ごとに記述)
「これ持っていくわ!」とステッキを持って車に乗り込もうとする。車中でもステッキが無いことに
気付くと、5分程度の間に「しまった!忘れたから家に戻ってくれるか?」3回程度同様の発言があ
る。
言動の異常② テレビのリモコンをポケットに入れる
(いつ)迎えに行った時
言動の異常と
その発現状況
(どこで)自宅
(言動の異常それぞれ
ごとに記述)
(どのような状況で)迎え時に準備が出来ていないと慌てて家を出る際に、リモコンをポケットに
入れて出てくる
言動の異常③ 帰宅願望
(いつ)来所1時間くらいの間
言動の異常と
その発現状況
(どこで)利用中
(言動の異常それぞれ
ごとに記述)
(どのような状況で)パワリハの待ち時間など独りで居る時間があるとクローゼット周辺に行き
「もう帰るんだけど」と鞄を探す。
言動の異常④ 汚れた衣類の着用。洋服の重ね着
(いつ)入浴後
言動の異常と
その発現状況
(どこで)自宅
(言動の異常それぞれ
ごとに記述)
(どのような状況で)汚れた衣類の上に新しい衣類を着用。ズボンの重ね着等がある
言動の異常⑤ 頻回にトイレへ行く
(いつ) 利用中
言動の異常と
その発現状況
(どこで)デイサービス
(言動の異常それぞれ
ごとに記述)
(どのような状況で)パワーリハの待ち時間等、独りで居る時間があると、トイレへ行く
◆基本ケア関連状況とケアプラン
<ケアプラン>
1日の水分
1000ml
1日の食事
1800Kcal
排便状況
下剤
急性の病気・けが
日常の活動性
散歩や運動
(
1
■無
■無
デイ滞在中に1000ml以上摂取
自宅と合わせて2000ml以上摂取
栄養量は現状維持
自宅での口腔ケアの習慣化・来所持、口腔内チェック
)日に1回
□有
現状維持
□有
■ 週3日以上外出
□ 閉じこもりがち
週二回のデイサービスの継続
パワリハ
■ ほぼ毎日
□ ほとんど行っていない
現状維持
◆認知症のタイプとケアプラン
タイプ
■ 認知障害型
□身体不調型
□環境不適応型
□葛藤型
□遊離型
□回帰型
判断した根拠
ケアプラン
トイレに頻回に行く。デイサービ 利用中に1000ml以上の水分摂取。
スとグランドゴルフの区別がつか デイサービス利用日は1日2000ml以上
ない。リモコンと鍵の区別がつか
ない。入浴後に汚れた衣類を着用
する→場・物の認知障害
経過報告
経過
自身は、グランドゴルフの地ならしや準備をして仲間と楽しく過ごしていたが、ある頃よりグランド
ゴルフの日時を忘れることが多く、仲間から叱責されたことから閉じこもり傾向となる。徐々に自宅で
も妻の不在時に、お風呂を沸かそうとして水を出しっぱなしにしたり、冷蔵庫の中の物を全部だしたり
していた。
妻は趣味の卓球に出かける日が週に2回あり不在にするのでその間一人にできない気持ちからデイ
サービス利用となる。
利用当初、利用を拒むような言動もあったが、妻は夫の物忘れや、つじつまの合わない言動が目立ちは
じめ「先に私が死んだらお父さんはどうなってしまうのだろうか?。娘には迷惑をかけられない」
「このままどんどん症状がひどくなっていったらどうしよう」等の緊張や不安が見受けられた。
自身は、常に妻の表情や言葉をうかがいながら行動していた。
12月~2月頃までは、「カバンがない」「鍵がない」等で出発時間が遅れることやグランドゴルフの
ステッキを持って来ようとしたり、そわそわして帰ろうとしたりトイレに頻回に行く行動等が見られて
いた。
利用中の水分量は500~700mlで1日の水分量は1000mlであった。
3月に入り利用中の水分量を1000ml以上を目標とし3週間くらい経過した頃より、症状が落ち着き
消失していった
娘に「お父さんの目の輝きが違う。表情がとても良くなった」と言われ、
「一緒にいるとあんまり気づかないけど、娘に言われて本当に嬉しくって」と妻の不安も軽減されてき
ている。
心配のあまり夫の行動を抑制していた部分があったが、「今ではなるべく手を出さないようにしてい
る」と夫への接し方にも変化が出てきている。
現在は、グランドゴルフの場所まで妻が一緒に行き、仲間と練習を始めた頃に
戻ってくる。練習終了後は独りで自宅に戻って来れるようになっている。
事例検討
2
チームで取り組んだ認知症の事例
~2週間で症状改善!
家族に笑顔が戻った~
株式会社
ポラリス
ポラリスデイサービスセンター川西
所長・生活相談員 菅
美恵
フェイスシート
記入日
イニシャル
年齢
H・T
男
81
歳
H26 年 3 月 16 日
要介護度
寝たきり度
認知症度
要介護2
A1
Ⅲa
1.入所経過
生活歴・入所日
H 22 年
2 月 17 日
H県日本海側で、二男二女の長男として生まれる。父は高校教諭で、実習が多く家を空けることがあっ
た。母は地域の世話役をしながら子育て家事全般を行っていた。母親は喜怒哀楽の激しいく、子供たちが
顔色を伺いながら生活していた。また、
「私の言う通りにしといたらええ」と命令し、小さい頃、襟首を
掴んで引きずり回されたり叩かれたりしていた。
小学4~5年生の頃、隣県へ集団疎開、地元へ戻り定時制高校へ2年まで通い、友人とO府へ出てくる。
親戚の紹介で鉄工所勤めを始め、精密機械の部品を作る仕事に就いていた。小さな鉄工所を渡り歩き、2
6歳で見合い結婚、一男一女をもうける。30年ほど前に、現在の家を購入しバイク通勤を行っていた。
55歳で定年退職、嘱託で63歳まで勤める。その後は、家で花の世話等行いながら過ごしていた。 4
年程前より、
「子どもが(お金を)取る」と思い込み、「靴底」「植木鉢の下」「ゴミ箱の下」「新聞広告に
包んで布団の中」などから札束がでてくるようになり受診。アルツハイマー型認知症と診断、すぐデイサ
ービスを利用するよう勧められ、週2回の利用開始に至る。
昨年末より、利用日以外の日に、暴言や給湯ポットを投げつけようとしたり・ポットに灯油をいれよう
とする、
「迎えが来なかったから」と、一人で歩いてデイサービス(2.2km 先)まで来所されること等から、
家族の希望にて週7日の利用に増回し、認知症ケアを事業所全体で取り組むこととした。
身長
161cm
体重
42kg
BMI
16.2
2.おむつ歴とその原因
使用なし
3.歩行歴
屋内歩行が出来なくなった時期:なし
屋内歩行が介助を必要とするようになった時期:なし
4.疾病(治療中のものに○)
アルツハイマー型認知症
5.家族構成(介護者に○)
<内服薬>
抑肝散 2.5g 夕食後
■
●
【神経の高ぶりを鎮める漢方薬】
アリセプト10mg 夕食後
□ ○KP
【認知症状の進行を遅らせる】
□
●
79 歳
55 歳
77 歳
○
51 歳
□
□
○
49 歳 □ ○
19 歳
●
幼少期
アセスメント総 括 表
イニシャル H・T 様
実施
菅
美恵
アセスメント実施
450~500
水分量
自宅ml
基
本 活動量
項
目 生活リズム
意識レベル
歩 屋内歩行
行
移動
移 屋外歩行
動
食事栄養量
移動
排便
離床時間
1500
Kcal 以上
形態
■常食
□常食外(
)
時間
外出
7回/月
回/週
その他
0回/月
(
■規則的
□日中不規則
■問題なし
□活動時以外低下
□終日低下
■自立
□見守り
□W/C 併用
□全 W/C
□寝たきり
□歩行器
□シルバーカー
□4 点杖
□T 杖
□介助・つかまり □補助員なし
■自立
□見守り
□W/C 併用
□全 W/C
□行わず
□歩行器
□ シルバーカー
□4 点杖
□T 杖
□補助員なし
回 数
1日/1 回
□夜間不眠
下
剤
■なし
□昼夜逆転
□ あり
場 所
■トイレ
□P トイレ
□ベッド上
用 具
□布パンツ
□おむつ
■その他(
排便日
■ほぼ等間隔
□不規則
便
意
時間帯
□おむつ
場 所
■トイレ
□ベッド上
□その他(
排
回 数
頻
泄
誘 導
■なし
外出時の失禁
■なし
下
□適宜
□一部
場 所
■トイレ
□P トイレ
1回
誘 導
■なし
む せ
■なし
□時間
失
■なし
失
禁
□適宜
□一部
敗
□全量失禁
□布パンツ ■リハパンツ
摂
嚥
□時間
禁
用 具
回 数
食
失
□その他(
)
)
□ほとんど失禁
■ほぼなし□1/2□2/3 以上
□尿パッド
□ベッド上
失
)
外出時間
■なし
)
■ほぼ一定 □不定
□尿パッド
回
■ あり
リハビリパンツ
□布パンツ ■リハパンツ
□P トイレ
□なし
□その他(
用 具
夜間排尿
)
運動体操
規則性
日中排尿
3 月 16 日
栄養量
18
7
26 年
□おむつ
□あり(水分・固形物・両方)
□その他(
□その他(
□一部
敗
6.5時間
)
)
□ほとんど失禁
■ほぼなし
□ほとんど失禁
胃ろう経管
□なし
□あり
(頻度) □ときどき □毎日 □毎飲食時
口 腔
■清潔
□清潔とはいえない
口腔ケア
□自立
■見守り
□一部介助
□適合良好
□適合不良
□必要あるも使用せず
□洗面
□整容
義 歯
他の要介助 ADL
■着替え(上・下・両)
認知症状
□なし
■あり
□不潔
□全介助
□入浴
■必要無し(自歯)
課 題 別 ケアプラン表
課題
ケアプラン
利用時2450ml以上目標:来所持200・体操前ゼ
リー100・第1体操時500・休憩ゼリー100・第
水分量
水分量の増加
2体操時500・昼食時200・昼食後ゼリー100・
第3体操時500・休憩ゼリー100・帰宅前アクエリ
基
本
アス150
食事
栄養量の確認
定期的に夕食の栄養量の確認を行う (BMI 値低いため)
パワーリハビリ・グルーブリハビリ・外出歩行の実施:
項
活動量
活動量の増加
午前中1500m・午後1500m
+
他者の歩行グ
ループに参加
目
生活リズム
意識レベル
パワーリハビリの待機中10分実施(2㎞/時
歩
行
移
動
屋内歩行
トレッドミルの実施
0M)・活動時間の増加
移動
屋外歩行
外出歩行の実施
屋外歩行
3km以上/日
移動
排便
日中排尿
排
夜間排尿
泄
摂食嚥下
口腔ケア
他の要介助 ADL
認知症状
周辺症状の軽減・維持
基本ケアの実施
約30
認 知 症 高 齢 者 のアセスメント・ケアチャート
イニシャル
H・T
記入者
菅
美恵
記入日
H26.3.16
言動の異常①「暴れたろか」と威嚇する
言動の異常と
(いつ)朝、デイに出かける前
その発現状況
(どこで)自宅
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)デイの迎え 1 時間前なのに、まだ迎えが来ないと言い、妻が
ごとに記述)
まだ迎えの時間ではない」と言うと、給湯ポットを持ち上げ「暴れたろか」と投げ
ようとする。
言動の異常②安全カミソリで何度も髭を剃る
言動の異常と
(いつ)朝デイに行く前
その発現状況
(どこで)自宅
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)安全カミソリで何度も髭を剃る。出血していても気が済むま
ごとに記述)
で剃る
言動の異常③指先の皮をむく
言動の異常と
(いつ)一人になると
その発現状況
(どこで)どこでも
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)話しかけてくれる人がいなくなり手持ち無沙汰になると、自
ごとに記述)
宅では鋏で、デイでは指で、指先の皮をむく
言動の異常④トイレ以外の場所で排泄する
言動の異常と
(いつ)夜
その発現状況
(どこで)自宅
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)夜トイレに立った時、洗面所で排尿した。また、押入れをあ
ごとに記述)
けて排尿しようとする。
言動の異常⑤戻るべき場所がわからない
言動の異常と
(いつ)日中
その発現状況
(どこで)デイ利用中リハビリフロア
(言動の異常それぞれ
(どのような状況で)パワーリハビリ実施中、トイレに立ち、リハビリフロアに戻
ごとに記述)
って来ていただくよう声掛けをするが、トイレを出たところでウロウロしている。
言動の異常と
その発現状況
(言動の異常それぞれ
ごとに記述)
言動の異常⑥数を数え終えることができない
(いつ)デイ利用中
(どこで)デイリハビリフロア
(どのような状況で)パワーリハビリを30回ずつ実施しているが、スタッフが声
掛けをするまで続けている。回数を聞くと50回以上の事が多い。
経過報告(様式は自由)
記 入 日 26年 4月 26日
経過
22.2.17
26.2.10
26.2.13
26.2.20
26.3.4
週 2回 の新 規 利 用 開 始 (火 ・土 )
週 7回 の増 回 利 用 開 始
デイの外 へ出 る
リハビリ用 の小 豆 を食 べる
入 浴 時 、リハパン着 用 確 認 (それまでは布 パンツ)自 宅 で一 度 下 痢 の為 、便 失 禁 をさ
れ、妻 が変 更 、その後 失 便 なし
26.3.10
26.3.11
26.3.15
26.3.16
26.3.17
デイから一 人 で外 に出 ようとされる、本 人 は「外 に出 ただけ」と言 う
帰 り車 内 で、同 乗 の方 の鞄 から連 絡 帳 を取 出 し、自 分 の鞄 に入 れ持 ち帰 る
お茶 ボトルの名 前 シールをはがす(自 分 の物 、他 者 の物 問 わず)
歩 行 量 3000m/日 、水 分 摂 取 量 2450ml/日 に設 定 し、基 本 ケア徹 底 開 始
デ イサ ー ビ ス で 月 曜 だ け 座 席 位 置 が 違 う 。間 違 え てい つ も の 席 に つ い て い た こと を 同 席
の方 から指 摘 を受 け、気 分 を害 される
26.3.30
パ ワー リハビ リ中 、他 の方 を 誘 導 する と間 違 って別 のマ シン へ 行 かれた 。それ を 見 たH 氏
が「違 う違 う、こっ ちやで」と指 さして言 う
パワーリハビリ中 、「これ食 べたら席 に戻 りましょう」とゼリーを出 すと、食 べた後 、自 席 に
戻 られる
26.3.31
来 所 時 、H氏 から先 に「 今 日 はええ天 気 やで」と言 う
笑 顔 が増 える。他 利 用 者 とのかかわり増 え、会 話 が増 える
パワーリハビリマシン(ローイング)に誘 導 、「前 向 き?後 ろ向 き?なんて冗 談 言 ったりし
て」と体 勢 を変 えながら、おどけてから座 る
妻 への聞 き取 りを行 う
まず、妻 の思 いのたけを語 られる
妻 は、「H氏 がおかしい」との思 い込 みが強 く、改 善 を全 く感 じておられず
長 女 への聞 き取 りを行 う
母 が 常 に 監 視 してい る 。父 よ り母 の ほ うが 心 配 。 父 はデ イから帰 ってき た ら疲 れ て寝 てい
る 為 、今 特 に 困 っていること はない 。本 人 が 「( 母 から) ガミ ガミ 言 われ て嫌 や 」と いうと 、長
女 は自 宅 へ連 れて行 くが、10~15 分 くらいで「もう帰 らな」と言 って帰 ってしまう
長 女 からは「私 の顔 もよく覚 えてないようだ」との言 葉 あり
26.4.1
ショッピングケアに 行 った 際 、同 行 の女 性 から「 足 が痛 い」との 訴 えあ り。H 氏 が女 性 の腕
を持 ち「もう少 しやからね 」と支 えながら歩 行 される
26.4.3
初 回 利 用 のご利 用 者 様 が向 かいに座 られ、会 話 される。
隣 席 の顔 なじみの方 と会 話 される
スタッフに「自 分 声 大 きいなあ」と初 めて言 う
26.4.4
歯 磨 きの際 、隣 で待 たれている方 と会 話
別 の方 には順 番 譲 る
体 操 の際 、スタッフの何 でもない冗 談 に、「ハッハッハ」と声 を出 して笑 われる
物 理 療 法 中 、体 操 のコ ールが掛 かる と、「名 前 呼 ばれたから」と 自 分 で 外 してリハビリエリ
アへ行 く。その後 すぐトイレ行 くも、またリハビリエリアに戻 られる(スタッフの誘 導 一 切 なし)
「H様 、ホリゾンへどうぞ」と声 だけ掛 けると、そのリハビリマシンへ迷 わず行 かれる
左 母 指 に 傷 の 為 、 指 サ ッ ク を 3 ~ 4 日 され てい た が 、 本 日 着 用 な し 。 「 指 サ ッ ク ど うし た ん
ですか」と聞 くと、右 手 で、左 母 指 を触 りながら「もうええねん、治 ってきたから」と言 う
午 後 の外 出 歩 行 後 、リ ハビリエリアに座 られ、「外 行 ってきたんですか」の問 いに
「風 きつかったで、うわぁ~ってなってな」と 言 う
26.4.7
26.4.11
呼 ばれたマシンの名 前 わからず、「どれ?」と聞 く
呼 ばれたマシンの名 前 わからず、貼 ってある紙 を見 て確 認 し、移 動 する
26.4.13
昼 食 後 、自 ら進 んでうがいをしに洗 面 所 へ行 く
足 に軽 い浮 腫 み出 現 したため、目 標 水 分 量 を2000ml までと設 定 (体 重 47㎏)
26.4.15
パ ワ ー リ ハ ビ リ 中 、5 種 目 に 真 横 で スタ ッ フが 付 き添 う。3 0 回 で す 、と 伝 え る と 、3 0 回 ま で
数 えて終 了 。次 は33回 、「33回 って言 うたから」と言 う。次 は、延 々とカウント。その次
は、2種 目 続 けて、30回 で終 了 される。
26.4.15
妻 への聞 き取 り行 う
開 口 一 番 「最 近 落 ち着 いています」
座 っ て い ら れ る 時 間 が 長 く な っ た 。 た と え ば 、朝 食 時 。 一 口 食 べ て ト イ レ へ 行 く 、 一 口 食
べて歯 を磨 く、また一 口 食 べてウロウロするの繰 り返 しだったのが、最 後 まで食 べてから
何 かを始 める ように なった。食 事 中 の 立 った り座 ったりが なくなり、私 も 落 ち着 い て食 事 が
できる。
ご飯 がおいしいと言 う
イライラが減 った
朝 、「 ( デ イの ) 迎 え 、来 てく れ る ん か 」 と 妻 に 問 い 、「 ま だ や で 」 と 答 え ると 、「 あ あ そ うか 」 と
言 って時 計 を見 たりして待 っている
(妻 が) 「 生 ごみ 捨 ててき て」 と言 うと 、近 所 のゴミ 捨 て場 まで 持 っていき 、ネットを動 かして
捨 ててきてくれるようになられた
(娘 の顔 もよく覚 えてない、と妻 から聞 いていた が)孫 が訪 問 したときに、「○○君 、久 しぶ
りやなあ」「何 か月 かぶりやなぁ」「前 は、よ う来 よ ったのに」と言 う(孫 とは 1 週 間 以 上 ぶり
に会 う)
今 までTVはつけているだけだったのが、見 ている
服 の裏 表 など、間 違 いを指 摘 すると「うるさい、これでええんや」と言 って怒 っていたの
が、素 直 に直 す
デイでお風 呂 に入 った・散 歩 に行 った等 は覚 えていない。
安 全 カミソリでの髭 剃 りは血 が出 るまで行 っていたが、久 しぶりに電 気 カミソリを手 渡 す
と、使 い方 が分 からず、「 これどうやったらええんや」と(妻 に)聞 いてきた
私 ( 妻 ) も 体 調 が 悪 く 、 検 査 が 続 い てい る が 、 自 分 の 事 も 考 え られ る 余 裕 が で き 、助 か っ
ている
両 足 に軽 い浮 腫 み出 現 、体 重 計 測 、42㎏から 46㎏に 1か月 で 4㎏増 加 。
目 標 水 分 摂 取 量 を 2450ml から1950ml に設 定 変 更
浮 腫 み改 善 ・出 現 を繰 り返 す
おかしな言 動 や、次 何 をすればいいのかわからないことが再 度 出 現
26.4.23
様 子 観 察 しながら水 分 量 を基 に戻 すことを決 めていた朝 、自 宅 より徘 徊
1時 間 後 に自 力 で帰 宅
今 か ら迎 え に 行 く 旨 の 電 話 を入 れ た 際 、 自 ら 「 電 話 か わ っ て」 と 言 い 、 スタ ッ フの 「 お はよ
うございます 、元 気 で す か?」のいつもの挨 拶 に 「元 気 や けど、迷 惑 かけてしまってすんま
せん」と言 う
お迎 え時 、玄 関 内 ・送 迎 車 内 で「なんで出 て行 ってしまったんだろう」「どうしたらいいん
だろう」「みんなに迷 惑 掛 けて申 し訳 ない」と何 度 もいう
マスクをしているスタッフに「どうしたん?風 邪 か?」と聞 く
26.4.24
体 操 の為 、名 前 が 順 番 に 呼 ばれ る 。H 氏 も 呼 ばれ 、自 席 からト イレに 立 ち、そ の後 リハ ビ
リエリアに行 く(スタッフの誘 導 なし)
パワーリハビリ中 、動 きが止 まる、「30回 行 ったから」と言 う
26.4.29
パワーリハビリ全 機 種 30回 で終 了 。誘 導 は声 掛 けのみで、その場 所 に移 動 される。
[歩行ケア記録]
81
関節拘縮
.男
歳
□膝( 左 ・ 右 )
度
2
麻痺
H・T
介護度
性別
年齢
氏名
■なし
□脳卒中
□パーキン
□その他
□尖足( 左 ・ 右 )
□その他
屋内
(■自立 □見守 □歩行器 □介助)歩行
□歩行車椅子併用
屋外
(■自立 □見守 □SC □介助)歩行
□全車椅子
□全車椅子
移動・歩行
ケアプラン
3/16
/17
/18
/19
/20
/21
/22
/23
/24
/25
/26
/27
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
785
1570
1595
400
500
500
1700
○
○
○
9:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
10:30
外出歩行
500
1500m以上
1500
785
785
13:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
○
○
○
○
○
○
○
○
○
13:45
外出歩行
1500
1500m以上
1390
500
1595
1570
560
1000
合計
歩行回数
回
3
1
2
1
2
3
2
2
2
歩行距離
m
3500
785
2960
1595
900
3165
2070
1060
2700
菅
菅
菅
担当者サイン
主任サイン
菅
菅
菅
菅
菅
菅
備考
[歩行ケア記録]
81
関節拘縮
.男
歳
□膝( 左 ・ 右 )
度
2
麻痺
H・T
介護度
性別
年齢
氏名
■なし
□脳卒中
□パーキン
□その他
□尖足( 左 ・ 右 )
□その他
屋内
(■自立 □見守 □歩行器 □介助)歩行
□歩行車椅子併用
屋外
(■自立 □見守 □SC □介助)歩行
□全車椅子
□全車椅子
移動・歩行
ケアプラン
3/29
/30
/31
4/1
/2
/3
/4
/5
/6
/7
/8
/9
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
1500
785
1000
1390
1390
9:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
10:30
外出歩行
2000
1700
1500m以上
500
1000
2000
500
2355
500
785
400
550
○
○
○
○
○
○
○
○
○
785
2355
1000
1390
1500
1390
1000
785
13:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
○
○
○
13:45
外出歩行
300
1000
1500m以上
1500
700
合計
歩行回数
回
2
2
2
4
3
1
2
2
2
3
2
3
歩行距離
m
2700
4000
2500
3000
2355
2355
2000
2780
1390
2890
2355
1835
菅
菅
菅
菅
菅
菅
菅
担当者サイン
主任サイン
菅
備考
[歩行ケア記録]
81
関節拘縮
.男
歳
□膝( 左 ・ 右 )
度
2
麻痺
H・T
介護度
性別
年齢
氏名
■なし
□脳卒中
□パーキン
□その他
□尖足( 左 ・ 右 )
□その他
屋内
(■自立 □見守 □歩行器 □介助)歩行
□歩行車椅子併用
屋外
(■自立 □見守 □SC □介助)歩行
□全車椅子
□全車椅子
移動・歩行
ケアプラン
4/11
/12
/13
/14
/15
/16
/17
/18
/19
/20
/21
/22
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
○
785
500
785
400
1390
1600
9:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
10:30
外出歩行
500
1500m以上
785
400
785
500
300
○
1800
785
800
○
○
○
785
1000
1750
670
13:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
○
○
○
○
785
500
500
1390
○
○
○
○
13:45
外出歩行
750
1500m以上
670
785
合計
歩行回数
回
3
2
2
3
2
2
3
4
1
3
1
歩行距離
m
2070
1890
2100
2675
800
1570
2570
2375
1800
1740
1750
菅
菅
菅
菅
菅
担当者サイン
主任サイン
菅
菅
菅
備考
[歩行ケア記録]
81
関節拘縮
.男
歳
□膝( 左 ・ 右 )
度
2
麻痺
H・T
介護度
性別
年齢
氏名
■なし
□脳卒中
□パーキン
□その他
□尖足( 左 ・ 右 )
屋内
(■自立 □見守 □歩行器 □介助)歩行
□歩行車椅子併用
屋外
(■自立 □見守 □SC □介助)歩行
□全車椅子
移動・歩行
ケアプラン
4/23
/24
/25
/26
/27
/28
/29
/30
○
○
○
○
○
○
○
○
1570
1390
1390
400
○
○
9:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
10:30
外出歩行
785
1500m以上
350
1500
1960
200
300
13:30
パワーリハビリ
30 回×4機種
○
○
○
○
○
○
13:45
外出歩行
1500
120
1500m以上
200
200
合計
歩行回数
回
3
1
1
4
2
1
2
歩行距離
m
1255
1570
1390
3400
2260
1390
600
担当者サイン
主任サイン
□その他
□全車椅子
備考
[水分ケア記録]
介護度
年齢
氏
H・T
名
(慢性)心不全の診断
水分量影響疾患
9:30
81歳
■なし
/17
/18
お茶 200
200
200
200
ゼリー100
100
/19
)
/20
200
100
100
500
500
500
100
100
100
ボトル 500
500
合計
500
500
500
/23
/24
200
200
200
100
100
500
500
500
100
100
500
500
200
200
100
/26
500
/27
200
200
100
100
100
100
500
500
500
100
100
100
100
100
500
500
500
500
200
100
500
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
500
500
500
500
500
500
500
500
400
500
500
500
500
500
100
100
100
100
100
100
100
150
150
150
150
150
150
150
2450
3150
2850
3350
2850
3150
3150
3450
菅
菅
菅
菅
菅
500
500
500
500
ゼリー100
100
100
100
アクエリ 150
150
500
500
100
100
100
/25
100
500
ボトル 500
2450
/22
100
500
13:00
14:30
)
100
500
)
□その他(
100
100
ゼリー100
□あり
100
100
ゼリー100
お茶 200
経管
200
100
100
/21
200
10:35
昼食時
■なし
□あり(
3/16
500
胃ろう
□なし
□あり
□利尿剤(
ボトル 500
介護2
水分制限指示
□糖尿病
ケアプラン
来所時
男
150
150
150
2450
2200
2450
菅
菅
菅
3050
担当者サイン
主任サイン
備考
(体重)*
44
(むくみ)*
無
*必要時記入
45
無
無
菅
42
無
無
無
無
無
無
無
無
無
氏
H・T
名
(慢性)心不全の診断
水分量影響疾患
来所時
年齢
男
81歳
■なし
介護度
[水分ケア記録]
介護2
水分制限指示
胃ろう
■なし
経管
□あり
□なし
□あり
□あり(
)
)
□糖尿病
□利尿剤(
ケアプラン
3/29
/30
/31
4/1
お茶 200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
ゼリー100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
お茶 500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
ゼリー100
100
ボトル 500
500
/2
/3
□その他(
/4
/5
)
/6
/7
/8
/9
200
9:30
500
500
500
100
100
100
500
100
10:35
昼食時
お茶 200
ゼリー100
13:00
100
100
100
100
500
500
500
500
100
100
500
500
500
100
200
200
500
100
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
200
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
100
ボトル 500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
500
ゼリー100
500
100
100
500
500
100
100
100
100
100
500
100
100
100
100
アクエリ 150
14:30
100
100
合計
100
150
150
150
150
150
150
150
150
150
150
150
150
2950
2450
2450
3050
2950
2450
2550
1950
2550
2650
3450
2050
菅
菅
菅
菅
菅
菅
菅
菅
菅
担当者サイン
主任サイン
(体重)*
備考
(むくみ)*
*必要時記入
42
無
無
無
無
43
無
無
[水分ケア記録]
介護度
年齢
氏名
H・T
男
81歳
■なし
(慢性)心不全の診断
介護2
水分制限指示
胃ろう
■なし
経管
□あり
□なし
□あり
□あり(
ml/
日)
水分量影響疾患
ケアプラン
来所時
お茶 200
ゼリー100
□糖尿病
□利尿剤(
4/11
/12
/13
/14
200
200
200
100
100
100
500
500
)
□その他(
)
/15
/16
/17
/18
/19
/20
/21
/22
150
200
200
200
200
200
200
200
500
500
500
500
500
500
500
100
100
100
200
200
200
9:30
お茶 500
500
500
300
10:35
ゼリー100
ボトル 500
昼食時
100
500
500
200
100
100
200
200
ゼリー100
100
100
ゼリー100
100
100
100
500
お茶 200
ボトル 500
13:00
100
200
150
200
100
200
200
100
100
100
500
100
500
500
100
100
100
100
150
150
150
150
100
200
200
200
100
100
100
500
500
300
200
500
500
500
500
500
500
100
100
100
アクエリ 150
14:30
合計
150
担当者サイン
100
150
150
150
150
150
150
2950
3050
菅
200
150
1750
1350
1300
1850
1900
1950
1750
1550
1750
菅
菅
菅
菅
菅
47
47
46.5
48
46
46
45
46
45.5
46
+
+
+
-
+
-
+
+
+
菅
2350
菅
主任サイン
(体重)*
備考
(むくみ)*
*必要時記入
45
+
-
+
[水分ケア記録]
H・T
(慢性)心不全の診断
水分量影響疾患
ケアプラン
来 所
時
お茶 200
ゼリー100
介護度
男
年齢
氏名
81歳
■なし
介護2
4/23
□利尿剤(
/24
/25
200
200
200
/26
)
/27
/28
/29
200
200
200
100
100
100
500
500
200
100
100
500
500
500
500
/30
ゼリー100
100
ボトル 500
100
昼 食
お茶 200
200
200
200
200
200
時
ゼリー100
100
100
100
100
100
500
500
500
100
100
100
100
100
500
500
100
500
10:35
ゼリー100
500
アクエリ 150
合計
100
500
100
100
100
200
200
200
100
100
100
500
500
500
500
100
100
150
150
3050
3050
100
500
500
200
100
100
150
500
500
500
500
500
150
100
14:30
100
500
500
100
100
150
150
150
150
150
2650
2350
2550
2850
3050
(体重)*
46
46
46
44
45
(むくみ)*
-
-
-
-
-
2100
担当者サイン
主任サイン
備考
*必要時記入
□あり
46
-
ml/日)
□その他(
200
お茶 500
ボトル 500
経管
□あり(
9:30
13:00
■なし
□なし
水分制限指示
□あり
□糖尿病
胃ろう
/
/
)
/
/
/
メニュー
1日目
朝食
昼食
間食
夕食
昼食
2日目
間食
夕食
昼食
追加したもの/その他特記事項
食パン
218
6枚切り
バター(60Kcal)
113
片手1杯ぐらい
フレンチドレッシング(大さじ1=61Kcal)
いちご
20
3粒
コーヒー
30
玄米茶
0
鰆の塩焼き
112
卯の花
57
ほうれん草の和え物
21
桜海老のお吸い物
13
ご飯
249
カステラ
141
コーヒー
30
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
昼食
452Kcal
1切れ
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
ごはん
302
さんまの塩焼き
341
1尾
法蓮草のごま和え
46
片手一杯
煮物
120
深皿1杯ぐらい
茶碗一杯(180g)
1813Kcal
ごはん
180
味噌汁
44
いわしのみりん干し
102
1枚=30g
いかなごのくぎ煮
48
漬物皿=1/2量
黒豆煮
111
大さじ1杯
鶏もも肉のチーズ焼き
143
ポテトサラダ
100
アスパラガスのソテー
23
コンソメスープ
15
茶碗一杯(180g)
ご飯
249
みかん
37
コーヒー
30
カレーライス
710
ごはん200g
サラダ
87
両手1杯ぐらい
コーヒー
30
TOTAL
朝食
目安量
野菜サラダ
TOTAL
朝食
栄養価
昼食
530Kcal
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
※ビーフカレーで表示しています。
参考:チキンカレー=648Kcal ポークカレー=719Kcal
フレンチドレッシング(大さじ1=61Kcal)
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
1909Kcal
味付けパン
354
バナナ
39
1/2本
りんご
29
1/4個
ベーコンエッグ
259
コーヒー
30
鶏もも肉のチーズ焼き
143
ポテトサラダ
100
アスパラガスのソテー
23
コンソメスープ
15
ご飯
249
調理パンの一般的カロリーを表示しています
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
3日目
間食
夕食
昼食
530Kcal
お菓子
コーヒー
30
ごはん
180
鯛のあら煮
126
味噌汁
30
煮豆
64
TOTAL
1671Kcal
フレッシュ(1個=11Kcal)スティックシュガー(1本=12Kcal)
茶碗一杯(180g)
大さじ1杯
事例検討
3
認知症状改善への取り組み
~夫婦で暮し続けるために~
社会福祉法人
青藍会
ハートホーム南山口
脳活性リハビリ
事業所長 善岡 奈々
フェイスシート
施設№3
作 成 日:平 成 26 年 8 月 01 日
施 設 名:ハ ー ト ホ ー ム 南 山 口 脳 活 性 リ ハ ビ リ
イニシャル
年齢
S.I
83
歳
CaseNo.3
要介護度
寝たきり度
認知症度
要介護 1
B2
Ⅱa
1.入所経過
生活歴・入所日:平成 25 年 9 月 3 日
T15、Y 県 T 市にて出生。女学校を卒業し中学校の教員として働き当時英語の教員として働いていた夫
と出会い結婚。結婚を機に退職専業主婦となる。子供は2人の男の子をもうけ、県内を幾度か転勤を繰り
返しながら暮らしていた。2人の子供はすでに独立し同じ Y 市に家をたてており夫婦二人暮らし。毎週土
曜日には息子夫婦と共に近所の回転寿司を食べ歩いていた。H21 軽い脳梗塞を発症し入院するが身体に大
きな影響なく、夫婦二人暮らしに戻る。H22 年頃より、物忘れが目立つようになり掃除や洗濯が困難とな
り買い物に行ったりゴミ出しができなくなった。息子夫婦が食材を届けたり洗濯を手伝う事でなんとか生
活できていたが、徐々に食事の支度や、入浴等日常生活に徐々に支障を来してきていた。H25 春頃より、
家族がお風呂を沸かして勧めるがかたくなに拒否するようになり、調理もでき無くなった為総菜類を届け
机の上や冷蔵庫に入れておくようにしたが食べなくなってしまい、一ヶ月で体重が 5kg 減少する。また、
眠れない事も多く以前よりデパスを服用されていたが、薬が無くなると近隣の方に「薬を分けてほしい」
と歩かれたり、妄想も見られるようになってきた。主治医に皮膚にたまった垢の相談したことをきっかけ
に夫婦で専門医を受診、認知症であることが判明する。リハビリと清潔の保持・栄養状況の改善を目的に
定員 80 名の通所リハビリを体験利用されたが、
「まだこんな年寄りじゃない」と強い拒否あり利用に繋が
らなかった。その後、認知症対応型通所介護であるハートホーム山口脳活性リハビリで、少人数で夫婦一
緒に専門的なケア、栄養面や清潔の保持・ADL の改善を目的として体験利用となる。持ち前の社交的な
性格で現実世界と妄想とが混在するが他利用者や職員と談笑される。
H25.9.3 より 3/w で利用開始となる。
身長
cm
体重
41.1kg
BMI
2.おむつ歴とその原因
なし
3.歩行歴
屋内歩行が出来なくなった時期
屋内歩行が介助を必要とするようになった時期
4.疾病(治療中のものに○)
脳腫瘍術後、認知症
脳梗塞後遺症、骨粗鬆症
左しゃっ骨骨折後
<内服薬>
なし
なし
5.家族構成(介護者に○)
アセスメント総括表
施 設 No.1 施 設 名 : ハ ー ト ホ ー ム 南 山 口 脳 活 性 リ ハ ビ リ
CaseNo.1
イニシャル
実施者 善岡
水分量
S.I 様
300~500ml
アセスメント実施日:平成 25 年 9 月 2 日
栄養量
500
Kcal
形態
■常食
□常食外
食事栄養量
基
離床時間
12
時間
外出
3 回/月
項
運動体操
1
回/週
その他
0 回/月
目 生活リズム
□規則的
□日中不規則
■問題なし
□活動時以外低下
□終日低下
■自立
□見守り
□W/C 併用
□全 W/C
□寝たきり
□歩行器
□シルバーカー
□4 点杖
□T 杖
□介助・つかまり □補助員なし
□自立
■見守り
□W/C 併用
□全 W/C
□行わず
□歩行器
□シルバーカー
□4 点杖
□T 杖
□補助員なし
回 数
5~7 日/回
場 所
■トイレ
□P トイレ
□ベッド上
用 具
■布パンツ
□おむつ
□その他(尿パッド)
規則性
排便日
用 具
■布パンツ □リハパンツ □尿パッド □おむつ □その他(
場 所
■トイレ
□P トイレ
回 数
3~5 回
失
誘 導
□なし ■時間 □適宜
本
活動量
意識レベル
歩 屋内歩行
行
移動
移 屋外歩行
動
移動
排便
日中排尿
排
泄
外出時の失禁
夜間排尿
嚥
下
剤
■なし □あり
□ほぼ等間隔 ■不規則
□一部
禁
便
意
□なし
時間帯
失
■一部
敗
□全量失禁
)
□ほぼ一定 ■不定
□ベッド上 □その他(
□なし
□ほとんど失禁
■ほぼなし □1/2 □2/3 以上
外出時間
4時間
■トイレ
回 数
1~2 回
誘 導
■なし □時間 □適宜
む せ
■なし
失
禁
□ベッド上
□その他(
)
失 敗
□ほぼなし ■ほとんど失禁
胃ろう経管
■なし □あり
(頻度) □ときどき □毎日 □毎飲食時
口 腔
□清潔
■清潔とはいえない
口腔ケア
□自立
■見 守 り
他の要介助 ADL □着替え(上・下・両)
□なし
■あり
□洗面
)
□なし ■一部 □ほとんど失禁
□あり(水分・固形物・両方)
□ 適 合 良 好□適合不良
)
)
場 所
□P トイレ
■あり
□その他(
■布パンツ □リハパンツ □尿パッド □おむつ □その他(
義 歯
認知症状
下
□昼夜逆転
用 具
摂
食
■なし
■夜間不眠
□不潔
□一部介助
□全介助
□必要あるも使用せず
□整容
■必要なし(自歯)
■入浴
認知症高齢者のアセスメント・ケアチャート
イニシャル
S.I 様
記入者
Case№ 1
善岡
記入日
平成 25 年 9 月 3 日
言動の異常 ※ケアマネジャーより聞き取り
言動の異常と
(いつ)薬(デパス)が無くなると
その発現状況
(どこで)自宅周辺で
(言動の異常それぞ (どのような状況で)近隣の方を訪ねられ「薬を分けてほしい」「薬をとられた」
れごとに記述)
等言って歩かれる。実際に自宅より近所の方の名前の書かれた処方箋(袋)が出て
くる
イニシャル
S.I 様
記入者
善岡
記入日
平成 25 年 9 月 8 日
言動の異常 入浴拒否「ここでお風呂に入ってできものが出来てひどい目に遭った
言動の異常と
その発現状況
(言動の異常それぞ
れごとに記述)
ことがあるから入りません」
(いつ)利用時毎回
(どこで)デイルーム内
(どのような状況で)「お風呂へ行きましょう」と声をかけると「朝風呂に入ろう
と思って準備はしてあるから(自宅)いいです。」全身に垢がたまっており全く入
れていないが「昨日も入ったから」と拒否される
イニシャル
S.I 様
記入者
善岡
記入日
平成 25 年 9 月 26 日
言動の異常 姿を隠されており夫へ「T 市に出かけた。いないと言って」
言動の異常と
その発現状況
(言動の異常それぞ
れごとに記述)
(いつ)デイサービス利用日の朝
(どこで)自宅で
(どのような状況で)送迎に伺うと、靴がない。夫だけリビングに支度をしており
「妻は T 市へ今日は一人で遊びに行ったから居ない」と言う。職員が「えぇ!?本
当ですか?」と聞くと「おーい、ばれたぞ」と夫がすぐに妻を呼んだため、「なん
ですぐに言うのよ。もっと上手くやりなさい」と怒り通所拒否される。
イニシャル
S.I 様
記入者
善岡
記入日
平成 25 年 11 月 3 日
言動の異常 終始多弁。つじつまの合わない会話を繰り返されたり夫へ強い口調で
話される姿が見られる
言動の異常と
(いつ)終始
その発現状況
(どこで)デイルームでも、送迎車内でも
(言動の異常それぞ (どのような状況で)前日に介護保険サービスでベッドレンタル・搬入されていた。
れごとに記述)
他利用者の話にも次々とはいり自分の話にされ、何度も帰宅願望を訴えられる夫へ
「呆けてから」と厳しい口調も見られる。傾聴していると「昨日ベッドがきてか
ら・・・昨日は床で寝てやった・・・」とその先は無かったがこぼされる。
◆基本ケア関連状況とケアプラン
<ケアプラン>
自宅では同じく認知症の妻と二人暮らしで、
水分の
1 日の水分
1500ml
摂取は難しいと考え利用時に水分 1300ml以上摂
取。自宅と合わせ日に 1500ml 摂取以上摂取
自宅での食事摂取量・状況確認のために利用時には
1 日の食事
1500Kcal
夕食持ち帰り 1500kcal 摂取
口腔ケアが自宅でも習慣化。
排便状況
(5~7)日に 1 回
下剤
□無
■有
■無
□有
急性の病気・けが
日常の活動性
散歩や運動
水分・栄養の摂取により3日に1回の改善を図る
転倒防止のため運動量を増やし歩行能力の向上を
図る
□週3日以上外出
週3回通所の確立、活動性の向上を図る
■閉じこもりがち
□ほぼ毎日
デイで屋内・屋外歩行(2km)を行う。
■ほとんど行っていない
週に1回の家族との外出(2km)
◆認知症のタイプとケアプラン
タイプ
判断した根拠
ケアプラン
ベッドレンタルされ自宅へ搬入され 基本ケアを行う。
た翌日に、興奮されており当日も床 特に利用中に水分 1300ml 以上、昼食完食
■ 環境不適応型
で寝たと事実確認は出来ないが本人 (600kcal 程度 )に合わせ 夕食持ち 帰り
曰く
(600kcal 程度) おやつ等の間食で補い、
運動(歩行 2km/日)
社交的で積極性もあるが、会話には 基本ケアを行う。
妄想がしばしば伺え家族にも「また 特に利用中に水分 1300ml 以上、昼食完食
■ 身体不調型
言いよる。」「ええから、だまっちょ (600kcal 程度 )に合わせ 夕食持ち 帰り
け」と怒鳴られることあり。また不 (600kcal 程度) おやつ等の間食で補い、
眠となると近隣へ「薬をちょうだい」 運動(歩行 2km/日)
と回られる
時間に関係なく、自分と場所、時間 基本ケアを行う。
などの関係が認識が曖昧になってお 特に利用中に水分 1300ml 以上、昼食完食
■ 知的衰退型
り、時に帰宅願望がみられる。
(600kcal 程度 )に合わせ 夕食持ち 帰り
(600kcal 程度) おやつ等の間食で補い、
運動(歩行 2km/日)
問題行動
型
□葛藤型
□遊離型
□回帰型
事例検討
4
認知症教育への道筋
~青藍会グループにおける、
家族交流会からの情報発信について~
社会福祉法人
青藍会
ハートホーム宮野
拠点長
武永
昇
認知症教育への道筋
~青藍会グループにおける、家族交流会からの情報発信について~
社会福祉法人 青藍会 ハートホーム宮野 拠点長
武永 昇
1.問題と目的
社会福祉法人 青藍会 ハートホーム宮野には、1999 年開設の本館(通所介護、認知症
対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護)、2012 年開設の新館(地域密着型特別養護老
人ホーム、短期入所生活介護、共用型住宅)がある。認知症の利用者を抱える家族の方々
より、認知症に関する詳しい説明や、各々の自宅でどのように介護しているかなどが知り
たいとの声が上がるようになったため、家族交流会(以下、はあとカフェ)の開催状況と
今後の展望について述べる。
2.方法
はあとカフェは平成 25 年 3 月よりスタートし、当初はボランティアの方々に集まってい
ただき、意見交換等を行いた。現在のはあとカフェは、ボランティアの方はもちろん、ご
利用者のご家族にも参加して頂き意見交換を行っている。現在、はあとカフェは各拠点で
実施している。
ハートホーム宮野で開催した1回目のカフェの後にご利用者のご家族から、
「もっと家族
同志で話をしたい」
、「薬のことをどうしているのか等小さいことを話し合う場にしてほし
い」といった要望が多数上がる。
そのため、第2回はあとカフェではそのような要望に応えるため、『在宅での困りごとに
ついて~みんなで共有しましょう・在宅での生活を地域で支えるには~』と題して、グル
ープワークを実施することに決めた。
3.結果
当日は、急遽山口市会議員も参加され(ご家族がご利用者)ご利用者のご家族18名、
宮野地区社会福祉協議会会長や宮野地区の民生委員、地域住民を代表する方々や普段ボラ
ンティアで宮野を中心に活躍されている方々8名の総勢26名の方に参加して頂きました。
実際に、グループワークが始まると、初めて顔を合わせる方もおられるので、果たして
会話ができるだろうかと心配をしたが、各事業所長がグループワークを上手に勧めてくれ
たこともあり、日ごろの自宅での様子や、現在利用されているサービスへの希望等を参加
者から色々と聞くことができた。日ごろ心の底に秘めている気持ちを、同じ介護をされて
いる者同士で、話しをされお互いに励まし合い、参考にしてみようとメモをされてた。
終了後には、
『他の方と、話しをすることができたので、これからもがんばって、介護を
してみよう』と言われる参加者もいた。
4.考察
はあとカフェ自体は、認知症に特化した取り組みではなく、施設における防災のことで
あったり、各事業所の取り組みの報告であったりと、自由に内容を参加者で検討すること
ができる。しかしながら、認知症についての勉強については参加者の反応もよく、会を重
ねることにより、より具体的な内容にしていき、認知症高齢者がその地域で生活がし続け
ることができる仕組みをカフェを通して作っていきたい。