15年度版】離婚マニュアル ~離婚を有利に進めるための9つの知識

【’15年度版】離婚マニュアル
~離婚を有利に進めるための9つの知識~
行政書士 芳中千裕著
(監修)弁護士 三木憲明
【2015 年度版】離婚マニュアル
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【2015 年度版】離婚マニュアル
目 次
はじめに ...................................................................................................... 7
第1章 離婚手続き相関図.......................................................................... 12
(1)
離婚手続きフローチャート ............................................................. 12
(2)
フローチャートの見方 .................................................................... 13
第2章 離婚の種類 .................................................................................... 14
(1)
協議離婚...................................................................................... 14
(2)
調停離婚...................................................................................... 15
(3)
裁判離婚...................................................................................... 16
第3章 法律で決められている離婚事由 ...................................................... 18
第4章 離婚活動のすすめ ......................................................................... 21
(1)
夫婦の財産の把握 ....................................................................... 21
(2)
離婚の理由になりそうな証拠を残しておく ....................................... 23
(3)
離婚後の生活のためにしておくこと ................................................ 24
第5章 お金のこと ..................................................................................... 25
(1)
財産分与...................................................................................... 25
(2)
慰謝料 ......................................................................................... 26
(3)
養育費 ......................................................................................... 26
(4)
婚姻費用...................................................................................... 27
(5)
支払方法も決めておく ................................................................... 28
第6章 子どものこと(未成年の子どもがいる場合) ...................................... 30
(1)
親権 ............................................................................................. 30
(2)
養育費 ......................................................................................... 30
(3)
子どもの氏 ................................................................................... 31
(4)
面接交渉権 .................................................................................. 32
第7章 戸籍のこと ..................................................................................... 33
第8章 離婚に必要な書面.......................................................................... 34
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(1)
離婚届 ......................................................................................... 34
(2)
離婚協議書 .................................................................................. 35
(3)
離婚の際に称していた氏を称する届 .............................................. 38
(4)
子の氏の変更許可申立 ................................................................ 39
(5)
不受理申出 .................................................................................. 40
第9章 信頼できるプロを味方につける........................................................ 41
(1)
相談相手を間違えないで............................................................... 42
(2)
弁護士 ......................................................................................... 43
(3)
行政書士...................................................................................... 45
(4)
カウンセラー ................................................................................. 46
おわりに .................................................................................................... 48
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こんにちは。
夫婦カウンセラー・行政書士の芳中千裕と申します。
このたびは、
【2015 年度版】離婚マニュアル~離婚を有利に進めるための9つの知識~
を手に取ってくださりありがとうございます。
離婚を有利に進めるためには、知識が必要です。
しかし、その知識を持ち合わせていないために、
専門家にうまく現在の状況や想いを伝えられなかったり、
条件面で損をしてしまったりする方が多いように思います。
その理由は簡単です。
ほとんどの方にとって、離婚は初めての経験だからです。
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【2015 年度版】離婚マニュアル
このマニュアルは、私が今まで携わった離婚事件を通して得た
経験と知識から、有利に離婚を進めるために、
知っておくべき知識や準備をまとめたものです。
離婚の手続きや、法律知識、メンタルヘルスなど、
知りたいことがあっても、誰に相談していいのかわからない・・・。
インターネットや本で調べても、何が本当の情報かわからない・・・。
そんな方のために作ったのがこのマニュアルです。
これから、離婚をしようと考えておられる方、
まだ悩んでいるけれども、離婚も選択肢の一つと思っておられる方の
支えになるように、心を尽くしてこのマニュアルを作りました。
このマニュアルを読んで、離婚しても、しなくても、
あなたの幸せのための選択の一つの光になれば幸いです。
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はじめに
「おじいちゃんおばあちゃんになっても、この人と一緒に居たいですか?」
この答えが明確に「NO」なら、
自分の幸せのために離婚することは「あり」だと思います。
なぜなら、残された人生、
居心地のいい人と過ごした方がいいに決まっています。
そして、それには、 他人を納得させる理由も不要です。
夫との結婚生活に閉塞感があり、ストレスを感じていて、
それが取り払えない。
本人にとっては、重大な理由だけど、他人にとったら、そんなことで?
という感じかもしれません。
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私の母以上の年代だと、
「一度、この人と決めたなら、一度や二度殴られたくらいで、
家を出るなんて、ガマンが足りない」
なんて、本気で思っている人もいます。
でも、自分の人生なのですから、
他人の思惑なんて、考えなくていいと思います。
確かに、 親戚の反応や、 社会の反応は気になるかもしれません。
でも、本当にあなたが幸せのためにする決断なら、
誰も責められないと思うのです。
それに、誰もあなたの結婚にも離婚にも責任を持っていません。
決めるのは、親戚でも、兄弟姉妹でも、祖父母でも、父母でもなく、
当事者である、あなたです。
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実際に、私が相談に乗ったケースで、
酔っぱらった夫に平手打ちをされ、
それを理由に慰謝料をもらって離婚した女性がいます。
でも、本当の理由は平手打ちにあったからではなく、
夫との未来が思い描けなかったからです。
なぜなら、生涯過ごすのは、この人しかいないと思っていたら、
それこそ、平手打ち 1 回くらいでは、別れたりしないはずです。
この女性の場合は、暴力はきっかけではあったけど、
暴力が離婚の本当の理由ではなかったのです。
私と同じ30代の方でしたが、 家族に相談したら、
祖母から、
「一度殴られたくらいで、忍耐が足りない。」
と言われたそうです。
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離婚できたときは本当に晴れやかな表情をしていました。
「呪縛からの解放~」という気持ちだったそうです。
心理的ストレスが大きかったのですね。
そんな彼女は、結婚前のキャリアを活かして就職し、
保険会社の営業職として働いています。
成績も優秀で、都内の高級住宅街にマンションを購入して、
愛犬と一緒に住んでいます。
自立した彼女は輝きを増していました。
幸せそうで、私も本当にうれしいです。
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ポジティブ離婚には、他人の思惑にとらわれず、
自分の幸せを第一優先に考えることが大切です。
だって、自分の人生の責任は、自分しかとれません。
離婚して、自分らしく、自立する。
そんな選択肢、ありですよね!
これからの人生の方が長いのですから、
離婚しても、しなくても、
自分の幸せのためのポジティブな選択をして、
居心地の良い未来を手に入れていきましょう!
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第1章 離婚手続き相関図
(1) 離婚手続きフローチャート
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(2) フローチャートの見方
上記フローチャートは、離婚するまでの概略です。
すべて理解する必要はありませんが、
※をつけた、離婚準備と、離婚協議書(離婚の際の条件を文書にしたもの)
が最も重要になってきます。
このマニュアルも、そのあたりを重点的に意識して書きました。
離婚の約90%(*1)は、協議離婚ですから、
多くの方は、
離婚準備→離婚の話し合い→協議離婚
というカタチになると思います。
夫婦双方で離婚届を作成し、役所に提出すれば、離婚は成立します。
離婚届のサンプルは、第 8 章(1)をご覧ください。
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第2章 離婚の種類
3 組に 1 組のカップルが離婚すると言われている昨今(*2)
、
離婚の仕方には、大きく 3 種類あります。
1
協議離婚、2
調停離婚、3 裁判離婚
です。
この 3 つを知っておけば、知識としては十分です。
(1) 協議離婚
協議離婚とは、話し合いによる離婚です。
大多数(約90%)の離婚は協議離婚です。
夫婦 2 人が同意し、離婚届を役所に提出すれば、離婚が成立します。
のちに揉め事の種を残さないためにも、
離婚協議書を作成しておくのが得策です。
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(2) 調停離婚
第三者(調停委員)を挟んで話し合うのが調停離婚です。
2 人の話し合いで折り合いがつかない場合に利用することが多いです。
調停内容に双方が同意すると、離婚が成立。
どちらか、または双方が同意しないと、調停は不成立となり、
離婚も成立しません。
裁判離婚ほど法律知識を要さず、
費用も少なくて済むというメリットがあります。
自分で申立する場合、その費用は 2,000 円程度です。
代理人を立てる場合は、弁護士に依頼しますが、
代理人を立てなくても可能です。
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(3) 裁判離婚
これは、裁判による離婚です。和解離婚と判決離婚があります。
調停が不成立になった場合に、裁判離婚となります。
いわば最終手段です。
時間がかかるというデメリットがあります。
代理人を立てる場合は、弁護士に依頼します。
代理人を立てず、本人訴訟も可能です。
裁判になると、法律をうまく使えるかどうかが、
結果を左右することになりますので、
少なくとも、相手方に代理人がついている場合は、
無理せず、こちらも弁護士に頼むのが得策です。
弁護士費用は、依頼する弁護士との契約によりますから、
一概には言えませんが、大きな財産がない場合は、
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離婚という成果が出せたとして、
総額でだいたい 30~60 万円といったところではないでしょうか。
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第3章 法律で決められている離婚事由
離婚の理由は人それぞれ。
協議離婚(夫婦 2 人の話し合いによる離婚)でも、調停離婚でも、
夫婦が同意すれば、理由はなくても離婚はできます。
ただ、裁判になった時に離婚できる理由は、法律で決められています。
それは、次の5つです。
1
配偶者に不貞な行為があったとき
2
配偶者から悪意で遺棄されたとき
3
配偶者の生死が 3 年以上明らかでないとき
4
配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5
その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき
小難しく書かれているので、少し解説します。
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・「配偶者」とは、あなたの場合は、夫のことですね。
夫から見ると、妻のあなたが配偶者です。
・「不貞な行為」とは、簡単にいうと、性的な関係を持つということです。
キスやデートだけでは足りません。
・「悪意で遺棄」とは、配偶者を捨てて家出したり、
暴力で配偶者を追い出したりすることです。:
まったく生活費を渡さないといったことも、これに当たる場合があります。
・「婚姻を継続しがたい重大な事由」とは、
上の類型にぴったりあてはまらなくても、一つまたは複数の原因で、
あなただけでなく、普通の人なら「もう一緒にいられない」と
思うような場合です。
たとえば、ドメスティックバイオレンス(DV)は、その一例といえます。
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身体的暴力、精神的暴力、性的暴力などがそうです。
程度によって、認められたり、認めたれなかったりします。
以上ような事由を引き起こした相手方つまり配偶者を
「有責配偶者」といいます。
有責配偶者は、自分の不貞を理由に離婚の請求を
裁判所にすることはできないので注意しましょう。
とはいっても、
裁判して離婚するのは、まれなことです。
しかし、
夫に上の事由がある場合は、交渉の材料にすることができますので、
頭に入れておきましょう。
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第4章 離婚活動のすすめ
離婚すると決めたら、
そのことを相手に伝える前に、
あるいは別居する前に、
しておいたほうがいいことがあります。
できるだけ不利な戦いは避けたいですから。
(1) 夫婦の財産の把握
財産分与のために相手名義の財産を正確につかんでおくことが必要です。
なぜなら、離婚を言い出すと、財産を隠される可能性があるからです。
また、調停や、裁判になったとしても、
裁判所が勝手に調査してくれるということはありません。
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財産分与とは、夫婦になってから築いた財産を、
夫婦で半分ずつにわけるということです。
例えば、専業主婦であった場合も、同居中に夫が稼いだお金は、
原則としてその半分が妻のものになります。
・夫婦双方の預貯金
・保険
・有価証券(株式や有価証券)
・給与明細や源泉徴収票
・ローンの内容
など
内容がわかるように、コピーや写真を撮っておきましょう。
預金通帳なら、表紙、1 ページ目も忘れないようにしましょう。
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(2) 離婚の理由になりそうな証拠を残しておく
もし、夫に離婚事由になる行動がある場合は、その証拠を残しておきます。
なぜなら、離婚を拒まれた場合に、説得する材料になるからです。
また、最悪裁判にまでもつれた場合には、
証拠として提出することができるように用意しておきます。
離婚事由については、第 3 章を参照してください。
具体的には、夫の浮気の証拠や、
DV(ドメスティックバイオレンス)の証拠です。
浮気の場合は、メールや、あやしいレシート、クレジット明細は
写真に撮っておきます。
DVの場合は、怪我をした写真や、医師の診断書。
暴言の場合は、録音がベストです。
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(3) 離婚後の生活のためにしておくこと
経済的自立は、自由な未来への一歩となります。
慰謝料や財産分与、子どもがいた場合の養育費の支払いに
頼りきるのはやめ、
自ら生計を立てる準備をしましょう。
離婚後の住居、
就職などによる収入の確保、
子どもがいる場合は、保育園、幼稚園、学校に関する
情報収集もしておきましょう。
少し、用心深いようにも思えますが、
後悔を残さずに離婚するために、
このような「離活」は大切です。
未来の幸せのために、できることはしておきます。
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第5章 お金のこと
離婚する際に決めておくことで、
①お金のことと、②子どものことが、
最も揉めやすく、最も重要なことになってきます。
離婚協議書を作成する際にも、押さえておくべき 2 大事項となりますので、
第5章
お金のこと、第 6 章
子どものことで、詳しく述べていきます。
(1) 財産分与
財産分与とは、婚姻生活上築いた夫婦の共有財産を分けることです。
基本的には 2 分の1ずつです。
婚姻後に購入したあらゆるものが財産分与の対象となります。
例えば、家、車、家財道具などなど。
当然、債務も分けられます。住宅ローンやその他の借金などです。
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そのほかにも、夫婦で経営している個人事業の財産や、
退職金、年金もその対象です。
婚姻前に取得した財産や、相続財産は、財産分与の対象とはなりません。
(2) 慰謝料
慰謝料とは、離婚原因を作った配偶者が、相手方対して
精神的慰藉のために支払う金銭のことです。
例えば、肉体的・精神的暴力や浮気など様々の要因があります。
(3) 養育費
養育費とは、子どもが健全に社会人として自立するまでに
必要となる全ての費用のことです。
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衣食住の費用、
学校などの教育費、
医療費、娯楽費等が養育費に含まれます。
親である以上は子どもを養育する義務があり、
離婚により子どもを引き取らなかった親は、
子どもに対して養育費を支払う扶養の義務(生活保持義務)があるのです。
養育費の相場は、以下の表を参考にしてください。
▼養育費・婚姻費用算定表
http://bhp-office.com/u/lnk/santei/
(4) 婚姻費用
婚姻費用(婚費「こんぴ」と略されることがあります。)とは、
夫婦が生活するうえで必要な生活費のこと。
夫婦にも相互に扶養義務がありますから、
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収入の多い方が少ない方へ支払わなければなりません。
これが問題になるのは、離婚前に別居している場合です。
収入のない妻が、勝手に家を出て別居した場合でも、
収入のある夫は妻に婚姻費用を渡さなければなりません。
ですので、別居中にも婚費を請求することができますし、
離婚時にまとめて清算することもできます。
(5) 支払方法も決めておく
現金なら、一括で支払うのか、分割で支払うのか。
分割の場合は、いつ支払うのか(毎月?隔月?毎年?)、
どの銀行口座に振り込むのか、手渡しなのかなど、
しっかり決めておきます。
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不動産や、物なども、どのように分けるのか決めておきましょう。
財産分与や慰謝料の請求は、離婚後も請求することができますが、
離婚前に決めておく方が賢明です。
離婚後に揉める種は残したくないですから。
ちなみに、財産分与は離婚の成立した日から 2 年以内、
慰謝料は、その原因となった事由が発覚した日から 3 年以内なら、
請求することができます。
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第6章 子どものこと(未成年の子どもがいる場合)
(1) 親権
親権とは、未成年の子どもの監護や財産管理をする親の責任です。
未成年の子どもがいる場合、
どちらか一方を親権者と決めなければ離婚できません。
(2) 養育費
養育費とは、子どもが社会人として自立するまでに必要な費用のことです。
支払い額と同様、支払い方法も決めておきましょう。→第 5 章(3)参照
離婚母子世帯で養育費を受け取っていない世帯は、
80%を超えています(*3)
。
養育費は子どものための権利ですから、
きちんと取り決めておくことをおススメします。
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(3) 子どもの氏
離婚しても、子どもの氏は変わりません。
親権と戸籍の問題は、別物と考えてください。
子どもの姓を親権を持つ自分の旧姓にしたい場合は
子の氏の変更許可を家庭裁判所に申立てて行います。
→第8章(4)参照
いずれにしても、子どもにとって姓が変わることは大きな問題です。
大人の事情が原因で、子どもの学校生活や友だちとの人間関係に
支障をきたすことのないよう、
お子さんの意向を聞いたり、
夫婦でしっかりと話し合って決めるようにしましょう。
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(4) 面接交渉権
面接交渉権とは、子どもと生活を共にしていない親が
子どもと会ったり連絡を取ったりする権利のことです。
会う頻度(月 1 回など)や、1 回当たりの時間、宿泊は可能か、
日取りの決め方、連絡の取り方、学校行事への参加をどうするかなど、
決めておきましょう。
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第7章 戸籍のこと
原則として、婚姻のとき夫の姓に改姓した人は、結婚前の姓に戻ります。
現在の姓をそのまま使いたい場合は、
離婚届と同時にもしくは、3 か月以内の届出が必要となります。
子どもの姓と戸籍は、原則として変わりません。
同居の親と同じ性を名乗るために、改姓したい場合は、
家庭裁判所に変更許可の申立てをします。
届けの仕方については、第 8 章(3)(4)を参照してください。
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第8章 離婚に必要な書面
離婚は、
「離婚届」さえあれば、成立します。
しかし、後悔しない離婚のためには、
その他の書類も必要になることがありますので、確認しておきましょう。
(1) 離婚届
離婚届は、夫婦 2 人で作成して、市区町村役場に提出します。
不備があると受付けてもらえないので気を付けましょう。
夫婦二人の署名以外に、証人 2 人の署名が必要です。
証人は、何かを保証する責任はなく、
ただ単に、
「離婚届の内容を確認しました」というものです。
ですので、夫婦から各 1 名ずつでなくても、
夫の両親でもいいし、妻の友人 2 人でも構いません。
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あと、未成年の子どもがいる場合は、
親権者を決めない限りは離婚できません。
▼離婚届サンプル
http://bhp-office.com/u/lnk/todoke/
(フォーマットは、各市区町村で異なる場合がありますので、本籍地の市区
町村役場の窓口又はホームページからダウンロードしてください。
)
(2) 離婚協議書
日本の離婚の大多数は、双方の話し合いで決める「協議離婚」です。
この協議離婚をする際、
お金のこと(財産分与、慰謝料、養育費、年金分割など)や
子どものこと(親権、監護権、面接交渉など)を
取り決めると思います。
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後で、この問題で揉めることがないように、
その取り決めた内容は、必ず書面にしておきます。
なぜなら、口約束だけでは、内容があいまいになったり、
法的効力が認められにくいからです。
揉めたとき、証拠として提出できないと、
訴訟したとしても、約束を守らせることができません。
なので、書面にすることが大切です。
「離婚協議書」を作っておけば、約束を守らない場合、
その書面を証拠に訴訟を起こして、約束を守らせることができます。
特に、財産分与や、養育費、慰謝料など、
金銭に関する取り決めがあるときは、
「公正証書」にすることをおすすめします。
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「約束を守らない場合、直ちに強制執行されてもかまいません」
という内容を公正証書に盛り込むことで、
訴訟を起こさなくても、強制執行することができます。
例えば、毎月養育費を支払ってくれる約束をした夫が、
その約束を守らない場合は、
わざわざ、訴訟を提起しなくても
この「公正証書」を根拠に裁判所に、強制執行を申し立て、
夫の財産(預金や給料など)を差し押さえることができます。
公正証書は、公証役場で手数料を支払って作ることができます。
ご自分でも作成することができますが、
不安な場合は、
行政書士や弁護士に依頼することもできます。
とにかく、協議内容は、書面にする!
これが大切です。
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約束したときは守るつもりでも、
状況が変化することで、
守ってもらえなくことはよくあることです。
例えば、コチラが再婚したことで、
勝手に養育費はもう払わなくてよいと思われたり、
相手が再婚したことで、
再婚相手に嫌な顔をされるのがいやで、支払いを止められたり
ということがあります。
このような、不測の事態を避けるためにも、
約束は書面にしておきましょう。
(3) 離婚の際に称していた氏を称する届
第 7 章で述べたとおり、原則として、婚姻のとき、夫の姓に改姓した人は、
結婚前の姓に戻ります。
- 38 Copyright (C) 2014 Chihiro Yoshinaka. All Rights Reserved.
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現在の姓(婚姻時の姓)をそのまま使いたい場合は、
離婚届と同時にもしくは、3 か月以内の届出が必要となります。
▼離婚の際に称していた氏を称する届サンプル
http://bhp-office.com/u/lnk/sei/
(フォーマットは、各市区町村で異なる場合がありますので、本籍地の市区
町村役場の窓口又はホームページからダウンロードしてください。
)
(4) 子の氏の変更許可申立
子どもの姓は、離婚しても原則として変わりませんが、
親権者と同じ姓に変更したい場合は、
親権者の新戸籍が出来上がったのち、
家庭裁判所に、子の氏の変更許可申立を行います。
申請は、子ども本人が行いますが、
子どもが 15 歳未満の場合は、親権者が行います。
- 39 Copyright (C) 2014 Chihiro Yoshinaka. All Rights Reserved.
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▼子の氏の変更許可申立
http://bhp-office.com/u/lnk/konouji/
(5) 不受理申出
条件に納得できないまま、離婚届に署名・押印してしまったら、
相手が勝手に、離婚届を提出してしまう可能性があります。
離婚が成立してからでは、条件交渉が不利になることも。
そんな時は、
「不受理申出」を役所に出しておきます。
これは、
「離婚届が出されても、私にはその意思がありませんので、
受け取らないでください。
」と役所にお願いするものです。
ひとたび受理された離婚届を無効にするには、訴訟を起こすしかないので、
まだ離婚届けを出されては困る場合は、不受理申出をしておきましょう。
- 40 Copyright (C) 2014 Chihiro Yoshinaka. All Rights Reserved.
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不受理申出の効力は無期限で、いつでも取り下げることができます。
(平成 20 年法改正により、期限が 6 か月から無期限になりました。
)
▼離婚の際に称していた氏を称する届サンプル
http://bhp-office.com/u/lnk/fujuri/
(フォーマットは、各市区町村で異なる場合がありますので、本籍地の市区
町村役場の窓口又はホームページからダウンロードしてください。
)
第9章 信頼できるプロを味方につける
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【2015 年度版】離婚マニュアル
(1) 相談相手を間違えないで
離婚は人生の一大事。
離婚を考えたときは、ぜひプロに相談してください。
親に相談しても、
「もう少し我慢したら?」と言われたり、
親が修復を試みようとして、
余計にこじらせてしまうことも少なくありません。
なぜなら、親にとって子どもの離婚は「不幸」以外の何物でもないから。
残念ながら、親が力になれることはありません。
親には相談するのではなく、
自分が幸せになった姿を見せて安心させてあげましょう。
また、離婚に迷っているときや、離婚話が進まないときに、
友人に相談するのも得策ではありません。
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【2015 年度版】離婚マニュアル
もちろん、苦しいときにそばにいてくれる友人の存在は心強いものです。
でも、それはあなたの「聞き役」としての存在であればこそです。
「聞き役」の友人にアドバイスを求めたり、その期待をしてはいけません。
「聞き役」でこその友人は、
あなたの人生の選択に責任を持つことはできません。
そんな友人にアドバイスを求めることは、その友人にとっても負担です。
また、専門家でない友人は、個人的な経験を頼りに考えるしかなく、
実際、普遍的で通用するアドバイスをしてくれることは期待できません。
相談を行うのであれば、あなた方夫婦に何が起こっているのかを
客観的に見極め、秘密を守ってくれるプロに任せましょう。
(2) 弁護士
言わずと知れた、法律のプロです。
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【2015 年度版】離婚マニュアル
相談すれば、具体的な解決策をもらえることでしょう。
ただ、弁護士は十人十色なので、相性も大切です。
依頼する場合も、実際に会って相談をしてからにするのが良いでしょう。
誤解を恐れずに言うと、離婚事件を喜んで引き受ける弁護士は少ない
と思っておいたほうがいいです。
依頼者のメンタルケアにも配慮しなければならないですし、
気苦労が多く、大変だからです。
そんな中、
「あなたのためならば、ひと肌脱いであげよう」
そんな気持ちで依頼を引き受けてくれる弁護士がいたら、最強の味方ですね。
ただ、気になるのは、費用。
これは、弁護士によってさまざまです。
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相場的には、
相談だと、30 分 5,000 円~10,000 円(税別)。
代理人として依頼すると、
着手金として、20 万円~50 万円(税別)。
報酬金として、離婚成立時に同額程度、
そしてこれに加えて一定の財産的な成果を獲得できた場合は、
その金額の 10%前後(税別)を付加するといったことが多いようです。
弁護士に依頼するメリットは、
仮に裁判までもつれ込んだとしても、一貫して頼めることと、
紛争場面での豊富な経験を通した客観的で的確なアドバイスが
期待できることです。
(3) 行政書士
行政書士も、法律のプロです。
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弁護士と違うのは、紛争ごと(訴訟等)の代理人にはなれないこと。
その代わり、費用的には安くなることです。
多くの場合は、協議離婚ですので、行政書士に任せて、問題ないでしょう。
行政書士の中には、離婚協議書の作成・公正証書化の経験豊富な者もいます。
行政書士の相場としては、
離婚協議書等の作成では、弁護士のように着手金はとらず、
大きな財産がない場合は、
書面作成料として 10~20 万円(税別)程度というのが相場でしょう。
(4) カウンセラー
離婚しようか迷っているときに、
あなたの本当の気持ちを引き出してくれる心のプロがカウンセラーです。
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法律相談では、二の次とされる愚痴や恨み言も、
カウンセリングでは大きな意味があります。
自分の気持ちや感情を吐き出すことで、自分の思いを確認し、
自分の人生に向き合うことができます。
カウンセリングの相場は、1 時間 1 万円(税別)~といったところでしょう。
あなたの状況に合う、プロにぜひ相談してみてください。
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【2015 年度版】離婚マニュアル
おわりに
この生活は続けられない。
離婚しよう。
そう決意しても、双方の両親への申し訳ない気持ち。
親戚・身内の理解が得られないんじゃないかという不安な気持ち。
お祝いしてくれた友人に報告しずらい気持ち。
世間一般の離婚に対するネガティブなイメージに
押しつぶされそうに。
そんな相談者の方が多いです。
でも、他人の思惑に囚われていては、
あなた自身の人生の選択は全うできません。
あなたの人生の責任を負うのはあなた。
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【2015 年度版】離婚マニュアル
これからの人生を決めるのもあなたです。
ポジティブな離婚という選択をしたあなたが
新たな人生のスタートを幸せに切れるように、
このマニュアルを役立てていただければ幸いです。
最後まで、
【2015 年度版】離婚マニュアルを読んでいただき、
ありがとうございました。
この内容を理解できれば、
離婚に向けての心の準備と
条件を有利に進めるための基礎はできています。
とはいえ、内容が難しかった、
もっと詳しく知りたい
そんな方も多いと思います。
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慰謝料の相場っていくらくらいなの?
養育費ってどれくらいもらえるものなの?
さらに、個々のレベルで理解してもらうためにも、
より実践的な詳しい内容を、
メールで配信していきます。
メールが不要な場合は、
メールの最下部から、簡単に配信解除することができますので、
安心してくださいね。
このマニュアルやメールを読んで、わからないところは、
お気軽に私にお尋ね(メール)いただければと思います。
離婚という選択をしてもしなくても、
あなたの前向きな選択であるのならば、
どちらも正解です。
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あなたの幸せのためにできることを一緒に考えていきましょう!
夫婦カウンセラー
行政書士 芳中 千裕
1981 年 12 月 2 日生まれ。
大学院卒業後、企業に就職。
その後、行政書士として独立。
現在に至る。
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<注釈>
(*1)
平成 21 年度厚生労働省「離婚に関する統計」より
(*2)
平成 21 年度厚生労働省「離婚に関する統計」
、
平成 18 年度厚生労働省「婚姻に関する統計」より。
2005 年(平成 17 年)の婚姻件数と同年の離婚件数を比較。
(*3)
平成 18 年厚生労働省「離婚母子世帯における父親からの養育費の状況」
より
著者
: 夫婦カウンセラー・行政書士 芳中千裕
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