<第240回 当座資産>

第240号
2014年7月6日
<第240回 当座資産>
企業の財政状況を表す貸借対照表の資産の部には、「流動資産」の項目が
あります。流動資産とは、現金化しやすい資産のことを示します。たとえば、現金
はもちろん、銀行預金や有価証券、商品、未収金などが挙げられます。その中で
も、容易に換金することができる現金や銀行預金、有価証券などのことを「当座
資産」といいます。
2015年3月31日現在、EIZOの流動資産には現金、預金、受取手形、売掛金、有
価証券、商品、原材料などがあり、その総額は約634億円にものぼります。この
うち、当座資産は363億円です。企業が安全な経営をしているかどうかは、当座
資産と流動負債に注目して「当座比率」を算定することで判断できます。まず、流
動負債とは、1年以内に支払わなければならない債務のことであり、EIZOの流
動負債は約159億円です。EIZOは流動負債に対する当座資産が228%ある、つ
まり債務の2.28倍の当座資産を保有していることが分かります(注1)。また、財
務省の調査によると、平成24年度の全産業の当座比率の平均は82.8%、製造
業の平均は87.6%であることと比べても、EIZOは手元の資金についてとても安
全な経営を行っていることが分かります(注2)。
当座資産を多く保有している理由には二つあります。一つ目は、災害等で万
が一事業が停止してしまっても、事業の再開活動を滞らせないために災害活動
のための必要資金として、ある程度保有す
るようにしているからです。二つ目に、EIZO
では、自己資金で投資できるものは投資す
るようにしています。つまり、設備投資など
を借入せずに、自己資金で賄うことで、余
分な金利コストの発生を防ぐことができる
のです。
←EIZO本社研究開発棟の外観
注1:EIZO株式会社, 『平成27年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)』
注2:財務省、法人企業統計調査、2012年度、業種別財務営業比率表http://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/(2014/9/15参照)
(取材・制作:経済学部経営学科・4年
山本紫織里、吉田伸弘、紺谷弥生)