ストリートチルドレン・児童労働

* ストリートチルドレンの現状*
※
参考文献①、②をもとにインタビュー形式でタイのストリートチルドレンの現状をまと
めた。
タイへスタディーツアーに行ったさちこちゃんは、タイのチェンマイのストリートチルドレ
ンであるケムくんにインタビューをしてみました。
さちこちゃん:こんにちは、ケムくん。さっそく質問していくよ。
ケ ム く ん :こんにちは、さちこちゃん。質問をどうぞ。
さちこちゃん:タイにはどれくらいのストリートチルドレンがいるの?
ケ ム く ん :タイには僕のようなストリートチルドレンが約 1 万人いるよ。世界中には
少なくとも 3000 万人はいると言われていて、特に中南米に多く、アジアでは
インドやフィリピンに多いみたい。
さちこちゃん:そうなんだ。どこら辺にいるの?
ケ ム く ん :タイ北部ではチェンマイ県やチェンライ県のナイトバザール周辺にたくさん
いるよ。タイ北部の山岳民族の子どもが多いんだ。
ちなみに、タイで 1 番ストリートチルドレンがいる都市はバンコクなんだよ。
さちこちゃん:ケムくんはどうしてストリートチルドレンになったの?
ケ ム く ん :僕、チェンマイに来る前は山岳地帯に住んでいたんだ。山岳地帯にいると、お
父さんやお母さんの仕事がなくて、仕事を求めて家族でチェンマイに出てき
て、今はスラムで生活しているよ。そんな感じでチェンマイに出てきて、仕
事は見つかったんだ。だけどやっぱりお父さんとお母さんの収入だけでは生
活が苦しくて・・・。 だから、家族の家計を少しでも助けるためにお金を稼
ぎたくてストリートチルドレンになったんだよ。
さちこちゃん: そうなんだ・・・。今は街ではどうやって生活してるの?
ケ ム く ん :お昼前に起きて、空き缶を拾って集めたり、花を売ったりしてお金を稼いで
いるよ。そして夜は、歩いている人にお金をもらったりしているんだ。
さちこちゃん:私なんて自分でお金を稼いだことなんてないや。ケムくんはえらいね。
1人で路上に出て寂しくない?
ケ ム く ん :ううん、昼間は友たちと一緒だから寂しくなんかないよ。夜は、スラムに帰る
と家族もいるしね。
さちこちゃん:路上での生活は、危険なことも多いんじゃない?
ケ ム く ん :うん。売春や麻薬、犯罪に巻き込まれる危険性が高いと言われている。
エイズ感染とかにも気をつけないと。自分の身は自分で守らないと、誰も守っ
てくれないからね。
さちこちゃん:そうだね。
ケ ム く ん :路上での生活はしんどいことも多いから、僕みたいなストリートチルドレンが
少しでも減ったらいいなって思うよ。
さちこちゃん:そうだよね。しっかり国がサポートしていく必要があるね。
支援活動
※ 参考文献①から、タイのストリートチルドレンに対する支援活動を調べた。
カルナーの会(大阪で設立)
●里親里子制度
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ストリートチルドレンの生活から救済され、子どもの家やその他の寮などで共同生活をし
ながら、学校に通うことになった子どもたちへの精神的なサポートと教育資金援助として 1
対1の組み合わせをしている。
愛情薄い過酷な生育歴を持つ子どもたちにとって、年数回の手紙のやりとりを含め、遠く
日本から自分を見守ってくれる“日本のお父さん・お母さん”の存在は大きな喜びと支えに
なっている。
●子どもの家運営費支援
子どもの家の食費、生活消耗品費、光熱費、スタッフ人件費などを含む運営費を継続して
支援している。また、衣類、文具、スポーツ用品、日用品、などの寄与などの生活改善のた
めの支援も行っている。
救済した後の子どもたちには、規則正しい生活をさせる、歯磨き、シャワー、食事の仕方
など基本的な生活習慣を身につけさせる、タイ語をはじめとした勉強を教えるなど様々なサ
ポートが不可欠で、そのためにも子どもと寝食を共にするスタッフはなくてはならない存在
になっている。継続的に支援することで安定した運営ができるようにしている。
●教育ファンド
ストリートチルドレンの生活から抜け出し、それぞれの将来に向けて職業訓練校に通う少し大きな
子どもたち、就学前の小さな子どもたち、子どもの家に住んでいるがまだ学校に通えるほど社会性が
身につかず子どもの家で教育を受けている子どもたち、などのための教育支援のためのファンドを設
立、運営し、救済されたすべての子どもの教育を願っている。
◆参考文献◆
・北タイのストリートチルドレン http://www.kdn.ne.jp/~karuna/norththai.html
・国際協力 NGO ボランティアプラットフォーム
http://volunteer-platform.org/street/index.htm
・日本ユニセフ協会 http://www.unicef.or.jp/children/children_now/thai/sek_ta6.html
・ナイスハート基金 http://www.niceheart.or.jp/asiaproject21taireport3.html
・タイの子どもたち http://homepage3.nifty.com/ktokuda/page081.html
・タイ被災村事業 http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ase/cam/komado/thai.htm
(担当者 GK3 下村真依子・GK2 米田智華)
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タイの児童労働
★ 児童労働とは?
○原則15歳未満の子どもが大人のように働く労働
*ILO138号条約が定める就学最低年齢
最低年齢: 15歳 ・義務教育修了年齢を下回らない(原則)
・途上国は14歳とすることができる
軽易な労働:13歳 ・途上国は12歳とすることができる
危険な労働:18歳 ・健康,安全,道徳が保護され適切な就業訓練を受ける場合は
16歳
○18歳未満の子どもが行う最悪な形態の労働
→人身売買、債務奴隷、強制的な子ども兵士、その他の強制労働
売春・ポルノ、麻薬の製造・密売などの不正な活動
など
★児童労働の原因
・教育機会の欠如:教育の質の不十分、不適当な内容 →教育の価値×
・貧困:児童労働最大の理由
・伝統:伝統的に親の職業を受け継ぐ
・脆弱性:脆弱な家族(低収入、大人の怪我・病気、離婚など)
・児童労働への需要:子どもは大人に比べて「安く」、抵抗しないで命令に従う
★児童労働なくすための取り組み
○ 児童労働に関する意識を高め、児童労働の存在するエリアを調査し特定
○ 幼い児童労働者を職場から公式な教育システムに転換させるための復帰サービスを提
供
○ 職場から直ちに引き上げられないような年長の児童労働者については、移行措置として
労働時間を縮減し、一定時間の職業訓練または教育を実施
○ これら年長の児童労働者に対し、労働災害に対する支援と保護を与える
○ 可能であれば、児童労働者の職を家族の成人メンバーに与えるなどして、児童労働者
の家族に収入や生活賃金の代替源を与える
○ 親たちと地域に対し、幼い子どもたちを労働させないよう働きかける
○ 新(あるいは十分な資源を備えた)教育設備を求めるキャンペーンを実行
な
ど
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★タイの子どもが直面している現状と取り組み
タイは経済的繁栄が貧困の解消や子どもの明るい未来に結びついていない典型的
な例である。政府が経済活動にほとんど無規制の態度をとってきたために、苛酷な労
働を強いられる子どもたちの存在が大きな問題となっている。このことは、出稼ぎ児
童労働だけではなく、児童売春などにも深刻な実状をもたらしている。
東北タイより鉄道でバンコク中央駅に出てきた子どもに職業斡旋業者が近づき、過
酷で搾取的な条件の工場で働かせることが頻繁にあった。このため、子どもを駅でい
ち早く保護し、子どもに業者の危険性やバンコクでの生活の実際を知らせて過酷な児
童労働を防ぐために、FCD(子ども発たち財団)が発足した。
具体例
前述の NGO で働きながら夜間中学校で学ぶジョン・ラックさん
(17 歳)も東北タイのスリン県出身で、自身も幼い時から働い
てきた 1 人である。
ジョンさんは小学校を卒業して、家に仕送りをするために 13
歳でバンコクに出てきた。同級生の半分位は都市へ働きに出て
いる。ジョンさんが最初に働いたのは 10 人以下の小さな縫製工
場で、深夜の 2、3 時まで働かされ、休みは正月とソンクラーン
祭りの時の年 2 回のみ、見習期間とのことで月収は 1,000 バー
ツ(約 3,500 円)
。工場主はトビラを閉めて従業員を外に出した
がらず、密閉された作業場は糸ぼこりがすごく、流れ作業の単
純労働はひどく疲れた。
ILO 駐日事務所
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/ipec/index.htm
児童労働-その悲惨な実態
http://domino.lafgo.gr.jp/Lafgo/Lshimin.nsf/7bf3955830f37ccf49256502001b614f
/94480ff26561396d4925680a003220d1?OpenDocument
日本ユニセフ協会・世界の子どもたち
http://www.unicef.or.jp/children/children_now/thai/sek_ta4.html
(担当者:GK3 今西智美・狩谷菜摘)
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1.児童売買について
1.1 タイの現状
1996 年の国連人権委員会・児童買春・児童ポルノ問題特別報告者の報告によると、アジアで
はおよそ 100 万人の子供たちが犠牲者になっていると推測されている。そのうちタイでは 3
万~3 万 5000 人の子供たちが売春に関わっており、そのうち 10%が少年だと言われている。
児童売買を禁じる法律は存在しているが、法の目をくぐってツアーなどが現在も行われてい
る。なぜ、児童売買をとめることができないのか。それは、児童売買に関わる人々のほとん
どが「非合法外国人」であるからだ。タイには年間 8000 人もの不法侵入者がいると言われて
いる。非合法外国人が売買に関わると
①警察と救援団体が介入できない
②住民登録がないために、医療が受けられない
③タイ語を話すことができないために、抵抗できない
という問題がある。したがって、タイ政府は思うように、児童売買を取り締まることができ
ていのが現状である。では、児童売買、中でも、児童買春・臓器売買という 2 つの問題点に
ついて詳しく述べたい。
1.2 児童売春
児童売買はタイの経済の発展を支えている。
タイに売春宿が集う有名な場所がある。そこは、産業の中心であり、経済発展の重要拠点
とされている。海産物市場への一大供給地であり、50 万ドル以上の稼ぎがあるのだ。ここで
働く人々は仕事のストレスを、買春宿を利用することで発散させている。もし、タイ政府が
そこでの買春を規制してしまうと、労働者が減少することは間違いない。よって、経済の崩
壊も免れないと言われている。タイで児童買収が横行する理由の1つに、タイの経済事情が
関わっていると考えられる。
また、児童買春は経済だけでなく、子どもを売る親の個人的欲求という問題もある。
児童買春で有名な村がある。北部タイ バンサンルアン。この村の娘たちは、伝統的に大
きくなると売春婦になり、家族のためにお金を稼ぐことを期待される。12 歳になると売春宿
へ入り、家に仕送りをしはじめる。年齢が上がると、村へ戻って結婚し、次の世代の子ども
を育て、やがて、自分の子どもを今度は、北部の都市の売春宿へ送り込む。村の学校では、
このような習慣を変えようとしているが、多くの親からの激しい反抗にあっている。村の子
どもたちは、出て行った少女たちの一部がエイズになって村へ戻ってきて、死んで行くのを
目の当たりにしている。親たちは、
「一人の娘を売るだけで、10 年間は暮らしていける」と
言う。
ここで 1 つの疑問が浮かび上がる。バンサルアン村のように貧しいから生活のために子ど
もを売ると言われるが、ほんとにそうだろうか?
売春産業に自分たちの子どもを売る家庭は絶望的に貧しいだけではない。子どもを売って
得たお金は、テレビや冷蔵庫等の消費財を買うために使われることが多のだ。麻薬中毒の親
が子どもを売ったお金で麻薬を買うというケースもある。言い換えれば、人々は絶望的なほ
ど貧しいために彼らの子どもを売らざるをえないのではなく、彼らがなんらかの個人的欲求
を満たそうとして子どもを売るのである。どんなに貧しくても子どもを売らない多くの国や
コミュニティーが存在する。コミュニティーの中に、子どもの性的虐待に対する強い倫理的
憤りが必要である。売春宿に売られた子どもが親になった時、売春しか生きる術を知らなけ
ればその子どももまた同じ運命をたどってしまう。売春に変わる職業訓練だけでなく、それ
以上に基本的な問題、人生の価値や精神のあり方、子ども自身が自分を支える積極的ビジョ
ンが持てるような教育が必要不可欠である。
しかし、子どもを売る親、買春に関わる子どもたちを支援するだけでは、児童買春は解決
できない。子どもたちを買う側、つまり仲介人や私たち先進国のセックスツーリストにも焦
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点を当てるべきである。
セックスツーリストの中には、自分たちは子どもたちの家族が食べていけるだけのお金を
与え、子どもたちの家族を助けてやっているのだ、児童買春は慈善活動だと言う。しかし、
実際に利益を得るのは売春を管理している人々である。農村部を回って子どもを探すブロー
カー、地元の代理人(警察官がその役目を果たすこともある)、客引き、マッサージパーラー
や売春宿のオーナーなどである。子どもの家族にお金が入るのは、子どもを売ったその時一
回きりある。その後子どもが売春宿で何回客の相手をしても、子どもには一銭も入らず、も
ちろん家族にも入らない。客からの金は売春宿までの交通費や、食費、衣服費の借金として
全てオーナーにわたるのである。
1.3 闇の取引 〜臓器売買について〜 (
『闇の子どもたち』より)
児童売買は、生きたまま臓器を取り出され殺されていく子どもたちという闇の臓器取引を
生み出した。
日本の心筋症の子どもを助けるための臓器移植が行われることになった。日本の家族はア
メリカで手術を受けるよりも安い値段で、早く受けられると聞き、タイで臓器移植を行うこ
とを決意する。しかしこの臓器移植手術には、裏があった。
本来、臓器移植とは、提供者となるドナーとその家族の了承を経て成り立つものだ。その
ためドナーが現れるのを待たなくてはいけない。しかし、タイで行われる臓器移植は受ける
日本人の予定に合わせて行われる。そのため、アメリカなどでドナーが現れるのを待つより
早く手術が行える。この裏側には恐ろしい仕組みが隠されているのだ。
地方の村や都会のスラムには貧困により、子どもに教育を受けさせることのできない家庭
が多くある。また子どもたちを使って収入を得ようとする親もいる。子どもを使ってお金を
得る方法は 2 つある。
①仲介人に子どもを売る(児童売買)
②子どもを働きに出す(児童労働)
どちらのケースも多くは売春という仕事に就く。子どもたちは袋に入れられ、ばれないよ
うに売春宿に運び込まれる。男の子も女の子も、客と売春を行う。欲求を拒んだり、失敗を
したりすれば、店主から虐待を受ける。客との性交渉により、HIV にかかる子どもも少なく
はない。HIV が発症すると仕事ができなくなるため、ゴミ袋に入れられ、ゴミとして捨てら
れる。食事を与えずに見殺しにするケースもある。
一方、子どもを買う側の仲介人の仕事は、
○子どもを買い取り、売春宿などに売買する
○買い取った子どもをばれないように運ぶ
◎臓器移植を提供する子どもを差し出す
仲介人は、親から買った子どもの中から、臓器移植用に医者に差し出す。生きたままの子
どもに麻酔をかけ、殺し、その子の心臓を日本人の子どもに提供する。タイで行われる臓器
移植は「一旦契約を結べば絶対実施する」が合言葉である。そのため、念のために予備の子
どもも用意しておく。仲介人は、医者や売春宿に子どもを提供することでお金を得ているの
だ。
以上のように、闇の取引には、私たち先進国や貧困層の親、仲介の欲求によって子どもが
搾取されるという裏側がある。そして、闇の取引が横行する最大の問題点は、利害関係であ
る。日本とタイの両者の利害関係は一致している。
しかしこの交渉には日本人の子ども1人とタイ人の子ども1人の命の重みに違いあるのが
分かる。日本の医師・タイの医師・仲介人がグルになって行われている。
しかし、タイの殺される子どもを1人助けられたとしても、この仕組みが残ったままだと
また次の子どもが殺される。子どもは次から次へと用意することができる恐ろしい仕組みが
出来上がっているのだ。
売春でも同じことが言える。一人の子どもを助けても、それにより、ほかの子どもがまた犠
牲になる。タイの裏社会は仕組みを取り壊さなければ、抜け出せない無限のループができて
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いるのだ。
日本の家族
日本の医師
●一刻も早く
●安い値段で
●どうしても病気の子ど
もを助けたい
交渉成立
タイの医師
仲介人
●子どもはたくさんいる
●お金がもらえる
●1人殺しても変わりはいく
らでもいる
2.タイにおける HIV・AIDS
前章では、児童売買の現実、原因や問題点を述べた。本章では、児童売買、特に児童買春
によって引き起こされる HIV・AIDS の問題について触れていきたい。
現在(2006)
、タイの HIV 感染者は約 100 万人いると推定されている。その半数がチェンマ
イを中心とする北部タイに住み、感染者全体の 30%が既婚の女性であり、ゲイが 20%程度、
薬物静脈注射常用者が 10%となっている。
2.1 HIV・AIDS の歴史
1984 年にはじめてタイでの HIV 感染者はゲイだった。この感染者が報告された後も、大半
がゲイの HIV 感染者であり、1987~1988 年ごろには薬物の静脈注射針の使いまわしにより感
染が拡大した。
1989~1990 年ごろになると、sex worker とその顧客の性行為の感染が広まり、
母子感染へつながり、1990 年から 1991 年の間に母子感染が急激に増え大きな社会問題へと
なった。
2.2 タイにおける主な感染源
以下、3つがタイの主な感染源である。
性感染
薬物の静脈注射
母子感染
この3つのうち、圧倒的に多いのが性感染である。続いて、薬物の静脈注射、母子感染、
の順である。
(1994~2004 年の間)
※タトゥーによる感染がありうると答える人もいる。なぜならば、タトゥーをいれるとな
ると、小屋のようなところで施術を行うが、医学的な面からこの小屋が清潔とよべるところ
ではないからです。ただ、ここで忘れてならないのはタイではタトゥーは神聖で宗教的な意
味があり、タトゥー事態を非難することができない。
2.3 エイズ孤児
北部タイで 90 年代に爆発的に HIV 感染者は増え、大きな社会問題になった。このころに比
べると現在では、新規感染者数は抗 HIV 薬が登場や行政やNPOの政策により少し改善傾向
にあるという見方もできる。
そんな北部タイでひとつだけはっきりしていることがある。それは着実にエイズ孤児が増
えているということである。エイズ孤児とは両親をエイズで亡くしたこどもである。つまり、
新規感染者は減る一方、エイズによる両親の死亡によりエイズ孤児になってしまう。
3.児童買春に対する取り組み
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児童買春を解決するためには、ペドファイルや貧困の問題、個人的欲求など複雑に絡み合
った問題を 1 つ 1 つほどいていく必要がある。よって、児童売買を撲滅することは難しいこ
とは事実である。しかし、だからといって児童売買が横行する状況をただ見ているだけなの
だろうか?答えは、否である。タイ国内でも、児童買春を撲滅しようと数多くの取り組みが
ある。今回は、法律と支援団体の 2 つの視点からタイ国内の活動を見ていきたい。
3.1 児童買春に対する法律
女性と子どもの人身売買禁止法案(The proposed Bill on Traffic in Women and Children)
1928 年の人身売買禁止法の変わりに新しい法案として成立。他人の性欲の充足、および不
正な利益の搾取を目的に、18 歳未満の女性と子どもを売買、取引、移送、所有、監禁する事、
あるいは当人の同意の有無に関わらず性的行為を行なわせる事などの罪が含まれている。
刑法第 277 条
同意の有無に関わらず、妻ではない 15 歳未満の女子に強姦行為を行なう者は 4 年以上 20
年以下の拘束および 8000 バーツ以上 4 万バーツ以下の罰金に処する。13 歳未満の少女に同
上の罪を犯した加害者は 7 年以上 20 年以下の拘禁および 1 万 4000 バーツ以上 4 万バーツ以
下の罰金に処する。
売春防止及び取締法
第 8 条 自己又は他人の性欲を満足させる目的で、売春施設において 15 歳以上 18 歳未満の
者と成功し又はそれらのものに対しその他の行為を行なった者は、相手方の同意の有無に関
わらず、1 年以上 3 年以下の拘禁及び 2 万バーツ以上 6 万バーツ以下の罰金に処する。前項
による犯罪が 15 歳未満の児童に対し行なわれた時は、違反者は 2 年以上 6 年以下の拘禁及び
4 万バーツ以上 12 万バーツ以下の罰金に処する。行政もしくは警察の職員、この法律に基づ
く担当官、又は第 1 次受け入れセンターの職員もしくは保護・職業開発センターの職員であ
る時は、その者は 15 年以上 20 年以下の拘禁及び 30 万バーツ以上 40 万バーツ以下の罰金に
処す。
3.2 児童買春に対する取り組み
ECPAT (http://www.ecpatstop.org/)
1991 年に「アジア観光児童買春根絶国際キャンペーン(ECPAT)」として始まった。数々
の会議を開催し、売春問題を世界に広げたことで、アジア以外にも活動の拡大、発展してい
くこととなり名称を「児童買春・児童ポルノ・性目的の児童人身売買根絶運動」と変更した
( End Child Prostitution Child Pornography & Trafficking of Children for Sexual
Purposes) 様々な団体と協力して、子どもの買春根絶に取り組んでいる。活動には、ペドフ
ァイルの起訴や逮捕協力、旅行企業への買春ツアー禁止要請がある。
グルムアーサー
買春防止に関わりが深くストリートチルドレンのシェルターを運営しているチェンマイ
の NGO。活動として、外国人相手のパブ、路上での物乞い、ドラックやタバコを吸っている
子どものパトロールや、子どもの相談にのり文字の読み書き訓練を通じて新しい仕事につけ
る手助けを行なうとともに、道徳や口のきき方といった規則も教えている。他にも、ワクチ
ンを受けさせたり、髪の洗い方や体をきちんと洗うことや、靴を履く習慣をつけさせるなど
衛生指導も気を行っている。自分たちで出来る事は自分でという考えがあり、子ども自身が
生活を通して学び育んでいくことを大切にしている。
DEPDC(Development and Educational Program for Daughter and Communities 娘たちと地
域の開発・教育プロジェクト、http://www.depdc.org/info/pages/japanese.htm)
人身売買などによる強制的な性産業への従事やその他の搾取的な児童労働から子どもを守
る目的で、1989 年にタイ北部のメーサイに設立された。代表であるソムポップ氏は、子ども
たちが教育を受ける機会があれば、売春の道に進むことはないと確信し、寄宿舎で生活をさ
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せることで少女たちを人身売買、売春、その他の児童労働から守ることができると考えた。
そこで、ソムポップ氏は、作家の稲垣三千穂さんと The Daughters Education Program(DEP
=娘たちの教育プロジェクト)を立ち上げた。設立当初は 19 名の少女たちが生活していまし
たが、現在は DEPDC の周辺地域から通っている子どもも含め毎日 300 名以上の子どもが学ん
でいる。
性産業に売られそうな少女を引き留めるために、就学援助や職業訓練を行なうプロジェク
トを行なう。児童労働や性産業を子どもが強いられる事を防ぐことや、困難な状況にある子
どもたちへの教育支援、生活発展や職業技術訓練のチャンスを与える事、家族とコミュニテ
ィーを強くする事等を目的としている。
教育プログラム
○Daughters Education Program
子どものための学校教育プロジェクト。中等教育を提供している学校で、売春などへ巻き
込まれないように子どもたちの存在意義の確立を促進している。
○Half Day School
周辺地域やビルマからやって来る子どもたちに無料で教育を提供している。子どもたちは
午前中にタイ語、算数、社会的スキル、生活スキルを学び、午後は農作業をする。
○Mekong Youth Net
メコン川流域地域(タイ・ラオス・ビルマ・中国雲南省・カンボジアなど)から将来地域
のリーダーとなれる若者を集め、村の中でのリーダーシップのとり方や効果的な教育方法
などを学ぶ。人身売買にあった子どもたちがコミュニティに戻った時のサポート、地域の
NGO や政府組織とのネットワーク作り、人身売買が起こる要因の考察、子どもの人権の啓
蒙活動、地域住民と地域の行政機関との媒介などの役割を担っている。
○Community Learning Centre
非登録外国人、移民、タイとビルマの国境付近に住む住民たちのために、パソコンの使い
方、人権とは何か、タイ語、英語などの教育を提供している。性産業に巻き込まれる可能
性がある若者の他、地域の大人たちも対象としている。
○Mekong Study Centre in MaeSai
DEPDC 周辺の村において、子どもの人権、人身売買、性産業、HIV/AIDS などの問題につい
て調査を行っている。その調査結果を村に報告し、問題について村で考察してもらうこと
にしている。
○Life Skills (職業訓練)
子どもたちに様々な職業訓練を行っている。織物、ハンディクラフト、木彫品、タイや地
域独特の菓子作り、石鹸・ドライフラワー作り、農業、簡単なパソコンの使い方を教えて
いる。
○Mekong Regional Indigenous Child Rights Home
2002 年に DEPDC とチェンライ県山岳民族開発・福祉センターによって設立された施設。人
身売買や虐待の被害にあった子どもや両親が服役中の子ども、孤児など保護しているシェ
ルターの運営の他、子どもの権利の啓蒙活動、24 時間対応の緊急・相談電話サービスなど
を行っている。保護されている子どもたちはカウンセリングやリハビリを受ける。
参考:梁石日『闇の子どもたち』幻冬社文庫、2004 年。
ロン・オグレディ『アジアの子どもとセックスツーリスト』明石書店。1995 年。
谷 口 恭 ( NPO 法 人 GINA 代 表 、 医 師 )「 タ イ の HIV/AIDS 事 情 ( 総 論 )」 2006 年
http://www.npo-gina.org/sub4-aa.htm 「 増 え 続 け る 北 タ イ の エ イ ズ 孤 児 」 2006 年
http://www.npo-gina.org/sub4-k.htm。
「アジアの女性と子どもネットワーク」http://www.awcnetwork.org/
(谷内晶子、小西未紗、廣森実希、松浦千鶴)
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