インターネット上の著作権に関する考察 2007 年 1 月 31 日 阪南大学 経営情報学部 経営情報学科 5103146 西 1 啓吾 目次 1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P3 2.関連研究 2−1.インターネットの歴史・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P4 2−2.著作権法とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P11 2−3.P2P ファイル共有ソフトとは・・・・・・・・・・・・・・・・・P14 2−4.YouTube とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P22 2−5.インターネット上の著作権侵害事件・・・・・・・・・・・・・・・P23 3.Winny での著作権侵害対策の提案 3−1 Winny での違法ファイル検知方法の提案 3−2 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P26 4.まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P26 参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P27 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P30 2 1.はじめに 近年、インターネットが急激に普及し、多くの人がインターネットを利用している。イ ンターネットによって遠く離れた海外の情報など様々な情報を入手できる。しかし、イン ターネット技術の進歩によって音楽・アニメ・ゲームソフト・テレビ番組など著作権があ るデータを無断でダウンロードできてしまう Winny や WinMX といった P2P ファイル共有 ソフトが生まれた。 他にも動画を簡単にアップロードでき、誰でも簡単に無料で閲覧することができる YouTube などによって著作権や肖像権の侵害が起こっている。 しかし、これらを利用している人たちは罪の意識が薄く、安易に利用していると思われ る。こういった著作権侵害が起こって何年も経過しているが、的確な対策がとられていな いのが実情である。 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)と社団法人日本音楽著作権協会 (JASRAC)は 10 月 10 日の 18 時から 24 時の 6 時間で Winny による権利者に無許諾で送信 可能な状態に置かれているファイル実態調査を実施し、音楽ファイル 4.4 億円、コンピュー タソフトウェア等 95 億円を合わせて被害相当額が約 100 億円規模だと推定される[1]との 発表をおこなった。 今までは販売されている CD や DVD などはお金を支払って購入・レンタルするしか聴く ことや観ることができなかったが、P2P ファイル共有ソフトの出現によって無料で聴くこ とや観ることができるようになったため、CD や DVD の売り上げが落ちているのもファイ ル共有ソフトなども関係していると思われる。 ファイル交換ソフトの使用者は 130 万人以上、経験者 400 万人以上とも言われており決 して少ない人数ではない。 そこで、どうすればインターネット上で著作権が守られるかを考え、Winny での違法フ ァイル検知方法を提案する。 第2章では関連研究としてインターネットの歴史・著作権の歴史・P2P 共有ソフト・イ ンターネット上の著作権侵害事件などについて述べる。 第3章では Winny での違法ファイルの提案と考察を述べる。 第4章ではまとめを述べる。 3 2. 関連研究 2−1 インターネットの歴史 ここではインターネットの誕生から WWW の誕生までを歴史について触れる。 インターネットが作られるきっかけとなったのはスプートニックパニックという出来事 である。モスクワ時間 1957 年 10 月 4 日(金)AM1:22 にソビエト連邦が世界初の人工衛 星スプートニックの打ち上げにした[2]。(図1) 図1:スプートニック外観とその内部 それまで科学技術が世界一だと自負していたアメリカにとってはそれを脅威であった。 衛星を打ち上げることができる科学力を持っているソ連は核爆弾を落とせる技術もあると 考えたからである。アメリカは科学技術振興のために国防総省内に高等研究計画庁 (Advanced Research Projects Agency)略名=ARPA を創立した[3]。 1961 年にアメリカのユタ州の3つの電話中継基地がテロ組織に爆破される事件が起こっ た。これにより国防総省の回線が一時完全停止してしまうという事態になった。一箇所に 情報が集中しているとそこを破壊されると情報の伝達ができなくなり、指揮統制系統の途 絶は戦争においては致命的である。 国防総省は指揮統制プロジェクト(Command and Control Project)を ARPA に移管し、 核攻撃にも耐えうる通信技術の開発をカリフォルニアのサンタモニカにあるアメリカ空軍 4 創設のランド戦略研究所に依頼した。 ランド戦略研究所のポール・バラン氏は電信システムからヒントを得、さらに情報をパ ケット(小包)化する事で、いくつかの中継所が遮断されても情報を迂回させることによ って目的地まで伝達されるシステムの研究報告書「分散型通信について」を提出した[4]。 これが APRA に持ち込まれ APRA の J.C.R.リックライダー氏がこの計画を実行に移し、 APRA の情報処理技術室長のラリー・ロバーツ氏にネットワークの研究が委ねられ、コン ピューターはエンジニアのボブカーンが製作した。(図2)のコンピューターがルーターの元 祖である IMP(Interface Message Processor)である。 図2:IMP の正面写真 (1) 分散型ネットワーク 分散型ネットワークとは一箇所に依存することがないネットワークシステムである。(図 3)A・C間で通信をする場合、今までの通信ネットワークだとAからBそしてCへと通信 しなくてはならない。しかし中継点であるBに何らかのトラブルが生じ機能できなくなっ た場合、通信が成立しなくなってしまう。その対応策として中継点をBだけではなくDと いう中継点も利用できるようにする。これによって、もし中継点Bが機能しなくなっても 中継点Dを使うことによってA・C間の通信が可能になるというネットワークである[5]。 5 今までの通信ネットワーク A B C 分散型ネットワーク A B C D 図3:それまでの通信ネットワークと分散型ネットワーク (2) ARPANET の誕生 1969 年 9 月最初の拠点に UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が選ばれ IMP 第 1 号機が設置された。翌月 10 月 25 日 IMP2号機を設置した SRI(スタンフォード国際研究所) の計算機から UCLA の計算機へ最初のログイン(Log-In)に成功し、ARPANET の最初の メッセージが交換されました。メッセージの内容は 「Are you receiving this?(このメッ セージを受信していますか?)」であった[6]。その後、UCSB(カリフォルニア大学サンタ バーバラ校)と Utah(ユダ大学)に IMP が設置され 4 台のホストコンピューターが相互に接 続され、運用が開始された。こうしてパケット交換方式による分散型ネットワークが完成 した。このネットワークシステムは現在のインターネットシステムの原型といわれている (図4)。 このネットワークシステムは ARPA によって作られたので ARPANET (Advanced Research Projects Agency Network)と呼ばれた。完成当時はアメリカの4つの施設を結ぶ ものだった(図4)。その後徐々に接続箇所を増やしていった(図5)。 6 図4:ARPANET 開始時の4箇所のホストコンピューターの位置 図5:ホストコンピューター数の推移 1972 年には ICCC(コンピュータ通信国際会議)で世界初となるチャットが行われた。その 内容はスタンフォード大学にいる精神異常者と BBM 社にいる医者がその病気について会 話をするというものであった。1973 年には ARPANET がイギリスのロンドンカレッジ大学 とノルウェーの王立レーダー施設コンピューターと初の国際接続をおこなった。 7 (3) APRANET 以外のネットワークの誕生 ARPANET は国防総省と研究契約を結ぶことができる裕福な大学や研究機関だけを対象 とされたネットワークだったため誰でも接続ができるネットワークではなかった。 1979 年にアメリカのデューク大学とノースカロライナ大学が UUCP(UNIX-to-UNIX CoPy)接続を使った USENET(User’s Network)を開始された[7]。 1981 年には CUNY(ニューヨーク市立大学)と YALE(エール大学)を結んで開始された研 究機関を相互接続する BITNET(Because It’s Time Network)が開始。これは IBM 社のコン ピューターを結んだ国際的な学術ネットワークであった。 ウィスコンシン大学のランドウィーバ博士が NSF(National Science Foundation = 全米 科学財団)に創設を提案して創設して実現した CSNET(Computer Science Network)が開始 された。CSNET は ARPANET に接続できない大学や民間のコンピューター研究グループ が参加した。 1982 年には EUUG(欧州 UNIX ユーザーグループ)がオランダ・デンマーク・スウェーデ ン・イギリスを結ぶ EUNET が開始される。このように ARPANET 以外のネットワークシ ステムが次々と稼動し始めた。 1983 年は APRANET のプロトコルとして使われていた NCP(Network Control Program)を資金提供を行っていた国防省側の方針で正式に TCP/IP 変更された。 CSNET と ARPANET 間でゲートウェイ接続ができるようになり、相互通信が可能にな った。APRANET から軍事機関が切り離され、大学間を結ぶネットワークは APRANET と して残り、軍事機関のネットワークは MILNET(MILitary NETwork)としてその役割がわ けられた[8]。 (4) 日本でのインターネット 1984 年に日本で UUCP 接続を使った JUNET(Japan University NETwork)が開始され た。これは東京大学、慶応義塾大学、東京工業大学を結ぶ研究ネットワークで最終的には 約 700 の機関を結ぶネットワークになった。これが日本におけるインターネットの先駆け となった。1994 年には実験ネットワークとしての役割を終え停止した[9]。 (5) NSFNET の誕生 1986 年には、アメリカ政府機関であった NSF が5つのスーパーコンピューターセンタ 8 ー(プリンストン大学、ピッツバーグ大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校、イリノイ 大学アーバナシャンペイン校、コーネル大学)を CSNET が再構成し、培った技術を元に学 術機関を結ぶネットワーク NSFNET(National Science Foundation NETwork)(図6)が運 用開始された。これがのちにインターネットの中心となるネットワークになる[10]。1989 年には NSFNET が APRANET を吸収した。 図6:NSFNETを結んだ5つのスーパーコンピューターセンター (6) 商用利用の解禁と WWW の誕生 それまでのネットワークシステムは軍事・研究・教育目的で作られ AUP(Acceptable Use Policy)という規則があり商業目的での使用は禁止されていたが、1990 年に NSF はインタ ーネットの商用利用が解禁される。翌年 1991 年には CERN(Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire)の研究員ティム・バーナーズ=リー氏によって WWW(World Wide Web)が開発された。 WWW (World Wide Web)とは直訳すれば「世界に張り巡らされている蜘蛛の巣」という 意味である。情報と情報がハイパーリンク繋ぐ事ができる WWW では HTTP(HyperText Transfer Protocol)というプロトコルが使用されていて、URL(Uniform Resource Locator) を指定することで WWW サーバーに公開されている情報を受け取ることができる。情報と 情報がハイパーリンク繋ぐ事ができる。WWW を閲覧するには WWW ブラウザが必要だっ た。 1995 年にはアメリカがインターネット接続を完全商業化し、Microsoft 社によって発売 された Windows95(図7)に導入されていた Internet Explorer によって一般個人でのイ 9 ンターネットの利用が爆発的に増える要因となった[11]。最後にインターネット誕生から Windows95 の発売までの歴史を表1で示す。 図7:Windows95 表1:インターネットの誕生から Windows95 発売までの歴史 1957 年 1961 年 ソ連が世界初の人工衛星スプートニクの打つ上げに成功。 国防総省が APRA を創立 アメリカの電話中継基地がテロ集団によって爆破される。 米レオナルド・クラインロック氏が「パケット交換理論」の論文を発表 1964 年 ポール・バラン氏が「分散型通信について」の研究報告書を ARPA に提出。 1969 年 ARPANET が4つのコンピュータを結び開始される。 APRA の名称が DAPRA に改称される。 1972 年 レイ・トムリンソン氏が電子メール(e-mail)の基本プログラムを作成 世界初のチャットがおこなわれる 1973 年 ヨーロッパ 4 国を結ぶ EUNET が開始される。 ARPANET のプロトコルとして TCP/IP が完成(かんせい) 1976 年 AT&T のベル研究所がネットワーク接続のためのソフトウェア UUCP を開 発。 1981 年 1982 年 1983 年 BITNET・CSNET が開始される。 ヨーロッパ 4 国を結ぶ EUNET が開始される。 ARPANET のプロトコルとして TCP/IP が完成(かんせい) ARPANET が接続手段を NCP から TCP/IP に正式に変更。 10 CSNET と ARPANET 間でゲートウェイ接続する。 ARPANET から軍事用ネットワーク(MILNET)が分離。 1984 年 日本で JUNET が創設される。 DNS(ドメインネームシステム)が導入される。 1986 年 NSFNET が開始される。 JUNET が CSNET に接続される。(日本で初の海外接続) 1990 年 ARPANET のプロジェクトが終了。 インターネットの商用利用が解禁される。 1991 年 WWW(World Wide Web)が開発される 1992 年 日本で最初の ISP(プロバイダ)IIJ(Internet Initiative Japan)と、日本イ ーエヌエス AT&T(AT&T Jens)が設立。商用 UUCP サービス開始される。 1993 年 ホワイトハウスがインターネットに接続。 1995 年 Windows95 が発売される。 2−2 著作権法とは ここでは著作権法がどのようにできたか、著作物の種類・著作権の種類について触れる。 著作権の保護の歴史は 15 世紀中頃の印刷術の始まったといわれ、ヨーロッパ諸国では 18 世紀から 19 世紀に著作権を保護する法律が作られた。また、多くの国が陸続きのヨーロッ パは国を超えて著作権を保護しなくていけないので、二国間条約による相互保護が行われ たが、1886 年に 10 カ国が集まり、スイスのベルヌで著作権の国際的保護条約の1つであ る「ベルヌ条約」(文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約)が作られた[12]。日 本は 1899 年に加盟している。 著作権法とは文学、美術、音楽などの人間の創造物を守るための法律で、明治32年に 旧著作権法が制定された。著作権法原文によると「著作物並びに実演、レコード、放送及 び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公 正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること を目的とする。」と規定されている[13]。昭和45年に内容が改められ、現在の著作権法が できた。著作権法は新しい技術などに対応しなければならないので毎年のように改正され ている。 日本での著作権の原則保護期間は著作者が著作物をしてから著作者の死後50年までと されている。原則保護期間が死後50年ではない国もある。アメリカ・イタリア・ドイツ・ トルコ・ハンガリー・フランス・ブラジルなどは死後70年、イランは死後30年である。 11 日本では著作権関連16団体からできている「著作権問題を考える創作者団体協議会」が 他の先進国のように保護期間を死後50年から死後70年に延長するように求める共同声 明を発表している[14]。 (1) 著作物の種類 著作物は著作権法によると「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学 術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」[1]と書かれている。 著作権法上保護の対象となる著作物は以下のものが認められている。 ① 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物 ② 音楽の著作物 ③ 舞踊または無言劇の著作物 ④ 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物 ⑤ 建築の著作物 ⑥ 地図または図形の著作物 ⑦ 映画の著作物 ⑧ 写真の著作物 ⑨ プログラムの著作物 ⑩ 二次元著作物 ⑪ 編集著作物 ⑫ データベース著作物 ①言語著作物とは、思想または感情が言語によって表現されている著作物である。 小説・脚本・論文及び講演が言語の著作物の代表的な例であるが、このほか詩・短歌・俳 句・落語・講談・漫才台本・演劇台本・記録文書などがある。キャッチフレーズ・標語・ スローガンなどは言語の著作物とは考えられていない。 ②音楽著作物とは、思想または感情が旋律もしくは音によって表現される著作物である。 音楽著作物は、通常楽譜に表示されているが、著作権法が保護するのは楽譜ではなく、音 楽、すなわち旋律そのものである。著作権法が音楽著作物として保護するのは歌手が歌っ ている曲と歌詞ではなく作詞家や作曲家の創造物を保護するということである。 ③舞踊著作物とは、思想または感情が振付けによって表現されている著作物である。日 本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付けを保護している。 ④美術著作物とは、思想または感情が線・色彩・明暗によって平面的・立体的に表現さ れている著作物である。絵画・版画・彫刻・書・漫画・劇画などがこれに属される。 ⑤建築著作物とは、思想または感情が土地の工作物によって表現されている著作物であ 12 る。通常のどこにでもあるような住宅やビルは、著作物とはいえない。しかし、博物館・ 美術館・寺院や宮殿などのように芸術性の高い建築物だけが保護されるというものではな く、一般住宅などでも、美的・芸術的な外観を含んだものと認められる場合には、建築著 作物として保護される。 ⑥図形著作物とは、思想または感情が図の形状・模様によって表現されている著作物であ る。地図・図面・図表などがこれに当たる。図面とは、いろいろな機器の設計図。図表と は、グラフや各種分析表、図解。模型とは、研究開発の過程で作成される開発対象物の模 型などがこれに当たる。 ⑦映画著作物とは、思想または感情を映像と音の連続によって表現されている著作物であ る。映像が動きをもって見えるという効果を生じさせるものは、映画ということになる。 したがって、劇場用映画だけではなく、テレビの番組や市販のビデオや DVD などに収録さ れたものも映画ということになる。 ⑧写真著作物とは、思想または感情が一定の映像によって表現されている著作物である。 著作権法では、写真の著作物を「写真の制作方法に類似する方法を用いて表現される著作 物を含む」(著作権法2条4項)と規定している。したがって、いわゆる写真のほかに電送写 真などを含むとともに、デジタルカメラで投影された写真も含む。 ⑨プログラム著作物とは、昭和60年の著作権法の一部改正によって、コンピュータ・プ ログラムも著作物として保護されるようになった。著作権法は、プログラムを「電子計算 機を機能させるための指令の組合せ」として定義している(著作権法2条1項10の2号) これを著作物として保護している。 ⑩二次的著作物とは、著作物を翻訳・編曲・変形・脚色その他翻案することで創作した著 作物ある。翻訳とは、ある言語の文章を別の言語に変換することである。 ⑪編集書作物とは百科事典、文学全集、判例集、新聞、雑誌のように、その中に収録され ている個々の素材とは別個に、その全体の構成において、その素材の選択または配列が創 作性を有するものをいう。(著作権法12条1項) ⑫データベース著作物とは、論文、数値、図形その他の集合物であって、それらの情報を 電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものである。 (2) 著作権の種類 著作権の種類を大きく分けると以下のとおりである。 ① 複製権 ② 上演権・演奏権 ③ 上映権 ④ 公衆送信権・伝達権 13 ⑤ 口述権 ⑥ 展示権 ⑦ 頒布権・譲渡権・貸与権 ⑧ 翻訳権・翻案権・二次的著作物の利用権 ①の複製権とは、印刷や複製によって書籍を作成する行為やプレスして CD を作成する行 為のように複製物を作成する権利である。「複製」とは、著作物を、印刷、写真、録音、複 写、録画その他の方法によって、有形的に再製することをいう(著作権法2条1項 15 号) 著作権は英語で「COPYLIGHT」といい、これは複製する権利という意味である。よっ て複製権は著作権でもっとも重要な権利である[14]。 ②の上演権とは、著作者が公衆の前で著作物を演奏・歌唱以外の方法で上演することがで きる権利である。演奏権とは著作者が公衆の前で著作物を演奏・歌唱する権利である。 ③の上映権とは機器(映写機・パソコン・テレビ等)を使い著作物を公衆に上映する権利で ある。上映とは「著作物を映写幕その他の物に映写すること」(著作権法2条1項 17 号) という。以前は、上映権の対象は映画の著作物だけだったが、映像技術の進歩によって平 成 11 年に改正されすべての著作物が対象になった。 ④の公衆送信権・伝達権とは、著作者が著作物を公衆に対して自動公衆送信・放送・有線 放送をすることができる権利である。主にテレビ・ラジオ・インターネットでの配信など である。後に述べる P2P ファイル共有ソフトなどでの違法ファイルのアップロードはこれ にあたる。 ⑤の口述権とは、著作者が著作物を公衆の前で口頭で伝えることができる権利である。例 えれば、小説家が自分の書いた小説を公衆の前で朗読することなどである。 ⑥の展示権とは美術の著作物と未発行の写真著作物の原作品を公に展示する権利である。 原作品とは美術の著作物であれば、画家が書いた絵である。 ⑦の頒布権とは映画著作物をだけに認められており、複製物を頒布(販売・貸与など)す る権利である。譲渡権とは映画著作物以外の原作品又は複製物を公衆へ譲渡する権利であ り、貸与権とは映画著作物以外の複製物を公衆へ譲渡する権利である。 ⑧の翻訳権・翻案権とは著作物を翻訳、編曲、変形、翻案できる権利である。例えれば、 作品を翻訳する場合は著作者の許可が必要となり、著作権使用料を支払わなければならな い。二次的著作物の利用権とは、二次的著作物の著作者と同じ権利を原著作者も持つとい う権利である。例を挙げると、英語で書かれた小説を日本語に翻訳してそれを出版する場 合は、翻訳者の許可だけではなく原作者の許可も必要なのである。 2−3 P2P ファイル共有ソフトとは ここでは P2P ファイル共有ソフトについて・ソフトの歴史などを述べる。 14 P2P とは、「Peer to Peer」の略で日本語にすると[対等と対等]という意味である。つま り対等な動作をするコンピューターの主従関係がないシステムである[15]。 現在の一般的なネットワークは(図8)のサーバー/クライアント型である。簡単にいうと、サ ーバーはサービスの提供者であり、クライアントはサービスを受けるお客様である。この ように立場がはっきりと分かれているのがサーバー/クライアント型である。 サーバー/クライアント型の欠点は、サーバーがネットワーク全体を管理しているのでサ ーバーの機能が停止するとシステム全体が使えなくなってしまうことである[16]。このシス テムはクライアントだけでは機能しないのである。システムの利用者が増え、サーバーに リクエストが集中すると、サーバーにかかる負荷が高くなることなどがある。 これとは対照的に P2P モデルでは各自のピアがサーバー機能とクライアント機能の両 方の動作をすることができる。つまりピアの役割を固定せずに状況に応じて変化させるこ とができるということである。両方の動作ができるということから P2P のピアはサーバン ドとも呼ばれている[17]。これによってピア同士の直接通信が可能となった。 P2P ファイル交換ソフトに使われる主なモデルはハイブリッド P2P(Hybrid-P2P)モデル とピュア P2P(PureP2P)モデルである。ハイブリッド P2P は中央サーバー型とも言われて いる。ピュア P2P は純粋型とも言われ、ハイブリッド P2P は後に紹介する Napster や WinMX、ピュア P2P は Gnutella,や Winny などに利用されている。 サーバー 図8:サーバー/クライアント型 (1) ハイブリッド P2P 15 ハイブリッド P2P とはクライアント/サーバー型と P2P がハイブリッドしたモデルであ る。(図9)ハイブリッドを日本語に直すと「組み合わさった、混合」という意味である。 データの所在情報は固定的なサーバーが引き受ける。このようなサーバーのことをインデ ックス・サーバー(Index Server)という。Index とは「索引」・「目録」などの意味がある。 データの転送はノード同士で行うことができるが、このモデルはクライアント/サーバー 型の要素も受け継いでいるので、インデックスサーバーが停止すると全体が機能しなくな ってしまう欠点がある。 サーバー クライアント クライアント 図9:ハイブリッド P2P (2) ピュア P2P ピュア P2P とはハイブリッド P2P とは違い、データ所在情報の探索を行うインデックス・ サーバーが必要なく、その名の通り純粋にピアのみによって構成されているピア同士が検 索・データ送信などすべてを行うモデルである(図 10)。データ検索はフラッディング (Flooding)というデータ探索技術が用いられている。 フラッディングとは洪水という意味で、ネットワーク用語としては、「送信可能な全ての ノードに対して(洪水のように)データを送る」という意味がある。ピュア P2P のノードは 他の複数のノードと定常的な接続を張るのが基本である。例えれば、Aのノードがあるフ ァイルが欲しいとき、まず自分が直接接続しているノード(近接ノード)へ問い合わせる。問 い合わせを受けた近接ノードが該当ファイルを持っていればファイルの転送が行われる。 次は A の問い合わせを受けた近接ノードが該当ファイルを持っていなかった場合は、そ 16 の問い合わせを別のノードに渡す。こうやってバケツリレーのように伝搬して、該当ファ イルを持っているノードまで届けられる。その返答問い合わせの伝搬経路を逆に進んで A に届けられる。その後はピア同時の直接接続が行われファイルの転送が行われる。 ピュア P2P はインデックス・サーバーが必要ないのでシステムが停止する心配がないが、 逆に一度システムが稼動してしまえばシステムを停止されるのは不可能に近い。また、ノ ード数が増加すると探索による帯域圧迫が起こるというデメリットが起こることが欠点で ある。 図 10:ピュア P2P (3) スーパーノード型ハイブリッド P2P スーパーノード型ハイブリッド P2P とはハイブリッド P2P とピュア P2P の利点を生かし たモデルである。文字通りハイブリッド P2P の一種なのだが、インデックス・サーバーの ような固定されたサーバを持たないのが大きな違いである。インデックス・サーバーの役 割をするのはスーパーノードと呼ばれる特別なノードである。スーパーノードは固定的で はなく、システム内の一般ノードの中で特別な条件を満たすものが任意で選ばれる。スー パーノードはシステム内の一般ノード数に対して一定の割合に流動的に変化します。スー パーノードが固定的ではないのでたとえスーパーノードがダウンしたりしても一般ノード からまた新しく選ばれるのでシステムの停止はない。またスーパーノード群がデータの探 索を行うので一般ノードはピュア P2P のように探索ボランティアをしなくていいので、探 索による帯域圧迫が起こらない。スーパーノード型ハイブリッド P2P が使われている共有 17 ソフトは KaZaA である。P2P-IP 電話ソフトの Skype もこのシステムを使用している。 スーパーノード群 図 11:スーパーノード型ハイブリッド P2P (4) Napster Napster(ナップスター)とは 1999 年 1 月にアメリカの Napster 社が発表した MP3(MPEG Audio Layer 3)などの音楽ファイルをユーザー間で転送できるアプリケーションソフトで ある。これは米マサチューセッツ州ボストンにあるノース・イースタン大学の学生であっ たショーン・ファニング氏が大学の友達間で音楽共有する目的で製作した[18]。このソフト はファイル共有ソフトという分野を確立した画期的なものだった。Napster は P2P ファイ ル共有ソフトの第1世代に分類されている。 この仕組みはハイブリッド P2P(Hybrid-P2P)モデルである。(図 11)が示すように、ユー ザーがパソコンに保存されている音楽ファイルのリストを Napster 社が管理するサーバー に送信し、他のユーザーは自分が欲しい音楽ファイルのキーワードをサーバーに送信し、 それに合った検索結果がサーバーから送信される。その情報を元に、その音楽ファイルを 持っている他のユーザーと直接通信をして音楽ファイルをダウンロードする。サーバーは ファイル検索のデータベースの提供とユーザーの接続管理だけ行っているので、サーバー への負荷は少ない。こういった仕組みはインターネットの新しい利用形態をした大規模な サービスだったため後にクローンソフトなどが次々と開発されていった。代表的なクロー ンソフトは WinMX・napchan などである。 当時はアメリカの大学生の間で大流行し、全米で話題になったが流通している音楽ファ イルの大多数が CD から不正コピーした音楽ファイルだったため全米レコード協会(RIAA) 18 などに提訴された。この裁判に Napster 社が敗訴し、このサービスを停止させた。 検索 サーバー 音楽リスト 音楽ファイルの転送 図 11:Napster で使われているハイブリッド P2P 2003 年 5 月にアメリカのソフトウェア会社 Roxio 社に買収され、同年 10 月にシステム を一新し、有料の音楽配信サービスとして運営している。 日本でも 2005 年にタワーレコード株式会社と合併してナップスタージャパン株式会社を 設立し、2006 年 10 月 3 日に日本での音楽配信サービスを開始した。(図 12) 図 12:Napster Japan 公式サイト 19 (5) Gnutella Gnutella(グヌーテラ)とは個人間でファイル交換が可能なアプリケーションソフトである。 このソフトはこのソフトは P2P ファイル共有ソフトの第2世代と分類されており、この仕 組みはピュア P2P(PureP2P)モデルである。 これは Nullsoft のジャスティン・フランケル氏とトム・ペッパー氏によって開発され、 2003 年 3 月にインターネットで公開されたが、買収先であった AOL(アメリカ・オンライ ン)社によって数時間後に削除された[19]。これは AOL 社が Gnutella も Napster と同様に 著作権侵害を助長させる可能性があると判断したためである。また、 当時 AOL 社は Napster と著作権訴訟で争っていた Time Wamer 社との合併話があったからではないかと考えられ る[20]。しかし、それまでに多くのユーザーにダウンロードされてしまった。Napster は MP3 などの音楽ファイルのみ転送だったが写真・ビデオ・文書などのあらゆる形式のファ イルが転送できるようになった。(図 13) その後リバースエンジニアリングによって仕様が明らかになるとを次々とクローンソフ トが生まれた。 代表的な Gnutella クローンは BearShare・LimeWire・Gnucleus など である。 図 13:Gnutella の画面 (6) Winny 20 Winny(ウィニー)とは匿名掲示板サイト2ちゃんねるのダウンロード板で開発された日 本で生まれたファイル交換ができるアプリケーションソフトである。名称の由来は同時流 行していた WinMX の次を目指すという意味で M・X の次のアルファベットの N・Y とし、 Winny という名称になった[21]。このソフトも Gnutella と同じピュア P2P(PureP2P)モデ ルを使用しているが、キャッシュ機構を備え匿名性も高くなったので、キャッシュ機構を 備えている P2P ファイル共有ソフトを第三世代と分類する[22]。 開発者は元・東京大学院情報理工学系研究科助手の金子勇氏で開発を宣言した2ちゃん ねるのスレッドのレス番号から 47 氏と呼ばれていた。金子氏によると Winny は Freenet を参考にして作り、目指したのは匿名性と情報共有効率の両立だった[23]。 著作権侵害の温床となっている Winny でも個人情報の漏えいが大きな問題になっている。 入手したファイルからコンピュータウィルスに感染してしまい、パソコン内のスクリーン ショットや電子メールデータなどが知らないうちに共有ファイルになり、Winny ネットワ ーク上にばら撒かれている(図 14)。 図 14:Winny 経由で情報が漏えいする仕組み 会社の仕事を自宅のパソコンでしていてウィルスによって情報が漏えいしたケースも少な くない。個人や民間企業だけではなく警察・陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊などの 官公庁からも国家の機密情報が漏えいした。 2006 年 3 月 15 日に当時の内閣官房長官の安部晋三がこういった情報漏えいについて「情 報漏えいを防ぐ最も確実な対策は、パソコンで Winny を使わないこと」という異例の注意 を呼びかけた[25]。漏えいした情報はいつまでも誰かが共有アップロードしている限り Winny ネットワーク上に残り続けるため削除したくてもできないので対処が難しいのであ る。(図:15) 21 図 15:Winny の画面 2−4 YouTube とは ここでは YouTube の歴史と YouTube での著作権侵害について述べる。 YouTube とは、アメリカの YouTube 社で運営されているオンライン上で動画を共有し、 閲覧できる Web サイトである。2005 年 2 月にアメリカ・カリフォルニア州サンマテオで 設立された。CEO(Chief Executive Officer)のチャド・ハーリー氏は設立のきっかけは、ビ デオ映像を簡単に誰でも共有したかった[26]と述べている。Tube とは「ブラウン管」とい う意味である。サービスはすべて無料で利用でき、動画をアップロードするにはユーザー 登録をしなければならないが、YouTube を閲覧するだけならユーザー登録をしなくてもよ い。 ユーザーがアップロードした動画を Flash Video 形式に変換することによって YouTube 上 で公開される。プレスリリースでは 2006 年 4 月 21 日 時点で 4000 万の動画があり、日に 3 万 5 千の動画がアップロードされているとの発表された[27]。 しかし、アップロードされている動画ファイルの中にはテレビ番組やコマーシャル・ミ ュージッククリップなどの著作権侵害している違法コンテンツが多数確認された。YouTube の利用規約では著作権侵害のファイルのアップロードを禁止しているが、効果がなく無法 地帯と化していた。これを受けて 2006 年 3 月 28 日、アップロードできる動画ファイルの 長さが 10 分間まで制限したが、動画を分割してアップロードしているためあまり成果が見 られなかった。YouTube 社も 2006 年 6 月頃から違法コンテンツを YouTube 上からの削除 作業を開始したが、現在でも違法コンテンツは多く、削除した違法コンテンツを再びアッ 22 プロードするユーザーなどもいるのでなかなか数が減らないのが現状である。 2006 年 10 月 9 日にアメリカのソフトウェア会社の Google によって約 16 億 5000 万ド ルで買収され子会社になった。アメリカ・Time Warner のディック・パーソンズ会長は「利 益を生み出せないでいる YouTube よりも,金持ちの Google を相手にした方が,交渉のし がいがあるということか。」[28]と述べたように抗議対象が大手企業 Google になったことに より、著作権侵害された側は抗議しやすくなったのではないだろうか。 2006 年 10 月 20 日に JASRAC(社会法人 日本音楽著作権協会)や NHK(日本放送協会)な どの日本のテレビ局・著作権団体が合同で削除申請し、著作権侵害しているとされる約 30000 件もの違法コンテンツが削除された[29]。また、2006 年 12 月 5 日に 23 の著作権関 係権利者の団体・事業者が YouTube 社に著作権侵害行為を未然に防ぐ 具体策の実施を要請 した[30]。 2006 年 12 月現在では、日本からのユーザー登録受付が著作権侵害の動画ファイルがア ップロードされるという理由で出来なくなり、アメリカのみが可能である[31]。(図 15) 図 15:YouTube 公式サイト 2−5 インターネット上の著作権侵害事件 ここではインターネット上での著作権法侵害事件の例を挙げて述べる。 ①プレイボーイ対フレナ事件とは、フレナ社が経営するパソコン通信の会員が、プレイボ ーイ社に著作権があるプレイボーイ氏に載っていた 170 枚の写真をスキャナでデジタル化 して電子掲示板(BBS)にアップロードし、フレナ社の会員が自由にダウンロードできるよう 23 にした事件である[32]。 原告プレイボーイ・エンタープライズ社が、著作権侵害及び商標権侵害を主張してフレナ 社を訴えた。この会員の行為を裁判所は著作権侵害行為と認定した。 ②セガ対マフィア事件とは、マフィアという電子掲示板を運営していた管理者がセガ・エ ンタープライズ社のゲーム機用のソフトをアップロードできるようにしていた。利用者が ダウンロードするときに料金を徴収していた。セガ・エンタープライズ社がサービスの差 し止めを求めて、提訴したのである。裁判所はアップロード時・ダウンロード時のいずれ もゲームソフトを複製しているとして著作権侵害していると認めた[33]。 ③2001年 11 月 28 日に京都県警が P2P ファイル共有ソフトの WinMX を使ってビジネ スソフトなどを交換可能な状態にしていたとし、東京都杉並区内の大学生(19)とさいた ま市の専門学校生(20)を著作権法違反(公衆送信権侵害)の疑いで逮捕された。大学生は約 100 タイトル(総額 700 万円相当),ファイル数は 2400 ファイル。専門学校生は 500 ファ イルを交換可能にしていた疑いである。この逮捕はファイル共有ソフトで刑事摘発される 事例は世界でも始めてだった。 ④2003 年 11 月 27 日に京都府警と五条署は P2P ファイル共有ソフトの Winny でゲーム ソフトなどをダウンロードできる状態にしていたとして松山市の無職少年(19 歳)と群馬 県高崎市の自営業男性(41 歳)を著作権法違反(公衆送信権の侵害)の疑いで逮捕した。 無職少年は任天堂「スーパーマリオアドバンス」とハドソン「ボンバーマンストーリー」 などのゲームソフト、自営業男性は映画「ビューティフル・マインド」などの映像ソフト を交換可能にした疑いである[34]。 ⑤2004 年 5 月 10 日に京都県警が P2P ファイル共有ソフト Winny を開発し、ユーザー が著作物を違法複製できるようにしたとの理由から著作権法違反ほう助容疑で当時・東京 大学院情報理工学系研究科助手の金子勇氏を逮捕した。2006 年 12 月 13 日に京都地方裁判 所で判決が行われ、被告に罰金 150 万円の有罪判決が下された。被告はこれを不服と控訴 しており、裁判はまだ終わってはいない。 金子氏はこの判決は「ソフトを開発しただけで罪に問われるなら、日本の開発者の足か せになる」[35]と語っており、この判決による日本のソフト開発技術者がソフトを開発する のをためらってしまう可能性があるからだ。 ⑥2006 年 12 月 20 日に中国で初の P2P ソフトによるインターネット上の著作権侵害裁 判で被告側に人民元 20 万元(日本円約 300 万円)支払うようにとの判決が下された。こ の P2P ソフト(酷楽)は月額 200 元(日本円約 300 円)で入会でき数十万の楽曲をダウン ロードし放題だったが、その大多数が版権を持つ会社などに無許可だった[36]。 24 3.Winny での著作権侵害対策の提案 3−1 Winny での違法ファイル検知方法の提案 ここでは Winny で違法ファイルをアップデートしているかを検知する方法を提案する。 Windows などの OS(Operating System)に違法ファイル検知機能とアップロードされては 困るという情報を自動的にファイルに埋め込む機能を導入し、もしそのパソコンが違法フ ァイルをアップロードした場合、アップロードしているユーザーの情報が契約しているプ ロバイダに送信され、警察に通報されるというシステムである。(図 16) 違反者を通報 警察 違反者の情報を送信 図 16:違法ファイル検知から通報までの流れ まずこの提案には、今後発売されるコンピューターの OS に違法ファイル検知機能とアッ プロードされては困るという情報を自動的にファイルに埋め込む機能が導入されているこ とが条件である。 アップロードされては困るという情報を埋め込む機能とは、新しくファイルができると 自動的に「このファイルはアップロードされては困る」という情報が埋め込まれ、違法フ ァイル検知機能に引っかかるようにすることだ。以降、アップロードされては困るという 情報を「UL×情報」と呼ぶことにする。 違法ファイル検知機能とは Winny 稼動中にアップロードできる状態にしているファイル を検索し、その中に UL×情報が埋め込まれているファイルが存在した場合、ユーザーが契 約しているプロバイダに IP アドレスなどの情報が送信され、プロバイダは IP アドレスか 25 ら違反者と特定し、警察に通報するというシステムである。このシステムが使われれば Winny などでの違法ファイルのアップロードができなくなり著作権が守られる。 3−2.考察 ここでは、Winny 対策ソフトと提案を比較する。 現在 Winny プログラムを検知し、Winny を削除するソフトなどがあるが、そもそも Winny は共有されているファイル全てが違法ファイルではないので、Winny 自体には違法 性はない。Winny を使って違法ファイルをアップロードしている人が悪いのである。Winny 自体を使えなくするのはいいことなのだろうか。しかし、私の提案なら Winny は利用でき るので問題はない。 次に、会社で使うパソコンにはウィルスによる情報漏えいを防ぐために全てのパソコン にインストールするだろうが、個人が使うパソコンで違法ファイルをアップロードしてい る人はわざわざこのソフトをインストールするとは考えられない。しかし、私の提案なら ば、最初から違法ファイルを検知する機能が内蔵されているので違法ファイルをアップロ ードするのは難しい。 インターネットとは私たちに多くの情報を得る道具として、また通信手段として今では、 なくてはならない存在だといっていい。しかし、そのために著作権侵害が増えたこと事実 である。P2P 共有ソフトに使われている P2P 技術はすばらしいシステムだが、それを悪用 する人が多く存在する。つまり、技術の進歩は大変すばらしいことだが、便利になりすぎ て悪事を働くケースが多くなる。そのシステム自体が悪とみなされてしまう。対策をしっ かりとり、悪用されたことはすぐに対応できるようにしなければならない。第3章で述べ た提案などで健全なシステム利用が行われ、著作権が守られ違反行為をする人を厳しく罰 しなければ、その P2P システム自体が悪とみなされてしまう。国・企業などがしっかりし なくてはいけない。 4.まとめ インターネットの歴史はアメリカが核攻撃時でも使える通信システムを研究するところか ら始まった。その後、次々とネットワークが開発され WWW の登場で一般利用者に普及し て現在に至る。インターネット発展と共に P2P ファイル共有ソフトが誕生した。 P2P ファイル共有ソフトはサーバーを使わずにクライアントだけでファイルの転送が行 え、進化を続け匿名性の強化や色々な種類のファイルが共有できるようになり、著作権侵 害の温床となった。インターネット上の著作権侵害の対策として Winny を例に挙げ OS に 違法ファイルのアップロードを検知する機能とアップロードされては困るという情報を自 26 動的にファイルに埋め込む機能の導入を提案した。 参考文献 [1]JASRAC 公式ホームページ プレスリリース http://www2.accsjp.or.jp/topics/release2.html [2]ウィキペディア 人工衛星 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F [3]メディア歴史館 インターネット年表 http://www.kids.soumu.go.jp/history/nenpyo/internet.html [4]インターネットの歴史 http://hp.vector.co.jp/authors/VA008237/f9.htm [5]ネットワークお助けマニュアル インターネットの歴史 http://www.aibsc.jp/joho/otasuke_m/basic/02/01.html [6]インターネットの起源 http://www.scollabo.com/banban/tips/kigen.html [7]インターネット関連年表 http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/i_history.html [8]オンライン・コンピューター用語辞書 http://www2.nsknet.or.jp/~azuma/a/a0222.htm [9]インターネットの歴史 http://rose.zero.ad.jp/~zac86215/ITWWWfiles/103.htm [10]ホッブスのインターネット年表 http://museum.scenecritique.com/lib/defcon0/hc/rfc2235-jp.txt [11]インターネット関連年表 http://www.asahi-net.or.jp/~ax2s-kmtn/ref/i_history.html 27 [12]ウィキペディア ベリヌ条約 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%AD%A6%E7%9A%84%E5%8F%8A%E3 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[25]CNET Japan http://japan.cnet.com/news/sec/trackback/0,2000056568,20098647-2,00.htm [26]ウィキペディア YouTube http://ja.wikipedia.org/wiki/YouTube [27]BLOG360 YouTube とは http://epedia.blog360.jp/YouTube [28]メディア・パブ http://zen.seesaa.net/article/25436222.html [29]はてなダイヤリー YouTube http://d.hatena.ne.jp/keyword/youtube [30]JASRAC 公式ホームページ プレスリリース http://www.jasrac.or.jp/release/06/12_1.html [31]ウィキペディア YouTube http://ja.wikipedia.org/wiki/YouTube [32]アメリカのマルチメディア著作権判例 http://www.wincons.or.jp/view/vol24/page20.html [33]荒竹純一:事典知らないと危ないインターネットと著作権,中央経済社,1997. [34] ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/0311/27/nj00_winny.html [35] ITmedia News http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/13/news061.html [36]zotoku:イザ! http://zotoku.iza.ne.jp/blog/month/200612/ 29 謝辞 参考文献の本を一緒に探してくださった図書館の方に感謝いたします。 行き詰った時に的確なアドバイスをしてくれた姉に感謝いたします。 なかなか捗らない時に叱咤激励しれくれた母に感謝いたします。 なかなか進行しない卒業論文に様々なご指導をして下さった花川典子先生に感謝いたしま す。 30
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