24時間365日の安心と安全! 一人暮らしの高齢者を見守る 緊急通報

周南マリコム 株式会社
24時間365日の安心と安全!
一人暮らしの高齢者を見守る
緊急通報・生活サポート「早助」で躍進
今回お訪ねしたのは、徳山下松港を一望する周南マリコムの本社ビル。大型
船の安全航行に欠かせないポートラジオの運営受託で起業し、培った通信技
術を生かし「緊急通報・生活サポートシステム
『早助』
」を展開、成長を続けてい
ます。創業者の堀信明社長をサポートし、今後に向けて同社の「今」と「未来」
を支えるのは、まだ40代の堀学明専務。
『 早助』
のプレゼンに、社員教育に、新
サービス開発にと、意欲的に取り組んでいらっしゃいます。朗らかに自然体で前
進する堀専務に、今後の展望をうかがいました。
タンカーの無線通信士だった父
ポートラジオ局を開業
設置推進協議会を設立。山口県へ陳情を行い、
平成3
弊社の創業者は、
私の父で代表取締役の堀信明で
松港ポートラジオ局を開局することができました。
す。父は無線通信士として大型タンカーに乗り込み、約
ポートラジオ局はいわば、
〝海の管制〟。24時間365日
20年間世界の海を航海していた
〝海の男〟。
その父が必
稼働し、
港を利用する船との通信を行っています。徳山
要性を感じていたのが「ポートラジオ」です。
世界的な大
下松港を利用する外航船は増加の一途をたどり、
コン
規模港では大型船が入港する際、
港のポートラジオ局と
ビナート企業が使う原材料、石炭などを運ぶ船が行き
交信し、接触を避けるため連絡をしたり、水先人や曳き
交います。開局から20年以上が経過しましたが、現在
舟の手配をするのが一般的です。
しかし、地元の徳山
でもその重要性はますます増し、無事故で頑張ってい
下松港にはポートラジオ局がなく、
「トン・ツー」の無線信
ます。
年、
国際港湾無線局の運営を受託するに至り、
徳山下
号でやりとりし、
大変な不便を感じていたそうです。
「徳山下松港は山口県で最大規模、
国内でも10指に
入る国際貿易港だ。成長にはポートラジオが不可欠」
と
考えた父は、所属していた会社の社内ベンチャーに手
を挙げました。
まずは入港する外国船約3,000隻にアン
ケートを実施。全船が必要性を訴えたことを受けて、昭
和63年から地元コンビナート企業を行脚しました。約30
社の賛同を得て、
周南マリコム株式会社・ポートラジオ局
8
徳山下松港と徳山駅に近い本社ビ
ル。早助センター山口も設置されている
ワイエムビジネスレポート 2014. 12月号 No.75
徳山下松港ポートラジオ局
企業レポート/周南マリコム 株式会社
緊急通報・生活サポートシステム
「早助」で可能性を広げる
ポートラジオ局は開局以来順調でしたが、
「今後の
成長を考えると別の柱が必要」
と考えた父は、平成9
早助の端末には
「緊急」
「相談」の大きなボタンがある
年、山口県・山口大学共催「ベンチャービジネス講座」
を受講しました。弊社の強みは、
ポートラジオ局の運営
携帯できる
ペンダント型ボタンも
で培った通信技術です。高齢化がますます進む中で、
発展が見込めるのは福祉分野です。
そこで、
平成11年
に「緊急通報・生活サポートシステム
『さすがの早助(さ
画面にデータが表示され、
オペレーターはご本人の状
すけ)』」の展開を始めました。
況を理解した上で、親身になった応対ができます。
「急
「早助」は、一人暮らしの高齢者を見守るサービス。
に体調が悪くなった」
という緊急の場合は、
救急車を呼
高齢になっても自宅で暮らし続けていただくために考え
ぶほか民生委員さんやご家族などに連絡します。救急
たシステムです。端末機の「緊急ボタン」
「相談ボタン」
車で搬送された後は入院先に連絡を入れ、容態の確
をワンタッチで押すだけでオペレーターとつながり、
その
認をするところまで責任を持って行っています。
まま端末に向かって話すことができます。万一のときの
緊急を要さない場合は「相談ボタン」で通信します。
緊急通報を受けるのはもちろんですが、
日常のちょっと
健康や介護に関する相談に、看護師や介護福祉士な
した心配事にも対応しています。
どの有資格者がお答えします。
タクシーやヘルパーさん
契約相手は市町村となります。
当初は「実績がない」
への連絡、灯油やお米の配達なども、
ご本人に代わっ
ということでなかなか話を聞いてもらえず、受注もできま
て手配をし、一人暮らしの方の自立した生活を支えて
せんでした。介護保険制度が導入された平成12年、
山
います。
口県内でまず1市町に導入が決定しました。
それを皮切
さらに定期的にセンターからお電話を差し上げ、
元気
りに、少しずつ受注が増えました。平成14年には宮崎
な声を聞かせていただいています。
その際、
ボタンを押
県で受注ができ、
オペレーターが常駐する早助センター
して通報テストをしてもらいます。端末の保守点検と、
ボ
も、本社と宮崎の2拠点体制に。広島、島根、福岡へ
タンを押すことに慣れていただくのが目的です。距離は
徐々に営業を拡大し、
46の自治体と契約。早助センター
離れていても、
24時間365日、
ボタンの向こうに、
いつでも
も福岡、
広島に増設、
4拠点体制を構築しています。
誰かがいるということが、
安心感につながります。
外部委託をせず
きめ細かいサポート実施
高齢者宅での端末の設置の際にも、
外部委託を一切
行わず、有資格者がスピーディに設置。看護師や介護
福祉士の有資格者が聞き取り調査をしている間に作業
他社と差別化を図るポイントは、
きめ細かい対応で
を終え、
最後にご本人に実際ボタンを押していただいて
す。
まず、
ご加入者のデータベースは、
導入時に看護師
設置終了です。実働25日で465件の設置作業を行った
や介護福祉士の有資格者が、
ご家族や民生委員さん
実績があり、
迅速に対応できる機動力も信頼につながっ
立ち会いの元で、丁寧に聞き取り調査を行います。か
ています。
かりつけ病院や飲み薬、入院歴、緊急の連絡先、
デイ
プライバシーマーク取得
新規事業、システム開発に挑戦
サービス、
タクシー会社などなど…。救急隊が室内に入
るために、
どの窓を割って入っていいかといったことも聞
き取ります。
ご加入者がボタンを押すと、
瞬時にパソコン
「早助」
を稼働させながら、緊急通報業界では第一
ワイエムビジネスレポート 2014. 12月号 No.75
9
企業理念
スローガン
Peace of Mind
∼心の平穏∼
24時間365日の安心と安全をご提供
理 念
社会に役立つ会社には、社会に役立つ人がいる
わたしたちは、
自らを築き上げる努力を怠らず、
人々に愛され、必要とされる企業を目指します。
スタッフ教育の拡充により
安心の輪を広げたい
今年の8月には、
広島市で大規模な土砂災害が発生
しました。該当地域の37名のご加入者さまに早助セン
ターからご連絡を差し上げ、無事を確認しました。台風
による風水害、
火山噴火など、
予期せぬ事態への対応
も含め、
スタッフの教育にも力を入れています。
ご加入
者さまとの接点となるオペレーターは特に、年12回の研
修を実施。
自治体からのセンター視察も積極的に受け
入れ、
より高いレベルでのサービスで、満足度向上を図
ります。
私の役目は専務として、社長である父をサポートし、
号となる「プライバシーマーク」の取得を実践。
ご加入
今後の弊社の飛躍の筋道を作ること。
「早助」は手前
者の皆さんの個人情報をお預かりすることから必要性
味噌かもしれませんが、同業他社に真似できないきめ
を感じ、早期に取得しました。入退室管理や監視カメラ
細かいサービスを実践中です。1か所でも多くの自治
の設置、非接触型カードキーの設置などハードの整備
体で導入していただけるよう、営業活動にも力を入れ
と研修によるソフト整備を随時進めています。
ていきます。
また平成24年度ものづくり中小企業・小規
「早助」以外の業務としては、平成19年に「みまもり
模事業試作開発支援補助金を受給し、
スマートフォン・
姫」の運用を開始。家電製品の利用状況から、
高齢者
タブレット等と電流センサーによる見守りが可能な緊急
の生活環境を見守るシステムです。湯沸かしポットや電
通報システム
「新サスケ」の試作を行いました。おかげ
子レンジ、
テレビなど、
家電の使用状況により高齢者の安
さまで創業以来23年間、無事故で「海と人の安全」を
否を確認し、
ご家族にメールでお知らせしました。
「テレビ
守ってきました。24時間365日の安心と安全をご提供し
がついたら、
散歩から無事に帰ったなと分かって安心」
続けるために、今後もスパイラルアップを続けていきた
など好評をいただきました。
残念ながらこのサービスは端
いと思います。
末の製造が終了したため新規募集していませんが、
通
信技術を使った弊社らしいサービスだと思います。
平成22年には、
「早助」のシステムを生かしてより高齢
者にご安心いただこうと、
要介護認定者を対象にした夜
間訪問介護「ナイトヘルパーサスケ周南」の運用を開始
しました。
夕方6時から朝8時まで「早助」の端末を使って
ワンタッチで気軽に連絡をしていただけます。
「外で音が
するから不安になった」
「ベッドからずり落ちそう」
「転ん
で起き上がれない」…そんな連絡を受けて、
随時駆けつ
けるサービスを実施。
また就寝の準備や体位交換など、
定期巡回も実施しています。
現在、
本社がある周南市の
みで行っていますが、
さらにノウハウを蓄積して、
介護分
野でのサービス拡充を図りたいと思います。
10
ワイエムビジネスレポート 2014. 12月号 No.75
ご加入者さまにベストの
対応をするため、
マイク越
しでも笑顔を絶やさない
オペレーターの皆さん
厳シサ
しース
くマケ
セ
管ー
ク
理取ン
さ得タ
れ施ー
て 山
い設口
まとの
すし様
て子
、。
入プ
退ラ
室イ
はバ
企業レポート/周南マリコム 株式会社
専務に
お聞きしました!
私の朝時間
朝は5時40分ごろに起きます。
それか
ら、30分かけてゆっくりストレッチをす
るのが日課です。その理由は太り過
ぎ。
ダイエットを決意し、大好きな米の
量を減らすことと、30分のストレッチを
自分に課しました。ゆっくり時間をか
けて10kgの減量に成功し、心も体も
スッキリ。継続して健康維持に取り組
んでいます。
好きな言葉
「お天道さまが見てる」
です。
これは子ど
ものころから、
祖母によく聞かされてきた
言葉。
どんな時でもお天道さまが見てい
るから、
恥ずかしくない行動をしなさい…
という意味で言われていました。大人に
なった今では、
「人生には、
いい時も悪
い時もある。
コツコツ真面目に取り組ん
でいれば、
お天道さまは分かっていてく
れる。結果が出ない時も短気を起こさ
ず、
笑顔で過ごそう」
…そんな風に、
この
言葉をとらえるようになってきました。
専務取締役
堀 学明
概 要
<所在地>
周南市入船町2-3Maricomビル
< 設
平成元年
立 >
<資 本 金>
1,600万円
< 従業員数 >
約80名
< 事業概要 >
緊急通報・生活サポート「さすがの早助」、独居高齢
者見守りシステム「みまもり姫」、夜間訪問介護「ナイ
トヘルパーサスケ」、指定居宅介護支援事業所「早助
(サスケ)ケアプランセンター」、徳山下松港ポートラ
ジオ局運営(山口県より委託)、電気工事業、電気通
信工事業
<営業拠点>
福岡(福岡営業所)、サスケセンター広島(広島営業
所)、徳山下松港ポートラジオ局
企業沿革
平成元年
私 の お 気 に 入り
趣味は読書ですね。
いい本に出会う確
率はかなり少ないので、人に勧められ
た本は率先して読むようにしています。
旅行も好きで、年1回の社員旅行が
楽しみです。社会人になるとなかなか
時間が取れませんから、国内または海
外を各自が選べる仕組みにして、
いろ
いろな経験をしてもらえるようにしてい
ます。今年はベトナムと黒川温泉でし
た。数年前、上海に半年間留学した
のはいい思い出です。現地のデパート
に行けば景気の良さが伝わり、
一方で
大学を出ても就職先がないという若
者の話を聞き、格差の大きさを実感。
留学先、旅先での経験は、
自分の視
野を広げるいい機会だと思います。
サスケセンター宮崎(宮崎営業所)、サスケセンター
平成3年
周南マリコム株式会社を設立
山口県から国際港湾無線局の運営を受託、徳山下松港
ポートラジオ局開局
平成9年
山口県・山口大学共催「ベンチャービジネス講座」受講
平成11年
緊急通報・生活サポートシステム
「さすがの早助
(サスケ)
」
運営開始
平成14年
早助
(サスケ)
センター宮崎を開設
平成15年
第11回中国地域ニュービジネス優秀賞受賞
平成16年
中小企業経営革新支援法に基づく経営革新計画が承認
される。本社、
現住所へ移転
平成17年
プライバシーマークを取得
平成18年
経済産業省のIT経営百選 最優秀賞企業 認定証 受賞
平成21年
早助
(サスケ)
センター福岡を開設
平成22年
夜間訪問介護「ナイトヘルパーサスケ周南」の運用を
開始
平成24年
早助
(サスケ)
センター広島を開設
平成26年
平成24年度ものづくり中小企業・小規模事業試作開発支
援補助金を受給。スマートフォン・タブレット等と電流セン
サーによる見守りが可能な緊急通報システム
「新サスケ」
を試作
ワイエムビジネスレポート 2014. 12月号 No.75
11