パリ・ロンドン3泊5 日の旅

パリ・ロンドン3泊 5 日の旅
ANA セールス&ツアーズ
横山 浩子
◆日程・ルート
月日
利用交通機関
ルート
宿泊
1
2/21(土) NH205
東京(成田) 11:50→パリ(シャルル・ド・ゴール) 16:25
パリ
2
2/22(日) ユーロスター 9059
パリ(北駅) 20:13→ロンドン(ウォータールー駅) 21:53
ロンドン
3
2/23(月)
4
2/24(火) NH202
5
2/25(水)
ロンドン
ロンドン(ヒースロー) 19:00→
機内
→東京(成田) 15:40
◆旅の目的
レイルエキスパートの特典として頂いたユーロスターのチケット(片道1等)を利用し、出入国手続きや車内サ
ービスの様子等を実際に体験し、社内研修に役立てたいと思った。
また、FIT 旅行者としての立場から旅行全体を検証し、空港∼市内の移動手段等よく頂く質問に対し、的確に
応対できるようにし、販売促進に役立てていきたいと考えた。
なお、3泊5日で2都市を訪問するという事で、大変残念ながら時間が限られていた為、過去に何度か行った
ことのあるパリは1泊にした。パリでの時間を有効に使う為、パリ発のユーロスターを出来るだけ遅い時間で予
約、2回目の訪問となるロンドンについては、前回行った際に大英博物館を見逃した為、ゆとりをもって2泊とし
た。
◆2月21日(土)
全日空205便にて成田を 11:50 に出発、パリの到着は定時より 20 分ほど遅れて到着。
凱旋門近くのホテルを予約したため、シャルル・ド・ゴール空港からエールフランス空港バス(片道 10EUR)を
利用。ポルト・マイヨ経由凱旋門行きの他に、リヨン駅経由モンパルナス駅行き(片道 11.50EUR)とオルリー空
港行き(片道 15.50EUR)がある。CDG ターミナル1から乗車の場合、3階 34 番出口を出て道路を渡った所にチ
ケット売場がある。
チケット売場の正面に、行き先別に3カ所(ETOILE/PORTE MAILLOT、MONTPARNASSE、ORLY)の乗場が
あるため、該当の所で待つ(バス停の様な標識が立っている訳ではなく、地面に行き先が書かれている)。空港
から市内までは、他にオペラ座まで行くロワシーバス(片道 8.20EUR)がある。ホテル手配の依頼があった場合、
空港からの移動も考慮してエリアを提案するのも良いと思った。
◆2月22日(日)
ホテルチェックアウト後、荷物をホテルに預けてパリ市内観光へ。カルト・ミュゼ1日用を購入し、市内の美術
館を中心に 7 カ所を巡った後、パリ北駅 20:13 発のユーロスターに乗車。
※ カルト・ミュゼ
パリ市内や近郊の主な美術館や博物館等で利用できるフリーパス(ただし、特別展への入場は不可)。
利用できる施設には、ルーヴル、オルセー等の主要美術館をはじめ、凱旋門、パンテオン、アンヴァリッ
ド、ヴェルサイユ宮殿等の名所も含まれている。チケットを買う為の行列に並ぶ必要もなく、有効日数内
であれば利用できる施設を何カ所でも自由に出入りできる。1 日用 18EUR、3 日用 36EUR、5 日用 54EUR
の3種類があり(3日・5日は通用日連続タイプ)、観光局やメトロの主な駅、カルト・ミュゼに載っている美
術館・博物館のチケット売り場で購入できる。自分で使用開始月日と名前を書き込むシステムなので、あ
らかじめ購入しておけば利用したい時に即、利用可能。
○パリ北駅
駅構内は広く、地下鉄からユーロスターターミナルまではかなり長い距離を歩いた(メトロ2号線の LA
CHAPELLE から乗り換えた為か?)。また、ターミナルまでの案内も、ユーロスターやタリスのマークと矢印が
付いている看板があるのみで、若干分かり難い様な気がした。ユーロスターのチェックイン時間は出発の 30
分前(プレミアムは20分前/注:2004 年 2 月現在)までなので、時間には余裕を持っておいた方が良いと実
感。ユーロスターのホームは1階にあるが、チェックイン施設は2階にあるので要注意。
○チェックイン
乗車する列車番号と出発時間が書かれたボードが立っていて、ボードを先頭に優先チェックインの列とそ
れ以外の列がある(優先チェックインの列は非常に空いていた)。ボードの所を通り過ぎると、自動改札機と
有人改札があり、今回頂いたチケットは航空券のように裏が磁気タイプのものであったため、そのまま自動
改札機へ通してしまったが、ユーロネットで発券されたチケットは、通常、磁気タイプではないので、有人改札
を通らなければならない。
○出入国審査・手荷物検査
パリ北駅にてフランス出国、続いてイギリス入国の審査を行う。
出入国審査は、EU 圏内・圏外には分かれておらず、フランス出国審査は質問事項も無くパスポートにスタ
ンプを押してもらうのみ、イギリス入国審査は滞在日数と滞在目的のみ聞かれ、パスポートにスタンプを押し
てもらうだけで時間もかからずとてもスムーズ。
また、その際イギリスの入国カードは提出不要だった(近辺に記入できるような場所及び入国カードの備え
付けもなし)。事前にエクストラネットで調べたところ、パリ(もしくはブリュッセル)→ロンドンの場合、入国カー
ドが必要とされていたので、意外だった。ロンドン到着時に必要となるかもしれないと思い、念のため、あらか
じめ用意しておいたカードはそのまま所持しておくことにした。手荷物検査は空港ほど厳しくなく、スムーズに
流れていた。
○ユーロスター乗車(9059・1等・パリ∼ロンドン)
搭乗時間まで2階の待合所(手荷物検査場の先にある)にて待機。待合所内には両替所と売店が2つ(ベ
ーカリーショップとアイスクリームショップ、いずれも簡素な感じ)ある。ここの両替所で日本円からポンドに換
える場合、日本円から一旦ユーロに両替し、ユーロからポンドに両替する為、非常にレートが悪いので要注
意。なお、付近には椅子が無く立って待たなければならない。待合所は全体的に手狭な印象を受けた。思っ
ていたより簡素な感じであった。
発車 15 分ほど前に乗車の案内が出た。アナウンスや TV モニターがある訳ではなく、ホームに通じるドア
が開き、係員の誘導がある。
ホームをまたぐ陸橋を通り、1階のホームに下りて自分の座席がある車両を探し、乗車。各車両のドアの
所に係員が立っており、チケットのチェックがある。中に入るとドアの横に新聞・雑誌が置かれており、自由に
持って行って可。
スーツケース置場も車両と車両の間にあるが、スペースは狭いので、グループで利用する際は要注意。入
りきらない荷物は、係員に相談し、指示に従う事になる。
○ユーロスター座席(COACH7・21番)
シートの幅はゆったりとしているが、前の席とのシートピッチは思っていたよりも狭く感じた。飛行機の場合
だと、手荷物を足元に置いたりするが、荷物を置くと余計に狭くなるので、余分な物は頭上の棚に置いた方が
良いと思う。棚は2段式となっており、手荷物を置くのに十分なスペースがある。
座席のすぐ後ろに壁(透明のパーテイションのようなものがあったので、リクライニングが出来るのかと、最
初疑問に思ったが、飛行機の様に背もたれが後ろに倒れるのではなく、座面が前に滑り出るタイプなので、
どの場所の座席でもリクライニングは問題無い(飛行機は座席の場所によってリクライニングがあまりきかな
い所もある)。
○車内サービス
発車後間もなく飲み物のサービスがあり、続いて食事のメニュー表が配布される(日本語表記はなし)。
メインディッシュは2種類から選択なので、小型の辞書またはメニューの読み方が載った会話集等を持参する
と便利。最初の飲み物サービスの際はアルコール類やソフトドリンクから選択、250ml のペットボトルのミネラ
ルウォーターも一緒に配布された。
発車後 30 分位経ってから食事のサービスが始まる。コースメニューということだったので、前菜→メインデ
ィッシュ→デザートという順番で配られるのかと思っていたが、まず、前菜と付け合せ、デザートをトレーに載
せたものと一緒にパンが配られ、前菜を食べ終わった頃を見計らって、メインディッシュとパン(2度目のパン
は希望者のみ)が配られる。飛行機のエコノミークラスの機内食をイメージして頂ければ良いのかと思う。食
事と一緒に来る飲み物は基本的にアルコール類のみであったが、頼めば後ほど(混み具合にもよるであろう
がそれほど待たされず)ソフトドリンクを持ってきてくれる。また、食後に暖かい飲み物のサービスもある。メニ
ュー表にはコーヒー・紅茶・ココアの3種類が明記してあったが、実際に来たのはコーヒーまたは紅茶の2種
類のみだった。
車内のスタッフについては、こちらからの質問にも丁寧に応対してくれたり、的確に案内をしてくれたりと、
皆、優秀かつ親切である。この点は飛行機の機内サービスを超えるのではないだろうかと思う。
○その他
車内での検札・パスポートチェックは無く、イギリス入国カードの配布・回収も無かった。
トイレは各車両の間に1カ所ずつあるが、座席数のわりに数が少ない印象。
食堂車・売店は車内に2カ所(COACH6 と COACH13)あり、ユーロとポンドの表示があるので両方使える。
車内アナウンスはフランス国内にいる間はフランス語→英語の順、イギリス国内に入ると英語→フランス
語の順に入る。
ユーロトンネルの走行時間は約 30∼40 分程度であったと思う。トンネルはもっと長いようなイメージがあっ
たので、意外に短く感じた。
フランス国内を走行している時と比べ、イギリス国内に入った途端にスピードが落ちた様な気がした。
また、乗車した列車はパリ→ロンドン間ノンストップのはずであったが、途中アッシュフォードで 10 分程臨時停
車(?)していた。そのため、ロンドンの到着も 10 分程度遅れた。
○ロンドン・ウォータールー駅
到着ホームから歩いている途中に入国審査場らしき場所があったが、(夜遅かったためか?)無人であっ
たため、皆素通りしていた。やはりここでもイギリスの入国カードは不要であった。
ウォータールー駅はパリ北駅と比べ、駅構内の案内表示が分かり易くなっているように感じた。宿泊ホテル
を地図で確認したところ、ウォータールーブリッジを渡ってすぐの所にあった為、駅からホテルまでは歩くこと
にした。ウォータールーブリッジの上からはライトアップされたビッグ・ベンや BA ロンドン・アイがきれいに見え
た。駅からホテルまでは徒歩 10 分位で到着した。
◆2月23日(月)
大英博物館とナショナルギャラリーを見学。どちらもかなり広いので、2カ所巡っただけでまる1日かかった。
入場料は、どちらも無料だが、特別展(ナショナルギャラリーではこの日エル・グレコの特別展が行われていた)
は有料。
◆2月24日(火)
フライトの時間が夜だったので、15:00 頃まで市内散策やショッピングをして過ごすことができた。
ヒースロー空港までは地下鉄のピカデリー線を使えば乗換え無しで行くことができるので、ワン・デイ・トラベ
ルカード・オールゾーン(オフ・ピーク£5.40)を購入し、午前中から地下鉄を利用して観光・ショッピングに出か
けた。同じ切符でそのまま空港まで行くことが出来るのでお得だと思った。ただし、地下鉄の車内はかなり狭い
ので、空港まで大きなスーツケースを持っていかなければならない場合にはあまりお勧めできない。
ピカデリー線でヒースロー空港まで行く際、UXBRIDGE 行きに乗らないよう要注意。HEATHROW TERMINALS
行きと UXBRIDGE 行きは大体1本おきに来る。行き先は駅のホームの電光掲示板や、電車の行き先表示板で
確認が出来る。市内からは片道£3.80 かかる。
他の移動手段として、パディントン駅からヒースローエキスプレスで片道£13.00(往復£25.00)も運行されて
いる。ヒースローエキスプレスはパディントン駅からヒースロー空港までの所要時間が約15 分との事なので、今
回は利用しなかったが、ブリットレイルパスで乗車する事も出来るので、機会があれば、次回にでも是非利用し
てみたいと思う。その他、ヒースロー空港からキングスクロス駅までを往復するエアバスが運行している。
地下鉄ピカデリー線で市内からヒースロー空港までは約1時間かかった。16:00 過ぎに空港へ到着、地下鉄
のホームからターミナル3まではかなり長い通路を移動しなければならないので、ここでもやはり余裕を持って
到着しておく事が必要だと思った。チェックインの後、セキュリティ・チェックを通り、19:00 発 全日空 202 便にて
帰国の途に着いた。
※ ワン・デイ・トラベルカード
ロンドンの地下鉄はゾーン毎に料金が決まっており、市内のほとんどの観光名所はゾーン 1 のチケッ
トでカバーができる。市内中心部がゾーン 1、ゾーン1を囲むようにゾーン 2∼6 まで設定されている。
ヒースロー空港はゾーン 6 に入る為、空港∼市内を地下鉄で移動する場合は 1∼6 ゾーン(オールゾ
ーン)のチケットが必要。
ワン・デイ・トラベルカードとは市内の地下鉄やバスに乗り降り自由な1日乗車券である。ピークとオフ
ピークの2種類があり、ピークのゾーン1&2用は大人 1 名あたり£5.30、オールゾーンは£11.10 となり、
オフピークの場合はゾーン1&2が£4.30、オールゾーンが£5.40となる。ワン・デイ・トラベルカードのオ
フ・ピークは土・日は終日利用可能であるが、月∼金は午前 9:30 以降からしか利用できないので注意。
◆終わりに
今回の旅行で初めてユーロスターを利用したのだが、やはり一番予想外だったのがイギリスの入国カードが
不要であった件である。ただ、エクストラネットの情報では入国カードが必要となっている為、やはり、一応用意
しておいた方が良いだろう考える。
最近になって、ユーロスターは各航空会社と提携し、国際線航空券の乗継便として切り込むことが出来るよ
うになり(キャリアコード:9F)、ますます販売方法が広がっている。飛行機から乗り継ぐには、空港から駅へ移
動しなければならず、その移動手段や荷物の運搬(シャトルバスの運行もしくはタクシークーポン、荷物の宅配
サービス等)については課題が残されていると思うが、今後、ユーロスター全般(サービス内容他)について、よ
り詳細な部分に関する問合せも増えることが予想されるため、今回、このような機会を得ることができて本当に
良かった。
今回は時間的にかなり制限があり、駆け足で廻ってきた感じではあったが、短期間で2都市を訪問し、忙しい
ながらも十分に堪能する事ができた。FIT のお客様には長期間滞在される方から短期間の滞在しか出来ない
方まで様々なので、時間を有効に使った効率的に旅行をして頂けるよう、現地事情をよく理解し、ロケーション
の良いホテルの選択から、空港∼ホテル、ホテル∼駅までの移動手段、列車のスケジュール、各都市間の距
離・所要時間等を細部に渡って確認し、お客様のニーズに応えられるような旅行を提案していく事が、今後の
課題となるであろう。
※上記文中の各料金は、2004年2月現在適用されていた料金の為、今後変更となる場合もあるので注意。