がん腎臓病を見逃すな 危ないおしっこの真実

NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
がん腎臓病を見逃すな 危ないおしっこの真実
2013年09月11日放送
今回の番組について
みなさん、おしっこをチェックしていますか?おしっこの色は、体調が悪いときや、激しい運
動をしたときなどに濃くなったりするため、健康のバロメーターと思っている方も多いのでは
ないでしょうか。
ところが、今回おしっこを徹底調査したところ、健康状態どころか、命にかかわるキケンな
病気の発見にもつながることがわかりました。
しかも、実は普通の黄色いおしっこの中に、がんや腎臓病といった危険な病気のサインが
隠れていることがあるのです!
危ないおしっこの見分け方や対処法、尿検査の正しい受け方など、最新情報をお伝えしま
す。
番組ディレクターのひとこと
“尿検査って何かしょぼい”と思っているあなたに・・・
血液検査、MRI検査、CT検査などなど・・・これまで番組で紹介してきた最新の検査法に
比べると、「尿検査」って何か“しょぼい”イメージありませんか?
「紙コップにちょっとおしっこを入れて提出するだけのもの」。その程度のものと思っている
方、多いのではないでしょうか?(私もそうでした。)
事実、尿検査で異常の見つかった800人以上の方にアンケートを行ったところ、約40%
が「一度も再検査を受けたことがない」「たまにしか再検査を受けない」と回答しました。
ところが最新の研究報告によると、一見何の異常もない普通のおしっこの中に、深刻なが
んや腎臓病の重要なサインが隠れていたことが判明。放置していると、命の危険をともな
う可能性があることまでわかったのです。
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実は、そんな危険なおしっこを見逃さない秘けつこそが、私たちが“しょぼい”と思い込んで
いる「尿検査」。尿検査の知られざる“すごい内容”をぜひご覧ください。
まさか!? 「赤くない」血尿に潜む危険
キケンなおしっこの色というと、赤や茶色などをイメージしがち。ところが、普通の黄色でも
キケンな場合があるのです。
職場の健康診断で血尿に気づいたAさん。病院を受診すると「体質のせいでは?」と言わ
れたため、その後も何度か血尿が出たものの、改めて病院に行くことはしませんでした。と
ころがその2年後・・・実は「ぼうこうがん」であったことが判明しました。
Bさんの場合も、検査で「血尿」と言われたものの、健康には自信があったため深刻には
考えず、病院に行きませんでした。
ところがある日、救急車で病院へ搬送され、そこで聞かされた診断結果は「急性腎炎」。週
3日人工透析を受ける生活を余儀なくされてしまいました。
このように、恐ろしい病気の前触れになった血尿ですが、なんと2人の血尿は・・・普通の黄
色いおしっこでした。
実は、最新の研究によって、赤くない血尿の恐ろしさが明らかになってきたのです。
赤くない血尿「顕微鏡的血尿」とは
赤くない血尿は、専門的には「顕微鏡的血尿」と呼ばれています。その名の通り、顕微鏡で
しか見つからないようなごく少量の血が含まれている血尿です。
私たちが健康診断などの際に受けている尿検査は、たとえ血液が一滴に満たない量でも
ちゃんと反応します。その精度たるや、なんと、おしっこ100mlに対して、血液が
0.0004mlしか入っていなくても反応するほど!つまり、「顕微鏡的血尿」もしっかり判別
してくれるのです。
この顕微鏡的血尿、原因は、半分以上が「たまたま」。つまり、加齢や高血圧、女性の場合
は生理などによる一過性のものです。しかし、割合としては決して高くないものの、「がん」
や「腎臓病」といった、深刻な病気が原因でごくわずかの血液が尿に混入することがある
のです。
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がん・腎臓病のサイン発見! 「再検査」で「精密検
査」
では、ほんとうに危ない血尿を見分けるにはどうすれば良いのか?
何よりも大事なのは、尿検査で「潜血」という結果が出たら、「再検査」を受けることです。
泌尿器科や腎臓内科で、尿の「再検査」を受けると行われるのが、顕微鏡による血液の
「形」のチェック。たとえば腎炎で腎臓のフィルターが壊れて血液が漏れ出すとき、赤血球
は形をゆがめながら外に出ておしっこに混じります。そのため、赤血球の形が変わってい
れば腎臓に何らかのトラブルありと推定できるのです。
また、ぼうこうがんなど、おしっこの通り道にできたがんの場合、患部からの出血とあわ
せ、がん細胞もはがれ落ちている場合が多いので、顕微鏡を使ってがん細胞そのものを
見つけることができます。
このように、「再検査」の意味するところは、すなわち「精密検査」。医師に再検査するよう
言われたら、自己判断せず、きちんと受診することをおすすめします。
※一般内科などでは精密な尿検査を受けられない場合もあります。
今回のお役立ち情報
顕微鏡的血尿とは
「赤くない血尿」で、肉眼では見えないごく少量の血が含まれているのが顕微鏡的血尿で
す。最近の研究で、顕微鏡的血尿には、腎炎などの腎疾患やぼうこうがんなどの病気の
サインが潜んでいるケースが含まれることがわかってきました。
尿検査で「潜血」と指摘された場合は、必ず「再検査」を受けてください。泌尿器科や腎臓
内科を受診していただくと、危険な血尿かどうか、顕微鏡を使った検査や自動判別機を
使った検査などで調べてもらうことができます。
尿検査の「作法」
尿検査の結果が正しく出るようにするために、守っておきたい「作法」をご紹介します。
尿検査前日はビタミンCの大量摂取を控える
ビタミンCをとりすぎると、検査紙の潜血反応を妨げてしまう場合が。尿検査前日の夜と当
日は、ビタミン剤は控える。
尿検査当日は激しい運動を控える
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ジョギングなどの運動をすると、足の血管を通る赤血球の一部が壊れるため、誤って「血
尿」と判定されることがあります。できれば朝一番の安静な状態でとるのがおすすめです。
尿検査直前の水分補給は控える
直前に水分をとりすぎてしまうと、薄い尿になって、実際は血が混じっているのに「問題な
し」と判定されてしまう場合もあります。検査直前は、どうしても飲むのであれば水をごく少
量に。
おしっこは出始めでなく途中からとる
おしっこの出始めは血液や細菌が混じりやすいので、途中からとるようにしてください。
血尿以外に注意したいおしっこの色とは
濃い黄色のおしっこがずっと続く →肝臓病の可能性
ビリルビンという物質が肝臓にたまって、尿に出てくると濃い色に変わります。気になる場
合は医療機関にご相談ください。
薄い色のおしっこがずっと続く →糖尿病、腎臓病の可能性
血液中の糖分が多くなると、体はそれを薄めようと水分をたくさんとろうとします。その結果
おしっこが薄くなる場合があります。また、腎臓病が原因で尿を濃くすることができなくなっ
た場合も、薄い色の尿が続くことがあります。気になる場合は医療機関にご相談ください。
濃い緑色のおしっこ →細菌の感染
緑膿菌(りょくのうきん)という細菌が尿路に感染している可能性があります。抗生物質で
治療できます。
※一時的に濃い尿、薄い尿が出ることは、ほとんどの場合、問題ありません。
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