研究課題:Windows/Macintosh 発色方法の相違による視覚に与える印象の検証 キャリアセンター 吉田 咲子 2013 年 4 月 30 日 1.はじめに iPhone や iPad の普及に伴い、これまで Windows が主流であったビジネス領域にも Macintosh の ニーズが急速に高まってきている。本学のコンピュータ・リテラシー教育(ビジネス文書・プレゼン テーション資料作成・コンピュータグラフィックス演習など)は、Windows 機にて実施しているが、 今後の市場動向を鑑みて、Windows/Macintosh の相違について教育し、操作性についても教育の幅 を拡げていく必要がでてくることが予想される。 今回の研究課題では、Macintosh でのビジネス文書やプレゼンテーション資料作成・コンピュータ グラフィックス演習の環境を整備して、Windows/Macintosh 機の発色方法の相違による視覚に与え る印象の違いを検証する。調査としては、グラフィックスファイルを Windows と Macintosh の両方 で表示した場合の視覚的な印象とファイルを転用した場合の操作性について確認する。 2. Windows と Macintosh の発色方法について 一般的に Windows 比べ Macintosh の画面表示の方が鮮明であると定評がある。その理由としては、 画像の RBG 信号をディスプレイに表示する場合の特性(ガンマ特性)の違いにあると言われている。 PC とディスプレイで色情報をやり取りする場合、機器の特性の違いから 自然な色表示を行うため にガンマ補正が行われている。ガンマ値は、数値が大きいほど画面は暗くなり、暗部での細かいとこ ろの表示が画面再現においてつぶれてしまう事で、暗部の再現域が狭くなる。そして、一般的に Windows 機ではガンマ値 2.2 のディスプレイが使われており、Macintosh ではガンマ値 1.8 が採用されている。 このガンマ値の関係で Macintosh の方が鮮明に表現されるといわれる理由と考えられる。しかし、 mac OS X v10.6 からはガンマ値 2.2 が標準設定に変更されている。それでもなお、Macintosh の画 面表示の方が鮮明と感じるのかどうか、mac OS X v10.7.3 を使用し、ガンマ値は 2.2(標準)で比較 検証を行った。。 ちなみに、Windows がガンマ値 2.2 を採用したのはテレビに合わせて、Macintosh がガンマ値 1.8 を 採 用 し た の は 、 業 務 印 刷 用 プ リ ン タ に 合 わ せ た た め で あ る ら し い 。( ア イ テ ィ メ デ ィ ア 株 式 会 社,http://www.itmedia.co.jp/pcuser/articles/0907/13/news001.html より) 3. Windows と Macintosh で表示した場合の視覚に与える相違検証 (1) 比較に使用したファイル A) Adobe Illustrator CS4(Macintosh)で作成した ai 形式のファイル B) 上記を PDF 形式で保存したファイル C) Microsoft Office PowerPoint2010(Windows)で作成した pptx ファイル D) 参考として、上記 B の PDF ファイルをプリンタで印刷 (2) 比較方法 同じファイルを Windows/Macintosh 機の両方で表示し、目視で検証した(本報告書には、 デジタルカメラで撮影して貼り付け)。 (3) 表示結果と印象 Windows Macintosh A ai ファイル(Windows) ai ファイル(Macintosh) B PDF ファイル(Windows) PDF ファイル(Macintosh) 印 象 ・ 写真のコントラストが Macintosh の方が鮮明 に感じる。 ・ 全体的に Macintosh の方が明るい印象であ る。 ・ 上部のピンク系の塗色 (RGB:#EB6D8E、CMYK: M70Y20)が、特に違う 色に感じる。 ・ 黒色の文字に違いがあ り、Macintosh の方が 鮮明に読める。 ・ 水と空の色で印象の違 いが明らかで、デジタ ルカメラの撮影でも明 らかな違いがわかる。 C pptx ファイル(Windows) pptx ファイル(Macintosh) ・ Macintosh の方が全体 的に柔らかなイメージ に感じる。 ・ 吹 き 出 し の 色 ( RGB: #FFA1A1)に、違いを感 じる。 ・ 画面下方の写真に発色 の違いが見られる。 D Windows で印刷 Macintosh で印刷 ・ データ上の色情報は、 Windows/Macintosh とも同一であるため、 印刷物での違いは感じ ない。 4. Windows と Macintosh の互換性について (1) Adobe Illustrator CS4 Windows で作成したファイルを、Macintosh に転用し継続作業を行ったところ、操作性につい ては、特に問題なく作業ができた。また、Macintosh から Windows への転用に関しても同様で あった。ただ、標準の文字フォントが違うことで、転用時に文字フォントの置き換えが行われた ことで、フォントを統一しない環境で Windows/Macintosh の双方で作業を分担することは控え る必要があると感じた。 (2) Microsoft Office PowerPoint2010 特に問題なく Windows/Macintosh の双方で更新を行うことができた。 5. まとめ 今回テーマとした発色方法の相違による印象については、大きな影響ではないが、Windows/Macintosh で色表示の印象の違いが感じられた。本報告書のように画面を撮影して資料を作成する場合などにお いては、Macintosh を利用する方が画像が鮮明になり資料にメリハリが出ると考えられる。今回の検 証結果で Macintosh の方が鮮やかに表示される傾向が見られたことから、最終的な成果物をイメージ して、以下の点について考慮する必要があると考える。 ・ 成果物を一般的なプリンタで印刷する場合: Macintosh で作成する場合、印刷では少し落ち着いた感じになることを想定して作成する。 ・ Web やプロジェクターなど画面表示する場合: Windows で作成する場合には、Macintosh で表示する場合は鮮やかになる可能性があること を想定し、Macintosh で作成する場合はメリハリが弱くなる可能性を想定して作成する。 今回初めて Macintosh を使ってみて、最も感動したことは起動の速さである。一般的な利用におい て発色による印象の違いは大きな選択要因とは感じなかったが、効率的な作業を考えるうえで起動の 速い Macintosh に魅力を感じた。 以 上
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