本邦で報告された先天性赤芽球性ポルフィリン症の 全症例解析

本邦で報告された先天性赤芽球性ポルフィリン症の
全症例解析
近藤雅雄
1)、
矢野雄三、浦田郡平、高村
1) 独立行政法人
昇
2)
国立健康・栄養研究所 応用栄養学研究部
2) 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科公衆衛生学分野
先天性赤芽球性ポルフィリン症 (congenital erythropoietic porphyria, CEP) は常染色体劣性
遺伝であり、皮膚型ポルフィリン症の中では最も激烈な皮膚光線過敏症を呈する希少疾患である。
本邦では 1920 年にはじめて報告されて以来、今日までに 35 例が見出されている。CEP はウロ
ポルフィリノゲンⅢ合成酵素遺伝子の異常によって、本酵素の活性が正常の 2~20%に減少して
いるため、生体内では利用されないⅠ型ポルフィリンの過剰生産・蓄積・排泄が起こり、その結
果、皮膚症状をはじめとする各種症状が出現する。われわれは、国内で報告された全 CEP 症例
について、発症年齢、性、発症要因、臨床症状、治療および予後などについて検討した。また、
強膜病変を発症している 4 例の CEP 患者の涙液中に著明なポルフィリン増量を見出した。
本稿ではこれらの結果ならびに最近の知見について総説した。
キ-ワ-ド:先天性赤芽球性ポルフィリン症、ウロポルフィリノゲンⅢシンタ-ゼ、赤色歯牙、
骨髄移植、光線過敏症
はじめに
先天性赤芽球性ポルフィリン症 (congenital erythropoietic porphyria (CEP) はヘム合成系の
4番目の酵素であるウロポルフィリノゲン(uro'gen) Ⅲシンタ-ゼ (UROS) の遺伝子異常によっ
て起こる常染色体劣性遺伝疾患であり、1874 年に Shultz1)によってはじめて記載されたが、その
後、1911 年に Gunther2) によって詳細に記載され、Gunther (ギュンター)病とも呼ばれる。
しかし、発症頻度は低く、世界で約 200 例 3)しか報告されていない極めて稀な疾患であり、本邦
でも 35 例 4)しか報告されていない。本症については、最近、Fritsch ら 5)が欧米を中心として 1994
年までに世界で報告された CEP 患者のうち 130 例について文献的調査を行い、これをまとめて
いる(日本人症例 8 例を含む)
。臨床的には、露光部の水疱形成、色素沈着・脱失、多毛、皮膚脆
弱性などが主症状であるが、その症状は重篤であり、耳介、鼻、手指の変形脱落をしばしば伴い、
さらに、赤色尿、溶血性貧血、脾腫、赤色歯牙、眼球強膜病変なども認められ、乳幼児期に発症
する事が多い。
1
1.概念
CEP はヘム合成系の第 4 番目の酵素で
cytosol 分画に局在し、ヒドロキシメチルビラ
ン (hydroxymetylbilane, HMB)の D 環を反転
さ せ uro’gen Ⅲ の 生 成 を 触 媒 す る ( 図 1 )
UROS(EC4.2.1.75)6)の変異によって発症す
る。本酵素の遺伝子は第 10 染色体上(表1)に
あるが、第1イントロンに赤芽球特異的プロモ
ータが存在するために翻訳開始点は同じで
5’UTR のみが異なる非特異的 mRNA および赤
芽球特異的 mRNA が存在する。赤芽球特異的
mRNA は骨髄造血組織のみに発現し、強いプ
グリシン+サクシニルCoA
ロモータ活性を示す 7)。
↓ ALA合成酵素
δ ‐アミノレブリン酸(ALA)
CEP はこの酵素の遺伝子異常によって、活
↓ ALA脱水酵素
性が正常の 2~20%に減少し、基質の HMB
ポルフォビリノゲン(PBG)
が過剰生産され、ヘム合成に利用されないⅠ型
ヒドロキシメチルビラン
↓ PBGデアミナーゼ
ウロポルフィリノゲンⅢ合成酵素
非酵素的
ポルフィリン異性体が非酵素的に過剰生産さ
ウロポルフィリノゲンⅢ
れ、体内に蓄積、屎尿中に排泄される(Ⅰ型が
85%以上)3)(図2)
。UROS
活性の減少の程
ウロポルフィリノゲンⅠ
ウロポルフィリノゲン脱炭酸酵素
↓
コプロポルフィリノゲンⅢ
↓
コプロポルフィリノゲンⅠ
↓ コプロポルフィリノゲン酸化酵素
度は皮膚光線過敏症の重症度とよく一致する
プロトポルフィリノゲンⅨ
↓
8)。
プロトポルフィリノゲン酸化酵素
プロトポルフィリンⅨ
2.分類
↓
フェロキラターゼ
ヘム
ポルフィリン代謝異常が赤芽球で起ること
図2.ヘム合成経路とCEPの代謝障害
から、赤芽球性ポルフィリン症に分類されるが、
臨床症状からは皮膚型ポルフィリン症に分類される。遺伝様式は常染色体劣性遺伝を示す 3)。
3.頻度と疫学
臨床症状および生化学的検査結果から確定診
断された自験症例に加え、医学中央雑誌にポル
フィリン症として報告されたものを調査対象と
し た 。 1920 年 の 本 邦 第 一 症 例
9)
か ら 2002 年 12
表1.UROS遺伝子
cDNA
ゲノムDNA
全長
アミノ酸
全長
エクソン
染色体部位
1,295bp
265
60kbp
10
10(25.2~26.3)
月までに医学中央雑誌にポルフィリン症として
報 告 さ れ た す べ て に つ い て 原 著 論 文 を 詳 細 に 検 討 、ま た は 著 者 に 聞 き 取 り 調 査 を 行
っ た 結 果 、 35 症 例 を 見 出 し た ( 表 2 )。 こ の 総 症 例 数 は 今 日 で も 変 わ ら な い 。
2
表2.本邦で報告された全CEP患者
在住 血族 赤色 赤色 脾腫 肝臓 赤血球 貧血
結婚 尿 歯牙
障害 蛍光
50日
男 三〇
仙台 +
+
+
+
+
3
女 大〇
横浜
+
+
+
+
16
女 須〇
東京
+
+
+
+
16
男 須〇
東京
+
+
+
1
女 鈴〇
東京 +
+
+
18
女
名古屋 -
+
-
26
女 No6の妹 名古屋 -
+
-
3
女
東京
+
+
+
+
5ヶ月
女 伊○
不明 +
+
+
+ +
+
数ヶ月
女 満〇
信州 +
+
+
- -
+
2
男 山〇
鹿児島 +
+
- -
+
7~8歳 女
兵庫
+
+
4
女
千葉 +
+
10ヶ月
男 西○
三重 -
+
+ +
+
+
2
女
東京
+
+
3
男
福島 -
+
+
+
35
男 岩〇
静岡 -
+
-
+
1歳10ヶ月 女 木〇
東京 -
+
+
- ー
+
9ヶ月
女 中〇
福岡 -
+
+
+
1
男 高〇
長崎
+
+
1
男 高〇
長崎
+
1
女 高〇
長崎
+
+
不明
女 高〇
長崎
不明 不明
0
女
三重
+
1
男
三重
+
5
男
三重
+
0
男 桑〇
三重
+
+
+
0
男 丹〇
福島 -
+
+
4ヶ月
女
神奈川 -
+
+
+ +
+
34
女
京都 +
+
+
25
男
京都 +
+
+
小児期 男
新潟 +
+
+
- -
6ヶ月
女 中〇
福岡 -
+
+
+
不明
男
神奈川
+
- -
+
8歳頃
男 〇本
広島 +
+
-
+
No. 報告年 初診年齢 発症年齢 性 患者名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
1920
1926
1927
1927
1940
1941
1941
1944
1951
1952
1954
1951
1962
1963
1964
1965
1966
1967
1969
1970
1970
1970
1970
1974
1974
1974
1976
1978
1978
1987
1987
1983
1987
1992
1997
1
15
20
23
8
28
26
35
1
7
6
21
7
5
4
4
67
5
9ヶ月
46
41
23
31
0
1
16
9
2
4
57
50
53
1
63
54
同胞 文献
発症 番号
+
9
-
10
+
10
+
10
-
11
+
12
+
12
+
13
-
14
不明 15
-
16
17
+
18
-
19
20
-
21
-
22
-
23
+
24
+
25
+
25
+
25
+
25
+
26
26
26
27
-
28
-
29
+
30
+
30
-
31
+
32
33
+
34
原著論文に記載されている事実を忠実に整理、これをまとめた。空白は未記載を示す。+; あり、-; なし
1)世界の報告数
ドイツの Fritsch ら 5)が文献的に調査した
表3.Fritsch の報告したCEP患者128例の人種分布5 )
人種
German
CEP 症例集を表3にまとめた。表より、35 人 French
Indian
種分布のうち、約 40%がヨーロッパからの English
Japanese
報告であることから、国別にポルフィリン症 Italian
研究の進展をうかがい知ることができる。日 Algerian
Spanish
本人では 8 症例(症例 1, 2,3,4,10,30, Bantu
Brazilian
31, 34)の記載がみられる。しかし、今回の American
Coucasian
われわれの調査により日本では 35 例、英国 Egyptian
Irish
では 36 例(The Royal Melbourne hospital, Norwegian
Sudanese
Porphyria reference Laboratory の D. Blake Bengalian
Canadian
症例数
12
11
11
9
8
8
6
5
3
3
3
3
3
3
2
2
2
2
人種
Australian
Pakistani
Polish
Turkish
Argentinean
Sardinian
Sicilian
Hinzu
Greak
Swiss
Libanesian
African
Tunisian
East Europ
Belgian
White
ND
Total
症例数
2
2
2
2
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
6
7
128
3
博士による情報)35)の患者が存在することから、単純に推測すると Fritsch の報告数の約 4 倍以
上の CEP 患者が存在することとなる。したがって、世界では 500 以上の CEP 患者が存在すること
が推測される。
2)年別報告数
25
1920 年に最初の症例が報告されてから今日
初診年齢
発症年齢
20
までに報告された全症例の年別報告数(表2)
るが、家系数で見ると 4 家系であり、1960 年
代の 7 症例(7 家系)が最も多く報告されてい
15
例数
を見ると、1970 年代に 10 例が報告されてい
10
5
る。1930 年代の報告はなく、1990 年代では 2
例が報告されているに過ぎない。
0
0-5
6-10
11-15
16-20
21-30
31-40
41-50
51-60
60-70
年齢(歳)
図3.CEP患者の初診年齢と発症年齢
3)年齢別・性別報告数
表 2 にもとづき、初診年齢と発症年齢を図 3 に示した。発症年齢は、思春期以降に発症した遅
発例が 7 症例 (20%)、学童期は 3 例、その他は乳幼児期であった。初診年齢と発症年齢の差では
最高 46 年という間、確定診断されずに過ごしている(症例 20, 35)症例も見られた。年齢別の症
状の重篤度は見られないが、8 歳ころに発症した症例 35 および 35 歳で発症した症例 17 の患者で
は赤色歯牙が認められていない 34)。性別では(表2)、男性 16 例、女性 19 例であったが、発症
年齢や性別による症状の重篤度についての関係は見られなかった。
4)地理的分布
表2に示すように、鹿児島から仙台まで 16 都府県にまたがって発見され、地域特異性はない。
また、ほとんどの症例が同一家系であり、転居に関する動きはほとんど見られない。家系の数で
見ると 20 前後と推測される。
5)同胞発症と血族結婚
表2より、同胞発症については 29 例中 18 例 (62%) に同胞発症があると報告している。また、
35 例中 10 例 (29%) に血族結婚の記載が見られた。
4.分子異常
病因酵素である UROS 遺伝子の異常は現在までに 32 種類報告されている(表4)
。発現頻度が
最も高いのは exon 4 の C73R (T217→C, Cys73→Arg) のミスセンス変異で、89 遺伝子座のうち
30 例に見いだされている。症状との関連では、C73R/T228M や C73R/A66V などの複合ヘテロ
4
接合体(異質対立遺伝子変異)では軽症であるの
表4.CEPのUROS遺伝子異常とその頻度
に対し 8), C73R のホモ接合体(同質対立遺伝子変
アミノ酸変異 変異アレル数(%)
ナンセンスおよびミスセンス変異 C73R 30a (33.7)
L4F 4 (4.5)
T228M* 4 (4.5)
G225S 3 (3.4)
S212P* 3b (3.4)
H173Y 2b (2.2)
P248Q 2 (2.2)
Q249X* 2 (2.2)
Y19C, P53L, T62A*, A69T, I219S
A66V, V99A, A104V, E81D, G188W Q187P, A69T, V3F*, G27R* 1 (1.1)
挿入
633insA, 660ins80, 398insG, 672ins28 1 (1.1)
欠失
21delG 1 (1.1)
欠失、挿入
627del6ins39
1 (1.1)
スプライシング異常
63+1G→A(IVS2+1) 2 (2.2)
148del98(V82F) 2 ( 2.2)
660+4delA(IVS9 A+4) 2b (2.2)
562-23A→G 1 (1.1)
不明 12 (13.5)
総数 89 (100)
異)および C73R/Q187P8), C73R/P248Q8), C73R/
P53L36) の複合ヘテロ接合体は重症である。日本
では T228M, S212P, Q249X, T62A, V3F, G27R の
変異
37,38)が見いだされている。また、最近赤芽球
特異的な分化に重要な転写因子である GATA-1
(70T→C, 76G→A, 86T→C) や CP2 (90C→A) の
結合配列の変異が報告されている 39,40)。
1)皮膚症状発症機序~ポルフィリン代謝異常と
活性酸素
CEP のポルフィリン代謝異常によって主に増量
するウロポルフィリン(URO または UP)Ⅰにつ
いて、標準物質を中性領域で紫外線を照射したと
きに発生する活性酸素について検討(ESR 解析)し
た結果、ヒドロキシルラジカル(・OH)、スーパー
オキシドラジカル(O2-)および一重項の活性酸素
(1O2)の発生が確認された(図4)41)。
とくに、Ⅰ型ポルフィリンは照射時間と相関し
del:欠失, ins:挿入, IVS:イントロン
a)ホモ接合体患者6例を含む, b)ホモ接合体患者1例を含む
*)日本人家系で見出された変異
て O2- および 1O2 ラジカルが増量した。また、UROⅢの増量する晩発性皮膚ポルフィリン症
(porphyria cutanea tarda, PCT) においても、発症 (UROⅢの蓄積)と同時に光線過敏性皮膚症
状が出現することから、活性酸素の出現と関係する事が示唆される。これらの結果は、ポルフィ
リン代謝酵素の異常によってポルフィリンの過剰生産を招き、そこから産生される活性酸素によ
る酸化ストレスが症状の発現・増悪に強く関与していることが示唆される。
・OH
0.5
1
UV照射によるポルフィリン類からの
スーパーオキシドラジカル発生
0.1
O2 UV照射によるポルフィリン類からの
一重項酸素の発生
0.3
UPⅠ
UPⅢ
0.3
0.2
0.1
0
0.08
Relative Radical Intensity (S/M)
0.4
Relative Radical Intensity (S/M)
Relative Radical Intensity(Sample/MnO)
O2 -
UV照射によるポルフィリン類からの
ヒドロキシルラジカル発生
0.06
0.04
0.02
2
4
UV照射時間(min)
ESR測定条件:2% DMPO, pH 7.8
6
0.2
0.15
0.1
0.05
0
0
0
0.25
0
2
4
6
UV照射時間 (min)
ESR測定条件:2% DMPO, 50% DMSO, pH7.8
0
2
4
6
UV照射時間 (min)
ESR測定条件:50mM-TMPO, 50% DMSO, pH7.8
図4.UV照射によるウロポルフィリンⅠおよびⅢ異性体からの活性酸素の発生
5
表5.CEP患者の涙液中のポルフィリン濃度
Porphyrins
症例 18
(ng/dl)
Uroporphyrin
3345.9
Heptaporphyrin
141.5
Hexaporphyrin
35.8
Pentaporphyrin
109.5
Coproporphyrin I
285.9
Coproporphyrin III
28.6
Protoporphyrin
59.2
症例番号は表2に従う
症例 19
症例 22
症例 28
1235.3
302.5
0
67.9
348.8
32.5
59.9
91.4
3.6
0
4.9
21.4
6.4
16
1302.6
49.1
27.4
24.6
108.1
11.2
1363.3
Control
(n=2)
0
0
0
0
0
0
0
2)強膜病変発症機序
自験例5例中5例(症例 18, 19, 22, 28, 35、頻度 100%)に
図 5.CEP 患者の涙液中ポルフィリン
のHPLCパターン
強膜病変が確認され、CEP 患者に特徴的な症状と推測される。
CP; コプロポルフィリン、DP; デュ
ーテロポルフィリン、MP; メゾポ
ルフィリン、PP; プロトポルフィリン
そこで、患者の涙液 0.3ml から酢酸エチルー酢酸法によってポルフィリンを抽出し、HPLC にて
分画測定を行った 42)。その結果、図 5 に示したように、多数のポルフィリンが検出された(図 5
は症例 28 の涙液中のポルフィリンのクロマトグラフである)
。図より、UROⅠのピークが最も高
く、標準物質を用いて定量した結果、表 5 に示したように、Ⅰ型ポルフィリンが優勢であるが、
患者によってはプロトポルフィリン (PROTO または PP) の増量も認められた。表 5 の症例 19
については尿中にも PROTO が大量検出され、皮膚症状も重篤である。また、涙液中のポルフィ
リン濃度は眼症状と比例していた。すなわち、強膜病変発症の原因はポルフィリンであり、ポル
フィリン類から発生する活性酸素によることが強く示唆される。
5.病態(症候論と検査成績)
表6に臨床症状の集計を示したが、全例にお
表6.記載された皮膚症状およびその他の臨床症状
症状
光線過敏症
紅斑
水疱、糜爛
び赤色尿の記載が見られた。また、他の皮膚型
潰瘍
痂皮
ポルフィリン症にはあまり見られない爪の変
色素沈着
脱失
形、鼻・耳・指の欠損などの器質的な変化およ 肥厚・強皮症様瘢痕
脆弱性
び赤色歯牙、脾腫が高い確率で見られた。貧血 多毛・剛毛
脱毛
は溶血性貧血が主であり、ほかに肝機能障害、 骨軟骨の欠損脱落
赤色歯芽
強膜病変 43) などが見られた。強膜病変につい 赤色尿
貧血
ては近年の報告の全症例に見られ、CEP の特 赤血球赤色蛍光
脾腫
記すべき症状とも言える。多毛・剛毛も高率で 肝機能障害
強膜病変
いて、皮膚の光線過敏症状(水疱、糜爛)およ
見られた。これら皮膚症状については、幼年~
総数
26
26
26
26
26
26
26
25
25
25
25
25
22
34
26
25
14
9
25
若年に重篤な光線過敏性皮膚炎として発症するが、晩発例も報告されていた
該当
例数
26
3
26
6
5
8
2
8
5
14
1
10
20
34
12
6
8
5
5
発現率
%
100
12
100
23
19
31
8
32
20
56
4
40
91
100
46
24
57
56
20
4)。初期症状として
6
は赤色尿、赤色歯牙、光線過敏症であり
43)、赤色歯牙については晩発例では認め
られていなかった。
一般血液検査および生化学的検査デー
タを表7に示した。貧血症状は多くが溶
血性であったが、骨髄環状鉄芽球(症例
29, 34)
、蛍光赤芽球(症例 10,14,29)
、
赤血球内に Howell-Jolly 小体、有核赤血
球の核の濃縮、原形質の空洞化(症例
表7.各種検査データの集計結果
RBC
Hb
Ht
MCH
MCV
MCHC
WBC
Neu
Ly
Eo
Mo
Pl
n 平均値
範囲
14 355
191-510
13
9.9
6-14.2
3
38.5
29.6-48
12
31
23.1-40.3
3
118
87.3-166.1
3
27
15.6-33.8
12 7442 4900-11800
9
46
22.5-74
9
44
19.-75.5
7
6
0-23.4
8
6
1-20.9
3
20
15.4-27
Fe
Tbil
TP
A/G
Alb
GOT
GPT
LDH
ALP
n 平均値 範囲
4
84
50-105
4 0.7
0.4-1.2
4 7.5
6.7-8.4
4 1.2
0.6-1.8
4 3.6
2-4.5
4
48
10-100
4
29
4-50
3 1364 349-2520
3 272 4.1-790
14,)
、血清銅の増加と鉄の減少(症例 10,
15)
、赤芽球の増加(症例 14, 16, 18)の記載が見られた。
6.診断、鑑別
診断は他のポルフィリン症と同様、血液、尿、糞便中のポルフィリンの測定よりなされる。特
に臨床症状がほぼ同等とされる肝赤芽球性ポルフィリン症 (hepato-erythropoietic porphyria,
HEP) や PCT との鑑別にはポルフィリン異性体の測定が必要である。すなわち、CEP およびそ
のキャリアの診断には、
UROS の異常によって uro’genⅠおよび coproporphyrinogen (copro’gen)
Ⅰ型異性体が過剰生産され (uro’genⅠ>copro’genⅠ)、これが尿中に大量出現するために、Ⅰ型
ポルフィリンの測定による診断が最も重要である 44,45)。
1)スクリーニング
皮膚型ポルフィリン症患者では尿中に過剰のポルフィリンを排泄するため、尿自体が暗赤色を
呈することがある。これに暗室でウッド灯(400nm 付近の長波長紫外線が照射されるランプ)を
照射すると鮮明な赤色蛍光が見られるが、尿中には多くの蛍光物質があり、確定および鑑別診断
には HPLC 法で分画定量を行う。
その他のスクリーニング法としては、ポルフィリン特有の吸収波長または蛍光波長を利用し、
スペクトルを直接とる方法 46-48)、およびマイクロプレ-トリ-ダ法 49)などが知られている。
2)鑑別診断
生後まもなくおむつがⅠ型ポルフィリンの過剰排泄によりピンク色に染まることで気付くこと
がある。通常は高度の光線過敏性皮膚炎が本症診断のきっかけとなる(表 6)。ポルフィリン症の
中で尿中に大量のⅠ型ポルフィリンが出現するのは CEP だけであり、鑑別診断に重要である。
7
COPROⅢ
健常者
(1) HPLCによるポルフィリンの分析 44)
COPROⅠ
尿中のポルフィリン類は逆相カラムとアセトニト
リル系の移動相(溶離液)を用いた HPLC 分析によ
UROⅠ
りカルボキシル基数の多い順(水溶性の高い順)、お
よびⅠ型とⅢ型の順で溶出するので、これを蛍光検
出器で測定する。すなわち、尿中に排泄されたポル
フィリンの還元物質であるポルフィリノゲンをヨウ
患者と健常者の尿中ポルフィリンの典型的なクロマ
トグラフを、また表 8 に尿、血液および糞便中ポル
フィリンの実測値を示した。一方、その他の鑑別診
断法としてはレーザー法 51)、TLC 法 52) 、Dowex イ
COPROⅢ
HEXAⅠ
HEXAⅢ
(Ex=404nm, Em=620nm) で測定する。図6に CEP
PENTAⅢ
ィリンは 10 分以内に分離し、これを蛍光検出器
PENTA
する。アセトニトリル系溶離液によって尿中ポルフ
HEPTA
リンにした後、一定量(10μℓ)を逆相カラムに注入
COPROⅠ
CEP患者
UROⅠ
素/酢酸混合液などで完全に酸化 50) させ、ポルフィ
Time (min)
オン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィ-法
図6.CEP患者の尿中ポルフィリンのHPLCパターン
45)
図は健常者尿10μ L、CEP患者2μ L相当量のクロマト
グラフである。
などが知られている。
表 8. CEP患者の尿、血液、糞便ポルフィリン定量値
(1)尿中ポルフィリン(μ g/g creatinine)
ALA
PBG
8
平均
2721.9
標準誤差 542.9
最小
261
最大
11254.2
標本数
21
827.7
299.4
0
1793.2
5
(2)糞中ポルフィリン(μ g/g dry)
8
7
6
平均
標準誤差
最小
最大
標本数
0.15
0.02
0.01
0.26
12
1.69
0.71
0.00
6.51
12
7
76031.3 29300.6
8936.5 20310.1
3.9
15.9
285594 880505
45
43
19.68
3.97
2.57
48.64
13
6
5Ⅰ
5Ⅲ
4190.8
725.6
363.9
22478
41
14570.0
1572.9
221.8
50850
43
1160.5
836.0
28.7
3646.7
4
4Ⅰ
4III
28260.6
2094.9
3862.0
781.2
3.4
4.1
168940.83 12252.3
46
17
PP
CPI/III
3160.0
423.2
308.3
8664.7
32
22.3
8.9
0.8
161.0
17
5
CPI
CPIII
Prot
MP
HP
Rt 18.52
143.75
25.60
31.56
316.85
13
824.83
128.29
117.72
1740.60
13
210.91
42.85
18.37
489.50
10
2.95
0.64
0.61
8.43
13
0.90
0.60
0.00
8.00
13
13.25
2.55
1.47
29.04
10
0.61
0.33
0.00
10.73
49
(3)ヘマトクリット値と血中ポルフィリン(μ g/dl RBC)
Ht
total
CP
FEP
ZPP FPP/ZPP
(%)
porphyrin
平均
標準誤差
最小
最大
標本数
33.7
3.3
27.5
39
3
41.6
4.7
0.64
65.78
20
40.91
6.41
3.77
117.7
20
150.76
46.93
18.15
805
20
0.37
0.03
0.13
0.68
20
233.28
54.79
22.83
958.64
20
略語:ALA; δ -aminolevulinate, PBG; porphobilinogen, URO; uroporphyrin, HEPTA; heptacarboxyl porphyrin, HEXA; hexacarboxyl porphyrin
PENTA; pentacarboxyl porphyrin, COPRO; coproporphyrin, PROTO; protoporphyrin, MESO; mesoporphyrin, HARDERO; harderoporphyrin
FEP; free erythrocyte protoporphyrin, ZPP; zinc protoporphyrin, Ht; hematocrit, RT; retention time (min)
8
(2) 酵素活性測定法
CEP では赤血球 UROS 活性以外は意外と報
表 9.CEP患者の血中ALADおよびPBGD活性
CEP
-ALAD
+ALAD
PBGD
UROS
1.04
1.71
29.6
0.37
平均
0.50
0.66
12.9
0.14*
標準誤差
0.02
0.24
0.5
0.15
リ ン 酸 脱 水 酵 素 ( δ -aminolevulinate 最小
3.02
4.41
71.3
0.4
最大
dehydratase, ALAD)、ポルホビリノゲン・デア 標本数
6
6
6
8
健常値
ミナーゼ (porphobilinogen deaminase, PBGD)
1.74
2.69
29.2
0.89
平均値
0.24
0.49
5.4
0.16
標準偏差
および UROS の各々の活性を示した。
その結果、
ALAD; ALA dehydratase activity (μ mol/mlRBC/h)
ALAD および UROS 活性の低下を認めた。この PBGD; PBG deaminase activity (nmol/mlRBC/h)
UROS; uroporphyrinogen Ⅲsynthase activity
うち、UROS 活性の測定は CEP の確定診断に (μ mol/mlRBC/h), *:標準偏差
告されていない。表 9 に赤血球δ‐アミノレブ
重要であり、今のところ CEP 以外に本酵素活性
の低下が見られたという疾患は報告されていない。赤血球中の UROS 活性が正常の 20% 以下に
減少していれば確定である 3)。CEP 患者の保因者の活性は約 50%である 5)。
UROS 活性は HMB から生成された uro’genⅢを酸化し、UROⅢとした後、蛍光測定する。
基質は PBG と PBGD から生成した内因性の HMB を用いる方法と、直接 HMB を用いる方法
53)
が報告されている。どちらも、uro’genⅠ型とⅢ型の異性体が生産されるため、これを正確に
抽出分離する必要がある。この分離には、1970 年代までは濾紙や薄層クマトグラフィ-が用いら
れてきたが、1980 年代からは HPLC 法の開発により短時間で分離できるようになり 54) 、UROS
活性の測定にも応用され始めた 55)。
UROS 活性の HPLC 法は同時に PBGD 活性も測定可能であり、今後の発展が期待される。
(3)その他の鑑別診断法
ポルフィリンの大量蓄積により歯が赤色化(erythrodontia, 赤色歯牙)5)し、暗所で紫外線を
照射すると赤色蛍光を認める。しかし、遅発例では認められない。
(4)早期診断の意義
本疾患は、極めて症状が重く、通常 5 歳以内に発症を見るのが多いが、思春期~中年期に発症
する例も報告されている(表 2)。臨床症状からは晩発性皮膚ポルフィリン症と間違えることが多く、
鑑別には注意を要する。CEP は常染色体劣性遺伝であり、病状は重篤で、そのためにも UROS
活性測定による早期診断が望まれる。
7.治療・予防および管理
1)治療・予防
とくに有効な治療法はなく、皮膚病変の進展を防ぐためには、他の皮膚型ポルフィリン症と同
9
様に遮光するとともに外傷を起こさないよう注意することが大切である。強膜病変
43)
の進展予
防にはサングラスの装着も有効である。ポルフィリンの過剰な蓄積による溶血や皮膚症状を改善
することを目的として、脾摘
56)
、ヘマチン療法
ている。活性炭療法には無効例も報告されている
57)
59)
、活性炭療法
58)
および外用薬等が試みられ
が、いずれも著効を認めていない。1991 年
に初めて骨髄移植が 10 歳の重症 CEP 患者に試みられたが 60)、11 か月後に呼吸器感染症とサイ
トメガロウイルスによる脳症の合併により死亡している。この間、尿中ポルフィリン (URO)Ⅰが
75,000 nmol/24h から 405nmol/24h に減少し、ヘモグロビンおよび皮膚症状の改善を見ている。
また、Thomas ら 61) は生後 22 か月の重症患者に計2回の骨髄移植を行った結果、臨床症状が劇
的に改善、尿中 UROⅠも治療前の 1/20 量に減少し、1年以上生存している症例を報告している。
近年、遺伝子治療に対する基礎的研究が精力的に行われており 62-65)CEP の根治治療が可能とな
るであろう。
2)管理
皮膚症状を中心として、骨・軟骨の欠損、脾腫、肝機能、腎機能、内分泌機能障害を併発しや
すく、定期的な検査を要する。また、尿中のポルフィリンⅠ型異
性体あるいは血液中のポルフィリン量の増量によって皮膚光線過
敏症および肝硬変など諸症状が進行するので、定期的に測定・管
理を行うのが望ましい。また、強膜病変を合併することが多いの
で、涙液中のポルフィリンを HPLC にて分画分析し、ポルフィリ
ン量が多い場合は目薬やサングラスなどで日常的に洗浄・遮光す
るよう指導する。
8.典型的な症例
幼児例と遅発例の特徴として、赤色歯牙が幼児例で認められる
が、遅発例では認められない。その他の症状については、血中ポ
ルフィリン量と光被曝時間とが関与し、発症年齢の違いはあまり
認められていない。
1)幼児例 15, 66)
生後数ヵ月後、耳翼に突然数個の水疱が出現し、その後顔にも
及ぶようになったが、このときには母親は特に赤色尿は気付かな
かったと言う。生後 1 歳位して頭部、手にも水疱が生じるように
なり、尿の赤色および便の黒褐色に気付く。水疱の発生、糜爛、
潰瘍はその後も続き、3 歳頃某医に通院治療受けたが効果なく、
図7.CEP患者の顔面および手
(写真は浦田郡平博士より提供され
た)顔面は老人様顔貌を呈し、貧血
性で色素沈着あり、皮膚は薄く萎縮
し、瘢痕による陥没部がある。鼻は
瘢痕著明で、毛髪は剛毛、脱毛,
歯は乳歯に著明な褐色を呈す。手
指に瘢痕があり、特に指の瘢痕が
強度で湾曲強直、爪は欠損してい
る。
10
潰瘍のあとは瘢痕を形成し、7 歳にて漸く CEP と診断される。頭部では前頭部より頭頂部にかけ
て脱毛部があり、その部の皮膚は薄く光沢を持っている。露出部皮膚は光線過敏に基づく水疱、
瘢痕、色素沈着があり、鼻は瘢痕著明である。眼結膜は貧血性であるが、角膜、視力ともに異常
を認めない。歯は形が不整であるが虫歯はなく著明な赤褐色である。手指には瘢痕があり、とく
に指の瘢痕は強度で湾曲強直を呈している。爪はほとんど欠損している。下肢は露出部の皮膚が
薄くなり、色素沈着があるが、瘢痕は著明ではない。爪は肥厚し変形している。尿中の
URO19mg/day, コプロポルフィリン(COPRO または CP)5.5mg/day である。詳細は文献を参
照されたい 15, 66)。
2)遅発例 34)
顔、両手の潰瘍形成及び色素沈着を主訴とす
る家族歴のない 54 歳の男性で、8 歳頃から顔、
手などの露出部に紅斑性水疱、糜爛、潰瘍形成、
それに続く瘢痕形成、色素沈着を繰り返し、赤
色尿を自覚。20 歳頃より多毛、眼球強膜病変、
手指の短縮を自覚していたが放置していた。皮
疹は日光曝露後だけでなく、軽度の機械的刺激
によっても出現し、軽度肝機能障害がある。初
診時には顔面、頚部に色素沈着、色素脱失、小
図8.CEP患者の顔面および耳介部 (文献34より引用)
豆大の潰瘍形成(写真 1)
、両手背から前腕にか
左:顔面、頚部に著明な色素沈着・脱失がびまん性に見ら
れ、潰瘍が散在している。右:耳介の変形
けて色素沈着、過角化、多毛、手背に潰瘍形成
を認めたが、赤色歯牙は認められなかった。手指末節は短縮してい
た。両眼内外直筋付着部の強膜の壊死がみられ、それによりブドウ
膜の色調が透見された(写真2)
。尿中Ⅰ型ポルフィリンの過剰排泄
(URO19.8mg/gC, COPRO 10.0mg/gC)を認め CEP と診断した。詳
細は文献を参照されたい 34)。
図9.CEP患者強膜病変(文献
34 より引用)
おわりに
1920 年にはじめて CEP 患者が報告されて以来、今日までに 35 症例の報告を見出し、臨床症
状などについて解析、これを総説した。解析を終えて、本疾患は極めてまれな疾患であるが、未
報告例がこの数倍存在するものと推測される。その理由として、本疾患はこれまでに幼児期に発
症する事が定説であったが、思春期以降に発症した遅発例が 34 例中 7 例(21%)に見られ、また、
46 年間も確定診断されなかった症例がいることから、誤診や受診しないなど未診断の症例が存在
11
するものと思われる。患者は発症すると生涯にわたって、光線過敏症に悩まされ、次第に皮膚型
ポルフィリン症にはあまり見られない爪の変形、鼻・耳・指の欠損などの器質的な変化、脾腫が
起こり、さらに溶血性貧血、肝機能障害、強膜病変などによって症状が増悪することが共通して
いる。にもかかわらず、いまだに難病指定されておらず、社会もこれを放置しているのが現状で
ある。したがって、患者およびその家族のほとんどが社会生活を営む上で大きな障害となり、強
い精神的苦痛を抱え、日常生活の苦労や将来に対する不安から引きこもりをはじめとする様々な
問題と直面する事となる。このような事を少しでも緩和するべく、患者の会 (全国ポルフィリン
代謝障害患者の会;愛称「さくら友の会」(http://www.kiyos.com/sakura/), 事務局代表:近藤雅
雄) が設立されたが、行政側も希少疾患という事で、これを放置しているのが現実であり、早急
な対策が望まれる。さくら友の会では、ポルフィリン症全般の患者と家族向けに、疾患の概要や
注意すべき薬剤の解説、ポルフィリン症の診療を行っている医療機関の紹介などを行っており、
会員数は 2005 年 4 月現在で 58 名、その背景となる家族を入れると総人数は約 500 名である。
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Congenital erythropoietic porphyria in Japan: Compilation of all
cases reported through 2005
Masao Kondo, Yuzo Yano, Gumpei Urata, Noboru Takamura
1) Division of Applied Nutrition, National Institute of Health and Nutrition, Tokyo
2) Department of Public Health, Nagasaki University Graduate School of Biomedical Sciences
Congenital erythropoietic porphyria (CEP) is an autosomal recessive inborn error
of heme biosynthesis which results from a 80-90% decreased activity of
uroporphyrinogen Ⅲ synthase (UROS) the fourth enzyme of the heme biosynthetic
pathway.
The enzyme deficiency leads to an excessive production, accumulation
and excretion of predominantly type Ⅰporphyrins, which clinically induce very severe
cutaneaous photodermatosis mostly in association with hemolytic process.
To date 35 cases of CEP have been published in Japan and are summarized here.
Moreover, we demonstrated the first evidence that the accumulation of porphyrins
in teardrops is a common feature in patients with CEP
Key words:
congenital erythropoietic porphyria, uroporphyrinogen Ⅲ synthase,
erythrodontia, bone marrow transplantation, photosensitivity
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