特集 病院感染対策と 次亜塩素酸ナトリウム 「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」 の要約 花王株 式会社 C&S事業部 インフェクション コントロール コーディネータ 井上 邦夫 近藤 静夫 はじめに 今般、 「感染症の予防及び感染 症の患者に対 する医 療に関 する法 律(以下、感 染 症 法:平成 1 1( 19 9 9 )年 4月1日施 行) 」が 施 行後 4 年 7ヶ月目で見直し改正され、平成15( 20 0 3)年 11月5日から施 行されました。 感染 症は、高 病原性鳥インフルエンザ( 鳥インフルエンザ)が 世界的流行のきざしを見せたり、重 症 急性 呼 吸器 症候 群(SA RS) などの新興感染症(Emerging Infection) の出現 や 薬剤耐性型結核 感染 症などが 再興感染 症(Re -Emerging Infection) として発生するなど、新たな形で 今なお人類に脅威を与えています。 この度、これらの感 染 症に 対し、迅速かつ適確に対応 できるように法 改正が 行われたわけですが、特 筆 すべき改正点は、 緊急時における感染症対策の強化、 対象疾病、疾 病分 類の見直し、 動物由来の感 染 症対策の強化、 検疫との連携、 罰則で す。 この感染 症法 の改正に 伴って、本法第27条及び第29条に基 づく感染症の病原体に汚染された場所等の消毒・滅 菌に関する 取り扱いとして通知されていた、平成11(19 9 9 )年 3月31日 健医感発 第51号「一類感染 症、二類感染 症及び三類感染 症の消毒 ・滅菌に関する手引きについて」 ( 以下、旧通知) も見 直しがなされました。そして、新たな通 知として平成16( 20 0 4) 年1月30日 健感発第0130001号「感 染 症法に基づく消 毒・滅 菌の手引きについて」 (以下、消 毒・滅菌の手引き) が旧通知を改正した形で 出されました。これに伴い旧通知は 廃 止されました。 この新旧「消毒・滅菌の手引き」の主な変更点は、以下の2点が挙げられます。 感染 症法 の改正による「対象疾 病、疾 病分類の見直し」に伴って、新通知にも新たな追加、修正がなされていることです。 APIC1)及びCDC2)ガイドラインが「各病原体と消毒剤の抵 抗性の関係」で 得られた知見を基 に改正されたことを反映して、 それらの内容が改正「消毒・滅菌の手引き」の消 毒法に採り入れられていることです。すなわち、一部についてですが、使用でき る消毒剤の新たな追加と見直し、あるいは使用濃度と消毒時間を変更した見直しと追加などです。 この改 正「消毒・滅菌の 手引き」の 全 体 構成は、 (1)消毒・滅菌対象および感染症の消毒・滅菌処理法を概略的にまとめた 総論部分と、 (2)感染症を個別に解説した各論部分からなっています。 総論は、 1 感染 症の病原体で汚 染された消毒・滅菌対象別の消毒・滅菌法又は処理法、 2 一類、二類感染症の消毒法の概要 から構 成されています。一方、 「 消 毒・滅菌の手引き」の大部分を占める各論は、感染 症の個別について特徴・症状、感染経 路、患者対応、感染対策・予防策、医療従事者への注意および汚染物の消毒・滅菌などの解説がなされています。 以下に、今回改正された「消毒・滅菌の手引き」の総 論・各論から抜粋してまとめました一 類〜五 類感 染 症の消 毒 法について 述べます。 対 象感 染 症と感 染 経 路、感 染 源、予防 策 改正された「消 毒・滅菌の手引き」の各論から対象感染症に対応する感染経路、感染源、感染予防策を抜粋して まとめ、表1に示しました。 表1 対 象 感 染 症 と 感 染 経 路 、感 染 源 、予 防 策 項目 規定 感染症の類型 病原体 対象疾患(感染症) (病原体) エボラ出血熱 マールブルグ病 ● クリミア ・コンゴ出血熱 ● ラッサ熱 ● 重症急性呼吸器症候群 (SARS) ● 痘そう (天然痘) エボラウイルス マールブルグウイルス クリミア・コンゴ出血熱ウイルス ラッサウイルス SARSコロナウイルス 痘そうウイルス ペ スト菌 ● 法 律 で 定 め る 2 ● 一類感染症 ウイルス 細菌 ● ペスト 感染経路 感染源 予防策 接触感染 接触感染 接触感染 接触感染 飛 沫、接 触 感 染 飛沫感染 血液、分泌物、排泄物 血液、分泌物、排泄物 血液、分泌物、排泄物 血液、分泌物、排泄物 飛沫、 エアロゾル 飛沫、 エアロゾル 接触・標準 予 防 策 接触・標準 予 防 策 接触・標 準 予 防 策 接触・標 準 予 防 策 飛沫・標準 予 防 策 飛沫・標準 予 防 策 飛 沫、接 触 感 染 飛 沫、 エアロゾル 飛沫・標準 予 防 策 法 律 で 定 め る ウイルス ● 急性灰白髄炎(ポリオ) 細菌 コレラ ● 細菌性赤痢 ● ジフテリア ● 腸チフス、パラチフス 細菌 ● ● 二類感染症 三類感染症 腸管出血性大腸菌感染症 E型肝炎 ● ウエストナイル熱 (ウエストナイル脳炎を含む) ● A型肝炎 ● 黄熱 ● 狂犬病 ● 高病原性鳥インフルエンザ ● サル痘 ● 腎症候性出血熱 ● デング熱 ● ニパウイルス感染症 ● 日本脳炎 ● ハンタウイルス肺症候群 ● Bウイルス病 ● リッサウイルス感染症 ● ウイルス 施 行 令 で 定 め る クラミジア 四類感染症 経口、飛 沫 感 染 糞便、飛沫 飛沫・標準 予 防 策 コレラ菌 赤痢菌 ジフテリア菌 腸チフス菌、パラチフスA菌 経口感染 経口感染 飛沫、接触感染 経口、接触感染 糞便、吐物 糞便 飛沫、皮膚接触 糞便、血液、尿 接触・標準予防策 接触・標準予防策 飛沫・標準予防策 接触・標準予防策 腸管出血性大腸菌 経口感染 糞便、 飲食物 接触感染予防策 E型肝炎ウイルス ウエストナイルウイルス A型肝炎ウイルス 黄熱ウイルス 狂犬病ウイルス 鳥インフルエンザウイルス サル痘ウイルス ハンタウイルス デングウイルス ニパウイルス 日本脳炎ウイルス ハンタウイルス肺症候群ウイルス Bウイルス リッサウイルス 経口感染 蚊の刺咬 経口感染 蚊の刺咬 サルの刺咬 コウモリの刺咬 糞便、 飲食物 感染蚊、輸血 糞便、血液、飲食物 感染蚊、輸血 キツネ、 コウモリ トリ ペット動物 ドブネズミ ネッタイシマカ オオコウモリ、ブタ コガタアカイエカ シカシロアシマウス オナガザル 食虫コウモリ 標準・接触予防策 標準予 防 策 標準・接触予防策 標準予 防 策 標準予 防 策 標準・飛沫 予 防 策 標準・飛沫・接触予防策 標準予防 策 標準予防 策 標準・接触予防策 標準予防 策 標準予防 策 標準予防 策 標準予防 策 蚊の刺咬 接触感染 蚊の刺咬 オウム病クラミジア 菌体の吸入 オウム、インコ、ハト 標準予防策 ● コクシエラ・バーネッティ オリエンチア・ツツガムシ リケッチア・ジャポニカ リケッチア・プロワツェキィイ 経気道・経口感染 ツツガムシの刺咬 マダニの刺咬 コロモジラミの刺咬 ウシ、ヒツジ、マダニ −−− ツツガムシ 標準予防策 マダニ 標準予防策 コロモジラミ 標準予防策 回帰熱 ライム病 ● レプトスピラ症 ボレリア・レカレンチス ボレリア・ブルグドルフェリ レプトスピラ・インテロガンス シラミ、ダニの刺咬 ダニ、シラミ 標準予防策 マダニの刺咬 マダニ 標準予防策 皮膚感染 ドブネズミ、イヌなどの尿 標準予防策 ● オウム病 ポリオウイルス Q熱 ● つつが虫病 リケッチア ● 日本 紅斑熱 ● 発しんチフス ● スピロヘータ ● 原虫 ● マラリア 熱帯熱マラリア原虫など ハマダラカの刺咬 ハマダラカ 標準予防策 蠕虫 ● エキノコックス症 動物に触れない 多包条虫 経口感染 キタキツネ・イヌ 真菌(糸状菌) ● コクシジオイデス症 コクシジオイデス・イミチス 菌体の吸入 土壌(中南米風土病) ● 炭疽 芽胞形成菌 ● ボツリヌス症 炭疽菌バシラス・アンスラシス 吸引(肺) 、 接触(皮膚) 大気、土壌 ボツリヌス菌クロストリジウム・ボツリナム 経口感染 食品 空気・接触・標準予防策 −−− ブルセラ症 野兎病 ● レジオネラ症 ブルセラ・メリテンシス 接触感染、吸引 野兎病菌フランシセラ・ツラレンシス 接 触 感 染 レジオネラ・ニューモフィラ 飛沫感染 標準予防策 標準予防策 水の衛生維持 芽胞形成菌 以外の細菌 ● ● ウイルス肝炎(A型、E型を除く) B型肝炎ウイルス, C型肝炎ウイルス 急性脳炎 (ウエストナイル脳炎、 日本脳炎を除く) ● 後天性免疫不全症候群 (HIV) エイズウイルス ● 先天性風しん症候群 家畜類 野兎、げっ歯類 生活水 −−− ● ウイルス (全数) ● RSウイルス感染症 インフルエンザ(鳥インフルエンザを除く) ● 感染症胃腸炎 ● 急性出血性結膜炎 ● 水痘 ● 性器ヘルペスウイルス感染症 ● 成人麻しん ● 風しん ● 無菌性髄膜炎 ● 手足口病 ● 伝染性紅斑 ● 突発性発しん ● 麻しん (成人麻しんを除く) ● ヘルパンギーナ ● 流行性耳下腺炎 ● 流行性角結膜炎 ● 尖圭コンジローマ ● 咽頭結膜熱 ● ● ウイルス (定点) 施 行 規 則 で 通 知 す る 五類感染症 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 細菌性髄膜炎 ● 百日咳 ● ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 ● メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 ● 薬剤耐性緑膿菌感染症 ● 淋菌感染症 A群溶血性レンサ球菌 髄膜炎菌(B型) 百日咳菌 肺炎球菌 黄色ブドウ球菌 接触感染 緑膿菌 淋菌(ナイセリア:N. meningitidis) ● クラミジア (定点) ● ● クラミジア肺炎(オウム病を除く) 性器クラミジア感染症 トラコーマクラミジア スピロヘータ(全数) ● 梅毒 梅毒トレポネーマ マイコプラズマ(定点) ● マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ・ニューモニア 原虫 (全数) 注2) : 患者への対応 疾患特有の感染 経路が 存 在することを認 識 して 対応する。 さらに感染経路別に有効な感染防止策を施す。 (1)空 気 感 染:適 切 な 空 調 、 換 気 、 高 性 能 濾 過 マスクを着用する。 (2)飛沫感染 :手指消毒の徹底。 接する医療従事者は手袋、 マスク、 ゴーグル、プラスチックエプロン、 キャップなどを必要に応じて装着 する。環境清掃を徹底する。 (3)接触感染 :手指消毒と清掃の徹底 。 接 す る 医療従事者は手袋、プラスチック エプロン、その他の標準予防策を 実施する。 溶血性レンサ球菌 ナイセリア(N. meningitidis) 破傷風菌 黄色ブドウ球菌 腸球菌 ● ● 細菌 (定点) 風しんウイルス コクサッキーウイルス,エンテロウイルス コクサッキーウイルス,エンテロウイルス ヒトパルボウイルス ヒトヘルペスウイルス 麻しんウイルス (はしか) コクサッキーウイルス ムンプスウイルス (おたふく) アデノウイルス パピローマウイルス 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 髄膜炎菌性髄膜炎 ● 破傷風 ● バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 ● バンコマイシン耐性腸球菌感染症 ● 細菌 (全数) RSウイルス インフルエンザウイルス カリシウイルス エンテロウイルス 水痘ウイルス 単純ヘルペスウイルス 注1) :五類感染症の場合、当該欄に該当する記 載がある のは、「メチシリン耐性黄 色ブドウ球 菌感 染 症 」、 「クリプトスポリジウム症」の2つの感染症だけであり、 その他のものには記載がない。 なお、五類感染症の全般に関して当該事項に関連 する記載内容を 参考のために以下の注2)に記載 しました。 アメーバ赤痢 ● クリプトスポリジウム症 ● ジアルジア症 ● プリオン(全数) ● クロイツフェルト・ヤコブ病 赤痢アメーバ クリプトスポリジウム ジアルジア 手指、医療器具、留置 接触・標準予防策 カテーテル、手術や医療処置 注1) 、 注2) と同様 経口感染 糞便 接触・標準予防策 、 注2) と同様 プリオン (Prion protein : PrP) 注1) 3 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き 総論 1 感染症の病原体で汚染された器材・環境の消毒・滅菌 改正「消毒・滅菌の手引き」の総論冒頭に記載された内容を以下に引用記載しました。なお、消毒・滅菌対象別に その消毒・滅菌法又は処理法が記述されている内容のところは、 「消毒・滅菌対象」、 「消毒法又は処理法」および 「最終処理」に分けて整理し、表 2に 示しました。 感 染 症の病原体で汚 染された機器・器具・環境の消毒・滅菌は、適 切かつ迅 速に行って、汚 染 拡 散を 防止しな ければなりません。 表2 感染症の病原体で汚染された器材・環境の消毒・滅菌法および処理法 消 毒・滅 菌 対 象 消毒法又は処理法 手袋、帽子、ガウン、覆布(ドレープ)、 可能 な 限り使い捨 て製品を 使用する 機器や患者環境の被覆材 など ● ● ウオッシャーディスインフェクター、フラッシュイングディスイン フェクター、またはその他の 適 切 な 熱水洗浄消毒器で処 理 するか、あるいは 消 毒 剤に浸 漬処 理(付 着汚 染 物 が 洗 浄 除去しに くくなることが 多い) したうえで、用手洗浄を行う ● 熱水洗浄消毒または消毒剤浸漬後、洗浄する ● 血液等目に見える大きな汚 染 物が付着している場合、これを 清拭除去した後 (消毒剤による清拭でもよい) 、適切な消毒剤 を用いて清拭消毒する (清拭消毒前に汚染微生物量を極力 減少させておくことが 清 拭 消 毒 の 効果を高めることになる) 汚染した再使用器具 汚 染した食 器 、リネン 類 汚 染した患者環境(病室など) 、 大型機器表面 など 最終処理 ● 使用後、専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか、あるい はプラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面を清拭 消毒し、患者環境(病室など) より持ち出し、焼 却処 理する ● 滅菌などの必要な処理を行った後、再使用に供する 厚生労働省健康局結核感染症課長通知: 健感発第0130001号「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて」 より引用 消毒 剤処 理は 滅菌処 理と異なり、対象とする微生物の範囲が 限られており、その 抗 菌スペクトルからはみ出る微 生物が必ず存 在し、条 件が 揃えば消毒剤溶液中 で 生 存 増 殖 する微 生 物もあります。した が いまして、対象微生物 を考慮した適切な消毒剤の選択が必要となります。 2 一類、二類感染症の消毒法の概要 改正された「消 毒・滅 菌の手 引き」の総論に掲載されている「一 類 、二類感染症の消毒法概要」 をそのまま引用し 表3に示しました。なお、消毒法の記載内容については、わかりやすくするため【清拭消毒の場合】 と【浸漬消毒の 場合】 に分けて書き改めました。 表3 一類、二類感染症の消毒法概要 類型 感染症 消 毒のポイント エボラ出血熱 マールブルグ病 ● クリミア ・コンゴ出血熱 ● ラッサ熱 厳重な消毒が必要である。 患 者の血液・分 泌 物・排 泄 物、 およびこ れらが 付 着した可能性の ある箇所を消毒する ● ● 消毒法 ● 80℃・10分間の熱水 抗ウイルス作用の強い消毒剤 【清拭消毒の場合】 ● ● 0.05〜 0.5%(500 〜 5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで 清 拭 * アルコール(消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で清 拭 【浸漬消毒の場合】 0.05〜 0.5%(500〜5,000ppm) 次亜 塩素酸ナトリウムで30分間浸漬 アルコール(消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で30分間浸漬 ● 2〜3.5%グルタラールに30分間浸漬* * ● ● 一 類 感 染 症 ● ペスト 肺ペストは飛沫感染であるが、 患 者に用いた機器や患者環境の 消毒を行う ● 80℃・10分間の熱水 消毒剤 【清拭消毒の場合】 ● ● 0.2w/v%第四 級アンモニウム塩または 両 性 界 面 活 性 剤 で 清 拭 アルコール(消毒用エタノール、70v/v % イソプロパノール) で清拭 【浸漬消毒の場合】 ● ● ● 重症急性呼吸器症候群 (SARS) ● 痘そう (天然痘) 二 類 感 染 症 ● 急性灰白髄炎(ポリオ) 患者の糞便で汚染された可能性の ある箇所を消毒する ● ● コレラ 細菌性赤痢 患者の糞便で汚染された可能性の ある箇所を消毒する ● ジフテリア 皮膚ジフテリアなどを除き飛沫感 染であるが、患者に用いた機器や 患者環境を消毒する ● 腸チフス パラチフス 患者の糞便・尿・血液で汚染された 可能性のある箇所を消毒する ● 4 患者環境などの消毒を行う 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または 両 性 界 面 活 性剤に30分間浸漬 0.01〜0.1%(100〜1,000ppm)次亜塩素 酸 ナトリウムに30〜60分間浸漬 エボラ出血熱と同様 エボラ出血熱と同様 ペストと同様 * 血 液 などの汚 染に対しては0.5%(5,000ppm) 、また明らかな血液汚染がない場合には0.05%(500ppm) を用いる。 なお、血液 などの汚 染 に 対しては、ジクロルイソシアヌール 酸 ナトリウム 顆 粒 も 有 効 で あ る 。 * * グル タラールに 代 わる方 法として、0. 55 %フタラールへ 30 分 間浸 漬 や、0.3%過酢酸へ10分間浸漬があげられる。 厚生労働省健康局結核感染症課長通知: 健感発第0130001号 「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて」 より引用 一類〜五類感染症に関する消毒法 各論 改正された「消毒・滅菌の手引き」の総論、各論に記載されている一類〜五類感染症の消毒・滅菌から各感染症の 消毒法を抜粋し、感染症別、消毒・滅菌対象別にそれらの消毒法を一部加筆しまとめたものを表4に示しました。 表4 一類〜五類感染症の消毒法に関するまとめ 類型 感染症 一類感染症 エボラ 出血熱 重症急性 マール クリミア・ 痘そう ラッサ 熱 呼吸器症候群 ブルグ病 コンゴ出血熱 (天然痘) (SARS) ペ スト 病原体 消毒・ 滅菌対象 エボラ マールブルグ クリミア・コンゴ ラッサ SARS 痘そう ウイルス ウイルス 出血熱ウイルス ウイルス コロナウイルス ウイルス 【再使用する場合】 ウオッシャーディスインフェクター(93℃・10分間) での熱水消毒 ● 2〜3.5%グルタラールまたは0.55%フタラールに30分間浸漬 後、用手 洗浄する ● 0.3%過酢酸に10分間浸漬後、用手洗浄する ● アルコール (消毒用エタノール、70v/v% イソプロパノール) に30分間浸漬 注)上記消毒後、滅菌の必要なものは、適切に滅菌処理する ● 器具 ペ スト 菌 【再使用する場合】 熱水消毒(80℃・10分間)※ 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性 剤に30分間浸漬 ● 0.02〜0.1% (200〜1,000ppm)次亜塩素酸ナト リウムに30分間浸漬 注)上記 消 毒 後 、滅 菌の必 要 なものは、適 切 に 滅 菌 処 理する ● ● 【再使用しない場合】 使用後、専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか、あるいはプラスチック 袋に 二重に密閉したうえで 、外 袋 表面を 0.05%(500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで清 拭消 毒し、患者環境(病 室など) より持ち出し、焼却処理する 【血液など目に見える汚染ある場合】 0.5%(5,000ppm)次亜塩素酸 ナトリウムまたはアルコール(消毒用エタ ノール、70v/v%イソプロパノール)をしみ 込ませたガーゼなどで清 拭 ● ジクロルイソシアヌール酸ナトリウム顆 粒をふりかけて、5分間以上 放 置後 に清拭 ● 床、大型機器 表面など 【血液など目に見える汚染ない場合】 患 ● 0.05 % (500ppm)次 亜塩素酸 ナトリウムまたはアルコール(消毒用エタ 者 ノール、70v/v%イソプロパノール)で 清 拭 環 で清 拭 境 オーバーテーブル、 ● アルコール(消毒用エタノール、70v/v% イソプロパノール) ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 【血液など目に見える汚染ない場合】 ● 0.05% (500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで 清 拭 水道ノブ、 洋式トイレの便器、【血液など目に見える汚染ある場合】 トイレの取っ手・ ● 0.5%(5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清 拭 ドアノブなど リネン類 焼却(使い捨て製品) 熱水洗濯(80℃・10分間) ● 0.05〜0.1% (500〜1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへ30分間浸漬後 洗濯 注)病室から運び 出す場合、プラスチック袋 で二重に密閉し、外側を0.05% (500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで 清 拭 する 0.2w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活 性剤で清拭 ● アルコール (消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノ ール) で清拭 ● 熱水洗濯(80℃・10分間)※ 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性 剤に30分間浸漬後洗濯 ● 0.02〜0.1% (200〜1,000ppm)次亜塩素酸 ナト リウムに30分間浸漬後洗濯 ● ● ● 熱水消毒(80℃・10 分間) 0.05〜0.1%(500〜1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムへ30分間浸漬 ● ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使用後、プラスチック袋に二重に密閉したうえで、外 袋 表 面を0.05% (500ppm)次 亜 塩 素 酸 ナトリウムで 清 拭 消 毒 後、患 者 環 境 から 持ち 出し、焼却する ● 排便後、水洗トイレ槽へ次亜塩素酸ナトリウムを最終濃度 0.2〜0.5% (2,000〜5,000ppm)になるように添 加し5分間 以 上 放 置 後流す ● フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) 洗浄後に、0.05〜0.1%(500〜1,000ppm)次亜塩素酸 ナトリウム へ3 0 分間浸漬 ● ● ● ベッドパン (便器) 0.2w/v% 第四 級 アンモニウム塩または両性界面活 性剤で 清 拭 ● アルコール (消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノ ール) で清拭 ● ● ● 分泌物 排泄物 使用後、専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか、ある いはプラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面 を0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭消 毒し、患者環境(病室など) より持ち出し、焼却処 理する ● ● 食器 【再使用しない場合】 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 熱水消毒(80℃・10分間)※ 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムに60分間 浸漬 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使 用 後 、プラスチック袋に二重に密閉したうえで、 外 袋 表 面を 0.05%(500 ppm)次 亜 塩 素 酸 ナト リウムで 清 拭 消 毒 後、患 者 環 境 から 持 ち 出し、焼 却する フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間 の蒸気) ● 洗浄後、0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性 界面活性剤に30分間浸漬 ● 洗浄後、 0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムに 30分間浸漬 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 手指 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う ※ 70℃・1分間や80℃・10秒間などの熱水でも有効と推定されるが、安 全を見込んで80℃・10分間とする. 5 類型 二類感染症 感染症 急 性 灰 白 髄 炎( ポ リ オ ) コレラ 細菌性赤痢 コレラ菌 赤痢 菌 ジフテリア 腸チフス パラチフス 病原体 ポリオウイルス 消毒・ 滅 菌対象 【再使用する場合】 ウオッシャーディスインフェクター(93℃・10分間)での熱水 消毒 ● 2 〜 3.5%グルタラールまた は0. 55%フタラールに30分間 浸漬 後、用手洗浄する ● 0.3%過酢酸に10分間浸漬後、用手洗浄する ● アルコール (消毒 用エタノール、70v/v%イソプロパノール) に 30分間浸漬 注)上 記 消 毒 後、滅 菌の必 要 なものは、適 切に滅 菌 処 理 する ● 器具 チフス菌 ジフテリア菌 パラチフスA菌 【再使用する場合】 熱水消毒(80℃・10分間) ※ 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤に30 分間浸漬 ● 0.02〜 0.1% (200 〜1, 000ppm)次亜塩素酸 ナトリウムに 30分間浸漬 注)上 記 消 毒 後 、滅 菌 の 必 要 なものは、適 切 に 滅 菌 処 理する ● ● 【再使用しない場合】 【再使用しない場合】 使用後、専用の感染性廃棄物用容器に密閉するか、あるいはプ ラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面を0.05%(500 ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒し、患者環境(病室など) より持ち出し、焼却処理する 【血液など目に見える汚染ある場合】 0.5%(5, 000ppm)次亜塩素酸 ナトリウムまたはアルコール (消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) をしみ込ませ たガーゼなどで清拭 ● ジクロルイソシアヌール 酸 ナトリウム顆 粒 をふりかけて、5分 間以上放置後に清拭 使用後、専用の感 染 性 廃 棄 物用 容器に密閉するか、あるいは プラスチック袋に二 重に密閉したうえで、外 袋 表 面 を 0.05% (500ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒し、患者環境(病 室など)より持 ち出し、焼 却 処 理 する ● ● 0.2w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤で清拭 ● アルコール(消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で 清拭 ● 床、大型機器 表面など 患 者 環 境 【血液など目に見える汚染ない場合】 0.05 %(500ppm) 次亜 塩 素 酸 ナトリウムまたはアルコール (消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で清拭 ● オーバーテーブル、 ● アルコール(消毒用エタノール、70v/v% イソプロパノール)で 清拭 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 【血液など目に見える汚染ない場合】 水道ノブ、 ● 0. 05% (500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで 清 拭 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ 【血液など目に見える汚 染ある場合】 ドアノブなど リネン類 ● 0.5 %(5,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清 拭 ● 焼却(使い捨て製品) ● 熱水洗濯(80℃・10分間) ※ ● 熱 水 洗 濯(80℃・10分間) ● 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤に30 分間浸漬後洗濯 ● 0.05 〜 0.1%(500 〜1,000ppm)次亜塩素酸 ナトリウムへ 30分間浸漬後洗濯 ● 0.02〜0.1%(200〜1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムに30 分間浸漬後洗濯 熱水消毒(80℃・10 分間) 0.05〜 0.1%(500 〜1,000ppm)次亜塩 素 酸 ナトリウムへ 30分間浸漬 ● 熱水消毒(80℃・10分間)※ 0.01%(100ppm)次亜塩素酸ナトリウムに60分間浸漬 ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使用後、プラスチック袋 に二重に密閉したうえで、外 袋 表 面 を0.05%(500 ppm)次 亜 塩 素 酸 ナトリウムで 清 拭 消 毒 後、 患者環境から持ち出し、焼却する ● ● 排便後、水洗トイレ槽へ次亜塩素酸ナトリウムを最終濃度0.2 〜0.5%(2,000 〜5,000ppm) にな るように 添 加し5分間 以上放置後流す ● フラッシュイングディスインフェクター(90 ℃・1分間の蒸気) 注)病 室 から運 び出す場 合、プラスチック袋 で二重に密閉し、外 側を0.05%(500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで 清 拭 する ● 食器 分泌物 排泄物 ベッドパン (便器) ● ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒使用後、 プラスチック袋に二重に密閉したうえで、外 袋 表 面を 0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで 清 拭 消 毒 後、患 者環境から持ち出し、焼却する フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) 洗浄後、0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性 剤に30分間浸漬 ● 洗浄後、 0.05% (500ppm) 次亜塩素酸ナトリウムに30分間浸漬 ● ● ● 洗浄後に、0.05 〜 0.1%(500〜1,000ppm)次亜塩素酸 ナトリウムへ3 0 分間浸漬 【目に見える汚染ない場合】 消毒用エタノール、速乾性擦式 アルコール製剤で消毒 する 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 手指 【目に見える汚染ある場合】 洗浄剤含有ポビドンヨードで消 毒する 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う ※ 70℃・1分間や80℃・10秒間などの熱水でも有効と推定されるが、安 全を見込んで80℃・10分間とする. 6 類型 三類感染症 感染症 腸管出血性大腸菌感染症 病原体 腸管出血性大腸菌 消毒・ 滅菌対象 耐熱性のもの ● ウオッシャーディスインフェクターなど 熱水使用の洗 浄 装 置 で 処 理 、もしくは 素 洗 い 後に 熱 水 浸 漬(80℃以上・10 分間以上) →その後、器機組みして高圧蒸気滅菌など、通常の滅菌を行う 非耐熱性のもの ● 流 水洗浄後、薬液消毒(アルコール系消毒剤、両性界面活性剤、ビグアナイド系消毒剤、塩素系消毒剤) 、または 酸 化エチレ ンガス滅 菌、過 酸 化 水 素 ガスプラズマ 滅 菌 などで滅菌する ● 0.2w/v% 第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤で 清 拭 消 毒 ● アルコール(消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で清拭消毒 ● 熱水洗濯(80℃・10分間) ● 0.02〜0.1%(200〜1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムに30分間浸漬後 、洗濯する. なお便汚 染のある場合は水洗除 去後、 0.02〜0.1%(200〜1,000ppm)次亜塩素酸ナトリウムに30分間浸漬後、洗濯する. ● 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤へ30分間浸漬消毒 ● 家庭用漂白剤に浸漬後水洗いして洗濯する ● 洗剤と流水で洗浄する ● 熱水消毒(80℃・10 分間) ● 水洗トイレ槽に第四級 アンモニウム塩を最終濃度0.1〜0.5%になるように注ぎ、5分間以上放置後に流す 器具 床、大型機器 表面など 患 者 環 境 オーバーテーブル、 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 水道ノブ、 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ ドアノブなど リネン類 食器 便付着物品の消毒 糞便洗浄後、熱水消毒(80℃・10 分間) 糞便洗浄後、 0.05%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで30分間浸漬消毒 ● 0.1w/v%第四級アンモニウム塩で30分間浸漬消毒 ● 分泌物 排泄物 ● 便器の消毒 ● ● 0 . 0 5 %(500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで清拭消毒 0 . 2w/v%第四級アンモニウム塩で清拭消毒 フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤に30分間浸漬 ● 洗浄後に、0 . 0 5 %(5 0 0 p p m) 次 亜 塩 素 酸 ナトリウムへ30分間浸漬 ● ベッドパン (便器) ● 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 手指 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 7 類型 四類感染症 感染症 【ウイルス性 疾 患】 E型肝炎、ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む) 、A型肝炎、黄熱、 狂犬病、高病原性鳥インフルエンザ、サル痘、腎症候性出血熱、デング熱、 ニパウイルス感染症、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、 リッサウイルス感 染 症 病原体 消毒・ 滅菌対象 E型 肝 炎ウイルス、ウエストナイルウイルス、A型肝 炎ウイルス、黄 熱 ウイルス、狂 犬 病ウイルス、鳥インフルエンザウイルス、サル 痘ウイルス、 ハンタウイルス、デ ングウイルス、ニパウイルス、日本 脳 炎 ウイルス、 ハンタウイルス肺症候群ウイルス、Bウイルス、リッサウイルス ● 消 毒 剤による不 活性化を受けやすいか抵 抗性 かの違いは、エンベロ ープの有無により異なる ● エンベロープを有するウイルスは、消毒剤に対して感性である ● エンベロープを有しないウイルスは、加 熱 処 理 に 対しても 抵 抗 性で あり、かつ小型であるためろ過による除去も困難である ● A・E型肝炎ウイルスはエンベロープを有しない. 60℃・60分間の加熱では不活性化されない. 70℃・30分間、100℃・5分間で 不 活 性 化される 器具 ● 床、大型機器 表面など 患 者 環 境 【クラミジア性疾患】 オウム病 オウム病クラミジア ● 0.1〜0.5w/v%両性界面 活性剤、0.1w/v%第四級 アンモニウム塩 などの 低 水 準 消 毒剤で 消 毒する 【リケッチア性疾患】 Q熱、つつが虫病、 日本紅 斑熱、発しんチフス コクシエラ・バーネッティ、 オリエンチア・ツツガムシ、 リケッチア・ジャポニカ、 リケッチア・プロワツェキィイ ● 熱に弱く56℃の加熱で 容易に死滅する ● 消 毒 剤 抵 抗 性も 弱く、ア ルコール( 消 毒 用 エ タノ ール、70v/v%イソプ ロ パノール )などで消毒で きる ● 脆 弱な外 被 膜を有してお り、超音波30〜 60秒処 理で 破壊できる B・C型肝炎ウイルスはエンベロープ を 有し、98℃・2分間の熱処理に より不 活 性 化される 大部分のウイルスに効果を示す消毒剤(消毒法) を以下に示す 煮沸(98℃以上) 15〜20分間 2w/v%グルタラール 0.05〜0.5w/v%(500〜5,000ppm) 次亜塩素酸ナトリウム 76.9〜81.4v/v%消毒用エタノール 70v/v%イソプロパノール 2.5w/v%ポビドンヨード 0.55w/v%フタラール 0.3w/v%過酢酸 ● 汚 染局所に対して消毒の 必要性がある場合に行い、 0.1〜 0.5w/v%両性界面 活性剤、0.1〜 0.5w/v% 第四級アンモニウム塩を 使用する オーバーテーブル、 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 水道ノブ、 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ ドアノブなど リネン類 ● 焼 却(使い 捨て製品) ● 熱水消毒(80℃・10分間) ● 熱水洗濯(80℃・10分間) ● ● 0.05 〜 0.1w/v%(500 〜1,000ppm) 次亜塩素酸 ナトリウムへ 30 分間浸漬後洗濯 0.05w/v%(500ppm) 次亜 塩 素 酸 ナトリウムに 30分間以上浸漬消毒 注)病 室 から運 び 出す 場 合、プラスチック袋 で二 重に密閉し、外 側を 0.05w/v%(500ppm)次亜塩素酸 ナトリウムで 清 拭 する ● 食器 分泌物 排泄物 ベッドパン (便器) ● 熱水消毒(80℃・10 分間) 0.05〜 0.1w/v%(500 〜1,000ppm)次 亜塩 素 酸 ナトリウムへ 30 分間浸漬 ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使用後、プラスチック袋 に二重に密 閉した上で、外 袋 表 面を0.05 w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒後、患者環境か ら持ち出し、焼却する ● 排便後、水洗トイレ槽へ次亜塩素酸ナトリウムを最終濃度0.2〜0.5 w/v%(2,000 〜 5,000ppm)にな るように 添 加し5分間以上放置 後流す ● フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) ● 洗浄 後に、0.05〜0.1w/v%(500 〜1,000ppm)次亜塩素酸 ナト リウムへ3 0 分間浸漬 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 手指 8 類型 四類感染症 感染症 【スピロヘータ性疾患】 【原虫性疾患】 回帰熱、 ライム病、 レプトスピラ症 病原体 ボレリア・レカレンチ マラリア 熱帯熱マラリア原虫 ● 0 .1〜 0. 5w/v% 両性 界 面 活 性 剤 、 0 .1〜 0. 5w/v% 第四級アンモニウム 塩で消毒する ● 通常の接触では二 次感染はないので、 器材の消毒は用途 に応じた処置を行う ● クリティカルな 領 域への使用器材は 熱水消毒 滅菌、 セミクリティ *トレポネーマ属 カルな領域への器 (42 ℃以上 、 材は高水準消毒剤 4℃・3日間) (グルタラール、フ *レプトスピラ属 (50〜55℃・30分間) タラール、過酢酸) を使用する ● 器具 ● ● 床、大型機器 表面など 0 .1〜 0. 5w/v% 両性 界 面 活 性 剤 、 0 .1〜 0. 5w/v% 第四級アンモニウム 塩で消毒する オーバーテーブル、 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 水道ノブ、 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ ドアノブなど ●熱水消毒 (80℃・10 分 間 ) ● リネン類 多包条虫 ス、ボレリア・ブルグ ドルフェリ、レプトス ピラ・インテロガンス 消毒・ 滅菌対象 患 者 環 境 【蠕虫性疾患】 エキノコックス症 0.05w/v%(500 ppm)次亜塩 素 酸 ナトリウムで 30分 間以 上 浸 漬 消 毒 熱水消毒が推奨さ れる ● 消毒剤に対する抵 抗性が極めて強い が、加熱あるいは冷 凍処 理によって 不 活性化できる 【真菌(糸状菌)性疾患】 【芽胞形成菌性疾患】 【芽胞形成菌以外の 細菌による疾 患】 コクシジオイデス症 炭 疽、ボ ツリヌス症 ブルセラ症、 野兎病、レジオネラ症 コクシジオイデス・ イミチス ● ポビドンヨード、次 亜 塩 素 酸 ナトリウ ム、フタラール、過 酢 酸、グル タラー ルを 使 用する 炭疽菌バシラス・アン スラシス、ボツリヌス 菌クロストリジウム・ ボツリナム ● 十 分な洗浄後グル タラ ールで 3 時 間 以 上 の浸漬消毒、 または十分な洗浄 後0.3w/v% 過 酢 酸で30分間以上 の浸漬消毒 ブルセラ・メリテンシ ス、野兎病菌フラン シセラ・ツラレンシス、 レジオネラ・ニュー モフィラ ● 第四級アンモニウ ム 塩 、両 性 界 面 活 性剤、次亜塩素酸 ナトリウム、消毒用 エタノール、 70v/v% イソプ ロパノール を使用 注 )消 毒 前に洗浄を 十 分に 行い、付 着 芽 胞 の 数を減らし ておくことが 大 切 <欧米:1,000ppm の 二 酸 化 塩 素 、6 w/v% 以上の安定 ● 通常の清掃 化過 酸 化水素など を使用> 【局所的な汚染がある場合】 両性界面活性剤、第 ● 炭 疽 菌 の 汚 染 物: 四級アンモニウム塩 滅 菌 もしくは 焼 却 を使用 が 基 本 である. 消 毒 を 行う場 合 (過酢酸、二酸化塩 素、次 亜塩素 酸 ナ トリウム が 最 も有 効) には特別な対応 アルコール(消毒用 が必要である. エタノール、70v/v% 作業者は防 護服を イソプロパノール)で 着用して作 業に当 定 期 的 に 清 拭 消 毒 たらなけれ ば なら ない ●熱水洗濯 (80℃・10 分 間 ) ● 0.05w/v%(500 ppm)次亜塩 素 酸 ナトリウムで 30分 間浸 漬 消 毒 食器 分泌物 排泄物 ベッドパン (便器) 手指 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコー ル製剤で消毒する 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 流 水と石けんで洗う 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコー ル製剤で消毒する 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 9 類型 五類感染症 感染症 【その 他のウイルス性疾 患 】 ウイルス肝炎(A型およびE型を除く) 後天性免疫不全症候群 インフルエンザ 麻しん 病原体 B型肝炎ウイルス エイズウイルス 消毒・ 滅菌対象 ● 2w/v%グルタラールで30〜60分間浸漬消毒 ● 2w/v%グルタラールに30〜60分間浸漬消毒 ● 洗 浄と熱 水 消 毒 が 同時にできるウオッシャーディスインフェク ター の使用が望ましい ● 洗 浄 と 熱 水 消 毒 が できるウオッシャーディスインフェクター の使用が望ましい ● 熱水消毒(56℃・30分間) ● 紫外線照射 器具 【目に見える血液汚染がある場合】 ● 0.5w/v%(5, 000ppm)次 亜 塩 素 酸 ナトリウムによる局 所 の 清 拭消 毒 床、大型機器 【明らかな血液汚染がない場合】 表面など ● 日常の清掃 患 者 環 境 オーバーテーブル、 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 水道ノブ、 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ ドアノブなど ● アルコール( 消 毒 用エタノール、70v/v%イソプロパノール) で 定期的に清拭消毒 【血液汚染ある場合】 水溶性ランドリーバッグなどに密封運搬し、熱水洗濯(80℃・10 分間以上)が最も効果的である リネン類 【非耐熱性素材の場合】 微温湯で 洗 浄 後すすぎの段階で、0.01〜 0.02w/v%(100〜 200ppm)次亜塩素酸ナトリウムに5分間浸漬消毒 ベッドパン (便器) 0.5w/v%(5,000ppm)次亜 塩 素 酸 ナトリウムによる局 所の 清 拭消毒 ● 【明らかな汚染がない場合】 ● 日常の清掃 アルコ ー ル(消 毒 用エタノール、70v/v% イソプロパノール) で 定期的に清拭消毒 【汚染ある場合】 水 溶 性 ランドリーバッグ などに 密 封 運 搬し、熱水洗 濯(80℃・ 10分間以上)が最も効果的である 【非耐熱性素材の場合】 微温湯で 洗浄後すすぎの段階で、0.01〜0.02w/v%(10 0 〜 200ppm)次亜塩素酸ナトリウムに5分間浸漬消毒 ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使用後、プラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面を 0.05 w/v%(500ppm) 次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒後、 患者環境から持ち出し、焼却する ● 排便後、水洗トイレ槽へ次亜塩素酸ナトリウムを最終濃度0.2 〜0.5 w/v%(2,000 〜5,000ppm)になるように 添 加し5 分間以上放置後流す 注)エイズ患者の血液が付着した廃液は、浄化槽へ廃棄しても 差し支えない ● 可能な限り使い捨てトイレを使用 ⇒ 使用後、プラスチック袋に二重に密閉したうえで、外 袋 表 面を 0.05w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭 消 毒 後、 患者環境から持ち出し、焼却する ● 排便後、水洗トイレ槽へ次亜塩素酸ナトリウムを最終濃度0.2 〜0.5w/v%(2,000〜5,000ppm)になるように添加し5分 間以上放置後流す ● ● 分泌物 排泄物 【目に見える汚染がある場合】 熱水消毒(80℃・10 分間) 0.05w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムへ30分間浸漬 ● 食器 インフルエンザウイルス 麻しんウイルス ● 熱水消毒(80℃・10分間) 0.05w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムへ30分 間浸漬 ● フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) ● フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間 の 蒸 気 ) ● 洗浄 後に、0.05 〜 0.1w/v%(500 〜1,000ppm)次亜塩素 酸ナトリウムへ3 0 分間浸漬 ● 洗浄後に、0.05〜0.1w/v%(500〜1,000ppm)次 亜 塩素 酸ナトリウムへ30分間浸漬 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 【目に見える汚染ない場合】 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する 手指 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 10 【目に見える汚染ある場合】 流水と石けんで洗う 類型 五類感染症 感染症 消毒・ 滅 菌対象 クリプトスポリジウム症 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 クリプトスポリジウム 黄色ブドウ球菌 クロイツフェルト・ヤコブ病 病原体 ● オーシスト(嚢子)は、器具の 消毒に使用される通 常 濃 度 では 死 滅しない 器具 0.2〜0.5w/v%両性界面活性剤、0.2〜 0.5w/v% 第 四 級 アンモニウム 塩、0.01〜 0.02w/v%(100〜200ppm) 次亜 塩素酸ナトリウムで 60分間浸漬消毒 ● アルコールで 清 拭 消 毒 ● 熱水消毒 (80℃・10分間)※ ● 内視鏡の消毒 グルタラール、フタラール、過 酢 酸 を 使 用した 通 常 処 理をする 飲料水の清浄化 床、大型機器 表面など 患 者 環 オーバーテーブル、 境 ベッド柵、カート、 椅子、ドアノブ、 水道ノブ、 洋式トイレの便器、 トイレの取っ手・ ドアノブなど ● ● プリオン 滅菌法 高圧蒸気滅菌134℃・18分間 高圧蒸気滅 菌134℃・3分間 をくり返し6回 1N NaOHに2時間浸漬 (腐食性あり) 1〜 5w/v% 次亜塩 素酸 ナト リウムに 2時間浸漬 日常の湿式清掃(清掃回数を増やして清潔に心がける) オーシスト (嚢子) の大きさは 4〜6μmであり、一般的な家 庭用フィルターではろ過でき ないた め、ろ過 粒 径1μm以 下のフィルターを使用する. 蒸留法、逆 浸透膜 法 も 有 効 である. 一 般 的なマイクロフィルター 処理水、カーボンフィルター 処理水、オゾン処理水、紫外 線照射水、イオン交換水、脱 イオン水、塩 素 殺 菌 水 など は、クリ プト スポリジウムを 確 実 に 除 去できな い 【消毒の必要な場合】 熱 水 消 毒(80℃、10 分 間 ) 【特別な汚染ない場合】 0.2〜 0. 5w/v% 両性界面活性剤、0. 2 〜 0.5w/v%第四級 アンモニウム塩で清拭消毒 ● アルコール( 消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール)で 定期的に清拭消毒 浴槽の消 毒 ● ● ● 特別な汚染がない場合通常の処理でよい 消毒の必要な場合には0.2〜0.5w/v%両性界面活性剤で 清拭後温水ですすぐ 日常の洗濯 【明らかな汚染ある場合】 ● リネン類 水 溶 性ランドリーバッグ または 指 定のビニール 袋 に 入れて 運 搬し、熱 水 洗 濯( 80 ℃・10 分 間 )を 基 本とする 【明らかな汚染があり、熱水洗濯機がない場合】 食器 ● 通常洗濯後、0.01〜0.02w/v% (100〜200ppm)次亜塩素 酸ナトリウムで5分間浸漬消毒.なお脱色に注意する ● 熱 水 消 毒(80℃・10 分 間 )※ 0.01〜0.02w/v% (100〜 200ppm)次亜塩素酸ナトリウム に 60分間浸 漬 ● ● 確実な処理が必要 ● 分泌物 排泄物 院内では専用の感 染性廃 棄 物用容器に密閉するか、あるい はプラスチック袋に二重に密閉したうえで、外袋表面を0.05 w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭消毒後、患者 環 境 から 持 ち出し、焼 却 処 理 する フラッシュイングディスインフェクター(90℃・1分間の蒸気) 0.1w/v%第四級アンモニウム塩または両性界面活性剤に 30分間浸漬 ● 洗浄後に、 0.05w/v%(500ppm)次亜塩素酸ナトリウムに30分間浸漬 ● ベッドパン (便器) ● 手指消毒に使用される通常 【目に見える汚染ない場合】 濃度では死 滅しない 速乾性擦式アルコール製剤で消毒する ● 手 洗 い の 徹 底と紙 タオルの 【目に見える汚染ある場合】 使用 (タオルの共有を避ける) 流水と石けんで洗う ● 手指 ※ 70℃・1分間でも殺菌されるが、安 全を見込んで80℃・10分間の条件が適当である. おわりに 今後も新興感染症や再興感染症が予想もしない新たな形で発 生するものと思われます。今回改正された「消 毒・滅 菌の手引き」 は旧手引きに比べて、消毒法にかなりの修正または追加変更が 加えられ 改善がなされています。この新手引きに記載されている 各感染症に関する消毒法 は現状における有用なガイドラインとなるものと考えます。今後も全感染症の各々に対して、消 毒・滅菌 対象別に使用される消 毒 剤、その使用濃度と時間等をエビデンスに基づき明確にした 消 毒 法としてさらに充 実されることが 望 まれます。 引用文献 1)AP IC:Guideline for Infection Control Practice. APIC Guideline for Selection and Use Disinfectants. 1996 2) CDC:Guideline for Hand Hygiene in Health - Care Set tings,MMWR 51 (RR-16) ,2002 11
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