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2015年3月号
禁煙推進委員会
昨年12月3日に第7回目となる「禁煙応援イベント」を開催いたしました。たばこに
関する相談やアンケート回答者は32名と、多くの方々にご来場いただきました。相
談の内訳は、喫煙されているご自身についてはもちろん、ご家族について、職場の
喫煙者についてなど様々でした。
禁煙相談では病院という場所柄のせいか、病気の治療がうまくいくために、また、
家族への影響を気にかけ、禁煙を始めるという話を聞きました。健康を考えた時に、
真っ先に禁煙が思い浮かぶということは、喫煙者であってもタバコが健康に良くない
ものであり、周囲へ影響を与えているということをご存じなのでしょう。イベントでは、
タバコの害についても情報提供しました。タバコが健康に良くないものだと分かって
いても、具体的な害について説明していると、「タバコはそんな影響があるのか」「禁
煙はやっぱり続けなければ」との言葉が聞かれました。このイベントが新たな情報提
供だけではなく、禁煙する意味の再確認と禁煙継続にも一役買っていることが分か
りました。
また、喫煙に関わる色々な人の考えなどを聞けるので、とても勉強になります。こ
れからもイベントを通して、より多くの人に禁煙に関心をもってもらえるような働きか
けをしていけたらと思いました。
医療による禁煙の手助けとして禁煙外来もあります。飲み薬(チャンピックス)もしく
は貼り薬(ニコチネルパッチ)の使用と同時に、禁煙カウンセリングも行っています。
禁煙外来では、禁煙に取り組む方を全力でサポートします。諦めずに一緒に取り組
んでみませんか?(保健師O)
今年度より、禁煙推進委員会メンバーとして禁煙パトロールを始めるように
なりました。当院が敷地内全面禁煙になりかなりの年数が経過しています。
一方でまだ全面禁煙だと思われていない方がいるのか、敷地内に吸い殻が
落ちていることがあります。その期間に、タバコの値上げや禁煙外来の保険
適応が始まった他に、様々な施設での分煙化も進みました。先輩メンバーの
お話や過去の記録から、以前よりもポイ捨てされている吸い殻は減少しては
いますが、今後もメンバーの一員として吸い殻を拾わなくて良い日が来るよう
パトロールを継続していきたいと思っています。また、喫煙者の方が私たちメ
ンバーの声かけにより禁煙して頂けるきっかけとなれば幸いです。
(保健師Y)
Q:たばこのメンソールならのどにいいから風邪の時でも
吸っていいですよね?
A:いいえ。のどに良いと思うのは誤解です。のど飴のよう
にすっとしているからそう思うのでしょうか?メンソールは粘
膜への局所麻酔作用があり、喫煙時に咳が出るのを抑制
して吸いやすくします。それで風邪の時でもメンソールたば
こだと意外と吸えてしまうのです。そして深く吸い込めてしま
うので、沢山の有害物質が肺の奥まで届き肺がんのリスク
が高まります。また、同じ本数を吸っても深く吸い込むので
体内のニコチンレベルが高く、呼気一酸化炭素も高い傾向
にあります。つまり、ニコチン依存症の程度が強くなるので
す。だから、メンソールたばこを吸う人は禁煙もしづらくなり
ます。メンソールたばこ自体が体に良くはありません。
みなさんは電子たばこについてご存じですか?電子たばこは従来の
タバコと異なり、体への悪影響はないとお考えの方はいませんか?
電子たばことはニコチンを霧状にして吸引する電池式の機械です。
日本ではニコチン入りの電子たばこを販売していませんが、世界的に
たばこの代替として使用する人が増えています。実は近年アメリカ食品
医薬局が、電子たばこから発がん性物質である「ホルムアルデヒド」、
人体に有毒な「不凍液成分」が検出されたことを発表しました。また、
日本国内で流通している電子たばこにも「ホルムアルデヒド」が含まれていると厚生労働省が発表しました。
従来のたばこ同様に多くの有害物質が存在するため、電子たばこをたばこの代替として使用することは好
ましくありません。
たばこ・電子たばこの使用は、体に間違いなく悪影響を及ぼします。健康でいきいきした生活を送るため
にも、喫煙している方は、まず禁煙にチャレンジしてみませんか?
私も元喫煙者ですが、どういう巡りあわせか禁煙外来にも少し関与しています。禁煙外来を利用すること
なく禁煙する方も大勢いますが、禁煙外来を利用する患者さんの中には苦労する方も多いです。禁煙をし
たい患者さんとの会話の中で、どうしてどうやって自分が喫煙者になったのかを省みることが度々あります。
両親は喫煙せず、女の子は喫煙などもってのほかという見解でしたが、たばこを吸う祖父が雑貨屋を営
んでおり、そこではたばこも売っていました。大正生まれの祖母は小さい頃に家族の多くを結核で亡くして
いましたが、看病する人が「煙草は肺病によい」といって(驚!)煙管で喫煙していたという話を小さい私にし
てくれました。家族のエピソードにたばこが出てくるほどでしたから、喫煙に対しては障壁は低かったのだと
思います。卒業するまで喫煙しなかったのは、ただきっかけがなかっただけということです。
そのきっかけを作ったのは、部活の先輩でした。国家試験の終わった翌日に、真っ赤なおしゃれな箱のた
ばこを未開封のままくれたのです。ポピュラーな縦長の箱ではなく、ほぼ真四角で少し厚みの小さいきれい
な箱の"DUNHILL"です。その先輩はご丁寧にむせない吸い方を教えてくれ、私は最初の1本から肺のずっ
と奥まで少し苦い煙を吸い込んだのでした。
結局、国家試験終了の解放感・達成感とリンクした形で最初の喫煙を経験した私は、折につけ煙草に手
を出すようになり、一人で当直をするようになった頃には立派な喫煙者でした。喫煙者には、何気なくなって
しまうものなのだなあと、思い返します。禁煙をするのは喫煙を始めるよりずっと難しいということを知ってい
たら、あの赤い箱に手を出しただろうか、そして私にとって赤いおしゃれな箱が魅力的だったように、今の人
にはメンソール入りの煙草がおしゃれに見えているのではないかと、思いを巡らせるこの頃です。(Dr.K)