雇用労働関係法令のPDFファイル

国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
1.1
雇用労働関係法令一覧
【メキシコ合衆国憲法】
メキシコにおける雇用及び労働関連の法的枠組は、メキシコ合衆国憲法
(Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos、以下、「憲法」という)、
諸法令、政府の決定、布告、規則及び公的規範に組み込まれている。ほとんどの雇
用労働関連法は、メキシコ政治の歴史及び経済状況を背景として直接的に社会的保
護に関係している。事実、1917 年に起草された憲法第 123 条に対応する以前の原文
は、当初、第 1 次世界大戦終了(1918 年)及びヴェルサイユ条約以前の市民と社会
的保護に関する革命的な理想に刺激されたものである。特に、第 6 章、第 123 条は、
すべての法律の基礎となるもので、その後制定されたいかなる労働法(現在、雇用
関係を規制している)も、憲法に示される基本に対抗することはできない。
憲法第 133 条は異なる法律間の序列を規定している。これによれば、憲法及び正式
に批准された条約のもとに諸法令等が形成され、憲法自体は国家の最高法を形成す
る。憲法は国家の憲章を構成し、一般的な労働原則が含まれる。この原則は労働関
係法令である連邦労働法に拡張されている。国際条約は、憲法第 133 条及び連邦労
働法第 6 条の規定により、議会での承認及び大統領の署名を経て国内法に組み入れ
られる。また、労働審判所での決定も労働法に影響を与える。
憲法第 123 条に労働関連法令の法的枠組が含まれているが、その目的は、労働者及
び経営者それぞれの利益の均衡を達成することである。連邦労働法は、憲法第 123
条における憲法規定を実施するための制定法である。本法は、個人及び団体として
の雇用関係を定義し、また労働者の組織化、団体交渉及びストライキに関する規定
を定めている。また、労働の公正を管理し、和解・仲裁・調停の斡旋を行う、第三
者審議会の設立と機能に係る統制も規定している。加えて本法は、最低賃金、労働
時間及び所定外労働時間、休暇、未成年者労働、女性労働者の保護、労働衛生安全
管理、利益分配、職業訓練及び労働問題を規定している。
【国際条約】
メキシコは多くの国際条約を締結しており、その中で労働者の権利と関連するもの
には以下の条約がある。
・
国際労働機関(ILO)第 87 号「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」
・
国連の「自由権規約」(市民的及び政治的権利に関する国際規約)
・
米州人権条約
・
国連の「社会規約」(社会的及び文化的権利に関する国際規約)
【労働法制度】
メキシコの労働法制度は一組の基本原理を基礎としているが、その主要なものは以
下のとおりである。
・
労働基準は、雇用者及び被雇用者の関係において、バランスと社会的正義を提
供する。
・
労働は権利であり、かつ社会的義務である。
1
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・
労働は商業上の商品ではない。
・
労働はそれを提供する者の自由と尊厳を守る制度のもと、実施されなければな
らない。
・
労働は被雇用者及びその家族の生命、健康及び適正な生活水準を保証しなけれ
ばならない。
・
人種、性別、年齢、宗教、政治信条あるいは社会的地位によって被雇用者間に
差別があってはいけない。
・
合法的活動への参加の自由が認められる。
・
労働基準は本来の義務であり、労働者の権利は確定的である。
・
労働基準の意図に関しては、疑義が生じた場合は被雇用者に有利となるよう解
釈される。
・
雇用関係は、労働を提供する者と労働を受ける者との間に存在する。
・
期限が明らかに定義されている場合あるいは特定の職務に限定される場合を
除いて、雇用関係に期間の制限はない。
最後の二つの原則に関して、メキシコの労働法の特殊性は、すべての被雇用者が、
憲法及び連邦労働法に規定される最低労働条件を基礎とした個人的かつ期限のない
雇用契約の対象となることであり、これに関しては当該契約が書面として存在する
か否かに関わらず、また被雇用者が団体協約の対象となるか否かに関わらず適用さ
れる。
連邦政府は労働関連法令を制定する一方、その執行責任は、憲法第 123 条 XXXI 項
に規定されるとおり、連邦政府と 31 州及び連邦行政区からなる地方政府との間で分
担される。憲法により連邦司法管轄が規定される基幹産業・セクターを除いて、全
ての企業は地方の司法管轄権のもとに入る。
【労働調停・仲裁委員会】
憲法は、労働争議解決のための連邦及び州の調停委員会制度を設置している。この
制度は、「Juntas de Conciliación y Arbitraje and Juntas de Conciliación:労働調
停・仲裁委員会」と呼ばれ、政府の行政機構に置かれている。この委員会は労働者と
雇用者の雇用関係から発生する労働紛争を解決するため、労働法の解釈及び執行を
行い、連邦レベルでは「Juntas Federales:連邦委員会」、州レベルでは「Juntas
Locales:地方委員会」と呼ばれる。
調停審議会の責務は、労働争議の調停、つまり申し立ての受付から調停手続きのた
めの証拠採集を通じ調停委員会の支援を行うことである。
加えてメキシコの法制度では、最低雇用基準及び労働安全衛生の順守を確保するた
めの政府の査察制度を確立している。
またメキシコ政府は、指導及び助言サービス、調停及び訴訟において労働市民弁護
オフィス(労働省の機能分散化による機関で技術的、管理上独立している)による
調停と訴訟の代理サービスを提供することにより、労働者がその権利を主張するこ
とを支援する。労働法第 530 条から 536 条にかけて当機関の機能、責任及び権限の
概要が示されている。当機関のサービスのひとつに、労働者の権利についてインタ
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ーネット、ラジオ、テレビ及び出版物を通じ、労働者及びビジネス界に対して情報
を提供するコミュニケーションプログラムがある。この主たる目的は労働争議の予
防と和解であり、サービスは無料で提供される。
【雇用労働関係法令一覧】
メキシコの労働問題関連法令には、基本的に連邦労働法及び連邦社会保障法の 2 種
類の連邦法があり、連邦労働法が、労働関係、労働組合及び労働審判所に関する規
則を定めている。
以下は、雇用及び労働に直接的に係る諸法令のリストである。
・
メキシコ合衆国憲法
(Constitución Política de los Estados Unidos Mexicanos - Ley Federal de
los Trabajadores al Servicio del Estado, Reglamentaria del Apartado “B”
del Artículo 123 Constitucional)
・
連邦労働法
(Ley Federal del Trabajo)
・
連邦社会保障法
(Ley del Seguro Social)
・
勤労者住宅基金公団法
(Ley del Instituto del Fondo Nacional de la Vivienda para los Trabajadores)
・
連邦政府法
(Ley Orgánica de la Administración Pública Federal)
・
連邦政府職員の責任に関する法律
(Ley Federal de Responsabilidades de los Servidores Públicos)
・
計画法
(Ley de Planeación)
・
政府職員の安全・社会奉仕協会に関する法
(Ley del Instituto de Seguridad y Servicios Sociales de los Trabajadores al
Servicio del Estado)
・
公社に関する連邦法
(Ley Federal de las Entidades Paraestatales)
・
零細企業と手工業者の仕事の振興に関する一般法
(Ley General para el Fomento de la Microindustria y la Actividad
Artesanal)
・
公共部門における取得、リース及び役務に関する法
(Ley de Adquisiciones, Arrendamientos y Servicios del Sector Público)
・
公共工事と関連役務に関する法
(Ley de Obras Públicas y Servicios Relacionados con las Mismas)
・
連邦政府内の職務の経歴に関する法
(Ley del Servicio Professional de Carrera en la Administración Pública
Federal)
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・
原住民の発展のための国家委員会法
(Ley de la Comisión Nacional para el Desarrollo de los Pueblos Indígenas)
・
差別防止・除去に関する連邦法
(Ley Federal para Prevenir y Eliminar la Discriminación)
・
社会福祉法
(Ley de Asistencia Social)
・
勤労者の生活基金公団法
(Ley del Instituto del Fondo Nacional para el Consumo de los
Trabajadores)
以下は、雇用及び労働に間接的に係る諸法令のリストである。
・
褒賞、奨励及び市民報酬法
(Ley de Premios, Estímulos y Recompenses Civiles)
・
社会連帯団体法
(Ley de Sociedades de Solidaridad Social)
・
公債一般法
(Ley General de la Deuda Pública)
・
統計、地理情報法
(Ley de Información Estadística y Geográfica)
・
生態系バランスと環境保護に関する一般法
(Ley General del Equilibrio Ecológico y la Protección al Medio Ambiente)
・
計測と標準化に関する連邦法
(Ley Federal sobre Metrología y Normalización)
・
行政上の手続に関する連邦法
(Ley Federal de Procedimiento Administrativo)
・
政府の情報の透明性と利用に関する連邦法
(Ley Federal de Transparencia y Acceso a la Información Pública
Gubernamental)
・
公共部門の財産管理と譲渡に関する連邦法
(Ley Federal para la Administración y Enajenación de Bienes del Sector
Público)
・
社会発展に関する一般法
(Ley General del Desarollo Social)
・
家資産の一般法
(Ley General de Bienes Nacionales)
・
国家の引継ぐべき責任に関する連邦法
(Ley Federal de Responsabilidad Patrimonial del Estado)
・
行政上の訴訟手続に関する連邦法
(Ley Federal de Procedimiento Contencioso Administrativo)
・
財務省の予算と国庫責任に関する連邦法
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(Ley Federal del Presupuesto y Responsabilidad Hacendaria)
*出典:Secretaría del Trabajo y Previsión Social, <http://www.stps.gob.mx/leyes_stps.
htm> accessed on 31 July 2008
1.2
労働基準関係法令
労働契約に関する諸法令は市民権に基礎を置いている。契約は、その概念及び承認
に関して個々の自由意志が尊重された時、法的に正式なものとなる。
1.2.1
労働協約
連邦労働法は明らかに被雇用者に有利となる意図を持って制定されている。雇
用者とのすべての関係において、労働原則に含まれ、またこれまで労働関係当
局及び最高裁判所に支持されてきたように、疑義が生じた場合の法解釈は、被
雇用者に有利になるように常に優先されている。
労働関係は、役務の提供が開始された時点で始まったとみなされる。労働関係
の存在は、契約も存在していることを意味しているが、それは契約が存在しな
い場合は雇用者の責任となるためである。雇用契約には、契約条項が雇用者と
労働組合との間で決定される集団契約と、個人が自己の雇用契約に関する交渉
を行う個人契約との 2 種類がある。
(1)
契約期間
労働法第 35 条によれば、雇用契約は期限の明示がない限り、常に期限の
ない契約となる。ただし、期限付き雇用契約あるいは特定の業務を対象と
する特定雇用契約(期限付き契約の期間は、終了日、特定業務の完了ある
いは特別な事象の発生といった明らかに客観的に定義される条件に沿って
設定される必要がある)という例外もあり、プロジェクトが予め定められ
た期日に完了しない場合、労働関係は、労働者が当該業務を完了させるま
で延長される。このような種類の契約の場合、労働紛争時における被雇用
者に対する補償はきわめて高いものとなる。
雇用者が被雇用者を無期限に停職とした場合、労働者は、法的根拠なしに
その役務の提供の継続を阻害されるため、当該停職は解雇とみなされる。
(2)
試用期間及び 28 日間雇用契約
連邦労働法は、個別の契約に規定される試用期間に関しては規制をしてい
ないが、最高裁判所は、試用契約への判断基準を設定している。特に 28
日あるいは 30 日の試用契約は、きわめて短期間であり、また、雇用者に
よる不正利用の可能性があるため、法的妥当性を欠くとみられるので特に
重点が置かれている。また、雇用者に都合のよい試用期間の利用を避ける
ため、雇用契約は無期限とし、その中で労働者の能力・適正を確認するた
めの試用期間を設定することも可能である。この試用期間設定に当たって
は、労働者の能力・適正を測るための明確な基準を設定すると利便性が向
上する。
*出典:Federal Labour Law, <http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf>
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国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
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accessed on 31 July 2008
1.2.2
解雇規則
【解雇及び自発的離職】
連邦労働法に示される正当な理由なしに解雇が発生した場合、雇用者は被雇用
者に対して 3 カ月分の給与(解雇直前の給与を基準として計算される金額に加
えて、当該雇用者と雇用関係にあった勤続期間 1 年あたり 20 日分の給与)を支
払う。被雇用者が自発的に退職した場合、雇用者は被雇用者に対して休暇割増
及び年末賞与の日割り部分を支払う。また、被雇用者の勤続期間が 15 年を超え
る場合、被雇用者は 12 日分の給与(退職直前の給与を基準として計算される金
額)と同等額を追加的に受け取る。また連邦労働法は、勤続年数が 20 年を超え
る被雇用者は、きわめて深刻な理由がある場合のみ離職させることができると
規定している。実際にメキシコにおいては、労働者に対する十分な保護があり、
雇用者は、正当な理由がない限り雇用者を解雇することは許されない。もし解
雇が実行された場合、被雇用者には復職あるいは補償を目的とする提訴の権利
がある。労働審判所は、被雇用者であると提訴した者が実際に雇用されており、
正当な理由なしに解雇されたと見なした場合、労働審判所は、雇用者による適
切な説明を要求する。労働審判所において代理人が説明を行う場合は適切な委
任状が必要である。被雇用者が復職を希望しない場合は、被雇用者は 3 カ月分
の給与及びすべての未払い賃金に加えて、解雇以前に権利を有していたその他
の金額(無給の休暇分、年末賞与、利益分配、年功賃金、永年勤続休暇、その
他)を受け取ることができる。雇用者は、不当解雇による復職を認めない選択
も可能であるが、それは次の場合である。
・
雇用期間が 1 年に満たない場合
・
雇用者と被雇用者の折り合いが悪く、調停仲裁評議会が両者は共に働くこ
とができないと判断した場合
・
被雇用者が管理・経営等の業務を委嘱された者の場合
・
被雇用者が逮捕された場合
・
提供される役務が、法律または当局からの命令で実行される公共サービス
に係るものである場合
・
被雇用者が臨時従業員である場合
【労働関係の終了】
労働関係は、以下の理由がある場合に終了が可能となる。
・
(雇用者及び被雇用者の)相互の同意
・
被雇用者の死亡
・
職務の終了(完了)あるいは被雇用者の雇用期間の満了(限定された期間
の職務として認められるためには、通常、継続的な職務ではない、または
状況によって継続的になる職務ではないことが必要である。)
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・
被雇用者の知的・身体的障害あるいは調停中止委員会の決定
雇用者は、以下の理由がある場合に労働関係を終了することができる。
・
被雇用者の同僚に対する詐欺行為
・
被雇用者による不正行為、脅迫あるいは傷害
・
被雇用者による同僚に対する規律を乱す不品行
・
雇用者、管理職あるいはその家族に影響を及ぼす、被雇用者による職場以
外での不品行
・
雇用者あるいはその資産に対する、勤務中の意図的な損害を与える行為
・
被雇用者の故意でない怠慢により雇用者に重大な損害を与えた場合
・
被雇用者による、施設及び人員を危険にさらす重大な過失
・
被雇用者による職場での不道徳行為
・
雇用者の商業上の秘密漏洩
・
正当な理由あるいは雇用者による許可なしに 30 日間のうち 3 日を超えて
欠勤した場合
・
雇用に関して、被雇用者による正当な理由のない不服従
・
事故あるいは病気の防止手段の採用に対する被雇用者による拒否
・
職場での酩酊あるいは医師の処方及び雇用者へその事実を通知した場合を
除いて、眠気をもよおす物質の服用
・
被雇用者の留置
・
その他同様の深刻なケース
連邦労働法第 42 条によれば、労働契約に従って被雇用者が役務を提供する義務
は、被雇用者の義務(継続的な就業)及び雇用者の義務(継続的な賃金支払い)
を保留することなく、一時的に停止することができる。この例外が適用される
のは以下のとおりである。
・
被雇用者が伝染性の病気に罹患した場合
・
労働災害ではない事故あるいは病気により、被雇用者が一時的に就業不能
となる場合
・
被雇用者の一時的な収監で、のちに無罪判決が下された場合(被雇用者が、
他者あるいは雇用者の保護のための行為を理由として収監された場合、雇
用者は収監中の賃金支払い義務がある)
・
被雇用者の逮捕
・
法律または当局の命令により、社会事業的な役務を提供する場合
・
調停仲裁評議会のメンバーといった、労働関係公共機関における代表とし
て役務を提供する場合
・
被雇用者が労働に従事する際、法律により必要とされる証明書(衛生管理
カード、運転免許証など)を保有していない場合
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【労働者の賠償請求権】
一般的に雇用者は、以下の条件を満たす場合、年功報酬部分以外を支払うこと
なく勤務内容に問題のある被雇用者を解雇できる。その条件とは、雇用者が労
働監督当局に対し、正当な解雇事由に相当する十分な証拠の提出が可能となる
場合である。しかし、雇用者が解雇実態の調査を担当する当局に対して、十分
な解雇事由の証明のための証拠を提出するのは常に容易なこととは限らない。
多くの場合、解雇された被雇用者は復職を希望するが、それを避けるため、通
常雇用者は退職補償金を支払う。復職の権利は、管理職あるいは勤続 1 年に満
たないものなど一部の被雇用者には適用されない。退職補償金は労働関係の終
了時において、雇用契約が無期限の場合(無期限でない場合は金額が異なる)
は給与 3 カ月分に加えて、勤続期間 1 年につき 20 日分の賃金が支払われる。
この場合、不当な解雇の発生日から補償金支払日までの給与分も支払いの対象
となることがある。しかし、実務的慣行としては、訴訟による管理的・法律的
な手続きの負荷を避けるため、被雇用者の自発的離職を条件に、補償金額に近
い金額が賞与として、勤務内容に問題のある被雇用者に支払われるケースが多
い。
【年功報奨金】
期限のない雇用契約を持つ被雇用者は、法律の下、離職の理由に関わらず離職
時において、勤続 1 年あたり 12 日分の給与と同額の年功報奨金を受け取る権
利を持つ。これと同等の支払金額が、被雇用者の死亡時に相続人に対して支払
われる。また年功報奨金は、勤続年数 15 年以上の自発的離職者に対しても支払
われる。同一企業において 1 年間に全被雇用者の 10%を超える者が自発的離職
をするといった特殊なケースでは、当該企業は、超過支払部分を翌年に延期す
ることができる。連邦労働法では、この特別な報奨金は勤続年数を基礎とし、
その他の特別給付金の権利とは関係なく、被雇用者あるいはその受益者に支払
われる。
【退職】
雇用者は、被雇用者のためにその給与の 2%相当額を被雇用退職貯蓄口座
(SAR)に定期的に預金をする。現時点ではこの預金は、被雇用者個人が特定
される AFORE 口座に行われている。また、被雇用者の給与の 3%相当額が、
定期的に INFONAVIT(連邦労働者住宅公社)に支払われる。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law,
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.2.3
賃金、労働時間、休憩、休日、年次有給休暇、時間外及び休日労働、時間外の
割増賃金
連邦労働法第 422 条及び第 423 条は、出勤及び退社時間、業務開始時刻及び通
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常業務終了時刻、食事時間、日中の休憩時間及び賃金支給日及び賃金支払場所
を明記する必要のある社内雇用規則を規定している。また連邦労働法は、勤務
スケジュール及び休憩に関する最低基準も定めている。
【賃金】
連邦労働法では、地域別、職業別の法定最低賃金が決められている。法律では
年次での支払給与の見直しが要求されており、賃上げ幅は法律により定められ
た最低水準を下回ることはできない。法定最低賃金は、全国最低賃金委員会に
より各地域別に設定されるが、この委員会には、政府、組合及び民間企業の代
表から構成される地方委員会が組織されている。メキシコの法定最低賃金水準
は、被雇用者が職業に従事している地域に依存するが、連邦政府は、全国を 3
地域に分けて定義している。法定最低賃金は、地域によって 1 日あたら 49.50
ペソから 52.59 ペソまで幅があり、通常は毎年新たな最低賃金が承認される。
*出典:Servicio de Administración, <http://www.sat.gob.mx/sitio_internet/asistencia_
contribuyente/informacion_frecuente/salarios_minimos/45_7369.html> accessed on 31
July 2008
【労働期間】
メキシコ憲法第123条によれば、1労働日の労働時間は8時間に制限されている。
連邦労働法は「労働日/時間」を、雇用者が被雇用者の提供する役務を自由に使
用できる時間と定義している。
連邦労働法によれば、1週間最大で48時間までの労働は所定時間外労働とされな
いが、大多数の企業では、1週間40時間制から45時間制を採用している
昼間勤務(午前6時から午後8時まで)は最大8時間に制限されている一方、夜間
勤務(午後8時から午前6時まで)は最大7時間に制限されている。
1日の継続労働時間の中で、雇用者は被雇用者に対し、最低30分間の休憩及び食
事時間を与える必要がある。休憩及び食事に指定された時間に、労働者が職場
を離脱することが不可能な場合、この時間は有効な労働時間として計算される。
6日間の労働ごとに(通常、月曜日から土曜日)、被雇用者は完全な1日分の給与
が与えられる1日の休日をとる権利が与えられる。
【勤務シフト】
勤務シフトには、①昼間シフト(8時間労働)、②夜間シフト(7時間労働)及び
③混合シフト(7時間30分労働)の3つがある。混合シフトは部分的に昼間と夜
間の組み合わせとなる。ここで規定される労働時間を超えた部分が、所定時間
外労働(時間当たり賃金は所定内賃金の倍額となる)とされ、1週間当たり9時
間を超えることはできない。
【所定時間外労働及び割増賃金】
連邦労働法第 66 条では、特別な事情がある場合に限り、1 日の労働時間を 3 時
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間延長(1 日の労働時間は最大で 11 時間となる)することを許しているが、1
週間の内で所定時間外労働が可能なのは 3 日間に限られている。時間外労働は
週で最大 9 時間となるが、これに対する割増賃金率は 100%と定められており、
時間当たり通常の倍額が支払われることになる。
連邦労働法第 68 条では、1 週間の時間外労働が 9 時間を超えた場合は、雇用者
は 200%の割増賃金率(通常の時間当たり賃金の 3 倍となる)を支払わなけれ
ばならないと規定している。したがって、時間外賃金は 1 週間の時間外労働時
間により 2 倍あるいは 3 倍の割増賃金となる。
【休日】
連邦労働法第 69 条によると、6 労働日ごとに 1 日の休日(日曜日がのぞましい)
が与えられる。
【祝祭日】
連邦労働法第 74 条では、すべての労働者のための年間の法定休日が定められて
いる。以下は、すべての者が休日をとる義務のある、メキシコあるいは国際的
な祝祭日である。
・
1月1日
(新年)
・
2月5日
(メキシコ憲法記念日)
・
3 月 21 日 (ベニート・フアレスの生誕)
・
5月1日
・
9 月 16 日 (独立記念日)
・
11 月 20 日 (メキシコ革命記念日)
・
12 月 25 日 (クリスマス)
(労働記念日)
なお、被雇用者が祝祭日に勤務する必要がある場合、雇用者は、所定賃金の 3
倍の額を支払う必要がある。
【休暇】
勤続期間が 1 年に満たない被雇用者は有給休暇の権利を持たないが、その他の
場合、被雇用者には 6 日以上の年次有給休暇取得の権利が与えられる。勤続 4
年目までは 1 年ごとに 2 日ずつ有給休暇が増えるが、それ以降は勤続 5 年ごと
に 2 日増加するのみとなる。なお、勤務先を変更した場合には、以前の勤続期
間は計算には入れられない。これを表であらわしたのが下表 1-1 である。
10
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作成年月日:2008 年 7 月 31 日
表 1‑1
勤続年数と有給休暇日数
勤続年数
有給休暇日数
(単位:年)
(単位:日)
1
6
2
8
3
10
4
12
5
12
6
12
7
12
8
12
9
14
10〜13
14
14〜
16
なお、連邦労働法第 79 条により、有給休暇の買い上げは禁止されている。
【休暇ボーナス】
被雇用者は休暇期間中、所定の賃金に加え、給与の 25%以上の休暇ボーナスを
受け取る権利を持つ。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.2.4
年少者、女性、労働安全衛生、アウトソーシング(委託業務や派遣労働)
【女性の労働】
メキシコ連邦労働法では、健康被害あるいは他の危険をもたらす労働に関連して、
女性に対する保護を提供しており、それにより労働に従事する母親は以下の権利
を持つ。
・
妊娠中は、妊婦の健康に危険とされる重量物の移動など、過度の肉体労働
あるいは懸念を覚える作業、長時間立ったままの作業、あるいは心理的ま
たは精神的状態に影響を及ぼす仕事は行わない。
・
出産前後に各 6 週間の休暇期間が取得できる。
・
女性が妊娠または出産に関連する問題がある場合、出産前後の休暇の延長
が可能である。
・
授乳期間中は、企業により提供される衛生的かつ適切な場所で、授乳のた
め各 30 分、2 回の特別休憩時間が取得可能である。
・
出産前後の休暇期間中は、給与の全額が支払われる。出産前後の休暇延長
の場合において、12 週間が延長された場合、女性の被雇用者に対しては
11
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
60 日を超えない期間に限り、給与の 50%が支給される。
・
出産後 1 年以内に、以前の職位に戻らなければならない。
・
出産前後の休暇期間は、企業内での勤続期間に含まれなければならない。
以上に加えて、IMSS(Instituto Mexicano del Seguro Social:メキシコ社会保
障協会)は、法令に添う形で保育所等の育児施設を提供する。
【年少者の労働】
14歳以上、16歳未満の年少者の雇用は、労働監督署の特別な監督と保護を受け
る。この年齢層の年少者は、労働監督署の要求により定期的な健康診断書の取得
が必要となる。この証明書を持たない場合、その個人が役務を提供することはで
きない。
被雇用者として法律上の未成年者の使用は、以下の状況の場合は禁止されている。
・
すぐに消費可能なアルコール飲料販売の仕事
・
道徳または品行に悪影響を及ぼす仕事
・
労働監督署の特別な認可がある場合を除き、戸別訪問または外回りの仕事
・
地下または海中の仕事
・
危険または健康に害のある仕事
・
正常な身体の成長を妨げあるいは阻害するような、肉体的に過度に厳しい
仕事
・
非産業部門の事業所での午後 10 時以降の仕事
・
法律で定められたその他の仕事場所
また、16歳未満の労働日においては、1日の労働時間が6時間を超えることは許
されず、6時間の労働時間も、3時間以下に分割されなければならない。また、分
割されたシフトの間に、少なくとも1時間の休憩を取ることが可能でなければな
らない。また、16歳以下の年少者を所定時間外労働に就かせることは禁じられて
おり、日曜日も休日と定められている。規則に反して、日曜日あるいは法定休日
に労働に就かせた場合は、通常賃金の3倍の賃金を支払わなければならない。16
歳未満の者には、最低18日間の有給休暇が与えられる。
年少者を雇用する雇用者は、以下の順守が義務付けられている。
・
両親の許可及び労働に適していることを証明する健康診断書の提出を被雇
用者に求めること。
・
被雇用者の生年月日及び最新の給与明細、勤務時間表、職種及び一般的な
労働条件を記載した特別検査登録証を保持すること。
・
被雇用者の学校教育継続のため、必要な時間を確保する目的の労働時間表
を調整すること。
・
法律に従い、被雇用者の訓練と能力開発を行うこと。
・
労働監督署等に、要求される情報を提供すること。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
12
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
1.2.5
就業規則、労働協約
就業規則及び労働協約は、労働組合と雇用者団体間の交渉の結果として決定され
るもので、企業内の共同決定の枠組にも規定されている。
*出典:KASO & Asociados, <http://www.kaso.com.mx/tienda/>
accessed on 31 July 2008
1.2.6
その他
メキシコ憲法の下では、いかなる個人も、人種、宗教、あるいは性に基づく差別
により被害をこうむることは許されない。法の下での平等と平等な処遇の原則は、
基本的権利としてメキシコ憲法の第 1 条に掲げられている。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Mexican Constitution,
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/1.pdf> accessed on 31 July 2008
1.3
労使関係法令
メキシコ憲法の第 123 条 XVI 項では、「労使双方は、組合、専門団体などの設立を
通して、それぞれの利益を守るために組織化する権利を持つ」と規定されている。さ
らに、第 123 条の導入部分では団体交渉権の保護を謳っている。憲法第 9 条では、
特に労働者に関連付けられているのではないが、すべての市民が公正な目的で自由
に連携する権利を制定しており、これはまた、労働者の権利にも該当する。
連邦労働法第 354 条から 358 条にかけては、労働組合を定義し、かつ労働者及び雇
用者の組織化の自由を認めており、同様に労働組合への参加及び加入しない権利に
ついても認めている。
加えて、労働者の団結の自由を保護するため、メキシコは多くの国際条約における
原則を採用している。ILO の第 87 号の第 2 条及び第 3 条及び「市民的及び政治的権
利に関する国際規約」の第 22 条は、労働者の団結権と組合への加入権及び公権力の
介入防止を補償している。また、メキシコは、米州人権条約を批准しており、その
中の第 16 条は、国家安全保障、公共の安全、秩序、保健衛生及びモラルあるいは他
者の自由などを守るための法規制の中で、あらゆる者に対して、理想、宗教、政治、
経済、労働、社会、文化、スポーツその他を目的とする結社の自由を認めている。
1.3.1
労働組合
労働組合は、被雇用者が共通の権利を守るために団結する手段として、連邦労働
法の下で認められている。メキシコには、大規模な労働組合が存在する。労働組
合が存在する結果、団体労働協約は、雇用者の代表と労働組合の代表との間で署
名が行われる。
労働組合の特徴等は以下のとおりである。
・
団体協約は 2 年ごとに改訂される。
・
被雇用者の 20%が労働組合に参加することで、労働組合の代表権が効力を
持つ。
13
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
・
連邦労働法によれば、被雇用者である 20 人以上の労働者のグループは、
事前の承認なしで労働組合を結成できる。
・
メキシコでは、労働組合が法的、契約上あるいは商業活動に関与するには
「registro」とよばれる公法上の登記が必要である。
・
連邦労働法第 374 条及び第 375 条により、労働組合は労働者の代表として
完全な法人格を持つ。
・
登記がなくても、労働組合は、集会、幹部の選出、雇用者への要求が可能
であるが、未登記労働組合は法的能力に欠けるため、相手方は労働組合の
行動に対して対応する必要がない。したがって、組合登記は団体交渉の鍵
となる。
登記に関しては、最低 20 人から構成されるグループが、集会を通してまず制定
する権利決定し、規則・細則を作成する。この文書は公証人に提出され、労働省
あるいは事業所の所属する業種等によって調停仲裁評議会に提出される。
団体協約は、通常、連邦労働法あるいは社会保障法のもとでの労働者の権利を表
明してあり、少なくとも 2 年に 1 回再交渉の対象となる。連邦労働法の規定によ
ると、1 日当たり賃金の改定に係る申し立ては、協約発効後あるいは労働協約の
延長後 1 年経過時点から少なくとも 30 日前に行う必要がある。給与及び福利厚
生に関する契約条項は、1 年後に再度延長が可能となる。
ストライキに関しては、以下の条件のもとで労働者のストライキ権が効力を発す
る。
・
ストライキに対する労働者の 50%を越える賛同
・
雇用者が、新たな協約の作成のためあるいは協約の尊重を促すことを目的
として、協約に違反した場合
・
すでにストライキを行っている他の労働組合を支援する場合
・
ストライキ権が発生するのは、雇用者にストライキを決行する日付と時間
を事前通知した場合。この通知は調停仲裁評議会を通して、少なくとも決
行する日の 6 日前までに、公共サービス機関の場合は、10 日前までに行わ
なければならない。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.3.2
労働争議解決システムに関する法令
労働争議への関与者は以下のとおりである。
・
雇用者と被雇用者間(解雇の場合)
・
二つの雇用者間(新しい雇用者のもとに移動する時)
・
労働者間(指揮命令系統に係る問題の場合)
・
組合間(団体協約の終了)
紛争が法的な問題の場合は、労働権に係る規則で対応されている一方、敵意のあ
る対立に関しては公民権に規定されている。
14
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
紛争に対応する連邦労働法条項は、以下のとおりである。
(1)
第 900 条
経済的問題に係る労使紛争における、労働条件の修正、新規条件の設定あ
るいは団体的労使関係の終了停止機能について規定している。
(2)
第 433 条
廃業による雇用の終了あるいは人数を限定した指定解雇を規定している。
(3)
第 434 条
(a)
第Ⅰ項
労使関係の決裂においては、個人と団体の区別をつけるべきではな
いため、個人または団体としての権利に関わりなく雇用の終了を規
定している。
(b)
第Ⅱ項
人件費の負担ができない場合の雇用終了の原因を予察している。
(c)
第Ⅲ項
雇用者が経済的な団体争議の必要性に従い、調停仲裁評議会の認可
を必要とする案件に関して規定しているが、当該認可は協約が終了
する以前に必要となる。
(4)
第 903 条
雇用者が被雇用者との雇用契約を終了するために訴訟を起こす際について
の規定をしている。申し立ての事実に関する証拠と求められる補償につい
ての争議原因を提供するよう規定している。
(5)
第 904 条
訴訟に必要となる証拠書類の詳細を規定している。この中には、第 910 条
に示される必要条件の対象となる、企業の経済状態を示す専門家による詳
細な報告書が含まれる。
(6)
第 919 条
連邦労働法に定められた最小限の権利を減少させないことを条件に、調停
仲裁評議会の決定により、労働者の人数、労働日(週)、給与及び企業に
おける一般的な労働条件を修正することが可能であることを規定している。
協議会は、被雇用者と雇用者の関係において、バランスと社会的公正の実
現を目指して行動している。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
1.4
労働保険関係法令
雇用者は、被雇用者を IMSS(Mexican Federal Social Security:メキシコ社会保障
協会)(健康保険)に登録し、その登録を維持しなければならない。
【社会保障】
15
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
社会保障は、健康、医療補助、個人のニーズへの対応及び個人と集団の福祉のため
に必要となる、社会サービスへのアクセスを保証することを目的としている。加え
て、個人が法的要件を順守することを条件に、年金の提供は、国家によって保証さ
れる。メキシコの社会保障制度は、国家の公共サービスとして確立された基本的な
手段であり、この社会保障は、強制加入制度及び自主的制度から構成される。
メキシコ連邦社会保障制度は、被雇用者への給与から算出される金額を、強制的に
雇用者が支払うことで資金が供給されている。この資金により、登録された被雇用
者に対して完全な医療サービスを提供するための社会保障病院の設立及び運営費用
が賄われる。雇用者が被雇用者のために支払う費用は、IMSS、INFONAVIT(Living
Quarters Fund:生活住居基金)
、SAR(Retirement Savings System:退職貯蓄制度)
に対するものと、有給休暇、休暇ボーナス、賞与などがあり、これらの福利厚生費
は、平均で給与の 29%に達する。したがって、実際の雇用者の負担は、基本給与の
129%ということになる。
【社会保障給付:社会保障関連法】
(1)
第 107 条
病気、出産の費用は現金で給付されるが、この資金は、基本給与の 1%相当額
によって負担され、以下のように割り当てられる。
(2)
・
雇用者は、70%を支払うことを要求される
・
被雇用者は、25%を支払うことを要求される
・
連邦政府が残りの 5%を負担する
第 108 条
連邦政府による資金拠出は、毎月一定の金額でなされるが、この額は、財政公
共信用機関により毎年 5 月に決定される。最終的なインフレーション調整は、
年間インフレ率を基礎として翌年の 1 月に決定される。
【労働安全衛生】
[労働安全衛生関連法令・規則]
メキシコにおける労働安全衛生関連の法律・規則の主な特徴は以下のとおりである。
・
法令・規則は、詳細にわたりかつ包括的である。
・
労働者保護のため、多くの法律(国際条約も含む)の相互参照形式となってお
り、当局の監督による雇用者の責任を規定している。
・
関連法はすべて連邦法となっており、そのうち中心となる法律は、連邦労働法
及び社会保障法である。
・
連邦労働法は雇用者に対し、職場における安全衛生の確保義務、基準順守証明
システムの維持、労働者への安全衛生訓練と情報の提供義務を課している。
・
社会保障法は、IMSS の管理により労働者への労災補償を含む財務的保護を規
定している。
・
「労働安全衛生環境に係る連邦規則」は、雇用者及び被雇用者の義務を明示し、
多様な安全衛生関連規則を定めている。
16
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
・
「連邦標準および基準法」により、メキシコ公式標準に係る透明性と効力の促進
が図られ、その適用範囲は、証明、製品の検査・認証、手続き、方法、設置、
サービス等が公式標準に従うことを確保することにある。
・
鍵となる組織は、IMSS 及び安全衛生に関する全国諮問委員会である。
・
労働社会保障省(STPS)は、技術的な労働安全衛生基準の草案を作成し、検
査・監督の実施、罰則規定の作成、合同委員会の促進、労災関連統計の維持、
研究実施及び情報の提供を担当する。
[労働安全衛生に関するその他の基準]
職場での安全衛生基準は、以下の 3 つのカテゴリーに分類される。
・
安全基準
・
保健衛生基準
光度、温度、空気調節、毒物及び発がん物質のような慢性的あるいは先鋭的な
リスクが指摘される。
・
構造的基準
医療保険、合同委員会、情報管理及び危険の報告のような手続に対処する。
職場での安全衛生及び環境に関する連邦法において、職場の環境に関する雇用者の
義務が規定されているが、主要なものは以下のとおりである。
・
第 17 条
雇用者に対して、汚染物質の隔離、危険物質・化学物質に関する安全取扱い基
準の回覧、労働者への十分な保護手段の提供
・
第 99 条及び第 100 条
職場環境が労働者の健康に影響を与える場合の、十分な換気の設置
・
第 101 条
防護用具について
*出典:Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers.
Mexico Labour Law : LABOR RELATIONS IN MEXICO, <http://www.mexicolaw.co
m/LawInfo11.htm> accessed on 31 July 2008
【職場での負傷と病気の予防】
以下は、職場での事故、負傷、病気などの予防に関する連邦労働法の条項である。
第 512 条:職場での事故予防と労働者の命と安全を守るための規定
第 132 条:労働者の安全を守るための雇用者の義務に関する規定
第 133 条:職場での器具、装置、備品等の安全確保に係る雇用者の義務を規定
第 504 条:雇用者の労働事故に関する報告義務(監督当局へ 72 時間以内に報告)
第 134 条:雇用者及び当局から要請または命令を受けた事故防止、衛生維持手段に
係る労働者側の順守義務を規定
第 153 条:雇用者が提供する必要のある、労災事故防止の訓練等を規定
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
17
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers.
1.4.1
労働者災害補償保険
労働者災害補償保険の概要は、以下のとおりである。
・
すべての労働者は業務中に事故にあった場合、社会保障制度から直接金銭
的補償を受ける権利を持つ。さらに、リハビリ、入院及び手術についても
補助が受けられる。
・
雇用者は、事故の場合に被雇用者を保護するために、前述のとおり保険料
の 70%を負担する義務がある。しかし、事故が雇用者の怠慢によって発生
し、深刻な被害となった場合、超過費用分は雇用者が支払う場合がある。
・
障害が永久に残る場合、雇用者は被雇用者に 1,095 日分の給料を支払わな
ければならない。
・
業務上の事故で被雇用者が死亡した場合、家族(配偶者と息子が優先され
る。)に対して、葬儀費用としての給与 2 カ月分と、それに加えて 730 日
分の給与が支払われる。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
1.4.2
雇用保険
雇用保険の概要は、以下のとおり。
・
法律上、失業時の補償を行う連邦雇用保険はない。
・
雇用契約が期限のないものでかつ年功報酬に該当すれば、解雇された被雇
用者は、3 カ月分の給与に加えて勤続年数 1 年あたり 20 日分の給与を受け
取ることができる。
・
メキシコシティーに限って、当市に居住・労働するものに対して雇用保険
が導入されている。2006 年 12 月 5 日以降に失業したものすべてに対し、
最大 6 カ月まで 1,500 ペソの補助金を支給することを決定している。
・
商業銀行により民間雇用保険が販売されているが、その他のリスク保険と
同類の保険である。
*出典:Ministry of Labour and Employment Promotion (of the Government of the
Federal District State), <http://www.styfe.df.gob.mx/programas/seguro_desempleo.htm
l> accessed on 31 July 2008
1.4.3
健康保険
健康保険制度の概要は、以下のとおりである。
・
憲法第 123 条
すべての雇用者が職場での安全衛生の確保を要求される。また雇用者は、
衛生管理規則を順守し、事故防止手段を採用し、労働者の健康と安全に最
大限の保証を確保することが要求される。
・
連邦労働法 IX 項
職業上の安全衛生に関する憲法第 123 条の規定に基づく法令が定められて
18
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
いる。例としては、 (i) 雇用者の責務、 (ⅱ) 死亡・負傷の場合の補償、 (ⅲ)
職場での事故と病気の予防が挙げられる。
・
連邦労働法第 132 条
雇用者に対し、職場において適切な薬品等を常備するよう要求している。
・
連邦労働法第 504 条
300 人以上の従業員を持つ事業所に対し、保健衛生施設の設置を要求して
いる。
・
連邦労働法第 487 条
就業中の事故において、労働者には治療及び入院の権利を与えている。第
488 条の規定により雇用者がその責任を免れる場合でも、雇用者は応急措
置を提供し、病院または自宅への搬送手段を確保する必要がある。
・
メキシコは国際条約を批准しているが、重要なのは ILO の第 150 号(労
務管理)、155 号(職業上の安全衛生)、161 号(職業上の保健サービス)、
170 号(化学物質)である。
*出典: ISSSTE, <http://www.issste.gob.mx/> accessed on 31 July 2008
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.4.4
年金
年金制度の概要は、以下のとおりである。
・
通常、65 歳から年金の支給が開始されるが、この条件は対象者が最低 1,250
週の間、社会保険料を支払った場合に限られる。
・
早期退職者には、60 歳からの早期減額支給制度がある。
・
年金額の不足を補填するため、SAR 制度が導入されている。
・
雇用者による保険料支払分は、被雇用者の給与の 2%及び追加分は 3.15%
であるが、被雇用者個人に限定された口座に積み立てられ、退職あるいは
失業時にのみ引き出し可能となる。
*出典:KASO & Asociados, <http://www.kaso.com.mx/tienda/>
accessed on 31 July2008
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.4.5
その他、独自の保険や基金に関する法令
【INFONAVIT(National Workers’ Housing Fund Institute:全国労働者用住
宅基金庁)】
生活住居基金として知られる労働者のための全国生活住居開発機関(National
Institute for the Development of Living Quarters for Workers)は、1970 年代
の初めに設立された。この基金は、雇用者に対して被雇用者の給与から計算さ
れる小額の税金を課し、労働者のための社会的生活住居(小規模住宅)の建設
のために基金を利用している。被雇用者は INFONAVIT を通して住宅を購入す
ることができる。月々の支払いは給与から天引きされ、住宅ローンに対する支
払いに充当される。生活住居基金に関しては、雇用者は被雇用者の給与の 5%を
19
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
INFONAVIT に対して支払う。
【利益分配】
雇用者利益への労働者の参加に関する全国委員会により決定された分配率に基
づいて、被雇用者は利益の分配を受けることができる。
条件等は以下のとおりである。
1.5
・
対象期間中に 60 日以上勤務した労働者が対象
・
分配対象利益は、収益の 10%
・
分配対象利益のうち、最初の 50%は給与水準に関わりなく被雇用者へ配分
・
残りの 50%は、給与水準によって按分される
・
最近設立された企業は、最初の 1 年間利益分配から除外される
職業能力開発法令
1.5.1
職業能力開発制度
1970 年以降、メキシコ労働関連法は、被雇用者に対する雇用者の責任で、特に
訓練あるいは職業能力開発のコースを提供することを義務付けている。
職業能力開発制度の概要は、以下のとおりである。
・
被雇用者は訓練終了時に次の段階のポストに就く能力を身につけるよう訓
練されるべきで、かつ現在の職務を完璧にするものとなる必要がある。
・
連邦労働法第 132 条 XV 項に基づき、すべての雇用者は上述の成果が期待
される訓練提供の義務を有する。
・
中小企業の場合、雇用者センター及び商工会議所等の組織により訓練の提
供を受けることができる。
・
別途合意がなされない限り、訓練は勤務時間内に提供されなくてはならな
い。
・
メキシコ連邦労働法は、すべての雇用者に対して、労働者への最低限の訓
練提供を義務付けており、そのために管理者と労働者から構成される訓練
委員会の設置を要求している。
・
連邦労働法には、訓練時間または実施日数については規定されていないが、
訓練を実施することにより、労働者の技能向上、昇進のための準備、生産
性と全般的な福利厚生の改善、業務上の事故の削減をすべきことが規定さ
れている。
・
すべての産業において最小限の訓練が提供され、訓練実施計画は労働省に
提出される。
・
政府からの直接の助成金はないが、雇用者は訓練費用及び関連経費につい
て法人税の控除を受けることができる。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
20
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
Doing business and Investing in Mexico. PriceWaterHouseCoopers
1.5.2
職業能力評価制度
職業能力評価制度は、労働社会福祉省よって認可されたすべての訓練プログラ
ムが評価試験を行うため、完全に職業能力訓練制度に依存している。この評価
試験は、職業能力資格証明を受け取るために被雇用者が合格を期待されている
試験である。この証明書は労働福祉省を通じて連邦政府から授与されるもので、
昇進に役立つ場合がある。
しかし、このような訓練プログラムは労働環境では広まってはいない。唯一、
教育に関する訓練プログラムは常に更新され、特に初等教育教授の間ではよく
知られている。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
1.6
その他の雇用労働関係法令
1.6.1
職業紹介制度
メキシコの職業紹介制度は、職業能力評価制度としての雇用・資格及び訓練のた
め、労働社会福祉省により導入された国家サービスに依存している。
連邦労働法第 IV 条によると、雇用・資格及び訓練のための国家サービスが責任
を持つのは以下のとおりである。
・
雇用創出の研究及び促進
・
労働者の職業紹介の促進と指導監督
・
労働者の訓練と資格の組織化、促進及び指導監督
・
職業能力にしたがって労働者に対する訓練プログラムの修了時に授与され
る証明書の登録
労働者の職業紹介の促進と指導監督に関して、雇用・資格及び訓練のための国家
サービスが担当するのは以下のとおりである。
・
労働者の職業能力と企業の具体的な必要性とのマッチングを通し、経営者
と労働者を結びつけること
・
民間の職業紹介業者(一般的にはヘッドハンター)を認可し、登録するこ
と
・
職業紹介業者が法律あるいは他の規則あるいは労働社会福祉省の措置に反
しないよう監視すること
・
国外で労働の提供を計画するメキシコ人の雇用に関し、他の省庁(外務省、
商務省、内務省など)間の協力を仲介すること
・
国家レベルあるいは地方レベルで、労働者の職業紹介を援助する協定を提
案すること
この他に連邦政府は、求職者が履歴書をインターネットを通じて送付できるよう、
21
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
求人広告が掲載されるバーチャル職業紹介を創設している。
*出典:Cámara de Diputados del H. Congreso de la Unión : Federal Labour Law
<http://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/125.pdf> accessed on 31 July 2008
1.6.2
外国投資法により進出した企業で、海外から招聘され就労する者の労働許可条
件
メキシコ移民サービス局は国務省の部門の一つである。
「ビザ」と「在留資格」の違いは重要である。前者は外国人がメキシコ入国以前に外
務省を通じた前段階の資格取得プロセスであるが、後者は、メキシコ入国後に個
人に対して与えられる在留許可である。ビザが必要か否かは国によるが、日本人
の場合はビザを必要としない。
外国から招聘された者の労働許可条件は、「ビジター」(FM3)である。これは
多目的の非移民としての地位である。この資格は、ビジネスにもあるいは非永住
退職者の地位にも利用可能である。収入に関する特別の要素としては、その支払
いの原資が外国にあることである。収入もメキシコへの投資も、その原資は国外
からのものでなければならない。この地位は通常、1 年のみ与えられるが、4 回
を限度として更新が可能である。
以下は、メキシコでの労働及び居住を希望する日本人に適用されると思われる、
在留資格のリストである。
・
投資家(メキシコの商業あるいは産業に投資する個人)
・
専門家(メキシコにおいて専門家業務に従事することが許可される個人。
前提条件として、専門資格が連邦専門家資格登録機関に登録される必要が
ある。)
・
企業幹部
・
科学者(科学研究にたずさわる個人)
・
技術者(生産における応用研究にたずさわる個人)
・
アーティスト及びスポーツ選手
*出典:Instituto Nacional de Migración, <http://www.inm.gob.mx/EN/index.php?page
/Migration_Statuses_and_Categories> accessed on 31 July 2008
外国から来た者で、既にメキシコ在住で、企業における管理職のポジションを得
る予定があり、居住者となる決定をした者は、入国管理局において在留資格の変
更を申請する必要がある。この場合、以下に掲げるものの提出が必要となる。
・
居住管理職としての地位の変更申請書
・
パスポートまたは有効な身分証明書及び旅行書類
・
入国管理局にスペイン語で、メキシコに居住する理由を記載した署名入り
の手紙
・
雇用契約書又は企業のレターヘッドのある用紙にスペイン語で書かれた雇
用者からの採用書類。これにはポジションと事業所住所が記載される必要
がある。
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国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
・
雇用契約の有効期間
・
雇用者に関しても、雇用者が個人の場合は、当人が経済活動に従事すると
いう証拠及び外国人の場合は、有効な移住許可書類を提出しなければなら
ない。雇用者が法人の場合は、法人設立書類、税務申告書の提出、また外
国籍の場合は、外国投資に係る登録の証拠を提出する必要がある。
*出典:Instituto Nacional de Migración : <http://www.inami.gob.mx/>
accessed on 31 July 2008
1.6.3
海外から招聘され就労する者の加入義務のある制度
海外からメキシコに招聘され就労する者の登録義務のある機関としては、基本的
に外務省及び国家移民局である。この二つの機関が移住許可証発行を担当してお
り、6 カ月以上(6 カ月未満は旅行として取り扱われる)メキシコに滞在する者
はすべて当許可証を所持しなければならない。
外国人が移住許可証を取得した後は、メキシコ人と同様に雇用されることが可能
となり、まったく同様の労働者としての権利と義務を持つことになる。
*出典:KASO & Asociados, <http://www.kaso.com.mx/tienda/>
accessed on 31 July2008
1.6.4
その他雇用労働に関する法令
調査中
【参考文献】
1.
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2.
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Planning Secretariat (Dirección General de Capacitación y Productividad de
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5.
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Instituto Nacional de Migración, <http://www.inm.gob.mx/EN/index.php?page/
23
国名:メキシコ (調査大項目 1:雇用労働関係法令)
作成年月日:2008 年 7 月 31 日
Migration_Statuses_and_Categories> accessed on 31 July 2008
8.
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KASO & Asociados, <http://www.kaso.com.mx/tienda/> accessed on 31 July 20
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