第5章 削減目標

第5章 削減目標
1.温室効果ガス削減目標
我が国では、地球温暖化防止京都会議において、2008~2012 年までに CO2 排出量を 1990 年比
6%削減すると提示しており、2011 年である現在、直近の目標となっています。一方、IPCC 第4
次報告書(2007 年)において、
「温室効果ガス濃度を安定化させるためには、2050 年までに CO2
排出量を 2000 年レベルから 50~85%削減しなければならない。」との長期的な課題が公表され
ました。これを受け、温室効果ガス排出削減の中長期目標の設定が欧州など各国で進められてお
り、G8 ラクイラ・サミットでは、
「2050 年までに全世界で現状から温室効果ガス排出量を少なく
とも半減、中でも先進国については 80%以上の削減」が示されています。
更に現在、京都議定書の第一約束期間が終了する 2013 年以降の地球温暖化対策の中期目標等
が国際的に検討されています。2009 年 6 月に麻生総理より、2005 年比 15%減(1990 年比8%減)
の中期目標が発表されていましたが、同年 9 月の国連気候変動首脳会合で鳩山総理より、2020
年までに 1990 年比 25%削減1の中期目標が発表されています。
一宮市が位置する愛知県では、2050 年頃に目指すべき低炭素社会を実現するために、国の中
期目標の検討状況も踏まえ、2020 年度に 1990 年度比 15%の削減を目標としています。
(「あいち
地球温暖化防止戦略 2020(仮称)」より引用)
一宮市の温室効果ガス削減目標は、これらの世界動向、我が国の削減目標に見合った数値を設
定する必要があります。
(1) 基準年
一宮市においては、京都議定書に合わせて、平成 2(1990)年度を基準年とします。
(2) 削減目標
一宮市においては、以下の削減目標を目指します。
中期目標
平成 32(2020)年度に基準年比で 15%削減
長期目標
平成 62(2050)年度に基準年比で 80%削減
1
目標は、排出量取引制度なども含まれた数値です。
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2.将来推計
(1) 現状趨勢ケース
現状趨勢ケースとは、新たな地球温暖化対策を行わないで、現在の状況のまま推移したケース
です。現状趨勢ケースの温室効果ガス排出量は、活動量(産業生産量や世帯数など)の増減など
に伴い変化します。
一宮市における現状趨勢ケースにおける CO2 排出量は、2020 年度に 223 万トン CO2 になると推
計されます。
部門別の推移をみると、産業、民生業務、運輸部門の温室効果ガス排出量は経済の発展に伴い
上昇が予測されます。家庭部門は核家族化の進行による世帯数の増加が、温室効果ガスの排出量
の増加につながると予測されます。
表 5-1:一宮市の温室効果ガス排出量現状趨勢ケース将来推計
単位:トン CO2
部門
【基準年】
1990 年度
【現在】
2008 年度
産業
1,263,307
760,079
780,326
民生業務
261,674
294,772
321,301
民生家庭
327,036
491,399
496,313
運輸
463,677
539,385
555,567
廃棄物分野
55,593
71,116
68,983
農業分野
14,183
8,038
7,917
2,385,470
(100%)
2,164,789
(91%)
2,230,407
(93%)
合計
【中期目標時】
2020 年度
注)合計欄の()内は、1990 年度を基準とした割合%を示す。
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(2) 対策ケース
対策ケースとは、現在実施されている対策に加え、今後実施する新たな対策を考慮したケース
です。対策ケースの基本的な算定方法は、以下のとおりです。
①
温暖化対策・施策毎の導入量を想定し、温室効果ガス削減量を試算します。各削減量を積
み上げて、対策・施策による削減量を試算します。
②
「現状趨勢ケース」の温室効果ガス排出量から、上記①の削減量を差し引くことにより、
「対策ケース」の温室効果ガス排出量を算出します。
基本的な算定式は、以下のとおりです。
対策ケース温室効果ガス排出量
=
現状趨勢ケース温室効果ガス排出量
-
対策・施策による削減量
ここで
対策・施策による削減量
=
温暖化対策・施策毎の(導入量×温室効果ガス削減量)の総和
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基準年の 1990 年度、現状の 2008 年度、2020 年度の対策ケース及び現状趨勢ケースの排出
量並びに削減目標を以下に示します。
2020 年度の対策ケースにおける削減目標は、基準年(1990 年度)比 15%削減した 203 万ト
ン CO2 となります。
対策ケースにおける削減目標は、国や県の施策による温室効果ガス削減量と、市独自の施策
による削減量により、2020 年度の現状趨勢ケースから 9%削減する必要があります。
一宮市の温室効果ガスの中期削減目標の概要
(トンCO2)
3,000,000
2,800,000
2,600,000
239万トンCO2
2,400,000
15
223万トンCO2
%
減
216万トンCO 2
2,200,000
2,000,000
203万トンCO2
1,800,000
1,600,000
1,400,000
1990年度
2008年度
趨勢ケース
対策ケース
2020年度
図 5-1:中期削減目標の概要
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<削減量>
202,758トン
CO2(9%)削減