「ダブル11」が来た! - 自治体国際化協会北京事務所

「ダブル11」が来た!
「ダブル11」とは、もともと
11 月 11 日のことを指し、
「1」
が「光棍」(中国語で、つるつる
の棒という意味で、独身者のこと
を指す)の形に似ているので、若
者の間では「独身者の日」とも呼
ばれていました。
2009 年、ネット通販の大手会
社であるアリババはこの日をビ
ジネス·チャンスとして捉え、割
「ダブル 11 が来た!11 月 11 日は
引 セ ー ル を 繰 り 広 げ 、 一 日 で ダブル 11 の広告画像。
5000 万元
(約 3 億 6240 万円) ネットショッピング祭り」
の合計売上高を達成しました。ほ
かのネット通販業者はこれを見て、「独身者の日」に潜む商機に気づき、アリババを
追随して、この日だけの大規模セールを行い、消費者を誘致しようとしました。この
ような割引セールは 2009 年から毎年一回、11 月 11 日に行われるようになりまし
た。こうしたセール合戦を経て、
「ダブル 11」
の意味はだんだんと変わってきました。
今、多くの人は「ダブル11」と聞くと、頭に浮かぶのはもはや「独身者の日」では
なく、すでに「独身者に限らず、皆のネットショッピング祭り」になっているのでは
ないかと思います。
そして、2009 年以来、毎年中国のインターネットでショッピングの旋風を巻き起
こす「ダブル11」は、今年で6年目を迎えました。ネット通販市場で約 8 割のシェ
アを持つアリババは、杭州にあるアリババ本部に巨大なスクリーンを設置し、11 月
11 日零時から同社の売上高をリアルタイムで表示しました。
「ダブル11」が始まっ
てからわずか 3 分で、アリババ傘下の天猫(Tモール)と淘宝網(タオバオモール)
では、売上記録が 10 億元(およそ 190 億円)を突破しました。そして夜 12 時に
一日の合計売上高が公表されると・・・・
どうでしょう?
なんと、史上最高の 571 億元(約 1 兆 849 億円)で、全国の一日あたり小売売
上高総額の 5 割以上を占める金額となりました。これは前年比63%増で、2009
年と比べると、およそ 1000 倍増となっています。アメリカでも 11 月の感謝祭明
けの月曜日を「サイバーマンデー」と呼び、各ネット通販業者が割り引きセールを行
うことがありますが、「ダブル11」の全取引額が「サイバーマンデー」をも上回っ
ているということです。これは単にアリババの成果ではなく、各ネット通販サイトで
ショップをオープンしたネット通販業者の努力の成果でもあります。たとえば、Tモ
ールでショップをオープンしたユニクロでも、半日で1億元(およそ 19 億円)の売
り上げを達成し、一日の合計売上は通信機器・ソフトウェアメーカーの小米(シャオ
ミ)に次ぐ、第二位でした。
なぜ「ダブル11」は、わずか数年間でここまで発展してきたのでしょうか?
2009 年から 2014 年まで、中国の経済は成長し続けてきましたが、「ダブル11」
の売上高のような飛躍的な発展を示してはいません。「ダブル11」の起源から考え
ると、やはりアリババの戦略が効いたように思います。孤独で寂しい人々は、買い物
を通じて独身の苦痛を解消し、あるいはプレゼントを買って、憧れの彼や彼女に贈り、
独身の状態を抜け出そうとしているかもしれません。
また、アリババは速達サービスの発展にも力を入れ、2013 年に中国の主要な速達
会社と協力して「菜鳥網絡」という会社を設立しました。速達サービスを向上させ、
「買い物をしたが、配達が遅くて、一週間たっても届かない」といった問題を少しず
つ解決しました。
そのほか、「ダブル11」の日に合計売上ランキングの第一位を取ったのは小米と
いう通信機器メーカーであるということからも、「スマートフォンなどを使った電子
取引の普及がネット消費を牽引している」という事実が伺えるのではないかと思いま
す。スマートフォンの普及が、ネットショッピングをより便利にし、消費者の消費意
欲を向上させたと思います。
また、アリババ・グループは今年の9月にニューヨーク証券取引所に上場しました。
2014 年は、アリババの国際化元年といわれています。その後、アリババはどんどん
国際化を進め、今年の「ダブル11」にも、合計 217 の国の消費者が参加しました。
中国だけでなく、世界国々の消費者たちも、571 億元の合計売上高に貢献したので
しょう。これからも、「ダブル11」は世界中にさらに広がり、世界の各国に影響を
及ばすと思います。いつの日か、中国と日本の消費者たちが、「ダブル11」のもた
らしたネットショッピングの喜びを一緒に味わい、大金を費やした時の悔しい心を、
慰め合えるかもしれません。
外交学院日本語学部
佘 達
(クレア北京事務所インターン勤務)