4.アラブ世界が直面する「内圧」 若者層の拡大と世代交代の波

5.アラブ世界が直面する「内圧」
若者層の拡大と世代交代の波
中東諸国の社会経済基本指標
出典
• U.N, Statistics Division, National Accounts Main Aggregates
Database, CIA World Fact Book, World Bank, World
Development Indicators (WDI) database
1
人口(2007)(千
人)
イスラーム教
徒の割合
(%)
出生率
(2006)
(%)
幼児死亡
率(2006)
(%)
青年男性識
字率(2006)
(%)
青年女性
識字率
(%)
都市人口
一人当たりGNI
(2005)
(%)
(USドル)*(2007)
インターネット
ユーザー(per
100)(2007)
GDP
growth
(%)
(2007)
19,747
90
3.2
1.4
95.1
91.4
71.6
1,760
6.6
17.4
レバノン
3,971
59.7
2.2
3
-
-
86.6
5,770
2
23.4(2006)
ヨルダン
5,966
96
3.6
2.4
99.0
99.1
78.3
2,708
5.8
19.7
7,112**
16
2.7
0.5
99.5
99.5
91.6
21,900
5.3
27.9
3,907
87**
4.6
2.2
99.2
99.0
71.6
1,230(2005
)
-2.5
9.2
76,853
94
3.4
3.3
90.3
80.3
42.6
1,788
7
11.4
6,085
97
2.9
2.4
99.7
97.5
77.0
10,078
7.9
4.3(2006)
チュニジア
10,312
98
2.0
2
96.8
93.7
65.3
3,195
6.3
16.8
モロッコ
32,784
99
2.4
4
82.8
64.5
55.0
2,276
2.2
23.7
サウジアラビア
25,809
100
3.6
2.3
97.7
95.5
81.0
15,339
3.5
25.6
UAE
4,775
100
3.7
0.9
98.3
96.1
77.7
41,031
7.7
52.7
クウェート
2,839
100
4.1
1
98.5
98.5
98.3
43,063
10
33.8
カタール
857
100
4.4
0.9
96.5
97.8
95.4
72,795
14.2
42
バーハレーン
751
100
3.1
1
99.6
99.7
88.4
24,984
6.6
33.2
オマーン
2,668
100
3.6
1
98.6
97.6
71.5
14,768
5.9
11.5
イエメン
22,325
100
6.2
7.5
92.6
64.3
28.9
864
3.1
1.4
トルコ
75,161
99
2.4
3.9
98.4
94.1
67.3
6,494
5.1
18(2006)
イラン
71,220
98
2.0
3.1
98.2
97.0
66.9
3,998
5.8
32.4
シリア
イスラエル
パレスチナ***
エジプト
リビア
2
中東諸国の社会経済基本指標
**占領地ユダヤ人入植者含む
***ヨルダン川西岸及びガザ地区
• 中東平均:$2,448 世界平均:$7,468
• 途上国とは世界銀行の定義で一人当たりGNIが$936 $3,705 (lower middle income)の国
中東主要諸国の人口動態
時期
1950-1955
1955-1960
1960-1965
1965-1970
1970-1975
1975-1980
1980-1985
1985-1990
1990-1995
1995-2000
2000-2005
2005-2010
2010-2015
2015-2020
2020-2025
世界
1.77
1.80
1.94
2.02
1.94
1.77
1.76
1.75
1.54
1.36
1.26
1.18
1.11
1.00
0.86
アルジェリア
2.09
2.12
1.98
2.85
3.06
3.22
3.22
2.69
2.23
1.53
1.48
1.51
1.45
1.29
1.08
エジプト
2.50
2.63
2.55
2.39
2.14
2.30
2.62
2.63
2.00
1.89
1.90
1.81
1.66
1.44
1.24
ヨルダン
6.85
5.95
4.22
7.66
3.54
2.78
3.92
3.69
5.59
2.40
2.74
3.02
1.44
1.55
1.46
チュニジア
1.79
1.79
1.85
2.04
2.01
2.61
2.54
2.28
1.68
1.13
0.88
0.98
0.96
0.87
0.74
イエメン
1.84
1.97
2.09
1.95
2.09
3.34
3.80
3.89
4.63
3.16
2.91
2.86
2.74
2.57
2.31
(出所)Population Division of the Department of Economic and Social Affairs of the United Nations Secretariat,
World Population Prospects: The 2008 Revision, http://esa.un.org/unpp
中東北アフリカ諸国は、1960年代において世界で最も高い人口増加率を記録した地域。
しかし、国によって違いがあるが、1980年代前後を境に人口増加は減少傾向に転じた。
4
合計特殊出生率の推移(2005年)
中東北アフリカ地域は、
1950年代に最も高い出生率
を記録した地域であった。
高出生率は1970年代まで
続いたが、それ以後、とくに
1990年代に急速に低下。
WORLD
Eastern Africa
Middle Africa
Northern Africa
Southern Africa
Western Asia
Eastern Asia
South-Central Asia
South-Eastern Asia
Western Asia
EUROPE
LATIN AMERICA AND THE CARIBBEAN
OCEANIA
1970-1975 2000-2005
4.5
2.6
7.0
5.6
6.5
6.2
6.5
3.2
5.6
2.9
7.0
5.8
4.5
1.7
5.5
3.2
5.6
2.5
5.7
3.2
2.2
1.4
5.0
2.5
3.2
5 2.4
中東北アフリカ諸国の都市農村人口比(2007年 %)
80 000
70 000
都市
農村
60 000
50 000
40 000
30 000
20 000
10 000
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—
出所)United Nations - Department of Economic and Social Affairs - Population Division より作成。


中東北アフリカ諸国のなかで、人口大国はエジプト、トルコ、イラン。それ以外の国々は人口3000万人以下の人口小国。
中東北アフリカ諸国は、都市人口比が高い特徴をもつ。世界平均の都市人口比は49.4%であるのに対して、中東北アフリカの
大半の国々では70%を超える。例外は、エジプト、イエメン、スーダン、シリア。
6
中東北アフリカ諸国の15-24歳人口の比重 (2005年、%)
人口に占める比重 労働力人口に占める比重
アルジェリア
23
34
バハレーン
15
22
エジプト
21
34
イラン
25
38
イラク
20
36
ヨルダン
20
33
クウェート
15
21
レバノン
18
29
リビア
23
34
モロッコ
18
32
オマーン
21
33
パレスチナ
19
38
カタール
14
18
サウジアラビア
19
31
シリア
23
38
チュニジア
21
31
トルコ
18
28
アラブ首長国
17
23
イエメン
21
42
出所)Ragui Assaad and Farzaneh Roudi-Fahimi, “YOUTH IN THE MIDDLE EAST AND NORTH AFRICA: DEMOGRAPHIC
OPPORTUNITY OR CHALLENGE?”, http://www.prb.org/pdf07/youthinMENA.pdf



中東北アフリカ諸国において、青年人口は2035年まで増加の見通し。1950年代から1980年代まで、高い出生率が続いた
この地域では、青年人口の比重が減少傾向に転じるのに長い期間を要する。
このような緩慢な人口転換のパターンのため、中東北アフリカ地域では、労働力人口の増加が長いこと続くことになる。
中東北アフリカ地域は、世界のなかで最も労働力人口増加率が高い地域。
7
世界の地域別の(15~24歳)若年失業率と15歳以上失業率
(%)(2008年)
(出所)ILO 2010
中東北アフリカ諸国の(15歳以上)失業率の推移(%)
(出所)UN Data http://data.un.org/
中東北アフリカ諸国の(15~24歳)男女別若年失業率(%)
(出所)UN Data http://data.un.org/
(注)各国の失業率は2000年から2008年までの最近年の値。
中東北アフリカの人口動態
• 人口動態
出生率低下⇒人口増加率の低下
• ⇒空間構成の変化: 都市人口
元来、都市化が進んだ地域。1950年代から1980年代にかけて、さ
らに都市化が進展。
• ⇒年齢構成の変化: 若年層の増大
高出生率時代に生まれた世代の労働力人口参入。
⇒東南アジアのように、「人口ボーナス」になりうるか?
• 人口構成と失業
中東北アフリカは世界で最も高い若年失業率をもつ地域であり、
とりわけ女性の若年層の失業率が高い。
11