第9回 基調報告 『医食同源 』

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投資家ネット*『ジャパニーズ インベスター』/宝印刷主催
個人投資家のための会社説明会
第12回 基調報告
『グローバルに通用する技術力 ∼知財戦略の課題∼』
2010年2月12日(金) 於: 京王プラザホテル 南館4階 「錦」
常務執行役員
近藤 一仁
本日お話ししたいこと
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国際競争力の技術的側面、真の企業価値
技術導入から導出へ、中国は未成熟
自動車・製薬・電機・ITが稼ぎ頭
企業活動とR&D、お金だけでなくMOT
ケーススタディ
(日立、パナソニック、武田薬品、富士通)
まとめ
1
急降下から回復する国際競争力
(順位)
0
日本とドイツ・国際競争力順位の推移
1
3
5
1
2
2
5
3
5
4
4
6
10
10
12
15
16
17
20
25
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2008年
2009年
1位
アメリカ
アメリカ
アメリカ
2位
シンガポール
シンガポール
香港
3位
香港
香港
シンガポール
4位
ルクセンブルク
スイス
スイス
5位
デンマーク
ルクセンブルク
デンマーク
12
15
13
15
17
18
20
日本
ドイツ
11
2007年
20
21
24
23
25
21
21
23
23
16
16
17
22
24
27
30
91年 92年 93年 94年 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 06年 07年 08年 09年
出所:IMD(国際経営開発研究所・スイス) "World Competitiveness Year Book"
2
貿易収支が黒字の10大商品
1. 乗用車(ガソリンエンジン)
2. プリンター・複写機
3. テレビジョン・カメラ
4. IC・LSI
5. 貨物船
6. 通信機
7. メカニカルショベル
8. プロセッサー
9. タンカー
10.記憶素子IC・LSI コマツ 油圧ショベル
出所:財務省、貿易統計等より
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トヨタ 新型プリウス
ソニー ブラビア
3
国際競争力の3つの側面
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貿易・・・強い輸出商品
資本・・・銀行・証券・保険
技術・・・特許収支(特許使用料)
4
真の企業価値とは
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貸借対照表(B/S)
負債
負債
財務諸表上の
企業価値
資産
資産
真の
企業価値
資本
資本
技術
ノウハウ
人的資産
組織力
ブランド力
等々
知的財産
知的財産
(知的資産)
(知的資産)
財務諸表上に
現われない
企業価値
出所:宝印刷で作成。
5
知的財産権の種類
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※1 特許等使用料
対応する法律
工業所有権
工業所有権
(産業財産権)
(産業財産権)
商標権
商標権
(商品マーク、サービスマーク)
(商品マーク、サービスマーク)
商標法
商標法
意匠権
意匠権
(物品のデザイン)
(物品のデザイン)
意匠法
意匠法
実用新案権
実用新案権
(考案)
(考案)
知的財産権
知的財産権
特許権
特許権
(発明)
(発明)
著作権
著作権
実用新案法
実用新案法
特許法
特許法
著作権法
著作権法
出所:日本銀行ワーキングペーパーシリーズ「特許等使用料収支の黒字化について」(山口英果、2004年3月)より作成。
6
技術導入から技術導出へ
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世界各国の特許等使用料 黒字国 TOP5
順位
(2008年)
国名
(単位:100万ドル)
1980年
1995年
2000年 2005年 2006年 2007年 2008年
6,350
23,370
26,765
39,783
35,945
59,168
64,985
▲ 780
3,002
4,595
6,551
7,389
1
アメリカ
2
日本
▲ 980 ▲ 3,412
3
フランス
▲ 532
▲ 470
277
3,123
2,932
4,224
5,339
4
イギリス
210
882
1,515
3,839
3,626
4,986
3,432
5
スウェーデン
▲ 114
▲ 116
375
1,968
2,346
2,943
2,933
出所:国際貿易投資研究所、国際比較統計より
原典:BOP(Balance of Payment Statistics)、IFS
7
技術導入段階のアイルランド・中国
世界各国の特許等使用料 赤字国 TOP5
順位
(2008年)
国名
1980年
1995年
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(単位:100万ドル)
2000年
2005年
2006年
2007年
2008年
1
アイルライド
n.a.
▲2,592
▲7,691
▲18,450
▲19,788
▲23,559
▲27,647
2
中国
n.a.
n.a.
▲1,201
▲5,164
▲6,430
▲7,849
▲9,749
3
カナダ
n.a.
▲1,511
▲1,510
▲4,137
▲4,075
▲4,708
▲5,334
4
ロシア
n.a
▲0
23
▲1,333
▲1,703
▲2,410
▲4,141
5
ドイツ
▲840
▲2,782
▲2,763
▲304
▲1,956
▲2,954
▲3,166
出所:国際貿易投資研究所、国際比較統計より
原典:BOP(Balance of Payment Statistics)、IFS
8
業種別・工業所有権等使用料推移(受取)
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(億円)
自動車産業の工業所有権等使用料(ロイヤリティ収入)
は、90年代末から2000年代にかけての海外生産活動
により急速に増加。2003年には6000億円以上の収入
源となっているが、グループ内での受取が多い!
7,000
6,000
自動車
製薬
電機・IT
その他
5,000
4,000
自動車以外の製薬産業、電機・IT産業は年間1000
億円前後の収入で推移。これらは、グループ以外の海
外企業との取引からもたらされてる。
3,000
2,000
1,000
0
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
出所:日本銀行ワーキングペーパーシリーズ「特許等使用料収支の黒字化について」(山口英果、2004年3月)より作成。
(年)
9
産業別の動向と「真の技術立国」への道
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自動車産業
生産拠点が北米にシフトしたことを背景に、グループ内企業から親会社への
ロイヤリティ収入が増加していることに留意したい。
トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車などのアニュアルレポートには
知的財産権収益の記載がないのが実情である。
製薬産業
医薬品の特許に対する収益が柱である。武田薬品工業はアニュアルレポート
にて1995年度以降の「知的財産権収益」を継続的に明記している。
電機・IT産業
わが国での特許登録件数(2008年)の1位、2位を争うのは、パナソニックと
東芝。急成長中の中国での特許出願件数では、パナソニック(1位)、ソニー
(4位)、東芝(6位)といった電機3社が、トヨタ自動車(8位)を抑えている。
「真の技術立国」への道を展望する時、著作権(ソフトウェア)等の基幹技術力
の強化に加え、その技術をグループ外企業にライセンスすることで特許収入を
得ている欧米企業型への構造変化が課題であろう。
10
日本の特許等使用料の稼ぎ頭(企業)
ソニー
富士通
パナソニック
武田薬品工業
日立製作所
キヤノン
日本電気
セイコーエプソン
東芝
三菱電機
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11
企業活動とR&D
∼中央研究所等のMOTが課題∼japanese
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生産
生産
【テーマ】
コストダウン
合理化
効率アップ
営業
営業
【テーマ】
アンチ・デフレ、差別化
マーケティング
研究開発
研究開発
【テーマ】
新製品、新工程、環境対策
などのイノベーション
研究開発の課題はMOT
企業
総務・人事・経理
総務・人事・経理
【テーマ】
人材育成、国際会計基準(IFRS)、
ダイバーシティ
12
群を抜く我が国のR&D/GDP比率!
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主要国の研究開発費対国内総生産(GDP)比 (2007年度)
(%)
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
3.5
3.67
日本
3.22
韓国
2.68
アメリカ
2.53
ドイツ
2.08
フランス
1.78
イギリス
1.42
中国
1.12
ロシア
インド
4.0
0.69
出所:文部科学省「科学技術要覧 平成21年版」より宝印刷で作成。
※研究開発費及び国内総生産の値より文部科学省で試算。
※韓国と中国は2006年度、インドは2004年度。
13
主要国の研究開発費とその成果
順位
国名
研究開発費 研究者数 一人当たりの ノーベル賞
(購買力平価換算)
研究開発費 受賞者数
(万人)
(兆円)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
アメリカ
日本
中国
ドイツ
フランス
韓国
イギリス
インド
ロシア
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44.4
18.9
10.8
8.3
5.2
4.5
4.4
3.1
3.0
(万円)
139.5
82.7
122.4
28.6
21.1
20.0
18.4
11.6
46.6
3,183
2,285
882
2,902
2,464
2,250
2,391
2,672
643
出所:文部科学省「科学技術白書 平成21年版」、「科学技術要覧 平成21年版」より
※一人当たり研究開発費は、研究開発費及び研究者数より宝印刷で試算。
※ノーベル賞受賞者数は、自然科学分野(物理学、化学、生理学・医学)のみ。国名は国籍でカウントしている。
(人)
227
12
0
68
29
0
75
1
13
14
知的財産の源泉∼R&DランクとMOTコースで優れた学府等∼
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研究開発費(R&D) TOP20
売上高R&D比率 TOP20
(単位:億円)
(単位:%)
順位
企業
研究開発費
順位
企業
売上高R&D
比率
MOT(Management of Technology)
ランキング 2008年
順位
大学名
スコア
1
京都情報大学院大学ウェブ・ビジネス技術コース
62.7
1
トヨタ自動車
9,040
1
武田薬品工業
29.45
2
金沢工業大学大学院知的創造システム専攻
61.7
2
ホンダ
5,631
2
小野薬品工業
28.11
3
長岡技術科学大学大学院 システム安全専攻
59.3
3
パナソニック
5,179
3
塩野義製薬
23.22
4
山口大学大学院 技術経営専攻
57.2
4
ソニー
4,972
4
日本ケミカル
23.21
5
同志社大学大学院 TIMコース
55.9
5
日産自動車
4,555
5
新川
23.07
6
信州大学大学院イノベーション・マネジメント専攻
55.8
6
武田薬品工業
4,530
6
生化学工業
22.79
7
鹿児島大学ベンチャービジネス部門
53.1
7
日立製作所
4,165
7
第一三共
21.91
8
新潟大学大学院技術経営研究科
53.1
8
東芝
3,783
8
NECエレクトロニクス
20.20
9
東京工科大学大学院バイオ・情報メディア研究科
52.1
9
キヤノン
3,740
9
大日本住友製薬
20.00
10
東レ経営研究所戦略的技術マネジメント研修
52.0
10
NEC
3,465
10
エーザイ
19.97
11
大阪産業大学大学院アントレプレナー専攻
52.0
11
デンソー
2,971
11
参天製薬
18.16
12
熊本大学大学院MOT特別教育コース
52.0
12
富士通
2,499
12
キッセイ薬品
17.91
13
光産業創成大学院大学
50.7
13
シャープ
1,955
14
グロービスビジネススクールMMOT&MTCM
50.7
13
田辺三菱製薬
17.63
15
東京理科大学大学院総合科学技術経営専攻
50.5
14
富士フイルムHLD
1,910
14
クラリオン
16.71
16
名古屋工業大学大学院産業戦略工学専攻
50.4
15
第一三共
1,845
15
アステラス製薬
16.47
17
同志社大学TBI技術経営セミナー
50.3
16
アステラス製薬
1,590
16
中外製薬
16.28
18
芝浦工業大学大学院マネジメント研究科
50.1
17
エーザイ
1,561
17
ディスコ
16.01
19
日本工業大学大学院技術経営専攻
49.4
18
三菱電機
1,444
18
エイアンドティ
15.90
20
高知工科大学大学院起業家コース
48.6
19
住友化学
1,311
19
タカラバイオ
15.74
20
三菱ケミカルHLD
1,278
20
あすか製薬
15.12
出所:『会社四季報・2010年新春号』より作成。売上高R&D比率は宝印刷で試算。(前期実績値)
出所:国際戦略デザイン研究所「MOT&MBA Ratings」より作成。
(http://www.isd-r.com/mot/)
自動車
製薬
電機・IT
15
研究開発の効率性指標
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特許収益性
特許出願効率
【営業利益/特許件数】
【GDP/特許件数】
【特許件数/研究開発費】
【特許件数/研究者】
研究開発
(インプット)
【研究開発費】
【研究者数】
【研究者一人当たり研究開発費】
【研究開発集約度
(研究開発費/GDP)】
知的財産
(アウトプット)
【特許件数】
【論文引用件数】
収益・経済成長
(アウトカム)
【営業利益】
【GDP】
【全要素生産性(TFP)】
研究開発効率性
【営業利益/研究開発費】
出所:日銀レビュー「企業の研究開発投資を巡る最近の動向」(2007年4月)
16
研究員のモチベーション
お金
お金
・実績補償制度
・報奨金
会社に貢献
会社に貢献
・業績に寄与
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名誉
名誉
<日本人のノーベル賞受賞者>
*自然科学部門
氏名
受賞年
部門
湯川秀樹
1949年
物理学賞
朝永振一郎
1965年
物理学賞
江崎玲於奈
1973年
物理学賞
福井謙一
1981年
化学賞
利根川進
1987年
生理学・医学賞
白川英樹
2000年
化学賞
野依良治
2001年
化学賞
小柴昌俊
2002年
物理学賞
田中耕一
2002年
化学賞
小林誠
2008年
物理学賞
益川敏英
2008年
物理学賞
南部陽一郎
2008年
物理学賞
下村脩
2008年
化学賞
社会的貢献
社会的貢献
・世界に先駆けて期待通りの効
果を示した時の喜びは計り知
れないもの
・社会の発展にも寄与していくこ
とが出来る点
・強い熱意が必要
地位
地位
(社内評価)
(社内評価)
C I O:チーフ・インテリジェンス・
オフィサー
(注)南部陽一郎氏は米国籍。
17
研究開発分野の光と影 ∼先行するエレキ、出遅れのバイオ∼
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出所:「科学技術白書 平成20年版」 「特許行政年次報告書」(平成19年版)
18
日本の知財戦略の課題は、MOT!
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MOT(Management Of Technology:技術経営)の重要性を認識
どの様な事業・技術分野に投資(研究開発)を行い、生み出された知財をどう活用するか、
R&D戦略・知財戦略を事業戦略と一体化し、経営レベルで策定していくことが課題!
R&D戦略
(研究開発の促進)
一体化
知財戦略
事業戦略
(知的財産権の活用)
(収益機会の拡大)
研究開発によって生み出された特許などの知的財産権を、
グローバルに活用して事業収益に結びつける!
19
2050年までに世界はこう変わる!
2015年
CO2を海底下に固定する技術が実現
生活支援ロボットの本格普及
地球上の全ての村でインターネットが利用可能
自動車同士が位置情報を通信し合って、衝突事故がなくなる
2016年
新聞紙のように薄く柔らかいポータブル電子ディスプレーが実用化
2017年
アルツハイマー病の発症メカニズムが解明され、治療法が開発
2018年
人工聴覚が実用化
2019年
家庭用TVに3D機能がつき、3D放送が開始。(眼鏡式から裸眼式へ移行)
2020年
人工視覚が実用化
東京−ロス間を5時間で飛行する超音速航路が実現
2024年
肝臓、腎臓、心臓の再生医療が実用化
2025年
リアルタイム翻訳機能付きの電話が実用化
リニア中央新幹線(東京∼名古屋290km)が開業
(神奈川∼山梨は2025年を待たずに開通)
2030年
砂漠化に耐える「スーパー樹木」が開発される
人工衛星がとらえた太陽光エネルギーをレーザーで地上に送る技術が実用化
2050年
世界の総人口が91億人を超える
出所:博報堂生活総合研究所のHP等より宝印刷が作成。
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20
参考:ケース・スタディ
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1.日立製作所
①創業100年にあたる2010年度には、日立グループの海外特許出願総数が国内出願数を上回るような計
画を立てている。
2008年度は内外特許比率が、海外47%(48%)、国内53%(55%) *( )は2007年度
海外では、米国(18%)欧州(15%)中国(11%)などに注力している。研究開発費は、4,165億円。
②企業グループ別米国登録特許件数ランキング(日立調べ)で2007年は第3位
グループ名
2008年
順位
2007年
登録件数
順位
2006年
登録件数
順位
三菱電機
1位
4,227
1位
3,263
↑
2位
IBM
2位
4,189
2位
3,151
↓
1位
日立製作所
3位
2,289
3位
2,302
⇔
3位
-
4位
2,181
⇔
4位
2,019
⇔
5位
パナソニック
-
キヤノン
4位
2,132
5位
マイクロソフト
5位
2,029
-
-
-
③特許分野別には、情報通信(46%)、電子デバイス(23%)、電力・光学システム(13%)、デジタルメディア・民生機
器(11%)、高機能材料(7%)
④知財戦略とは、知財活用形態が①抑制率制効果、②クロスライセンス、③ロイヤリティ収入、④戦略的活用
へと時代と共に深化しており、1985年に技術料収入の黒字化を実現している。2008年度の特許収入のう
ち69%が海外で、2000年度の35%から飛躍的に増えている。
21
参考:ケース・スタディ
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2.パナソニック
①知財戦略は、先進国に加えて新興国での事業拡大を見据えBRICSを含む海外出願を引継ぎ強化、グロー
バルな知財力強化に注力している。
②2007年の特許協力条件(PCT)に基づく特許の国際出願件数の世界ランキングでは、世界1位(2008年は第2
位)2009年3月末現在では、パナソニックが所有する特許は国内で40,003件(42%)、海外では54,136件(58%)
2008年
順位(2007年)
企業名
国名
出願件数
1位(4位)
華為技術
中国
1,737
2位(1位)
パナソニック
日本
1,729
3位(2位)
フィリップス
オランダ
1,551
4位(6位)
トヨタ自動車
日本
1,364
5位(5位)
R・ボッシュ
ドイツ
1,273
6位(3位)
シーメンス
ドイツ
1,089
7位(10位)
ノキア
フィンランド
1,005
8位(13位)
LGエレクトロニクス
韓国
992
エリクソン
スウェーデン
984
富士通
日本
983
9位(−)
10位(14位)
③2008年度の研究開発費は、5,179億円で、研究開発費比率は6.7%、重要研究開発分野としては、
2009年度も、薄型ディスプレイの高性能化、省電力化、総合プラットフォームユニフィエの強化、燃料電池
をはじめとする省エネ・環境技術などである。
22
参考:ケース・スタディ
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3.武田薬品工業
①1950年研究所内に特許保を創設し、特許の重要性を追求。1995年に知的財産部を創設し、知財機能が研
究、開発、生産、販売、アライアンスの各機能と融合・連携する体制を敷く。
年度
特許保有件数
海外比率
知財権収益
1995年
n.a
89%
約100億円
2003年
3,336
87%
505億円
2004年
3,149
90%
503億円
2005年
2,960
91%
508億円
2006年
2,988
92%
525億円
2007年
約3,000
約90%
507億円
2008年
約3,000
90%強
557億円
②電機・ITに比べ特許保有件数の絶対数こそ少ないものの、その知的財産権収益は堅調で大きく、557億円に達する。
1995年度に比べ2008年度は、約5.6倍へ飛躍している。
知財部では
1.製品、パイプラインの保護
2.アライアンスサポート
3.広域国での 保護
4.グローバルIPD(Intellectual Property Department)
の4つを柱とする活動を推進している。
③全てを調査したわけではないが、アニュアルレポートに「知財権収益額」を明記している上場企業は、武田薬品工業
以外に見つからない。売上高研究開発比率は、29.45%と日本一の高比率!
④武田薬品工業は1998年より日本の製薬企業としては初めて職務発明を利用した製品が業績に貢献した場合、該当する
職務発明者に対象製品の全世界売上高をベースに実績補償金を支給する実績補償制度を導入している。
2004年度より、上限金額(3,000万円)を撤廃するとともに、10年間遡及して適用することと、発明者以外にも発明完成の
補助に極めて高い貢献をした者に対しても、別途「報奨金」を支払うことに変更された。
2007年度 7,090万円、2006年度 9,938万円、2005年度 1億7,893万円、2004年度 9,974万円
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参考:ケース・スタディ
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4.富士通
①事業部門と研究開発部門が連携し、自社だけでなく他社の知財の状況をも把握・分析して、知財戦略を設定、遂行し
ている。2008年度の研究開発費は、2,499億円で、研究開発費比率は5.3%。
②富士通の事業に直接関係のない技術であっても他社の事業に利用可能な技術や自社で事業化するよりも広く利用
された方がより有益と判断した技術を「技術シーズ」として有償で公開し、外部に積極的にライセンスすることによっ
て、研究開発の成果をロイヤリティ収入に結びつけている。
【技術シーズの例】
カーボンナノチューブ、高精度レーザー溶接技術、マルチバイオ認証、車載ペットロボット、免震台足、雰囲気センサー、環境判定
システム、など。
2008年米国特許登録件数
(件)
セグメント別の内訳 (2008年度)
売上
研究開発費
保有特許
1
IBM
4,186
テクノロジー
(サーバ、システム構築、各種ソフト等)
30,770億円
1,360億円
約27,000件
2
サムスン電子
3,515
(65.6%)
(54.5%)
(25.2%)
3
キヤノン
2,114
ユビキタスプロダクト
(パソコン、携帯電話等)
9,491億円
361億円
約12,000件
4
マイクロソフト
2,030
(20.2%)
(14.5%)
(11.2%)
5
インテル
1,776
デバイス
(LSI等)
5,876億円
372億円
約17,400件
6
パナソニック
1,745
(12.5%)
(14.9%)
(16.3%)
7
東芝
1,609
793億円
406億円
約50,600件
8
富士通
1,494
(1.7%)
(16.1%)
(47.3%)
9
ソニー
1,485
46,930億円
2,499億円
約107,000件
10
ヒューレット・パッカード
1,424
(100.0%)
(100.0%)
(100.0%)
その他
合計
出所:富士通のアニュアルレポート、知的財産報告書(ともに2009年度版)より作成。
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会社説明を行う3社のご紹介
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千代田化工建設株式会社 総務部長 村田 卓弘 氏
昭和23年に三菱石油を母体に創立以来、世界40か国以上での実績を誇る世界屈
指のプラント建設会社。経営理念は「エネルギーと環境の調和」。昨年、カタールで
の世界最大のLNGプラント建設実績が評価され、政府主催の「ものづくり日本大賞
(海外展開部門)」で最高位の経済産業大臣賞を受賞。
国際石油開発帝石株式会社 代表取締役 椙岡 雅俊 氏
エネルギー資源の主役として人々の生活を支える石油・天然ガス。当社は世界26カ
国に展開し、保有埋蔵量の維持・拡大、ガスビジネスの積極展開や新エネルギー技
術開発に取り組む、我が国最大の石油・天然ガス開発企業。
ユニ・チャーム株式会社
経理財務本部マネージャー 大西 潤一郎 氏
生理用品、ベビー用・大人用紙おむつ、ペット用品で国内トップシェアを堅持。アジア、
中東を中心として世界80ヶ国にグローバル展開を推進。不織布・吸収体事業でア
ジアNo.1、世界シェアで10%を占める世界トップ3企業への飛躍を目指している。
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investor
ご清聴ありがとうございました。
常務執行役員
近藤 一仁
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参考文献・資料
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知財マネジメント入門
・・・ 米山茂美、渡辺俊也共著(日経文庫
特許戦略論∼特許戦略実践の理論とノウハウ∼
2004/12/10 刊)
・・・ 久野敦司著(星雲社 2006/10/20 刊)
技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか ・・・ 妹尾堅一郎著(ダイヤモンド社
デファクト・スタンダードの本質 ∼技術覇権戦争の新展開∼
2009/7/30 刊)
・・・ 新宅純二郎、柴田高、許斐義信 共著(2000/11/30 刊)
「技術者力」の高め方 ∼戦略思考で研究開発・製品開発が変わる!
・・・ 水島温夫著(PHP研究所 2004/3/5 刊)
知財で元気な企業
・・・ 現代産業選書 経済産業省(経済産業調査会 2007/5/30 刊)
戦略的な知的財産管理に向けて∼技術経営力を高めるために∼<知財戦略事例集>
・・・ (経済産業省 2007/5/18 刊)
イノベーションを興す
・・・ 伊丹敬之著(日本経済新聞出版社 2009/12/16 刊)
「知財」で稼ぐ!
・・・ 読売新聞東京本社 経済部編(光文社新書 2004/2/20 刊)
知的財産権のグローバル化 医薬品アクセスとTRIPS協定
・・・ 山根裕子著(岩波書店 2008/3/6 刊)
日立製作所 アニュアルレポート、研究開発および知的財産報告書2008、2009
パナソニック アニュアルレポート
武田薬品工業 アニュアルレポート
富士通 アニュアルレポート、知的財産報告書2009
文部科学省「科学技術白書 平成21年版 平成20年版」、「科学技術要覧 平成21年版」
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