完成例

2010FIFA WorldCup 南アフリカ大会
ブラジル代表
カカ ブラジル
外せない万能選手
規律を重んじ、スターシステムを徹底的に配したブラジルのドゥンガ監
督もカカだけは外せない。個人技に頼らず、運動量が求められる堅守速攻
のサッカー。その中で、パスを鋭く、得点力も高い万能型のMFにかかる
負担は大きい。
ブラジルが優勝した2002年日韓大会は、途中出場で1試合しかピッ
チに立てなかった。主力として臨んだドイツ大会は準々決勝敗退。まじめ
に走れる男には、3度目のチャンスが回ってきた。
昨年10月のコンフェデレーションズカップでは最優秀選手の活躍で
母国を優勝に導いた。しかし、推定6500万ユーロ(約80億円)の移
籍金で昨季加入したスペイン1部リーグのレアル・マドリードでは苦しん
でいる。同時期に加入し、得点を量産するポルトガル代表のロナルドとは
対照的だ。
所属チームの不振が、雑音をもたらす。かつて自身が在籍したイタリア
1部リーグ、ACミランで輝きを取り戻したドイツ大会のエース、ロナウ
ジーニョの代表復帰を求める声だ。ドゥンガ監督は反応していないが、カ
カへの不安の裏返しともいえる。
今年3月、欧州チャンピオンズリーグのリヨン戦で途中交代させられた
後、カカの簡易投稿サイト「ツイッター」に監督批判のメッセージが。自
身の広報担当の仕業だったが。もどかしさを象徴する出来事だった。07
年の年間最優秀選手は、大舞台で輝きを取り戻せるか。
平成22年5月12日(水曜日)聖教新聞より抜粋
2010FIFA WorldCup 南アフリカ大会
アルゼンチン代表
メッシ アルゼンチン
真価問われる22歳
スペイン1部リーグ、バルセロナのストライカー、メッシ(アルゼンチ
ン)の勢いが、とどまるところを知らない。
今期、すでに公式戦で4度のハットトリックをマークした。その中でも
衝撃的だったのは、欧州チャンピオンシリーズ(CL)準々決勝、アーセ
ナル戦での4ゴール。イングランドの強豪の守備網をずたずたにし、敵将
ベンゲル監督に「
(テレビゲームの)プレイステーションの選手のようだ」
と言わしめた。
才能にほれ込んだバルセロナが病気の治療費を負担することも受け入
れ、メッシは13歳で大西洋を渡った。その後は目を見張る成長で、昨季
は伝統のバロンドール(年間最優秀選手)を受賞した。
しかし、欧州の地で輝きを放つ天才が、なぜかアルゼンチン代表では精
彩を欠く。W杯南米予選には全試合に出場しながら、チームは最終節でよ
うやく本大会を決めた。母国のリーグでプレー経験がないことも相まって、
サポーターからは厳しい視線も向けられる。
前回ドイツ大会では、セルビア・モンテネグロ戦で初ゴールを挙げたが、
チームは準々決勝で敗退。20歳以下(U20)W杯と北京五輪では頂点
を極め、手にしていない唯一のタイトルがW杯だ。
マラドーナ監督と比較されるのは、アルゼンチン代表のエースの宿命。
敬愛する代表監督は、2度目のW杯となった1986年メキシコ大会で優
勝。メッシもこれに続けるか。才能豊かな22歳が、その真価を問われる。
平成22年5月12日(水曜日)聖教新聞より抜粋
2010FIFA WorldCup 南アフリカ大会
ポルトガル代表
ロナルド ポルトガル
「史上最高額」の男
今季の開幕前にマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)からレ
アル・マドリード(スペイン)に加入した際の移籍金は史上最高の940
0万ユーロ(約118億円)。ポルトガル代表FWロナルドの価値を存分
に示す額だった。
大西洋に浮かぶマデイラ島で生まれ、11歳でスポルディング(ポルト
ガル)に入団。18歳でマンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれると、
2007~08年シーズンには欧州制覇の原動力となり、バロンドールと
国際サッカー連盟(FIFA)年間最優秀選手に輝く。
鍛え上げられた肉体が生み出す爆発的なスピードのドリブルが最大の
武器。足元の技術も多彩で、昨季の欧州チャンピオンズリーグで決めた3
5メートルの弾丸シュートはFIFAの年間最優秀ゴールを受賞した。独
特の前傾姿勢で放つFKやヘディングでも得点を奪える。ロナルドの存在
自体が戦術とまで言われる。
欧州予選は敗退の危機に直面し、プレーオフの末に出場権を得た。本大
会も1次リーグでブラジル、コートジボワールの強敵が待つ。「難しい組
だ。だが、サッカーに不可能はない。W杯で優勝することだってできる」
現役最高の選手として並び称されるメッシへのライバル心も強烈。イタ
リア紙に「今はメッシが上かも知れない。でもそれはバルセロナが助けて
いるから」
。憎まれ口を平気でたたく。好むと好まざるとにかかわらず、
目が離せない25歳だ。
平成22年5月12日(水曜日)聖教新聞より抜粋
2010FIFA WorldCup 南アフリカ大会
イングランド代表
ルーニー イングランド
悲願への命運担う
サッカーの母国イングランドにとって、最大の悲願は44年間遠ざかる
世界一。その命運を担うのがエースのルーニー(マンチェスター・ユナイ
テッド)だ。
この一年間の飛躍は目覚ましい。ロナルドがレアル・マドリードに去っ
た所属クラブで今季公式戦34ゴール(4月28日現在)。イングランド・
プロ選手協会最優秀選手にも選ばれた。代表でも欧州予選9試合9得点と、
チームをけん引した。
イングランドのカペッロ監督は「成熟し、ピッチ上でリーダーとなった」
と24歳を評価する。ストライカーの自覚が高まり、以前よりゴールに近
い領域でプレーする。かつては激しい気性が災いしたが、いまでは闘志に
転換できるようになった。
エバートンで16歳にしてプロデビュー。当時のリーグ最年尐記録とな
る初ゴールで、アーセナルの連続無敗記録を31で止め、一躍脚光を浴び
た。代表にも17歳で初選出。重量感のある体格だが、スピードもあって
動きは機敏。繊細な足元の技術も備え、高いレベルですべてをこなす天才
だ。
ドイツW杯は大会前の右足甲の骨折で開幕に間に合わず、ポルトガルと
の準々決勝では相手を踏みつけて一発退場となり、チームの敗退にもつな
がった。今大会を控えても、足首のけがなどが気がかりだが、「W杯には
問題ない。万全の準備で、優勝トロフィーを母国に持ち帰りたい」。成長
した姿を大舞台で示す。
平成22年5月12日(水曜日)聖教新聞より抜粋
2010FIFA WorldCup 南アフリカ大会
スペイン代表
シャビ スペイン
攻撃操るパスの名手
173センチの体は日本選手と変わらないが、ピッチでの存在感はまさ
に小さな巨人。優勝候補の攻撃サッカーを操るのがMFシャビ(バルセロ
ナ)だ。
やわらかな足元のタッチと広い視野を生かし、長短織り交ぜた正確無比
なパスを繰り出す。スペインが44年ぶりに制した2年前の欧州選手権決
勝では、鋭い縦パスでフェルナンドトレスの決勝点を引き出し、大会最優
秀選手に選ばれた。大会を通して254本のパスを放ち、成功率は実に8
9%に達した。
自ら「パスこそ自分の専門分野」と言う。その源流は11歳で入団した
カンテラと呼ばれるバルセロナの下部組織にある。「美しく勝つ」という
クラブの哲学を徹底的に身に染み込ませた。18歳でトップデビュー。そ
の後は、2度の欧州制覇、昨年のクラブ世界一などクラブで得られる栄誉
はすべて手にした。
昨年の世界最優秀選手メッシが輝くのも、同じチームにシャビがいるか
らとの声がもっぱらだ。メッシが戦術不足のアルゼンチン代表で苦闘して
いるのがそれを物語る。
「まわりに走ってくれる仲間がいるからパスは生
きるのさ」
。30歳は謙虚に話すが、初優勝を目指すスペインにとってこ
れほど頼もしい存在はない。
スペインはここにきて、フェルナンドトレスやともに中盤を担うバルセ
ロナでも同僚のイニエスタ、セスクと主力にけがが発生している。名手に
かかる期待は一層高まっている。
平成22年5月12日(水曜日)聖教新聞より抜粋