(京都大学大学院工学研究科教授・工学博士NPO法人道普請人理事長) まこと みちぶしんびと 開発途上国においては、道にぬかるみが広がり、自動車が走れないほどになっている状況があり ます。木村氏が代表をつとめる「NPO法人道普請人(みちぶしんびと)」では、アフリカなど 基調講演を行った木村教授 世界15カ国以上の途上国で活動を展開中。その活動とは、重機ではなく、現地で調達できる 材料だけで道路を改善するという「命題」を、“土のう袋”を利用することで解決していく、というものです。途上国に対 しての援助は、小学校建設や医療など様々な形で行われていますが、そもそも道路が使用出来なければ、病気の人を運ぶ救 急車も走れず、学校へ通うにも相当の時間を要します。世界中どこででも手に入れられる土のう袋を路盤にして、締め固め て損傷を防ぐという方法を現地の人々に指導することで、高度な技術が無くても生活改善が可能となったのです。 現代の日本社会においては、高速道路など道路網が発達し、ダムや河川などの治水整備がされ、その機能や利便性が、 あたりまえで空気のような存在となり、見えにくくなっています。木村氏の基調講演では、土木の原点についてあらためて 考える機会となりました。 ●コーディネーター ●パネリスト 新井 清一氏(京都精華大学 デザイン学部建築学科教授) 山下 尚治氏(京都府建設業協会広報委員長) 河上 大志郎氏(マンガ「雨のち晴れ」著者 京都精華大学マンガ学部卒業生) 竹宮 惠子氏(京都精華大学 マンガ学部教授) 大黒 澄人氏(京都府建設交通部指導検査課入札制度・建設業担当課長) 京都精華大竹宮教授 京都精華大新井教授 強力な発信力を持つマンガを使って、建設業のイメージアップができるのでは ないか?行政、教育者、マンガ制作者、建設業協会のそれぞれの担当者が 登壇し、“マンガ広報冊子「雨のち晴れ」”の作成経緯をめぐって、土木業界 の現状が語りあわれました。京都府建設業協会広報委員会では土木業界を アピールする方法として、マンガミュージアムの紹介で精華大学に依頼し、 学生にマンガとして描いてもらう事が実現したということでした。マンガ制作者の 河上氏は、広報委員会の“あらすじ”をもとに、単なる業界の美談ではなく、 読者が手にとって、先ずは興味を持ってもらえる様な内容にした、と作品を 著者の河上氏 山下広報委員長 京都府の大黒担当課長 仕上げた経過を述べました。 京都府建設交通部からは、災害が起こった時に真っ先に協力を依頼するのは、建設業の皆さんの災害対応であり、建設業界の人手不足 は深刻な問題だ、京都府でも人材の確保に苦慮しているとのことでした。マンガ家であり、教育者でもある京都精華大学教授の竹宮氏から は、“生活マンガ”というジャンルのマンガを描く事により、学生の技術の向上にも繋がる。教授陣であるプロの漫画家と肩を並べて話が出来 る技術を磨く良い機会とのお話しがありました。 ●コーディネーター ●パネリスト 建山 和由氏(立命館大学常務理事 理工学部環境システム工学科教授) 木村 亮氏(京都大学大学院工学研究科教授 NPO法人道普請人理事長) 宮脇 恵理氏(ミヤシステム株式会社 常務取締役) 神原 孝行氏(株式会社五星 取締役副社長) 立命館大建山教授 京都大学木村教授 高度経済成長期に一気に整備されたインフラは、時期を同じくして劣化するなど、 建設業界を取り巻く現状がコーディネーターの建山氏から報告されました。建設業の イメージについてマスコミ報道のありかたについて発言がありました。災害現場での 救助活動についての報道は、警察、消防、自衛隊と展開される救助シーンが大きく 報道されるのに、その前に、建設業者が塞がれた道を重機で通行出来るように土砂や 瓦礫を撤去している。救助作業に向かう為には、建設業者の働きがあってこそ前に 進めるということを取り上げて社会の人々に伝えてほしいとの発言がありました。 木村氏からは、急速に進行するインフラ構造物の劣化に関して、大胆な視点が必要と 五星の神原副社長 ミヤシステム宮脇常務 したうえで、「自分も含めて50歳を超えた人間の考える事では全くダメ」との提言が ありました。また、「同じ時期に購入した家電製品は同じ時期につぶれる。 社会基盤も同じ。修理するか買い換えるのかの判断が必要。」と語られました。 さらに、会場の参加者からも、技術者の資格や、工期についての問題、休暇が確保できないことによる建設業離れの現状に ついて発言がありました。建設業に対する社会の理解を得られるような報道やアピールが必要であり、また、限界を迎える 高度成長期の建設物に対する発想を根本的に見直すべきなど、数々の提言がありました。 フォーラム後、17:30~19:00まで、立食形式の”ご縁をつなぐ”情報交換会を開催いたしました。 京都サンダー株式会社にて毎月発行しておりま す、お役立ち情報誌「カワラバン50号」より、 〖建設未来京都フォーラム2014〗の開催 報告を掲載いたします。 「建設未来京都フォーラム2014」開催のご報告 10月10日、京都市立国際交流会館で開催いたしました「シンポジウ ム建設未来京都フォーラム2014」は、建設業の皆さまはじめ研究 者、行政、土木・建築を学ぶ学生など約100名のご来場をお迎え し、盛況のうちに無事終了いたしました。心より御礼申し上げます。 発 行 記 念 50 号 フォーラム記念事業「子供たちの作文」ほか ★建設業をテーマにした子どもたちの作文集 これからも建設未来京都フォーラム事務局では、建設業の皆さまか らのお声に耳を澄ませ、建設業の未来づくりのお手伝いをさせていた だく所存でございます。どうぞ今後とも引き続き、ご指導、ご鞭撻を 賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。 建設未来京都フォーラム事務局 ★建設業で働く女性が語る建設業の未来 聞き書き 建設業の家族としてのふれあいなどをテ ーマにした作文を中学生、高校生を対 象に募集、また建設業で働く女性、経営 者夫人が語る建設業の未来を聞き書き させていただきました。 子どもたちの素直な思いが綴られた作文は、1つ1つが心に沁みるよ うでした。また、女性インタビューではご多忙ななか、ヒアリング させて頂き、貴重なご意見を頂戴いたしました。しなやかで美しく 建設業をささえる女性の声は、これからの建設業へのおおいなる 示唆となるものと思われます。 皆さまのご協力を得て、建設未来京都フォーラムは、小さな一歩を スタートいたしました。 ◇建設未来京都フォーラム事務局ホームページ http://www.kensetsumirai.jp/ ★皆様の建設業を良くしていきたいという気持ちが伝わり建設業に従事す る者にとってとても励みになりました。【O様】 ◆日刊建設工業新聞 「人材確保・ 維持管理テーマに」 ◆日刊建設タイムズ「将来担う人材を育成へ」 ◆「鴨川真発見記(号外)」に紹介されました 「鴨川真発見記 番外編」建設業界は今(号外)として、フォーラムの 様子が紹介されました。 参考URL:http://www.pref.kyoto.jp/kyotodoboku/12341249.html 京都土木事務所のHP<“鴨川 真発見記“冊子版>とバックナン バーの紹介も、当日展示されまし た。 ★とても活気のあるシンポジウムでした。実際に海外で活動されている木村 先生の発言は大いに参考になりました。大規模災害リスクの高まっている 今日、地域の建設業の重要性は、ますます大きくなっています。地域での 建設業やコンサルタントが自ら道路を啓開し、まずは被災地域内で助け合 い救急救命活動を行うことが必要です。今後ともこうしたシンポジウムなどを 通じて、建設業の果たす役割を社会の人々に知っていただくことが重要だと 思います。地道な努力が必要だと思います。 【H様】 ★作文集,いいですね。 女性経営者,奥さんと子供さんなど多くの多様な 力が支えていることを実感できます。10年もすると子供さんも社会人です。 何か人・物・資金・技術・情報の経営資源の活用→3R(使い切る,再利用, 循環利用)に 出口の一つがありそうに思っております。次回も,を楽しみにし ております。【O様】 ★木村先生のアグレッシブで面白い基調講演と新井先生を始め精華大学 のもの(漫画・建築)づくりは土木に相通じる貴重なお話、また建山先生の 巧みな裁きと会場の熱い思い、聞きごたえがありました。 「雨のち晴れ」は会場で初めて読ませてもらって、感動しました。 普通の人 の視線で書かれていて、いいと思います。電子で配信して、中学高校生の 進学のヒントになればよいと思います。【O様】 皆さまからの貴重なご意見、ご感想を参考に、今後とも企画 をしてまいります。まことにありがとうございました。
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