ESG通信 ENVIRONMENTAL SOCIAL CORPORATE GOVERNANCE REPORT INDEX ESGとは先進企業の統合レポート事例 Danone ESG TOPICS ◆公認会計士協会、IIRC文書の仮訳を公表 ◆東京証券取引所がESGテーマ銘柄を公表 ◆日本企業の統合レポートへの移行が目立つ ◆女性の取締役起用で株式パフォーマンスの向上も問い合わせ先ディスクロージャー研究二部 ESG担当 03-3971-3106 05 01 vol. 8 2012年 4月発行 2012 ESG REPORT ◦ESGとはリーマンショックを契機に、より長期的に企業価値評価を行うトレンドが現れ始めました。企業の将来価値を測るためには、過去情報である財務情報の他に非財務情報も重要になってきます。現在、非財務情報の中でもESG情報が注目を集めています。［ESG主要テーマ］ environmental social E 環境 governance S 社会 G ガバナンス気候変動が企業に与える影響児童労働役員報酬生態系の変化地域社会との関係ポイズンピルセイ・オン・ペイ環境リスクを抱える施設差別問題再生可能エネルギー生活賃金論争株主権資源の枯渇政治献金買収防衛策出典／CFA Institute “Environmental Social, and Governance Factors at Listed Companies - A manual for investors”より一部抜粋 ◦統合報告（Integrated Reporting）とは財務情報と非財務情報を統合して報告する「統合報告」が近年増加傾向にあります。「統合報告」の目的は、企業の戦略・ガバナンス・財務パフォーマンスと、企業が事業活動を行う社会・環境・経済的基盤の間の相関性を明らかにすることにあります。企業の開示コストを増大させるものではなく、ステークホルダー、特に投資家に対して、より効率的にコミュニケーションを図るためのツールです。［企業報告の進化］ 1960 1980 Financial Statements 2000 2020 Financial Statements Management Commentary Financial Statements Environmental Reporting Management Commentary Management Commentary Governance and Remuneration Sustainability Reporting Integrated Reporting Governance and Remuneration Sustainability Reporting Financial Statements Governance and Remuneration 出典／IIRC “TOWARDS INTEGRATED REPORTING” ［世界の統合レポート発行数］［国内の統合レポート発行数］ 400 35 350 30 300 25 250 20 200 15 150 10 100 5 50 0 0 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 出典／Corporate Register “2012 Global Winners& Reporting Trends” 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 出典／宝印刷調査 1 先進企業の統合レポート事例 Danone 投資家へのダノン（フランス） ESG に関する説明上場取引所： Euronext Paris, the Swiss Stock Exchange DANONE 11>Sustainability 120 カ国以上で事業を展開するグローバル食品企業。事業の地理的な拡大に成功し、売上の約半分は新興成長市場が占める。「より多くの人々に食を通じて健康をお届けすること」を使命として、ヨーグルトやミネラルウォーターなどの製品を世界的に製造・販売している。 Report >EDITORIAL：FRANCK RIBOUD（P4）サステナビリティレポートのトップインタビューで、何故 CSR に取り組んでいるかの回答  これまでと異なったアプロー URL（トップ）：チが開発できれば、他のエリ http://www.danone.com/ IR：アでもサステナブルな成長が http://finance.danone.com/ 見込める ESG（Sustainability）：  現在の期待、将来求められる http://www.danone.com/en/sustainable-development.html 事を把握することは重要で、 Corporate Governance： http://finance.danone.com/phoenix.zhtml?c=95168&p=irolgovHighlights Annual Report：ステークホルダーとの協調が必要になる  これらは自社の長期的なパフ http://danone11.danone.com/en/ ォーマンスに貢献するアニュアルレポート（統合レポート）タイトル：【重要性（マテリアリティ）】 DANONE 11 DANONE 11 > 6 Priorities that inspire Danone –Economic and social report- ダノンが「食べ物を通じて人々に健康をもたらす」という使命を果たすための 6 つのプライオリティ仕様： 56 頁 ※Annual Financial Report（304 頁）と  INNOVATE：thinking outside the box Sustainability Report（230 頁）を別途発行  EXPRESS a positive approach to food  CONNECT：From contact to conversation 仏語、英語版発行  PROTECT access to raw materials  ADAPT today’s models to build the Danone of 発行： 2012 年 5 月発行（12 月決算） tomorrow  GROW by reconciling business with social progress 2 【戦略】 Sales by : Region DANONE 11 >Interview Europe (%) Asia (%) トップインタビューの中で自己のパフォーマンスと Rest of the World (%) して、戦略の明確化に言及 Sales by：Business line  重点地域の設定とビジネスラインの明確化 Fresh Dairy Products (%)  重点地域：メキシコ、インドネシア、中国、ロシ Waters (%) Baby Nutrition (%) ア、アメリカ、ブラジル Medical Nutrition (%)  販売地域の多様性を持っていることが、利益の The group’s growth comes from 6 key countries 源泉となる（既に新興国での売上高が 51%を Underlying fully diluted EPS comes to 占めている） Consolidated trading operating income Capital expenditures came to  ビジネスライン：チルド乳製品、乳幼児向け食 Underlying net income, Group share 品、ウォーター、医療用栄養食 At the General Meeting on April 26, 2012  これらを支えるために、ステークホルダーとの Workforce by ：Region 関係性も重要 Rest of Europe  特に消費者、エコシステム、従業員に対しては Africa & Middle East Americas コミットメントがある France China Rest of Asia – Pacific Workforce by ：business line Fresh Dairy Products (%) Medical Nutrition (%) Baby Nutrition (%) Waters (%) Corporate functions (%) [主要業績評価指標（KPI）] Employees in 80 countries Reduction in carbon footprint (2008-2011) Reduction in energy consumed in sales (€) Reduction in water consumed Growth in 2011 (€) Rate of waste recycled Fresh Dairy Products (%) Energy use intensity for all plants combined Waters (%) Water use intensity for industrial process Baby Nutrition (%) Greenhouse gas emissions Medical Nutrition (%) Fresh Dairy Products sales (€) KEY INDICATORS は財務、非財務指標ともに最 Waters sales (€) 終ページにまとめて at a glance として記載 Baby Nutrition (€) Top 10 markets (%)  ビジネスラインごと、地域ごとの内訳が重点的 Free cash flow increased (€) に開示されている Trading operating margin (EBIT)  この他、at a glance にはプライオリティテーマ average annual growth group – wide, including changes in basis for comparison ごとの KPI も示している 3 ESG TOPICS 日本公認会計士協会、東京証券取引所が IIRC 文書の仮訳を公表 ESG テーマ銘柄を公表 IIRC（国際統合報告評議会）が公開し東京証券取引所は、「新たな投資家層ている、統合報告フレームワークに関の拡大」のアクションの一つとして、特するディスカッションペーパーへのコメ定のテーマや指標をベースにしたテーントの要旨をまとめた資料の仮訳版マ銘柄の公表を開始しました。第 1 回を、日本公認会計士協会が公表しましのテーマは「ESG」で、東証 17 業種をた。IIRC からはこのコメントを受け、フ大型株、中小型株に分けて、それぞれレームワークのドラフトアウトラインが ESG スコアの高い上位企業を抽出して英文で既に公開されています。います。選定銘柄 15 社の ESG に関する特徴的な取り組みも解説付きで紹介されています。 http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_fie ld/iirc_1.html http://www.tse.or.jp/news/31/12071 1_a.html 日本企業の女性の取締役起用で統合レポートへの移行が目立つ株式パフォーマンスの向上も 2012 年版のレポートの発行がピーククレディ・スイス・リサーチ・インスティチを迎える中、統合レポートの発行も多くュートのリポートによると、取締役に女見られます。今年から新たに発行して性を起用している企業はそうでない企いるのは、ソニー、KDDI、ファミリーマ業と比べて、株式リターンが大きい傾ート、大林組、安川電機、テイ・エステ向にあることが示唆されました。取締ックです。これまで CSR や AR で個別に役の多様性が求められている中で、性高い評価を受けてきた企業や、業界を別の多様性にまず対応する企業も多代表する大企業の統合レポートへの移いようです。EU では考慮すべき多様性行も目立ちます。として、他に国籍、スキル、出身大学なども言われています http://financegreenwatch.org/jp/?p= 14416 http://www.esgcf.com/archive/a_repo .html 4