インセイン SCP シナリオ 「歯痛クライシス」 このシナリオは、多くの

インセイン SCP シナリオ
「歯痛クライシス」
このシナリオは、多くのストレスや恐怖判定から、いかにして狂気の山札を残すか考える必要のあ
る構成になっています。また、いくつか特殊な運用を行うため、GM はその旨をよく理解し、PL に
説明しなければなりません。
●シナリオの舞台
某国生物収容サイト-66 内に設けられた特設歯科医療施設が舞台です。ほとんどは待合室の中
でだけの進行になりますので、シーン表はありません。
●プレイヤー人数
このシナリオのプレイヤー人数は3人です。
●リミット
このシナリオにリミットはありません。1サイクルが経過するとクライマックスフェイズの戦闘が発生し、
そのあと導入のシーンに戻されます。
●狂気
インセインから【依存】【血への渇望】【絶叫】【現実逃避】【闇からの祝福】【潔癖】、インセイン2から
【歪んだ心】【予知夢】【虚無感】、インセイン3から【良心の呵責】【忠誠心の腐敗】【連絡】を 1 枚づ
つ用意してください。また、2サイクル目に配る狂気カードとして、インセイン3の【神経質】を別に3
枚用意してください。
●プライズ
このシナリオにはプライズとして「インシデントレポート」があります。このプライズの内容を知った場
合も、取得したものとして扱います。
●恐怖の輪
PC たちは1週間ごとの定期健診、治療、記憶処理、通常生活、定期健診というサイクルを繰り返し
ています。PC たちはこのループを打ち破らなければなりません。その為の【脱出条件】として、PC
たちは財団の手から逃れている SCP-478 を残らず捕まえないといけません。
また、導入シーンで待合室を飛び回っている蛾も実は SCP-478 です。これに気が付かず対処しな
かった場合、シナリオ的に SCP-478 を根絶できなかったことになり、再びループすることになります。
●進捗点について
このシナリオにおいて、財団から受けられるサービスは【アイテムの支給】【職員の補充】のみです。
アイテムは D クラス職員が初期に所持できるもののみが支給されます。【隠し装備】などのアビリ
ティでそれ以外のアイテムを入手することは可能です。爆発終了用の首輪は装着していますが、
起爆装置を持つのは遠隔監視している財団職員ということになります。
シナリオがループした場合、進捗点はそのまま持ち越されます。前回調査したハンドアウトを再び
調査した場合も、新たに進捗点を得ることができます。
●レポート
このシナリオでは全員がレポートを閲覧することができます。ただし、財団のネットワークからは切り
離された、実験用の小規模なネットワークになります。これは問診表という形で支給されます。問診
表には、先に来ていた D クラス職員たちの書き込みが初期情報として記載されています。待合室
の天井に SCP-478 が舞っているという情報はこの書き込みと GM の描写だけです。必ず提示して
ください。
問診表:
D クラス職員 A - もうしにたい
D クラス職員 B - はがいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい
いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいた
D クラス職員 C - なんてきたねえ歯医者だ!ゴキブリは這ってるし蛾が飛び回ってやがる!俺たち
の立場はわきまえてはいるがさすがにこれは改善を要求するぜ!
●SCP-478
現在、サイト-66 では SCP-478 の収容違反が起こっています。数匹の SCP-478 が未収用のため、
該当区画ごと封鎖されています。SCP-478 は寝ているヒトの口内に潜り込んで寄生するため、何人
かの D クラス職員を封鎖区画内で生活させ、いわば”虫捕りトラップ”として運用しています。
SCP-478 に寄生された対象は、異常な歯の発生、または口内上蓋部の鼻腔をふさがれることによ
る呼吸障害と粘液過剰分泌の症状(風邪の初期症状に似ている)を呈するため、検診で容易に識
別することができます。財団の検診により SCP-478 に寄生されていると診断された D クラス職員は、
エリア-66 の特設治療施設で外科的な SCP-478 と異常な歯の摘出を行われます。財団の担当職
員の技術力により、対象が治療を受けさえすれば、寄生した SCP-478 は 100%収容されることにな
ります。また、初期の症状であれば治療により完治が可能です。そのため D クラス職員は記憶処
理ののち、そのまま再運用されます。
SCP-478 は蛾のような姿をしていますが、その実、不定の存在になります。その為、打撃や殺虫剤
は効果がないものとして扱います。物理的なものを通り抜けたりはできませんが、虫捕り網などで
捕獲したとしても、速やかに専用容器に収容しなければ、サイズを縮小して網目を通り抜けてしま
うかも知れません。もし寄生されている対象が死亡した場合、SCP-478 は対象の口腔から脱出し、
どこかに飛んでいこうとします。もし D クラス職員たちが死亡した場合、「歯科医師」の治療による
収容という手段は失われます。その場合、なんらかの代替手段が必要でしょう。
SCP-478 の異常な性質を目撃した場合は、<生物学>で恐怖判定を行います。
●エネミーデータ
「D クラス職員 B」は「殺人鬼」(インセイン p243)、「歯科医師」は「狂的科学者」(インセイン p244)
「歯科助手」は「顔を隠した女」(インセイン2 p192)を使用します。
●導入フェイズ
PC たちはサイト 66 にある特設歯科医療施設の待合室に通されます。室内は薄暗く、不衛生で、
壁をゴキブリが這い回り、天井の白熱灯の周りを小さな蛾が飛び回っています(この我は SCP-478
の一体です)。診察室からは、先に来ていた患者を治療しているのであろう甲高いドリルの音が響
いています。
待合室には、先に 3 人の D クラス職員が待機しています。「D クラス職員 A」「D クラス職員 B」「D
クラス職員 C」のハンドアウトを公開します。PC たちのキャラ紹介を行います。D クラス職員 A と B
はまともにしゃべれないので、C が仲立してコミュニケーションを行います。ここでキャラクター紹介
を行うと良いでしょう。
財団の保全職員が備品の支給にやってきます。大きな箱を重そうに運び、PC たちの目の前で転
んで、ノコギリ・ドリル・ノミ・金槌・メス・ハサミ・ツルハシ・ピッチフォークなど恐ろしげな道具の数々
を取りこぼします。診療室から血の飛び散った白衣を着たやせぎすの職員が出てきて、嬉しそうに
工具を受け取り戻っていきます。「歯科医師」のハンドアウトを公開します。診察室から患者の叫び
声と破砕音が聞こえてきます。<拷問>で恐怖判定を行います。
待合室に放送が入り、まだ受付を済ませていない者は速やかに済ませるように指示がなされます。
「歯科助手」のハンドアウトが公開されます。PC たちに携帯端末が渡され、画面には問診表が表
示されていす。そして、何でも気が付いたことを書き込むように指示されます。これが今回のレポー
トになることを説明しましょう。
●ゾーキング
このシナリオでゾーキングを行った場合、以下の情報が得られます。
・感染者から這い出てきたり天井を飛び回っている SCP-478 は、捕獲を試みることができます。た
だし、手や虫捕り網で捕らえただけではすぐに隙間から逃げられてしまいます。歯科医師や歯科
助手に事態を知らせればそのまま適切に収容することができます。
●メインフェイズ
・A 退場
1シーンのあとに挿入します。待合室に放送が響きます。D クラス職員 A が診察室に入るように指
示されます。しばしの静寂のあと、診察室からモーターのうなり音と掘削や破壊するような音、そし
て A の断末魔のような悲鳴が響き渡ります。そして A は戻ってきません。<機械>で恐怖判定し
ます。「D クラス職員 A」のハンドアウトが失われます。
・C 退場
2シーンのあとに挿入します。診察室から響き渡っていた破壊音と悲鳴がピタリと止まります。そし
て白衣に血の飛び散った歯科助手が D クラス職員 C に中に入るように指示します。顔面蒼白の C
はこれを拒否しますが、強制的に連行されていきます。そして再び破壊音と C の悲鳴が響き渡りま
す。次に呼ばれるのは PC たちかも知れません。<時間>で恐怖判定を行います。「D クラス職員
C」のハンドアウトが失われます。
・B 乱心
3シーンのあと、レポート送信のマスターシーンが終わったあとに挿入します。緊張に耐えかねて、
D クラス職員 B が突如暴れだします。その場にいる D クラス全員でクライマックス戦闘を開始しま
す。戦闘終了後、【恐怖の輪】の【脱出条件】を満たしていない場合、PC たちも順番に診察室に連
行され治療されます。PC たちの記憶は治療室に連れ込まれたところで途切れます。
・D クラスの反乱
「歯科医師」「歯科助手」が戦闘に巻き込まれた場合、クライマックス戦闘として扱います。戦闘終
了後、その場の D クラス職員は保安職員により終了されます。その後、導入のシーンに戻ります。
●ループ
2 週目の最初、PC たちは【神経質】の狂気カードを初期の狂気として受け取ります。3 週目の最初
に、PC たちは口内に無数の歯が生えてきます。<整理>で恐怖判定を行います。2週目以降、メ
インフェイズのマスターシーンにおいて恐怖判定は発生しないものとして扱います。
PC の抱えている狂気カードと山札、そして正気度はそのまま持ち越しになります。何度も記憶処
理をしていると、潜在的に心の闇が深くなっていきます。はやくループを抜け出さなければ、破滅
的な結末を迎えることになるでしょう。ただし、生命点は初期の値に戻ります。これは適切な処置を
受けて一定の期間が経過するためです。
PC たちは前回の記憶を失っているため、たとえプレイヤーが知っていることでも知らないものとし
て行動しなければなりません。もしメタ的な行動をとる場合は、「知らないはずのことを知っている」
ことになり、【現実懐疑】が発生します。この場合、怪異の分野からランダムの特技を指定して恐怖
判定を行います。
●エンディング
PC たちが SCP-478 をすべて収容した段階(たいていの場合は天井の蛾を捕まえた時点)で、シ
ナリオはクリアとなります。PC たちはまた別の SCP オブジェクトの実験に駆り出されることになるで
しょう。SCP-478 の収容に著しい貢献を果たせば、C クラス職員に昇格もできるかもしれません。
このシナリオデータは、以下を参考にしました。
http://www.scp-wiki.net/ 著作権:SCP Foundation
http://ja.scp-wiki.net/ 著作権:SCP Foundation-JP
SCP-478 – 歯の妖精 -執筆者:Dexanote
インセイン 3SCP -著者:齋藤高吉/冒険企画局 監修:河嶋陶一朗
http://www.shinkigensha.co.jp/book/978-4-7753-1410-4/
(敬称略)
このシナリオデータは
クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0
(CC-BY-SA3.0)
の下に公開されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/
※プレイする楽しみのため、このシナリオのリプレイを公開する行為はお控えください。
シナリオ作成:ゆっちー
https://twitter.com/you_ko_lal
Handout
PC1 Dクラス職員
名前
使命
ストレス。
あなたは歯が死ぬほど痛い。
サイトの定期健診で虫歯を指摘
されたあなたは、まったく気が進
まないが、この歯痛が続くよりは
と思い治療を受けることにした。
あなたの使命は歯を治すことで
ある。
Handout
秘密
なし
ショック
あなたはこの前も歯を抜いたような気
がして仕方ない。
しかし歯は全部生え揃っているし、そ
れどころか親知らずが6本生えている
。
もしかしたら、自分は同じ時間をルー
プしているのか?
あなたの本当の使命は、この既視感
を断ち切ることである。
Handout
PC2 Dクラス職員
名前
使命
ストレス。
あなたは最近、歯が痛くて仕方
がない。
冷たいものはしみるし、ご飯は
おいしく感じられない。
サイトの定期健診で指摘された
のを良いきっかけに、この機に
治してしまうことにした。
あなたの使命は歯を治すことで
ある。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
PC3 Dクラス職員
名前
使命
ストレス。
あなたは最近になって伸びてき
た親知らずが痛くて仕方ない。
サイトの定期健診によって、案
の定、治療を受けるように指示
されてしまった。
歯医者にいくくらいなら死んだほ
うがマシだと思っていたが、よく
考えたら下手に財団に逆らった
ら本当に死んでしまうので諦め
た。
あなたの使命は歯を治すことで
ある。
Handout
秘密
全員
ショック
あなたは定期健診を受けて歯
の治療を指示されたDクラス職
員が何人も戻ってこなかったこ
とを知っている。
表向きは転属や契約期間の終
了ということだが、どうせそんな
ことは無いだろう。
あなたの本当の使命は、歯医
者で行われている財団の目的
を知ることである。
Handout
秘密
なし
ショック
噂だが、SCP財団はSCPオブ
ジェクトという得体の知れないも
のの実験台にDクラス職員を利
用しているらしい。
あなたは用心のため、彼らが所
持していたアンプルをくすねて
いる。
あなたは【クラスB記憶処理】を
所持しており、セッション中に1
回だけ好きなタイミングで使用し
てよい。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
Dクラス職員A
名前
使命
ストレス。
落ち着き無くボリボリと体を掻い
ているDクラス職員。
脂汗をたらして小刻みに震えて
いるようにも見える。
ひたすら痛みをこらえているの
だろうか?
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
秘密
全員
ショック
組んだ腕の表皮が、まるでその
下に何かが蠢いているように動
いていた。
掻きむしり、破れた皮膚からの
ぞいていたのは白い歯のような
ものだった。
<埋葬>で恐怖判定を行う。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
そのため、現在は暫定的にオブジェクトクラス:Euclidに指定され、その詳細が調べられている最中である。
Handout
Dクラス職員B
名前
使命
ストレス。
フガフガとあえいで呼吸している
Dクラス職員。
相当、虫歯が進行しているのだ
ろう。
かなり辛そうでまともに会話もで
きない。
Handout
秘密
全員
ショック
ショック:全員
痛みを訴える彼の口内が目に
入る。
歯茎、内頬、そして舌・・・口内全
体から歯が生えている。
<人類学>で恐怖判定を行う。
Handout
Dクラス職員C
名前
使命
ストレス。
冴えない感じのDクラス職員。
歯が悪いと診断を受けたのでと
りあえず受診に来たらしい。
絶えず鼻をすすり、たんを吐い
ている。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
歯科医師
名前
使命
ストレス。
どこか狂気じみた笑みを浮かべ
るやせぎすの男性職員。
一体、治療室の中で何が行わ
れているのだろうか?
Handout
秘密
ショック
全員
患者は診察台に拘束され、口を
開けたまま固定され、胸部を切
開されていた。血に染まった工
具の数々よりも奇妙に目を引い
たのは、虫取り網を振りまわし
て狂乱する歯科医師の姿だった
。<混沌>で恐怖判定を行う。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
秘密
全員
ショック
青ばなをかんで口を開けた一瞬
、上口蓋に何かが潜んでいるよ
うに見えた。
次の瞬間には消えていたが・・・
。
<物陰>で恐怖判定を行う。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
Handout
歯科助手
名前
使命
ストレス。
まるで養豚場のブタを見るかの
ような冷たい目の医療用マスク
をした女性職員。
かわいそうだけど明日の朝には
お肉屋さんに並ぶ運命なのねっ
ていう感じがする。
助手が治療のサポートをしてい
る間にレポートを見れそうだ。
Handout
秘密
なし
ショック
この治療は財団によるいつもの
得体の知れない実験の一端ら
しい。
受付履歴には、PCたちの名前
が複数回に渡って記載されてい
たがそんな記憶はない。
あなたは「プライズ:インシデント
レポート」を手に入れ、ハンドア
ウトが公開される。
この秘密を自分から明らかに
することはできにゃい・・・
プライズ:インシデントレポート
このプライズを所持したものは、内容(秘密)を見ることができ
る。
このプライズはアイテムであり、情報でもある。
このハンドアウトは、調査判定の対象にできない。
プライズ:インシデントレポートの秘密
ショック:このレポートの内容を知ったPC
これを読んだものは<教養>で恐怖判定を行う。
別紙:インシデントレポートを参照。
SCP-478収容違反の概要
SCP-478は蝶か蛾のように見える実体です。不定のサイズ・構造
を持つため、無力化に対して打撃や薬剤は効果が薄いことが確認
されています。SCP-478は必ず感染者が死ぬ前に外科的な措置に
よって摘出され、専用の容器に収容されなければなりません。
現在、サイト-66内に?匹の実体が収容されていない状態で存在し
ています。SCP-478に繁殖活動は見られません。現在、継続して
Dクラス職員を利用した収容作戦を実行しており、効果を上げてい
ます。この運用は、最後の1体が収容されるまで継続されます。