◆第12回ITS世界会議 (12th World Congress on ITS)の概要 ◆愛知県ITS推進協議会のITS取り組み ◆愛・地球博でITS EXPOを開催 ◆産学連携特集:千葉商科大学 ◆幹事会報告 ※写真、図等の著作権はITS Japan及び寄稿者に存するので、利用されたい場合は必ず承諾をとるようにしてください。 ◆第12回ITS世界会議(12th World Congress on ITS)の概要 第12回ITS世界会議は11月6日から10日までの5日間にわたって米国サ ンフランシスコで開催されます。会議テーマに Enabling Choices in Transportation を掲げて、盛大に開催される予定です。みなさまの積極的 なご参加をお願いします。 ロゴマーク ◎会議名称:12th World Congress on ITS ◎開催期間:2005年11月6日(日)∼10日(木) ◎会場:モスコーニセンター(米国サンフランシスコ) ◎会議テーマ: Enabling Choices in Transportation この世界会議の主要な日程と、セッションと展示会 について、現在わかっている情報にもとづいてお知ら せします。(なお、内容は都合により今後変更となる可 能性もありますのでご留意下さい。) メイン会場のモスコーニセンター 主要な日程 11/6(日) AASHTO Day (全米 州高速道路管理者協会主催のイベント) 米州・欧州・アジア3地域の政府関係者とAASHTO幹部との非公式の意見交換会という位置付けで 開催されます。各地域10名ずつの招待者によって、モビリティ、安全、リアルタイム・トラフィック・マネジ メントなどのテーマについて議論されます。 11/7(月) Round Table (カリフォルニア州知事主催の円卓会議) 開会式に先立って、カリフォルニア州知事と世界から招待された産業界首脳の円卓会議が開催され ます。詳細は今後決定されます。 11/7(月) Opening Plenary Session (開会式・基調講演) 米国からの歓迎の言葉に始まって、各地域代表の挨拶と基調講演が予定されています。 11/7(月)- 11/10(木) Executive, Special, Scientific, Technical Sessions 16のテーマを掲げたエグゼクティブ・セッション、各地域より提案された38のテーマを掲げたスペシャ ル・セッションが4日間にわたって開催されます。 また、約660の論文をトピック別に分類して、約10のサイエンティフィック・セッションと約140のテクニカ ル・セッションが開催されます。トピック別の論文数では、旅客情報・交通管理があわせて3割を占めま すが、安全システムの論文も多く、欧州からは電子支払い・路車協調についての論文も目立ちます。 11/7(月)- 11/10(木) 展示会 会場内ホールでは展示会が開催され、ITSに関する最新技術が展示・紹介されます。世界から約90 の企業・団体が出展を表明しており、その地域別の内訳は米州51、欧州12、アジア27(日本17)です。 11/7(月)- 11/10(木) Innovative Mobility Showcase メイン会場から徒歩約20分の海沿いにある野球 場、SBCパーク周辺の特設会場では、「イノベーテ ィブ・モビリティ・ショーケース」と名づけられたITS技 術の大掛かりなデモンストレーションが開催されま す。路車間通信によるドライバーへの情報提供や、 アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、衝突 防止システム、車線逸脱警報システムなどの安全 技術のデモンストレーションが計画されています。 11/10(木) Closing Plenary Session (閉会式) Mobility Showcase 各地域の代表による、世界会議の総括が行なわれ Innovative イノベーティブ・モビリティ・ショーケース会場のSBCパーク ます。 11/7(月)- 11/11(金) Technical Tours (テクニカル・ツアー) サンフランシスコ市内および近郊ではいくつかのテクニカル・ツアーが催行されます。現時点では、ス マートカードシステムや交通管理センターなど8コースが計画されています。なお、これらのツアー料金 は会議登録費とは別料金となりますのでご留意下さい。 会議登録 会議登録は下記URLの登録ウェブサイトよりお願いします。また、会議登録費は下記の通りです。8 月31日までのお申込みですと早期割引が適用されますので、お早めのご登録をお願い申し上げま す。 会議登録費(11/7-11/10の4日間登録の場合) $800(8/31までの申込み)、$1200(9/1以降の申込み) 登録ウェブサイトは下記の通りです。 www.itsworldcongress.org (担当:国際部 花房) ◆産学連携特集 わが国から速度制御安全車と交通システムのプロトタイプを - ソフトカー・ミレニアム・プロジェクトが目指すもの 千葉商科大学政策情報学部・小栗研究室/ ソフトカー・ミレニアム・プロジェクト・チーム (文責 小栗幸夫 千葉商科大学教授,Ph.D. in City Planning) 愛・地球博会場のソフトQカーと筆者 (2005.4 提供:読売新聞社) ●ソフトカーとプロジェクトの展開(1982∼2005) ソフトカーは、これまで使われてきた車に、最 高速度の表示・制御装置、および、それらに最 高速度情報を提供する装置 (以上をソフトカー 装置と呼ぶ)を搭載し、環境にふさわしい速度 で走る車です。自動車のメリットを活かしなが ら、安全で快適な都市環境の形成をめざすプ ロジェクトです。 ソフトカーのコンセプトは、1982年、筑波研究 学園都市の交通環境キャンペーンで生まれま した。当時わが国に、住宅地などの車の速度 を抑制するボンネルフやコミュニティ道路という 都市計画手法が導入されましたが、車自体の 速度を制御すべきではないかと考えたので す。 ソフトカーの構成 2000年、辻村欽司教授(千葉工業大学・自動 車工学、当時)、環境デザイン代表・吉川泰生 氏(マーケティング、社会学)など、多領域の大 学研究者、企業人、コンサルタント、アーティス トなどでプロジェクト・チームを構成し、小渕内 閣のミレニアム・プロジェクトに応募・採択さ れ、ソフトカー装置開発などをはじめました。 3年間の文部科学省の助成期間後もプロジェ クトを継続し、2004年のITS世界会議名古屋大 会への参加を契機に、2005年、ソフトカー装置 を搭載した一人乗り電気自動車Qカー3台が 愛・地球博のパレードに参加。これと平行し て、ソフトカーで自治体や小学校などを訪ね る ソフトカーEXPOキャラバン をおこなってい ます。 プロジェクトの展開 ●ソフトカー装置の開発 (1) 最高速度表示装置 4段階の最高速度を設定し、外部とドライバーにLEDの色で表示。最高速度を越えるとライトが 点滅。(時速15km→レインボー、30km→青、60km→黄緑、100km→オレンジとなります。) (2) 最高速度制御装置 コンピュータ制御で、最高速度を超えた加速ができなくなる装置。ガソリン車1台に装着。 (3)最高速度情報装置 GPSとデジタルマップで表示装置と制御装置に最高速度情報を提供する装置。 最高速度表示装置 最高速度制御装置・テスト 最高速度情報装置 最高速度制御を中心としたソフトカーのメカニズム ●ソフトカー走行実験 (1) 速度表示装置の効果測定 国土交通大臣の認可を得、2001年12月∼2002年1月、および、2002年12月∼2003年3月の2期 にわたり、大学に隣接する地区で、速度表示装置をつけた約25台のモニター車が走行。速度表 示装置をつけると速度が大幅に抑制され、急加速・減速が減って走行が著しく安定する(5街路に おける被験者12名の走行記録を集計すると、速度の平均値は24.9%、分散は63.9%減少)という データが得られました。 ソフトカーモニター ドライブモニター ドライブ・モニター・データ (被験者=20歳・男性) (2) 最高速度制御装置・自動操作装置のテスト 2003年3月、日本自動車研究所のテストコースで、最高速度制御装置を自動操作装置で制御 するテスト走行をおこない、最高時速15km、30km、60kmの設定に対して時速15km、39km、69k mに制御されるなど、ほぼ想定どおりの結果を得ました。 ●一人乗り電気自動車Qカーにソフトカー装置搭載 2002年、将来の提携を視野に、タカラが開発した一人乗り電気自動車Qカーに速度表示装置を搭載 し、ソフトQカーを走らせはじめました。Qカーのデザインの可愛らしさや電気自動車の珍しさが、プロ ジェクトへの感心を大きく高めました。 ●広報と受容性の調査 ソフトカーは新しい考えであり、パンフレット、CG、ホームページ、ポスター、イベント、アンケート、展 示会、講演、論説などによる広報を心がけてきました。2001年7月にはITS Japan主催のITS Plaza でア イデア発表をおこない、その後、幕張メッセのカーエレクトロニクス展や横浜パシフィコでの組み込み 技術展などに参加しました。テレビ、新聞、雑誌などでの報道もあり、繰り返しおこなったアンケートで 回答者の約75∼100%がソフトカーの社会的意義を評価しています。 自由回答などでは、自動車やエレクトロニクス専門家の多くが、速度制御と関連する多様なITS技術 をあげ、ITS Japanや国の有力プロジェクトとすべきであるという意見がある一方で、実際にソフトカー に乗った人や交通行政担当者や専門家が、使用場所が限定されるのではと慎重な意見を述べるな ど、見方が分かれています。 ●国際連携による推進 (1) 環太平洋都市開発会議(PRCUD)での活動 2000年の東京・千葉大会でプロジェクト構想を発表、2001年のマラッカ大会で都心・歴史的街区 でデモンストレーション走行、2004年の南京大会でソフトカーを必要とする日本や中国の都市の現 状の報告をしました。ソフトカーの具体化につれ、米国やオーストラリアの都市開発の専門家の懐 疑的意見が減少して肯定論に転じ、中国やASEANの専門家の多くが交通安全の具体策として強 く支持していることに特色があります。 (2) 欧州・オーストラリアのISAチームとの連携、および、ITS世界会議への参加 ミレニアム・プロジェクト開始後、欧州諸国がISA (Intelligent Speed Adaptation:情報技術による 自動車速度調整)の実験を進めていることがわかり、2001年のスウェーデン・ルンド大学を訪問、 2002年の椙山女学園大学・谷口俊治教授(交通心理学)が組織したISAワークショップに参加な ど、交流を始めました。ITS世界会議は、ISAチームとの交流の絶好の場となり、2001年・シドニー 大会ではソフトカーの論文発表と合わせてISAセッションにフロアー参加、2002年・シカゴ大会では リーズ大学オリバー・カーステン教授が組織したISA特別セッションにパネラー参加、2004年・名古 屋大会では、筆者らが組織者となり、ヨーロッパ、オーストラリアのISA研究者・民間事業者・行政担 当者とともに速度制御の特別セッションを開催、 World Wide Platform for Safe Speed Initiatives を 立ち上げることを合意しました。また、ソフトカーの展示・試乗をおこないました。 ルンド大学ISAチームとシカゴ ITS世界会議・シカゴ ITS世界会議・名古屋 ●安全な自動車交通システム(SVS)研究会 2002年4月より、ソフトカー、ISAなど自動車側からの対応、コミュニティ道路など都市計画の側から の対応を技術的・事業的・制度的に検討する安全な交通システム(SVS)研究会を開始。太田勝敏教 授(前東京大学、現東洋大学)を座長に、関係省庁、自治体、民間企業、大学、メディア関係者などが 個人資格で参加し、自由な意見交換をおこなっています。 ●愛・地球博への参加 ITS世界会議・名古屋でのソフトカー展示にご協力いただいた日本EVクラブ愛知・井戸田幸子会長 の紹介で、博覧会協会からソフトQカーの万博パレード参加が要請されました。タカラグループからQ カー3台が提供され、ソフトカーの速度表示と制御装置を搭載しました。速度制御装置は慶応大学電 気自動車研究室(清水浩教授、大前学助教授)が開発し、博覧会場内では最高時速が2, 4 ,6kmに、 会場外では6, 15, 30kmに設定され最高時速は50km。万博パレードは、毎日、主会場のグローバルル ープでおこなわれています。 ●ソフトカーEXPOキャラバン 博覧会期間、全国の自治体、学校、商店街などを訪ねるキャラバンをおこなっています。2005年4月 末までに、博覧会場、瀬戸市、長久手町(以上、博覧会開催地)、瑞浪市、多治見市(岐阜県、筆者の 故郷)、市川市の小学校、幼稚園、和洋女子大学(千葉県)、豊島区の小学校(東京)などを訪問し、5 −7月は首都圏を、8−9月に全国を回り、博覧会場に至る予定です。キャラバンの注目度は高く、多く の報道がされましたが、これまでの最大の成果は、多くの人が速度制御に抵抗を感じず、このような 車が欲しかったなどの意見を述べたことです。 ●今後の展望 − 困難を越えて 「速度」は自動車の最大の魅力とみなされて きました。それゆえ、「速度」が事故の頻度と 深刻さを高める要因であっても、「速度」を選 好し、制御を拒否する人々が多数いるでしょ う。たとえソフトカーを利用する人が出てきて も、「非ソフトカー(=ハードカー)」との混在は 避けられず、ソフトカーは無力な存在になる、 という「懐疑論」が登場するのは当然です。 これまでのソフトカー・プロジェクトはこの「懐 疑論」を覆すだけの成果をあげていません。 実際、・アンケートは、暗黙のうちに「すべての 車がソフトカーになった状態」を被験者に想定 ↑ソフトQカーと子供たち(岐阜県瑞浪市) させてソフトカーの意義を質問しており、・少数 の車に装置を搭載し、少数の試乗者の主観 や走行記録をデータとして得るにとどまってい ます。ソフトカーと「ハードカー」が混在しなが ら、段階的に、交通環境が安全になっていく 方策と実証が必要です。 このために、私たちは「A. 市川市真間小学校通学路安全策」と「B. 段階的なソフトカー・ゾーンの形 成」とを進める準備をしています。「A」は、歩道のない幅員5mほどの道で、通学時間でも時速30-50km で自動車が走行し、子供たちの危険性は誰の眼にも自明です。すでに小学校、PTA、タクシー事業 者、市役所などと、速度抑制の道路サインの設置、タクシーへの速度表示搭載などを協議していま す。「B」は、低速制御したソフトカーのみの通行を認める短い商店街路や住宅地街路を「ソフトカー通 り」とし、その集合によって「ソフトカー・ゾーン」を形成していくという戦略です。 これらの方策はきわめて地道で膨大な作業を必要としますが、これらによって自動車速度の制御の 可能性と有効性を実証し、それを積み重ねていけば、北京オリンピックや上海万博で巨大な「ソフトカ ー・ゾーン」の提案が可能であり(実際、車の厳しい速度制御がおこなわれている愛・地球博会場は 「ソフトカー・ゾーン」といえます)、その先に、安全車を求める世界の巨大なマーケットがあります。ひる がえって考えれば、これまでのプロジェクトの成果は、制御装置を組み込んだ車で人々が速度制御を 体感できようになり、また、速度制御を受け入れる膨大な層がいるという事実の端緒を見つけた点に あるといえるでしょう。 これまでにも多くの企業、研究者、行政の方々の支援とアドバイスをもいただきました。変わらぬご 指導により 、わが国から、速度制御とITSの先進的安全技術を連動させた安全車と交通システムの プロトタイプをつくり、世界に情報発信していきたいと考えています。 (寄稿:千葉商科大学 小栗幸夫教授 [email protected] http://www.softcar.gr.jp http://www.cuc.ac.jp/~oguri http://blog.livedoor.jp/oguriyukio/) ◆愛知県ITS推進協議会のITS取り組み 1 愛知県におけるITS推進の背景と基本的方向 愛知県は、国土のほぼ中央部に位置し、古くから 広域交通の結節点として発達してきました。最近で は、2005年2月に国際線と国内線が一体となった中 部国際空港(セントレア)が開港し、3月には21世紀 最初の国際博覧会である愛・地球博(愛知万博)が 開幕いたしました。こうした大規模プロジェクトに伴 う交通基盤の整備を背景に、本県は、将来的にも 広域的な交流・物流の拠点としての発展が期待さ れています。 一方で、地域交通の輸送機関分担率で自動車が 80%を占めるなど、他の大都市圏と比較して自動 車交通が極めて大きな役割を果たしており、それに 伴う交通事故の多発、道路の渋滞などの交通問題 や、騒音・大気汚染などの環境問題といった課題も 上枠の画面をクリックすると動画情報が閲覧できます 映像時間は58秒です 抱えています。 本県では、こうした交通問題や環境問題を解決し、安全・快適で環境に優しい地域づくりを実現する 手段としてITSの推進に取り組んでいます。本県は、全国一の製造品出荷額等(2003年約35.5兆円) のうち輸送機器が約50%を占めており、自動車産業を中心に、世界でも有数の高い産業技術集積を 有していることから、ITSを推進するにふさわしい地域と言えます。 ITSの推進に当たっては、1999年7月に策定した「愛知県高度道路交通システム(ITS)推進構想」に 基づき、①ITSを活用した快適な地域づくり、②ITS実用化への先導的役割、③ITS産業の一大集積拠 点の形成を基本目標に、取組方向として、①大規模プロジュクトを契機としたITSの導入、②地域課題 に対応したITSの展開、③ITSの社会への普及・啓発を掲げています。 2 愛知県ITS推進協議会について (1) 設立の経緯及び構成 愛知県ITS推進協議会(以下「協議会」)は、本県におけるITSの普及・実用化を図るため、産・学・行 政が一体となって取り組む組織として、愛知県知事を会長に、1998年7月23日に設立されました。 2005年3月現在、輸送機械や情報通信を中心とした民間企業、国のITS関係4省庁の5地方機関、 地方自治体、学識経験者など約180の会員で構成されています。 (2) これまでの主な取り組み 協議会では、これまで主に次の5つの事業を中心に取組を行ってきました。 ① 普及啓発事業 シンポジウムやフォーラムの開催、パンフレットなどPR資料の作成、各種展示会への出展、親子 見学会の実施など ② 連絡調整事業 会報誌の発行、メールニュース、ホームページによる情報提供など ③ 調査研究事業 企画会議、アドバイザリー会議、研究会、会員セミナーの開催・運営 ④ 支援事業 地域ITSの実現支援、民間企業、市町村などへの支援・協力など ⑤ ITS世界会議参加・支援事業 とりわけ、2000年度には、中部国際空港や愛知万博におけるITSサービスの検討・提案を行い、総 合交通情報提供システムや車両運行管理システムなど、その中のいくつかが具体化されています。 また、2001年度には、ITSに関する県民1万人アンケートを実施し、利用者となる県民の認知度向上 やニーズの把握に努めました。このほか、本県が策定した「あいち新世紀自動車環境戦略」(2002年 10月)や「愛知の交通ビジョンとその実現に向けて」(2004年3月)に対してITSメニューを検討・提案し、 県の行政施策に対する支援・協力を行いました。最近では、中部国際空港の開港や愛知万博の開催 に伴い整備されるアクセス道路が、速やかに道路地図帳やカーナビなどのデジタル地図に反映され るよう、道路図面等の早期提供に向けて調整を行いました。 (3) ITS世界会議 愛知・名古屋2004に対する取り組み 2004年10月に本県で開催されたITS世界会議に対しては、世界会議の開催が、この地域のITS推進 の取組はもとより、愛知万博、中部国際空港などを国内外にPRする絶好の機会であるとの認識のも とに、開催地元として積極的に取り組みました。 開催主体である日本組織委員会に参加して運営に協力したほか、協議会の中にITS世界会議グル ープを設置して、世界会議への出展や地元盛り上げの取組について検討・実施いたしました。また、 移動に関する様々な情報を県民や来訪者がわかりやすい形で入手できる「交通関連情報総合提供 システム(スキップあいち)」を本県が世界会議に合わせて構築するに当たって、協議会が移動情報 を有する関係機関との調整役を果たしました ①ITS世界会議への出展 協議会では、10月19日から24日の期間中、展 示会場である名古屋国際展示場(ポートメッセな ごや)の第1展示館において、県、名古屋市、豊 田市、財団法人2005年日本国際博覧会協会、 中部国際空港株式会社と共同で出展し、ステー ジや100インチ画面などを使って、ITSの取組や この地域の魅力を紹介しました。展示ブース は、土曜日・日曜日を中心に大勢の来場者で賑 わい、ITS世界会議の盛り上げに貢献すること ができました。 ITS世界会議の共同展示ブース ②地元盛り上げの取組 愛知万博のプレイベントでもあるITS世界会議 を地元として大いに盛り上げて成功させるため、 関係機関や経済界が連携・協力しつつ、様々な 取組を実施しており、協議会としても、こうした取 組に積極的に参加・協力いたしました。 とりわけ、世界会議前日である10月17日の夕 刻に開催された「徳川園ガーデンパーティー」で は、本県を訪れる海外のITS関係者やITS推進 に携わる国内企業・団体の代表約250人をお招 きしておもてなしするとともに、この地域のPRに 努めました。 徳川園ガーデンパーティー また、世界会議を含むITS週間(10月9日∼24 日)には、名古屋市・栄の「オアシス21」におい て、関係機関と共同で、「ITSフェスティバル 2004」を開催しました。 このITSフェスティバルに は、61万5千人もの大勢の方に来ていただき、 ITS世界会議の盛り上げに大きな役割を果たし ました。 ※協議会の概要や取組については、ホームペ ージ (http://www.pref.aichi.jp/joho/ITS/jp//index.html) をご覧ください。 ITSフェスティバル2004 ③交通関連情報総合提供システムの実証実験 本県では、人やモノの円滑で快適な移動を支 援するため、「移動目的」「移動手段」「移動経 路」といった様々な情報を、わかりやすく一元的 に提供する「交通関連情報総合提供システム (スキップあいち)」の構築を進めています。これ は、XML(eXtensible Markup Language)を活用し たWebサービスにより、情報を保有する機関が 連携して、高度な内容の情報を効率的に提供し ようとするもので、ITS世界会議の展示会場と ITSフェスティバルの会場で実証実験を実施しま した。(愛知万博でも実証実験中。 http://www.skip.pref.aichi.jp) 協議会では、システムの構築に当たって、中 部地方整備局や名古屋市、日本気象協会など 関係機関の連携に係る調整を行うとともに、実 証実験への協力を行いました。 交通関連情報総合提供システムのイメージ図 (4) これからの取り組みについて 昨年のITS世界会議は、「e-Japan重点計画2004」において、愛知万博などとともに、「官民を挙げて 世界最先端のITSを提示・実現する」場と位置付けられ、関係機関や民間企業などにより、県内各地 で先進的なITSの実証実験や実用化に向けた取組が集中的に行われました。わが国のITS推進に大 きなインパクトを与える世界会議が本県で開催されたことは大変有難いことであり、世界会議での集 積がこの地域のITSの導入促進の大きなはずみとなり、地域の原動力になると確信しています。 わが国のITSは、セカンドステージと言われる普及・実用の新しい段階を迎えており、今後は、個別 のサービスにとどまることなく、より広いサービスとして生活に浸透し、高度な交通社会を支える基盤 となることが期待されています。こうした中で、本県には、ITS世界会議を開催した地元として、世界会 議を一過性のイベントに終わらせないよう、地域にITSを根ざすための取組が求められています。 現在、協議会では、課題・テーマに応じて、①総合交通ITSグループ、②地域ITSグループ、③ITS広 報グループ を設置して、ITS世界会議の成果を生かしつつ、県民に対する一層の普及啓発や、市町 村をはじめ地域へのITS導入に向けた支援などを重点的に行っています。 とりわけ、地域へのITSの展開では、昨年2月から県内の市町村を対象に地区別懇談会を開催し、 地域づくりの手段としてのITSをPRするとともに、市町村における課題やニーズの把握に努めていま す。 このような協議会を中心とする本県のITS推進の取組が、「全国自治体・善政競争・平成の関ヶ原合 戦」第2回功名賞(日本経済団体連合会賞)を受賞しました。これも、ひとえに協議会会員の取組の賜 物と感謝しており、今回の受賞を新たなスタートとして、今後とも具体的な取組を着実かつ継続的に 行っていきたいと考えています。 2005年については、愛知万博と連携してITS の普及や実用化を促進するため、7月11日から18日の コアウィークを中心に様々なイベントを行う「ITS EXPO」をITS Japanをはじめ関係機関と連携・協力し て開催するとともに、協議会の事業として、11月18日から20日に、ITS世界会議の理念を継承した 「ITSあいち会議2005(仮称)」を名古屋モーターショーと協力して開催することにしています。世界最先 端のITSが活用されている愛知万博はもちろん、これらのイベントにも全国から多くの方々にご参加い ただきますようお願いします。 協議会では、国の関係機関や市町村、ITS Japan、全国のITS推進組織、NPOなどと連携・協力して ITSの推進に取り組んでいきますので、今後とも、ご支援・ご協力をお願いします。 (寄稿:愛知県ITS推進協議会事務局(愛知県企画振興部情報企画課)竹澤主査) ◆愛・地球博でITS EXPOを開催 ITS Japanは、現在開催中の「2005年日本国際博覧会」(愛称:愛・地球博 以下、愛知万博と略)の 会場内外において、昨年10月のITS世界会議で紹介されたITSショーケースをさらに一歩進めた最先 端のITSを視察・体験できる場を提供するとともに、ITSに関するセミナーやシンポジウム、展示会等を 行なうITSイベント「ITS EXPO」を開催します。また、同時期に開催される会場外のITS関連イベントと も連携を図り、我が国ITSの先進性を、愛知万博を舞台に各地にPRする予定です。 ITS(Intelligent Transport Systems)は、環境に優しく、安全で便利な次世代の交通社会の実現を目 指すもので、このITS EXPOは、国内外から多くの人々が集まる愛知万博の場で、ITSを広く一般の 方々に知っていただきITSの普及を促進するとともに、愛知万博の成功にも寄与することを目的に、産 官学民連携のもと、ITS Japanが中心となって開催するものです。 ITS EXPOでは、具体的にはPR期間を、通期(愛知万博開催期間)、ITS月間(7月)、コアウィーク(7 月11日∼18日)に分け、それぞれの期間にイベントを開催します。 例えば、通期やITS月間では各地の大学におけるITS EXPOセミナーや会場内外での訪問型ITS視 察・体験(特定の日時に来場しITSを視察・体験)、コアウィークでは名古屋大学でのITS EXPOシンポ ジウム(7月11日)を皮切りに、ツアー型ITS視察・体験(ツアーバスにより複数のITSを視察・体験)や 会場内にあるロータリーホールにおいてITSの展示や紹介イベントを、東京都内や名古屋市内で開催 されるITS関連イベント(・7/13∼15 東京ビッグサイトのワイヤレスジャパン ・7/12∼14 名古屋 市のオアシス21でのITSフエステイバル)と連携して行う予定です。 今回の企画を検討するにあたり、ITS Japanは、産官学民の連携のもと、「ITS EXPO連絡会」(委員 長:森川高行・名古屋大学教授)を2月10日に発足させました。今後、引き続き同連絡会で、ITS EXPO の具体化を進めて参ります。 愛知万博の期間中、各実施主体において運用または実験が予定されている主なショーケースは下 記の通りです。この中からITS EXPOで視察・体験していただけるものを今後検討していきます。 ショーケース名称 主要実施主体 概要 1 リアルタイム信号制御 警察庁 最新の信号制御手法であるリアルタイム信号制御を適用することに より、愛知万博周辺の交通流の円滑化を図ります。 2 公共車両優先システム (PTPS) 警察庁 観客輸送バスへの優先信号制御を行うことにより交通流の円滑化 を図ります。 3 ITSスマートモール 総務省 名古屋市中心市街地商店街をモデル地域として、携帯電話、 DSRC、無線LANなどを活用した歩行者向けのITS(情報提供等)に 関する実験を行います。 4 障害者等ITバリアフリープロ 経済産業省 ジェクト 障害者等の安全で円滑な移動を支援する情報通信機器・システム の実験を行います。 5 DSRC(狭域通信)技術の応 用例 DSRC(狭域通信)を応用した、一般のICクレジットカードによる自動 決済システムや入出門管理システムの実験を行います。 6 ETC通信技術を利用したマ ルチサービス 国土交通省 スマートインターチェンジ、DSRCによる情報提供サービス及びDS RC駐車場入出場管理のデモ実験を行います。 7 i-モビリティーセンター 交通結節点において各種移動手段に関する情報を一元的に提供し ている施設です。 8 歩行者ITS 現在、インターネットにて提供中の「名古屋歩行者ナビゲーションシ ステム」にて、身体状況に応じた経路検索が可能です。 9 自律移動支援プロジェクト ユビキタスコンピュータ技術を駆使し、多言語による会場案内及び 障害者等への目的地案内の実証実験を実施します。 10 バス総合情報システム 「バス総合情報標準データフォーマット(案)」に準拠したバスロケー ションシステムの例や、実施した実証実験の内容の紹介を行いま す。 11 スマートプレート関連システ ム 電子ナンバープレートを装着したシャトルバスによる個車識別シス テムのデモンストレーションを行います。 12 交通関連情報総合提供シス 愛知県 テム(SKiP.aichi) 愛知県 移動の「目的」「手段」「経路」などの情報を最新のインター ネット技術を使って収集し、わかりやすく提供するシステムの実証実 験を行います。 13 最適経路選択支援システム 名古屋市 (ユリなび) 市バスの接近情報サービスに使われている市バス位置情報を利用 し、リアルタイムな乗り換え経路を案内する実験を行います。 14 みちナビとよた(ITS情報セン 豊田市 ター及び総合情報提供シス テム) 豊田地域ITSの拠点「みちナビとよた」において、道路交通情報、公 共交通情報、観光・イベント情報、バリアフリー情報等の情報サービ スを行います。 15 エコカー等共同利用 電気自動車等のエコカーを市民が共同で利用するシステムを運用 します。 16 バス運行管理高度化システ ム 高齢者にも分かりやすく、使いやすいバスロケーションシステムを運 用します。 17 P-DRGS P‐DRGSコンソーシ 車からの情報(プローブ情報)を最大限活用して交通状況を把握し、 公共交通機関も含めた動的な最適経路案内の実験を行います。 アム 18 交通エコポイント /エコマネー NPOエコデザイン市 公共交通機関の利用等、環境に優しい移動に与えられる交通コポ 民社会フォーラム・ イントと万博会場内で使われるエコマネーとの連携を目指した実験 を行います。 名古屋大学・他 19 インターネットITS インターネットITS協 街と人と車とをインターネットで結んだ「インターネットITS通り」の実 議会 証実験や車が発信する情報で実現される「プローブ安全運転支援 (ヒヤリハット)」の展示を行います。 20 DSRC駐車場の運用(ETCの 豊田まちづくり(株) ETCの多目的活用の一環として、DSRC技術を活用した駐車場の運 多目的活用) 用を行います。 21 愛・地球博ITS 博覧会協会 駐車場案内システムやバスロケーションシステムの実施と、それら の情報を統合するITSセンターにより、サポートナビなどの情報提供 を実施します。 なお、これらの内容を4月27日にマスコミ発表しました。 (担当:広報・会員サービス部 下之薗) ◆幹事会報告 4月度幹事会 ■開催日時:4月20日(水)10:00∼12:00 ■場 所:西新橋立川ビル ITS Japan会議室 ■出席会社・団体:理事会社18社、理事団体5団体 1.平成16年度収支決算(見込み)および17年度収支予算(案)について ITS Japan田中事務局次長から、平成16年度ITS Japan収支決算(見込み)およびITS Japan17年度収 支予算(案)について、概括的内容が報告されました。 2.NPO法人化の進捗状況と今後の進め方について 法人設立準備室から下記内容の報告がありました。 1)NPO法人化の進捗状況 準備検討事項 ① 新法人の意思決定の仕組みの具体化検討 ・ 総会、理事会、常任理事会、常勤理事会及び3つの常設委員会(総務委員会、企画検討委員 会、国際委員会)の位置付け ・ 既存の常設委員会の再構築等 ② 現ITS Japanの新法人への円滑な移行 ・ 現会員の新法人への移行、解散と設立の併行手配等 ③ 新法人化のための総務上の諸準備 ・ パンフレット、OAシステム等 2)今後の進め方 ・ 担当理事会(4/18) ・ 第4回法人設立準備会(4/21) ・ 第5回法人設立準備会(5月中旬) ・ 法人認証予定(遅くとも5/27) ・ 法人設立登記(認証後、2週間以内) ・ 理事会・総会(6/15) ・ NPO法人ITS Japan活動開始(7/1∼) 3. ITS Japanオフイス移転計画について 事務局から、ITS Japanオフイス移転検討報告が下記の通りありました。 ①ITS Japan移転先候補として、2つに絞った上で総合的見地から日本女子会館3階を選定した。 ②今後、所定の手順を経て、8月以降に事務所を移転する。 4.個人情報保護法への対応について 4月1日から全面施行された個人情報保護法への対応について、事務局から下記の報告がありまし た。 ①基本方針 ITS Japanは、個人情報保護法の重要性を認識し,その保護の徹底を図るため、個人情報に関する 法令などを遵守するとともにプライバシーポリシーを公開して、これに従います。 ②管理体制 管理責任者を事務局長とし、具体的な推進責任は各組織責任者が当たることにし、全体の取りまと めは総務部長が行なう。 ③具体的な進め方 事務局員に対する個人情報保護法遵守の徹底を図と共に、プライバシーポリシーを策定して、どの ような姿勢で取り組もうとしているのかをITS Japanのホームページに掲載する。 5.世界会議ショーケース実用化促進プロジェクトの推進について ITS実用化促進プロジェクト担当の小出常務から、世界会議ショーケース実用化促進プロジェクトの推 進について、下記の報告がありました。 ①愛・地球博との連携とその経緯 ②プロジェクトの構成と推進方法 3つのプロジェクト(・ショーケース実用化方策検討 ・万博でのITS活用イベント=ITS EXPOに関す る企画・調整 ・地域との情報交換)からなり、個別に組織を立ち上げて推進中。プロジェクト終了は 12月末を予定。 ③プロジェクトの進捗状況 ④当面の課題 6.「日中交流会(仮称)」の開催計画 事務局から、『ITS世界会議 愛知・名古屋2004の成果とノウハウの中国関係者への引継ぎを目的とす る「日中交流会(仮称)」について、下記の報告がありました。 ① 最近の中国情勢を考慮し、日本のITS関係4省庁の5人(1参事官、4室長)が参加する予定だっ た5月20日の「日中交流会(仮称)」は延期する。 ② 5月20日は、ITS Japanとして事務局レベルの交流を行なう。 7.中国VICS構築支援研究会について 事務局から、中国へのVICS導入推進検討の取り組み経緯と今後の活動予定について報告がありま した。 8.ITS世界会議サンフランシスコの準備状況 事務局から、『ITS世界会議2005年サンフランシスコ大会』の会議前日の特別会議、開会式及び閉会 式の概要について、下記の報告がありました。 ① AASHTO DAY(全米 州高速道路管理者協会主催のイベント) ・ 期 日:11/6(日)11:00∼17:00 ・ テーマ:モビリテイ、安全,リアルタイムトランスポテーションマネージメントなど ・ 出席者:各極10名ずつの招待者(ITS組織が推薦)のみ ② 開会式(11/7、9:00から2時間程度) ・ 歓迎の辞:主催国(数名) ・ 各地域代表挨拶2名/地域 ・ Plenary Keynote2名/地域 ③ 閉会式(11/10 3:30∼4:30) ・ 1名/地域 ④ 論文審査状況 ・ 投稿総数778件(うち、AP地域273件) ・ AP地域採用247件(サイエンテイフイック論文+テクニカル論文) ・ 今年もインタラクテイブセッションを開催する予定 9.「ITS議員連盟総会3/23」の概要報告 寺島専務から、3/23に行なわれたITS議員連盟総会の概要報告が下記のとおりありました。 ①4省庁5局長からITSの取り組みについて報告 ②ITS Japanから愛知万博及びITS世界会議について報告 以上 編集後記 ・ 前回のITS Japan NEWS4月号から従来の2段組み を1段組みに変え見やすくするとともに、さらに、写真 に加え動画を一部採用して情報の充実を図りまし た。 ・ 前号からスタートした「地域ITS推進組織の取り組 み」は、今号は「愛知県ITS推進協議会のITS取り組 み」です。 大学研究現場の取り組み、ITS関係団体の取り組み とあわせ情報の充実に努めてまいりますので、ご支 援ください。(T. S) 今月の花(つつじ) 編集・発行 ITS Japan 〒105-0003 東京都港区西新橋 2-11-4 西新橋立川ビル 6 階 TEL:03-3519-2181 FAX:03-3592-0091 ホームページhttp://www.its-jp.org/
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