9月例会意見交換会議事録 - IR誘致について考える 地域政策委員会ページ

2014年9月25日開催
一般社団法人苫小牧青年会議所
地域政策委員会担当
9月第一例会
【意見交換会議事録】
議事録作成人:地域政策委員会
佐々木
真史
第2部プレゼン終了
鏡
山縣委員ありがとうございました。では、早速ですが意見交換会の方に進めて行きたいと思います。
9つのパネルがでました。この9つのキーワードの中から苫小牧青年会議所のメンバーにここを聞い
てみたいというキーワードを選んで頂き進めて行きたいと思います。では、福士さんに聞いてみたい
と思います。
福士
ありがとうございます。アカデミー塾生 福士 雄三です。IRによる苫小牧への経済効果について
お願いします。
鏡
福士さん、具体的にどのような点が気になりますか。
福士
IRによる苫小牧への経済効果については大体想像できますが、大企業が参入してきた場合など、苫
小牧の現行産業に与える影響や経済効果について興味があります。
鏡
はい、ありがとうございました。まずは篠原先生お願いします。
篠原
経済効果のご質問について話します。私が本日お持ちしたレジュメの6番にあります。IRを誰がつ
くるのか、どこの産業がカジノを作り運営するのか、それによります。公設民営なのか、苫小牧市が
土地を無償提供、財政支援して建物を作るのか否か。それも含めてこれから市民がよく考えて進めて
いかなくてはなりませんが、日本にカジノ、IRのノウハウを知っている企業はありません。どこが
来るのか。これはアメリカのカジノ産業がやって来ます。そしてそれはTPPなんです。TPPとこ
のIRを進めようとしている議員連盟、それが繋がっていたという事ですね。はっきり申し上げて経
済効果は苫小牧にマイナスになります。苫小牧の地域経済、地場産業これにはマイナスです。なぜ私
が今日このとまチョップを持ってきたのか、このTシャツを着てきたのか。それが一つの答えとなり
ます。はっきり申し上げます。IR、カジノができたら間違いなく苫小牧への経済効果はマイナスで
す。気運はマイナスに減じ、日本の新聞パルプのかなりのシェアを誇っている製紙工場の生産も落ち
るでしょう。何よりも一番恐れているのは苫小牧の観光のイメージが大きなダメージを受けることで
す。それでもIRを作るのでしょうか。カジノを作るのでしょうか。みなさん経済効果という経済用
語の厳密な定義を考えてみて下さい。お金の動きにしかすぎません。左から右に動いていく中に地域
に効果をもたらすお金はそこには含まれていません。どこが大きく奪っていくのか。それはアメリカ
の産業です。私が今日レジュメのタイトルにあげた、「人の不幸の上に成立し国民を食いものにする
カジノ」。これがまさに経済効果のマイナス面です。はっきり申し上げます。IR、カジノは苫小牧、
市民にとっての経済効果はマイナスでしかありません。なお、他のキーワードについてはまたお話し
たいと思います。経済効果について申し上げました。以上です。
鏡
ありがとうございます。苫小牧市民に対しては経済効果としてはマイナスであると篠原先生よりご意
見頂きましたが、苫小牧商工会議所 渡辺様、経済効果についてご意見頂けますか。
渡辺
はい、今、篠原先生より手厳しいお話を頂いたところですが、確かに今回のIR、国は民設民営とい
うことを言っております。当然、民間が作って民間がそれを運営するということが大前提となってお
ります。確かに日本の企業で、これまでカジノを運営してきたところはございません。篠原先生のお
っしゃる通り、アメリカの大きなカジノ事業者がやってくるのかもしれません。ただ、そのアメリカ
のカジノ事業者が1社で運営するのではなく、例えば日本の企業とジョイントして運営するというこ
とも当然考えられますし、逆に私としては、そちらの方が可能性は高いのではないか、そう思ってお
ります。それと、苫小牧における経済効果についてお話します。我々が苫小牧で考えているIRとは
先程プレゼンでもありましたシンガポール型をイメージしております。現在、シンガポールにはマリ
渡辺
ーナベイサンズ、リゾートワールドセントーサという2カ所のIR施設がございます。こちら両方の
施設の総工費、投資額ですが、アメリカドルで99億ドル、当時の日本円レートで約8,000億円
と言われております。また、両施設とも2010年にオープンしておりますが、先程のプレゼンにも
ありました外国人来訪者がオープン前とオープン後で比較するとかなり増えています。2009年が
968万人だったものが、2011年には1,317万人、2013年には1,556万人というこ
とで非常に増えてきております。これはまさに、IRの効果と言っても過言ではないのかなと思って
おります。次に国際会議の開催状況ですが、2009年シンガポールの国際会議の件数ですが、20
09年689件だったのがオープン後の2011年には919件に増え、アメリカを抜いて世界1位
となっております。その後も件数は右肩上がりということで、そういったことでは観光面での経済効
果が非常に大きいと考えております。また、カジノにつきましては税金を課すということを言ってお
ります。これもシンガポールの例ですが、2011年のカジノ税収が718億円、これとは別に内国
人(シンガポール人)がカジノに入る時には入場料が課せられ、その入場料に課せられる入場税が1
30億円と言われております。こういったことで非常に税収も増えると考えております。最後にまと
めですが、マリーナベイサンズ1カ所のものですが、地元における直接雇用9,000人、施設規模
が非常に大きいので様々な製品、サービスを地元の企業より仕入れています。そういったことでも非
常に経済効果があるのではと思っております。また、外注費用の大部分がシンガポールの企業におち
ております。約半分51%はシンガポールの中小企業におちているという現状がございます。これを
考えますと当然、苫小牧にIRが出来た際も非常に大きな経済効果があると考えております。ただ重
要なのは、経済効果があっても実際に地元企業に仕事がおちなければ意味がないというのは当然です。
大事なのは地元企業の底上げ、苫小牧に仕事がおちるような仕組み、体制作り、こういったことを構
築していくことが重要だと思います。私からは以上です。
鏡
ありがとうございました。青年会議所 福士さんの意見でしたが、地元の中小企業に、地元にお金が
おちてくる仕組みづくりを設えながら進めていくということで渡辺様、宜しいでしょうか。はい、篠
原先生どうぞ。
篠原
補足だけ。経済効果について。本日は学習会です、私も一緒に勉強したいので苫小牧市の成田様に教
えて頂きたいです。税収としてIRが出来た場合、増える試算もあるようですが、固定資産税の具体
的数字、カジノ、IRが出来ることによって苫小牧の路線価格、地価そのものが下がる、それにもか
かわらず苫小牧の税収が上がるという保証はいったいどこにあるのか。その点を反対派の立場から成
田様に苫小牧市を代表してお伺いしたいです。
鏡
成田様、本日はご意見を頂かない予定でしたが、篠原先生よりご意見頂けました。是非、お話できる
範囲でお願いします。
成田
税収の試算のお話ですが、国内にIRがまだ無く、国も具体的に実施法に向けて進めている最中であ
り、制度設計もこれからとなっております。ですので当然、今の時点では具体的に数字は出せません。
篠原
ありがとうございました。そのように不確定要素が非常に大きすぎる中で、はたしてどうなのか。こ
れが反対派のスタンスです。ありがとうございました。
鏡
ありがとうございました。今のご意見、不確定要素がありながらも誘致をすすめていくのか、という
ご意見でございました。金澤先生いかがでしょうか。
金澤
はい、渡辺様から経済効果について説明がありましたが、私も賛同できる部分がありました。それは
いかに苫小牧、胆振日高、北海道の企業にこのIRの効果をおとすのかというところです。色々な制
度をつくるのは必要だと思います。例えば、IRが決まれば建物を建てるなど色々な工事が発生しま
す。それに地元企業が入るような協定を結ぶだとか、もしくは、IRにともなう収入の一部を地元の
自治体に還元するような協定を結ぶだとか、そういうものを強く求めていく。どこまで法律が許すの
金澤
か見えませんけども、そういうものを自治体としては創設をする、もしくは強く求めていきながら経
済波及効果というものを出来るだけおとせるようにしていくことだと思っております。経済効果につ
いては直接的、間接的なものがありますが、例えば今、苫小牧市の懸案事項として新千歳空港の24
時間運用という話があります。これはどう拡大していくかということで、地元の皆様と色々協議して
いるのですが、例えばある経済界の方が言っていたのですが、IRが出来た場合、新千歳空港への便
数が増えるだろうと、これは羽田経由なのかもしくは直接海外からなのかわかりませんが、そういう
試算をしている方もおりますし、JR、船、こういったものもございます。そういった環境が整って
いくと、こういう間接的な経済効果が見込まれると思いますし、更に言うと、教育機関、人材育成に
かかわることとしても、IR事業にかかわる人材を育成する機関、もしくは駒澤大学さんであれば学
部の中でそういうものを設置していくという可能性もあると思います。事実、登別にあけび中高一貫
校というものがあるのですが、これは北海道が設置した学校であり、道内で一つしかない公立の中高
一貫校です。ではなぜ登別にできたのか。登別は温泉を中心とした観光のまちです。そこで、国際的
な語学、色々な文化を学び、卒業した子達が、登別で観光に力を注いでもらおうと、そういう思惑が
あって登別に創ったと、そういうお話を聞いたことがあります。IRが苫小牧に出来たあかつきには、
そういうような語学が堪能で接客もしっかりしている、そういう人たちを育成するための教育機関が
できる、これはプラスになる経済効果と言っても良いのではないでしょうか。
鏡
ありがとうございました。経済効果のお話でしたが、苫小牧における雇用についても触れられたと思
います。苫小牧の地元にしっかりと雇用が生まれなければ、誘致をしても無駄になってしまう、リス
クばかりを地元が負ってしまって、先程のご意見のようなメリットが地元におりてこない、只々日本
が利益を得て、地域だけがリスクを負うというようなことになってしまう場合には、今みたいな、金
澤先生の教育機関、そういったところから雇用をしっかりと生み出して行くと。そういうようなお話
だったのかなと思いますが、金澤先生いかがでしょうか。
金澤
そうですね。例えば私も韓国のセブンラックを見たことがありますが、そこで見てますとディーラー
の人達は韓国の人でしたが、日本語も中国語も韓国語も英語も喋れる。これだけで4か国語も喋れる
ということですが、わざわざあなたは日本語をしゃべれますか、と前提なしでその国の言葉を喋った
りします。そのへんの接遇を含めて非常にレベルが高い人達を見てきました。この苫小牧にはそのよ
うな人達は中々見つからない人材だと思います。そういう方々がいないので東京、海外から来る、こ
ういった場合、苫小牧に住めば人口増、社会増にも寄与します。そういう人材育成も含めた考え方と
いうのはIRを考えるにとって不可欠だと思います。
鏡
ありがとうございました。反対派、推進派から色々なご意見を頂きました。今意見頂いた中で青年会
議所メンバーより感想、意見を聞いてみたいと思います。坂井さんお願いします。
坂井
はい、ありがとうございます。坂井 学と申します。メリット、デメリットを自分では知っているつ
もりでしたが、今、先生方のお話を聞きまして、一市民としてまだまだ知らないことがあるんだなと
思いました。正直質問というものはございませんが、ただこの先、取り組みされている方のお話をも
っとじっくり聞いてみたいなというのが感想です。
ありがとうございます。もっともっと規制や誘致に向けたお話しを聞きたいということだと思います。
篠原先生いかがでしょうか。
篠原
はい、雇用の問題について私の意見を申し上げます。地域における雇用、働く場、これはとても大切
です。一教師として是非、北海道で働いてほしい、苫小牧で働いて欲しいそう思いながら、卒業生は
東京などの大都会の方に職場を求めて行ってしまいます。それと同じ構造が実はこのIR、カジノに
あるのではないでしょうか。というのは、そもそも雇用というのはそこで生活し、家庭を持ち、子供
を産み育てていくことです。私ここに子供の絵を持ってきました。こういう子供の幸せを考える時に、
誇りを持って働けるのだろうか、お父さんはカジノでルーレットを回しているよ、お客さんからお金
を搾り取る仕事をしているよ、胸をはって言えるのでしょうか。これは極端な言い方です。しかし町
のイメージはとても大切です。イメージによって人は集まり、そこで泣いたり悲しんだり喜んだりし
て家庭をつくっていきます。私は雇用が減ることを大変心配しております。少なくとも20年前まで
は北海道では札幌市と苫小牧市だけが人口の社会増の唯一の都市でした。それがその後、アジア通貨
危機があり、リーマンショックがあり、いま日本の経済全体が低迷していますが、私たちの努力によ
って、とにかく私たち自身の地域の経済、地域のそれぞれの努力、苫小牧に豊かなものは沢山ありま
す。ホッキ貝、ハスカップ、サーモン、湧水、苫小牧の水、これがペットボトルで大変人気が高く売
れております。そして樽前山麓の森林、高山植物、こうしたものを産業、観光、そうした雇用に向け
ていきたいと思います。先ほどシンガポールの話がでましたが、私、シンガポールにもマカオにも行
きました。実は見本にしているシンガポールのカジノですが、私行った時の感想は、はっきりいって
マカオもそうですが暗いです。管理が非常に厳しいのです。私は入りませんでした。観察、視察とし
て中に入ってみたくても、とてもじゃないですが、そんな雰囲気ではないです。大金持ちしか相手に
しないのです。外国の観光客、日本の大金持ち、そういう人たちだけを相手にして雇用の拡大、私た
ちのすぐ隣の人、または友達、苫小牧の家族、そうした人々が雇用拡大と言えるのでしょうか。それ
が私の反対の大きな理由です。そして、刑法で賭博は禁止されています。例外はありません。先程説
明の中で見解が違うなと思った点は、競馬はスポーツです。そして競輪も競艇もスポーツです。パチ
ンコは娯楽、つまりゲームです。もちろん問題はあります。パチンコによってギャンブル依存症にな
り家族が崩壊し、多重債務者も増えています。パチンコ業界への警察の天下りもあります。問題もあ
ります。しかし大事な、賭博は犯罪であるということ。このことを私達は確認した上で、そのような
犯罪の上に成り立つ雇用は考えられません。以上です
鏡
はい、先生ありがとうございました。時間がおして参りましたので、どんどん進めさせて頂きます。
次のテーマにいきたいと思います。青年会議所 渡辺くんにお願いします
渡辺
ギャンブル依存症について、ギャンブルが与える地域への影響、治安悪化や青少年への影響、また暴
力団の介入等々あると思います。その点をお願いします。
鏡
ありがとうございます。ギャンブル依存症について、植苗病院 片岡先生お願いします。
片岡
ありがとうございます。ギャンブル依存症とは皆様名前は知っていても、なかなか実態は当然ご存じ
ないと思います。依存症というのは皆様にとって一番なじみがあるのはアルコール依存症といって、
昔からアル中とよく聞くし、ひょっとしたら身近にいるかもしれない、だけども、もっともっと我々
にとって身近な依存症は、いわゆるニコチン依存症ですよね。この中にも当然スモーカーの方いらっ
しゃると思いますが、ニコチンの依存症は吸わない人から見ればそこまでして何故と思いますが、や
められないですよね。幸いなことに自分は若い頃、煙が苦手で吸えなかったのでならずにすみました
が、本当に滑稽なくらい、飛行機降りてすぐ虫小屋、鳩小屋みたいなえげつない所で気持ちよさそう
に吸っておられたり、今、ナチズムかと思うくらい嫌煙家の勢いが進んで、スモーカーがありえない、
凄く悪いことのような・・・。そこまで悪い事だとは思わないのですが、もの凄い心地悪いにもかか
わらずやめないですよね。あれ位、依存症というものは強いものです。ということは人間という生き
物はやはりそういう何か、これは脳の中にそういうものがあると言われていますが、依存するとなか
なかそこから抜けられない生き物なのです。ただ、人間というのはやはり、ちょっとした気晴らしと
か楽しみとかが必要なので、我々もお酒を嗜むとか、ルーレットであったり競馬であったり、ちょっ
と楽しむのはむしろ人間の健康に良かったりする部分もあります。依存症というのは、そうなってし
まうとものすごく大変なことです。その人だけを蝕むのではなくて、その人に家族がいれば家族、あ
るいは近しい人がいれば近しい人、職場、すべて巻き込んですべてを生き地獄のような世界に引きず
片岡
り込んでいきます。我々は日々、そういうことを診察室の中で、家族との間で繰り返され、そういう
ことを見ています。ですから、依存症とはごく限られた人たちの特殊な問題であると考えて対策をと
るのは大きな間違いであると思います。我々誰もがちょっとした偶然の重なりでなり得る可能性があ
ります。ギャンブル依存症になって、日本ではパチンコが多いですが、そうなって来られた方は、と
んでもない人なんだ、なっても仕方がないよな、という人は一人もいないです。どーしてこんなに途
中まで前途洋洋たる青年がとか、どーしてこんなに普通の家庭の主婦がとかがなります。どんどんど
んどん、はまって行くと最後は哀れな状態になってしまい、人生の落伍者みたいになっています。そ
の手前のところ、最初に我々の前に現れた時は本当にどうして、というくらいの人なんですね。その
ことは是非、覚えていて頂きたい。我々誰もが、ここにいる皆も含めてなり得る可能性のある病気で
ある、そして、なったら最後、なかなかタバコと同じでやめるのが難しい、そしてものすごく周りを
巻き込んでいく大きな問題であるということは認識して頂きたいと思います。時間がないので動画は
出しませんが、本来であればパチンコ依存症の方が実際にどう感じて、どうである、ということをお
聞きになるのが一番良い勉強になるとは思いますけれども、私の言葉でどれくらい伝わったかわかり
ませんが、とにかく大変な病気であると。それからもう一つ最後に付け加えたいことがあります。日
本では自殺率が高いということで自殺対策が政府、日本医師会をはじめ非常にキャンペーンもあり、
皆様も色々な機会で取り組まれていることかとは思いますが、うつ病で自殺する方の何倍もの確率で
依存症の方が自殺されます。その事実もお伝えします。ありがとうございました。
鏡
ありがとうございました。片岡先生より、誰もがかかる抜け出せない、とても難しい問題であるとの
ことでした。今のギャンブル依存症の意見に対して、商工会議所 渡辺様いかがでしょうか。
渡辺
はい。依存症に関してですが、まず法律の関係で申し上げます。今回のIR推進法案はIR議連が提
出しました。IR議連が推進法を提出したあと一年かけて実施法をつくるということになっておりま
す。その基本的な考え方として、確かに制度として賭博行為は認められていない、認める以上は一定
の社会的セーフティネットを構築することは当然であり、依存症問題の対応についても国の機関を創
設して予防措置を導入していくということをはっきりイメージしております。これがどの程度のもの
になるかというのは今後の議論になると思いますが、少なくとも私も含めてIRを推進することでギ
ャンブル依存症が増えるということは、もちろん本意ではありません。そのことについては我々も強
く国に対してちゃんとした制度、対策を講じて欲しいということは強く申し上げていく必要があると
思っております。また私の主観ですが依存症というのは心の病なのかなと思っておりますが、例えば
たまたま身近なところにギャンブルがあったのでギャンブル依存症になってしまった、では、周りに
カジノ、ギャンブルが無ければそういった病気にならないのかというと、おそらく別な、心の病とい
うことは別なものが何かあって違う形の依存症になるのではと思っているのですが、そのへんを片岡
先生にご意見伺いたいと思います。
片岡
先程の日本の統計はまだ異論もあるとのことでしたが、先程スライドで出た数字は2008年の非公
式な統計でした。その統計では男性の9,6%、女性の1,6%がギャンブル依存であるといわれて
いますが、先日新聞に出た厚生労働省研究班の数字が、男性が8,7、女性が1,8なんです。男性
は若干下がっているのですが、女性は少し増えています。これは、例えば私もたまに馬券を買います
が、競馬場は子供も連れて遊びに行けるようになって女の人が行ったりだとか、パチンコも禁煙にな
り、きれいな感じになったりだとか、そのようなことがひょっとしたら関係しているかもしれません。
先程、依存症は何かのきっかけがあって依存症になっていくのであって、カジノが無ければ他のもの
になるのではないかと、それはその通りです。カジノがあるから依存症になる訳ではない、だけれど
もカジノが無ければカジノの依存症にはならない訳です。お酒が無ければお酒の依存症にならない訳
です。諸外国が1%~数%というのにもかかわらず日本が何故これだけ高いのかということに関して
片岡
は、やはり日本はあらゆる所にパチンコとスロット、そういうお店があることがそれを押し上げてい
るのだろうと言われていますので、やはり予防という観点からは、そういう人の射幸心と言いますか、
刺激するものは余り無いほうが望ましいというのは間違いないだろうと思います。
鏡
ありがとうございます。IR誘致していけば、身近にカジノというものが我々生活に出来るというこ
とを考えた時、片岡先生のおっしゃった通り、青少年への悪影響は生まれるのではないだろうかと思
われますが金澤先生いかがでしょうか。
金澤
青少年へということですが、例えば今、パチンコ、競馬に関してはほぼ、青少年が入口でストップさ
れるということは無い環境です。私はそういうところも問題があると思っております。例えば先進事
例でIR誘致を検討しているまち、県の中身を見ますと、青少年は入口で入れさせないということを
当然検討していますし、そういうものでなければ私も賛成できないと思っております。青少年への対
策も含めて片岡先生へあえて聞きたいのですが、先生もご承知の通りIR導入した場合に懸念される
事項について色々な対策が必要と、先程説明もあった通りですが、それをもってしても阻止できない
のかとか、そういうことについて、完全に撤廃することが出来ないとか、どうお考えなのか。ATM
を置かないようにするとか、色々なことを自治体としては考えているとは思いますが、そういった対
策をうっているにも関わらず、やはりIRは反対だということについてのお考えをお願いします。青
少年の部分も含めてです。
片岡
青少年のことに関して申し上げたいことは、私どもは政策立案する立場ではないので、起こって来る
問題に対してどう対処して治療したり解決していくかという立場だけです。青少年ということに関し
て言えば、やはり教育が大事と考えます。これはカジノだけではなく、アルコールも含めてギャンブ
ル全般、人間というのは依存症になる、そういうある種の性質を持っている、それは心の問題でもあ
るし、脳の作りもそうなっている訳なのです。ですからそういうものとして、そういう刺激に対して
自分なりに距離をとらなければいけないし、そういうものとしての付き合い方を身に着けていかなけ
ればならないということを、やはり中学生、高校生、教育の場で教えるべきだと思います。アメリカ
の禁酒法が失敗したように、閉じ込めれば、何もクリーンな人間が育つかと言えばそうではない訳で
すよね。どこか出てくる訳です。それを考えた時に、はたして我々は今育てる青少年に対してアルコ
ールであったり、ギャンブルであったり、その依存症に対してきちんとした教育をして、きちんとし
たサポートが出来ているのかと。そのことが全く出来ていない、そのことも手つかずなのに、ぽこん
とこういうものを持って来て、そのことに対してはきちんとした対策をとるので大丈夫です、という
のはどうなのかな、眉唾みたいにね、その前に危険ドラッグの問題もそうであるように、あれ一つと
っても全く解決出来ていない訳ですよね。後追い後追いになっている訳です。そういうことをもう少
しきちんとして、この国は出来るというふうになってからではないと、あまりにもリスクが大きいの
ではないかなというのが意見でございます。
鏡
ありがとうございました。はい、篠原どうぞ。
篠原
今の問題を教育現場にいる者として短く一言だけ申し上げます。ギャンブル依存の人数、片岡先生が
先程報告して下さいましたように厚生労働省研究班が8月21日の全国紙に発表されました。536
万人です。実はそのギャンブル依存症もしくは予備軍の人々も皆、借金抱えます、多重債務者になり
ます。貧困は連鎖していきます。教育現場にいるものとして、親の借金が子供の教育の貧困に繋がり、
環境の貧困に繋がり、そして悪の道に知らず知らずのあいだに入っていく、もう既に現在、子供の環
境については様々な議論がされています。厚生労働省研究班の発表した時に国立病院機構くりはま医
療センター院長は、カジノ解禁については新しいものがでれば依存も必ず増えるでしょうという見方
を示しております。教育現場にいるものとして、これ以上子供を泣かせたくはない、親が借金をすれ
ば子供は泣きます。以上です。
鏡
ありがとうございました。まさしくそうした危険性があるのかと思います。時間も迫ってきました。
ここで7月からのアンケートの結果について、プレゼンを進めたいと思います。
佐々木
アンケート結果、~今の地域の声 プレゼン~
鏡
ありがとうございました。本来であればここで、パネラーの皆様よりこの結果の見解を頂きたいとこ
ろでしたが、時間も押しておりますので、後日見解をお聞かせ頂いて、それも含めてアンケート事業
として纏めていきたいと思います。我々としては中立の立場、つまりは苫小牧の為にというところで
考えております。ここで第2部 意見交換会を終了させて頂きます。本日は長時間に渡り大変有意義
な意見を聞かせて頂きました。パネラーの皆様本当にありがとうございました。
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