泌尿器科 - 京都市立病院

泌尿器科
1. 診療科の特徴
当院の泌尿器科では、地域がん診療連携拠点病院とし
器脱、尿失禁、尿路感染症、排尿機能障害など)を幅広
ての役割を担うべく、悪性疾患(腎癌、副腎癌、腎盂癌、
く取り扱う。その実践のため、地域医療機関との密接な
尿管癌、膀胱癌、尿道癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌など)
連携を保ちつつ、スタッフ全員によるきめ細かなチーム
の診断治療に重点を置くとともに、QOLに直結する泌
医療体制を確立し、腹腔鏡手術・内視鏡手術を取り入れ
尿器科良性疾患(前立腺肥大症、尿路結石症、骨盤内蔵
た低侵襲治療を推し進めている。
2. 研修指導体制
●清川 岳彦(部長)
専門領域 泌尿器科癌、
前立腺癌、泌尿器科手術全般、腹
腔鏡手術
●吉田 徹(副部長)
専門領域 泌尿器科癌、泌尿器科手術全般
専門資格 日本泌尿器科学会専門医・指導医
専門資格 日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿
器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、日本内視鏡
外科学会腹腔鏡技術認定医
●伊藤 将彰(副部長)
専門領域 泌尿器科癌、泌尿器科手術全般
船田 哲(医員)
専門領域 泌尿器科手術全般
専門資格 日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿
器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医、日本内視鏡
外科学会腹腔鏡技術認定医、日本がん治療認
定医機構暫定教育医
3. 施設認定資格及び研修終了後に取得できる認定資格など
日本泌尿器科学会専門医教育施設(基幹教育施設)
医学的な観点からのみではなく、全人的に患者の問題
その裏付けとして、将来の泌尿器科を担うべく、豊富な
点をとらえ対応する能力を身につけ、患者、家族、医療
経験に基づいた泌尿器科専門医としての幅広い知識と技
スタッフから信頼される医師となることを目標とする。
術の習得を行う。
5. 具体的な研修到達目標
1 尿路生殖器の解剖を理解し、的確な理学的所見を取る
とともに、画像検査の読影ができる。
2 排尿機能生理を理解し、排尿に関する多彩な症状をと
らえ、的確な排尿管理ができる。
3 尿路生殖器疾患の診断目的で行われる検査(膀胱鏡検
査、前立腺超音波ガイド下生検、逆行性腎盂造影、ウ
ロダイナミクス検査など)ができる。
4 泌尿器科緊急処置(尿道カテーテル留置、尿管ステン
ト留置、膀胱ろう造設、腎ろう造設など)ができる。
5 尿路生殖器疾患に関して、エビデンス、ガイドライン
に基づき、適切な治療計画が立てられる。
6 尿路生殖器悪性疾患に対してホルモン療法、化学療法、
分子標的療法などが実践できる。
7 術式を理解し、泌尿器科小手術(経尿道的手術、陰嚢
内手術など)を執刀医として実施できる。
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4. 研修の一般的目標
8 術式を理解し、泌尿器科標準手術(腹腔鏡下腎手術、
開腹腎、膀胱、前立腺手術など)を指導医の下で自ら
9 術式を理解し、高度な泌尿器科手術(腹腔鏡下前立腺、
膀胱手術、腎盂形成手術など)の助手がつとめられる。
実施できる。
6. 診療実績、治験成績、疾患別症例数など
2012年4月の部長交代で、当院の泌尿器科の専門性
は、間質性膀胱炎を軸にした排尿機能から、前立腺癌を
り腹腔鏡下膀胱全摘除術の施設認定も受けた。
3)腎癌
代表とする尿路生殖器癌に大きく舵を切った。とくに腹
腹腔鏡下根治的腎摘除術、腹腔鏡下腎部分切除術を
腔鏡を用いた低侵襲手術に力を注いでいる。泌尿器科で
積極的に行っており、低侵襲で根治性と腎機能温存を
大きな比重を占める疾患ごとの診療の特徴を記す。
両立させることが可能な診療体制を構築している。ま
1)前立腺癌
た、分子標的療法は、泌尿器科領域が先行している分
2012年4月より腹腔鏡下根治的前立腺全摘除術を導
野であり、進行腎癌に対して、QOLを保ちつつ予後
入。難易度の高い同手術を行うための施設基準をクリ
の改善を目指した治療を提供している。
アし、積極的にこの低侵襲手術を行っている。中でも、
4)前立腺肥大症
より精度の高い緻密な手術を目指し、腹腔鏡として
前立腺肥大症は、泌尿器科対象疾患の大きな比重を
3D内視鏡を用いた三次元手術を導入していることが、
占め、それに対する手術療法の役割は、コントロール
当院の特徴の一つである。さらに2013年9月より、ダ
不良な病態では標準治療としての位置づけを保ってい
ビンチロボット支援下前立腺全摘術も開始予定となっ
る。当院では、生理食塩水を還流液に用いた合併症の
ている。その他、ごく早期の前立腺癌に対しては前立
少ない経尿道的前立腺切除術、レーザーを用いた経尿
腺シード線源永久挿入療法(密封小線源療法)を放射
道的前立腺核出術などを病態に応じて使い分け治療に
線治療科と共同で、進行癌に対するホルモン療法、化
あたっている。
学療法は外来化学療法センターと共同で施行している。
2)膀胱癌・尿管癌・腎盂癌
5)尿路結石
経尿道的尿管結石砕石術(TUL)、経皮的腎結石砕
エンドウロロジーを駆使し、低侵襲の経尿道的手術
石術(PNL)
、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)など、
/尿管鏡手術を行い尿路上皮癌の診断および治療をす
結石治療に必要な装置を兼ね備え、病態に応じた個別
すめるとともに、エンドウロロジーでは根治できない
治療を行っている。
浸潤癌に対しては腹腔鏡下腎尿管全摘除術や膀胱全摘
(別添 手術数の推移参照)
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除術・尿路変向術を積極的に行っている。2012年よ
■表1 主な手術の件数(最近3年間)
疾患名
手 術 名
平成23年度
平成22年度
前立腺癌
前立腺全摘除術 (開腹/腹腔鏡)
1/24
4/0
9/0
膀胱癌
TUR-BT
144
87
75
膀胱全摘除・尿路変向術(開腹/腹腔鏡)
8/2
3
1
腎盂・尿管癌
腎尿管全摘除術(開腹/腹腔鏡)
3/6
0/2
0/5
腎癌
根治的腎摘除術(開腹/腹腔鏡)
5/8
2/3
3/5
腎部分切除術(開腹/腹腔鏡)
2/8
0/0
4/0
6
1
4
精巣癌
高位精巣摘除術
副腎腫瘍
副腎摘除術(開腹/腹腔鏡)
0/2
0/0
0/2
前立腺肥大症
TUR-P
12
11
17
HoLEP(前立腺レーザー核出術)
12
0
0
TUL(経尿道的砕石術)
54
39
34
8
1
5
尿路結石
PNL(経皮的砕石術)
ESWL(体外衝撃波砕石術)
54
平成24年
150
135
156
停留精巣
精巣固定術
10
8
9
間質性膀胱炎
膀胱水圧拡張術
11
59
64
平成25年度 後期研修医(専攻医)研修プログラム
泌尿器科
7. 週間予定
月
火
早朝
入院・手術
カンファレンス
部長回診
午前
手術
手術
午後
手術
手術
泌 尿 器・放 射 線 治
療科合同カンファレ
ンス(隔週)
泌尿器画像カンファ
レンス
水
治療方針カンファレ
ンス
外来検査
前立腺生検
結石治療(ESWL)
木
金
泌尿器勉強会
泌尿器病理
カンファレンス
手術
手術
手術
手術
前立腺生検
結石治療(ESWL)
8. 論文・学会活動
専攻医の日本泌尿器科学会およびその分科会、日本泌
症例報告、論文作成の指導を行っている。
尿器内視鏡学会等のへ参加を推奨サポートし、積極的な
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