仙台フィル、メディアテーク、 エルキュール・ポアロ 財務省東北財務局長 昨年夏に仙台に赴任して来て以来、この町の暮らしがすっかり気に入っている。大都会の 便利さを備えると同時に、自然にも恵まれている。休日の朝には、広瀬川沿いを散歩したり、 東北大学の理工キャンパスまで山を登って町を眺めてみたりしている。 毎月楽しみにしているのは、仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏会だ。3 月のフランス声 楽傑作選には、合唱団の一員として出演する財務局の同僚の応援のつもりもあって出かけた が、趣向を凝らした素敵な演出だった。音楽の心得は全くなく、東京で音楽会に出かけるこ とはなかったが、ワーグナーの楽劇、ドボルザークの宗教歌曲、グリーグほかの北欧プログ ラムなど、いずれの演奏会も楽しんだ。コンサートマスターの二人が、それぞれソロ奏者と してオーケストラと共演された回も良かった。演奏会終了後に楽員の皆さんがロビーに出て、 観客を見送ってくれることが温かい 雰囲気を作り出している。町に独自 のオーケストラがあるのは、とても 貴重なことだ。 10 月の仙台クラシックフェスティ バルも楽しい催しだ。地下鉄沿線の 市内数か所のホールで 1 時間程度の 演奏会が盛りだくさんに開催され る。魅力的な演奏会が数多くあり、 移動時間も考えながら、どれを聴こ 冬ごもりの友 うかと迷う。 特に予定のない休日は、定禅寺通 りのせんだいメディアテークに出かける。図書館や展示場を備える立派な複合施設だ。震災 関係の本を探したり、産業や経済などの調べものをすることもあるが、ほとんどは楽しみの ための読書が中心で、東北地方を舞台にした小説や歴史書などを借りたりしている。DVD の 視聴ができるスペースもあって、フランスのものを好んで観る。コメディーフランセーズの モリエール喜劇が揃っていて、「人間嫌い」、「女房学校」、「タルチュフ」、「スカパン」、 「ジョ ルジュ・ダンダン」等、片端から観た。フランスに行ったことはなく、本場の芝居を観るの はなかなか叶わないことであるが、いつかは体験してみたい。 さて、お題を「最近の休日の過ごし方」と勝手に翻訳して、ここまで書いてきたが、本来 の設問は「私の趣味」ということなので、もう少し長い年月にわたる「休日の過ごし方」を 思い返してみると、ジェフリー・アーチャー、アーサー・ヘイリー、ジョン・グリシャムな どのペーパーバックを結構読んでいる。最近のベストセラーは、興味を途切れさせず、文章 も読みやすいが、言い回しが面白くて何度も読み返すのは、アガサ・クリスティーである。 24 七十七ビジネス情報 2014 年春季号(No.65)2014.4.15
© Copyright 2024 Paperzz