第五管区海上保安本部交通部が平成 18 年 11 月 6 日発表した第五管区 管内の海難発生状況では、プレジャーボート海難は、昨年同期と比べ、 21 隻減(昨年 118 隻、今年 97 隻)になっています。 しかしながら、 船種別海難隻数では相変わらずワーストワンです。 25 23 5 1月 船 ン カ ー 作 業 船 遊 漁 船 旅 客 船 そ の 他 船 物 貨 漁 ャ ー ボ ー ト 0 100 97 86 7412 1211 12 80 60 4 40 20 0 9月 10 月 11 月 12 月 3 8 108 1116 7月 1515 10 5月 43 33 11 66 58 50 7 39 6 41 5 35 3 20 32 19 10 5 7 0 10 3 0 109 4月 40 20 0 15 17年 18年 3月 64 54 120 タ 隻数 80 60 118 106 17 16 89 16 17 19 16 20 97 6月 118 120 100 160 130 134 140 23 2月 140 プレジャーボート海難 30 8月 船舶海難の発生状況(1~10月) プ レ ジ 平成17年海難隻数 平成17年海難隻数(累計) 平成18年海難隻数 平成18年海難隻数(累計) (出典:第五管区海上保安本部) 事故形 態 発生日時場所 概 要 アドバイス バ ッ テ 4 月 18 日午後 12 阪南市尾崎港を出港し中ノ瀬戸で漂泊遊 バッテリー過放電による リ ー 過 時 45 分頃 漁をし、帰港するため機関を始動しようと 機関機動不能はこの事例 放 電 に 友が島水道 したところ、遊漁中に電動リール等を使用 のほかに4件発生してい よ る 機 していたため、メインバッテリーの電圧が ます。電動リール、魚探、 関 機 動 低下していた。このため予備バッテリーで GPSなどは予想外に電 不能 始動しようとしたが、出港前に充電をして 力を消費します。予備バッ いなかったことから、機関を再始動でき テリーを搭載していたこ ず、航行不能となったもの。 とは良かったですが、発航 前にしっかり充電してお きましょう。 1 モ ー タ 5 月 3 日午後 1 遊 漁 及 砂浜に座洲した場合、風浪 ー ボ ー 時 40 分頃 が強いと離浜できません。 びバー ト の 乗 和歌山県下津沖 ベ キ ー 加えて潮汐も把握しなけ 揚げ ればなりません。 ノ島 のため 大阪府 乗揚げ 谷川港 を出港 し下津沖ノ島北側の砂浜に座洲したまま 近くの岩場に係留していたが、船長以下乗 組員がレジャーを終え離浜しようとした ところ、北の風と風浪により離浜できず、 救助を求めたもの。 ク ル ー 5 月 3 日午後 4 係留中、機 ザ ー ボ 時頃 常に機関室各部の点検は 外れたホース 関室内雑用 怠りなく。 ー ト の 和歌山県周参見 水ポンプを 冷却水排出管のホースが 浸水 利用して甲 外れ、航行中に機関室が浸 板上海水洗 水する事例もあります。 港 い作業中に 現場を離れた後、機関室内で吐出側ホース が抜け落ちているのに気付かないまま同 室が浸水したもの。 モ ー タ 5 月 3 日午後 4 乗 船 者 6 名 で 出 港 狭い水路でトーイング行 ー ボ ー 時 20 分 し、ウェークボード 為を行うことは自船のみ ト の 衝 兵庫県東播磨港 の 曳 航 遊 走 を 開 始 ならず被曳航者の危険も 突 したが、船 伴い絶対避けるべきです。 長及び乗船 被曳航者の監視も重要で 者 4 名は曳 すが、乗船者で役割を分担 衝突箇所 航中のウェ ークボード し、操船者は操船に専念し ましょう。 を見ており、前方及び周囲を全くしないま ま約 15 ノットで曳航遊走していたところ、 16:20 頃、二見大橋の橋桁に衝突し、乗船 者 5 名が傷害(重傷 2 名、軽傷 3 名)を負 うに至った。 2 水 上 オ 5 月 4 日午後 4 2台の水上バイ 水上バイクは転覆するこ ー ト バ 時 10 分頃 クで鳴門市所在 とを前提とした仕様とな イ の 機 鳴門海峡付近 のマリーナを出 っており各防水パッキン 関故障 港し遊走してい は常に点検が必要です。 た ところ、1 曳航の際は、機関に過大な 台 の 水 上 バ イ ク が 負荷がかかります。水上バ 転覆した際、機関室 イクに限らず、無駄に回転 蓋のパッキンの経年劣化により機関室が 数を上げずに適切に機関 曳航救 浸水し航行不能となった。このため、もう を使用しましょう。 一台の水上バイクで曳航していたところ、 回転数を上げたため過負荷となり、機関が 停止、漂流することとなった。乗組員は水 上バイクを離れ近くの海岸に泳ぎ着き漂 流水上バイクの救助を求めたもの。 クルーザ 5 月 4 日午後 4 岡 山 県 牛 窓 港 燃料系統への水分混入事 ー ヨ ッ ト 時 30 分頃 例はこのほかにも1件あり から西宮港に回 の 機 関 兵庫県姫路港内 航するため、乗 ます。 故障 燃料フィルターの点検を怠 組員 3 名で 07:50 曳航救助中 出 港 。 らないように。 16:30 頃機走中 GPS等測位装置を搭載し 突然機関回転 ましょう。 数が低下し、その後機関が停止した。帆走に て東に向け航行していたが夜間となり灯火の ためのバッテリーの消耗が気になり、不安を 感じ救助要請した。位置の情報を得る装置 は持っておらず大体家島の北側であるとのこ とであった。姫路港から巡視艇が出動、17:25 漂流中のところを救助。機関故障の原因は エア抜きからの燃料系統への水分混入であ った。 3 モーター 5 月 5 日午後 2 兵庫県高砂市伊保漁港から上島経由白浜 燃料混合比は適正に。 ボートの 時 20 分頃 沖にて遊漁中、長期アイドリングをしていた プラグの点検整備方法をマ 機 関 故 兵庫県姫路港内 ためエンジンが急に停止し、再度起動を試み スターしておきましょう。 障 るも起動しなかったため救助を求めた。エン 曳航救助中 ジンが停止した原因は、燃料混合比が悪く (燃料が多め)長期間アイドリングしたこと で、プラグがカブリ、起動不能になったもの。 モーター 6 月 2 日午後 4 購入した中古艇を回航するため、宿毛湾口を 同様のクッションゴム破損 ボートの 時 50 分頃 出港し高知港向け航行中、プロペラシャフト による海難がほかに1件発 機 関 故 高知県興津埼沖 中間に入っているクッションゴムが破損し、機 生しています。 障 関は機動しているもののスクリューに動力が 中古艇購入の際は、各所を 伝わらず航行不能となったもの。 十分点検する必要がありま す。 クルーザ 7 月 16 日午後1 泉大津出港後、船長は、11:00 頃からビール あきれてアドバイスのしよう ー ヨ ッ ト 時頃 1 缶、チューハイ 2 缶を飲酒、ラダーを専用ボ がありません。 の 飲 酒 大阪湾 ルトで舵中央の位置に固定して洲本向け機 平成 18 年 9 月 29 日から小 居眠り 走航行中、13:00 ころから居眠りを始め、振動 型船舶も飲酒運航禁止基 等の影響で同ボルトが緩んで外れことに気 準が厳しくなっています。 づかず、ラダーが右舵にきれたままの状態と 飲酒運航絶対禁止です。 なり、17:30 頃、付近航行船舶が発見、18:15 巡視艇に救助されるまで、前項付近海域を 旋回し続けていたもの。 クルーザ 7 月 30 日午後 10 船長ほか 2 名が乗船して田辺港を出港、白 同様の海難がこの事例の ー ボ ー ト 時 30 分頃 浜町沖で遊漁を実施、22:00 頃遊漁を終え帰 ほ か に 1 件 発 生 し て い ま の 乗 揚 和歌山県田辺港 港途中、内之浦漁港に向う為、船首方向に す。 げ 内 ある灯火を確認しながら航行していたが、船 航路標識の灯火を色だけ 長は目標とする航路標識を見間違え、いつも で特定するのは危険です。 帰港途中にある神楽島南方灯標が逆方向の 灯質をしっかり確認しましょ 右手に見えることに気が付いたので、右転し う。 元の航路に戻ろうとした直後、岩礁に乗揚げ たもの。 モーター 8 月 5 日午後 7 船長は、大阪府堺市のマリーナを出港し、神 自船の船位の確認を怠っ ボートの 時 50 分 戸港花火大会の見物のため航行中、花火大 たことが原因です。夜間航 衝突 会場所への行き道が分からなくなり、花火の 行の場合は、GPS、レーダ 神戸港内 見える方向に針路を取り航行を続けたとこ ー等の航海装置を搭載し活 ろ、目前至近に六甲アイランド沖合の廃棄物 用しましょう。 4 処分場護岸(東側)が迫っていることに気付 花火大会に関係する海難 いたものの、避航動作を取る間もなく衝突し は今シーズン4件ありまし た。乗船者3名が負傷し巡視艇により救助さ た。慣れない夜間航行は十 れた。 分注意しましょう。 モーター 8 月 20 日午後 17 船長以下 10 名(大人 6 名子供 4 名)は、船長 燃料欠乏による漂流事故 ボートの 時 30 分頃 が友人から借りたモーターボートに乗船し、 はこの事例のほかに4件発 燃 料 欠 兵庫県姫路港内 クルージング等を楽しんだ後、帰港すべく出 生しています。 乏による 発するにあたって燃料ゲージにより残燃料に 出港前に航海計画を立て、 漂流 少し不安を感じるも安易に判断し、帰港中の 十分必要な燃料を搭載しま 同日 17:30 頃、姫路市中島沖合い約 800 メー しょう。 トルにおいて突然機関が停止した。該人は、 自船の燃料消費率は把握 助けを求めようと自ら海へ飛び込んだが、溺 しておき、残量から航行可 れかけているような該人を該船船上から見て 能距離(時間)を常に把握 いた友人が該人用のライフジャケットを持っ するようにしましょう。 て飛び込み救助中のところを、付近釣客から 燃料がタンクに多少残って 通報を受けた警備艇により救助されたもの。 いてもエアーを吸って機関 該船は、飾磨東防波堤に漂着した後、付近 は停止します。 釣り客の協力を得るなどして乗船者は全員 無線、携帯電話等連絡手 無事救助された。 段を準備しておきましょう。 モーター 9 月 15 日午後 1 東播磨港を出港し、江井ヶ島沖においてシーア 海苔網周辺で漂泊すること ボート推 時 50 分 ンカーを投入し遊漁をしていたところ、潮流によ は危険です。止めましょう。 進 器 絡 兵庫県明石市沖 り流され、海苔網に近づいたためシーアンカーを トラブルが発生すると混乱 網 揚収しようとしたところ、海苔網のロープに自 することがありますが、慌て 船のシーアンカーがひっかかったため、シーアンカー ずに落ち着いて対処するこ ロープを伸ばしエンジン始動により前進離脱を とを忘れずに。 試みたが、今度はプロペラにシーアンカーロープを 巻き込み、エンジンが停止した。その後、自 船の船尾外板とドライブ軸との間に海苔網の ワイヤーロープがひっかかった状態になり救 助を求めたもの。 5 モーター 10 月 29 日午前 遊漁中、釣り場移動のためアンカーを揚げよ 軽い船体の場合、アンカー ボート転 10 時 45 分頃 覆 うとしたところ、アンカーが海底に引っかかっ ロープが垂直に引っ張られ 和歌山県太地町 ていたため、アンカーロープが垂直にたった ていると波の影響で簡単に 沖 状態で船首部の「たつ」にロープを係止した 転覆します。ダンフォースア ところ、左舷後方からうねりを受け、転覆した ンカーの場合、尻手索をつ もの。転覆船につかまっていた船長を航行中 けていれば、尻手索を引い の遊漁船が発見し救助。 て揚げることにより簡単に アンカーを抜くことができま す。 上記の記事は 平成 18 年しおかぜ 64 号 にも掲載しました 6
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