一般演題

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日皮会誌:98
(13), 1387-1426,
1988 (昭63)
1387
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一般演題
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悪性黒色腫
junction activityがあること,腫瘍全体に細胞分裂象
座長広根孝衛,森嶋隆文
がみられること,腫瘍は結節状・拡大性で,レベル4
1.岡田孝一(褐協医大)ら
−5に達していることがあげらる。(2)MDMは時に局
生後3ヶ月時?すでに悪性黒色腫が生じていた1歳
所再発を示すが転移は比較的少なく,一般に普通の黒
6ヶ月,女児の巨大色素性母斑例
色腫より予後は良いと考えられている。(3)病巣は出生
討論
森崎隆文(日本犬駿河台):普通の巨大母斑細胞母
前に生じたと思われる。母親に黒色腫を疑わせるよう
斑と異なり病巣の大部分は扁平母斑様の褐色斑であっ
3.内田 玲(山梨医大)ら
たか,褐色斑部に母斑細胞はみられたか。(2)切除組織
Acral lentiginous melanoma
の凍結切片によるスタンプ蛍光法や病巣5
-S-CD
な色素斑はなかった。
in situの2例
を測定すれば,母斑の悪性化を多角的に検討できる。
討論
一
斎田俊明(信州大):第2例には問題かある。足底
池田重雄(埼玉医大):供覧された母斑細胞母斑の
のlentiginousnevusや境界母斑では増殖したメラノ
組織像では核のかなりの程度の大小不同があり,核分
サイトが有縁層にも存在することが結構あり,私の印
裂もあったので悪性化が疑われる。疑わしい場合には,
象では比較的若年者の足底母斑ではメラノサイトが有
核DNAパターンを調べると参考になる。
縁層にも存在し,若干の異型性があってもよいと思う。
堀 嘉昭(九州大):(1)巨大色素母斑では悪性化て
黒色腫細胞とメラノサイトを確実に区別するマーカー
いなくても時々異型性のある核を持った母斑細胞がみ
がまだないので,表皮内黒色腫かどうかの決着は困難
られるので,この症例の場合も異型核を有する細胞が
である。演者の趣旨は小さい母斑もすべてとる必要が
あっても必ずしもそれが原発巣とはいえないと思う。
あるのではないかということになるか,日本人の足底
(2)巨大色素性母斑の場合には時に内臓に黒色腫が生
の色素斑を小さいものまで仝部とることは不可能であ
じ,転移することがあり,原発巣は剖検で見出される
る。6m径以上のもので疑わしいものを切除するとい
ことがある。
うことでよいと思う。仮にALMの始まりでも6㎜径
広根孝衛(金沢大):スライドで核分裂像が示され
以下の時は厚さが薄いので,6m以上になってから切
たか,スライド以外の部位でも核分裂はかなりみられ
除すればよいと考えている。
たか。核分裂は母斑組織では通常余り認められないの
広根孝衛(金沢大):(1)第1例では病巣の一部に足
で,それがかなりあればminimal
底紋が消失したところがあったが,その部分の組織像
deviationmelanoma
を疑ってもよいと思う。
で腫瘍細胞の真皮上層への浸潤はなかったか。(2)第2
岡田孝一:(1)病巣の褐色斑部では表皮基底層におけ
例のように,病巣が卵円形,淡褐色で,よくみると着
る色素増加とメラノサイトの増加はみられたが,母斑
色が皮丘よりも皮溝に濃いという所見は良性のものの
細胞の増殖像は認められなかった。(2)核分裂の数はス
臨床像の特徴である。足底の境界母斑では表皮の基底
ライドの部に最も多かった。
層だけでなく有縁層にもメラノサイトが存在すること
ス2.一山伸一(横浜市)ら
があり,メラノサイトの形態に多少のばらつきがみら
新生児に発生した悪性黒色腫の1例
れることもあり,異型性の判断は難しいものである。
討論
斎田俊明(信州大):(1)本症例をminimal deviation
内田 玲:第1例の組織標本には足底紋消失部位も
含まれていると思うが,真皮内浸潤は認められなかっ
melanoma (MDM)と診断しているか,診断基準は如
た。
何か。(2)MDMは普通の,例えば結節型黒色腫と治療
島田真路:第2例は4×5㎜と小さいか,有棟層に
面や予後が異なるという考えか。
も異型性を伴うメラノサイトがみられたのでALM
森嶋隆文(日本犬駿河台):この症例では出生前に
situと考えた。大きさと臨床形態から良性か悪性か識
病巣が形成されていたと考えるか。
別できないと思う。切除した時点で良性であっても将
一山伸一:(l)MDMの診断基準として,病巣表皮に
来のことはわからないわけだから,有縁層に異型性を
in
一般演題
1388
伴うメラノサイトの増殖がある場合は一応あやしいも
9。本多千博(神戸大)ら
のとして取扱うという考えがあってもよいと思う。
黒色腫熱中性子補捉療法における1°Bi-paraboro-
三島 豊(神戸大):第2例のメラノサイトに異型
nophenylalanineの腫瘍内集積性と各種投与法の比
性はないと思う。数多くの標本をみればわかることで
較検討
あるが,細胞の形かすこし変わっているから異型性が
あるとはいえない。重要なことは臨床所見,細胞の形
ケラチノサイト
態,さらにbehaviorである。足底にはALMとNMが
座長 吉川邦彦,手塚 正
生じ,NMもかなりの頻度で生じる。ALMの場合そ
10.中尾久美(久留米大,医化学)ら
の周囲にin
表皮細胞における細胞膜流動性と分化について
situ とよばれる細胞がみられるのは間違
いないが,NMの始まりが不明な時点でALM
in situ
というのは非常に難しいし,学問的に混乱すると思う。
たもので,表層に近づく程流動性は低下し,細胞膜が
4.石原八州司(長野日赤,信州大)ら
足底に生じたAcral
lentiginous
表皮細胞における細胞膜流動性と分化との関係をみ
硬化していることが示された。これは主としてコレス
melanoma
(ALM)
テロール含量の増加によるもので,リン脂質組成には
in situの4例
大差が無かった。ヘキサデカンにより肥厚した表皮で
5.中西 浩(関東逓信)ら
はこの現象は著明でなかった。
Werner症候群に合併した悪性黒色腫
膜の性状は細胞分化と密接に関連した重要テーマで
ス6.武藤正彦(九大生医研)ら
あり,今後膜蛋白や裏打ち構造との関連においても更
妓毛の脱落をともなった左下眼瞼部のlentigo
に研究の発展が期待される。
maligna
11.山村達郎(ノエビア滋賀中央研究所)ら
melanoma
討論
一
斎田俊明(信州大):眼瞼のLMMではしばしば瞼
IH−NMRによる角層水和状態の解析
結膜や球結膜へ浸潤が及ぶことがあるが,この症例で
る報告で,小量の組織にて精度の高い測定が可能との
は如何か。
事であった。各種抽出法により角質を処理した後に測
高橋 誠(札幌医大):睦毛脱落例はこれまで何例
定すると,角層は30%以上の結合水を有しそれにはア
プロトンNMRを用いた角質結合水の定量法に関す
あるか。
ミノ酸を始めとする各種水溶性物質以外に,極性の強
武藤正彦:(1)瞼結膜に若干の浸潤がみられたが,球
い脂質も関与している事が示された。
結膜に異常はみられなかった。(2腱毛脱落例は2例報
12.宮川幸子(奈良医大)ら
告されている。
培養ケラチノサイトにおけるSSA/R。抗原の発現
池E日重雄(埼玉医大):手術としては,眼瞼軟骨を
SSA抗体陽性患者血清を用い,ケラチノサイトに
含めて切除したときそのあとに鼻軟骨をもってくると
おける抗原の局在を調べたものである。培養正常ヶラ
よい。要するに下眼瞼全部を切除してもかまわない。
チノサイトでは抗原は核内のみに見出されるがSV40
ス7.太田俊明(公立野辺地病院)ら
ウィルスでtransformされたケラチノサイトや低カル
Malignant
シウム条件下で培養されたケラチノサイトでは細胞質
melanomaの1例
ス8.藤谷裕子(大阪大)ら
内にも抗原か見出される。これ等の条件下ではケラチ
肺野に巨大な嚢腫型転移巣をきたした悪性黒色腫の
ノサイトは基底細胞様となっており,分化と関連した
一例
抗原分布の違いとみることが出来る。Norris等が示
討論
一
斎田俊明(信州大):病歴では爪甲下の黒色斑に気
した細胞膜への反応性はみられなかった。in
vivoで
の沈着は認められず,その意義付けは今後の問題であ
付いたと書いてあるが,爪甲自体に色が着いていたの
る。
ではないか。
13.森川光也(名古屋大)ら
藤谷裕子:その時期に受診していないので確かでは
ツ反によりDR抗原を発現したケラチノサイトの機
ないが,爪甲下だったと思う。
能
PPD注射部位においてDR抗原を発現したケラチノ
サイトがAPCとしてT
cellを刺激する可能性がとの
報告であった。71∼95%の表皮細胞がDR抗原を発現
一般演題
1389
して居り,Tcellと共に培養するとT-cenへのチミ
ジンの取込みを増加させた。興味深い観察であったか,
か。
大久保
培養期間中のケラチノサイトの生存性や非特異的な
:その通りの実験も行ったが差はみと
められなかった。
T-cell刺激反応の可能性等に関して更に細心な検討
高島(名市大):Interleukine-2で3H-thymidineの取
が望まれる。
り込みが増加したとのことだがlL-2
14.岩月 啓氏(浜松医大)ら
のReceptorがPAM
自己抗体としての抗ケラチン抗体
考えているのか。
I.未感作マウスのハイブリドーマによる検索
大久保 :その様に考えている。
cellに存在すると
血中にみられる4種の抗ケラチン抗体が自己抗体で
高島(名市大):Cytokineで色々な変化がおきるの
あるのか他の抗原に対する抗体の交又反応であるかを
でReceptorがあることをまず確認し
調べた報告であった。
てから実験すべきだと思う。
未感作あるいはケラチン又はリンパ球で感作したマ
大久保 :そう思います。
ウス牌細胞よりハイブリドーマを作成し,産生された
堀川(神戸大):3H-thymidineのとり込みが増加し
抗体を検討するとケラチン感作で15.7%,未感作で
ているが実際細胞の数は増加している
5.9%にケラチンと反応する抗体が産生されていた。
か。
Tリンパ球で感作したものではその中間であった。人
大久保 ;細胞数は算えていないがシャーレの
でもBP患者のリンパ球からケラチン抗体が産生され
目視では殆ど細胞数は増加していな
ており,抗ケラチン自己抗体の産生であると結論され
し稲
た。
堀川(神戸大):FCS自体細胞増殖に関係するが
但し,リンパ球で感作した場合抗ビメンチン抗体が
何%を用いたか。
産生されて居り,このものはケラチンと30%のホモロ
大久保 :FCSは10%を用いた。
ジーを有するとの指摘かあった。交叉反応の可能性に
16.山田秀和(近畿大)ら
関しては更に詳細な検討が望まれる。
角化細胞におけるBSF-
15.大久保慶二(久留米大)ら
て
Interferon a ,β,y及びInterleukin l , 2,
4のEpidermal
3.
cellg『owthへの影響
2(IL6)様活性につい
岡田(阪大) :培養上清で40%しか抑制しないが
histochemistryで培養細胞がIL-6を産
生していることを確認するためには抗
小林(北大) :day
2でthymidineのuptakeが高
く,
day 4, day 6で低下しています
体で染めたらよい。
が,
lymphokineは常に入っているの
山田 :1.抗体では染まらなかった。 2.
ですか。
Northern blottingでも検出出来なかっ
大久保 :常に入っております。
た。どうしてかわからない。
小林(北大) :day
抗体で染まらないのはIL-6には2通
4 , day 6ではlymphokineの
活性は低下していたのですか。
りあってIL-6にαとβがあるのでは
大久保 :day
ないかと考えている。
4, day 6, lymphokinesの活
性が低下していたかどうか確かめてい
岡田(阪大) :培養のSerum中にIレ6が入ってい
ない。恐らく活性は残っていなかった
ないか。
のではないかと考える。
山田 :その可能性は否定出来ない。
3H-thymidine
のとりこみ能も低下していないし,細
北島(自治医大):IL-6培地中でのハイブリドーマ増殖
胞のViabilityも悪くなっていないの
に関して抗lL-6抗体でブロッキング
ヽ でInterferon,
する実験がうまくできない以上,
Interleukinesに対する
反応性が低下したのではないかと思
う。
山田(近火) :この実験はPAM
佐野(鳥取大):1
cellをまいて,底
Ig
の産生を調べる必要がある。
. Plasma cellになっているかど
うかですが,リンパ球−プラスマcell
にadhesionしてからInterleukinesを
を形態的にみているか。
加えてその影響をみるべきではない
山田 :みていない。
1390
一般演題
北島 :2.抗体産生細胞イコールplasma
如何お考えですか。
cenと証明されていないので,ギャッ
広瀬 :確かに肉眼的に肌のきたない人が多
プがある。
かったのでかなり日光障害があると考
山田 :IL-6のassayで出ているということ
えられましたが,中にはきれいな人も
はBCDF活性があるという意味です。
ありました。最初dry
又,この実験からは言えませんが,
始めたのですが,見方を変えてsenile
Cytokineが上皮の増殖に働くのでは
elastosisをメルクマールとして考えた
ないかと考えている。
場合かなり日光障害を受けているはず
池滞(横浜市大):炎症組織でPlasma
cellが増加して
で.
skinの研究を
dry skin にどうゆう変化をおこす
いるのはどうしてですか。
か研究したわけです。
山田 :わかりませんか,その疑問が私の研
手塚(近火) :これらの変化はirreversibleな変化
究の最初の出発点です。
ですか。
橋本(阪大) :1.
広瀬 :そうです。
IL-6の濃度とインキュベイショ
ッの時間は?
手塚(近火) :そうするとmoisturing
山田 :5-lOng/mlで48時間です。
用いて治療するしか仕方がないわけで
橋本 :2.他の細胞でTGFβ−このような
すか。
IL6が出る細胞がありますか。
広瀬 :そうです。今回,クリームを数日間
山田 :ちょといえません。
使わない状態でbiopsyいたしました。
17.熊谷憲夫(聖マリアンナ医大形成外科)ら
中川(東大) :サンプリングの時期と,対象は白人
皮膚欠損創面被覆手段としての培養表皮移植の有用
でもskin
性について
するのか。
手塚(近大) :リヨンで学会があり,
Dr. Thivolet
type
cresm などを
3型の内のどれに相当
広瀬 :2月にbiopsyしました。全員皮膚
の下のdoctorに直接確かめたのです
の落屑を伴っていました。skin
が, deep dermal burn には生着しない。
で分けて検討していません。
type
また,恵皮部に植えたdonnものに置
近藤(医歯天):KligmanらはElastic
き換わると申しておりました。
reversibleで回復すると言っています
18.黒川一郎(ベルリン自由大学)ら
が,先生の報告されたelastic
ヒト皮脂腺及び毛嚢漏斗部におけるケラチンならび
変化もreversibleで遮光などにより元
にfilaggrinの存在及び分布
にもどるのでしょうか。
手塚(近大) :filaggrinは皮脂腺導管部に存在しな
広瀬 :Kligmanの奥さんかやられておられ
いのでないか。導管部にはケラトヒア
るのですがビタミンAのクリームを使
リン穎粒は存在しないと思いますが。
用すると確かにシワはなくなり真皮の
黒川 :存在すると思います。
深いところまでのElastosisが消失し
諸橋(富山医薬大):毛色漏斗部には電顕的に微少なケラ
た写真を沢山みせてもらいました。確
トヒアリン穎粒が存在します。
か,ネヅミでもやっておりますが,
19.広瀬寮二(長崎大)ら
elastic
角層及び表皮における慢性の日光性変化の微細構造
消失するかどうかはわかりません。
fiberの変化は
fiber の
fiberの変化が遮光しただけで,
手塚(近大) :対象は白人ですか。
広瀬 :25-45才の白人を対象として用いま
乾癖
した。
座長麻生和雄,飯塚 一
手塚(近大) :私かボストンに留学していた時の経
20.池田志享(順天堂大)ら
験では,寒い所なので春になると男性
乾●の病態整理一乾癖皮疹部皮膚の器官培養による
でも顔の前に銀紙を張ったびょうぶの
検討
様なものを立て七日光浴をするので日
乾癖皮疹部皮膚の器官培養法で,培養温度の低下お
本人にはみられない変化と思いますが
よびserine系protease inhibitorの添加が,棟融解様
一般演題
1391
変化や皮膚全体の変性を抑制する知見を報告した。
27.竹松英明(東北大)ら
21.薄場 秀(日大)ら
乾癖病巣に対する圧迫の効果
尋常性乾癖における核分裂細胞数と治療効果との相
東北大学,竹松らは乾癖病巣に対し圧迫を行ない治
関性
療の有効性を認めた。
核分裂細胞数が1.7%未満の例は治療有効で,
1.7以
有効性は約4日目頃から認められ,これは乾癖表皮
上の例は非有効であり,核分裂細胞数の算定は,乾癖
のturnover time に略一致する。血流低下による作用,
治療効果と相関性を有することを示した。
contactinhibition効果の圧迫による増強などがかんが
22.桑原まゆみ(岐阜大)ら
えられるが,温熱療法,冷凍療法に加えて物理的刺激
乾癖真皮線織芽細胞におけるイノシトールリン脂質
療法の変法として注目される。
代謝
28.石川博康(弘前大)ら
乾癖患者線維芽細胞では刺激に対するイノシトール
β-blockerにより誘発されたと思われる尋常性乾
脂質代謝の反応性が高くなっていることを報告した。
癖の3例
著者らはすでにPKC
弘前大学,石川らはβ-blockerにより誘発されたと
(protein-Kinase-c)が乾癖線維芽
細胞で上昇していることを明らかにしている。
思われる尋常性乾癖の3例を報告した。これに対し関
23.浦野芳夫(徳島大)ら
西医大の朝田はlichenoid drug eruptionの可能性を指
乾癖表皮におけるEGFレセプターの分布について
摘した。また他のβ-blockerの作用がどうであった
EGFは正常表皮では基底細胞層に限局している。
かの質問がなされた。β一blockerによる乾癖様皮疹は
著者らは1251-EGFを用いたbindingassay で乾癖表皮
乾癖の病態において重要なモデルを示すことになるた
ではEGFレセプターは有斡層にも多数見出されてい
め症例のっみ重ねが期待される。
ることを報告した。
24.藤田佩由美(京大)ら
角化症
乾癖皮膚における表皮成長因子受容体(EGFリセ
座長大河原章,橋本 功
プター)の局在
29.篭浦正順(富山医薬大)ら
乾癖表皮のEGFレセプターの局在をモノクロナー
Erythrokeratodernnia Variabilisの1例
ル抗体を用いた酵素抗体法で検索,正常ヒト皮膚,慢
erythrokeratodermia variabilisは16歳女性の典型例
性湿疹と比較した。乾癖では無疹部・皮疹部ともに陽
で,排卵から黄体期にかけて皮疹は悪化し,月経後か
性所見をえた。
ら排卵中期に軽快する興味ある症例であった。これら
25.小林 仁(北海道大)ら
のことから演者は本症の発症にホルモンか関与してい
乾癖と「as遺伝子発現の異常
一
北海道大学,小林らは尋常性乾癖皮疹部ではras遺
ると推測した。ホルモンとの関係は文献的にも提唱さ
伝子産物であるp21が表皮全層で陽性になる事,
あることを考慮すると慎重に対処されるよう座長から
れている。チガソン内服が有効であったか若い女性で
mRNAではki-rasか強く発現している事を示した。
コメントがなされた。
抗p212モノクロナル抗体がカバーしている抗原は素
ス30.中野俊二(久留米大)ら
直に考えるとk-rasという事になる訳であるが現時点
多彩な随伴症状を呈した水雍型先天性魚鱗癖様紅皮
では断定は避けた方が良いかもしれない。
症の一例
H2-rasが
adenylate cyclaseを抑制しているとする他の細胞系の
多彩な随伴症状を星した水庖型先天性魚鱗癖様紅皮
報告とあわせ極めて興味深い所見と考えられる。
症は,精神発育遅滞,骨格の異常,脳波の異常,部分
ス26.中田昌克(和歌山医大)ら
的成長ホルモン欠乏症等様々な先天的異常を伴う症例
扁桃摘出を試みた騰指性乾癖
で, Rud症候群のごとき一つの症候群ではないかとの
和歌山大学,中田らは,扁摘を行ない軽快した膿庖
意見があり,今後慎重に観察することとなった。
性乾癖を報告した。qroup
A streptococcalmonoclonal
ス31.本間 真(国立姫路)
antibodyは表皮とcross reatする事が知られておりそ
Dyskeratotic Cystを伴うダリエー病
の意味からも興味深い。
dyskeratoticcyst を伴うダリェー病の一例は,ダリ
エー病患者の顔面にみられた白色丘疹は,組織学的に
は, epidermal cystであったが,その壁にdyskerato-
1392
一般演題
SiSがみられ,本同氏はそれをdyskertotic
cyst と仮称
不顕性感染と思われる症例もあることがわかった。本
した。貴重な症例であった。このcystはエトレチナー
邦でもかなりLyme病が潜在していると考えられた。
トには反応しなかった。
Lyme病では慢性遊走性紅斑のほか,第2期に神経症
ス32.奥田良治(京府医大)ら
状,心筋炎,第3期に関節炎がみられるが,これらが
膿瘤性乾癖様皮疹を生じた毛孔性紅色枇糠疹の一例
みられた例は,ほとんどなかったという。
僅か1週間のステロイド外用により膿庖性乾癖様皮
染による慢性遊走性紅斑の出現率は50−80%,第2期,
疹を呈した毛孔性紅色枇糠疹症例が報告されたが,文
第3期症状出現率は外国例では30%程度,慢性遊走性
献的にこのような合併は初めてであるという。本例の
紅斑なしで第2期,第3期症状が出現することもあり
原疾患が乾癖ではないかと種々論議されたが,結局,
得るという。本邦のLyme病媒介動物はシュルツェマ
Lyme病感
演者の発表でよいことになった。
ダニが主と考えられるが,シュルツェマダニのBorre-
33.段野貴一郎(天理よろづ相談所)ら
lia burgdorferi保有率は明らかでない。マダニ刺咬を
エトレチナートが有効だった重症汗孔角化症の1例
みたときは,抗体価をしらべておくのがよい。治療は
汗孔角化症の老人例で,初診の1年前から一部の皮
ミノサイクリンまたはペニシリンが有効であり1∼2
疹の上にBowen病を発生したという。座長から,後
週間使用するのがよい。マダニ刺咬例には予防的治療
者は単に前者を基盤に発生したものではなく,既往の
を行うことをすすめる。
梅毒に対して28才時に行われた枇素治療の影響も考慮
37.岡 恵子(東医歯大)ら
すべきであるとのコメントがなされた。
蚊剌にに対する反応 第2報
ス34.小瀬川玄(岩手医大)ら
岡恵子(東医歯大)は蚊剌に対する反応を,30分を
ー
ピークとする即時反応と,24時間をピークとする遅延
Hyperkeratosis
Hyperkeratosis
Lenticularls Persiansの1例
lenticularis perstans典型例が報告さ
反応に分け,即時反応について,めすひとすじしま蚊
れたが,大川(盛岡市)より,電顕的にオドランド小
の唾液腺粗精製液を作成し実験を行った。粗精製液1
体が無構造ないし空隙状を呈するのは不充分な固定に
匹分には膨疹形成に必要な量のヒスタミン,セロトニ
基づく人工的変化であるとの指摘があった。
ンを含有しない。分子量1万以上の粗精製液分画が,
蚊唾液特異lgEを介してCoomb's
I
型反応の惹起す
リケッチア・細菌など
ると結論した。蚊による膨疹はI型反応であり,乳児
座長肥田野信,西脇宗一
初期には蚊刺による膨疹反応は起らず,幼児では感作
ス35.中村進一〔日医大(第1)〕ら
成立後に膨疹反応をみるようになると述べた。
マダニ剌咬症の1例
38.成田博実(県立宮崎)ら
中村進一ら(日医大・第一)は58才男子陰茎包皮に
宮崎県の紅斑熱リケッチア症
寄生したマダニ剌咬症の組織学的所見を報告。
今まで日本になかった紅斑熱りツケチヤ症が,四国,
36.堀内信之(佐久総合)ら
鹿児島,千葉,島根などから報告されているが,成田
マダニ刺症と本邦におけるLyme病の存在につい
博実(宮崎県立)らは宮崎地方でみられた紅斑熱りツ
て
ケチア症の5例を報告した。本症の臨床症状は,高熱,
堀内信之,森 守*,大塚勝次**(佐久総合,*予
一
研体液性免疫,**日本凍結乾燥研)は本邦のマダニ
全身倦怠感,全身に散在する紅斑,典型的な刺し口が
あるなどつつが虫病と極めて類似している。報告例は
ー
皿こ
はじめつつか虫病を疑ったが血清抗体価検査の結果つ
例をもとに検索した結果を報告した。33例の内訳けは,
っが虫病は否定され,
虫体付着して来院したもの16例,虫体除去したが顎部
昇の結果から紅斑熱りツケチア症と診断された。ワイ
R. montanaに対する抗体価上
(ロ下片)残存で来院したもの9例,マダニ除去後慢
ルフェリックスはOX2が陽性であった。臨床的につ
性遊走性紅斑で来院したもの8例である。
つが虫病と異る点は,紅斑に出血がみられるものが
8月の期間に採血した20例について,
1987年7−
Borrelia burg-
dorferiに体する血清抗体価をしらべたところ,6例
で高値を示した。慢性遊走性紅斑患者でも5
あった点と,核左方移動を伴う白血球増多がみられた
こと。軽度の血小板減少と軽度の肝障害などであろう。
−10年経
本症の媒介動物はマダニの可能性が言われているが,
過したものでは血清反応が低値であったが,逆に慢性
報告の5例はいずれもマダニ刺咬の既往はなかったと
遊走性紅斑がなくても血清反応陽性のもの,すなわち
いう。治療はミノサイクリンが著効を示した。
一般演題
ス39.吉永愛子(熊本中央)ら
1393
た。
Vibrio Vulnificus感染症の一例
肝硬変治療中の57歳男子に生じたVibrio
vulnificus
ウイルス感染
感染症を報告。サシミを食して2日後,40℃の発熱あ
ー
り,3日後激烈な下肢痛と腫脹があり,下腹部,胸部
座長 香川三郎,佐々田健四郎
の散在性紅斑を生じて受診した。抗生物質,ステロイ
シェーグレン症候群に合併した帯状癒疹髄膜炎
ド,ヘパリンなどの治療を行ったか翌日死亡した。初
シェグレン症候群に合併した帯状庖疹髄膜炎(石本
診時の血液培養でvibrio
多佳子・島根医大)では帯状庖疹誘発とシェグレンに
ス45.石本多佳子(島根医大)ら
vulnificus を検出した。本症
は急性の経過をとる極めて死亡率の高い(50%)疾患
対する治療の関係の質問(座長)に対し,特別の治療
である。早期に診断してアミノグリコンド,クロマイ,
なしと答弁。
テトラサイクリンなどの薬剤を使用し,外科的切除,
ス46.吉田正巳(近畿大)ら
壊死組織除去を行えば救命できる。皮膚科領域でも最
汎発疹を伴う複発性帯状雍疹の1例−ウイルス
近報告か増えている重要な疾患であり,臨床的に壊死
DNAの解析−
性筋膜炎と類似している。基礎疾患のあるものに発生
し,とくに肝硬変患者と合併することが多く,
vulnificusが産生するproteolytic
汎発疹を伴う複発性帯状庖疹の1例−ウイルス
vibrio
,collagenolyticな活
DNAの解析(吉田正巳ら近大)では躯幹の皮疹は汎
発疹の部分症状ではないか(畑清一郎・大阪労災),
性物質により病変が急速に拡大してゆくと考えられ
複発性の発生頻度,老人の水痘の問題(座長)につき
る。生の魚介類から経口,外傷の2通りの感染径路で
質問あり,2ヵ所の皮疹は典型的帯状庖疹で,汎発疹
体内に入り,敗血症となる。肝硬変患者の下腿に急性
ではない,複発性の頻度は約1%,正常人でも複数の
フレグモーネ様病変をみたときは,
神経節にVZVが潜伏感染している可能性がある。現
を考え,
2,
vibrio vulnificus
3日前に生の魚介類を摂取していないか,
在VZV株間の異同の判定は可能,老人の水痘は再感
海水にふれていないかを聞き,それがあれば,上記の
染と推察する旨答弁された。
治療をただちに行うのかよい。
47.村木良一(救世軍ブース記念)ら
40.田中 浩(メナード生化研)
帯状瘤疹皮疹部におけるウイルス抗原陽性部位の推
分泌型lgA及びラクトフェリンの皮膚細菌に対す
移
る増殖抑制効果
帯状庖疹皮疹部におけるウイルス抗原陽性部位の推
41.稲沖 真(金沢大)ら
移(村木良一他・救世軍ブース記念)では抗原陽性細
黄色ブドウ菌epidermolytic
toxin A遺伝子の構造
胞で細胞質と核とでの陽性度の程度,封入体ではどう
ET産生ブ菌の遺伝子を解析した細菌学的研究で,
か,陽性部位にウイルスか必ず存在するといえるか(白
特に質疑はなかった。
取昭・市立札幌),水痘では抗原は真皮内に最初に出
42.青井絵美(帝京大)ら
現するとされるが,帯状庖疹では最初表皮内に出現す
となったノルウェー疹
ると考えてよいか(畑清一郎・大阪労災),血管腔内
癖の2例
の単核球に抗原陽性のみられる率(川島 真・東女医
52才男,92才女の2例の報告で,院内感染の管理上
大)などの質問に対し,ウイルス抗原は細胞膜,核の
皮膚科医の関心を持たねばならない問題を提起した。
両者にはゞ同時にみられ,封人体を有する細胞核にも
43.岡部俊一(平鹿総合)ら
みられる。この陽性所見は抗体がウイルス感染の後期
足趾の骨髄炎に伴った皮膚炎
蛋白であることからその部で既にウイルス増殖が起っ
手・足の化膿性炎症をみた時にはレントゲン検査に
たことを示す。陽性所見即ちその時点でウイルスの複
よるチェックが必要であることを強調した。実地上有
製を示すものではない。抗原陽性所見か古い紅斑期の
用な示唆と考えられた。
表皮にみられたことはウイルス増殖が表皮の細胞に最
44.高槻 覚(杏林大)ら
初に起ると考える。血管腔内細胞では数日後死亡した
大腿・下腹部に浮腫性紅斑病巣を伴った電撃性陰嚢
汎発例に1∼2コみとめられた旨答弁された。
壊疸
下腹・外陰の急性発赤腫脹から壊死を来したが治癒
できた幸なケースである。特に積極的な対論はなかっ
1394
48.安元慎一郎(University
一般演題
of Maryland,九州大)
真菌症
座長渡辺昌平,高橋伸也
ら
UVB照射による単純ヘルペスウイルスにたいする
52.高瀬孝子(筑波大)ら
Suppressor T細胞の誘導
下腿に生じたスポロトリコーシス
UVB照射による単純ヘルペスウイルスに対する
71歳,農婦の右下腿のスポロトリコーシス(固定型)
suppressorT細胞の誘導(安元慎一郎他・九大)では,
を報告するとともに,過去6年間に筑波大で経験した
この実験系では初感染の方はよくわかるが,一度感染
36例の集計結果が述べられた。患者は利根川流域の住
し再発してくる場合の実験系はあるか(川島 真・束
民に多く,年齢別頻度は60歳代にピークを有し,固定
女医大)の問いに対し,潜伏感染からの再発の実験は
型27例,リンパ管型9例。 1971年以降のわが国の報告
経験かない旨答弁された。
例では,下肢発症例は36例に過ぎない。林(福岡大)
49.石井敏直(国立高崎)
の,日本では外国に比して下肢発症例は著しく少ない
帯状庖疹に対する副腎皮質ステロイド剤と抗ウイル
ことの理由の質問に対し,演者は本症が発症する冬季
ス剤の併用療法について
には仕事中に余り下肢を露出しないと云う生活週間が
演者は既に帯状庖疹に対して,ステロイド剤単独療
1つの要因であろうと述べ,田沼(北里大)は下腿の
法による治験を報告され,好結果を認めているが,今
本症の多くが固定型をとることは,局所の免疫機序が
回ステロイドと抗ウイルス剤との併用により,症状の
関係するのではないかとの意見を述べた。
改善,治癒後の癩痕形成の防止を述べた。年齢的な適
53.村田洋三(兵庫県成人病)ら
応,帯状庖疹初期におけるステロイド投与が,ウィル
皮膚Nocardiosisの1例
ス増殖を助長する懸念についての質問(兵庫県立成人
再生不良性貧血にてプレドニソロン内服療法中の60
病センター,熊野)には,若年者でも重症例において
歳,女性の右頚部から肩にかけて生じた手掌大の皮膚
は併用が望ましい例があり,現在までステロイドによ
ノカルジア性菌腫である。明らかな外傷の既往はなく,
りウイルス増殖を助長する成績はみられないとの答で
原因菌はN. frasiliensisと同定された。ミノサイクリ
あった。発病初期における投与の必要性(救世軍ブー
ン300m9/日,
DDS 160inQ/ 日の併用5週間で略治。
ス記念病院,村木)の追加があった。抗ウイルス剤も
わが国におけるノカルジア性菌腫の殆んどがN.
多くの治験が重ねられ,大体評価が決まって来たが,
oidesによるものであり,頚・肩部に生じたことと共
鎮痛効果は弱く,ステロイドならび他の鎮痛,消炎剤
にN. frasiliensisが分離されたことで甚だ珍しい症例
の併用,又は神経節ブロックなどは必要と思われる。
である。田沼(北里大)は,プレドニソロン投与中の
50.沢井孝之(滋賀医大)ら
自己免疫性溶血性貧血患者に併発した1例で,当初は
アシクロヴィル,グロブリン製剤が奏効した,
全身性免疫異常を認めず,細胞マーカー検索にて好中
Cytomegalic inclusion disease
球リゾチーム染色陰性が証され,2年後に免疫異常と
本症例はHodgkin病に併発し,
ACVならびにグロ
ブリン剤の併用を比較的長期間使用し軽快せしめてい
ともに全身性クリプトコックス症を発症した症例を追
加報告した。
る。サイトメガロウイルスに対する治療剤はギヤシク
54.加藤卓朗(医歯大)ら
ロビルDHPGがアメリカでは許可され,
ALLに合併した皮膚クリプトコックス症
ACVよりも
aster-
有効との事である。
症例は8年前よりALLに羅患せる17歳の女性で,
51.中島秀喜(山口大)ら
PVDA療法中,外傷1週間後に右第1指尖に発症した。
免疫ウサギ血清の種々のエイズウイルス株に対する
局所リンパ節腫大はないが,他臓器に原発巣を思わせ
中和活性の検討
る所見を認めなかったことから原発性皮膚クリプト
HIVの易変異性をHTLV−ⅢとYu−6に対する中
コックス症と診断された。分離菌C.
和活性から検討した結果,エイズワクチンの開発の困
serotypeはD型である。ちなみに,皮膚病変から分離
難性を示した。
neoformansの
されserotypingを施行した5菌株はすべてD型であ
るという。皮膚クロプトコックス症の場合何時も問題
となるのは,原発性か否かの判定である。無症状,不
顕性肺感染が比較的多いと考えられ,血行性に転移し
やすいクリプトコックス症においては,それ故に皮膚
一般演題
1395
病変が原発性か続発性かの判定は容易ではない。福代
57.林 紀孝(福岡大)ら
(金沢大)は,外傷の既往,ことに領域リンパ節腫大
扁桃と頚部リンパ節に病変のみられた顕症梅毒,ク
の合併を皮膚原発性と判定する必要条件としており,
ラミジア感染症合併例
その詳細については彼等の論文に述べられている。
40歳,男子。特殊浴場サービス嬢と交際,2週間後
(文献 田辺俊英,福代良一:局所性皮膚クリプト
に右扁桃の発赤,腫脹,右頚部リンパ節の有痛性腫脹
コックス症一症例報告とわが国の文献の検討−,西
を生ず。リンパ節生検でぱStellate”
日皮膚, 49; 56∼63, 1987)
その辺縁にfibrinoid変性が著しい壊死がみられ,好
55.松田哲男(九州大)ら
中球,形質細胞,リンパ球の浸潤と最外層に肉芽腫性
abscess形成,
反応が認められる。かヽる所見はクラミジアによるリ
両上肢に生じたProtothecosis
葉緑素を欠くクロレラ近縁の真菌,
Prototheca
ンパ節炎の特徴的所見で診断的価値が高く,また本例
wickerhainiiによる日和見感染症である。症例は糖尿
ではFITC標識モノクロナール抗体を用いた免疫蛍光
病(未治療)を有する80歳の農夫で,外傷の既往はな
法直接法でChlamydia
く,約5ヵ月間ステロイド軟膏外用中に,両上肢に対
称性に痴皮,膿庖を伴う落屑性紅斑局面を生じた。免
trichomatis抗原F型,G型を
検出した。またSTS緒方法80倍,
TPHA
2,556倍,
FTA−ABS320倍を証した。かつてしばしばみられた
疫異常はない。Ketoconazole 200m9/日内服,19週間
淋病に代わってクラミジア感染と梅毒との合併が近年
で治効がえられた。 Protothecaは自然界に広く分布し,
増加傾向にある。扁桃のクラミジア感染は性器への直
p. wickerhamiiの他にp. zopfii,P. stagnoraが知られ
接接触によるもので,耳鼻科領域では扁桃炎の26%に
ており,ウシ,イヌその他の動物に全身感染症を,と
本菌が検出され,
くにウシでは重篤な乳腺炎を起す。渡辺(滋医大)に
(小川浩司:Medic,
よるとヒトに感染するのは主としてp.
ラミジア感染の治療にはテトラサイクリン,エリスロ
wickerhamiiで
61%に性的接触の既往があるという
vol.22,
No. 10,
p3∼5)。ク
ある。尚,本邦における皮膚プロトテコーシスの第1
マイシン,ニューマクロライド系薬剤,オフロキサシ
例は,昭和58年の医真菌学会で柴田(名大)によって
ン,リファンピシンが有効である。
報告され,本例は本邦第3例目である。
58.川崎 了(都立大塚)ら
56.西本勝太郎(長崎市民)ら
梅毒性脱毛を伴った神経梅毒の1例
温熱療法,
ほぽ同時期に梅毒性脱毛と梅毒性脳神経症状が出現
DNCB療法を行なった黒色真菌症の1
例
した47歳,男子例である。神経学的所見,放射線学所
51歳,男子の左警部に生じた15×12cm大の病変を3
見より脳底同脈穿通枝の障害による髄膜血管型神経梅
分し,温熱療法,
毒と診断された。ペニシリン療法により6週後には脱
DNCB療法の効果を対照と比較検討
した。分離菌Fonsecaea
pedrosoiの発育は39.5℃で抑
毛,脳神経症状とも著明に改善,梅毒反応も低下した。
制,41℃で完全に阻止された。治療効果は温熱療法2ヵ
なお,頻回施行された血清の抗Tp-IgM抗体は常に陰
月で臨床的,組織学的,菌学的に治癒をえたが,
性であった。2つの症状が何故同じ時期に出現したか
DNCB療法部では臨床的に改善をみたが治癒には至ら
について演者は旧い梅毒感染の上に再感染があった為
なかった。近年わが国では,クロモミコーシスに対し
と理由づけしたが,占部(九大),肥田野(東女医大)
て局所温熱療法が盛んに行なわれているが,その効果
から,再感染ということで2つの症状を説明すること
についての評価は良否相半ばである(高橋(秋田犬))。
に疑義が出された。本症例と同じような症例が最近,
渡辺(滋医大)は主要原因菌であるF.
野波らによって報告されている。扁平コンジロームに
pedrosoiにお
いて温度と発育の関係は菌株によって大きな差があ
脳神経症状を合併したもので,検査成績より脳神経症
り,温熱療法の効果の違いは菌側のこのような相違も
状は髄膜血管型梅毒のうちビマン性大脳髄膜炎による
要因の1つであろうと述べた。また好中球,組織球の
と判定された。かヽる症例は治療によく,速やかに反
食菌,殺菌能など免疫担当細胞の加温による賦活化も
応し,脳実質は侵されないので予後は良好であるとい
要因となりうる。熊野(兵庫県成人病)の本症では手
う。
術療法がfirst choiceではないかとの質問に対し,演
(文献 野波英―朗他:脳神経症状を伴った第2期
者は1)温熱,2)薬剤−5
顕症梅毒,皮膚臨床,26
-FC,
アンホテリシンB,
3)手術の順に選択したいと述べた。
: 109-112,
1984)
1396
一般演題
59.大谷道廣(県立岐阜)ら
はないかとの意見が出され,肥田野(束女医大)は,
〈演題名及び抄録変更〉
改めて知覚鈍麻,神経肥厚など初歩的診察の大切さが
「第1期梅毒における各種梅毒血清反応の比較検討
述べられた。
昭和62年,当科受信した第1期梅毒36例について従
61.尾崎元昭(県立尼崎)ら
来の方法のほかTP-MCについて検討した。結果:1.
らい新患発生の減少
STS,FTA,TP-MCは感染3週,その後TPHAが陽
1981∼1987年の7年間の調査成績(241名)を1974
性となる典型例。 2. STSが異常高値例。
∼1980年の7年間の成績(472名,何れも外国人を除く)
が3週で陽性。4.
3. TPHA
STSが最も早く陰性化。5.
と比較検討した。男女比の3:1∼2:1は変らず,
TPHAとlgMが同様に陰性化。 6.再感染では
患者の出身地による地域別頻度は,東海,近畿,九州,
TPHA異常高値, IgMは最も早く消失。7.再感染類
とくに沖縄県で減少傾向著しいものヽ,九州,沖縄県
似のパターン。8.
igM抗体が遷延する例。9.すべ
では依然新患発生は比較的多い。東北,関東,四国で
ての抗体価が低値。 10.自然治癒例など血清反応の推
は減少傾向は少ない。10歳以下の若年者発病は本土で
移は様々であり今後症例を集めてパターン分類を試み
8名から1名へ,沖縄県で65名から14名と激減してい
たい。なおTP-MCはTPHAに比しlgM抗体を強く
る。高齢者発病の減少傾向は少なく,高齢者の占める
反映する。」
割合はむしろ増加している。かつて年齢分布曲線が幼
3ヶ月以内に感染した第1期梅毒36名(男13名,女
年者と中高年者の2つにピークを有する二峰性であっ
23名,女子の多くは20歳代)について,新らしく市販
たのが,最近では高齢者のみにピークを示す一峰性分
されたTP-MC法と, STS {ガラス板法,緒方法),
布となった。この若年者発病の減少,高齢者発病の増
TPHAによる血清反応の推移を比較検討した。①
加という現象は,らい流行の消退を示唆する特徴でも
TP-MC法はlgM抗体をよく把える。lgM抗体は感染
あり,このことはL型の割合の減少,B群の増加といっ
後2週間頃から出現すると思われる。但し,初期の
たらい病型別頻度の変化からも推測される。L型の割
lgM抗体過剰時期にはしばしば陰性,疑陽性に出たり,
合の低下は感染源の減少を意味する。一方,B群の増
エンドポイントの判定が難しいことがある。②初期硬結
加は,皮膚症状が非定型的なために,診断が遅れるー・
ではSTSが高値,
TPHAは遅れて陽性,低値を示す。
因にもつながり,治療に際して急性変化,即ちらい反
③第1期梅毒ではSTSは比較的早く陰性化するが,
応を生じやすいという問題を含んでいる。沖縄県では
lgM抗体の陰性化はそれより遅れる。④第1期梅毒の
T型の割合が高く,未だに流行地に近いことを意味す
治癒判定にはSTSで十分と考えられる。
る。演者らは最後に,患者の減少傾向は甚だ喜ばしい
TPHAは,
感染初期の抗体検出率が少し悪いようで,また治癒し
ことであるが,それに伴って診断,治療スタッフの確
た症例でも抗体値が下らぬことがある。⑤TP-MC法
保が一段と困難になっており,今や国際的常識とも
はlgM抗体を最も早く検出するので早期診断に有用
なっている大学病院,一般病院での協力を願われた。
なものと思われる。⑥3つの血清反応には,症例によっ
肥田野(東女医大)のB群の増加の理由,近隣諸国に
て種々の反応パターンがあるので,今後このパターン
おけるらい患者の現況の質問に対し,1つの説として
を更に検討してみたい。
高齢者発病の場合,ある程度免疫を保持された状態で
60.黒川基樹(宮崎医大)ら
発病する為に非定型症状を呈するB群が増加している
急速に発症し悪性リンパ腫を疑つたらいの1例
のではないか。また近隣諸国のうち経済発展途上国で
近年,皮膚科医がらい患者を見る機会が少なくなっ
は減少傾向はなく,流行地ではT型がとくに多いとの
たが,本症は完全に消滅したわけではなく,またその
説明があった。
経過,臨床像も多彩であるので,発見,診断にはつね
62.青木見桂子(日医大)ら
にその存在を念頭においていることが大切である。本
皮膚腺病の1例
例は,そういった意味で示唆に豊む症例である。61歳,
69歳,女子の既往に結核性胸膜炎,左肩関節結核,
男子,初診の約1ヶ月前に左手関節部の有痛性腫脹で
それに基づく肩関節硬直を有する患者の,肩関節結核
始まり,急速に四肢関節,末梢部に腫瘤を多発,かつ
に続発した左肢嵩部の皮膚腺病である。IHMS
全身症例をも生じた。細胞性免疫低下を認め,結局組
/日, RFP450mg/日の内服により約4ヵ月で略治し
織学的,菌学的検査によりBL型らいと診断された。
た。昭和40∼62年間の調査では高齢者に真正皮膚結核
熊野(兵庫県成人病)よりENLも混じっているので
の発症が多く見られるが,最近10年間の調査では30才
1000m9
一般演題
未満患者か12.1%を占めており,若年者の発生も決し
1397
形態を示す。6)肉芽腫中の組織球,巨細胞中にウロキ
て稀でないことに留意すべきであると注意を喚起し
ナーゼが存在する。
た。
65.千葉純子(岩手医大)ら
63.筒井真人(旭川医大)ら
廠痕浸潤を伴ったサルコイドーシスの1例
旭川医大皮膚科及び関連病院における尋常性狼疲の
30歳,男性,胸部レントゲン写真でBHL(十),経気
経験
管支肺生検で類上皮細胞肉芽腫をみとめ,肺サルコイ
昭和62年11月までの11年間に12例が観察され,旭川
ドーシスと診断された。肘頭,膝蓋部に娠痕と紅色丘
医大の5例は同時期の新患総数に対し0.029%で,昭
疹があり,丘疹は特に膝蓋下部で多発・集族していた。
和42∼54年13年間の北大の統計0.025%に略々同率で
病理組織学的に膝蓋部の丘疹は非乾酪性類上皮細胞肉
ある。結核の既往を有するもの12例中3例と少ない。
芽腫で,異物巨細胞,ガラス様異物を混ずる。透過型
顔面の発症が多い。このうち4例が供覧された。①76
電顕とエネルギー分散型X線分析器を組合わせて異物
歳,男性。約50年前に発症。右頬部,頚部,左肩部に
の組成を解析した結果,従来の報告と同様に,この異
結核病変を,頬部病変部にs.c.c.を併発。ヒト型結核
物はケイ素とアルミニウムより構成されることが確認
菌(十)②57歳,女性,約35年前に発症。左頬部・下顎部・
された。
頚部と右警部。菌培養(-)。③65歳,女性。10年前に発
66. fl田稔夫(大阪市大)ら
症。左頬部。菌培養(-)。④9ヵ月の女児。BCG接種3ヶ
顔面の多発性サルコイド様肉芽腫一肉芽腫性口唇
月後に左上腕に小児手掌大の病皮,ビランを伴う紅斑
炎の一興型−
局面形成。菌培養(-)。免疫異常なし。経過期間の長い
55歳,女性,昭和50年4月,前額,頬,下顎に浮腫
症例は,何れも未治療のまヽ経過したものである。小
性腫脹,皮下硬結出現,ロ唇腫脹なし。
泉(水戸協同)は,菌培養陰性例を尋常性狼愉と診断
BHL(-),他の一般検査成績に異常なし。病理組織像で
したのはdiagnosis
ACE正常,
類上皮細胞肉芽腫をみとめ,サルコイドーシスとして
ex juvantibus であるのか,われわ
れの病院でも過去10年間に結果菌培養(十)は僅かに1例
プレドニソロン内服治療により症状は消失した。13年
に過ぎず,何を以て結核と診断してよいのか常日頃疑
後,再び顔面の腫脹,皮下硬結が出現し,生検により
問をもっている,との発言があった。わが国では,昭
皮下組織に類上皮細胞肉芽腫がみられた。Gaシンチ
和30年代より真性皮膚結核の減少傾向を認め,ことに
で顔面,下顎に異常集積(十)。一般臨床検査に異常なく,
40年代,50年代には北海道から九州に至るまで著明に
BHL(べACE正常,
減少している。しかし演者らの報告では,旭川医大及
異型としてオキサトマイドとグリチルリチンを投与し
び関連病院では尋常性狼愉患者は毎年数例が観察され
たところ,症状は次第に消退した。大熊守也(近畿大)
ているという。
は組織像が肉芽腫性口唇炎のそれと合わない点が,北
PPD陽性,肉芽腫性口唇炎のー
(文献 本田光芳。新見やよい:皮膚結核の現況。
郷修(都立駒込)よりサルコイドーシスの診断基準に
皮膚臨床 27;
問題があり,基準を必ずしも満足しないサルコイドー
1209∼1214,
1987)
シスもあること,この例はサルコイドーシスかもしれ
サルコイドーシスなど
ないとの意見が述べられた。
座長 上田恵一,石崎 宏
67.板東真弓(札幌医大)ら
64.瀬川郁雄(岩手医大)ら
全身型サルコイドーシス:びまん浸潤型,結節型。
ヒト単球/マクロファージが分泌するplasm
nogen
i-
皮下型サルコイドーシスの重複した1症例
47歳,女性。胸部レントゲン検査でBHL(十),肺野病
activator (PA)
分離培養したヒト末梢血単球について生化学的,免
変(十),PPD(-), ACE値上昇,尿中カルシウム高値,
疫学的に検討し,以下の成績を得た。1)ヒト単球/マ
Gaシンチで肺,リンパ節,骨の異常集積像(十),経気
管支的肺生検で肺,気管支,鼻腔内にサルコイド結節
クロファージは分子量55,000と3,000の2つのPAを
分泌する。2)
PAはウロキナーゼ型である。3)
PAは
を確認,左鼻翼にびまん性暗紅色腫脹,右前腕・上背
y−インターフェロン刺激により培養細胞内に蓄積さ
部・下顎に多数の小結節があり,組織学的に類上皮細
れる。4)r-インターフェロン,リポポリサッカライ
胞肉芽腫がみられた。プレドニン内服により検査所見
ドの複合刺激によりPAの分泌は増加する。5)y−イ
の改善,臨床症状の軽快がみられた。
ンターフェロン刺激により,培養初期より巨細胞様の
一般演題
1398
68.中村浩二(広島大)ら
ないか,さらに大型の環状皮疹はanetoderma様であ
小児皮膚サルコイドーシスの1例
るがトリアムシノロンの局注を行うと弾力線維が出現
11歳,男性。4歳時から40℃台の発熱,関節,両大
するかと質問,演者は丘疹は経過中に変化しないこと,
腿の浸潤性紅斑出現。数ヵ月で消退した。以後も大腿
前腕にみられた皮疹は扁平に隆起し,中心部が陥凹し
に同様の皮疹が出現。7歳時,両側顔面神経痛が3回
ていたとし,トリアムシノロンを皮疹の辺縁に局注し,
出現。現症として両頬部の浸潤性紅斑,胸部・背部・
消退1∼2ヵ月後に中心部を生検すると弾力線維が多
上肢に丘疹を伴う紅斑,下肢に強い浸潤性局面がある。
少出現していたと答えた。上田恵一(福井医大)は本
BHL(-),PPD(-),ACE軽度上昇。眼科的に陳旧性ブ
症の全身型,限局型の分類につき意見を求めたか演者
ドウ膜炎(+),右大腿部の紅斑,右鼠径部リンパ節生検
は皮疹の臨床像による分類の方が理解しやすいと答え
で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫をみとめた。腹腔鏡検査
た。
で肝に肉芽腫病変はない。プレドニゾロン内服で皮疹
71.中山富紀子(静岡県立総合)ら
は軽快,本症はきわめて稀な例と考えられる。北郷
アトピー性皮膚炎に合併した木村氏病の1例
修(都立駒込)は熱発例は日本人では少ないが,外国
62歳,男性。アトピー性皮膚炎の経過・増悪後に左
では60%ぐらいあり,原因は明らかではないが,ウイ
耳下腺部に腫瘤が出現,組織学的に典型像を示し,抗
ルス感染の可能性につき述べた。
アレルギー剤で経過観察中の患者である。北郷 修(都
69.夏秋 優(兵庫医大)ら
立駒込)は本症ではlgE値は高値であるか特異的IgE
ステロイドの短期集中的局注療法が奏効した木村病
抗体が認められないことが多いようである。しかし報
の1例
告側にはカンジダに対するlgE抗体,即時型皮内反応
52歳,男性。両耳介後部に腫瘤を生じ,好酸球28%,
が陽性例がある。アトピー性素因のもとに起ったもの
組織学的に典型で木村病と診断された患者に,セファ
か検討を要するとした。西嶋摂子(県立塚口)は,本
ランチン40m9/日,ザジテン2カプセル/日投与した。
例はアトピー性皮膚炎の合併としているが,アトピー
自覚症状の軽度改善はみられたが,腫瘤に変化がない
と木村病は別の疾患のため合併としているのか,また
ためステロイドの局注が行われた。2週間にケナコル
同一素因のもとに起ったと考えているのかと質問,演
ト320mg,リンデロン20mgの短期集中的治療で腫瘤は
者は後者の考え方を述べた。夏秋優(兵庫医大)は使
縮小,好酸球も減少した。以後再発予防のためザジテ
用した抗アレルギー剤の種類と効果について質問,演
ン,セファランチンを投与していたが,腫瘤が腫大す
者はザジテン2カプセル/日2ヵ月投与しているが腫
るため再度ケナコルトを局注し腫瘤の縮小をみてい
瘤の縮小傾向がみられないと答えた。
る。コルチコステロイドの短期集中的局注療法はその
72.土井尚(広島鉄道)ら
後の経過観察を容易にすると報告した。上田恵一(福
Acquired
井医大)は局注コルチコステロイドを変更した理由に
えられた1例
つき質問,演者はケナコルトでは縮小傾向が著しくな
71歳,女性。血糖のコントロールが不安定で,
かったため変更したとし,再発時にはケナコルト局注
∼300m9/
で調節できたと答えた。
たReactive
70.加藤英行(自治医大)ら
で,
Papular
lesions
in patient with annular
elastolytic
giant cell granuloma
reactive
ョある例で,
perforating
Mehreganら(1967)が報告し
perforating coUagenosis
Patterson
collagenosisと考
と組織学的に同一
(1984)が報告した後天性に生ずる病
変に一致する患者である。上田恵一(福井医大)は糖
尿病における皮膚表現のうち,本症を起す誘因または
55歳,男性,体幹の環状皮疹の他に背,前腕に孤立
原因について質問,演者は糖尿病にみられる皮膚の真
性の丘疹を認めた例で,組織学的に典型像を示した。
皮乳頭部のangiopathyによって膠原線維が変性する
本皮疹にトリアムシノロンを局注したところ局注した
ことが本症の一因であるが,排出機構については明ら
皮疹のみならず他の部位の皮疹も3ヵ月の経過で消失
かではないと答えた。
した。Hankeら(1979),
73.今山修平(九州大学)
O'Brien
(1975)の文献には
丘疹病変の記載はないが,本邦例では2例の報告があ
結合組織における弾力線維の立体構築
る。柳原 誠(岐阜大)は報告した丘疹型は播種状環
組織を潅流固定し,毛細血管網に樹脂を注入し,弾
状肉芽腫に類似した臨床像を示していた。丘疹は経過
力線維以外の成分を除去して弾力線維の立体構築を走
中に臨床像の変化はないか,また特異像はみとめられ
査型電子顕微鏡で検索したものである。弾力線維は生
200
一般演題
1399
体内では直線的で互いに吻合せずに規則正しく配列し 77.真家興隆(秋田大)ら
た構築を示すことが認められた。単一の弾力線維は直
皮脂腺内に多数の母斑細胞巣を認めた先天性母斑細
線的で分枝して細くなり,また逆に枝が集まって太く
胞母斑の1例
なるなど線維の太さを変えていることが明らかになっ
follicle―centered nevusのl
た。高岩尭(香川医大)は皮膚の割線方向または毛流
巣状集籍性ではなく結節型。
の方向と弾力線維の走向の方向との関係,また弾力線
組織学的には,脂腺内に母斑細胞巣があり,また毛
維の末端部の所見について質問,演者は弾力線維には
嚢から真皮への母斑細胞の滴落像も認められたのが特
一定の方向があるが緊張のつよい方向により平行に配
異。毛脂腺系の母斑細胞巣について,
列していると考えられるが,割線方向は弾力線維の走
でないかとの意見あり。
向だけで決定されるものではないこと,さらに末端部
78.高橋夫紀子(静岡県立こども病院)ら
variantとし,臨床的に
elimination現象
の所見については明確にはし得ていないと答えた。真
平滑筋母斑を皮膚症状とする母斑症の1例
栄平房裕(琉球大)は弾力線維性仮性黄色腫における
多毛,色素沈着,皺裴,皮膚肥厚などの皮膚病変が
弾力線維の所見についての質問には今後の検討を要す
広範囲にみられ,他臓器の病変を伴う症例は30例余の
ると答えた。
報告があるが,平滑筋母斑と中枢神経症状の合併は稀
であり,報告は3例にすぎない。本例も広範囲の母斑
附属器腫瘍など
性皮膚病変に加えて精神・神経系,骨駱異常がみられ
座長 藤渫 龍一,高岩 尭
ることから母斑症と考えたとの発表に,特に異論はな
74.滝野長平(九段坂)ら
かった。
個疹が融合することなく線状に配列した上腕の脂腺
79.生富公明(市立川崎)ら
母斑
悪性黒色腫が疑われた青色母斑の1例
脂腺母斑としては,稀な発生部位である右上腕に発
演者は増殖細胞に異型性なく,メラニン産生増強は
生し,臨床所見が定型的でない症例。組織学的には病
炎症による刺激と説明したが,細胞の異型明らかな点,
変は真皮上層における脂腺の増生と,その下のアポク
増殖,侵襲の態度より悪性黒色腫とするのが妥当(香
リン腺からなるか,表皮には異常所見なし。脂腺母斑
川医大・高岩,秋田犬・真家ら)との指摘があった。
の報告例の集計も合せて発表されたが,上肢発生は
80.鈴木 薫(金沢大)ら
2%以下。二次性腫瘍の発生については,症例数が少
色素血管母斑症の1例
ないため,上肢例の特徴などに関しては不明。討論に
IQ低値などの全身変化を伴っており,長谷川の分
おいて,個疹は老人にみられる脂腺増生症に類似して
類によるⅢb型に相当する症例との発表で,異論はな
いるとの指摘があり,それがZosteriformに配列した
かった。
ものとの意見であったか,演者は,本例のようなのが
狭義の脂腺母斑であろうとの意見。
間葉系腫瘍など
75.藤山純一(山口県立中央)ら
座長 青木和夫,名嘉間武男
Basal
ス81.渡辺敦子(名大)ら
cell epithelioma とsyrlngocystadenoma
papilllferumを生じた脂腺母斑の1例
Congenital
40歳,女子の左耳前部の脂腺母斑の上に続発的に
一例
BCEとSAPが発生した定型的症例。SAPは光顕的に
名大の渡辺はCongenital
はアポクリン分化を考えさせたが電顕的にはエクリン
Self-healing
Retlculohistiocytosis
Self-healing Reticulohis-
tiocytosis (CSR)の1例を報告した。症例は生後16日
系の分化を考えさせるとの発表。
目の女児の左大陰唇に生下時より観察された紅色結節
76.赤松浩彦(兵庫県立塚ロ)ら
(10×10×3m)の臨床所見と臨床検査成績,光顕的,
多発性毛嚢母斑の1例
電顕的所見ならびに免疫組織化学的検査成績をCSR
両側耳前部と右頬部に計3個の小腫瘤。臨床的には
の最初の提唱者橋本氏ら(1973)の成績と自験のhis
副耳の所見。組織検査の結果は毛嚢母斑の病態であり,
右耳前部の1個は,さらに軟骨母斑を合併。母親が使
の
tiocytosisxの皮膚型の検査成績を比較検討した。
CSRはこれまでに世界では約20例弱,そのうちsolit-
用したパロデルとは関連なし。最近経験した類似例の
ary variantが5例,わが国では1例(J.
追加発表(日大:森岡)あり。
1986)の報告かあると演者は述べている。そして演者
of Dermat.,
一般演題
1400
は本症の検査成績が橋本氏らの成績と一致することか
をとっていることから非定型的histioeytosis
らCSRのSolitary
的には決論しているが,問題は皮疹の光顕的,電顕的
variant と決論しているが,橋本氏
らがCSRと・histiocytosis x とは電顕的にはCSRの細
所見,免疫組織化学的検査も定型的histiocytosis
胞質にはelectron
の区別はむつかしく,こうした自然治癒した皮膚型の
densebodyがきわめて豊富であるこ
x と最終
x と
とで両者は異なるとした考えに対して,本症例では
histiocytosisx と診断されたものが,今後どのような
S-100蛋白陽性,
経過をとるか,将来臓器障害をおこすかどうか,すな
Birbeck穎粒,
OKT
6陽性であるこ
とから演者は本症例をラングルハンス細胞系列の増殖
わちmalignancyに移行するか,その予後判断に資す
性疾患であるとして,
る確実なデータは今だそろっていないのは臨床医に
CSRがhistiocytosis
xのカテゴ
リーに入るという考えを指示しているが,さらに検討
とっては辛いところであろう。発表者の今後の調査報
の必要があることを述べており,その点については,
告に期待をかけよう。なおこのような自然治癒する腫
とくにCSRのsolitary
瘍との鑑別に必ずしもhistiocytosis
variant と考えられる症例では
X だけをとりあげ
histiocytosisx皮膚型に限らず,他の良性の経過をと
るだけでなく,他の組織球性腫瘍との比較検討も必要
る組織球性腫瘍との病理組織学的(光顕,電顕)免疫
と考えられる。
組織化学的成績の比較検討ならびに臨床経過の追求も
85.勝俣道夫(東医歯大)ら
重要な課題であろう。
右肩甲部腫瘤
ス82.芦川宏二(聖マリアンナ医大)ら
演題85は,1才9ヵ月男児の右肩卵下部に生じた孤
Multicentiric
Multicentiric
立性の皮下腫瘤で次第に増大し,可動性良好,境界鮮
reticulohistiocytosisの1例
reticulohistiocytosis(芦川)の症例は
明な弾性硬,自覚症状なし,単純切除し,その後再発
特徴的な臨床症状と病理組織像からMRHと診断し,
なし。診断は乳児線維性過誤腫とされ,光顕的には皮
本症の組織球性細胞は主として単球担色細胞系からな
下脂肪組織内に不規則に交錯する長紡錐形の核を有す
ることを報告した。
る線維芽細胞様細胞,膠原繊維,小量の弾力線維,円
ス83.西川武志(滝川市立病院)ら
頭部に生じたbenign
演題83はbenign
形ないし卵円形の核を有する未分化間葉系細胞巣,神
fibrohistlocytic tumorの2例
fibrohistiocytictumor (西川)とし
経繊維(S
100蛋白陽性)もみられ,電顕的には病巣
には筋線維芽細胞様細胞,線維芽細胞様細胞が観察さ
て31才,女性の頭部の腫瘤は組織学的に真皮深層の
れたことが報告された。したがってfibrous
fibroblast様細胞の腫瘍塊がみられたが核の異形性と
ma of infancy の所見と合致するものと考えられる。
分裂像に乏しく,胞体がbasophilicで明るいosteoc-
86.江良幸三(宮崎医大)ら
last様の巨細胞がみられた点からbenign
局所再発をくり返したMalignant
tiocytoma
fibrous his-
(deep type)と決論しているが,演者も述
べているようにDermatofibroma,
malignant
(名嘉真武男)
87.進藤泰子(信州大)ら
の染色がMFHのmalignancyにともなってよく染まる
Dermatofibrosarcoma
ようになることがフロアから(信太)のコメントがあっ
とその細胞学的性状
protuberans培養株の樹立
た。症例2は16才女児の頭部腫瘤は核の異形性はみら
ス88.海老原全(慶応大)ら
れたが,分裂像が少なく大型スリガラス様胞体がみら
隆起性皮膚線維肉腫が多発した1例
granuloma
と診断し
89.北川伸子(高知医大)ら
ている。この両者についても予後調査には慎重でなけ
横紋筋肉腫
ればならないであろう。
90.秋川純一(加美乃素,信州大)ら
ス84.八坂なみ(山梨医大)ら
非定型的histiocytosis
Epithelioid
X
演題84の非定型的histiocytosis
fibrous histiocy-
tomaの1例
fibrous
histiocytomaとの鑑別が重要で,αi-anti-kimotrypsin
れたことからreticulohistiocytic
Hamarto-
sarcomaの組織培養による検討
〈抄録変更〉
x (八坂)は4ヵ月
男児で,生後3ヵ月頃から頭部,躯幹,陰嚢,ソケイ
「EpithelioidSarcoraa (ES)の腫瘍部組織および対照
として健常人皮膚真皮より細胞培養を行い両細胞の性
部に淡黄褐色小丘疹が発生し,臨床的にはLetterer-
質について比較検討した。形態的観察,酵素組織化学
Siwe病と診断されていたが皮疹が3ヶ月後に消退し
的染色,各種抗体による酵素免疫染色,膜表面
その後再発がなく,臓器障害もみられずに良性の経過
receptor, DNA合成能およびcollagen合成能の測定を
一般演題 1401
実施,その結果ES培養細胞は対照の線維芽細胞と比 ボーエン病など
べCab receptorの保有,増殖特性,
点で共通したが,形態的観察α1
collagen産生能の 座長 古谷達孝,喜多野征夫
− antitrypsin陽性, 92.生野重明(東京逓信)ら
カンジダ菌貪食能試験陽性の点において異なった細胞 口唇癌を思わせた日光口唇炎の一例
であった。ES培養細胞がPAS染色に強陽性,電顕的 再発を繰り返し,口唇癌を思わせた日光口唇炎の1
にrER,ゴルジ装置がよく発達し,かつ多数の分泌穎 例が報告された。患者は76才男。初診2ヵ月前より下
粒が見られ,
microfilamentintermediatefilamentが多 口唇に水庖形成し,廉爛,潰瘍となった。皮疹は遮光
く存在することより,多潜能性未分化間葉系細胞に由 によって急速に治癒するが,昭和62年5月に再発した。
来するsynovioblastに起源をもつ細胞であることが示 生検組織像では,表皮の一部に壊死あるいはleuko唆された。J plakiaがみられ,表皮下に形質細胞,リンパ球よりな
91.園田早苗(阪大癌研)ら る帯状の細胞浸潤がみられた。光線テストでは,
マウス皮膚における肥満細胞前駆細胞 UVBに対する感受性がやヽ低下していたが,異常値
演題(87)から(91)までは,珍しい間葉系腫瘍の ではなかった。肝,腎機能は正常。血球中,尿中のコ
報告と,間葉系細胞を用いたすばらしい実験的研究が プロポルフィリンが,やヽ高値であった。以上より,
相次ぎ,この方面素人であるわたくしを驚嘆の連続に subclinical
porphyriaが発症要因となった日光口唇炎
追い込んだ。 と診断された。
演題の順序は多少相前後するが,(88)海老原全ら(慶 subclinicalporphyria という言葉が適当であるかど
応大)は,13年前から次々に病巣が出現した隆起性皮 うかについて,口唇のMEDは健常皮膚に比較して低
膚線維肉腫の40才男子例を,治療法にたいする批判を いはずで,特に異常所見ではないとの質問がなされた。
ふくめて報告。(89)北川伸子ら(高知医大)は,生 他に形質細胞性口唇炎,口唇扁平苔癖なども鑑別診断
後11日目の女児の項部に,生下時からみられた横紋筋 の対象となる(座長)。
肉腫の一例を報ずるとともに,その診断に電顕所見, 93.原田晴美(聖路加)ら
酵素抗体法による検索が有用であることを指摘した。 Intraepidermal
epithelioma
一方, (87)進藤泰子ら(信州大)は,63才男子の 29才男,左大腿外側に40×30m大の類円形の褐色斑
Dermatofibrosarcoma protuberans例から,初代から が6∼7年前より存在。表面は細穎粒状で片縁が堤防
約4年にわたる安定な培養細胞株を樹立するととも 状に隆起し,一部黒褐色を呈する。組織学的に細胞質
に, populationdoubling time を計測,その形態,性状, が比較的明るい類上皮細胞様の細胞の境界明瞭な増殖
免疫学的性格などを明らかにした。また,
純一ら(信州大)は,
(90)秋山 巣が表皮内に多数みられた。腫瘍細胞の一部はメラニ
Epithelioidsarcoma を組織培養 ン穎粒を有し,細胞間橋もみられた。PAS(-),組織化
の上から検討し,酵素組織化学,細胞膜表面receptor, 学的所見より,汗管由来よりはケラチノサイト系腫瘍
酵素免疫学的観察,DNAおよびコラゲン合成所見か が考えられ,演者はclonal
seborrheickerarosisの系
ら,この細胞は,組織球より線維芽細胞の特長をより 列に入るものと考えたが。毛包系の腫瘍の可能性が示
多く有しているとした。 唆され,毛ケラチンに対するモノクローナル抗体に検
さらに,く91)園田早苗ら(阪大癌研)は,従来か 索が求められた。
Pagetoid Bowen desease ??興味ある
らの研究の継続として,マウス皮膚から分離したマス 症例故,当会誌などへの詳細な報告を期待したい(座
ト細胞を,メチルセルローズ中でコロニーを形成せし 長)。
めることに成功,これを用いて,TPA,DMBAを作 ス94.抒木真理子(東女医大)ら
用せしめて,発癌過程とマスト細胞増加の相関性をう 特異なmyrmecia
(inclusion wart)の1例
かがい,その成績を報告した。 2ヵ月末,左下腿に徐々に増大する,径7m,高さ
あと3題は,いずれも地味で根気のいる仕事であろ 5叩の黒褐色の皮角様腫瘤を主訴とし,前頭部に尋常
うが,今後いろいろ応用面も考えられ,その発展が期 性疵贅を合併した,60才の男子例が供覧された。組織
待される。 所見では外方性に突出した腫瘤で,細胞質内封入体を
(:丈責 青木和夫) 有する膨化あるいは空胞化した細胞が多数みとめら
れ,
てHPV
myrmeciaと診断された。 blothybridizationによっ
DNAの検出,同定が行われたところ,従来の
一般演題
1402
報告とは異なりHPV
I型以外のHPVが検出された。
ス100.菅野聖逸(東海大)ら
外方性に突出した形態はHPVの型の相違によるもの
有韓細胞癌を伴った汗孔角化症の1例
か,発生部位によるものか討論が行われた。
両大腿部の腫瘤を主訴として来院した83才,男の症
ス95.稲冨 徹(日大)ら
例報告である。家族歴では母親,姉,妹2人,長女,
多種の皮膚腫瘍を伴ったBowenold
cancerの2例
孫の4代にわたって汗孔角化症がある。20年来全身に
61才と86才男の症例が報告された。2例とも,長年
色素斑があったが昭和61年10月,左右大腿後面の皮疹
に亘る井戸水飲用の既往があり,皮疹の性状並びに分
が急に隆起し,表面がびらんしてきた,現症:左大腿
布と併せて,井戸水中の砥素長期経口摂取を原因とす
後面にびらんを呈する4.7×4.7×0.7cm大の肉芽腫様
るBowenoid
腫瘤,右大腿後面には4.2×5.0㎝大の浸潤性局面を認
cancerおよび砥素角化症が考えられた
が,井戸水,血液,毛髪の枇素濃度は正常であった。
め,掌跳,粘膜を除く全身に1∼5cm大までの茶褐色
両側とも内臓悪性腫瘍の合併は認められなかった。こ
斑が散在。病理組織所見:左右大腿部の腫瘤,局面は
の発表に対して第2例の腫瘍の浸潤の程度と
ともにBroders
grade
l の有縁細胞癌であった。色素
epidermodysplasia verruciformisの可能性について質
斑はいずれも定型的なcoronoid
問があった。
孔角化症にはかなり高率に有縁細胞癌の合併が見られ
ス96.鈴木秀明(日大駿河台)ら
る,本例において悪性とは言えないが異型性の認めら
ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)抗原陽性であった指
れる汗孔角化症皮疹が存在し,今後の変化を追跡する
のBowen病の1例
ことが望まれた。
胃癌で入院中の73才,男の左第2指に生じた
101.碇 優子(聖マリアンナ医大)ら
Bowen病について報告があった。免疫病理学的に空
マウス可移植性皮膚蘇細胞癌Sq14の血管透過性尤
胞化細胞の核にHPV抗原陽性であった。陰部の
進物質について
Bowenoid papulosisではHPV
皮膚輔細胞癌Sql4は可移植性腫瘍としてマウスに
16型が関与しているが,
lamella を認めた。汗
手指背や足背に見られるBowen病には他の形のHPV
継代移植されている。この腫瘍の特徴は結節を作らず,
が関与していることが指摘された。最近同様の報告が
腫瘍中心部に大量の貯留液を生じることである。この
多く,今後Bowen病の発生要因の1つとしてHPVが
原因として新生血管に対する協力な血管透過性尤進物
重視されるべきと思われ,
質の存在を考え,貯留機序が検討された。貯留液中に
Bowen病についてこの面
の検査が必要であろう。
はprostaglandin
97.梅沢 明(代々木病院)ら
が,透析によっても貯留液のラット皮膚に対する血管
E1とE2が極めて高値で見出された
肺癌,基底細胞上皮腫を合併した多発性ボーエン病
透過性は完全に抑制されず,さらに高分子量の血管透
の1例
過性尤進物質の存在が示唆された。そして陰イオン交
症例は73才男性。左右側頚部に生じたボーエン病の
換chromatography,
治療後,昭59年に肺胞上皮癌にて右肺上葉切除。昭62
管透過九進物質の精製を試みた結果,分子量約67,000
年右側頚部にボーエン病が再発した。左側頚に基底細
と85,000の新しい画分が得られた。この発表に対して
胞癌も認められた。三重複癌の症例である。
電顕的観察で血管壁に変化がみられたかとの質問が
ス98.古家 良(三木市民)ら
あったが,著明な変化はなく,血管壁の壊死は見られ
枇素治療が誘因と考えられた多発性ボーエン病の一
なかったとのことであった。分子量67,000および
例
85,000物質の化学的組成の解明を期待したい(座長)。
昭20と23年に梅毒のため艇素製剤で治療を受けたこ
102.井上 肇(聖マリアンナ医大・形成外科)ら
とのある69才,男性に生じたボーエン病について報告
マウス可移植性皮膚韓細胞癌Sq14の培養に関する
があった。
検討
ス99.四宮 茂(東京逓信)ら
マウス可移植性皮膚縁細胞癌Sql4腫瘍細胞を培養
両足背に同時に出現したSCCとBowen病の1例
によって維持することが試みられた。腫瘍組織を,ト
chromatofocussing手法により血
症例は70才男性。昭61年に左足背にビラン面,右足
リプシン処理により,単離細胞懸濁液を得た。この細
背にも殆んど時期を同じくして大豆大の結節か生じ
胞はそのまヽシャーレに接種したのでは生着しなかっ
た。病理組織では右足背はsec,左足背はBowen病
たが,あらかじめ,
であった。
シャーレ(56
3T3 2×104個を播種した培養
・)に2×106播種して成功した。
3T3
一般演題
1403
feeder layer の存在で,線維芽細胞の接着と増殖が防
105.笹田奈緒美(鹿児島大)ら
がれた。Sql4腫瘍細胞にはDME
露出部扁平上皮癌(sec),基底細胞癌(BCC)の
(H)培地が適して
いて,[Ca2゛]1.8mMが至適であった。この腫瘍細
統計的観察
胞を2×lOVbodyの割合で黒色毛マウスの背部皮下
〈抄録変更〉
へ接種すると,皮下腫瘍が生じ,貯留液も見られた。
「昭和58年から6Z年6月まで鹿児島県内主要施設より
組織学的検討にてSql4と確認されたが,
蒐集した露出部のsec
keratinの種
184例及びBCC
144例につき統
類,その他類天庖癒抗原の産生などに関しては未検索
計的観察を行った。SCCは60歳以降増加し,80歳代
とのことであった。
が最多で顔面に50%と好発し,
103.金沢和則(日大医生化)ら
で78%が顔面に発生する。顔面以外では,
secに熱傷,
マウス皮膚でのCキナーゼ活性に対するTPA。
外傷等の続発例が多い。露出部のsec,
BCC共に組
Quercetlnの影響について
BCCは70歳代が最多
織学的に日光障害性変化を認めるものが多く,腫瘍発
発癌プロモーターとして知られている12radecanoyトphorboト13-acetate
O -tet-
生と日光との関連が示唆される。日光との関連を調べ
るために,腫瘍と連続した日光障害性変化として
(TPA)を塗布するこ
とによって生じる炎症,およびパピローマの発生は,
Actinickeratoss様病変を持つ症例につき核DNA量
種々の植物成分(Quercetinなど)によって抑制され
を計測し検索した。」
ることか,マウスを用いた実験で報告されている。こ
sec 184例, BCC 144例を統計的に観察した。年齢
の発表は安川らの実験モデルを用い,マウス皮膚にお
的にはSCCは60才以上に多く,加齢とともに急増し
けるCキナーゼ活性の変化を検討したものである。6
ているのに比し,
週令ICR系雌性マウスを用い,皮膚は採取後ただち
る。その相違についての小瀬川(岩手医大)の質問に
にホモジナイズし,
対して,はっきりしないが,
100,000
9 遠心後,上清をDE52カ
BCCは80才代がピークとなってい
BCC発生には他の何ら
ラムを通し,Cキナーゼ活性部分を収集し,これを酵
かの因子が考えられるとの事であった。又,両者共露
素試料として測定している。この酵素はCa24^とphos・
出部に多く,加齢と慢性日光障害による事が考えられ
phatydil serine によって活性化され,
actinickeratosisとの関連性を組織像を示しながら解
TPA添加群で
はCa24 ̄がなくても活性化されていた。QuercetinはC
説した。統計的にUVB照射量の多い鼻部より,照射
キナーゼ活性を阻害したが,
量の少ない頬部に腫瘍発生か多い理由についての堀
in vitro ではcephalantin
に阻害効果はなかった。in
papilloma形成を抑制し,
vivoではQuercetinは
cephalantinも抑制効果を示
した。
(長崎大)の質問に対して,その面積の差(8:1)
もある事と考えているとの事である。地域の特殊性に
ついて地土井(島根医大)の質問については南九州,
四国南部に多いとの事であった。将来DNAパターン
BCCなど
の分析を行ってみるとの事で,その結果を期待する。
座長安原 稔,地土井襄璽
106.山本憲明(長崎大)ら
104.佐々木学(島根医大)ら
特異な基底細胞上皮腫の3例
島根医科大学附属病院皮膚科開院後5年間の皮膚悪
症例1 . 40才,男性,生下時より存在する右大腿仲
性腫瘍の統計的観察
側の母斑細胞母斑上に生じた例で,その誘因として農
昭和59年10月までの5年間51例の悪性腫瘍について
薬を考えている。質疑なし。
調べた。これは外来患者総数の0.54%であり,主なも
症例2.
のは,有練細胞癌16例,悪性リンパ腫10例,基底細胞
かあり,その部に本腫瘍の発生をみている。現在まで
腫7例,悪性黒色腫5例,転移性腫瘍4例で,
の報告では肉眼的には20才,組織学的には11才があり,
84.3%
10才,女性,幼少時より頭頂部に脂腺母斑
が50才以上であった。他施設の報告に比し,年次的な
最年少と考えている。誘因例えば凍結療法,外傷など
増加がみられず,これは当地方が以前から高令者が多
の既往についての安原(大阪医大)の質問に対して,
い事からかと考えている。又,初診までの期間が著し
はっきりしないが無い様であるとの事であった。又,
く長い事は,専門医が少なく,且,過疎地である事が
掻破の影響も考えられるとの森岡(日大)の附言があっ
考えられ,今後啓蒙活動が必要と思われる。引き続き
た。
その推移を見守る必要がある。質疑なし。
症例3.
71才,男性の右手首にみられた本症の誘因
として。放射線助手をしていた事のある所からradia-
一般演題
1404
tionを考えている。尚,上肢に生じた例は文献的には
色素異常など
1∼2%である。質疑なし。
座長 高瀬吉雄,高橋 誠
107.清原 明(順天堂浦安)ら
ス114.佐藤守弘(福島医大)ら
慢性放射線皮膚炎上にボーエン病と基底細胞上皮腫
悪性貧血に伴った尋常性白斑と色繁沈着
を併発した1例
114の演題では,白斑部のdopa反応所見と,メラ
76才,女性で40年前に放射線療法をうけ,慢性放射
ノサイトの存在については,尋常性白斑と同じ所見で
線皮膚炎を生じている。2年前より皮膚の変色,黒色
あったとし,発症原因については,抗サイログロブリ
小腫瘤の発現をみ,組織学的にみた所,ボーエン病と
ン抗体の上昇などから自己免疫性の病変と考えられ
基底細胞上皮腫が連続して存在していた。他部位を検
る。自己免疫のターゲットが複数かどうか不明である
索して組織学的に4ヵ所の基底細胞上皮腫をみてい
とした。
る。放射線皮膚炎にボーエン病が発生する事は稀であ
ス115.竹宮聖隆(愛媛大)ら
り,しかも基底細胞上皮腫と連続している例は今まで
Incontlnentia
にみられていない。これについて。連続か隣接かとの
115では, I.P.A.でのepidermal
質疑が安原(大阪医大)によりなされた。
はあるのか,本症の性差に関しては,合併の報告はな
108.松中成浩(和歌山医大)ら
pigmenti
achromlans
cysts の合併の報告
く,性差は2:1で女性に多いとした。
基底細胞上皮腫(BCE)へのBleomycin
(GLM)
116.深田栄俊(埼玉県立小児医療センター)ら
局注療法
全身性白皮症の毛髪中eumelanin
BCEに対するブレオ局注の有効性を報告した。作
含有量および尿中5−S−CD値について
用機序は炎症によるものと推定している。
116では,
109.山本桂三(大阪厚生年金)ら
ンの変化はどうかに対し,今回は低年齢のみを検索し
顔面にTrichllemmal
ているので不明であるとした。
carcinomaの段階的発育が示
・ phemelanin
dopa陽性型の白皮症で年齢に伴うメラニ
唆される腫瘍が多発した1症例
117.田村啓彦(杏林大)ら
84歳女子の顔面に生じた3個の腫瘍は,
正常マウスメラノサイトの培養とチロジナーゼ活性
trichilemmal carcinomaの段階的発育を示す組織所見
の検討
であった。
117に対しては,正常メラノサイトの培養に使用し
110.水勢基子(大阪医大)ら
たTPAや胎盤エキスに関すること,
毛包癌の1剖検例
kinaseなどの関与についての問題が討論されたが,現
65歳男子の右大腿に生じたmalignant
proliferating
cyclic AMP,
在のところ必ずしも明らかではなく今後の検索か必要
trichilemmal cyst は11年の経過をとり,全身リンパ節
であろう。
と膀胱に転移して死亡した。
118.堀越貴志(札幌医大)ら
ス111.松尾 忍(旭川医大)ら
ヒト培養正常色素細胞の増殖におよぼすTPAの影
Mucinous
響
carcinoma
of the skin の1例
56歳男子の右瞭需に発生した本症の1例を報告し
118では,培養正常ヒトメラノサイトの増殖調整に,
た。腫瘍はCEA陽性,
Cキナーゼ活性化が抑制的に作用するらしいとの報告
S-100蛋白陽性で,エクリン
起源が考えられた。
をめぐって,培養細胞に増殖抑制効果をもつ物質を添
ス112.久留博史(鹿児島大)ら
加する実験系での注意すべき点について論議された。
Syringocystadenoma
119.三島 豊(神戸大)ら
papllliferumの1例
11歳女児の仙骨部に生じた定型的な症例を報告し
KoJIc
た。
119ではy−ピロン化合物であるコウジ酸の可逆的
acidのメラニン生成抑制機序と臨床応用
ス113.金井貴子(東京医大霞ヶ浦)ら
tyrosinase活性阻害作用を利用して,その配合クリー
Eccrine
ムが紫外線によって発生する色素沈着を予防するか否
porocarcinomaの1例
73歳女子の左頬部に発生した症例を報告した。
の
かを検討した。二重盲検法で75∼90%有効率をもって
色素沈着予防効果が示されたという。今後多施設での
検討が期待される。
C
一般演題
1405
遺伝疾患
124.北島拓弥(都立府中)ら
座長 西山茂夫,昆 宰市
A群色素性乾皮症の1例
ス120.村上静幹(前橋日赤)ら
色素性乾皮症(XP)は常染色体劣性遺伝性光線過
単発顔面小丘疹のみられたBoumeville-Prlngle病
敏性疾患であり,遺伝学的にAからIまでの9つの相
の1例
補性群とバリアントの計10グループに分類されてい
Bourneville-Pringle症候群の1例は嚢胞腎があり,
る。このうち,A群XPは特徴的な皮膚症状のほかに,
顔面の1つの結節から皮膚科学的に診断しえた症例で
重篤な進行性の神経症状を合併する。症例は典型的な
ある。顔のいわゆるadenoma
19歳男のA群XPの剖検を含めた発表で,家系に同症
sebaceumのない例が
30%にのぽる(中内)ので,このような症例はまれで
なく,皮膚腫瘍の発生もない。神経症状が強く,四肢
はないと思われるが,組織学的検査を含めて同症候群
は筋萎縮著しく,高度の拘縮が認められた。剖検では
を皮膚科で診断することが重要である。なお本例では
各臓器の萎縮があり,死因は腎不全から循環障害に発
腰背部に色素斑が認められている。
展し,心不全であったという。これに対し,市橋氏(神
ス121.上塚真理(北里大)ら
戸大学)の「XPは老化のモデルになるので,そのよ
Gardner-Diamond
うな視点で比較して検討してほしい」との発言が注目
Syndrome
Gardner-Diamond症候群(1955年)の1例は下肢
された。
に広範囲の紫斑を生ずるもので自傷行為が考えられ,
最後に共同演者の佐藤氏(東京医歯大)より,この
精神的に背景がほゞ解決されたと同時に紫斑の出現の
症例をA群とした理由と,自検例のような動けない重
止んだ症例である。別名psycogenic
複障害児の管理のむずかしい現状についてまとめが
purpuraがこの際
適切なものと思われる。
あった。
122.高木道生(東京都)ら
4年半に渡り培養を継続中であるレックリングハウ
SLEなど
座長 植木宏明,金子史男
ゼ
レックリングハウゼン病の神経線維腫より初代培養
125.宮内秀明(鹿児島大)ら
を行ない,継代して5年以上におよんでいる。培養細
高グロブリン血症性紫斑の3例
胞は線維芽細胞様,類上皮細胞様形態を呈し,
質問:鹿島(帝京大学):hyperviscosityとリンパ節
PAP
法でS-100蛋白陽性,3年半後この細胞をヌードマウ
の腫脹はありませんでしたか? 私どもの症例
スに接種し,小腫瘤形成に成功したが,小腫瘤の組織
では発熱,紫斑,カンマグロブリン値の上昇,
像では悪性変化をきたしつつある神経線維腫を認めた
マイクロソーム抗体などが同時に出現したもの
という。
ですから。
低温培養の温度によっては細胞の規則性に乱れが認め
答え:3例ともにリンパ節の腫脹は認めて居りませ
られたと言う。今後の発展が期待出来る研究発表であ
ん。hyperviscosityは1例で施行しております
る。
が,それでは陰性でした。
ス123.田中博康(慈恵医大)ら
鹿島:私どもの症例でもhyperviscosityは検査しまし
脊椎の高度な変形と巨大Pachydermatoceleのみ
たが。証明されませんでした。
られた神経線維難症の1例
金子:先生はこの場合,血管炎はクリオグロブリンが
37歳男のレックリングハウゼン病の背部に巨大な懸
沈着した為とお考えでしょうか?
垂性のPachydermatoceleがみられ,かつ,脊椎の高
答え:蛍光抗体法で1例で血管壁にIgG,
度な側弩のため,両下肢麻庫,股・膝関節の屈曲,拘
めておりますが,クリオグロブリン,クリオフィ
縮,胸郭の変形のため心肺機能低下を生じた症例で,
ブリノーゲンの証拠はありませんでした。
全身麻酔に対しhigh
植木:季節的消長はいかがですか? また,血液中の
riskであったか,この2.7kaもあ
る腫瘤を全麻下で切除に成功した。このことにより,
IgAを認
免疫複合体は証明されましたか?
体動か容易になり,患者の精神的負担が大分とれ,生
答え:季節的な変動よりむしろ,長時間の歩行や労作
活姿勢がより積極的になったと思われる。レックリン
が増悪因子となっておりました。免疫複合体は
グハウゼン病に伴う巨大な腫瘤に対し積極的治療を示
陰性でした。
した点,価値ある症例報告である。
西脇(東邦大学):1,2例目は定型例と思いますが,
1406
一般演題
3例目は組織像も異なるようです。どうでしょ
を反映したものでしょうか? また,レーノー現象な
うか?
どで,寒冷負荷をした場合どうなるでしょうか?
答え:確かにこれまで報告がありませんので,本日こ
答え:やはり何か血管への傷害を表したものと思いま
こに発表させて頂いたわけです。 3例目は
す。寒冷負荷での影響はまだみておりません。
IgA-k型モノクローナル高カンマグロブリン血
座長のまとめ:高速赤外線サーモグラフィーを応用し
症です。
て皮膚温の測定値より,局所の血流量を知ろうとする
座長まとめ:いずれの症例もなんらかの基礎疾患を土
研究で,生理的,病的条件下での理解が進むことが期
台に生じた高カンマグロブリン血症で,紫斑と細血管
待される。皮膚筋炎で変動が大きいことも理解できる。
炎が特徴的所見であるが,それらの因果関係はなお不
将来,このような難治性の膠原病やレーノー症状など
明である。一般的には免疫複合体やクリオグロブリン
に対する治療薬の効果の判定などにも応用価値か高
の沈着が原因と考えられているが,証拠に乏しく,抗
V秘
原も確定されていない。今後更に,症例毎に詳細に検
129.抒窪 精(掲協医大)ら
討していく必要があろう。
両前腕に高度の筋炎を生じたSLEの1例
ス126.佐々木 聴(健保川崎中央,昭和大)ら
質問:
PGEi,
DDSが奏効したlivedoid
vasculltisの1例
植木:臨床的にはeosinophilic
fasciitisがまず考えら
質問:
れますね。外傷などの誘因はありませんか?
西岡(北里大学):hyperviscosityや抗カルヂオリピ
好酸球やCPKの増加はないわけですね。
ン抗体,
金子:深在性エリテマトーデスはどうですか?
BFPなどはいかがでしたか?
答え:いずれも行っておりません。
答:組織学的には筋炎の症状か強く,脂肪組織への浸
座長まとめ:この病気は症候群で,基礎疾患を背景と
潤は殆どありませんでした。好酸球増多やCPK
したものや,特発的なものなどあります。基礎疾患の
値の上昇はないが,
存在を探ることがまず大切となります。
と考えております。
DDSやPGEI
eosinophilic fasciitisの合併
の効果は今後症例を重ねて行く必要かあるでしょう。
座長まとめ:SLEで限局性の筋炎が合併することは
127.古井良彦(川口工業総合病院)
あまりないか,この場合はやはりeosinophilic
凍蟻の研究(第2報)
ciitis(shulman)の合併と考えたい。何か局所的な誘
演題名が「Ca桔抗剤を用いた凍播の治療(第2報)」
因(外傷)も考えられる。但し,
から「凍疲の研究(第2報)」に変更された。
強いfasciitisやmyositisは見られることがあるので鑑
質問:
別を要すが,この場合は脂肪織炎が治ったあとに陥凹
西岡(北里大学);マクログロブリン値の上昇とか,
を残す。
血液粘度などの変化はありませんか?
130.欠 題
答え:粘度はむしろ低下している。血液のレオロジー
ス131.森下美知子(新潟市民病院)ら
から見ると,防御反応として理解したい。
SLEに合併し特異な臨床像を呈した持久性隆起性
金子:局所の変化が全身的に影響を与えるとのことで
紅斑
すが,軽症の場合はいかがですか?
質問:金子:SLEと持久性隆起性紅斑(EED)との関
答え:軽症のときも同様に考えられます。
連をどのように考えますか?
座長のまとめ:一般検査,血液粘度,赤血球の変形能,
答 :本例ではSLEの発症の時期は不明ですが.
血小板凝集能を応用して同時に,治療効果(ヘルベッ
SLEのArthus型血管炎とみれば共通点があり
LE profundusでも
サー)を比較しながら凍瘤をレオロジーの面から眺め
そうに思う。
たユニークな研究である。今後更に,凍傷,健康人へ
質問:植木:SLEに伴ったのは偶発的ですか? SLE
の寒冷負荷なども含めた比較研究を期待したい。
の発疹はありましたか? また,珪肺との関連
128.松井 潔(愛媛大)ら
で自己抗体などが出現したことなど考えられな
皮膚表面の放熱サイクルと血流との相関について
いか。
質問:
fas・
答 :これ迄,文献的にはEEDとの合併例はないよ
植木:膠原病では放散熱量と血流量が不安定というこ
うである。
とですが,これは局所的な何か血管病変のようなもの
ブリンの沈着から診断した。珪肺は偶然であっ
SLEはIFでD-E
junction へのグロ
一般演題
たと思う。
1407
答 :SLE発症の5∼6年前から大動脈炎がある。
座長のまとめ:SLE患者にEEDの変化が理論的には
山崎(独協医大):深在性LEは皮疹部に巌痕による
出現しそうで,これ迄に報告をみない点から両
陥凹を残すので,形成外科的に
者の関連については今後の症例の積み重ねが必
アテロ・コラゲンの病変内投与
要であろう。
で治療に効果的であるので試み
ス132.吉井由美子(竹園皮膚科)
られては?
Subacute
座長コメント:深在性LEは一般にDLEあるいは組
cutaneous LEの1例
質問:金子:抗DNA値が高いにもかかわらず,経過
織の特徴からLEの特殊型として分類されるか,全身
中に全身症状を示すことはなかったのですか?
症状との関連を呈することは少ない。しかし,その治
答 :経過中に全身症状はなく,またSjOgren症候群
療には苦労することが多い。133,
を示す症状もない。
も治療の点で興味あり,
134のいずれの演題
134の演題は大動脈炎との合
質問:植木:組織反応が深く,皮疹後のatrophyがな
併例としてその関連が注目されるところである。
い。SSA,
135.村田 実(三重大)ら
SSBは100%出なくても良いが,皮疹は典
型例ではない。将来的にSLEに移行する可能性を考
予後からみた皮膚筋炎
えて経過をみてはいかがか。
質問:井上(独協医大):死因は癌死と同質性肺炎と
答 :62年秋茨城地方会の診断例として結論が出ませ
どちらが多く,どのくらいの割合ですか。
んでした。診断について御教授いただきたい。
答 :比率は4:5で差がない。
コメント:肥田野(東女医大):現在のところ典型例
質問:武原(東大分院):予後の悪性因子として悪性
とは思われないので,
腫瘍合併を加えると,そのほかの予後因子との
DLEのグループに入れて考え
てはいかがでしょうか。
関連はどのようになりますか。
座長のまとめ
答:これらの症例は初診時の状態で予後をみたの
本症の診断は難しい場合が多く,皮疹と全身状態を考
で,悪性腫瘍を初期の因子に加えることは出来
慮して診断すべきであるが,まだこの機会にも問題が
ない。
あるため,経過を含めて結論した方が良いと思われま
質問:西脇(東邦大):死亡例で悪性腫瘍と同質肺炎
す。
と両者をもっている例ではどちらで死亡してい
ス133.堀之薗弘(防衛医大)ら
るのですか?
多発性の皮下硬結と潰瘍化を来した深在性エリテマ
答 :死亡例の2例はそれぞれ各1例ずつ悪性腫瘍と
トーデスの一例
同質性肺炎です。
ス134.福代新治(岡山大)ら
質問:前田(岐大):間質肺炎死亡例ではCPKが低
大動脈炎症候群にともなった深在性エリテマトーデ
いのは,先生の言われるburning
ス
ですか? その他のAldolaseなどの酵素との
out という事
関連は?
ス133)に対する質問
答:不明です。
金子:腎病変があることからSLEとしてsteroid全身
前田:CPKが低いものか同質性肺炎で死亡しており,
投与による治療を行ったとのことであるが,皮
それがCPKのburning
疹の経過はいかがでしたか。
inhibitorの存在によるものかが問題である。重
答 :steroid投与により皮疹は改善したが,中止す
症なものに低い。
ると再発した。 ARAの11項目では3項目しか
益田(高知医大):悪性腫瘍と同質性肺炎と3つの因
該当しないのでSLEとは診断しがたいが,腎
子との関連を明らかにすると興味がもてるので
病変からsteroidを使用した。
は?
out であるのか,
CPK
答:今後の問題である。
ス134)に対する質問
座長コメント:初診時における皮膚筋炎の予後を決定
肥田野(東女医大):大動脈炎の原因は不明であるが,
する因子として,3つの条件を決定した点,特に発症
SLEによる血管炎から大動脈炎が起こつたのです
から受診までの時期とCPK値に関してはフロアから
か?
の意見のように予後を判定する上に重要なポイントと
1408
一般演題
思われ,今後さらに症例を重ねて報告されることを望
によく知られているが,その詳細な学会発表は未だ少
みます。
ない。たゞ本発表例第1例に示された皮疹は,壊疸性
ス136.関根万里(東邦大)ら
膿皮症の初期疹としては首肯されるが,定型疹として
胃癌を合併した皮膚筋炎の1例
はやヽ不十分の様に思われた。
質問:清水(三重大):胃癌の組織の浸潤細胞の有無
139.南祥一郎(兵庫医大)ら
ならびにそのsubsetについて検討し,何故悪
大腿骨に慢性骨髄炎を認めた掌篇膿瘤症の1例
性腫瘍の発生かあるのかの理由付けをしてはど
南ら(兵庫医大)は,大腿骨に慢性骨髄炎を認めた
うか? 腫瘍のExtractの皮内反応は行った
掌鷹膿庖症の1例を報告した。骨髄炎が掌熟膿庖症の
か?
原因なのか,あるいは一連の炎症反応の結果なのかに
答 :腫瘍摘出後期間もないため,行っていなかった。
討論が集中した。また骨髄炎の治療に使用した抗生物
質問:笠岡(?):術後どのくらいで治療開始したの
質が他の感染病巣も抑えた可能性についての質問も
か?
あった。かかる討論に対する結論は,容易に決しうる。
答 :術前からpred.
ものではなく,相模教授の発言の如く,事実は事実と
20iiig使用していた。
質問:かなりの高齢で,その量のsteroidを御使用と
して今後症例の集積を重ねてゆくことが必要であろ
のことですか,どのくらいの量が必要か? 治
う。すなわち掌路膿庖症では関節および骨の軽微な症
療時期に対して,どうですか?
答 :他科にお願いするという事もあって,
状にも注意し,骨シンチなどの検査を行ってみるのが
steroid
良いと思われる。
の開始時期とどのくらいの量投与するべきかは
また糖尿病の潜在の有無についての質問もあった
困難である。
が,かかる基礎疾患の経過を追っての検索も大切と考
座長コメント:皮膚筋炎では前演題にも示されている
える。
ように悪性腫瘍を伴う。また,逆に悪性腫瘍後に同症
140.牧野好夫(仙台市)ら
が発症する例もある。しかし,その原因機序について
掌篇膿瘍症性骨関節炎とbiotin
は不明の域を出ないが,今後この点については検索が
牧野ら(仙台市)は,掌熟膿庖症性関節炎にbiotin
望ましいところである。
が有効と報告した。関節症状のない掌路膿庖症や尋常
性乾癖に対する本剤の効果についての質問があり,こ
膿皮症など
れらの疾患に対しても各々約50%および10%に有効で
座長 北村啓次郎,上原正巳
あるとのことであった。本報告は長期間に及ぶ臨床観
ス137.池田政身(高知医大)ら
察で労作と思われるが,本剤作用機序(免疫系細胞の
好中球機能異常を伴ったblastomycosis-ljke
活性を尤進させると推論)に関する検索がなお十分で
pyoderma
池田ら(高知医大)は,
なく,今後の臨床的あるいは実験的検索が待たれる。
blastomycosis-like pyoder-
141.石橋 明(防衛医大)ら
maに慢性骨髄単球性白血病の合併を認め,骨髄機能
掌篇農癒症における好中球chemiluminescence
低下による好中球機能異常が膿皮症を惹起する可能性
石橋ら(防衛医科大)は,掌路膿庖症では諸種細菌
を推察した。病名の適否,および免疫賊活剤の治療効
およびカンジダ抗原に対して,好中球のchemilu・
果について質問があったが,かかる特殊なタイプの膿
minescenceが低下していると報告した。
皮症の病名は出来る限り統一をはかり簡略化する事が
142.大槻マミ太郎(関東中央)ら
望まれる。また基礎疾患に白血病があるので皮膚病変
月経時農瘤
部よりの二次感染あるいはその他の合併症で。重篤な
大槻ら(関東中央)は,顔面に小膿庖・浮腫性紅斑
経過をたどる可能性かあり,厳重な経過観察が必要で
が出現する月経時膿庖を報告したが,接触性皮膚炎・
あろう。
他の膿庖症との鑑別について質問があった。本例は,
ス138.白石正憲(産業医大)ら
病名および疾患の位置づけをどうするかなど問題点も
合併症を伴う壊疸性膿皮症の2例
多いが,月経に伴う極めて特異な疾患と思われ,今後
白石ら(産業医大)は,大動脈炎症候群を伴う壊疸
の追加報告とともに本例のさらに長期に及ぶ経過観察
性膿皮症を2例報告した。壊疸性膿皮症の合併症とし
と詳細な記録か望まれる。
て大動脈炎症候群や,潰瘍性大腸炎があることは一般
一般演題
1409
ス143.安岡 厚(北大)ら
血清学的な証棟が欲しい。またシェーグレンを伴った
角層下襲瘤症の一例
アミロイド症のアミロイド蛋白は今までの例はAL蛋
安岡ら(北大)は,レチノイド著効の角層化膿庖症
白であった。(栗原)血清学的所見がなくても,この
を報告し,本症が膿庖性乾癖のvariantである可能性
ような症例はシェーグレン症状を伴ったとしてもよい
を示した。そしてこれら両疾患の関連を支持するコメ
と思う。また,この症例のアミロイドは山口大内野教
ントがあった。
授の診断であるが,従来のものとは異なるが,強いて
ス144.今泉俊資(浜松医大)ら
いえば過マンガン酸カリの態度からAA蛋白であろう
血済中に19A抗表皮細胞間抗体をみとめたsubcor-
との事であった。(柳原:岐阜大)透析患者にみられ
neal pustular dermatosis (?)の1例
るβ2-microglobulinにも過マンガン酸カリに同様の
今泉ら(浜松医大)は,
反応を示すので,それだけでAA蛋白というのは危険
igA抗表皮細胞間抗体を有
する角層下膿庖を呈する症例を検索し,角層下膿皮症
である。(大橋)AA蛋白の証明には市販されている
のvariantであろうと発表した。しかし別の新しい疾
抗血清を用いるのが適当である。(王:台湾)演者は
患である可能性もあり,今後の検討が必要であろうと
水庖形成の原因はDMSOと考えているが,副作用を
のコメントかあった。
起こすにはDMSOの量が少い。自験ではDMSOを用
いると水庖は消えた。本症も水庖の出来ている部が四
アミロイドーシスなど
肢であるから,原因をfrictionによるものと考えたい。
座長 大橋 勝,露木重明
147.岩先和美(鳥取大)ら
145.米田和史(大垣市民)ら
Friction melanosisから生じたLichen
皮膚アミロイドーシスにおけるアミロイド沈着と弾
loidosus
性線維一免疫電顕的検討
39歳,女性。 10数年前から入浴時ナイロンタオルを
エラスチカがアミロイドを作るのか,アミロイドが
使用。12∼13年より上背部に癌楳性色素沈着。臨床,
その周囲に沈着するのかという事は本症における論点
組織学的に典型的なL.Aの所見である。ナイロンタ
amy-
の一つであるが,演者らは各種抗体を用いて免疫電顕
オルを止めてから改善されつつある。
的に検討し,アミロイドが抗amyloid
(王:台湾)体質的,免疫的な状態でfrictionによっ
P component抗
体に陽性,抗エラスチカ抗体陰性等の所見から,アミ
てamyloidがっく人があってもよい。
ロイドが弾性線維に沈着する可能性を考えた。(柳原)
(露木)この症例は肩評間を避けているので,
はどこかで出来たアミロイドが流れて来てエラスチカ
tionによるものは色々な程度のものがみられるが,こ
にひっかかったのか,前駆蛋白がエラスチカについて,
れ程見事な丘疹状の所見を呈したものは珍しい。
Fric-
ここでアミロイドが形成されるのかいづれかではない
148.小玉 肇(岡山大)ら
かと推論した。(石井:大阪市大)アミロイドの中心
組織球浸潤誘導因子と泡沫細胞化因子
を走るエラスチカの抗エラスチン抗体による染色性の
黄色腫では高コレステロール血症の関連とコレステ
低下について質問。演者はアミロイド細線維でマスク
ロールを胆汁中に異化排泄するプロバコール治療を中
されたためであろうと解答。
心に報告された。高コレステロール血症動物では種々
146.浦亜紀子(済生会横浜市南部)ら
の薬剤によりマクロファージの集積と泡沫細胞化か生
水癒形成をみたシェーグレン症候群続発性全身性ア
じるが,正常動物では生じなかった。
ミロイドーシスの1例
ス149.三原昌子(川崎医大)ら
59歳,女性。四肢の紫斑,下肢の浮腫。網状皮斑,
原発性胆汁性肝硬変に合併し,多彩な皮疹を呈した
蛋白尿で発症。DMSO
黄色腫症例
50m9/dayで治療中にSicca
Syndromeを呈し,水庖形成をみたもので,腎,胃粘
原発性胆汁性肝硬変で黄色腫が認められ,プロバ
膜に過マンガン酸カリで染色性が消えるアミロイド沈
コール治療でコレステロールの低下と黄色腫細胞の退
着をみたものの,皮膚,紫斑部,水庖部にはアミロイ
縮が認められた。
ドはなく,血管壁,唾液腺にも沈着をみなかった症例。
150.藤田 優(千葉大)ら
(北島:自治医大)アミロイドーシスの症状でシェー
眼瞼黄色重一血清リポ蛋白,アポ蛋白からの検肘−
グレン様症状を呈するものがある。シェーグレンを自
眼瞼黄色腫には高コレステロール血症を合併するも
己免疫疾患と考えると,診断には機能面のみではなく
のと,正常なものが存在する。コレステロールのアポ
一般演題
1410
蛋白はレセプターと結合するのでこの点からの研究が
ブドウ球菌による潜在性感染があり,それより血管炎
発表された。問題となったのはコレステロールの正常
をきたすとの考えもあると述べられた。
価で,低くとる傾向はあるが確定していない。他のグ
155.五味(静岡赤十字)ら
ループは正常値の黄色腫でプロバコールによる治療で
Schweninger-Buzzi型特発性斑状皮膚萎縮症の1
退縮する点からも興味ある問題である。
例
ス151.神野公孝(順天堂大)ら
躯幹,上腕に発赤を伴わない黄白色,表面ちりめん
Menkes
じわを呈する米粒大∼小指爪甲大の扁平隆起した軟ら
Syndromeの1例
典型的なMenkes症候群が報告された。原因は銅代
かい腫瘤が多発し,圧するとヘルニア様に陥凹する。
謝異常であるが,毛とメラニンに変化があるので,今
真皮結合組織は粗となり,弾性線維が著しく減少し,
後は皮膚科医による報告があらわれることが期待され
その電顕像では正常線維にみられる穎粒状,線状沈着
た。
はほとんど認められず,均質化していた。臨床的に皮
疹が隆起している理由についての演田(大阪市大)の
代謝異常症など
質問に対し,弾力線維減少によって皮膚弛緩をきたし
座長 大城戸宗男,廣田 稔夫
たためとの説明があった。またエラスターゼ投与の目
152.加藤(大阪市大)ら
的については,弾力線維形成能が促進されることを期
Lichen myxedematosus
;光顕的・電顕的観察
待したが,効果はみられなかったと述べられた。
本症例に肝硬変を伴っており,このような報告例は
156.川端(東大)ら
他にもあるものの因果関係ははっきりしていない。電
Albright hereditary osteodystrophyの一例
顕的観察では,ルテニウムレッド染色にて酸性ムコ多
皮膚骨腫が多発し,低身長,円形顔貌,中手骨およ
糖の存在部位が超微構造的に明らかにされた。
び中足骨の短縮もみられ,臨床像は典型的で,さらに
153.畠中(高知医大)ら
偽性副甲状腺機能低下症I型と診断された興味深い症
新生仔マウス表皮におけるヒアルロン酸合成酵素の
例であった。皮膚骨腫は足跳に好発するかとの大城戸
研究
(東海大)の質問に対し,必ずしも足鮭に好発すると
表皮のヒアルロン酸合成酵素活性を測定し,分離さ
は限らないとの返答であった。本症にテタニーが発現
れた多糖体ポリマーかヒアルロン酸を中心とした物質
する頻度についての潰田(大阪市大)の質問に対し,
であり,本反応が酵素的反応であることが確認された。
必発ではないが放置すると重篤な神経症状が出現する
表皮の本酵素活性を真皮に対比して報告され,表皮に
ので,本症例のように早期発見され,軽度のうちに治
おける役割についての潰田(大阪市大)の質問に対し,
療開始可能となったことより,本症における皮膚科的
本酵素は表皮の分化に影響を与え,細胞の結合性や増
診察の重要性が強調された。
殖をコントロールすると考えられ,皮膚角化異常症に
157.菊地(三井記念)ら
おいて本酵素との関連において研究を進めたいと述べ
Crow-Fukase症候群の1例
られた。
全身の色素沈着,下肢硬毛の長毛化が顕在化してお
154.峯田(福島医大)ら
り,耐糖能異常,肝牌腫,
Hypodermitis sclerodermiformis
分泌異常が明らかにされた。多発性血管腫はみられず,
polyneuropathyや,各種内
下腿伸のmorphea様有痛性紅斑で,組織像で膠原
また骨髄腫のみられない症候群と考えられた。本症に
線維増生,脂肪織壊死を示した。本症の病態にっいて
剛毛化をきたした理由についての大城戸(東海大)の
の演田(大阪市大)の質問に対し,うっ血性心不全が
質問に対し,血中のテストステロン値の高い症例が多
本態にあり,静脈うっ滞が進展して脂肪壊死をきたし
いので,そのためではないかと思うが,まだはっきり
たと述べた。荒田(高知医大)は本疾患のすべての症
していないと述べられた。
例に全身性の循環障害がみられるか,また静脈瘤症候
158.河崎(国立医療)ら
群が,含まれるといわれたが,本疾患の特徴であるの
Werner症候群と思われる1例
かと尋ねたのに対し,全身性の循環障害はすべてにみ
4歳時に両眼の白内障手術をうけており,20歳代よ
られるわけでなく,静脈瘤症候群も特徴的といえない
り頭髪の白毛化,脱毛がみられ,歯芽の脱落もみられ,
ようで,組織でhypodermisとsclerodermaがみられ
下腿の難治性潰瘍などが存在しているのでWerner症
るのが特徴的であり,原因的には表皮からの結核菌や
候群が疑われた。同症例の健常と思われる皮膚よりの
一般演題
1411
線維芽細胞の継代培養では12代で培養不能となった。
接触性皮膚炎など
しかし,現在,72歳の高齢で,皮膚結合織の萎縮はほ
座長 上田 宏,清水 正之
とんどみられていない。下腿潰瘍の組織像で,血管腔
161.梅村芳樹(保健衛生大)ら
閉塞などもみられている。大城戸(東海大)は本症例
SOD外用におけるrat皮膚中lipid
ではWerner症候群にみられる特有の顔貌がみられて
SOD活性の変化についての検討
おらず,また本症の特有の症状に乏しいので,
Wer-
peroxide値,
近年,皮膚と活性酵素のかわりに関する発表が多い。
ner症候群といいにくいが,他に合致する診断名もみ
この総会でも宮地良樹氏(京大)による特別講演が行
つけにくいようであり,新しいSyndromeに入るのか
われたが,皮膚が外環境と直接接する器官である関係
も知れないとコメントされた。
上,皮膚が受け付ける影響は大きいのが当然であろう。
159.飯田(奈良医大)ら
演者らは,ラットにn度熱傷とDNCBの急性刺激皮
Benign acanthosis nigricansの兄妹例
膚炎を作製し,過酸化脂質とその生成を抑制するSu-
皮膚症状とともに肥満がみられるが,中等度の耐糖
peroxide dismutase外用の影響を調べた。過酸化脂質
能異常が認められたことよりbenign
量はMDA蛍光法,SOD量はチトクロームCによる酸
acanthosisnigri・
cansと診断された。兄妹とも血中インスリン値やC
素活性で測定した。熱傷では,48時間後に過酸化脂質
−ペプタイドが高値を示したことより,インスリン受
が上昇しているが,ウシCu・Zn-SOD外用部では有
容体異常を伴い,タイプAに属すると考えたが,イン
意に抑制された。対照部では上昇せず,外用皮膚では
スリン受容体の測定は行われていない。肥満のタイプ
上昇していた。上述の傾向はDNCB皮膚炎でも│司じ
でインスリン受容体異常によって発症するこのような
傾向がみられた。 SODは高分子であるが,これらの
例に対して,本邦においてインスリン受容体を測定し
炎症モデルでは経皮吸収され,効果を発揮することが
た報告かあるがとの大城戸(東海大)の質問に,2例
証明された。早川律子氏(名大分院)
程度みられるとのことであった。本症の乳頭腫症をき
臨床的,組織学的に数値化し比較すると面白い。清水
たす原因についての小嶋の質問には,抹消毛細血管の
正之氏(三重大)より8時間以後も経時変化をみたら
循環異常に,肥満による摩擦や浸潤などの関与も考え
との意見かあった。
られるとの返答があった。
162.久保容二郎(長崎市)ら
160.河野(武蔵野日赤)ら
ドクガ(越冬前幼虫によ)皮膚炎の2例
壊死性遊走性紅斑の一例
ドクガは本州以南で異常発生による皮膚炎が時々報
皮疹は鱗屑を付着した浸潤を触れる大小不同の紅斑
告される。しかし,これは成虫によるもので成熟期に
で,場所を変えながら新生を繰り返し,組織学的に表
は分散して活動するため,ヒトヘの被害が多くなると
皮上層の壊死性変化が強くみられた。以上の所見より
思われる。演者は成虫でない幼虫による皮膚炎を2例
壊死性遊走性紅斑を考え,グルカゴノーマの存在が疑
報告した。9月,10月にみられた。演者はドクガを一
われた。しかし,高グルカゴン血症はみられたが,グ
年を通じ飼育し,その生態と微細な構造を走査型電顕
ルカゴノーマは見い出されなかった。本症例では高グ
により観察し,11月より3月まで越冬し,結繭期の毒
ルカゴン血症に加えて種々の代謝栄養障害などが関与
針は本症の1 /10であるが,6∼80万あることを報告
して皮膚症状をもたらしたと考えられた。大城戸(東
された。この演題に鹿児島の寺崎氏より同様の症例の
海大)は本症例の診断が非常に早期になされたことを
評価し,さらにグルカゴンというホルモンは高値を示
SODの効果を
爆発的発生例を追加された。同氏の文献を紹介する。
「集団発生をみた黄蛾幼虫性皮膚炎」鹿人医学誌12
したからグルカゴノーマというように単純に説明出来
1746-1769,昭35.
ないと述べ,演者は高グルカゴン血症をきたすのにい
163.斉藤文雄(東京日通)
ろいろのものがあり,肝硬変のような代謝障害が起
N-Decane皮膚炎の一例
こって血中レベルが高くなるという場合もあると説明
ドライクリーニング後不充分な乾燥による残存した
した。
石油系溶剤のN-Deceneによる急性刺激性皮膚炎が報
告された。人エレザースカート着用後3時間半で接触
部に熱傷用皮膚炎を生じた。クローズドパッチテスト
30分で陽性反応がみられた。このパッチテストについ
て刺激皮膚炎であるので,30分後にはがし,それ以後
:
一般演題
1412
の貼布は必要ないのではという意見があった。
167.早川律子(名大分院)ら
ス164.小林早由美(東医大)ら
機械油皮膚炎の治療と予防対策
プロピオン酸クロベタソールによる接触皮膚炎のー
機械油に直接触れないようにすることが,接触皮膚
例
炎を防止することで実験が行われた。速乾性皮膚保護
プロピオン酸クロベタソール外用による接触皮膚炎
剤はステロイドの治療効果を高め,その効果を認めた。
の本邦第一例が報告された(欧米に8例あり)。パッ
168.豊田裕之(東女医大)ら
チテストによりデルモペート軟膏,クリームで陽性を
術後紅皮症の免疫組織学的検討
示し,その他の副腎皮質ステロイドは陰性であったが,
術後紅皮症の組織所見からGVHDに類似する所見
プロピレングリコールを含む基剤で陽性を示した。
をえたとしたが,飯島(昭和大)は免疫不全の明らか
PGは5%で陽性を示したが,アレルギーか刺激かは
でない患者に輸血後GVHDを発症しうることと,動
判定不能であった。早川律子氏(名大分院)より酪酸
物実験でF1マウスヘの親マウスリンパ球移入でこれ
クロベタソン(キンダーベート)では交叉反応がない
が惹起されることの指摘があった。
かとの質問があった。
(清水正之)
(上田 宏)
アトピー性皮膚炎など
演題161 実験的熱傷,
してSuper
DNCB
一次刺激皮膚炎に対
oxide dismutase (SOD)を投与,その消炎
座長 本田 光芳,山本 昇壮
169.蕭 俐俐(熊本大)ら
効果があるとしたが,早川(名大分院)はこれらの臨
ラングルハンス細胞の発生学的検討
床的効果との相関について検討する点を指摘し,また
ラングルハンス細胞は皮膚の免疫機能において重要
本実験では消炎効果についてみれば長時間,臨床,組
な役割を担っていることは,よく知られているところ
織的関連の上にたつ必要がある。
であるか,蕭ら(熊本大・皮)は,ラングルハンス細
演題162 毒蛾幼虫の生態とその毒刺の障害について
胞およびindeterminate cellを認識する抗ラットマク
詳細な報告があったが,8月,9月に多くみられるこ
ロファージ・モノクローナル抗体(TRPM-1)を作
とがしめされた。
製し,それらの細胞の表皮における動態を解析した。
演題163 斉藤はドライクリーニング後にみられたス
その結果,TRPM-1陽性樹枝状細胞は胎生17日目より
カートに残置したN.
epidermal sheetsで観察されたが,表皮のla抗原陽性
Decane
(石油系溶剤)による強
い一次性刺激皮膚炎の報告があり,現在までの本剤で
細胞は胎生20日目以降に出現し,出生とともに増加し
の記載はないとされた。
てTRPM-1陽性細胞の数に近づいた。そして,基底膜
演題164 ステロイド外用剤による接触皮膚炎は皮膚
を通過するTRPM-1陽性細胞がしばしば観察されるこ
科医の注意深い観察を必要とするが,主剤であるプロ
とから,このTRPM-1陽性細胞が真皮から表皮に侵入
ピオン酸クロペタソンおよび5%PGでも陽性反応の
してラングルハンス細胞に成熟するものと推論してい
みた。酪酸クロベタソンとの交叉はおこっていない。
る。ラングルハンス細胞は,表皮における抗原提示細
165.本好捷宏(ポーラ横浜研究所)
胞として重要な細胞であり,この抗体がラングルハン
安全性に優れた新規化粧料基材の開発
ス細胞の発生学的検討においてはもとより,皮膚アレ
4種の保湿剤の刺激性等皮膚反応をみ,新たな薬剤
ルギー性疾患におけるラングルハンス細胞の動態ある
があること明らかにされた。
いは役割を解析する上でも将来有力な手段となりうる
166.松井健雄(東邦大大森)ら
可能性を示しており興味深い。
フェノール系香料素材によるマウス遅延型過敏反応
皮膚はI型アレルギー反応の重要な場の一つであり,
の検討
皮膚アレルギー性疾患においてダニ抗原がこの反応の
モルモットと同様のフェノール系香料素材での接触
重要な抗原であることは従来から示されている。
過敏反応の検討で,
170.沼田恒実(広島大)ら
Isoeugenol
(IE)で強い感作がみ
られ,la抗原陽性細胞の減少はある強さ以上の感作
ダニ抗原の経皮的侵入による抗原特異化学伝達物質
が成立した惹起反応時にみられるとされた。
の遊離について
沼田ら(広島大・皮)は感作された皮膚においては,
その表面からダニ抗原か侵入してI型アレルギー反応
一般演題
1413
が起こり,種々の化学伝達物質が遊離されることを
を報告した。現在のところ,汗のどの成分がその抗原
in vitroの実験で示した。すなわち,感作皮膚の表面
性をもっているのか明らかではないようであるが,ア
にダニ抗原をアプライすると,真皮側にヒスタミンお
トピー性皮膚炎の症状と発汗との関連は,従来から言
よび好中球遊走因子が検出される。このことは,皮膚
われているところであり,この反応に関与する抗原の
表面から抗原が侵入することによって,感作された皮
解析は,非常に興味深いとろこである。
膚においてI型アレルギー反応が起こり炎症が惹起さ
173.藤滓重樹(横浜中央)ら
れることを示している。この現象とアトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の陽性抗原−データベース
との関連が討議されたが,アトピー性皮膚炎の炎症初
ADOSによる解析一
期の組織像では,真皮小血管周囲の浮腫とともに好中
アトピー性皮膚炎では,環境抗原・食物抗原など
球あるいは好酸球の浸潤かしばしばみられることか
種々の抗原物質に対して,皮膚テストが陽性を示すこ
ら,ダニ抗原によるI型アレルギー反応がアトピー性
とはよく知られているところであるが,藤渾ら(横浜
皮膚炎の症状を悪化させる因子の一つである可能性が
中央・皮)は18種の環境抗原あるいは食物抗原などを
示唆され興味あるところと思われる。ただ,日常の環
もちいてアトピー性皮膚炎患者に皮内テストをおこな
境でダニ成分がどの程度皮膚表面に付着し,侵入して
い,アトピー性皮膚炎とこれら抗原との関連をデータ
反応を起こしうるか今後の解析が必要であろう。
ベースADOSによって解析した結果を報告した。そ
171.権東 明(東京医大)ら
の結果の主なところは,アトピー性皮膚炎患者は多種
Atopic alopecia −アトピー息者にみられる特異な
抗原に感作されており,低年齢層では食物抗原による
脱毛症
感作が高率で,加齢にしたがってダニ抗原などの環境
アトピー性皮膚炎に脱毛症が合併することは従来か
抗原に感作されてくる率が高くなり,それぞれ皮膚炎
ら知られているが,権東ら(東京医大)は若年層のア
との関連性が高くなることを示した。また,陽性にな
トピー患者において,円形脱毛症に始まり急速な経過
る抗原が多くなれば重症化し,
をもってpoint noir. 頭皮発赤,脱毛斑と境界不鮮明
を示した。これらの解析された結果から,種々の抗原
などを特徴とする多発性脱毛,さらには全脱毛に進行
物質とアトピー性皮膚炎の発症機序との関連を結論ず
する脱毛症と,アトピー性皮膚炎の臨床症状・治療経
けることは困難であるとしても,アトピー性皮膚炎の
過・検査所見などとの関連をコンピューター解析し,
症状にこれらの抗原物質が何らかの修飾を与えている
この脱毛症とアトピー性皮膚炎との間には相関がみら
可能性は推察されるところであり,両者の相関をより
れるとしてatopic alopeciaの存在を示した。脱毛がア
理解するためには,今後症状との関連をより詳細に解
トピー性皮膚炎の発症機序をもとにして起こっている
析してゆくと同時に,アトピー性皮膚炎の基本的病態
か否かについて議論されたが,アトピー性皮膚炎の発
との関連も十分考慮して解析してゆくことが必要であ
症機序そのものが明らかにされていない現在,両者を
ろう。
むすぶ直接的証拠を得ることは困難であるが,コン
174.小林寿美子(善行クリニック)ら
ピューター解析の結果さらには組織学的・免疫組織学
TG低値の慢性尊麻疹と乳癌術後の慢性募麻疹一
的検討結果を総合すると,両者が同一機序にもとずい
血清脂質及び脂肪酸一
て発症している可能性があることを示された。
演者は,乳癌手術後にみられた慢性蔀麻疹患者の血
172.足立 準(大阪府立羽曳野病院)ら
清脂質及び脂肪酸を,健常者のそれと比較して報告し
アトピー性皮膚炎における汗の役割 I lgE汗抗
た。
体の測定
講演内容,抄録ともに,きわめて理解し難く,また
足立ら(大阪府立羽曳野病院・皮)は,アトピー性
質疑もなかった。
皮膚炎患者の大部分が,自己の汗に対して皮内テスト
175.奥 知三(静岡総合)ら
陽性になることから,ワセリンを通して集めた汗を凍
慢性轟麻疹,アトピー性皮膚炎患者におけるヒスタ
結乾燥・融解・透析などの処置をした後にCNBr活性
ミンおよびCompound
化ディスクに結合させて,シオノギRASTキットを
演者は健康人8例をコントロールとし,慢性蔀麻疹
使用してアトピー性皮膚炎患者血清中の抗汗lgE抗体
13例,アトピー性皮膚炎19例について,ヒスタミンお
を測定してみると,対照群では検出できないのに対し,
よびCompound
アトピー性皮膚炎群では45例中10例に検出できたこと
がどのような態度を示すか,また,治療によりその反
igE値も高くなること
48/80 による針試験の検討
48/80による皮膚反応(scratch
test)
1414
一般演題
応がどのように変化するかについて報告した。
慢性葦麻疹患者では,
Compound
対しアンケート調査を行った。日光照射により栗粒大
丘疹を生ずると答えた解答者(48人3.5%)を本症と
48/80による紅斑
判定,30項目について検討した。
の抑制がある。さらに,抗HI十H2−ヒスタミン剤投
与でヒスタミンによる膨疹の抑制,
Compound
48/80
本症患者では皮膚色に特徴なく, Sunburnしやすく,
により膨疹は出現せず,紅斑も抑制された。以上のこ
suntanを生じにくい。本症は10∼40歳代に初発,7
とから,演者は慢性葦麻疹の一部では,消化管の
月に発生ピークがあり,日光照射後1週間以内に消失,
mast cell からヒスタミンか放出され,真皮血管のre-
前腕に好発,15%に自然治癒がみられた。
ceptorに作用する。抗H2−ヒスタミン剤はこのre-
演者は,以上のアンケート調査の結果は,本症の病
ceptorをblockするので有効,と推論している。
院受診者と比較して大差は認められないと結論してい
成人アトピー性皮膚炎ではヒスタミン,
る。
Compound
48/80による反応の強い抑制がみられた。さらに,ト
佐藤(東京医歯大),市橋(神戸大),堀尾(京大)
ラニラスト投与で,
から,アンケート調査における診断の信頼性,診断の
Compound
48/80による紅斑,膨
疹の抑制がみられたが,ヒスタミンによる反応は不変
確認方法について質問かあった。
だった。したがって,演者は成人アトピー性皮膚炎で
178.八木沼健利(慈恵医大)ら
は,真皮のmast
小丘疹性日光疹についてのアンケート調査
cell の脱穎粒が昂進しており,トラ
ニラストはヒスタミン以外のchemical
mediator
blockすると推論している。
を
演者は,虫劇症,その他基礎疾患によらない,いわ
ゆる特発性結節性蝉疹17例について,個疹の反応中心
山本(広島大)から,消化管mast
cell からヒスタ
の存在を知るため,結節部位の連続切片標本を病理組
ミンの放出がなされているかについては,血中での定
織学的に検討し,その立体的構築を観察している。
量による証明が望ましく,また,
その結果,演者は,本症結節の組織学的特徴は毛嚢
H2
Receptorの存
在の直接的確認は未だ証明されていないとの意見が
中心性に生じる,逆三角形型の真皮細胞浸潤であり,
あった。
本症は病理学的にも臨床的にも明らかに慢性単純性苔
176.四本秀昭(鹿児島市)ら
癖とは異なる,と結論している。
慢性募麻疹患者における神経心理テスト
アトピー性橡疹,虫刺症に起因する本症をいかにし
慢性葦麻疹では,その発生の背景にしばしば心理学
て除外したかという質問には,問診によるとの回答で
的要因の存在が推定される。
あった。毛嚢上皮内との関連についての質問には,未
演者は,
だ正確な検討をしていないとの回答をえた。
CMI,
YGテストにより,看護学院生36名
を対照として慢性葦麻疹患者119名に対し心理的側面
PSSなど
の検討を試みている。
座長 徳田 安章,森 俊二
CMIテストによると,慢性蓉麻疹患者では対照群
に比較して,心理学的に正常者の多いClass
るものが少く(p<0.05),
Iに属す
classⅢに属するものが多
179.浜崎洋一郎(川崎医大)ら
RNP系抗核抗体特にSSA/Ro,
SSB/Ra抗体の臨
い傾向にある。
床的および基礎的検討
YGテストでは,患者に抑圧・内攻的性格の傾向が
イムノブロット法によってSSA,
みられたものの,統計学的には有意の差はなく,特有
を各種の膠原病について行ない,二重免疫拡散法に比
SSB抗体の検出
なプロフィールは証明されなかった。各項目例では,
べて高感度であることを確認した。とくにSLEにお
R項目(のんきさ)で,慢性尊麻疹患者群は対照群に
いてはSSA
比して小さなスコア(p<0.05)を示した。
29例について臨床症状との関係をみたところ,
以上の結果から,演者は,53歳男性症例を紹介し,
陽性側は陰性側に比べて関節炎や腎障害が多い傾向が
本症には心理学的因子が関係し,心身症に属する症例
あり, SSB陽性側では顔面紅斑,凍癒様皮疹,レイノー
もあると説明した。
症状が陰性側に比して多い傾向などがみられた。これ
83%,
SSB 41%に陽性を認めた。 SLEの
SSA
177.宮内東光(滋賀医大)ら
に対して金子(福島医大)より光線過敏症との関係の
結節性摩疹の成熟疹と中期疹の病理組織学的構築
有無について質問には関連がなかった旨の答えがあ
小丘疹性日光疹(堀尾ら)の一般人口中の発生頻度,
り,竹原(東大分院)からRNP系抗体の名称につい
臨床像を知るため,演者は2000人(回答者1383人)に
て質問かあった。また片山(北里大)よりこの方法で
一般演題 1415
健常人のとくに高令者に陽性のことがあるかとの質問 183.桜井みち代(大津日赤)ら
があり,そのようなことはなかったとのことであった。 〈演題名及び抄録変更〉
180.宮本秀明(平塚共済)ら 「有痛性脂肪織炎より始まり,皮膚硬化をきたした3
SLEと多発性筋炎のOverlap症候群の1例 例
39才女性でSLEを考えさせる皮疹と共に筋症状も 下腿内側に有痛性の脂肪織炎に始まり,後に皮膚の
生じ,皮膚,筋および腎生検を含む諸検査を行ない 硬化をきたした3例を報告した。3例とも中年の女性
SLEと多発性筋炎のOverlapと診断した。免疫組織学 で職業は商店主,美容師,看護婦で永年立ち仕事に従
的手技としてパラフィン切片PAP法の臨床的有用性 事してきた者で,2例に静脈瘤を認め,1例に深部静
についてのべた。腎生検の結果はループス腎炎。なお 脈の狭窄がみられた。発症の誘因としてうっ血が考え
経過中に精神症状を認めた。これに対して益田(高知 られた。皮膚は進行すると下床にゆ着,
bound down し,
医大)より精神症状について質問があり,演者より, 筋膜まで変化が及んでいると推測された。組織像では
プレドニンを70mgから50mgに下げたときに発生したこ 皮下脂肪織にリンパ球,組織球の浸潤がみられ,細い
と,ステロイド精神病は感情面の変化が多いのに対し 膠原線維の増生が認められた。また一例では真皮およ
て,本側では幻視,幻臭を主としたことからSLEに び脂肪織に著明な好酸球の浸潤を認めたか血中の好酸
よる精神病と診断した旨の回答があった。 球増多はみられなかった。一例はヨードカリが,二例
181.安部正瑞(虎の門)ら はステロイド内服にて改善をみた。」
Morphea様皮疹を伴ったPSSの1例 59才,49才および62才のいずれも長年立仕事に従事
52才女性のacrosclerosis型PSSの経過中に両耳前 していた女性の下腿に生じた例について報告し,1例
と左上腕に限局性硬化性紅斑が出現し,組織所見を含 ではヨードカリ有効,2例ではステロイドが有効で
めてmorpheaと診断された。全身的には腎生検で硬 あった。鑑別としてsubacute
nodular migratory pan-
化性病変を認めた以外には著変を認めず,舌小帯短縮 niculitisをあげて考察が加えられた。これに対して竹
も色素沈着もみられなかった。低補体血症が認められ 原(東大分院)は,この3例はmorpheaとしては非
overlapも考えられた。演者らは本症のmorphea様皮 定型的であり,結節性紅斑や静脈瘤に伴う変化との鑑
疹をPSSの皮膚症状とみるのが妥当であると考えた。 別の必要性の追加を行なった。
182.河合修三(関西医大)ら 184.竹原(東大分院)ら
躯幹より皮膚の硬化がみられ,筋炎症状を伴った TGF-βによる血管内皮細胞増殖抑制効果について
PSSの2例 血小板より遊離するTGF-βがin
vitroにおいて3
第1例は53才男性。胸腹部の硬化と四肢の筋肉痛を 種の動物およびヒト由来の血管内皮細胞の増殖を抑制
伴って発病し,後にシェグレン症候群を合併し,種々 することを見出した。これは内皮細胞のhigh-affinity
の検査を行なったが多発性筋炎の診断は下せなかった EGFレセプターの減少を伴い,
EGFにより発現され
diffusescleroderma。 るoncogeneのうちでC-myeの低下とJE,
KCの発現
第2例は53才女性。6年前から躯幹に皮膚硬化出現。 抑制がみられた。
筋炎症状,心障害さらにDICをきたして死亡。抗 これに対し,橋本(大阪膠原病センター)より内皮
DNA抗体と抗平滑筋抗体が陽性で,死亡時までレイ 細胞自身の産生するTGFについては如何かとの質問
ノー症状とsclerodactylyは出現しなかった。Tuf- があり,演者から検討は行っていないが,産生したに
fanelliらの提唱したdiffuse sclerodermaに相当すると しても恐らくlatentの形であろうの回答あり,さらに
考える。本邦では同様症例の報告は極めて少ない。こ 生体内で血小板のinactiveなTGFがどの様なメカニ
れに対して竹原(東大分院)より石川のGM-like
PSS ズムでactivateされるであろうかとの質問に対して
との異同と有機溶媒との接触の有無について質問があ は,
り,演者より症例1についてはGM-like
masking proteinがいかにして解離してactiveに
PSS も考え なるかについての詳しい機構については未知であると
られるが両側とも有機溶媒使用歴は認められなかった した。
との回答があった。 185.船井龍彦(国立大阪膠原病センター)ら
血栓症を併発した循環抗凝固因子陽性の膠原病の2
症例
36才女性のSLEと28才女性のシェーグレッ病に
一般演題
1416
夫々右桟骨皮静脈・左外腸骨静脈および下大静脈の閉
188.池田和人(新潟大)ら
塞をきたし,原因として血栓症が疑われた。検査の結
大量輸血後に生じた愈性Graft-Vers
果SLE例では抗凝固因子陽性,A-PTT延長が,シェー
ease
グレン病例では抗凝固因子陽性,A-PTT延長及び血
63歳男性,心手術のために大量の新鮮血,保存血,
小板滅少がみられ,これらの検査異常と血栓症との関
血小板などの輸血を受けた後,肝障害を伴って全身に
連について考察が行なわれた。
紅斑を生じ,組織学的および電顕的に検討を行ない,
186.臼田俊和(中京病院)ら
骨髄移植後のGVHDとの比較も行なった。
先天性房室ブロック児の母親の膠原病に関する検討
189.野崎重之(昭和大)ら
一第2報一
十二指腸潰瘍に対する輸血後に生じたgraft-versu-
先天性完全房室ブロック児は2万人に1人出産す
s-host-disease
US-Host
(GVHD)のI例
る。この患児5例の母について検索を行なった。症例
45歳,男性,十二指腸潰瘍による吐血で入院。濃厚
1はレイノー症状と日光過敏があり,
SSA,
赤血球輸血をうけた後,全身に紅斑,肝障害,汎血球
SSB陰性でシェーグレン症候群(SJS)あり。
減少を来たし輸血後19日で死亡した。免疫組織でケラ
RNP陽性,
RA,
チノサイトにHLA-DR抗原が発現し,ラングルハン
症例2は関節痛がありRAを疑われ,日光過敏あり,
SJSあり。症例3はRA,
ス細胞は消失,浸潤細胞はOKT8陽性細胞であった。
SISあり。しかし健康人とし
この2題の輸血後GVHDについて質問が集中した。
RA,ANA,SSB,SSA陽性,
ANA,
SSB, SSA陽性,
て生活。症例4は軽いSJSとRA,
ANA,
SSA,
陽性。症例5は3児中2児に房室ブロックあり。
ANA,
SSA陽性,
SSB陰性,
Dis-
(GVHD)の1例
SSB
RA,
SJSあり。膠原病の症状
先ず肥田野(束女医大)から,骨髄移植後GVHDに
比べて輸血後GVHDが予後が悪いことを始め,経過,
血液検査所見などが異なる理由について質問あり,演
はSJSで年令と共に著明になる。また新生児エリテマ
者から,前者に於ては骨髄造血細胞がdonorから来て
トーデスとするより新生児SJSの名の方が適してい
いるので骨髄の荒廃を来さないか,後者では骨髄抑制
る。これに対して西原(国立岡山)より,30例の房室
を来して免疫不全状態となり死亡すると考えられると
ブロック児の母について調査した結果ANAなどの異
の答があり,谷(神戸大)から保存血輸血でも
常は2例にしか認めなかった。これいついて演者は後
GVHDが起るかという質問には,保存血中のリンパ
天性と先天性の区別がむずかしいことを指摘。植木(川
球は3週間も2割が生存しているので起り得るとの答
崎医大)から第1子が房室ブロック児の場合の第2子
があり,さらに浸潤T8陽性細胞はdonor由来かreci-
以後のリスクをどう判定するかの質問あり。演者から
pient由来かの問には,
複数児に房室ブロックを生ずる可能性は稀であるが,
答された。
その発症予知は困難である。母親がSSA陽性の場合
さらに共同演者の飯島より,ラングルハンス細胞か
には胎児心音の変化を慎重に診て,変りがあればステ
先ずT8細胞に攻撃されて消失したと考える。術後紅
ロイド治療も考慮される。またHLAについては現在
皮症で薬疹と考えられる例ではラングルハンス細胞は
検索中との回答あり。
残っているとの追加があった。また宮地(京大)から
187.田辺恵美子(千葉大)ら
免疫不全状態がない場合でも輸血後GVHDが起るか
紅斑に対し,トラニラストが有効であったシェーグ
との質問に対して,起り得ると考える旨の答えがあり,
donor由来と考えられると回
レン症候群の1例
さらに日本人は単一民族なのでHLA抗原の一部が共
43才女性の顔面,頬部,胸部などに生じた環状ない
通である割合が多く,そのため輸血後GVHDが起り
し浮腫性紅斑が種々の治療に抵抗したが,トラニラス
易いと思惟された。
トを投与したところ2日後より著明に軽快し,1ヵ月
190.田中 勝(国立第2)ら
でぼ消退した。中止により再燃し,再投与によって
Pityriasis lichenoides
再び消退に向った。これに対して植木(川崎医大)よ
例
り,紅斑部の肥満細胞の動向は如何か,との質問があっ
〈抄録変更〉
たが,検索は行なわれていなかった。また,三橋(弘
「症状:68歳,男。初診:昭和62年9月17日。現病
前大)より紅斑以外の症状の変化について質問あり,
歴:うつ状態のため,8月20日より漢方薬,加味逍遥
演者から乾燥症状と抗核抗体を始めとする検査値には
散を内服中。初診10日前より,体幹に皮疹出現したた
投与後も変化は認められなかったとの答えがあった。
め当科受診。ステロイド外用するも拡大し,個疹は小
et varioliformis acutaの1
一般演題 1417
水庖,小膿庖ないし中心壊死傾向を示す丘疹であった。 特異性を免疫沈降法あるいは免疫blottingなどを行う
Pityriasis lichenoides
et varioliformis acuta を疑って
生検。病理組織所見:表皮細胞の変性壊死と真皮浅層
ことによって確認したか否かについての質問があった
かそれらは行っていないと返答された。演者らの成績
から深層におよぶ血管周囲性リンパ組織球性細胞浸潤
はBP抗原の多様性を示唆するものではあるが,抗原
を認めた。免疫蛍光直接法で表皮細胞間と細胞質とに,
が変性したために多様になるとの考えもあり,また,
IgG,補体の沈着(十)。治療および経過:DDS
75mg投与
他の自己免疫疾患の抗原物質は多様であることなどか
すみやかに軽快したが,漢方薬再開後,皮疹再発。中
ら,多施設,条件一定での検討が解決への一方法であ
止にて軽快。以上その原因として,漢方薬,加味逍邁
ると考えられる。
散が強く疑われたPLEVAの1例を報告した。」
次いで,天庖愉の症例が4施設から供覧された。
68歳,男性。うつ病で抗不安薬と加味逍洛散を内服
193.東山真里(大阪大)ら
中に皮疹を生じて来診し,臨床的には滴状類乾癖の典
尋常性乾癖と天指盾を合併した3例
型疹はみられなかったが組織像などより本症と診断。
両疾患の合併の意義づけは,固体の免疫学的素因の
なお全身検査所見には異常なし。従来の投薬を中止し,
異常が最も関与するのではないかと演者は推察した。
DDSを2週内服により消退した。その後,加味逍邁
乾癖皮疹部での表皮細胞間へのlgG沈着は3例中1例
散を再開したところ,皮疹が再発して来た。この漢方
のみにみられたが,これは天庖癒の病期と相関するも
薬を中止したら再び皮疹は消退した。以上の経過から,
のと考察された。
本症は加味逍蓬散による薬疹である疑いが強いと考え
ス194.土田幸枝(山口大)ら
た。文献的には,本症がピルによって起ったとする報
〈演題名及び抄録訂正〉
告がある。
「増殖性類天庖疲の1例
76才,女。初診昭和62年9月28日。同年8月初旬よ
水癒症
り四肢,体幹,耳介後部に水庖,廉爛が多発。
座長 西川 武二,矢尾板英夫
上の発熱を伴い当科人院。
191.西浦清一(鳥取大)ら
現症:左前腕,左大腿,背部には数個の緊満性水庖
表皮基底膜郎の構成物質の発現時期−各種抗基底
膜部抗体による
38℃以
を,外陰部,両下腿,両手背,両耳介後部には廉爛,
増殖性局面ならびに赤褐色斑をそれぞれ認めた。組織
彼らの作成した抗Elastic
fiber microfibrilモノク
:背部の水庖では好酸球およびリンパ球が蜜に浸潤し
ローナル抗体(NKH)を用いて胎児表皮基底膜部の
た表皮下水庖を,増殖性局面ではacanthosisを呈し,
構成物質の抗原を免疫組織学的に検討した。この
真皮では好酸球の浸潤は疎となりfibroblastの浸潤が
NKH抗体は表皮基底膜部のsublamina
反応し,同部のelastic
densa zone と
fiber microfibril と交差反応す
みられた。蛍光抗体直接法では基底膜にIgG,
線状に沈着。電顕的にはlamina
IgAが
lucidaが開大し,水
る物質の存在する可能性も示している。得られた結果
庖底はlamida densa により成っていた。
は35週の表皮基底膜部にはNKH抗体と反応する物質
治療と経過:抗生物質およびステロイドの全身投与
陽性であるが10週,15週では陰性で類天庖癒抗原物質,
で色素斑を残して治癒。増殖性局面は右膿商部で観察
TypeⅣコラーゲン,ラミニンなどに比し本物質は著
したところ,水庖,ついで廉爛形成後3ヵ月目に出現
しく遅れて産生される可能性が示された。本抗体と反
し,2週間持続した後色素斑へと移行した。」
応する抗原とType
76歳,女性の増殖性天庖癒(?)例を供覧した。本
YI, Type
VIコラーゲンとの交差
反応との異同について質問されたが,まだ行っていな
例の臨床はむしろ結節性類天庖癒であるとした方が良
いとの事であった。
いという意見,また,増殖性類天庖癒では孤立した水
192.和泉 宏(済生会野江)ら
類天指廬抗原:Western
庖はみられない等の意見が出された。本例は,増殖性
類天庖愉とするにはなお経過観察により,臨床的に増
blot法による解析
殖性天庖癒のごとき臨床像がみられることが必要と思
ヒト表皮のBP抗原についてImmunoblot法を用い
て解析した結果を報告した。
240,
200,
180,
3本か高頻度,かつ特異的に抽出されたことから,演
者らは類天庖愉抗原のheterogeneityを示唆するもの
と結論した。これに対し,各々のバンドの抗原物質の
KDの
われた。
一般演題
1418
ら庫疹様結節の出現と関連させて考えたいとの意見も
195.薄場泰子(東北大)ら
金製剤使用中に肺線維症を併発した尋常性天癒癒の
あった。
1例
ス200.千代谷成史(青森中央)ら
金療法の安全性について問題提起した。本例を含め,
下腿に皮疹が限局したbullous
死亡例は全例が比較的少量であること,すべて筋注に
れる1例
よる点に注意したい。また,本例の組織像がGVH反
彼らの症例は56歳,男性例で,52歳時より糖尿病性
応であることから金そのものよりはチオール化合物で
網膜症を有するが,発疹出現時には糖尿病のコント
ある可能性が推察された。欧米の報告に死亡例がない
ロールは良好であったという。本例は免疫組織学的に
ことを指摘し,死亡例とHLAとの関連について検索
陽性所見なく,表皮下水庖でDDSが有効であった。
することが要望された(矢尾板)。この点も含めて更
本例が後天性表皮水庖症の可能性についての質問につ
に検討が必要と思われた。
いては電顕,免疫電顕の検索が必要であるが未確認で
ス196.岡野昌樹(府立羽曳野)ら
ある旨解答された。矢尾板はPretibial
妊娠を契機に発症した尋常性天地療の1例
phigoidを類天庖癒と考えるか否かについて免疫組織
37歳,女子例を報告した。妊娠9ヶ月で誘発分娩さ
学的知見陰性例が多い糖尿病患者に多いことから,問
れた。出産児の皮膚に異常はなかった。妊娠を契機に
題が残されているとの意見も出た。また,免疫プロッ
発症した本症報告例は2例のみであり,貴重な症例と
ト法によっても類天庖愉と同様所見を示す症例も紹介
考えられた。
された。本疾患の概念についてもなお症例の検討が必
197.中村晃一郎(東大分院)ら
要であろう。
Bullous pemphigoid
次の二演題は一括して討議された。
of childhood
pemphigoid
localized pern-
小児類天庖愉症例を報告した。症例は4ヶ月女児で,
201.鈴木正之(自治医大)ら
比較的急性に症状出現,臨床的ならびに免疫組織学的
IgA
に典型的所見を呈し,
1例はfibrilarの沈着,1例は線状沈着patternを
Fluocinonide軟膏外用のみで
type水癒症の2例
1ヶ月で略治した。母親の血中に抗表皮基底膜部抗体
示す症例で,いずれもサルフア剤(DDSおよびサラ
は陰性,患児の抗表皮基底膜部抗体は,経過とともに
ソピリン)にて軽快した。欧米症例と本邦例を比較す
抗体価減少し,陰性化した。
ると,本邦例ではlgAの沈着が線状であるものが多
198.杉浦 丹(慶応大)ら
く,穎粒状の症例でも小腸病変が少いなどの傾向を確
乳房に単発したLocarized
Bullous Pemphigoidの
と思わ
認した。また沈着lgAサブクラスはlgAであり,欧米,
1例
本邦共同様であった。
乳房部のみに水痘の単発した限局性類天庖愉例を報
202.小野寺有子(慶応大)ら
告した。彼らによれば,限局性類天庖療と通常の類天
Linear
庖槍ともに同様の免疫蛍光所見及び免疫電顕的な所見
1例
がえられたという。本例はステロイド外用剤のみにて
線状lgA水庖症の幼児例を報告した。lgA沈着は線
軽快した。
状でサブクラスはlgAで,血中にlgAクラスの抗基
ス199.今田吏津子(弘前大)ら
底膜部抗体は20倍で陽性,免疫電顕でlamina
水癒性類天地康に合併した結節性嫁疹の1例
にlgAの沈着がみられ,
水庖性類天庖癒の経過中,橡疹様結節を生じる症例
的症例である。表皮基底膜部へのJ-chain沈着の有無
igA
Bullouse
Dermatosis
of Childhood
lucida
DDSが著効を示すなど典型
を報告した。演者らの症例は橡疹様結節の免疫組織所
についてはなお観察の余地があるとの意見であった。
見が陰性であることから,結節性類天庖癒とせずに類
小児例と成人例で発症機序に差異があるか否かについ
天庖愉と結節性橡疹との合併と診断したとの見解が述
ては,おそらく同一ではないかと解答された。
べられた。一方,通常の類天庖癒症例に同様の橡疹様
免疫電顕所見が本邦例と欧米例で異なる点について,
結節の出現した症例への結節部でlgG沈着の陽性所見
人類同相違を問題とするためには,もっと多くの症例
と陰性所見とが見られた例をあげ,同一症例に二疾患
が免疫電顕的に検索されるべきであるとの意見が出さ
とするよりは同じ病態より生じた皮疹と考える意見も
れた。
出された。
最後に表皮水庖症の演題が2題報告された。
また,それに加えlgE高値の症例も紹介され,これ
の
lgAの
一般演題
1419
ス203.渡辺理恵(帝京大)ら
207.榊原 茂(名市大)ら
単純型表皮水瘤症の家族例
カルバマゼピン(CBZ)による光アレルギー性反
抄録において「家系内には4世代にわたり17人中11
応
人に………」の部分か「家系内には4世代にわたり24人
207は,カルバマゼピンによる扁平苔癖型光アレル
中15人に………」4こ変更された。
ギー反応例の報告で,かかる病型で光パッチテスト陽
Weber-Cockayne型単純型表皮水庖症の兄弟例を供
性である点が興味深いと堀尾(京大)が指摘したが,
覧し,本症の変化が基底細胞中心にみられることを電
勿論水野(名市大)も述べたように,本剤がそのまま
顕的に示した。この報告に対し北島は,基底細胞内の
の形で皮膚に達するのか,あるいは他代謝形として皮
keratin線維の凝集塊形成が外力による二次変化では
膚に存在するのかといった問題に関しては,尚今後の
なく, primaryなケラチン線維の細胞骨格のネット
検討を要するのは当然であろう。
ワーク形成不全にあるとの考え方を示した。
208.星野輝彦(熊本大・薬)ら
204.高橋省三(富山医薬大)ら
シクロデキストリン包接によるクロルプロマジン光
先天性喪皮水抱症の1例,特に電顕所見について
接触性皮膚炎の軽滅とその機構解明
先天性表皮水庖症あるいは先天性皮膚欠損症を思わ
208は,クロルプロマジン光接触皮膚炎がシクロデ
せた,生後1日目の男児例を示した。本例がder-
キストリンの包接により軽減すると述べた報告である
molysisを示す表皮水庖症のー型であり,5ヶ月迄の
が,中山(済生会中央)の討論があったように,その
経過と臨床経過から劣性栄養障害型を思わせ,電顕所
作用機序には尚不明の点が多く,たとえばアレルギー
見もこれにほぼ一致するとの見解を示した。
反応を抑制するか否か(佐藤・東京医歯大)など,尚
今後の詳細な検討か必要となろう。
光アレルギー
209.海塚安郎(佐賀医大)ら
座長 三浦
隆,佐藤 吉昭
205.松尾歌朗(東海大)ら
日光暴露をきっかけに発症したS電Bvens-Johnson
症候群
アフロクァロン光線遇敏発症機序のIn
vitroでの研
209は,臨床上露出部にのみ多形紅斑様皮疹が生じ
究
た1例であって,皮疹は全身に多発,かつ粘膜疹も合
−DNAファージの光増感失活−
併したのであるが,その原因として4ヶ月前まで内服
205は,アフロクァロンの光過敏にはフリーラジカ
していた降圧剤によると考えられたとの報告であっ
ルが関与するとのin
vitroの実験結果を示した興味あ
た。堀尾(京大)が指摘した如く,皮疹が陰部にも発
る報告である。その実験系において,無酸素条件下で
症している点はむしろ光との因果関係を支持しないと
も光増感がみられた点が問題となったが,水野(名市
も考えられるわけで,たとえば庖疹ウイルス以外のサ
大)は窒素ボンベからのN2ガス中には僅かながら02
イトメガロウイルス(三浦・帝京大・市原)など他種
が含まれている点を指摘して注意を喚起した。
ウイルスの関与など多種因子も当然考慮すべきであろ
206.宮元千寿(東医歯大)ら
うとも考えられ,その本態は今後さらに検討する余地
多形日光疹−22症例における人工光源による誘発
があると思われた。
賦験について−
206は,東京医歯大における2年間の多形日光疹25
中毒疹
症例の一括報告で,臨床的にも光皮膚科学的にも興味
座長 安野 洋一,溝口 昌子
ある報告であった。中山(済生会中央)のクロレラの
210.竹崎伸一郎(北里大)ら
内服やポルフィリン症との鑑別,
リンパ球刺激試験(LST):FACSによる解析と薬
UVA感受性の有無,
堀尾(京大)の光接触皮膚炎の病像との異同,上出(慈
剤アレルギー診断への応用
恵医大)の性別比,照射野の大小による差異,などと
LSTは薬剤アレルギーの診断上有力な検査法と
いった各種質疑か相次いだものの,本疾患の概念は一
なっているが,その検出率はたかだか40%で,有用性
般化してきたようで,その定義もほぽ定着した感があ
には限界がある。演者らはLSTの診断的価値を高め
るといえよう。
る試みとして,従来の3H-TdRの取り込みを測定する
方法ではなくFuluorescence
Activatad Cell Sorter を
用いて,幼若化リンパ球の形態の変化,細胞表面の活
1420
一般演題
性化関連抗原の増加,核内DNA量の変化を指標とす
が,慢性型ではCD4,
る多変量解析を行う新しいLSTの測定法を開発した。
ことや,ラングルハンス細胞の態度の違いから急性型
CDsの両方か表皮に入ってくる
また従来のLSTの問題点である不溶性薬剤や薬剤の
と慢性型とは質的に違いがあるように思うとの意見が
代謝の問題を解決するために健常人に被検薬剤を投与
出された。
し,その前後の血液を抗原とした。その結果,セフェ
213.刀祢 毅(国立横浜)ら
ム系抗生物質を用いた1例で良好な結果が得られた
フトラフール誘発ループス(DLE型)の一例
が,征来の方法との比較はまだ行っていないと報告し
68歳女,乳癌手術後フトラフール内服開始―力月頃
た。
に顔面に浸潤性紅斑が出現し,組織および臨床所見か
池沢(横浜市大)から面白い試みであり,不溶性の
らDLEと診断。
薬剤を用いる場合には価値があると思うが,セフェム
40倍で,薬剤の中止によりすみやかに陰性化し,皮疹
LBTは陰性であったが,抗核抗体が
系薬剤では薬剤単独の添加でも充分陽性の結果か得ら
も消失した。掌跳には特有な色素沈着も認められた。
れるので,従来の方法との比較を是非行ってほしいと
本邦6例目で比較的稀な症例の報告があった。
の発言かあった。
214.高島 明(名市大)ら
ス211.鈴木明宏(埼玉医大総合医療センター)
臭化チメビジウムによる増殖性天地盾型薬疹(?)
多核表皮細胞を認めた中毒疹の2例
ほゞ全身に膿庖,水庖,びらんのある72歳の女性,
紅斑丘疹性の皮疹を全身に認めた30歳男,26歳女の
一部の皮疹は臨床,組織像共に増殖性天庖歯を疑わせ
2症例において病理組織検査を行ったところ,表皮内
た。臭化チメビジウム(セスデン)内服開始後26日で
に多核巨細胞を認めた。 1例は麻疹ウイルス抗体価の
発疹。リンパ球幼若化試験でセスデンのみ陽性,スク
推移から麻疹と診断したが,他はウイルス抗体価は未
ラッチテスト試行5日目より皮疹再現,血清中Br濃
検査で,臨床所見,組織所見から麻疹を推定した。組
度は正常の2倍であったが,
織像から表皮での多核巨細胞の存在は麻疹の診断的価
スト陰性。以上の結果からセスデンによる薬疹と診断。
値があるとの報告に対し,麻疹の早期迅速診断には咽
毛包一致性の皮疹の有無と薬疹の型および薬疹成立機
頭粘膜の細胞疹で巨細胞を検出する方法が有用である
序を問う質問(溝口)があった。演者は,毛包一致性
との追加がなされた。
の皮疹でないこと,NaBrで皮疹の再現がないこと,
212.提正好(SRL)ら
リンパ球幼若化試験,スクラッチテストの結果などか
NaBrではスクラッチテ
チオラ特異的T細胞クローンを用いた苔癖型薬疹発
ら,Brによる痙歯型薬疹ではなく,遅延型アレルギー
症機序の解析(1)
が関与した薬疹である可能性があると答えた。
苔癖型薬疹の発症機序を解明する試みとして,
215.神崎 保(名市大)
C3H/Heマウス由来のチオラ特異的T細胞クローンを
リチウム製剤による痙廬様発疹
樹立し,これを同系マウス足跳にチオラとともに移入
リチウム製剤は抗蹄うっ病剤として広く使われてお
したところ24時間をピークとするDTH反応に引き続
り,外国では本剤による痙歯様発疹の報告があるが,
き,72時間後に苔癖様組織反応を認めた。既報告の結
本邦にはこれまで報告がなく,本邦第1例である。患
果と併せ,苔癖様組織反応の発症機序として多来抗原
者は26歳,女。炭酸リチウム内服中はミノサイクリン
の明かでない扁平苔癖では表皮細胞上の自己MHC抗
などの痙瘤の治療に反応せず,リチウム中止により急
原に対する自己MHC抗原特異的T細胞による局所的
速に軽快した。花田(弘前大)はミノサイクリン内服
な自己GVH反応であり,一方苔癖型薬疹においては
後リチウムの血中濃度が増加するとの報告があり,こ
薬剤ハプテンにより修飾された自己MHC抗原を標的
の症例もミノサイクリン内服後に皮疹が増悪している
とした抗原特異的T細胞の局所的活性化に基づく反応
ので,この時期にリチウムの血中濃度を測定したかと
であることを推測した。
質問した。演者はミノサイクリン投与前とリチウム中
池沢によりマーカーとしてhelper型であって,か
止後に測定したが,ミノサイクリン投与後のリチウム
つ細胞障害活性をもつものが苔癖様組織反応を示すと
濃度は測定しなかったと答えた。また花田はリチウム
いう考えには賛成であるが,チオラでパルスしたT細
内服中の患者を調べたが痙歯を併発している者はいな
胞が細胞障害活性を持つかどうかが非常に重要である
く,日本人にリチウム内服による痙癒型薬疹が少い理
との指摘かあり,また岩月(浜松医大)から苔癖型薬
由を尋ねた。演者は他にも1例経験しており,実際は
疹を免疫組織学的にみると急性型では誘発によりCDs
もっと多い可能性があり,報告されていないからと
一般演題
1421
いって少いとは云えないと考えている。痙癒のできや できたら面白い。
すい人に本症ができやすいかとの質問(安野)に対し
青木:私共の所ではアミノ酸分析が可能なので,今
ては,その傾向はないとのことであった。また,日本
回の成績を得た。
での本剤の使用量も多く,外国より少いとは云えない
219.東 萬彦(私立堺)ら
とのことであった。
鈎蛮爪の発生機序
216.小渾ゆかり(束医大八王子医療センター)ら
(討論)桑名(徳島大):爪床遠位部端の隆起を削ら
ミノマイシンによる固定薬疹の2例
ないと治癒しないか。
テトラサイクリン(Tc)による固定薬疹の報告は
青木:(埼玉中央)すでに東京地方会で発表したが,
多いが,ミノマイシンによるものは少い。定型的なミ
爪甲鈎考症の厚い爪甲の切断片を背側と腹側にわけて
ノマイシンによる固定疹の2例を報告。
Patch testで
分析したアミノ酸組成は異なる。この結果から本症が
scratchpatch testでは
爪床のみの同一の角化より生じると考えるのは無理が
は色素斑部,健康部共に陰性,
色素斑部のみ陽性。内服試験で他のTc剤との交叉感
ある。
作性を検討したところ,症例1はすべてのTc剤に反
東:鈎考爪の背側は硬ケラチンであり,腹側のもの
応陽性,症例2はアクロマイシンVとブリサイTXに
は,爪甲剥離様になり爪甲間の角質増殖をしめしたも
のみ交叉反応性を示した。文献的にも交叉反応性は症
んで普通のケラチンと似ている。ゆえにアミノ酸組成
例により異なり,一定の傾向はない。個体により抗原
が異なるのは当然である。
決定基が異なるためと考えている。ミノマイシンによ
菊地(宮崎医大):臨床にもとづいた説得力のある
る固定薬疹で交叉感作性を検討した本邦初の報告であ
発表であると考える。
る。
220.松村雅示(市立堺)ら
217.大江麻里子(厚生年金)ら
異所爪の1例
Toxic Epidermal Neocrolysisの2例
(討論)菊地(宮崎医大):異所爪として典型的であ
症例1,
るか,真皮に神経線維があり,痕跡的多指症への関連
75才,男,死亡例に対して,池渾(横市大)
より輸血後のGVHDではないかとの意見がでた。池
もある興味ある症例である。異所爪は四肢の先端にお
渾は皮疹の形態,全血球減少,骨髄低形成,消化管出
ける,多指症への方向への異常ではないか。
血,急性の経過で死亡などの全てを薬剤のみの原因で
松村:われわれもそう考えている。
は説明しにくいと考えた。輸血後2週間目の症状発現
菊池(宮崎医大):日本に非常に多い点はどうか。
で日数的にも一致するとのことであった。薬疹に関し
松村:外国では見逃されているのであろう。
ては原因薬剤を特定できていないか,もし血清が残っ
221.青木清子(埼玉中央)ら
ていれば,シオマリンなど原因の疑いのある薬剤の抗
先天性異所爪の1例
ハプテン抗体を測定し,陽性に出るかどうか検討して
(討論)東(市立堺):組織学的に染色性はどうか。
みる必要がある(池原)。佐藤(新潟大)よりGVHD
青木:検討していない。
ならば組織学的にリンパ球の表皮内浸潤やsatillite
佐藤(新潟大):病名で先天性はいるのか? 角化
cellnecrosisがみられるはずとの意見があり,南光(厚
の異常病態をみるには,アミノ酸分析よりDACMな
生年金)は組織学的にはGVHDを思わす所見はなかっ
どの組織化学や透過電顕による観察がよいと思う。
たと答えた。第2例に関しては特に討論はなかった。
青木:外傷性など後天性の異所爪もあるので,診断
名は先天性異所爪がよい。
爪・毛髪疾患など
222.永野剛造(慈恵医大第三)ら
座長 佐藤 良夫,菊地 一郎
円形脱毛症の成人と子供におけるパーソナリティの
218.青木清子(埼玉中央)ら
比較検討一口−ルシャッハテストを中心として一
正常爪甲のアミノ酸分析−特に鶏眼,勝豚腫との比
(討論)村山(JR東京):心理テストはどのような
較
時期におこなったか。というのは病気の悪いときと治
佐藤(新潟大):アミノ酸分析はそれなりに意味が
癒したときでは異なるので。
あろうが,この成績から爪の疾患の形態発生,発生機
永野:ロールシャッハテストは性格をしっかり把握
序を検討することは困難である。方法としてはむつか
する検査であるので,脱毛症が治癒しても,おそらく
しいが,ケラチン蛋白を幾つかの分画に分けることが
同じであろうと思う。本症が発症しやすい性格かある
1422
ものと考える。
一般演題
226.横山博博之(新潟)ら
西本(長崎市民):顔や頭部の疾患のときの心理テ
化学物質塗布によるウサギ耳介の増殖脂膝の立体構
ストはどうか。
造的,電東的研究
永野:疾患によって一定の傾向を示すものと示さな
(討論)世喜(資生堂安達研):1)文献上いわれて
いものかある。
いるように,テストステロンを投与するとハムスター
佐藤(新潟大):西本先生のいわれたような疾患を
の巨大脂線の電顕所見の小胞体が顕著に変化するか。
コントロールとし,また病気の治った後の変動をぜひ
2) DMSOは分化と関係かあるとされるか,
みていただきたい。
脂腺細胞を増殖させている点について意見を聞きた
DMSOが
223.永島敬士(JR東京)ら
い。
円形脱毛症未成人患者の家族分析(第2報)一田研
横山:1)立体像と体積をまずまとめたので,小器
式親子関係診断テストー
官については観察中である。2)
(所属訂正):本年4月より中央鉄道病院はJR東
させるということを初めて明らかにしたものである
DMSOは脂腺を増殖
京総合病院と名称を変更。
が,分化との関係は今後の検討問題であろう。
(討論)草場(熊本大):心理的,精神的な要因が脱
佐藤(新潟大):約20年前に,われわれの教室の諸
毛を生じさせる生物学的な機序はどうか。
橋(現:富山医歯大)かラットにテストステロンを注
永島:精神的ストレスが円形脱毛症を起こすとは
射して脂腺細胞の小胞体の著明な拡張および脂質形成
いっていない。本症を生じやすい性格的素因があるか
機序の増大と質的な変化を示唆する所見を得ている。
もしれない。また本症に羅患していることがストレス
本好(ポーラ横浜研):DMSOによる表皮や毛包上
になっているだろう。そういうことで,今回のテスト
皮の変化を観察していたら教えていただきたい。
をおこなった。
横山:電顕的にはみていない。
佐藤(新潟大):専門家によるキチンとしたテスト
227.河村正恒(聖路加国際)ら
により確かな成績を得て,また教えていただきたい。
インドメサシン内服が著効を示したeosinophilic
岡部(平鹿総合):家族関係は家族全員が集まった
pustularfolliculitis
家族療法をやることにより明らかとなる。
(討論)西本(長崎市民):インドメサシンの代わり
224.笠井達也(国立仙台)ら
にそのprodrugであるランツジールを用いた理由は何
トリコチロマニアー20年間の症例から
か。副作用はどうか。
(抄録訂正)67例と訂正。
河村:インドメサシンより胃に対する負担が少ない
(討論)岡部(平鹿総合):1)本症が治った例で,
ことと,6錠くらいまで投与できるので用いた。副作
別の症状ないし病気,例えば胃潰瘍,喘息などに移行
用は今のところ認められない。
したものはなかったか。2)家族にどのように対応さ
佐藤(新潟大):ランツジールが効く機序は。
せているか。
河村:膜の安定性,白血球遊走阻止などいろいろの
笠井:1)なかった。2)「毛を抜くな」とはいわ
ことがいわれているが,どれが効いているのか不明で
ないようにしている。
ある。
永野(JR東京):最近の本症は多発性,びまん性
の脱毛状態をしめす症例がおおいように思うがどう
悪性腫瘍など
か。
座長 高安 進,諸橋 正昭
笠井:子供の場合,左右対称性の広い病巣を示すも
228.原田 晋(市立西脇病院)ら
のが多くなってきたようである。
陰嚢部Paget病の初期病変としての色素減少斑
225.西村正幸(九大生医研)ら
脱色素斑外縁の一見正常に見える皮膚にはPaget
アポクリン隷のmetaplasia
cellが認められなかったことに対して,宮里(琉球大)
(討論)佐藤(新潟大):脂質染色,免疫組織化学は
は, 3 cmの健常皮膚を含めて切除する必要はないので
おこなっているか。
はないかと質問した。これに対して,病巣の境界が必
西村:施行しなかった。
ずしも明瞭でないため,やはり広く切除した方が安全
であると答えた。また,外陰部はもともと色素の多い
部位であるので,病変部に色素脱失が目立っのであろ
一般演題 1423
うと演者が述べた。田中(都立○○)は,生検では病 coma
protuberans を考えた。
巣を認めなくても,切除標本を検討するとその外側に 「座長」この腫瘍のEMの特徴である,
Neurofila-
も病巣を認めた経験があると述ぺ,脱色素斑をもって mentやDendriteの像がスライドでははっきりしない
病巣の境界となし得るという演者と異なる意見であっ が。
た。この点については,演者らはすべての切除皮膚を 233.巻淵秀夫(藤沢市民)ら
組織学的に検討したわけではないので,断定できない 悪性神経鞘膿の1例
と考えられる。諸橋(富山医薬)は,メラノサイトの 「座長」この腫瘍でS-100蛋白はどの位陽性にでるの
inactivationを示すデータはあるかと質問したが,演 か?
者はまだ推測の段階であると答えた。 「応答」諸家の文献によると50%ぐらい陽性にでると
ス229.大草康弘(福生病院)ら いわれている。
両側旅寓Paget病 「座長」悪性度が強くなると陽性度が落ちるというこ
高安(大分医大)がレクチンの特異性につき質問し とですね。
たところ,
DBAは他の腺癌にも正常アポクリン腺に 「質疑」串本(大阪警察病院)予後は文献的にはどう
も陰性とのことであった。大原(虎の門)は,
Paget か?
病の発症はおそらく本人か気づくよりも数年前のこと 「応答」レックリングハウゼン病に伴うものは5年生
であり,したがって,6年前に治療した胃癌を合併症 存率は20%,レックリングハウゼン病の伴わないもの
と考えてよいのでないかと述べた。また,大原は,演 は60%,両者合わせて40%と言われている。
者が過去の文献について述べた際,「Paget病の深部 234.小林伸子ら(帝京大附属溝の口病院)
に“下床腫瘍”すなわち,アポクリン腺腫瘍が別個に 限局性多発症神経線維腫
見つかっている」と述べたことに対して,
Paget cell 演題を「限局性多発性神経線維腫」から「両側性に
もまたアポクリン腺の腫瘍なのだから,演者らの解釈 発症した限局性多発性神経線維腫」に変更。また「8
は正しくないと反論した。宮里は,
Paget cell( 表皮 個)を「12個」に変更。
内の)は下床の腫瘍からのepidermotropismであると 新村(慈恵医大)この疾患はレックリングハウゼン病
いう意見を述べた。時間の関係で十分に討論できずに とは関係はない。両側性の症例はかなりあると思う。
打切ったが,
Paget病の組織発生に関しては,典型例 数もさまざまで一つのsegmentに限ったものではな
は表皮内,附属畏内に限局しているので,表皮内に潜 い。
在分化能をもつ細胞があって,それが癌化したもので 235.山本明史ら(岐阜大)
あり,下床にも腫瘍があれば病巣が表皮にとどまらず 「IL-2局注により完全寛解した有韓績胞癌,基底細
浸潤したものと理解すべきでなかろうか。 胞癌,ボーエン病,老人性角化膿の4例
ス230.菅原隆光(青森県立中央)ら 「質疑」宮里(琉球大)他の抗腫瘍剤と比較して本剤
著明な皮膚浸潤をみた直腸癌の一例 の特徴は?
231.野村慶子(鹿児島市立病院)ら 「応答」インターフェロンでは,かなりの頻度で発熱
転移性皮膚癌 を伴うか本剤では殆どない。骨髄抑制などの副作用も
清水(三重大)は,転移巣の炎症細胞浸潤の程度, 少ない。インターフェロンでは効く症例と効かない症
宿主の免疫能との関係を質問したが,この点は演者ら 例がはっきりしている。
BCEでは異型度か少ないた
は検討していない。高安(大分医大)は転移から逆に めかインターフェロンではほとんど効かないが本剤で
原発を知り得た例の有無につきたずねたが,そのよう は効く。4例ともリンパ球の浸潤が見られ免疫組織を
な例は1例のみで,これも本人か転移病巣に気づいて 観るとインターロイキン2レセプターやHLD-DR抗
いながら長期間放置していた肺癌ということであっ 原が陽性のものがあり,このようなものでは有効と考
た。 えられる。
232.鈴木長男(平鹿総合)ら 「座長」直接の抗腫瘍効果ではなく,T細胞(キラー
悪性神経鞘腫の1例 細胞)の増殖分化作用によるものですね?
「質疑」加藤(大阪市大)初診時,臨床的には何を考 「応答」はい。
えたか? 「質疑」宮里(琉球大)投与量の目安は?
「応答」悪性神経鞘腫は考えずに,
dermatofibrosar- 「応答」インターフェロンと同じでdose
response と
一般演題
1424
思われるため,症例1では最初から高単位を投与した
239.立花隆夫(京大)ら
が,2例,3例目では少量から開始したが効果がみら
血管芽細胞腫(中川)一その早期臨床像及び経過
れ,少量でも効果があると考える。
3ヵ月,男児の本症の初期像と思われるものの報告
236.長谷哲男ら(横浜市大)
であった。熊野(兵庫県立成人病センター)より治療
皮膚悪性腫瘍のIL-2局性療法の検討一免疫組織化
として電子線6Gy∼lOGyの照射に感受性を示すが,
学を中心にしてー
病気自体が良性であるから,もう2∼3年はそのまま
「質疑」山本(岐阜大)マクロファージが抗腫瘍効果
wait and see とするのがよいとの指摘があった。
を持つと考えるか,あるいはリンパ球が腫瘍を攻撃し,
240.片倉仁志(聖マリアン大医大)ら
マクロファージが処理のため動員されたのか?
メルケル細胞癌の2例
「応答」投与終了後1週間以内ではマクロファージは
メルケル細胞癌の2例の診断は電顕的に行なわれた
観察されるが,4∼5週後では観察されない。また細
こと,予後の悪い腫瘍で局所再発,転移の部位につい
胞浸潤も減少する。インターフェロンのときは,マク
て討議された。抄録で報告例17を22と訂正された。
ロファージが出現していても効果のない症例も有るの
ス241.西本一栄(香川医大)ら
でマクロファージだけが抗腫瘍効果をもっているとは
思春期に発症し,列序性配列を示す多発性グロムス
言いがたい。 IL-2ではLAK活性が増強されるため効
腫瘍
果があり,その中にはマクロファージも含まれると考
思春期に発症し列序性配列を示す多発性グロムス腫
える。
瘍で,皮疹が海綿状血管腫様であったのは,組織学的
「質疑」山本(岐阜大)投与後4週になると細胞浸潤
に真皮下層∼皮下脂肪織にみられたグロムス細胞の腫
がなくなってくるか,投与終了後どのくらいの期間ま
瘍塊によるためだったと報告された。
で抗腫瘍効果あるいはLAK活性があると考えるか?
ス242.宮本良志(琉球大)ら
「応答」よくわからないが,マウスを使用した実験系
悪性血管内皮細胞膜の2例
ではインターロイキンを入れるよりは,
悪性血管内皮細胞腫の治療は広範囲切除前,電子線
in vitroで
LAK活性を誘導して入れたほうが活性は強いので,
大量照射がのぞましい旨討議された。切除範囲は紅斑,
比較的ながっづきしないものと思われる。
紫斑辺縁lOcm範囲に行っていること,電子線大量照射
のみで生存している例の追加,転移性気胸の適切な処
血管腫瘍など
置など活発な意見がかわされた。
座長麻上 千鳥,荒田 次郎
243.多田 茂(宮崎医大)ら
237.岸本三郎(京府医大)ら
頭部脈管肉腫の治療
血管性腫瘍における交感神経分布について
頭部脈管肉腫の治療には,広範囲電子線大量照射を
アミン湿式蛍光法で各種血管性腫瘍の交感神経分布
行い,3年間延命できたと報告された。肺転移した点
を調べた報告であるが,その分布により由来血管の種
について広範囲切除がのぞましいのではとの意見に演
類,腫瘍の分化度を推定できる可能性を示した。
者らは手術は,転移を生じやすいので好ましいとは考
238.大熊守也(近畿大)
えないと述べた。
続発性(二次性)リンパ浮腫102症例の総括的検討
244.宮里 肇(琉球大)ら
本症の102症例という多数例についての臨床的,基
AIDSにみられたKaposi肉腫
礎的な検討で,貴重な報告と思われた。外科的治療の
AIDSにみられたKaposi肉腫の典型例について報告
適応についての質問に対し,5年以上観察すると前よ
された。
りひどくなる例かほとんどで,外観も悪いので禁忌と
染が高頻度にみられるため海外旅行経験者へのcheck
思われるとの回答かあった。リンパ浮腫の際しばしば
が必要であると強調された。
みられる発熱を伴う発赤については,細菌性のものと
非細菌性のものがあるのではないかとのことであっ
た。
AIDS発症6ヵ月前,
Herpes
Zoster や真菌感
一般演題
1425
悪性リンパ腫
248.山本信二(香川医大)ら
座長 旭 正一,中島 弘
皮下結節と潰瘍を主症状としたT
ス245.宇原 久(信州大)ら
不明熱で発症し,1年後に皮膚病変をみたT
Mucha-Habermann様皮疹と後天性漁鱗癖が先行
lymphoma
してみられた菌状息肉症の1例
男(福島医大)の,免疫不全を思わせる既往はあった
本題は,
かとの質問に対し,免疫不全は特にないが,老人様顔
Mucha-Habermann様皮疹が発生し,徐々
cell lymphoma
(0KT8優勢)の症例報告である。金子史
に軽快したが,10年後に後天性魚鱗癖様皮疹が出現し,
貌を呈し,5∼6年前より白髪が増加し,三心房心な
更に5年後に多形皮膚萎縮がみられ,この部の生検か
ど何らかのback
ら菌状息肉症と診断された症例のスライド供覧であ
suppressor T celllymphomaと思われると答えた。座
groundがあるように思われる。また,
る。
長中嶋からの牌臓原発などのsuppressor
座長中嶋よりの先行皮膚疾患も菌状息肉症の一表現
phomaの皮膚転移病変は考えられないかとの発言に
型ではなかったかとの質問に対し,後天性魚鱗癖様皮
対し。城野昌義(熊本大)も賛意を示した。
疹はMFであった可能性があるが,
249.八木英一(秋田犬)ほか
M-H様皮疹は関
T cell lym-
係ないものとの見解を述べた。
由来不明の悪性リンパ腫と考えられた1例
ス246.金 和子(大阪逓信)ら
演者より題名変更で,「histiocyte系も疑われた」と
PUVA療法が奏効したPagetoid Reticulosis
追加したい旨の申し出があった。
本題は,原著とほとんど同じ臨床症例を呈した限局
69才女子。激蝉をともなう項部結節ではじまり,潰
型のPagetoid ReticulosisにPUVA療法を行ない完全
瘍化,リンパ節腫大を生じた。悪性リンパ腫の組織像
寛解となった症例の報告で,本症の治療法として
と考えられたが,各種の細胞マーカーが陰性で,腫瘍
PUVA療法が適応との見解を示したものである。
細胞の由来を同定できなかった。電顕像と酸フォス
PUVA療法は週5回,9週間,総線量は61.71/
・であ
ファターゼ陽性の点から,
histiocyte系が最も疑わし
るという。自験例(金 秀沢ほかWoringer-Kolopp
いと思われた。
病の1例,第39回日本皮膚科学会西部支部総会,昭和
金子史男(福島医大):赤血球の貪食像はなかった
62年10月11日,鹿児島)でもPUVA療法が有効であっ
か。 Histiocytic medullary
reticulosis とは考えられな
たので本症(限局型)の一次選択療法と思われる。
いか。
ス247.坂井秀彰(金沢大)ら
解答:わずかな赤血球貪食はみられた。HMRとは
初期に皮膚リンパ球腫の像を示した皮膚T細胞リン
臨床像が異なるように思うが,本症にTumor形成型
パ腫
があるとすれば,それに該当するかも知れない。
本例は明瞭なリンパ濾胞を示す伺密なリンパ球浸潤
250.堀内長晴(福島医大)ほか
があり,濾胞内細胞はCD22
ATLの2例
(B細胞マーカー),そ
の周辺細胞はCD3(T細胞マーカー)陽性で,後者
症例1 51才男子。比較的軽微な症状で,ATLく
はCD4,
すぶり型と診断した。
CD8陽性細胞が混在していたことから皮膚リ
ンパ球腫として既に発表された症例である。2年後に
症例2 38才男子。古くから皮疹がみられており,
再発し, helper/inducerT細胞優勢から皮膚T細胞性
最近ATL慢性型と診断した。
リンパ腫と診断されたが,前回の標本を再検討したと
城野昌義(熊本大):症例1はPautrier's
ころ一部に異常リンパ球が存在することが判明し,当
cessがみられるので,特異疹と見るべきであり,く
初より皮膚T細胞リンパ腫であったと訂正された。斉
すぶり型とせずに皮膚型ATLとする方がよい。症例
田俊明(信州大)から,リンパ濾胞の存在は良性の皮
2は,巨細胞やdiffuse
膚リンパ腫であるclueと一般的にはみなされている
で,割合急速に悪化を来たすと思われる。この症例の
pleomorphic
頭部の脳回転状の皮疹は特異疹と考えられるか?
見があったかとの質問かあり,組織像に関しては皮膚
解答:腫瘍が二次的修飾を受けたものと思うが,慢
リンパ腫に比して暗殻の周りのT細胞領域が肥大して
性膿皮症も否定できない。
パ濾胞様構造はT細胞リンパ腫に対する反応性のもの
との見解を示した。
microabs-
cellが出ているの
が,この症例の場合,通常の皮膚リンパ腫と異なる所
いたと答えた。そして座長中嶋の質問に対して,リン
?
cell
一般演題
1426
ス251.渡辺真理子(東北大)ほか
annular elastolyUc giant cell9「anulomaを合併し
たATLの1例
74才男子。小丘疹が手背から全身性に拡大し,
ATLと診断するとともに,組織学的に上記肉芽腫
(AEGCG)がみとめられた。
城野昌義(熊本大):巨細胞の出現は,ATLの場合,
数例に1例の割合で毛嚢を中心としてみられるが,
elastolyticな像はみてない。
さらに座長の質問に答えて,演者と共同演者より,
本例でははじめPautrier's
microabscessのみがみら
れ,経過中に肉芽腫像があらわれてきた。すなわち
ATLが先行してAEGCGをおこしてきた点が強調さ
れた。
ス252.芝田 孝(神戸大)ほか
皮膚病巣を主徴とし約20年経過後,急性憎悪した
ATL/Lの一例
69才女子。昭和43年から背部に網状の紅斑があり,
細網肉腫として治療したことがある。最近結節形成を
示し,憎悪死亡した。非定型ATLのくすぶり型・皮
膚型と考える。
佐野喜実(鳥取大):proviral
DNA
の証明を腫瘍
細胞でおこなった点は興味深い。末梢血細胞では施行
していないか。
解答:腫瘍細胞のみ調べた。
城野昌義(熊本大):扁桃の腫脹から皮疹の出現ま
でに6年たっている。このような例はリンフォーマ型
と考える。治療にはよく反応するか。腫瘤形成後は急
速に悪化する。
ス253.沢田裕子(愛知医大)ほか
ATLL
Smoldering
type の一例
35才男子。皮膚に浸潤性紅斑をみるのみで,末梢血
に異型細胞が検出され,くすぶり型ATLLと診断し
た。症例本人のほか,妹・父・母の末梢血細胞をしら
べ,ATLのproviralDNA
が検出された。これら家族
はまだ発症していない。
城野昌義(熊本大):Proviral
DNA
が組みこまれ
ていれば,腫瘍としてはすでに発症しているというべ
きであり,家族のほうはまだ皮膚症状は出ていないと
いう表現がよいと思う。