- 1 - 原発再稼働を推進=菅官房長官 時事通信 2015年10月26日(月

原発再稼働を推進=菅官房長官 時事通信 2015年10月26日(月) 12時20分菅義偉官房長官は26日午前の記者会
見で、愛媛県の中村時広知事が四国電力伊方原発3号機(同県伊方町)の再稼働に同意を表明したことについて、「知事
の理解を得られたことは極めて重要だ」と歓迎した。その上で「原子力規制委員会の厳しい基準に合格したものは、地元の
理解を得る中で稼働させていく方針に変わりはない」と述べ、伊方以外の原発についても再稼働を推進する考えを示した。
<伊方原発>反原発団体「再稼働反対の県民の声、聞かれず」 毎日新聞 2015年10月26日(月) 12時15分
四国電
力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、愛媛県の中村時広知事が26日、再稼働同意を表明したが、松山市の愛媛
県庁前では、反原発団体などの約40人が同日午前8時ごろから約1時間半、「中村知事は再稼働を認めるな」などと声を
張り上げた。「伊方原発をとめる会」の和田宰(つかさ)・事務局次長(63)=松山市=は「知事は(判断について)『白紙』と
言い続けたが、実際には『再稼働に同意しない』という選択肢はなかった」と憤った。「原発さよなら四国ネットワーク」の小倉
正さん(54)=同=は「再稼働に反対する県民の声は聞かれず、内容についての真剣な議論は行われなかった」と悔しさを
にじませた。高知市を午前5時に出発し駆けつけた「グリーン市民ネットワーク高知」の外京(げきょう)ゆりさん(66)は「伊方
原発の再稼働には高知でも反対の声が強い。もし知事が同意しても反対行動を続け、決意を覆したい」と話した。【黒川優】
海側遮水壁が完成=福島第1の汚染水対策―東電 時事通信 2015年10月26日(月) 12時13分東京電力は26日、福
島第1原発の岸壁に鋼管を並べて打ち込み、汚染地下水の流出量を大幅に減らす海側遮水壁が完成したと発表した。流
出量は1日400トンから10トンに、セシウムなどは40分の1程度まで減少する見込み。東電は効果が確認できるまでに1~2カ
月かかると説明している。東電によると、遮水壁は全長約780メートルで、原発の岸壁に計594本の鋼管を打ち込んだ。地下
水の流れをせき止め、海への流出量を減らす。東電は2012年4月、遮水壁の建設工事を開始。ただ、完成させると地下水
の行き場がなくなり、水位が上昇するなどのトラブルが起きる恐れがあったため、約10メートルを残し工事を中断。今年9月、
井戸から地下水をくみ上げ、浄化後に海に流す「サブドレン」の運用開始で地下水位の管理が可能になったとして、工事を
再開していた。
伊方3号機再稼働
知事が同意
川内原発に続き3基目 テレビ朝日系(ANN) 2015年10月26日(月) 10時31分愛媛
県の中村時広知事は26日、国の新規制基準に合格した四国電力伊方原発3号機(同県伊方町)について、再稼働に同意
することを表明した。四国電力が原子力規制委員会に、伊方原発3号機の安全審査を申請してから2年3カ月。7月の新基
準合格後、3カ月あまりで終わった地元同意プロセスは、残念ながら「住民不在、結論ありき」だった。今後、再稼働の手続
きが進む他の原発のモデルにしてはならない。東京電力福島第1原発事故後も愛媛県の中村時広知事は「代替エネルギ
ーがなく原発と向き合っていかざるを得ない。条件を整えた上での再稼働は必要」と述べ、山下和彦・伊方町長も「町と原
発は共存共栄」との考えを変えなかった。両トップは再稼働の是非を判断するに当たり、住民代表らによる委員会をそれぞ
れ設置し、その意見を判断の前提とした。しかし、再稼働に理解を示す姿勢が、委員会や議会に影響したことは否めない。
知事が四電に求めた1000ガル対応の安全対策も、同意を暗黙の前提としていたとみるのが自然だろう。住民理解を得る
努力も乏しかった。原発5~30キロ圏の6市町が県に求めた説明会に参加できたのは一握りの団体代表ら。山下町長に至
っては、住民説明会を開かないまま同意した。知事主導で1000人規模の説明会を開いた九州電力川内原発(鹿児島県)
の例とは、比べものにならない。中村知事は「長い目で見て脱原発を目指すべきだ」という立場だ。山下町長は原発維持を
掲げつつ、原発に大きく依存した地域振興策の見直しに着手している。それらを「空手形」としないため、両トップは道筋と
実績を地方から本気で示す必要がある。【渕脇直樹】
伊方原発再稼働へ
10時25分
愛媛知事同意、年明けにも…川内に次ぎ2例目、全国で加速も 産経新聞 2015年10月26日(月)
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、同県の中村時広知事は26日、再稼働に同意する考
えを表明し、四国電の佐伯勇人社長に伝えた。東京電力福島第1原発事故後に策定された新規制基準の下で地元同意
の手続きが完了したのは、すでに再稼働している九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機に次いで2例目。今
後、全国的に再稼働の流れが加速する可能性がある。中村知事は、再稼働に同意した理由について、県議会の同意や、
県が国とは別に要請した四国電力の安全対策の実施状況などを総合的に判断したと述べた。伊方3号機は設備の詳細な
設計内容をまとめた工事計画の認可の審査や使用前検査などの手続きが残っており、再稼働は年明け以降になるとみら
れる。中村知事は再稼働の判断について、県議会と地元の伊方町の意見、安全対策に対する四国電力の取り組み姿勢、
国の方針を判断材料と位置づけ「条件がそろった段階で総合的に判断する」との立場を示していた。県議会は今月9日の
本会議で再稼働を容認する決議案を可決し、山下和彦・同町長は22日、再稼働に同意する考えを中村知事に伝えた。四
国電も県が独自に求めていた国の基準を上回る耐震補強工事を完了させている。中村知事は事故発生時の国の責任など
について首相が明言する場の設置や経済産業相の地元訪問など8項目を国に要望。中村知事も出席した今月6日の原子
力防災会議で、首相から「政府として責任を持って対処する」との言葉を得た。
<福島原発事故>救援4割が被ばく上限
3000人調査 毎日新聞 2015年10月26日(月) 8時30分
東京電力福
島第1原発事故の際、原発周辺で住民の救援活動などに従事した自衛隊員や警察官、消防隊員約3000人のうち、4割弱
が約20日間で一般住民の線量上限(年1ミリシーベルト)以上被ばくしていたことが政府の調査で分かった。警察官らにつ
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いては緊急時は積算で「100ミリシーベルト」が上限と定められており、全員がこれ
以下にとどまった。一方、警察官と同様に現場で避難誘導を指示する市町村職員
などの地方公務員や、バス運転手については一般と同じ線量が限度として適用さ
れており、今回の結果が被ばく対策に影響を与える可能性がある。【酒造唯】
原
発敷地内で事故対応した作業員らの被ばく線量は公表されているが、周辺の被
ばく線量の全容が明らかになるのは初めて。政府は26日に、地方公務員などの
被ばく対策を検討する作業部会を開き、この調査結果を今後の被ばく低減対策に
活用する方針だ。調査対象は、事故翌日の2011年3月12日から同31日の間
に、住民の避難指示が出された原発の半径20キロ圏内で避難誘導や救助捜索、
けが人の搬送などに携わった自衛隊員約2800人と、警察官・消防隊員約170
人。全員が全面マスクや防護服を着用していたとして内部被ばくはゼロと想定し、
個人線量計のデータ(外部被ばく)だけを集計した。その結果、自衛隊員の62%
は1ミリシーベルト未満だった一方、1ミリシーベルト以上は38%で、最高は10.8
ミリシーベルトだった。警察官・消防隊員は12%が1ミリシーベルト以上で、最高は
2.2ミリシーベルトだった。これらを合わせると36%が1ミリシーベルト以上被ばくしていたことになる。省令などでは、警察
官や消防隊員らについて緊急時は「100ミリシーベルト」が上限とされているが、これを上回った人はいなかった。◇避難体
制の空白、生まない対策を
福島事故で、周辺住民の救援活動に従事した自衛隊員らのうち、4割弱が一般の被ばく上限
(年1ミリシーベルト)以上で被ばくしていた実態は、原発の避難体制の「空白」をあぶり出した。
地元市町村職員などの地方公務員や、バス運転手は自衛隊員らと同様、住民の避難誘導に
欠かせない存在にもかかわらず、緊急時も一般住民と同じ「1ミリシーベルト」が適用されている。
再稼働した九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、同県と住民避難に携わるバス会社
は、運転手の被ばく上限を「1ミリシーベルト」とする協定を交わしているが、この制限で活動不
能になれば住民避難の足かせになりかねない。政府は、放射線量の高い場所での活動を自
衛隊や警察官らが担い、地方公務員らは低い場所で活動するなどの「役割分担」で、1ミリシー
ベルト未満に抑えることは可能と説明する。しかし、福島事故が示したように線量の予測は不可
能。風向きなどの自然環境で線量は常に変わりうる。政府は新基準を満たした原発については
順次再稼働させる方針だが、被ばく低減策の徹底を進めるべきだ。【ことば】被ばく線量限度
放射線から人体を守るため、国は国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を採用し、一般の
人については年間1ミリシーベルトを線量限度としている。原発作業員については平時は「年5
0ミリシーベルト」「5年間100ミリシーベルト」、緊急時は積算で「100ミリシーベルト」(来春「25
0ミリシーベルト」へ引き上げ予定)を上限としている。
中村愛媛知事が同意=伊方再稼働、年明け以降―3号機、地元手続き完了 時事通信 2015年10月26日(月) 8時3分
愛媛県の中村時広知事は26日午前、県庁で四国電力の佐伯勇人社長と面会し、伊方原発3号機(同県伊方町)の再稼
働に同意すると伝えた。伊方町議会と山下和彦町長、県議会は既に同意を表明しており、地元の同意手続きは完了した。
再稼働は年明け以降の見通しで、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)に続き3基目となる可能性がある。
中村知事は面会後に記者会見し、火力発電や再生可能エネルギーは原発に比べ、コストや安定供給などの面で劣ると指
摘。四電に追加の安全対策を求めてきたと説明した上で、「国の方針、事業者(四電)の姿勢、住民の議論を踏まえ今回の
結論に至った」と述べた。また知事は、「住民の不安を解消するため、どうすればいいか考えてきた。いろいろな意見がある
ので、理解を頂けるよう情報を届けていきたい」と話した。佐伯社長は記者団に対し「大きな一歩を進めた。課題は山積みな
ので一つ一つ取り組み、一日も早い再稼働を目指したい」と述べた。再稼働の目標時期は明言しなかった。伊方原発は佐
田岬半島の付け根にあり、避難計画が必要な半径30キロ圏に約12万人が住む。半島の約5000人は事故が起きた場合、半
島先端の港から船で大分県などに避難する計画だが、住民の間には実効性を疑問視する意見がある。国は11月上旬に伊
方原発で原子力総合防災訓練を行い、避難計画などを検証する。
増え続ける「福島第一原発作業員」
そこから見える将来への課題とは 吉川彰浩 2015年10月26日(月) 7時0分世界
を震撼させた「福島第一原発事故」、思い返せば、日々取り上げられるニュースは福島第一原発関連ばかりでした。あれか
ら4年半が過ぎ、「福島第一原発の状況」は私達が生活で日々抱える不安事の中で、優先度は大分下がってきました。その
世相を反映するように、福島第一原発の状況を扱うニュースは減り、時折トラブルニュースや、単発的な「出来た事」が流れ
る程度です。これまで「働く人」と「働く人を取り巻く環境」にスポットをあてたニュースはほとんどありませんでした。それ故に
「誰もが働きたくない職場」というイメージが一般的なまま続いています。ですが、福島第一原発で働く方々は現在、約7,000
人に上ります。東京電力が公表している作業員数の推移から2013年度を境に、作業員数は右肩上がりに増え続けていま
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す。2年前の2013年10月から比較すれば2
倍を超えます。背景には、作業できる環境
整備が進んだ事で、増え続ける汚染水へ
の対策が急速に始まった事が言えます。約
7,000人の内訳から見える、将来への課題
約7,000人のうち、福島県外からの方が約5
0%、福島県内からの方が約50%となって
います。つまり約半分の方が福島県内の方
が作業していることになります。ここで思い
だして頂きたいのが、県内の方々はもれな
く原発事故の被害に遭わられた方だと言う
事です。日常的に作業に向かわれるわけ
ですから、ほとんどの方が浜通りに暮らして
います。この現状から、「原発事故に遭い、
かつ被災地域で暮らす方々が廃炉を支え
ている」と言えます。福島県浜通り(海側に
隣接した地域)に大きな雇用を生む「廃炉現場」福島県の浜通り地方には、1事業所で数千人の雇用を生む場所はありま
せん。運転をしていた原子力発電所は、「廃炉」と名前を変え原発事故後も、地域雇用面では飛びぬけた状況にあります。
ありていに言えば、今も昔も地域雇用の面では変わりません。今と昔(震災前)で変わったのは、現場の過酷さです。構内の
入口付近を除けば今も防護服、マスクが必要ですし、除染が進み作業現場は放射線量が下がったとはいえ、原子炉建屋
内などは作業も出来ぬほどの高線量下にあります。通勤には避難区域を通り、2時間程度を有しますし、現在も避難生活の
方も多くいらっしゃいます。働く場所は同じでも、取り巻く環境は日常からは異質とも言える状況です。ここで、その「廃炉現
場」が数十年と続く事を踏まえれば、廃炉現場を支える次の世代をどう守るかが課題となっていきます。発電所の中(オンサ
イト)と外(オフサイト)、両方からの改善を発電所の中(オンサイト)をどう改善していくか。キーワードは働き易い環境作りで
す。原発事故により放射能汚染した職場を、より被ばくを低減するため除染を進めていくことは必要ですし、防護服を着て
の外作業における負担軽減に向けた取り組みも必要です。作業現場を離れた構内の福利厚生面も良くしていく必要があり
ます。これらは、この4年半で全面マスクエリアの縮小、構内休憩所の整備、食事がとれる大型休憩所の建設、事務所の整
備と進んできました。原発事故当時に比べれば大変な進歩ですし、作り上げられた事は評価に値します。ですが、厳しく言
えば「当たり前」が整ってきたに過ぎません。発電所の中は東京電力の管轄です。そこをどうしていくかは、東京電力の判断
で決まるからこそ、外部の私達がこうすべきだと言う声は必要です。では、発電所の外(オフサイト)はどうでしょう。ここでの
キーワードは「働くための住み易さ」です。原発事故により福島第一原発を中心とした地域は避難区域となっています。それ
は放射能汚染がもたらした物で、「住み易さ」を生むあらゆるものが無くなっています。それ故に、避難区域に隣接した、職
場から遠方の日常を取り戻した地域で暮らす状況にあります。職場から近い場所=避難区域の状況をどう改善していくか
が課題となってきます。病院、学校、食料品を扱う商店、それらが揃い、住み易さを構築するため「あると便利」を生み出して
いく必要があります。ですが、これらは個人が介入できるものでは中々ありません。個人単位で行える改善はというと「廃炉
産業へのイメージを変える」ことです。知らず、受け入れず、決め付けでの福島第一原発へのイメージを改善する現在の福
島第一原発へのイメージは、原発事故当時のもので止まっていないでしょうか。防護服を着なくても福島第一原発に行けま
すとお伝えすると、ほとんどの方は驚愕します。これは「知らない」故のものです。福島第一原発を危険視する記事ばかりが
目立ち、改善を伝える記事が少ないこれまでの取り上げ方には「受け入れない」が作用していないでしょうか。その結果が、
今も続くマイナスにより過ぎたイメージです。福島第一原発の廃炉は、生産性や経済性はありません。ですが意義はありま
す。それは社会に安心と安全を作りあげていく職場ということです。その意義の大きさは論じるまでもありません。仕事の内
容の過酷さとともに、仕事の意義で評価される職業を私達は日常で知っています。警察、消防、自衛隊といった職業です。
それらは時に憧れの職業に扱われます。福島第一原発の廃炉に関わるの仕事が、同じように扱われないことは、決めつけ
有きのイメージではないでしょうか。今も福島第一原発で働くことを隠し続ける方がいます。社会がそうさせてしまっています。
これは社会の一員である私達が、現地を正しく知る、行われている事を受け入れ、正しく評価していく、とても簡単な事で改
善出来る事です。自分達には関係ない、福島県の問題は大きな誤り福島第一原発の入口にある「入退域管理施設」の壁
に描かれた企業ロゴに、福島第一原発が所謂原発メーカーだけで成り立っていない事が読み取れます。ここに描かれた企
業に繋がる企業までも含めれば、数えきれない企業が現場を支えています。約7、000人の内、約50%が県外企業だという
ことも忘れてはなりません。原発事故から4年半が過ぎました。風化しても現場は進んでいきます。そして何十年と続く廃炉
は、私達の次の世代に託していくものです。今、次の世代が引き受けられる現状にあるでしょうか。次の世代に託すことが出
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来る環境作りのため、関心を持ち続け、改善を促していくことが、私達が抱える将来への課題ではないでしょうか。吉川彰浩
一般社団法人AFW
代表理事
1980年生まれ。元東京電力社員、福島第一、第二原子力発電所に勤務。放射性廃棄物処理設備の
保守管理(現場管理、工事設計発注、官庁検査対応)を担当。原発事故により福島県双葉郡浪江町より福島県いわき市に避難生活中。
福島第一原発、原発事故被災地域の一次情報を社会に伝える為に2012年6月に退職。民間一般人としての震災後初の福島第一原発
視察を実現。「次世代に託すことが出来るふるさとを創造する」をモットーに一般社団法人AFWを運営し、福島県双葉郡地方の復興活
動、暮らしにおける福島第一原発に対するリテラシー向上活動を被災地域住民の方々と協働で行っている。
<島根原発>重大事故想定の住民避難訓練
30キロ圏6市で 毎日新聞 2015年10月25日(日) 20時38分中国電
力島根原発(松江市鹿島町片句)で重大事故が起きたことを想定した住民避難訓練が25日、島根、鳥取両県の原発30キ
ロ圏6市であった。島根県内では松江、出雲、安来、雲南4市の住民約240人が参加。住民らは30キロ圏外に実際に避難
し、放射性物質の汚染状況のスクリーニング検査も受けた。23日の初動対応に続く訓練。昨年は1日でまとめて実施したが、
事故後の時間経過に合わせるため、今年は2日に分けた。島根原発の南西約7.8キロにある松江市秋鹿地区では、25日
午前8時半に避難を呼びかける町内放送が流れ、マスク姿の住民が一時集結所の秋鹿小学校に集まった。9時に避難先
の美郷、川本両町にバスで出発し、約1時間で原発から約34キロ離れた県立東部高等技術校(出雲市長浜町)に到着。ス
クリーニングを受けたり、車両を除染する訓練の様子を見学したりした。【曽根田和久】
福島訪問の規制委田中氏「勉強しなさい」 河北新報 2015年10月24日(土) 13時31分
原子力規制委員会の田中俊
一委員長は23日、東京電力福島第1原発事故で被災した福島県内の自治体訪問を終えた。幹部との懇談が目的だったが、
帰還策をめぐって「勉強しなさい」と高飛車ともとれる発言が出るなど、現地との温度差が際立つシーンもあった。田中氏は1
5~23日の日程で原発周辺の計14市町村を訪問。各地で廃炉作業の状況を説明したほか、首長から自治体が抱える問題
点などを熱心に聞き取った。問題の発言があったのは22日に訪れた南相馬市。桜井勝延市長が「住民帰還に向け、安全と
言える年間被ばく線量を示してほしい」と要請した場面だった。同席した市幹部が補足している途中、田中氏は「若いのだ
から勉強しなさい」と幹部の発言を遮った。市幹部は国際放射線防護委員会の基準などを念頭に市の考え方を説明しよう
としていたとみられ、発言趣旨に明確な事実誤認はなかった。全日程を終えた田中氏は23日、記者団の取材に「住民帰還
時の線量を自ら決めている自治体もある。同じような内容が続いたのであのような言い方になった」と釈明した。
電力全面自由化、「市場の番人」の役割とは?
東洋経済オンライン 10月26日(月)5時55分配信 電力全面自由化時
代の「市場の番人」として、2015年9月1日に発足した電力取引監視等委員会。経済産業大臣直属の組織であり、電力の適
正取引の監視や送配電網の中立性確保のための行為規制などを厳正に実施することが役割とされる。発足以来、すでに
託送料金(送電網の使用料)の適正性審査や小売事業者の登録審査、電源構成の開示をはじめとした詳細ルールの検討
など、活発に審議を行っている。この委員会の委員長に就任したのが、長年、電力市場への価格メカニズム導入を主張し
続けてきた自由化推進派の八田達夫氏だ。自由化によって電力市場はどのように変わっていくのか、公正な電力市場のた
めにどのように監視していくのか、独立性や透明性に問題はないか、消費者保護はどう担保されるかなど、経産省内の委
員長室で八田氏に聞いた。■市場の価格調整機能で安定供給をはかれる――電力取引監視等委員会の最大の役割、
使命をどう考えていますか。いま行われている電力市場大改革の目的は、安定供給の確保、電力料金の最大限の抑制、
そして需要家の選択肢拡大にある。これらは矢と的にたとえれば、「的」に相当する。では「矢」は何かと言うと、第1の矢が
「参入の自由化」、第2の矢が「市場の価格調整機能の最大限発揮」である。「参入の自由化」は競争を促進し、料金を低下
させる役割を持つ。需要家の選択肢拡大にも通じる。問題は安定供給の確保だが、私は第2の矢の役割が強力だと考えて
いる。需要が逼迫した時に、電力の市場価格が上昇し、供給側の追加発電を促す一方、需要側にとっては猛烈な節電の
動機となる。こういう価格メカニズムが効くようになる。「インバランス精算制度」(インバランスとは電力の需要量と供給量との
差分)と呼ばれるこの仕組みが、安定供給のために決定的に重要な役割を果たすことが見込まれる。こうした大改革によっ
て、電力市場の競争が拡大すれば、これまで以上にルールを守ってもらう必要がある。それを監視するのが、われわれ委
員会の役割の一つだ。大手電力会社が独占的行為をしてはいないか、中小の新規事業者が需要家に迷惑をかけていな
いか、といったことを監視する。もう一つの重要な役割は、新しいルールの詳細を決めていくことだ。新たな制度の大枠はで
きたが、詳細についてはこの委員会で審議して、経済産業大臣に建議する。電力取引監視等委員会という名前に「等」が
入っているのはそのためだ。――この委員会は経産大臣の直属組織ですが、独立性や透明性はどうなっていますか。この
委員会で審議して建議した内容を、経産大臣がそのまま呑む必要はない。政治的責任の下に大臣が修正することもありう
る。とはいえ、委員会での審議は中立的な委員によって中立的判断を基に行われており、国民にオープンにされる。それ
が重要だ。東日本大震災前のように、電力会社の幹部や労働組合などの利害関係者が中心になって議論したり、役所の
中で閉鎖的に審議したりするのとはまったく違う。もちろん、利害関係者の話もオブザーバーとして聞く必要はある。一部の
個人情報や企業機密、抜き打ち監査の手法や時期など、クローズにすべきところもあるが、原則はオープンだ。■価格操
作や消費者対応などを厳重に監視 ――監視する不正行為とは具体的にどういったものを想定していますか。たとえば、
大手電力会社などが独占的地位を利用し、市場の価格操作をするために異常な値動きをさせるようではまずい。大きな発
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電能力を持っていれば、発電を意図的に止めるだけで価格が急騰するかもしれない。顧客に対して、いったん契約を解除
したらもう元には戻せない、と言って他社への契約切り替えを抑え込むような行為も問題だ。また、消費者への契約条件の
説明義務をしっかり果たしているかどうか。消費者の苦情を無視するというのもまずい。委員会に苦情が来れば、場合によ
っては事業者への立ち入り検査も行う。業務改善や業務停止などの勧告を行う可能性もある。――監視体制は十分ですか。
この委員会(経産省内)だけではなく、地方の経済産業局でもちゃんと人数を確保しており問題はない。――2016年4月から
の電力小売り全面自由化後に家庭向けを含めて小売りを行う「登録小売電気事業者」の第一弾として、10月8日に40社が
登録されました。今後も数多くの登録申請の審査が続くと見られますが、審査で重視している点は何ですか。過去に不正
を行っていないか、反社会的勢力との関係はないかなどがチェックのポイントとなる。また、消費者からの問い合わせや苦
情への対応など、消費者保護の体制が十分に整っているかどうかも重要だ。――現在審議中の託送料金(送電網の使用
料)の適正さについてはどう考えていますか。大手電力が申請した託送料金では高すぎて、新電力の値引き余地があまり
ないとの懸念も聞かれます。(送電網の)利用者から見て高すぎる、低すぎるという問題よりも、決められた今の基準で厳正
に判断して、できるだけ抑制したいと考えている。いま実際、審議中だが、託送料金を決めるうえでの基準作りで工夫してい
る。たとえば、電力会社には支店や支所がいっぱいある。支店や支所では送配電線の保守や管理だけでなく、営業も行っ
ている。そのため、各支店、各支所において送配電にどれだけの費用がかかっているかを割り出さなければいけない。それ
が託送料金にはね返ってくる。これまではその費用分割の基準に電力会社の間で統一性がなかった。今回、当委員会で
統一的なルールをつくって、送配電のための託送料金を決めていくことになる。■電源構成の開示には公的な保証が必要
――全面自由化後の制度設計に関しては、電源構成の開示義務のあり方についても委員会で議論しています。自分が
使っている電気が、火力や原子力、再生可能エネルギーなど、どんな構成比になっているのか知りたい利用者は多いは
ず。消費者団体からも開示を求める声が強い。一部の欧米諸国では実際に行われていますが、どのように考えています
か。いま、いろいろな関係者の意見を聞きながら審議している。原子力発電については、どこの電力会社が使っていて、使
っていないかは明らかだ。むしろ、再生可能エネルギーだけでやっているのか、本当に自前の電気だけか、(いろいろな電
源が混じった形の)取引所の電気を使っているのか、といったことをちゃんと見なければならない。昼間は自前の太陽光で
発電しているが、夜は大手電力から供給を受けるといった場合に、どうやって割合を計算するかなどかなり複雑な基準が必
要だ。そのために、カネがかかっても強制して全部出させるべきか、望むところだけに限定するのかが論点となる。しかし、
費用がかかっても開示したいという事業者がいるならば、その開示情報が正しいことを公的に保証する必要があるだろう。さ
らに、有機野菜などと同じで、事業者が「有機野菜だ」と自称しても、本当に正しい基準に基づいていなければ、消費者が
だまされることになる。したがって、開示情報の基準をつくることと、それが正しいことをチェックして保証することが行政の役
割であることは明らかだ。■発送電分離の中立性担保も重要テーマ――2020年までに実施される発送電分離について、
日本では法的分離の方向ですが、送電網の中立性や競争促進の観点からどう考えていますか。形は法的分離による発
送電分離だが、中身をどうするかによって中立性がどこまで担保されるかが変わってくる。非常に中立性を担保しているの
はフランスのやり方だ。同国も法的分離だが、子会社である送電部門の社長は発電部門が選ぶのではなく、首相が選ぶ。
だから人事権が独立しているし、部門間の人事交流も「ノーリターンルール」などで非常に制限されている。送電部門が中
立であることは極めて重要だ。たとえば、どこに送電線を引くかという情報をどこか特定の発電会社が知っていれば、その近
くに先行投資することで有利な立場に立ってしまう。そういう情報が漏れないようにしなければならない。法的分離なので送
電部門と資本はつながっているが、事実上、別会社として情報が遮断されている必要がある。フランスはその点、徹底され
ている。日本も今後、法的分離の下で中立性を担保するために具体的にどうするかを考えていかねばならない。この委員
会の大きなテーマだ。中村 稔
原発国民理解で経産相に対応確認へ
高浜原発再稼働、地元同意の条件(福井新聞2015年10月24日午後5時50分)
西川一誠福井県知事は23日の定例記者会見で、関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の再稼働に向けた地
元の同意手続きの条件として、国に原発への国民理解を進めるよう求めていることに関し「政府の具体的な行動を見ていく
必要がある」と述べた。今後、林幹雄経済産業相と会い、国の対応を確認する考えを示した。また、経産省が国民理解の一
環として、電力消費地の大阪市で11月4日にシンポジウムを開くことも明らかにした。「資源のない日本、将来のエネルギー
の姿に関するシンポジウム」と題し、原発比率20~22%とした2030年の電源構成比率などへの理解を深める目的という。
国民理解は、福井県が同意判断の前提として国に求めている5条件の一つ。知事は「国民理解の状況はなお不十分で、し
っかり活動してもらうことが重要。新しい経産相も就任したので、強く申し上げたい」と話した。また5条件のうち、使用済み燃
料の中間貯蔵施設の県外立地に向けた国の積極的な関与については、政府が今月6日にアクションプランを策定したこと
を踏まえ、知事は「国が前面に立って取り組む姿は評価できる」とした。その上で、関電が今後策定する計画の中で、県外
立地に向けた目標時期や道筋を明確にする必要があると指摘した。原子力規制委員会による2基の安全審査が終了した
ため、今後は県原子力安全専門委員会の安全性の検証などの同意手続きが焦点となるが、知事はスケジュール感につい
て「まだ確定できない」と述べるにとどめた。「(審査終了を受け)関西電力がどうしたいか、という話を聞いた上で(県専門委
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などで)チェックする」と話し、関電の方針を聞く考えを示した。
38%が被ばく1ミリSv以上
福島原発事故時、自衛隊員ら
2015/10/26 12:23
【共同通信】
内閣府は26日、
東京電力福島第1原発事故直後に住民避難の支援に当たった自衛隊員や警察官、消防隊員計約3千人のうち38%の被
ばく線量が、一般の年間被ばく限度である1ミリシーベルト以上だったとの調査結果を明らかにした。内閣府によると、原発
の敷地外で住民の支援などをした自衛隊員らの詳細な被ばく調査は初めて。原発事故が発生した際、住民避難を担うバス
運転手らの被ばく対策を議論する検討会で示した。調査は11年3月12~31日に第1原発半径20キロ圏で住民の避難誘
導や救出などに当たった2967人が対象。1ミリシーベルト未満が62%、1ミリシーベルト以上が38%。
原子力輸出で台頭する中国-「華龍1号」、英で採用へ
電気新聞2015/10/26
◆日本、対抗のカギは「技術」 英 国
の原子力発電所建設に中国企業が参画することで先週、英中首脳が合意した。フランス電力(EDF)子会社が主導する2
地点での建設・運転に中国広核集団が資本参加するとともに、ブラッドウェル地点では中国が“国産ブランド”と位置付ける
約100万キロワット級のPWR(加圧水型軽水炉)「華龍1号」が採用される。海外の原子力事情に詳しい関係者からは、「今
まで技術を買う側だった中国が、売る側として名乗りを上げた。英国での中国ブランド採用は絶大な宣伝効果を持つ」と話
し、原子力を巡る今後の国際商戦で、日本にとっても強力なライバルが出現したとみる。2008年に新規原子力建設を推進
する政策に舵を切った英国。しかし、それまで新規投資を行ってこなかったことで技術は途絶え、英政府は政策実現のパ
ートナーとしてフランスを選んだ。ヒンクリーポイントCやサイズウェルといった地点での事業はEDFエナジーが大半を仕切
る計画だった。ところがフランスではアレバの経営難に端を発し、EDFの経営体力も低下。出資先のパートナーを探らざる
を得なかった。そこに助太刀に入ったのが豊富な資金力を後ろ盾にした中国政府と企業だった。技術力が衰退した英、投
資リスクに耐えられるか不安を持つ仏、国産ブランドを展開したい中国。3カ国の思惑がかみ合った格好だ。海外電力調査
会の黒田雄二上席研究員は「英国にとっては電力の安定供給、自国産業・雇用の確保という割り切った判断。EDFはEP
R(欧州加圧水型軽水炉)の売り込み先として中国市場に魅力を持つ」と話し、3カ国の利害が一致した結果だとみる。
中国国家能源局と英国エネルギー気候変動省が《2015民用原子力領域協力声明》に調印 (15/10/23)2015/10/2
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10月21日、中国国家能源局と英国エネルギー気候変動省はロンドンにおいて《2015民用原子力領域協力声明》に調
印した。主な内容は次の通り。・双方は民用原子力領域の工業、研究開発及び次世代原子力発電技術をめぐって協力を
深めるとともに、長期互恵的パートナーシップを確立する。・双方は相手方が自国の民用原子力事業に投資、参加すること
を歓迎する。・双方は、ヒンクリーポイント原子力発電事業への中国側の33.5%の出資も含め、中国企業とフランス電力が英
国における新規原子力発電事業に関する条項を確定した商業的戦略投資協議の調印を歓迎する。・双方は、中国側が中
心になり、フランス電力が参加するブラッドウェル新規原子力発電所建設事業の提案を歓迎する。同事業は英国が新規原
子力発電事業に適用する計画、環境、安全の要件及びその他の管理監督要件を満たした時に建設する。・英国に建設す
る中国の原子炉の設計案は英国の独立理管理機関に提出して包括的設計審査(GDA)を進める。双方は中国の原子炉設
計案が2016年にGDAにパスすることを期待する。・双方は両国の企業が中国、英国及び第三国において協力のチャンスを
広げるよう促進する。双方は関係企業が中英企業間の真の意味でのパートナーシップを確立して、英国、中国及び第三国
の原子力事業を開発することを支援する。・双方は技能開発と職業訓練事業を共同で推進する。中国は英国の新規原子
力発電事業の実施にとって現地の多数の技術要員が重要な意義を有することを認識する。・双方は核燃料サイクルをめぐ
る協力の希望を認識する。関係政府部門が燃料サイクル領域で商業パートナー協力を推進することを歓迎する。・双方は
両国の研究機関が民用原子力の共同研究並びにイノベーションセンターを確立することを支援する。・双方は各自の学術
研究機関並びに施設が民用原子力領域において協力のチャンスを考慮するよう奨励する。(国家能源局ウェブサイト 10月
23日)
[ルーマニア:再エネ]太陽光発電事業、ブーム終焉による事業改革の必要性
電事連2015年10月26日2015年10月2日
付専門誌によれば、独系コンサルティング会社ローランド・ベルガーはルーマニアの太陽光発電事業に関して、今後シフト
チェンジが必要との提案を盛り込んだ報告書を発表した。太陽光ブームが起きた2013年当時80万kWが運開したが、2014
年は35万kWのみとなった。現時点で122万kWを越える設備が導入されている。同社ブカレスト支社のIoana氏は、「再エネ
支援スキームの変更により、グリーン証書の価格下落だけでなく、市場価格全体の低下をもたらし、更なる投資は見込めな
い」と述べている。同氏はルーマニアでこれまで開発された多くは大規模設備やトレーディング目的の事業が多く、他の欧
州諸国に比べて家庭用または事業所用の自家消費を目的とした建物設置型が少ないことも指摘している。
<参考>再エネ業界団体、グリーン電力証書の再エネ比率調整を求める(2015/8/19掲載)
https://www.fepc.or.jp/library/kaigai/kaigai_topics/1251367_4115.html
[ドイツ]ドイツの2015年風力発電量、9カ月間で2014年通年実績上回る
電事連2015年10月26日連邦エネルギー・
水道事業連合会とバーデン・ビュルテンベルク太陽光・水素研究センターは2015年10月1日、同年の風力発電電力量が1
~9月で590億kWhとなり、9カ月間で2014年の通年実績である574億kWhを上回ったと発表した。風況の良さと陸上および
洋上の両方で新規建設が続いていることが発電量増加の要因とされ、月単位でもほぼ毎月前年の実績を上回っている。洋
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上風力による発電電力量はこのうち46億kWhで、前年通年実績14億kWhの3倍以上に拡大した。報道によれば、2015年上
半期の風力導入量は300万kWで、そのうち180万kWが洋上風力であるという。連邦エネルギー・水道事業連合会のミュラ
ー専務理事は、風力発電の拡大がエネルギー転換に貢献しているとしながらも、市場やシステムに再エネを統合する取り
組みの必要性を指摘している。
[英国]政府、今後も石炭火力の閉鎖を推進する方針を表明
電事連2015年10月26日英国エネルギー・気候変動省(D
ECC)は2015年10月6日、同省が今後も国内石炭火力発電所の閉鎖を推進する方針であることを報道関係者に対して表明
した。石炭火力はこれまで、ベース供給力として国内のエネルギー需給に大きく寄与してきたが、国内総発電電力量に占
める比率は2012年の40%から2014年には29%まで減少している。この背景には、国内の低炭素化を進める英国の政策ととも
に、各事業者による従来型の石炭火力発電所の閉鎖が既に進んでいる事実が見られる。直近では、2015年8月18日に英
国の6大エネルギー事業者(ビッグ6)の一角であるスコティッシュ・パワーが、高水準の炭素税と送電コストを理由に、同社
のロンガネット石炭火力発電所(容量240万kW)を2016年3月31日に閉鎖することを決定している。2015年10月6日付地元
紙の報道におけるDECC大臣Amber Rudd氏のコメントによれば、英国政府は、2015年11月30日~12月11日にパリで開催
される国連気候変動会議(COP21)に併せ、2023年までにすべての国内石炭火力を閉鎖する計画を11月30日に発表する
予定とのことである。しかし、国内における安定的な供給力の確保という観点では、老朽石炭火力発電所の相次ぐ閉鎖や
ガス火力の設備利用率の低下(2000年代から続くガス価格の上昇傾向が背景)という現状に、今回のDECCの計画が加わ
ることで将来的な懸念が残る。系統運用者ナショナル・グリッドは、追加的な需給調整がない場合、2015年度の冬季予備率
は至近10年で最低の1.2%と予測している。
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