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日本消化器外科学会 第 69 回日本消化器外科学会総会【2014 年 7 月】
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[P-171] ミニオーラル 171:ヘルニア 5
座長:竹重 俊幸(福島県立医科大学 会津医療センター 外科)
日時:2014年7月18日(金)16:00∼16:50
会場:ブースJ (郡山総合体育館 1階 小体育館)
P-171-1 Hernia 診断での鏡視下手術の有用性について-術前診断に苦
慮した傍恥骨上腹壁瘢痕ヘルニアの症例から-
P-171-2 当センターでの細径鉗子による腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術
(TAPP)
田嶋 ルミ子:1、松尾 彰宣:1、沖野 哲也:1、山下 裕也:1、横山 幸生:1、馬場 秀
夫:2
1:熊本市立熊本市民病院 外科、2:熊本大学附属病院 消化器外科
山本 道宏:1、財間 正純:1、山本 秀和:1、原田 英樹:1、川村 純一郎:1、矢澤 武
史:1、川添 准矢:1、木田 裕也:1、尾川 諒太郎:1、住田 公亮:1
1:滋賀県立成人病センター 外科
はじめに:鼠径ヘルニアは日常的によく遭遇する疾患であり,成人においては身体所見
【背景】腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術 (以下 TAPP) は,cosmetic な利点を有するだけ
や画像所見上から術前診断に苦慮することは少なく,加療も容易である事が多い.しか
でなく,対側鼠径部の観察,さらには腹腔鏡の拡大視効果により解剖学的膜構造を破壊
し,小さい鞘状突起を伴う内鼠径ヘルニアや再発鼠径ヘルニア等では,鼠径法では sac
することなく精緻な剥離操作が可能である.また鏡視下での縫合結紮を含めた様々な基
やヘルニア門の同定に難渋する症例に出会うことがある.この点において,最近発達し
てきた経腹的腹腔鏡下手術 (TAPP) は,より診断能に優れていることが報告されてい
る.今回我々は,長期にわたり鼠径ヘルニアと診断されていたが,鏡視下法の導入で初
めて正確な診断できた症例を経験したので報告する.症例は 65 才の女性,23 歳と 27
歳の時に帝王切開,55 歳の時に子宮筋腫に対する子宮全摘除術を施行されている.56
才の時に右内鼠径ヘルニアに対しメッシュプラグ法にて手術を施行された.その後,長
期にわたり両鼠径部の疼痛があったが,数年前から膨隆も自覚してきたとして紹介来院
本操作が要求されるという観点で,若手外科医への手術教育にも非常に有用である.し
かし TAPP は決して容易な手術とは言いきれず,その導入・教育には乗り越えるべき様
々なハードルがあると思われる.
【目的】当院で 2012 年 4 月より導入・施行した細径鉗
子による TAPP の安全性,および導入後 18 ヶ月間の短期成績を明らかにする.【手術
手技】臍部 12mm,右側腹部 5mm,左側腹部に 3mm の 3 ポートで施行.エナジーデ
バイスは,腹壁の層構造を温存しやすいモノポーラシザーズを主に使用.留置するメッ
シュを必要充分に展開すべく,腹膜切開は大きく行い,Retzius 腔,Bogros 腔をそれぞ
れ広く剥離展開する.吸収性タッカーにて 3D メッシュを腹壁に固定したのち,切開し
された.腹圧上昇時に両鼠径の膨隆と強い疼痛を認め,さらに圧痛は右に著明であっ
た腹膜を 3-0 縫合糸にて鏡視下に連続で閉鎖する.腹腔内癒着防止目的に閉創前,1/2
た.CT 所見上はメッシュ周囲の肉芽形成以外に明らかなヘルニア所見は認めなかっ
にカットしたセプラフィルムを臍部創より直視下に貼付する.【対象】2012 年 4 月から
た.このため,両側内鼠径ヘルニア (右再発) と術前診断し,右が再発でもあったため
2013 年 12 月まで,細径鉗子 TAPP を施行した 38 例.初発,再発,手術既往は問わず
経腹的腹腔鏡下手術 (TAPP) を選択した.通常の TAPP の位置でポートを挿入.腹腔
鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡手術を希望し,かつ全身麻酔が可能な患者.
【臨床成績】両
内所見は子宮の手術の影響で下腹部から骨盤部にかけて大網と結腸が癒着し左の鼠径部
側 18 例,片側 20 例 (右 10 例,左 10 例) で,3 例 4 側が再発症例であった (1 例は
は確認できず,右は内鼠径輪周囲には癒着はなく,腹膜の迷入も認めなかった.このた
前方アプローチメッシュ法後の両側再発).腹部手術既往は,2 例に開腹虫垂切除,2 例
め,注意深く癒着を剥離し,腸管を腹腔内に還納し,改めて観察.この結果,恥骨上縁
に腹腔鏡下胆嚢摘出術,1 例に開腹胆摘,1 例に開腹幽門側胃切除術 (B-1 再建),1 例
に 5 ㎝大のヘルニア門を認め,ここから左右の傍恥骨方向にヘルニア嚢が突出し,ヘ
ルニア嚢右側には前回のプラグが突出していた.
この時点で傍恥骨上腹壁瘢痕ヘルニアと診断し,前回のプラグを除去後,修復は
Parietex Composite Mesh(Covidien 社) を使用.恥骨方向は左右の恥骨辺縁からクー
パー靭帯に吸収性のタッカーにて固定した.術後に疼痛は消失し再発も認めていない.
まとめ:TAPP にて腹腔内から観察したことによって,全体像が把握でき適切な治療に
結びついた症例を経験した.再発例や典型例ではない鼠径ヘルニアの場合は,TAPP の
に恥骨後式前立腺全摘術があった.執刀は,指導医 (胃がんの内視鏡外科技術認定医) が
9 例,レジデント (計 5 名) が 28 例であった.指導医執刀の手術時間中央値は両側症
例で 163 分 (118-199), 片側症例で 64 分 (61-100).レジデント執刀の手術時間中央値
は両側症例で 175 分 (127-288),片側症例で 120 分 (82-201) であった.出血量は全例
微量で術中・術後合併症は認めなかった.なお,前立腺全摘後の両側症例では,剥離操
作に難渋し手術時間を要した (288 分).【結語】導入初期であり手術時間は長い傾向に
あるが,内視鏡外科技術認定医の指導のもとであれば,レジデントでも細径鉗子による
より積極的な適応を考慮する必要があると考える.
TAPP は安全に施行可能で,その短期成績も良好であった.当センターでの細径鉗子に
よる TAPP を動画で供覧する.
P-171-3 術前に診断しえた鼠径部膀胱ヘルニアの 3 例
P-171-4 外膀胱上窩ヘルニアの 1 例
岡内 博:1、長澤 芳信:1、北村 直美:1、瀬戸山 博:1、長谷川 正人:1、来見 良誠:1
1:独立行政法人国立病院機構東近江総合医療センター
埜村 真也:1、寺岡 均:1、西村 潤也:1、北山 紀州:1、野田 英児:1、西野 裕二:1
1:ペガサス馬場記念病院 外科
膀胱ヘルニアは,膀胱壁の一部またはすべてが骨盤壁の正常部分,もしくは異所性開口
【はじめに】膀胱上窩ヘルニアは,正中臍襞と内側臍襞の間の膀胱上窩にヘルニア門を
部分から脱出したものであり,脱出部位としては鼠径部が多い.今回我々は術前に CT
有するヘルニアで,進展方向により内膀胱上窩ヘルニアと外膀胱上窩ヘルニアに分類さ
にて確定診断し,Direct Kugel 法にて治療した鼠径部膀胱ヘルニアの 3 例を経験した
れる.日本ヘルニア学会の鼠径部ヘルニアの分類では II-1 に相当する.今回,腹腔鏡
のでここに報告する.【症例 1】74 歳男性.約 10 年前より左鼠径部の膨隆を認めてい
で診断しメッシュプラグ法により修復した外膀胱上窩ヘルニアの 1 例を経験したので
たが,適宜押し戻していた.しかし,昨晩より戻らなくなったことを主訴に当科外来受
報告する.
【症例】66 歳,男性.左鼠径部膨 を主訴に近医を受診し,左鼠径ヘルニア
診した.左鼠径部から陰嚢にかけて 4x6cm の膨隆を認め,左鼠径ヘルニアを疑った.
の診断で当院紹介となった.診察時は左鼠径部に明らかな膨 を認めず,違和感のみで
触診にて膨隆は弾性硬で圧痛なく,しかし用手還納はできなかった.CT にて,ヘルニ
あった.患者の申告では手拳大の膨
ア内容が膀胱の一部であることを確認した.膀胱ヘルニア嵌頓と診断し,緊急手術を施
垂炎と痔瘻手術,30 代に急性肝炎で入院加療であった.血液検査所見では軽度の肝機
行した.術中手掌大の滑脱した膀胱壁が確認出来た.膀胱壁は切除することなく還納し
能障害を認めた.
【手術】左鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術 (TAPP
があるとのことだった.既往歴は 10 代に急性虫
た.【症例 2】74 歳男性.二ヶ月前より右鼠径部の腫脹を認めていた.立位にて右鼠径
法) を開始したが,ヘルニア門は膀胱上窩に認めた.ヘルニア嚢は反転可能で脂肪織が
部に径 4cm 膨隆を認めたが,疼痛圧痛はなかった.CT にて膀胱ヘルニアと診断され,
付着していた.TAPP 法ではメッシュの展開が困難であることが予想され,前方アプ
待機手術を行った.術中手拳大の滑脱した膀胱壁に留意しつつヘルニア修復術を行っ
ローチに変更しメッシュプラグ法で修復術を施行した.【経過】術後は創部痛を認めた
た.【症例 3】75 歳男性.4 ヶ月前より右鼠径部の腫脹を認めていた.近医受診時に両
が第 3 病日に軽快退院となった.【考察】外膀胱上窩は鼠径部に膨
側鼠径ヘルニアと診断され当院に紹介された.立位にて右鼠径部に径 3cm の,左鼠径
で,これまで本邦では 10 例の報告しかなく非常に稀なヘルニアである.術式は腹腔鏡
部に径 2cm の無痛性の腫脹を触れた.CT にて右膀胱ヘルニアと診断され待機手術を
手術 (TAPP 法および TEPP 法) が 5 例と半数を占める.今回我々は腹腔鏡で診断し,
行った.右鼠径部ヘルニアはいわゆるパンタロンヘルニアで内鼠径輪に母指頭大の膀胱
メッシュプラグ法で修復術を施行したが,症例によっては腹腔鏡による修復術も可能と
が滑脱するのが確認出来た.左側は通常の内鼠径ヘルニアであった.いずれの症例も術
を認めるのが特徴
考える.
後経過は順調であった.【考察】本邦では会議録を除くと約 90 例の膀胱ヘルニアが報
【結語】外膀胱上窩ヘルニアの 1 例を報告した.鼠径ヘルニアに対する腹腔鏡治療の増
告されている.その分類には腹膜側型,腹膜外型,腹膜内型があり,それぞれの頻度は
加に伴い,膀胱上窩ヘルニアに遭遇する可能性が高くなると思われるため,当疾患も念
62%,35%,3% とされるが,我々の症例は 3 例とも腹膜内型であった.Âd̄ 診断には
泌尿器科的検査以外では腹臥位造影 CT や排尿前後の腹部 US が有用とされているが,
この 3 例はいずれも腹部単純 CT で診断しえた.膀胱ヘルニアは術前に診断されなけ
頭におく必要がある.
れば術中膀胱損傷や膀胱合併切除となる恐れもあるため術前に確定診断をつけることが
重要である.本例では腹部単純 CT が術前診断に有用であった.
第69回 日本消化器外科学会総会
日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
日本消化器外科学会 第 69 回日本消化器外科学会総会【2014 年 7 月】
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P-171-5 ePTFE mesh を用いた傍ストーマヘルニア修復術の 2 症例
P-171-6 閉鎖孔ヘルニア 13 例の検討
堀口 雄大:1、加藤 秀明:1、高橋 裕季:1、栃本 昌孝:1、川口 雅彦:1、俵矢 香苗:1、
渡邊 透:1、細川 治:1
1:横浜栄共済病院 外科
山賀 亮介:1、白幡 康弘:1、齋藤 純健:1、蘆野 光樹:1、水落 宏太:1、相磯 崇:1、
菅原 浩:1、鈴木 晃:1、栗谷 義樹:1
1:日本海総合病院 外科
傍ストーマヘルニアに対する標準術式は現在確立されていない.mesh を用いた修復術
閉鎖孔ヘルニアは全ヘルニアの 0.073% を占める痩身の高齢女性に発症する比較的まれ
は再発率が低いため,腹壁瘢痕ヘルニアで用いられる polypropylene と expanded
な疾患である.近年高齢化に伴い増加傾向にある.治療は手術が一般的であるが,術後
polytetrafluoroethylene(ePTFE) の複合 mesh(Composix Mesh E/X  など) を使用
したヘルニア修復術の報告が見られる.しかし polypropylene mesh は腸管損傷の報
告が散見され,ePTFE 単独 mesh(Dual Mesh  ) を用いた術式も報告が増えつつある.
当院で各々の mesh を用いた傍ストーマヘルニアの 2 症例を経験したので報告する.
(症例 1)72 歳,男性.69 歳時に Rb 直腸癌に対し Mile’s 手術を施行し,S 状結腸ス
再発の報告もあり,再発の予防としてさまざまな工夫がなされている.
トーマを左下腹部に腹腔内経路で作成.翌年に傍ストーマヘルニアを認め,修復術を
施行.下腹部正中切開にて開腹し,ストーマ外側に約 3 横指のヘルニア門を認め,0
号 PDS 4 針にてヘルニア門を縫縮.2 年後に傍ストーマヘルニア再発を認め,ePTFE
メッシュを用いた修復術を施行.ストーマ外側に約 4×4cm のヘルニア門を認め,同部

位に ULTRAPRO Plug の plug(L) を挿入し腹膜を閉鎖.さらに Composix Kugel
Patch  (S) を 3-0 バイクリルにて固定し補強した.術後は合併症や再発を認めず経過
している.(症例 2)77 歳,女性.56 歳時に潰瘍性大腸炎に対し大腸全摘出術を施行し,
回腸ストーマを右下腹部に腹腔内経路で作成.傍ストーマヘルニアを他院にて保存的加
療中に,ヘルニア嵌頓を認め救急搬送となった.用手的整復後に ePTFE メッシュを用
いた修復術を施行.下腹部正中切開にて開腹し,ストーマ全周に 7×5cm のヘルニア門
を認めた.DUALMESH  を 12×7cm の楕円形にトリミングし,中央部に腸管通過孔
を作成.1.5cm 間隔で 3-0 プロリンにてヘルニア門辺縁にメッシュを固定し,回腸と
当院において 2008 年 4 月から 2013 年 8 月までの 5 年 5 ヶ月間に 13 例の閉鎖孔ヘ
ルニアの手術症例を経験した.全例女性で年齢は 70 歳から 90 歳であった.BMI は
17.0∼22.6(平均 17.8) と低かった.部位は右側が 7 例で左側が 6 例であった.13 例
中 11 例がイレウス症状にて発症し,2 例は腹痛の症状はあったが明らかなイレウス像
は見られなかった.12 例は来院時の CT にて術前に閉鎖孔ヘルニアと診断され,1 例
は術中に閉鎖孔ヘルニアと判明した.
緊急手術が 10 例で準緊急手術が 3 例であった.開腹時にすでに嵌頓が解除されてい
る症例が 7 例で,いずれも Richter 型であった.嵌頓例は 6 例で,6 例のうち 2 例が
用手的に嵌頓解除可能であり,残りの 4 例は生食注入法 (水圧法) で嵌頓解除された.
小腸穿孔を認めたのは 1 例のみであり,この症例に対してのみ腸管切除を施行した.
ヘルニア門の処理は閉鎖孔腹膜の縫合・結紮による閉鎖が 2 例,それに卵巣や子宮な
ど腹腔内の組織のヘルニア門への縫着を加えたものが 6 例,メッシュによる修復が 5
例であった.入院期間は 8∼91 日間であった.術後再発を認めたのは 1 例のみでメッ
シュのずれが原因であった.
以上 13 例について若干の文献的考察を加え報告する.
腸管通過孔を固定した.術後に seroma による右側腹部腫脹を認め,穿刺ドレナージと
圧迫を行い軽快した.【考察】両者とも正中切開を用いることで,清潔野を保ち mesh
を留置しえた.また筋膜の剥離,縫縮を必要としない tension free の術式であり,再
発率も低いと報告されている.今回は seroma の合併を認めたが,腹壁瘢痕ヘルニア
に DUALMESH  を用いた術式で,短期間のドレーン留置であれば感染性合併症を増
加させないとの報告もあり,ドレーン留置も検討すべきと考えられた.DUALMESH 
はトリミングも容易であり,様々な形や大きさのヘルニアに対し応用が可能と考えられ
た.今後は症例を増やすことで,定形化および腹腔鏡下手術への応用も検討していく.
P-171-7 当院における Kugel 法から TEP 法への移行について∼その
メリット∼
P-171-8 幽門側胃切除,Roux-enY 再建術後に発症した内ヘルニア
(Petersen‘s hernia) の 1 例
野村 公志:1、安藤 修久:1、大谷 聡:1、今澤 正彦:1
1:東濃厚生病院 外科
菊池 大和:1、櫻井 嘉彦:1
1:湘南東部総合病院 外科
【背景】
症例は,87 歳女性.2010 年他院で早期胃癌に対し幽門側胃切除,Roux-enY 再建術
当院では 2007 年より Kugel 法を導入し,成人鼠径ヘルニア治療の第一選択と位置付
を施行している.夕食後突然上腹部痛,嘔吐が出現,持続するため当院に救急搬送され
けている.近年,腹腔鏡手術が主流となってきており,術後の疼痛の軽減や手術創の縮
た.来院時,バイタルは安定,臍周囲に圧痛認め,腹膜刺激症状は認めなかった.腹部
小,精密な解剖を認識出来るなどの利点から,2013 年 5 月より腹腔鏡下鼠径ヘルニア
造影 CT 検査で造影不良な腸管を認めたが,内科医師により保存的に経過観察入院と
修復術を導入し,手術操作において Kugel 法と共通点が多い点から TEP 法を選択し
されていた.入院 4 日目の腹部造影 CT 検査で小腸狭窄部位と腹水を認めたため,外
た.
科に依頼となった.同日絞扼性イレウスの疑いにて緊急手術を施行した.結腸前経路で
【目的】
Kugel 法から TEP 法へ移行する際,少ない症例でのラーニングカーブの安定,及び
TEP 法を行うことで Kugel 法の手術手技向上,時間短縮が得られるか.
【方法】
拳上した空腸と横行結腸間膜との間隙に空腸の大部分が陥入しており,それにより輸入
脚が絞扼,壊死しかかっていた.用手的に整復後,色調の改善が見られた.術後 13 日
目に軽快退院した.最近,同様な症例報告が散見される.Roux-enY 再建後の腹痛は,
本疾患を疑う必要がある.
当院で施行した TEP 法 20 症例,及び TEP 法導入前・導入後の Kugel 法 20 症例の
手術時間を比較検討した.
【結果】
TEP 法において,平均手術時間は 66.3 分.後半の 10 症例では平均手術時間が安定し
45.2 分となった.また,Kugel 法において,TEP 法導入前の平均手術時間は 37.1 分
であったが,導入後は 28.8 分と短縮された.
【考察】
TEP 法のラーニングカーブの安定には全国的には最低でも 20 症例必要とされるが,
Kugel 法を基本術式としていた事により約半数での安定に繋がった.また,TEP 法を
導入したことにより,より明確な解剖学的理解および俊敏・正確な剥離操作ができ,
Kugel 法での手術時間の短縮につながった.
【結語】
Kugel 法から TEP 法への移行は,少ない症例数での手術時間の安定が可能,及び TEP
法
導入により Kugel 法の手技向上へとつながった.今後は,両術式を患者に合わせ選択
する
事によって,手術精度の更なる向上及び手術時間の短縮を目標とする.
第69回 日本消化器外科学会総会
日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery