■ 活動状況外科第一科当院の外科は，急性期担当の外科第１科と他院より紹介の亜急性期担当の外科第２科に分割されております。外科第２科の紹介は，江村外科第２科長の稿をご参照下さい。外科第１科は，外科常勤医３名（須藤隆之外科第１科長，藤田倫寛外科第３科長，遠藤史隆外科医師）にて一般外科，消化器外科，内分泌外科を中心に診療を行っております。藤田先生は，厚生労働省より，遠藤先生は，岩手医科大学外科医局から平成 26 年４月より１年間の長期出張として派遣を頂いております。外来診察は，月，火，水，木，金と須藤が一診制で行っております。乳癌検診は，外来にて子宮癌検診に合わせて月，水，金の午前中に予約制で行っております。入院は，消化器内科と共に６階病棟で，外科は病床 25 床にて診療を行っております。手術日は，月曜日から金曜日までの毎日となっております。皆様の御支援により外来患者数，入院患者数，手術件数ともに増加傾向を認めております。今後も御紹介，御指導宜しくお願い致します。Ａ）各診療部門との連携，チーム医療１．クリニカルパスヘルニア（ソケイ，腹壁瘢痕），甲状腺，脾摘，胆石症（腹腔鏡下胆嚢摘出術），乳癌（乳房切断術），胃癌（胃切除），穿孔性十二指腸潰瘍，空腸瘻造設，小腸切除，大腸，直腸癌（結腸切除，低位前方切除，直腸切断術），直腸脱，肝臓癌（肝切除術），膵，胆道癌（全胃温存膵頭十二指腸切除術，胆道再建），化学療法等のパス(2014 年 10 月現在，認定パス 80 種類)使用によって患者さんとの治療経過の共有ができ，入院期間の短縮を認めております。市立病院ホームページに認定パスを掲載し，院内パス紹介を中心としたパス大会も毎月開催しております。また，日本クリニカルパス学会，日本マネジメント学会に当院のパスについて沢内節子主任看護師が中心となって発表を行っております。２．外来化学療法室外来通院における快適で安全な化学療法治療を目的に，平成 19 年より６階病棟に化学療法室（２部屋，４ベッド）を立ち上げました。平成 21 年８月より患者数の増加に伴い６ベッドに増床いたしました。快適性では，プライバシーを重視し，個別の無料テレビを設置，安全性では，レジメンの登録制，化学療法パスを用いております。看護部門では，癌化学療法認定看護師の目時伸俊看護師が中心となり，運用を行っております。また，平成 20 年４月に須藤が日本がん治療認定医機構のがん治療認定医を取得しました。 ■ 活動状況３．臨床研究１．腹腔鏡下胆嚢摘手術における術前経口補水療法の Ramdomaized controlled study. 近年術前補水療法の有用性が指摘されており，従来の絶食点滴群と補水群の RCT を行い。有用性について検討しました。結果として，経口補水療法の安全性を確認し，患者の満足度が高いことから補水療法の適応を拡大しております。２．大腸癌手術における Enhanced recovery after surgery (ERAS) プロトコルの検討。欧州を中心に ERAS プロトコルの重要性が指摘されている。我々は，大腸癌術後症例に対して，早期経口摂取を目的に ERAS 食を作成し，従来の栄養管理群と早期経口摂取開始群を比較し，ERAS プロトコルの有用性を検討しています。３．成人鼠径ヘルニアに対する単孔式 TAPP 法と細経鉗子を用いた TAPP 法の RCT を行っております。Ｂ）手術実績平成 25 年１月より平成 25 年 12 月までの当科における粉瘤，脂肪腫，陥入爪等の局所麻酔下の小手術を除いた腰椎麻酔あるいは，全身麻酔で行った手術の概要を別表に示します。更に，各疾患に対する H25 年度の診療内容のトピックスについて概略致します。全体的に術後の QOL を重視して内視鏡外科手術の増加が認められました。また，整容性をさらに高めた単孔式腹腔鏡下手術も導入いたしました。内視鏡外科手術は，腹腔鏡下胃切除２例，腹腔鏡下胆摘術 103 例，腹腔鏡下総胆管結石砕石+胆嚢摘出術１例，腹腔鏡下脾摘術２例，腹腔鏡下小腸切除５例，腹腔鏡補助下大腸，直腸手術 23 例，腹腔鏡下人工肛門造設術７例，腹腔鏡下虫垂切除術 29 例，腹腔鏡下直腸固定術１例，腹腔鏡下癒着剥離術３例，TAPP 44 例，腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア根治術 17 例，腹腔鏡下臍ヘルニア根治術３例，腹腔鏡下腹腔ドレナージ２例，VATS1 例の計 248 例でありました。また，肝切除，膵頭十二指腸切除術などの高度侵襲手術も積極的に行っております。Ｃ）平成 26 年の展望今後，更に平成 26 年度は，１．単孔式手術，あるいは細経鉗子を用いた内視鏡外科手術の更なる導入を積極的に行っていきたいと思っております。また，拡大手術に関しても積極的に従来通り行っていく予定でおります。２．従来のクリニカルパスのバリアンス解析を行い最適なアウトカム設定を目指し，パス改訂を行っていきたいと思っております。当科は，日本消化器外科学会専門医制度認定施設,がん治療認定研修施設に認定されましたが，医師のキャリアアップを進め，今後，当科医師全員の日本外科学会，日本消化器外科学会専門医資格の取得すべく研鑽を積みたいと思っておりますのでご指導宜しくお願い致します。文責：須藤隆之 ■ 活動状況盛岡市立病院（外科）手術件数病名術式平成25年度乳腺乳癌 Auchincloss 7 乳房温存 3 胃胃癌幽門側胃切除 10 全摘 4 バイパス 1 腹腔鏡下胃切除 1 胃潰瘍穿孔部閉鎖 2 GIST 腹腔鏡下胃部分切除 1 幽門形成 1 十二指腸十二指腸潰瘍胆嚢、胆管胆嚢結石腹腔鏡下胆摘 102 単孔式胆摘 1 腹腔鏡下総胆管切開+胆摘 1 全胃温存膵頭十二指腸切除 2 胆管切除＋胆道再建 1 胆嚢癌肝床切除+胆道再建 2 乳頭部癌全胃温存膵頭十二指腸切除術 1 全胃温存膵頭十二指腸切除 4 膵体尾部切除 3 胃空腸吻合 2 腹腔鏡下脾摘出 2 部分切除 8 区域切除 2 葉切除 1 空腸瘻造設 1 メッケル憩室穿孔小腸切除 1 SMA血栓症小腸全摘 1 胆管癌膵臓膵癌脾臓肝臓肝癌小腸 ■ 活動状況病名術式平成25年度異物腹腔鏡下小腸切除 1 小腸腫瘍小腸切除 2 回盲部切除 9 腹腔鏡下回盲部切除 4 結腸結腸癌右半結腸切除 12 横行結腸切除 6 腹腔鏡下横行結腸切除 1 左半結腸切除 4 腹腔鏡下S状結腸切除 4 人工肛門造設 3 バイパス 4 FAP 腹腔鏡下大腸全摘 1 S状結腸過長症腹腔鏡下S状結腸切除 2 大腸憩室炎腹腔鏡下大腸切除 3 腹腔鏡下虫垂切除 22 単孔式虫垂切除術 7 虫垂急性虫垂炎直腸直腸癌高位前方切除術腹腔鏡下高位前方切除術低位前方切切除術 10 2 15 腹腔鏡下低位前方切除術 5 人工肛門造設 5 腹腔鏡下人工肛門造設 7 ハルトマン 6 経肛門腫瘍切除 3 マイルス 2 直腸脱腹腔鏡下直腸固定 1 肛門痔核根治術 2 小腸切除 3 腹腔鏡下小腸切除 4 腹腔鏡下癒着剥離 3 イレウス ■ 活動状況病名術式平成25年度副腎副腎腫瘍腹腔鏡下副腎切除 5 ヘルニア鼠径ヘルニアダイレクトクーゲル 30 TAPP 18 SILS-TAPP 26 大腿ヘルニアダイレクトクーゲル 2 腹壁瘢痕ヘルニア腹腔鏡下根治術 17 臍ヘルニア腹腔鏡下根治術 3 ＶＡＴＳ 1 腹腔鏡下ドレナージ 2 肺転移性肺癌その他腹腔内膿瘍デンバーシャント 2 CVポート埋め込み 45 合計 469