E級発振器を用いた共振形dc/dcコンバータ

A-1-2
2004 年電子情報通信学会基礎・境界ソサイエティ大会
E 級発振器を用いた共振形 dc/dc コンバータ
Resonant dc/dc Converter with Class E Oscillator
長谷宏之
Hiroyuki Hase
関屋大雄
Hiroo Sekiya
呂建明
Jianming Lu
谷萩隆嗣
Takashi Yahagi
千葉大学大学院自然科学研究科
Graduate School of Science and Technology, Chiba University
1
はじめに
E 級は電力増幅器の動作クラスの一つである. E 級動
作条件と呼ばれるスイッチング条件を満足することによ
り, スイッチにおける電力消費を最小化し, 高周波数動
作下において高電力変換効率が可能である.
本稿では E 級発振器 [1] と E 級整流器 [2] から構成さ
れる共振形 dc/dc コンバータを提案する. 提案する回路
は, MOSFET を駆動させるための制御回路を有しない
ため, 回路全体の効率を容易に求めることが可能となる.
また, E 級発振器および E 級整流器は E 級動作条件を満
足するため, 高周波数動作下において高効率を実現する.
VD
6V
SD
LC
1.59mH
Rd1
ic
750kΩ
vs
S
Rd2
i
CS
1.79nF
vf
750kΩ
7.80µH 980pF
L0 C0
v C1
268µH
LF
C2
15.6nF
iF
v1
1.37nF
D
v2
CF
iD
472nF
10Ω
vF R
I0
if
Lf
4.13µH
図1
2
回路構成
図 1 に提案する共振形 dc/dc コンバータの回路構成を
示す. 提案する回路は E 級発振器 [1] と E 級整流器 [2]
から構成される. 分圧抵抗 Rd1 および Rd2 を用いるこ
とにより, スイッチ SD を入れれば回路は発振を開始す
る. 図 2(a) に提案する共振形 dc/dc コンバータの動作
波形を示す. スイッチ電圧 vs は, スイッチのターンオン
時におけるスイッチ電圧およびスイッチ電圧の傾きが零
となる E 級動作条件を満足する. 電圧 v2 を共振回路を
通してフィードバックすることにより得られる電圧 vf
は MOSFET の駆動信号になる. また, 発振器の出力で
ある, 共振回路 L0 C0 を流れる交流電流は整流器を用い
ることにより直流電圧として出力される. E 級発振器お
よび E 級整流器は E 級動作条件を満足するため, 高周波
数動作下において高効率を実現する.
回路構成.
vF
4
π
θ
2π
π
θ
2π
π
θ
2π
π
θ
2π
vs
0
22
v1+v2
0
18
vf
0
15
3
0
-9
a
b
図 2 (a) 動作波形 (b) 実験波形. Vertical: vF : 5V/div,
vS , v1 + v2 and vf : 10V/div. Horizontal: 200ns/div.
MOSFET における駆動信号の位相の一致, 駆動信号の
最大値を MOSFET の規格内に納めることも満足してい
る. 回路実験では, 出力電力 1.55W, 2.00MHz の動作に
おいて 78.9%の電力変換効率を達成した. 図 2 より, 実
験結果と計算結果の良好な一致が確認された.
3
設計方法
提案する共振形 dc/dc コンバータを設計するために
は, θ = 0 と θ = 2π における動作波形の境界値条件に
加えて, E 級動作条件および所望の出力電圧を考慮する.
さらに, MOSFET における駆動信号の位相の一致, 駆動
信号の最大値を MOSFET の規格内に納めることも考慮
する. 導出された代数方程式にルンゲ・クッタ法および
ニュートン法を適用することにより [3], 上記の条件を同
時に満たす素子値が図 1 のように導出される.
5
まとめ
本稿では E 級発振器と E 級整流器から構成される共
振形 dc/dc コンバータを提案した. 回路実験において,
出力電力 1.55W, 2.00MHz の動作において 78.9%の電力
変換効率を達成した.
参考文献
[1] J.Evert and M.Kazimierczuk, “Class E HighEfficiency Tuned Power Oscillator”, IEEE J.SolidState Circuits, vol. SC-16, NO. 2, Apr.1981.
4
実験結果
設計仕様として, 入力電圧 VD = 6V, 出力電圧 Vo =
4V, 出力抵抗 R = 10Ω を与える. MOSFET には IRF530
を用いるため, そのスレッショルド電圧は 3V である. ま
た, MOSFET における駆動信号の最大値は 15V とする.
図 2(b) に提案した共振形 dc/dc コンバータの実験結果
を示す. 実験波形は E 級動作条件を満足しており, かつ
所望の出力電圧を達成していることが分かる. さらに,
[2] M.Kazimierczuk, “Analysis of Class E Zero-VoltageSwitching Rectifier”, IEEE Transactions on Circuits
and Systems, vol. 37, NO. 6, June. 1990.
[3] H.Sekiya, I.Sasase and S.Mori “Computation of design
values for class E amplifiers without using waveform
equations”, IEEE Trans.Circuits Syst-I, vol. 49, NO.
7, Jul. 2002.
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