トリクロリールシロップ

医薬品の適正使用に欠かせない情報です。必ずお読みください。
「使用上の注意」改訂のお知らせ及び適正使用のお願い
催眠剤
日本薬局方 トリクロホスナトリウムシロップ
10%
注1)
劇薬、習慣性医薬品
処方せん医薬品注2)
TRICLORYL
Syrup 10%
注1)注意−習慣性あり
注2)注意−医師等の処方せんにより使用すること
2012年 3 月
この度、標記製品につきまして、厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知(薬食安発0319第1号、平成24年3月19日付)
に基づき、
「使用上の注意」を下記のとおり改訂しましたのでご案内申しあげます。
今後のご使用に際しましては、新しい「使用上の注意」をご参照くださいますようお願い申しあげます。
また、適正使用のお願いを別途記載しましたので併せてご覧ください。
なお、流通在庫の関係から改訂添付文書を封入した製品が、お手元に届くまでには若干の日数を要しますので、
既にお手元にある製品のご使用に際しましては、ここにご案内いたします改訂内容をご参照くださいますようお願い
申しあげます。
記
1. 改訂内容
[改訂部分抜粋、 (波線)部は追加改訂箇所、 (二重下線)部は削除箇所]
改
訂
後
改
【使用上の注意】
2. 重要な基本的注意
(1)呼吸抑制等が起こることがあるので患者の状態
を十分観察すること。特に小児では呼吸数、心拍
数、経皮的動脈血酸素飽和度等をモニタリングす
るなど、十分に注意すること。
(
「1. 慎重投与」
、「4.
副作用(1)重大な副作用」、「7. 小児等への投与」の
項参照)
(2)抱水クロラールは、本剤と同様に生体内で活性
代謝物であるトリクロロエタノールとなるため、
併用により過量投与になるおそれがあるので注意
すること。
(「8. 過量投与」の項参照)
(3)変更なし
−1−
【使用上の注意】
2. 重要な基本的注意
該当記載なし
該当記載なし
省略
訂
前
改
訂
後
3. 相互作用
[併用注意]
(併用に注意すること)
薬 剤 名 等 臨床症状・措置方法
中枢神経抑制剤 これらの作用を増
フェノチアジン 強することがある
誘導体
ので、やむを得ず
バルビツール酸 投与する場合には
誘導体等
減量するなど慎重
モノアミン酸化 に投与すること。
酵素阻害剤
アルコール
改
機序・危険因子
中枢抑制作用
が増強する可
能性がある。
アルコール脱
水素酵素を競
合的に阻害し、
アルコールの
血中濃度が高
くなる。
4. 副作用
(1)重大な副作用
1)無呼吸、呼吸抑制(頻度不明):無呼吸、呼吸抑
制が起こることがあり、心肺停止に至った症例
も報告されているので、呼吸状態の観察を十分
に行い、異常が認められた場合には適切な処置
を行うこと。
2)変更なし
3)依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じ
ることがあるので観察を十分に行い、用量及び
使用期間に注意し慎重に投与すること。また、
大量投与又は連用中の投与量の急激な減少ない
し投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、
不安等の禁断症状があらわれることがあるので
投与を中止する場合には、徐々に減量するなど
慎重に行うこと。
(2)その他の副作用
頻度不明
注)
過敏症 発疹、紅斑、水疱、固定薬疹、 痒感、発熱
循環器 徐脈
訂
前
3. 相互作用
[併用注意]
(併用に注意すること)
薬 剤 名 等 臨床症状・措置方法
これらの作用を増
アルコール
中枢神経抑制剤 強することがある
フェノチアジン ので、やむを得ず
誘導体
投与する場合には
バルビツール酸 減量するなど慎重
誘導体等
に投与すること。
モノアミン酸化
酵素阻害剤
機序・危険因子
アルコール脱
水素酵素を競
合的に阻害し、
アルコールの
血中濃度が高
くなる。
中枢神経抑制
剤、
モノアミン
酸化酵素阻害
剤とは相加的
に中枢抑制作
用が増強する
可能性がある。
4. 副作用
(1)重大な副作用
該当記載なし
2)省略
1)依存性(頻度不明):連用により薬物依存を生じ
ることがあるので観察を十分に行い、用量及び
使用期間に注意し慎重に投与すること。また、
大量投与又は連用中の投与量の急激な減少ない
し投与の中止により、痙攣発作、せん妄、振戦、
不安等の禁断症状があらわれることがあるので
投与を中止する場合には、徐々に減量するなど
慎重に行うこと。
(2)その他の副作用
頻度不明
注)
過敏症 発疹、紅斑、 痒感、発熱の過敏症状
該当記載なし
精神神経系 頭痛、めまい、ふらつき、運動失調、興奮、
抑うつ、構音障害、覚醒遅延
精神神経系 頭痛、めまい、ふらつき、運動失調、興奮、
抑うつ、構音障害
注)
このような場合には投与を中止すること。
7. 小児等への投与
(1)一般に成人に比し、薬物感受性が高いので、少
量から投与を開始するなど慎重に投与すること
(無
呼吸、呼吸抑制、痙攣は低出生体重児、新生児、
乳幼児での報告が多い)。
(2)無呼吸、呼吸抑制が起こり、心肺停止に至った
症例も報告されているので、特に慎重に投与お
よび観察をすること。(「2. 重要な基本的注意」の
項参照)
(3)痙攣(間代性痙攣、部分発作等)が起こることが
あるので、慎重に投与すること。
注)
このような場合には投与を中止すること。
7. 小児等への投与
(1)一般に成人に比し、薬物感受性が高いので、少
量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
該当記載なし
(2)小児等では呼吸抑制、痙攣(間代性痙攣、部分発
作等)が起こることがあるので、慎重に投与する
こと(特に低出生体重児、新生児、乳幼児では注
意すること)。
−2−
改
訂
後
改
8. 過量投与
徴候、症状:呼吸抑制、徐脈、血圧低下が認められ
ることがある。(「2. 重要な基本的注意」
の項参照)
処 置:呼吸、脈拍、血圧、経皮的動脈血酸素
飽和度の監視を行うとともに、気道の
確保等の適切な処置を行うこと。血液
透析、血液灌流が有効であったとの報
告もある。
訂
前
該当記載なし
2. 改訂理由
(1)
平成24年3月19日付厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知(薬食安発0319第1号)による改訂
1)2.重要な基本的注意 (1)項 追記
本剤投与後に呼吸抑制等の副作用が発現したとの報告があることから、本剤の投与にあたっては患者の
状態を十分観察し、特に小児では呼吸数等をモニタリングするなど、十分に注意する旨を追記いたしま
した。
2.重要な基本的注意 (2)項 追記
本剤と抱水クロラールは、生体内で同一の活性代謝物(トリクロロエタノール)となります。したがって
両剤の併用は過量投与になるおそれがあるので、注意が必要である旨を追記いたしました。
2)4.副作用 (1)重大な副作用 1)項 追記
「呼吸抑制」については従来より「慎重投与」、「小児等への投与」の項において注意喚起を行ってまい
りましたが、「呼吸抑制」から「心肺停止」に至った症例も報告されていることから、今般「無呼吸、呼
吸抑制」に関して、更なる注意喚起を行うため「重大な副作用」の項に追記いたしました。
3)7.小児等への投与 改訂
「呼吸抑制」から「心肺停止」に至った症例も報告されている旨を追記いたしました。小児等においては
特に慎重に投与いただくとともに、「重要な基本的注意」に追記したとおり、呼吸数等をモニタリングす
るなど、十分な観察を行っていただきますようお願いいたします。
4頁に本剤で報告されている「呼吸静止」および「呼吸抑制、心肺停止、ミダゾラムとの相互作用」の症例概
要を掲載しておりますので、ご参照ください。
(2)
自主改訂
1)3.相互作用 [併用注意]の項
抱水クロラール製剤との整合を図り、記載整備いたしました。
2)4.副作用 (2)その他の副作用の項
自発報告の集積に基づき、以下の副作用を追記いたしました。
○「過敏症」の項に「水疱」、「固定薬疹」 追記
「水疱」、「固定薬疹 *」を含め本剤による「発疹」については、再投与再発例が報告されています。
過去に本剤または抱水クロラール製剤の投与により過敏症を発現したことのある患者様には本剤を投
与しないようお願いいたします。
*固定薬疹:特定の薬剤を内服するたびに同一部位に皮疹を繰り返す薬疹
○「循環器」の項を新設し、「徐脈」 追記
○「精神神経系」の項に「覚醒遅延」 追記
3)8.過量投与の項 新設
本剤の過量投与によって認められる可能性のある症状および過量投与に対する処置を記載いたしました。
−3−
3. 症例概要
副作用名:呼吸静止
患者
性
年齢
使用理由
(合併症)
男
1歳未満
検査のための
鎮静
(なし)
副作用
1日投与量
投与期間
経過及び処置
517.5mg
1日間
呼吸静止
投与2日前
発熱あり。
投与1日前
発熱、口唇発赤、リンパ節触知、発疹みられ、川崎病
疑う。
投与開始日 心エコー施術。左冠状動脈φ3.6mm、右冠状動脈φ2.4mm、
(投与終了日) 輝度亢進(±)。
心エコー施行の際、本剤50mg/kg投与し、さらに
25mg/kg追加投与後に呼吸静止。マスク及びバッグに
て 呼 吸 補 助 す る も 、 自 発 呼 吸 は み ら れ ず 気 管 挿 管。
喉頭浮腫があり、注射用メチルプレドニゾロンコハク
酸エステルナトリウムを静脈内投与。
上肢のつっぱりがあり、けいれんを否定できず、フェ
ニトインナトリウム注射液を低速で静脈内投与。人工
呼吸器管理とした。
リンパ節触知。発熱、眼球結膜充血、口唇発赤、発疹
及び四肢末端変化を発現。ウリナスタチン、注射用メ
ロペネム投与。
終了1日後
免疫グロブリンG投与開始。注射用メロペネム、ウリ
ナスタチン投与開始。
終了2日後
心エコーにて輝度亢進、心のう液の貯留あり。冠動脈
病変なし。アスピリン投与開始。
終了3日後
発熱再燃のため、免疫グロブリンを投与開始し、3日
間投与。
終了4日後
脳 M R I に て 脳 梁 後 角 に h i g h a r e a を 認 め 、 脳 症 疑 う。
終了5日後
心エコー上で輝度亢進、心のう液貯留、瘤形成あり。
自発呼吸あり、抜管。回復。
併用薬:なし
副作用名:呼吸抑制、心肺停止、ミダゾラムとの相互作用
患者
性
年齢
使用理由
原疾患
(合併症)
副作用
1日投与量
投与期間
経過及び処置
男
検査のた エプスタイン 800mg
呼吸抑制、心肺停止、ミダゾラムとの相互作用
(89mg/kg)
10歳未満 めの鎮静 奇形
既往歴:三尖弁閉鎖不全症
(心房中隔 1日間
心エコーの前処置のため過去2回(約1ヵ月および2ヵ
欠損症)
月前)、本剤830mg(97mg/kg)を内服し、特に問題
は認められなかった。
投与開始日 本剤800mg(89mg/kg)内服。
(投与終了日)
投与約2.5時間後 チオペンタールナトリウムを静注し、心エコー開始。
検査中にチオペンタールナトリウムを2回追加投与。
投与約3.5時間後 MRI検査のため、ミダゾラムを静注。MRI検査を開始。
投与約4.5時間後 検査中に心拍数低下し、50台となった。MRI検査終
了後、呼吸・循環を確認したところ心肺停止を発見。
蘇生開始。
投与約6時間後
体外式膜型人工肺、低体温療法開始。
終了6日後
臨床的に脳死と判断、体外式膜型人工肺離脱。
終了8日後
死亡確認。
併用薬:ミダゾラム(被疑薬)、チオペンタールナトリウム
−4−
適正使用のお願い
−幼小児への投与にあたって−
本剤の用法・用量を遵守していただき、幼小児においては状態、目的等を考慮して少量から投与を
開始するなど慎重に投与し、十分観察を行ってください。
今般、
「重大な副作用」等に追記した「無呼吸、呼吸抑制(心肺停止を含む)」に関連する副作用症例(16例)
はいずれも幼小児であり、年齢と投与量の分布は以下のとおりです。本剤の幼小児における投与量の範囲は
20∼80mg/kgです。投与量の情報がある14例のうち最高用量の80mg/kgを超えて投与された症例は5例、最
高用量付近の70∼80mg/kgを投与された症例は6例でした。一方、1歳未満においては40mg/kg以下でも発
現している症例がありました。
(1988年∼2012年3月 現在)
1歳未満
1歳以上3歳未満
3歳以上7歳未満
注1)20mg/kg以上40mg/kg以下、注2)40mg/kgを超え70mg/kg以下、注3)70mg/kgを超え80mg/kg以下
本剤の【用法・用量】及び【使用上の注意】「小児等への投与」の項の記載は以下のとおりです。
【用法・用量】
トリクロホスナトリウムとして、通常成人1回1∼2g(シロップとして10∼20mL)を就寝前又は検査前
に経口投与する。幼小児は年齢により適宜減量する。なお、患者の年齢及び状態、目的等を考慮して、
20∼80mg/kg(シロップとして0.2∼0.8mL/kg)を標準とし、総量2g(シロップとして20mL)を超えな
いようにする。
【使用上の注意】
7. 小児等への投与
(1)一般に成人に比し、薬物感受性が高いので、少量から投与を開始するなど慎重に投与すること(無呼吸、
呼吸抑制、痙攣は低出生体重児、新生児、乳幼児での報告が多い)。
(2)無呼吸、呼吸抑制が起こり、心肺停止に至った症例も報告されているので、特に慎重に投与および観察
をすること。(「2. 重要な基本的注意」の項参照)
(3)痙攣(間代性痙攣、部分発作等)が起こることがあるので、慎重に投与すること。
本剤の用量と体重との関係は下図のとおりです。体重が25kg未満の場合は、体重に80mg/kgを乗じた投与
量が最高用量(例えば、10kgでは800mg(シロップとして8mL))となり、体重25kg以上においては、2g(シ
ロップとして20mL)となります。
25
20
最高用量
15
10
5
5
10
15
20
−5−
25
30
35
40
★本改訂内容は医薬品安全対策情報(DSU)
(No.208:2012年4月上旬発送予定)
に掲載されます。
本改訂内容及び最新添付文書は「アルフレッサ ファーマ株式会社ホームページ
(http://www.alfresa-pharma.co.jp/medical/iyaku/)
」
でもご覧いただけます。
また、最新添付文書及びDSUは医薬品医療機器情報提供ホームページ
(http://www.info.pmda.go.jp/)
にも掲載されます。
[本件に関するお問い合わせ先:アルフレッサ ファーマ株式会社 安全性情報室 TEL 06−6941−0266 FAX 06−6942−6310]
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