1 8 月 11 日ブログ「コト消費と不動産仲介業Ⅱ」 振り返れば、わたしが

8 月 11 日ブログ「コト消費と不動産仲介業Ⅱ」
振り返れば、わたしが現場第一線で活動していた 1970 年代から 80 年代前半はまさに
「右肩上がりの時代」。
営業マンに元気さがあれば、売主、買主とも「まあいいか」と妥協していただけた。
情報もわたしども業者サイドが一方的に握っていた時代です。
この 2 点の要因のおかげで、シンプルでがさつな営業でも通用していたのでしょう。
売主様は建物を「ゼロ」としても、土地価格が上がったので総額としては損しない。
買主様も、先買ったものが勝ちだということで、「損するわけではない」ので「まあ仕方
ない」と、多少の疑問があっても購入に踏み切ってくれた時代…
「資産価値」を優先した判断がお客様側にも浸透していました。
現在のシニア層の中核である団塊世代は 30 歳台。住まいは上がりすごろくが「一戸建て」
、
そのワンステップとして「マンション」を購入するというパターンが多く見受けられた
ことを思い出します。
そういったことで、買主様には「物件情報」に対しての価値を認め、手数料を支払ってい
ただいた面が強かったと思います。
お客様への営業は、価格と築年数、駅からの距離、面積(土地・建物)、間取り、駐車
スペースの有無が中心で、それ以外にはせいぜい子育て層の通園・通学や買い物便といっ
た条件が付く程度でした。
この程度の努力で申込みをいただけた「楽な営業」ができた時代です。今は「違います」。
レインズ登録が進んだ現在、不動産業者間の「情報」の差別化はありません。
またお客様は、ポータルサイト等を通じ 24 時間物件情報に接することができる時代です。
狭域の物件情報ならお客様の方が正確に把握なさっていることもある時代です。
また資産価値としての不安・不満は、売主様・買主様どちらもお持ちです。
小さな妥協はあるにせよ、納得できないと他社へ逃げていく。売却させてもらった売主様、
購入いただいた買主様のアンケートデーターはあっても、逃げていったお客様のデーター
はない…
そういったことで、わたしの時代に比べ、「仲介営業」の難易度は上がっています。
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90年前後のピーク時には、日本の総土地資産額(2500 兆円弱)で“アメリカ合衆国を二つ
が買える”という異常な状態を生み出した。いわゆる不動産バブル。
その後は地価下落がずっと続いてきたことは、皆さんもご承知です。
ではこれから地価はどうなるのか。景気の影響は、当然ありますが、基本的にはまだ
ずっと先まで日本の住宅地の下落傾向は続きます。
その裏付けが、下のグラフ。欧米先進国で、巡航速度の状態では、その国の総土地資産と
名目GDPはニア・イコールです。昭和 40 年台~50 年台の日本は、今の中国と同様、経済
成長率は平均十数%をキープした発展途上国と位置づけられます。
日本は、現状 GDP400 兆円足らずだが、巡航速度でみれば 500 兆円程度の力量です。
でも土地総資産は 1150 兆円程度で「分子:土地資産 1150 兆円/分母:名目 GDP500 兆円」
と 2.3 倍。
個別要因で上がる住宅地は当然ありますが、日本という単位でみれば住宅価格はまだまだ
下がると想定されます。
《日米英の土地資産の対 GDP 比》
(出典)
日本:経済企画庁「国民経済計算年報」
米国:商務省 Balance Sheet for the U.S. Economy
英国:中央統計局 National Accounts
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そういった時代背景からも、住宅への価値観を「資産性」ではなく「個客に合わせた利用
価値」についてお客様が納得できる説明が求められています。
○○小学校へ 200m、××スーパーへ 300m、△△医院へ 400mといったハードな情報では
なく、お客様ご家族一人ひとりの健康状態、趣味・趣向等から日常生活で必要な内容を説
明することが必要です。
関西から転勤の鈴木様一家は、魚介類が得意な店(SC・専門店等)とおいしいケーキ屋さん。
小学 3 年生の理沙ちゃんには、今も通っている「矯正歯科」に強いお医者さんとスイミン
グスクールの情報を調べる。奥様は新たにコミュニティセンターで油絵を習いたい。
ご主人はできればゴルフ練習場が近くにあればとお考えです。
こういった施設が、エリア徒歩圏にそろっている住宅なら、迷うことなく購入していただ
けます。
賃貸脱出組の 30 歳台ディンクス佐藤様夫妻には、歩いていける範囲に、平日遅くまで
オープンしているスポーツジム、帰り道にはおいしいラーメン屋さんとコンビニがあるこ
と。金曜にはオールナイト上映するシネコンがほどよい距離にあることが条件です。
「コト」消費とは、こういった個客の日常生活に合わせた調査が当然のこととなります。
個々の社員のセンスに頼った営業ではなく、こういった「お客様に役立つ情報」をいかに
店舗として蓄積し、全員で共有化していくことができるかです。
仲介手数料は、「情報価値」ではなく、総合的には「安心料」と「アドバイサー料」に
「事務手続一式」を含んだものとなっています。
さらに営業の最終目的「既取引顧客の紹介」を目指すためには、お客様にとっての
「パートーナー」、「アドバイサー」として認められることが必要です。
以上
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