研究成果/計画報告会(研特定領域「核融合トリチウム」領域番号476) 平成22年5月12~13日 核融合科学研究所(NIFS)・岐阜 土岐 平成22年度公募研究 「DT中性子照射による増殖材中に生成した トリチウムの回収に関する研究」 研究代表者:落合 研究分担者:近藤 佐藤 連携研究者:星野 河村 謙太郎(JAEA・FNS) 恵太郎(JAEA・FNS) 聡(JAEA・FNS) 毅(JAEA・大洗BLK) 繕範(JAEA・TPL) 背 景 現在の核融合炉設計ではトリチウム増殖を十分に確保すること は困難であり、ブランケット内で生成したトリチウムを出来る限り 効率良く回収しなければならない。 原子力機構FNSではDT中性子照射によるブランケット核特性 (トリチウム生成率の予測精度評価)を実施。 過去、原子炉によるトリチウム回収に関する研究は行われてき たが、生成量に対する回収量の比(回収率)に関する結果は報 告されていない。 ブランケット模擬機器と模擬環境下での 中性子照射によるトリチウム回収率検証が重要。 DT中性子源である原子力機構FNSのトリチウム回収検証に着目。 工学的必要性(トリチウム燃料確保) 核融合炉は発電すると共に、使った量と同じだけの燃料(トリチウム) を作り、回収して利用する(燃料自己供給システム)。 ブランケットでは 重水素は海水から プラズマの中で ヘリウム 重水素は + + + 核融合 + + + + 中性子 リチウム + 送電 + 中性子 冷却材(水、ガス) トリチウムは自分で作る 燃料供給 トリチウム 回収・精製 トリチウムができる トリチウム + トリチウム ・熱を取り出す ヘリウム ・トリチウムをつくる プ ラ ズ マ 中性子 蒸 気 発 生 器 変電施設 タービン発電機 ブランケット トリチウムを作り、回収・貯蔵し、再び補給する。 FNSトリチウム回収実験説明補助資料 ② 研究・開発の現状と課題 核融合炉ブランケットの役目 熱を取り出し、電気にすること 燃料トリチウムを自ら作り、取り出すこと 研究開発状況 □ ITERに核融合炉ブランケット装置を組み 込み、原型炉のための実験を予定 □ 日本、試験体の設計・製作を開始 (固体増殖ブランケットのみ) 新たに核融合炉ブランケットを模擬した 体系の整備と、模擬体系におけるトリチ ウム回収実験が必要 高温・高エネルギー中性子照射実験による トリチウム取り出し(回収)確認を実施 ・ トリチウム 増殖材料 (Li 2TiO3) 1173K プラズマ面 ブランケットで作ったトリチウムを本当に取り 出せることが可能か、確かめる必要がある これまでは、約700℃、低エネルギー中性 子のデータのみ。 ITER概略図 873K TBM概略図 ・ 中性子増倍材料 (Be) これまでのFNSブランケット核特性実験 • 固体増殖ブランケット模擬体系によるトリチウム生成率実験 炭酸リチウムペレット法によるトリチウム測定 モンテカルロ計算コードによるトリチウム生成率の測定 測定誤差の範囲(±7%)で良く一致。 ブランケット模擬容器 熱電対 トリチウム増殖の候補材料、チタン酸リチウムぺブルを充填。 温度1000℃まで加熱可能な模擬容器を製作*。*B班支援 スイープガス導入口 ・ トリチウム 増殖材料 (Li 2 TiO3) 1173K 873K 3 TBM概略図 ・ 中性子増倍材料 (Be) 試料装荷部36.1cc チタン酸リチウムペブル(天然) 直径1mm,67.0グラム充填 1.825g/cc 100 765 (48x48 直方体) 冷却用ガス導入口 圧縮空気 カンタル線(Fe-Ni-Al合金) ボルトスライダー加熱 断熱ガラスウール ステンレス(SUS304)製 肉厚1.0 ~ 1.5mm DT中性子照射実験(オフライン) JAEA-FNS DT中性子照射実験体系 DT中性子源 原子力機構DT中性子源FNS 強度:1.5 x 1011 n/sec/mA ベリリウム体系 中性子測定:Si-SBD(3.5MeV-αカウント) 回収測定照射 1.75 x 1015 生成測定照射 1.61 x 1015 ベリリウム体系 DT中性子源 直径630mm、奥行き457mmの擬似円筒体 模擬容器 模擬容器位置、奥行き203.6mmの位置に設置 照射前処理 600℃以上の脱ガスとドライ窒素ガス封じ 照射条件 室温照射、パージガスなし。 照射終了後、別室に模擬容器を移動し回収測定と生成測定を実施 トリチウム回収量測定 10-13 900 10-14 700 600 500 10-15 400 300 -16 10 200 100 10-17 0 模擬容器トリチウム回収法 600℃以上の加熱(2時間程度)で前段 のバブラーで回収可能であることを確認 50 100 150 200 Time min 250 0 300 トリチウム回収量測定結果 時間毎にバブラーを交換し、液体シンチレーショ ンカウンター法によるβ線測定を実施。 検出限界(約1x10-15 Bq/source neutron) Temperature degree C Bq / source neutron 800 トリチウム生成量測定と回収量測定の比較 • 溶解法によるトリチウム生成量測定法 水、過酸化水素水、塩酸、硝酸等でペブル溶解を試験。 塩酸、硝酸による溶解が適当。 3回繰り返し -13 10 Bq / source neutron 上澄溶液採取 1cc (沈殿TiO2) 10-14 Li2TiO3 0.1mol (10.9 g) HCl 0.2mol (40ml) 乳白濁化 Li2TiO3 + 2HCl → 2LiCl + H(T)2O + TiO2↓ 10-15 10-16 10-17 1 2 3 4 測定回数 回収量と生成量の測定結果から回収率は98% 今年度の研究方針 DT照射オンライン回収予備試験をFNSで開始 課題:回収の化学系(水成分、ガス成分)の議論が重要なポイント モデルに対する実証試験を行うことが重要 まとめ ブランケット模擬容器を用いて核融合ブランケット環境下での中性子照射実 験を開始し、トリチウム回収率測定を実施。 トリチウム回収量測定はITER-TBM設計と同様、600℃以上の増殖材加熱 とヘリウムガス(水素ガス1%含有)パージによる水バブラー捕集法を利用。 トリチウム生成量測定については塩酸によるぺブル溶解法を利用。 トリチウム生成量と回収量から、回収率は0.98。模擬容器によるDT中性子 照射でのトリチウムについて、ほぼ全回収可能であることを明らかにした。 今後、オンライン照射によるトリチウム回収実験を実施し、回収化学系を分 離した、照射下でのトリチウム回収挙動を検証する予定。
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