ハイブリッドロケットとは? CAMUI型ハイブリッドロケットの開発 および燃焼実験の概要 Pressurant Tank Propellant Tank Propellant Grain Port Regulator 総括研究代表者: 永田晴紀 • (北海道大学大学院工学研究科機械科学専攻・助教授) • • • • ハイブリッドロケットで何ができるか? 目的: 小型ロケットの大幅な低価格化を実 現し,気象観測や微小重力実験用 途の小型ロケット市場を創造する. 用途: 地球温暖化等の気候変動に強く影 響している成層圏微量化学成分を 採取する気象観測事業 新薬開発における蛋白成長過程を 観測するための分オーダーの微少 重力環境提供事業 課題: ハイブリッドロケットを固体ロケット並 に小型・高推力化することが必要 Flow Valve Injector Nozzle Assembly 推進剤に固体燃料(プラスチック等)と液体酸化剤の組合せを用いたロケッ トエンジン. 推進剤に火薬類を使用せず,安全. 推進剤が極めて安価.火薬類ではないため,運用・管理コストも削減可能. 機体の再使用化により,大幅な打上げコストの削減が可能 固体燃料の燃焼速度が小さく,低推力であるため,小型高推力化が困難 で,未だ実用化されず. CAMUI型ハイブリッドロケット 燃焼ガスが固体燃料表面への衝突を順次繰り返すように 燃料形状に工夫を加えた,縦列多段衝突噴流(Cascaded Multistage Impinging-jet, CAMUI)方式を発案.固体ロケッ ト並の小型高推力化に成功(特願2003-285514). バルブレス供給方式 プラスチックと液体酸素の使用により, ・ 安全 ・ 燃料費を大幅に削減 ・ 機体再使用による大幅コストダウンが可能 固体ロケット 火薬類を使用するため, ・ 特別な安全管理が必要 ・ 生産コスト,管理コストが増大 ・ 機体再使用によるコストダウ ンが不可能 打上げバルブ CAMUI方式により,固体ロケット並の推力を達成 Pressurant Tank Propellant Grain Propellant Tank CAMUI型ロケットにより小型 ロケットの大幅なローコスト化 を実現し,新たな小型弾道ロ ケット市場を創出. Port 従来型ハイブリッドロケット Regulator Flow Valve Injector Nozzle Assembly 課題: 低推力 → 小型・高性能化が不可能 • • • 液体酸素流路からバルブを排除 液体酸素冷却ラインを大幅に簡素化 :Ignition :Launch これまでの開発の流れ 平成8年度∼9年度 新しい燃焼試験を模索するための基礎燃焼試験を実施. 平成10年度 CAMUI 方式(後述)の開発により,推力と燃焼効率の大幅な向上に成功. 内径 20 mm ロケット燃焼器により良好な燃焼特性を取得.推進剤はガス 酸素とアクリル樹脂.推定推力は 1 kgf. 平成11年度 内径70 mm ロケット燃焼器により詳細な基礎燃焼データを取得.推進剤は ガス酸素とアクリル樹脂.推定推力は12 kgf. 平成12年度 酸化剤を液体酸素に変えて,より実機に近い条件で燃焼試験を実施.燃料 はアクリル樹脂またはポリスチレン樹脂.推定推力は30 kgf. 平成13年度 再生冷却燃焼器(燃焼室壁面の冷却を液体酸素で行う)を用いて燃焼試験 を実施し,推力 60 kgf を発生するフライト用エンジンの開発に成功.このエ ンジンを用いて,全長1.6 m,外径89 mm,初期重量10.5 kgのロケットの打 上げ試験に成功(下図中央).液体酸素を用いたハイブリッドロケットの打 上げ成功は世界初. 地上燃焼試験(1998∼) 地上燃焼試験(1999∼) 地上燃焼試験(2000∼) 2002年3月,2003年1月の2 回続けてロケット打上げ試験に成功. 2004年3月には有翼滑空回収試験にも成功.基礎技術は既に完成. CAMUI-FM 燃焼試験 有翼実験機 CAMUI-Winged CAMUI型ロケットエンジ ン(液体酸素タンクを燃 焼室の外周に配置) 有翼打上げ実験 ロケット打 上げ実験 打上げ試験の映像 統括責任者: 永田晴紀 北海道大学 助教授 研究実施体制 副統括責任者: 瀬戸 弘 (株)セテック 代表取締役社長 アドバイザ 島野邦雄(株式会社IHIエアロスペース) 石原哲也(エア・ウォーター株式会社) ロケットエン ジン開発 瀬戸 弘(株式会社セテック) 豊田国昭(道工大・機械・教授) 大滝誠一(道工大・機械・教授) 溝端一秀(室工大・助教授) 有翼機体 開発 中村明広(有限会社アイドマ) 植松 努(株式会社植松電機) アビオニクス 機器開発 三橋龍一(道工大・情報・助教授) 佐鳥 新(道工大・電気電子・助教授) 江上郁男(株式会社宇宙船, 有限会社宇宙船北海道) 宇留野茂(株式会社宇宙船) ユーザインタ フェース開発 角皆 潤(北大・理・助教授) 地上燃焼実験装置の構成 Solenoid Valve 売上高 Pressure Sensor Check Valve P2 Pc フェーズ3 普及期 Combustion Combustion Chamber Chamber P1 フェーズ1 実用化研究期 (本事業) Exhaust フェーズ2 市場開拓期 2008 2004 3-Way 打上げバルブ Valve 2013 微小重力実験 機を市場投入 5億円 永田晴紀(北大・工・助教授) 戸谷 剛(北大・工・助手) 植松 努(株式会社植松電機) 事業化ロードマップ 50 億円 管理法人: 北海道 TLO 株式会社 2006 気象観測機を 市場投入 Coolant N2 He Lox Lox Tank Orifice 50 kgf 500 kgf 1 tonf 打上げ能力 ロケットモータ点火の手順 地上燃焼実験用小型モータ Igniter Cooling Room (a) 液体酸素充填 Leading Wire Oxidizer (b) 点火 冷却水 流出 Nozzle Combustion Chamber Coolant Water (c) 液体酸素供給開始 (d) 定常燃焼 燃料ブロックの詳細 Stainless Ring Hot Wire Fuel Block 地上燃焼実験用小型モータのスペック Insulator 燃料 酸化剤 燃焼室内径 推力(代表値) 燃焼室圧力 燃焼時間 平均比推力 Dummy Block Pressure Sensor Spacer Ring Fixing Ring 小型モータ ポリエチレン 液体酸素 57.5 mm 80 kgf 35 気圧 3.7 秒 270 秒 気象観測クラスモータ ポリエチレン 液体酸素 140 mm 500 kgf 35 気圧 16 秒 270 秒
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