味の素グループ CSRレポート

味の素グループ
CSRレポート
2005
会社概要
味の素グループは23の国・地域で、食品やアミノ酸、医薬品など、さまざまな事業をグローバルに展開しています。
ヨーロッパ
●
●
●
●▲
●
●▲▲
●
日本
アジア
●▲
●▲▲▲
●
●▲▲▲▲▲
●▲▲▲
アメリカ地域
●
●▲
●▲
●▲▲▲▲
●▲▲
●
●▲
●▲▲
●法人、事務所
●▲▲
▲アミノ酸、化成品工場
▲医薬工場
▲調味料工場
▲加工食品工場
●▲▲▲
▲その他工場
生産工場 世界16国・地域 102工場(日本:51工場、海外51工場)(生産工場は包装工場も含む)
商 号 : 味の素株式会社
本社所在地 : 〒104- 8315 東京都中央区京橋一丁目15番1号
電 話 番 号 : 03(5250)8111
(代)
ホームページアドレス : http://www.ajinomoto.co.jp/
創業年月日 : 1909年5月20日
設立年月日 : 1925年12月17日
資 本 金 : 79,863百万円(2005年3月31日現在)
従 業 員 数 : 4,065名(2005年4月1日現在)
決 算 期 : 3月31日
売上高構成比
事業別
地域別
その他
5.7%
ヨーロッパ
10.0%
アメリカ地域
6.5%
医薬
7.5%
アミノ酸
16.1%
アジア
9.5%
国内食品
55.7%
日本
74.0%
海外食品
15.0%
連結決算
売上高
営業利益
(単位:億円)
(単位:億円)
12,000
10,000
9,085
9,435
9,877
10,395
10,730
800
709
700
651
600
8,000
490
500
6,000
400
540
378
300
4,000
200
2,000
0
1
100
2000
味の素グループ CSRレポート2005
2001
2002
2003
2004 (年度)
0
2000
2001
2002
2003
2004 (年度)
目次
編集方針
会社概要 ………………………………………………………
編集方針・対象範囲 ……………………………………………
トップコミットメント ………………………………………
コーポレートガバナンス ……………………………………
事業紹介 ………………………………………………………
●6回目の報告書発行となる今年は、「社会・環境報
告書」から「CSRレポート」とし、持続可能な社会に
向けた味の素グループの課題を含めた取り組みなど、
未来を見据えた報告を心掛けました。
●客観性と透明性を高めるため、専門家3名に当グ
ループのCSR活動へご意見を頂きました(→P.2122)。
●レポート前半では、積極的に社会的責任を果たす
取り組みを特集で読みやすく掲載しました(→P.1120)。2020年の味の素グループのあるべき姿を描
いた、CSR ビジョン策定過程も掲載しています
(P.19- 20)
。
後半は昨年同様、ステークホルダー別に考え方や
課題などを掲載しています。グループのめざす姿や
方向性を明確に示し、分かりやすい表現にも配慮し
ました。
●環境会計やサイトレポートなど、環境への取り組
みの一部のデータはホームページに掲載しています。
http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
●環境省の「環境報告書ガイドライン 2003」と、
GRI *の「持続可能性報告のガイドライン2002」を参
考にしています。
*GRI:Global Reporting Initiative
環境・社会・経済面から、サステナビリティ報告書の
世界的なガイドラインを作成している国際非営利団体
対象範囲
対象組織
原則として、味の素
(株)および連結子会社・持分法
適用会社、117社(2005年3月末現在)を「味の素
グループ」と表記しています。グループ全体の情報を
十分に把握できていない事象は、報告の都度、対象
組織を明示しています。
財務関連報告(→P.37-38)の対象組織は、連結財
務会計制度上の連結対象範囲* 1 です。環境関連報告
(→P.53-69)の対象組織は、「環境規程」に基づいた
「味の素グループ環境マネジメント」の対象範囲*2です。
*1 連結財務会計制度上の連結対象範囲:
味の素
(株)
、連結子会社、および持分法適用会社
*2 「味の素グループ環境マネジメント」の対象範囲:
味の素(株)
、連結子会社、および環境マネジメント上
重要な関係会社
なお、本報告書の連結対象集計範囲は、2004年
度の報告と比較し、以下の点が異なります。
連結子会社:FFAインターナショナル
(株)他1社 が新たに含まれました。
持分法適用会社:味の素製油(株)他3社が対象外 となりました。
また、環境実績データの集計範囲の変動について
はP.58の注記を参照ください。
対象期間
2004年度(2004年4月∼2005年3月)
活動には、一部直近の内容も含みます。
発行日
Contents
特集
1
2
3
6
9
1.循環型社会への挑戦 ……………………………………… 11
2.アミノ酸で実現する豊かで質の高い生活 ……………… 15
3.CSRビジョン策定ワークショップ ……………………… 19
第三者意見 …………………………………………………… 21
第1章 社会のなかで
ステークホルダーとの関わり………………………………………… 24
お客様とともに
安全・品質への取り組み ……………………………………… 25
トレーサビリティ …………………………………………… 27
すべてのお客様が使いやすいデザイン・表示をめざして … 29
食品添加物・GMOの活用・表示について…………………… 30
お客様とのコミュニケーション …………………………… 31
お客様情報の保護 …………………………………………… 33
味の素グループのノウハウをお客様・社会へ発信 ………… 34
取引先様とともに
公正な取引の実施/サプライチェーンマネジメント ……… 35
株主・投資家様とともに
資金調達/信用格付/株主資本 ……………………………… 37
配当政策/社会的責任投資(SRI)
/コミュニケーション … 38
地域社会とともに
地域とのコミュニケーション ……………………………… 39
社会貢献活動 ………………………………………………… 40
グローバルプログラム ……………………………………… 41
ローカルプログラム ………………………………………… 43
財団活動 ……………………………………………………… 44
従業員とともに
人材の雇用 …………………………………………………… 45
職場環境 ……………………………………………………… 46
働きがいの重視/健全な労使関係の構築 …………………… 47
安全な職場づくり …………………………………………… 48
教育・人事制度 ………………………………………………… 49
従業員の社会活動 …………………………………………… 51
第2章 地球環境のために
味の素グループ環境基本方針/
環境ビジョン「味の素グループ・ゼロエミッション」……… 53
目標と実績 …………………………………………………… 55
マテリアルバランス ………………………………………… 57
環境マネジメント …………………………………………… 59
環境マネジメントシステム(EMS)………………… 59
環境監査 ………………………………………………… 60
環境アセスメント/
環境事故、法令違反、苦情の状況 …………………… 61
環境教育/環境リスクへの対応/グリーン調達 ……… 62
環境パフォーマンス ………………………………………… 63
地球温暖化防止に向けて ……………………………… 63
排水負荷削減 …………………………………………… 64
廃棄物削減/容器包装への取り組み ………………… 65
化学物質の管理/土壌汚染への対策 ………………… 66
モーダルシフト/物流におけるその他の取り組み … 67
生物多様性/オフィスにおける取り組み …………… 68
環境コミュニケーション …………………………………… 69
2005年9月
(次回発行:2006年8月、前回発行:2004年10月)
第三者意見を受けて ………………………………………… 70
味の素グループ CSRレポート2005
2
トップコミットメント
CSRは味の素グループの
企業経営そのもの。
「信頼」を獲得して、
事業を発展させたい
味の素株式会社 代表取締役社長 最高経営責任者
山口 範雄
CSRを推進し
社会から信頼される企業グループをめざす
なアミノ酸技術を健康・医療事業などに活用することを
明らかにしたいと考えています。ビジョンは、事業運
CSRとは、企業の「責任」と捉えることもできます
営と別々にある話ではなく、事業そのものがビジョン
が、私どもはより広く「信頼」の問題であると考えてい
につながり、重なっていくのが理想です。こうした活
ます。言い換えれば、CSRとは企業経営そのもので
動を、すべてのステークホルダーと正直・公平・オープ
あるといえるのではないでしょうか。
ンな関係を保ちながら続けることにより、社会から信
社会的な取り組みを「責任」という義務感だけで行っ
頼される企業グループをめざしています。
ても、長続きするものではありません。企業の信頼に
つながるような広い概念として考えることによって、
事業的側面においては、生活に役立つ商品やサービス
を展開することで「信頼」を獲得し、お客様から評価を
食の「安全・安心」の問題は、食品産業にとって大き
頂く。その結果として事業も発展していく。こうした
なテーマです。CSRの観点から考えれば、「安全」は
循環こそがCSR活動であり、CSRと企業経営がつな
責任の問題であり、「安心」は信頼の問題といえます。
がることが理想です。
現在、社内ではワークショップの手法をとりながら、
3
食の「安全」と「安心」
味の素グループが果たすべき社会的役割
まず「安全」の問題についていえば、製品の開発・生
産・物流・販売の全工程の品質保証が第一にあげられ
「2020年の味の素グループの未来像」をテーマにCS
ます。味の素グループは、万が一何かトラブルが起こ
Rビジョンを策定中です。その中では、持続可能な農
ったときには、お客様の安全・安心を第一に考えます。
水畜産業などの食生産現場の支援とともに、地球環境
さらにもう一歩踏み込み中長期的に考えれば、供給不
への負荷の徹底的な削減、食に関する教育や地域文化
安にならないよう常に量的に商品を確保することも大
の保全、多様な生活文化の応援などに力を入れ、高度
切なことです。また最近は天災などもかなり大きなリ
味の素グループ CSRレポート2005
スクだと考えられますが、味の素グループは、ハード
客様が直接手に取る商品と、そのパッケージが最大の
面では建造物を免震構造にしたり、ソフト面では情報
メディアだと考えています。特にパッケージは購入さ
システムを整備し、事業の継続性の観点から防災訓練
れた方に必ずついていくものですから、これを有効に
を見直し、データの管理についてもお客様に迷惑がか
活用して伝えたいメッセージを盛り込むことは最大の
かることのないよう対策を講じています。
コミュニケーション手段だと考えます。これらを介し、
一方、「安心」の問題についていえば、これは「心」の
問題であり、文化的基盤と深くかかわるものです。し
たがって各地域の食文化を深く理解して事業を進めて
いくことが必要です。
お客様からのフィードバックを頂くことで、相互の対
話を積極的に図っていきます。
従業員も重要なステークホルダーであり、当社でC
SRを推進するための大切な要素です。企業は、一人
事業がすべての人の健康づくりにつながるかどうか
ひとりの従業員がさまざまな価値観をもっていること
も重要な視点です。私どもは、アミノ酸を基盤とした
を前提として、働き方にたくさんの選択肢を用意する
医薬品や医療と連動した食品の開発を行っています。
ことが求められていると思います。そこで当社は、「多
「栄養」を、疾病の治療から予後まで総合的に管理する
様性」をキーワードに単線型ではない複線型の人事制度
ことにより、一人ひとりの健康と充実した人生をサポ
を導入し、従業員がそれぞれの価値観や生活環境に合
ートする考え方であるTNC(トータル・ニュートリシ
わせた働き方や休暇制度などを選択できるようにして
ョン・ケア)を、日本に浸透させていきたいと思います。
います。
人体全体の免疫力を上げていって、病気になりにくく
家庭の食を事業の重要な柱の1つとする当社には、
するための医薬という考え方が、我々の医薬事業のベ
女性の活躍の場が多くあります。これからは、基幹職な
ースになっています。
どでも多くの女性に活躍して頂きたいと思っています。
「味の素グループ・ゼロエミッション」
∼持続可能性を追求する
味の素グループでは、法規制よりも厳しい目標を定
めた「味の素グループ・ゼロエミッション」を策定し、そ
れに基づき環境負荷の低減を進めています。商品生産
においては、エネルギーを使用、CO2 を排出、発酵工
程では多量の水を使用していますが、将来的にはこれ
らの事業活動から発生する環境負荷を極小化したいと
考えています。いくつかの工場では、発酵関連生産部
門からの副生物を、うま味調味料「味の素」の原料とな
るサトウキビ畑の肥料に還元しています。こうした「バ
イオサイクル」をまわしていくことは、地域の持続可能
な農業の振興にもなり、循環型社会への貢献にもつな
がります。
ステークホルダーとのコミュニケーション
私どもは、さまざまなステークホルダーと対話をし
たいと考えています。対話の手段として、私たちはお
味の素グループ CSRレポート2005
4
トップコミットメント
-dvance10の基本戦略として
CSRの組織を整備し、具体的な活動を展開
今年は、2010年度までの新しい中長期経営計画
-dvance10の1年目です。基本戦略の1つとして
「CSR経営」を掲げ、2005年4月にはCSR推進本部
も新設しました。味の素グループは分社・カンパニー制
を導入しており、それぞれの事業分野が自立して外に
向かって広がっています。同時に、グループ会社とし
て共有すべき考え方も多いため、グループ全体でCS
Rを共有化し、浸透させていくことは、グループ各社
の求心力を高めるために非常に重要です。
グローバル企業として持続可能な循環型社会へ向け
て取り組みながら、100年後も皆様から信頼される企
業であるために、これからも努力を続けてまいります。
代表取締役社長 最高経営責任者
-dvance10 ∼次の百年の礎を築く∼
創造経営
経営目標
創業100周年を迎えるにあたり、次の100年に向け、更なる
革新技術で、
“食”と“アミノ酸”における新しい価値を提案する
成長の持続と収益構造の改善により、企業価値向上を図る。
●独創的な健康栄養素材の開発および事業化の推進
●ブレークスルー技術の早期確立に向けた研究開発資源の集中投入
数値目標
売上高
2004年度
2007年度
2010年度
10,730億円
12,500億円
15,000億円
709億円
1,000億円
1,500億円
営業利益
営業利益率
7%
8%以上
10%以上
グループ経営
グループ人材を育成・登用し、企業文化の共有化を図る
●グローバル・グループ経営を担う人材の確保・育成
●グループ経営強化視点でのグループ人材の活性化と積極的活用
基本戦略
CSR経営
グローバル経営
世界で尊敬される“企業市民”となる
コア事業に経営資源を集中し、世界市場で成長を加速させる
●CSR推進本部の設置による全社課題の取り組み強化
●食品事業の国内外一体運営による成長力・競争力の強化
●安全・安心の確保に向けた世界トップレベルの品質保証体制の
●革新的コストダウン
構築
●中国事業の早期基盤確立
●「味の素グループ・ゼロエミッション」計画の策定と着実な推進
●IT活用によるグループの経営の統合と効率化の推進
●グローバル食品企業としての社会貢献活動の継続
●信頼のブランド
ション活動の推進
5
味の素グループ CSRレポート2005
の確立に向けたコミュニケー
コーポレートガバナンス
Ajinomoto Group Principles
味 の 素 グ ル ー プ は 、 グ ル ー プ 全 体 で 共 有 す べ き 理 念、 価 値 観 、 指 針 と し て 、
「Ajinomoto Group Principles:グループ理念、グループ経営基本方針、グループ
行動規範」を2000年4月に制定しました。
味の素グループ理念
私たちは、地球的な視野にたち、
“食”
と
“健康”
、
そして明日のよりよい生活に貢献します。
味の素グループ行動規範
1. 安全で高品質な商品、サービスの提供
1-1 安全で高品質な商品、サービスの提供
2. 公正、自由な取引
2-1 公正、自由な競争
2-2 政治、行政との健全な関係
2-3 公正な購買取引
2-4 適正な交際・儀礼
味の素グループ経営基本方針
事業目標
食関連事業、アミノ酸を中心としたファインケミ
カル事業・医薬品事業を経営の柱として、地球上の
人々に貢献する世界企業をめざします。
事業姿勢
つねに“お客様第一”を心がけ、豊かな創造性と
3. 社会とのコミュニケーション
3-1 情報入手とタイムリーな情報公開
4. 情報管理
4-1 情報管理
5. 環境保全、省資源、省エネルギーへの取組み
5-1 環境保全、省資源、省エネルギーへの取組み
6. 社会貢献
6-1 社会貢献
すぐれた技術により、安全で高品質な商品・サービ
スを提供します。
7. 働きやすい職場環境
経営姿勢
7-1 人権尊重
7-2 快適で安全な職場作り
お客様、株主、地域社会、取引先、社員等全ての
7-3 主体性・創造性の発揮
利害関係者を尊重し、簡明・迅速な意思決定と公正
で透明性の高い経営を行うとともに、株主への適
正な利潤の還元と永続的な企業価値の増大を図り
ます。
社会的役割
良き企業市民として責任を自覚し、社会との調和
をはかり、その発展に貢献します。
企業風土
8. 株主・投資家への責任
8-1 適切な情報開示
8-2 インサイダー取引の禁止
8-3 特定株主への利益供与の禁止
9. 社員個人と会社との関係
9-1 本人(家族・親族)と会社との関係
9-2 社外活動
10.国際通商
一人ひとりが、自らを高め、創造的で自由闊達な、
10-1 知的財産権の取り扱い
活力ある集団をめざします。
10-2 輸出入管理法令の遵守
味の素グループ CSRレポート2005
6
コーポレートガバナンス
味の素
(株)
は、経営の公正さ・透明性を確保し、企業
■監査体制
としての健全で永続的な発展と競争力の強化、ステー
監査体制をより充実させるため、2004年度に社外
クホルダーに対する社会的責任(CSR)の観点から、
監査役を3名に増員しました。これにより監査役監査は、
コーポレートガバナンスの強化・充実を経営の最優先課
3名の常勤監査役(うち1名が社外監査役)と2名の監
題と位置づけています。内外の事例を教訓として踏ま
査役(いずれも社外監査役)によって実施しています。
えつつ、日本型経営の良い側面を残しました。実効性
内部統制システムおよびリスク管理体制としては、
のある執行とその監督の体制をつくり上げるとともに、
業務の健全性維持のため、監査部が味の素(株)をはじ
グループ経営全般にわたる企業価値の向上をめざし
め関係会社の監査を行っています。監査結果は直接最
ます。
高経営責任者に報告され、監査役に対しても年4回の
報告会が行われます。
■執行と監督の分離
執行の監督は、取締役会が業務を掌握した上で行う
を図るため「企業行動委員会」を1997年に設置し、遵
ことが適切と判断し、原則として社内取締役が執行役
法性はもちろん、良き企業市民としての倫理性の観点
員を兼任していますが、さらなるコーポレートガバナ
からも活動しています。
ンスの強化を図るため、2005年6月には取締役会の
さらに、企業を取り巻く危険やリスクに迅速かつ的
議長は取締役会長に、経営会議の議長は最高経営責任
確に対処するため、「リスクマネジメント委員会」を
者(取締役社長)に分任しました。
2002年に設け、トップに直ちに情報が伝わる仕組み
執行の監督を効果的に実施するため、社外取締役に
を構築しています。万が一リスクが発生した場合はト
加え、取締役会長他1名を執行役員を兼務しない取締
ップ自ら陣頭指揮をとって問題解決に当たる体制を整
役としました。
えています。
■諮問委員会の改組と社外取締役
2005年6月、役員の人事・処遇にかかわる運営の透
明性を高め、経営機構のいっそうの活性化を進める目
的から、これまで社長の諮問機関であった役員等指名
諮問委員会と役員等報酬諮問委員会の委員に社外取締
役を加え、取締役会の下部機関として改組しました。
7
また、国内外の企業活動におけるコンプライアンス
味の素グループ CSRレポート2005
株 主 総 会
経 営 ・ 監 督
取 締 役 会
役員等指名
諮問委員会
取締役会長
監査役会
社内監査役
役員等報酬
諮問委員会
社内取締役
社外監査役
取 締 役 会
最高意思決定機関
業務執行の監督
社外取締役
経 営 会 議
業 務 執 行
最高経営責任者(=取締役社長)
経 営 会 議
経営に関する
基本方針の決定
副社長執行役員*
リスクマネジメント
専務執行役員*
委員会
重要な事項の決定
常務執行役員*
企業行動委員会
執 行 役 員
業務の執行
※2
※1
提携事業
分 社
カンパニー
執行役員
関係会社
関係会社
関係会社
監査部
企業行動委員会
コーポレート
執行役員
関係会社
リスクマネジメント
委員会
内 部 統 制
・
リ ス ク 管 理
*取締役兼任者
※1 味の素冷凍食品(株)、味の素ベーカリー(株)
※2 味の素ゼネラルフーヅ(株)、カルピス(株)、カルピス味の素ダノン(株)、
(株)J-オイルミルズ
企業行動委員会
業員からの「行動規範」上の改善要望の受付などを行う、匿名連絡
味の素
(株)
は、企業倫理を確立し、公正・公平・透明・簡素な経営
も可能な社内ホットラインを設けています。発信者がプライバシ
を実践するために、「行動規範」を制定するとともに、企業行動委
ー保護などで不利益を被らない運用を図りつつ、今後は外部窓口
員会を1997年に設置しています。
の設置も検討しています。
「行動規範」の全従業員への周知徹底や関連テーマへの対応を行
っていますが、その中の具体的な活動の1つに、規範職場検討会
があります。委員と各職場の代表者が毎年直接対話を行うもので、
1998年から延べ約4,500名の味の素
(株)
従業員と対話し、その
意見を委員会活動に活かしています。2004年度は、グループ会
社においても同様の取り組みを開始しました。また、グループ従
2005年度の企業行動委員会活動重要取り組みテーマ
①遵法対応の徹底(個人情報保護法・改正独占禁止法・労働基準法・
著作権法など)
②企業倫理活動強化月間(10月)のグループ展開強化(ポスター
配布・アンケート調査実施・規範職場検討会実施など)
③リスクマネジメント&コンプライアンス研修の実施
味の素グループ CSRレポート2005
8
事業紹介
味の素グループの事業領域
“食”と“健康”に貢献するさまざまな事業をグローバルに展開しています。
●調味料
・「味の素」
・「ほんだし」
・「Cook Do」
・「味の素kkコンソメ」 ・外食用調味料/加工用調味料
・「AJI-NO-MOTO」
・「ROSDEE」
・
「Masako」
´
・
「Sazon」
食
品
事
●食品
業
・「クノール カップスープ」
・「ピュアセレクト サラリア」
・「味の素kkアジアめん」
(
・「VONO」
・「味
・「yumyum」
」
・
「ケロッグ コーンフレーク」
主
な
製
品
)
●冷凍食品・ベーカリー
●油脂
・「ギョーザ」・「Gyoza」
・「AJINOMOTO
・冷凍パン生地
健康サララ」
●ギフト
●飲料・乳製品
・「MAXIM」
・「カルピス」
・「Birdy」
・「CALPICO」
・「プチダノン」
●飼料
●甘味料
・飼料用アミノ酸
・「パルスイート」・「Refresco MID」・アスパルテーム
ア
ミ
ノ
酸
事
●栄養食品
業
・「カルバイタル」
・「アミノバイタル」
(
●香粧品・化成品
主
な
製
品
・「JINO」
●医薬用・食品用アミノ酸
・アミノ酸
)
・「ASF培地」シリーズ
・ラベルアミノ酸
●医薬中間体
(
医
薬
事
業
)
主
な
製
品
9
●医薬品・医療用食品
・「リーバクト顆粒」
そ
・「ファスティック」
・エンジニア ・物流 ・包装 ・サービス
・「エレンタール」
・「メディエフ」
味の素グループ CSRレポート2005
の
他
事
業
アミノ酸を中心に広がるグローバル企業へ
アミノ酸とは?
アミノ酸の製造方法
1909年、味の素(株)は世界で初めて、アミノ酸の
アミノ酸の製造方法には、発酵法・酵素法・抽出法・
一種であるグルタミン酸をナトリウム塩に加工した独
合成法があります。グルタミン酸が世界で初めて工業
創的なうま味調味料「味の素」を発売しました。
生産された当初は、小麦や大豆のタンパク質を分解し
アミノ酸は自然界に約500種類ありますが、このう
て得る抽出法が主流でしたが、1960年代に発酵法に
ちのわずか20種の組み合わせで、私たちの体に必要
切り替わりました。現在ではほとんどのアミノ酸が発
な約10万種類のタンパク質がつくられます。この20
酵法でつくられています。
種のアミノ酸には、体内で合成できるもの(非必須ア
ミノ酸)と体内で合成できないもの(必須アミノ酸)が
広がるアミノ酸の領域
ありますが、どちらも生命活動になくてはならないも
のです。
こうしてアミノ酸の研究を推進し、事業を多様化す
る一方で、積極的な提携や企業買収を通じて、スープ、
アミノ酸は生命の源であり、人間に欠かせない栄養
マヨネーズ、冷凍食品、飲料などの食品分野の裾野を
成分であると同時に、多くの特性と生理機能をもって
拡張してきました。そして現在、23 の国と地域に
います。調味料という食の領域から始まった味の素
ネットワークをもつグローバル企業に成長しています。
(株)は、アミノ酸の可能性を探求し、その知見や技術
アミノ酸の利用領域は今後ますます広がっていくと
をベースに事業分野を広げてきました。
予想されます。これからも、独創的な研究開発を進め、
世界規模の視野をもち、
“食”と“健康”と明日のより良
い生活に貢献していきます。
豆知識
うま味調味料「味の素」のパッケージに込めたメッセージ
味の素グループの象徴ともいえるうま味調味料「味の素」には、缶や瓶などさまざまな容器形態があります。
その時代の背景や、主に使用した原料、そして主成分であるグルタミン酸を含む農産物をパッケージデザインに
反映させてきました。
ここでは代表的なパッケージをいくつか紹介します。
<明治42年>
<昭和16年>
<昭和55年>
<昭和58年>
発売当時は既製のくすり瓶や化粧品
第二次世界大戦中、物資不足のため
「うま味」のもとであるグルタミン酸
前年より「麦からビール、サトウキ
の瓶を利用していました。ラベルに
ブリキ缶に代わりボール紙缶を使用
を多く含んでいる野菜のイラストを
ビから味の素」のキャッチフレーズ
は当時の原料、小麦の穂をデザイン
していました。
四隅にデザインしました。
で原料訴求広告を展開しました。原
し、今につながる赤色が用いられて
料にあわせてサトウキビをデザイン
います。
しました。
味の素グループ CSRレポート2005
10
特集①
循環型社会への挑戦
味の素グループでは、持続可能な社会の実現をめざし、
食料を生産する農業・水産業・畜産業を技術や制度で支援したり、
食品を無駄なく使用することに高い技術とリーダーシップを発揮するなどの、
循環型社会へ向けた活動を進めています。
「食」への貢献
私たちが毎日暮らしていくのに欠かせないもの、それが「食」です。
しかし、食糧不足に悩む地域は今でも世界に多くあり、これからさら
に地球人口が増加し、地球温暖化にともなう異常気象の増加も予想
されるなど、食をめぐる状況が近い将来ひっ迫すると予測されます。
私たちはそのような状況でも、お客様に安全でおいしい食をお届けすることが、「食」
にかかわる味の素グループの使命と考えています。食資源を安定的に確保するための一
つの方策として、味の素グループでは循環型社会へ向けた取り組みを行っています。味
の素グループが培ってきた技術や知識を活用し、自然のサイクルを最大限にいかした、
生態系に負担をかけない農業や水産業の実現をめざします。
13
味の素グループ CSRレポート2005
うま味調味料「味の素」をつくっている地域とその主な原料
味の素グループは、世界の各地域でおいしい食の生産と
うま味調味料「味の素」はサトウキビなどの糖分を原料に、
原料調達にかかわっています。うま味調味料「味の素」をつ
微生物が栄養源をさまざまな生体成分に変換するという仕
くっている主な原材料はサトウキビですが、それ以外にも
組みを利用した、発酵法で生産されています。
世界各地で自然の恵みを享受しています。
ビート
コーン
キャッサバ
サトウキビ
サトウキビ
サトウキビ
キャッサバ
コーン
ビート
味の素グループは海外への事業展開の基本コンセプトと
して、「各地域の生活や文化に根ざして事業を進める」こと
を大切にしています。また、今後の気候変動や生態系の影
サステナブル農法
味の素冷凍食品(株)では2004年11月より、米国オレ
響を踏まえ、原材料を持続的に確保することも重要である
ゴン州の指定農場で「サステナブル農法」により収穫したブ
と認識しています。
ルーベリーを日本国内で発売しています。サステナブル農
地域の方たちに喜ばれる企業であるために、地域の経済
的発展や食生活の向上への貢献、持続可能な食への貢献な
どを中心に、各地域の暮らしに根ざした事業展開を心掛け
ています。
地域で生産される原料素材の使用や、特徴ある商品開発
だけでなく、各地域ごとの自然特性を踏まえた資源活用や、
法とは、残留農薬のない農地を選定し、有機肥料、有機農
薬を中心とする安全な農薬・肥料を最低限の量使用するこ
とで、土壌を汚染しない管理を行う農法のこと。環境や人
体への影響に配慮しながら、安心できる農産物を永続的に
提供できる肥沃な土壌が維持されます。
「安心」はもちろんのこと、農地の環境にいっそう配慮し
ているのが、この農法の特徴です。
副生物の有効利用などの
“資源循環”にも取り組み、より広
く、より深く、各地域の発展に貢献しようと努力していま
す。商品そのものの魅力はもとより、こうした考え方に基
づく事業活動を通じて、私たちの商品が世界の人々により
いっそう愛され、親しまれることをめざします。
味の素グループ CSRレポート2005
12
特集①
循環型社会への挑戦
バイオサイクル
味の素グループのアミノ酸発酵生産は“資源循環型”生産のモデルともいえるものです。
発酵生産工程からは、液体や固体のさまざまな副生物が生じます。味の素グループではこ
れらの副生物を肥料などとして、発酵原料を供給してくれる農業分野などへ還元していま
す。この仕組みを
“バイオサイクル”
と呼び、世界各地で20年以上にわたり展開を続けた
結果、発酵関連工程から生じる副生物の資源化率は99%に達しています。
発酵副生物の約9割は、液体有機質肥料としてサトウキビなどの作物栽培に利用される
ため、化学肥料使用量の削減になり、バイオサイクルはCO2 排出抑制にも大きく貢献しま
す。各種の発酵副生物はその成分や性状に応じて加工され、農作物の特性やニーズに合わ
せてさまざまに用途開発されています。有機態窒素やミネラル、有効成分を豊富に含むの
で、作物や土壌微生物に有用であることが分かってきています。
太陽
化学肥料製造時にともなう
排出CO 2の削減に貢献
化学肥料
光合成によって
大気中のCO2を吸収
50万ha
サトウキビ畑50万haに
必要な化学肥料(窒素分)
の70%をカバー
有機質肥料 160万t
2,800万t
サトウキビ畑
収穫
副生物の
資源化
“資源循環型”
生産工程
サトウキビ
3,800万t
副生物
160万t
製品
「味の素」工場
製糖工場
粗糖
420万t
うま味調味料「味の素」
糖蜜
(サトウキビのしぼり汁)
50万t
150万t
アミノ酸発酵とアグロビジネス・地域社会の永続的発展モデルをめざします
味の素グループの発酵副生物発生量は製品量の約2倍あり、バイオサイクルで循環、
有機質肥料として販売されます。科学的知見の蓄積や、農家との対話にも力を注ぎ、
主製品のアミノ酸と同じ誇りを込めて、液肥や固肥を私たちは
“副製品
(co-product)
”
と呼びます。
さらに、アミノ酸発酵とアグロビジネスの永続的発展を環境保全・コスト競争力追求
の面で支え、地域社会への貢献をめざしています。タイで2001年に設立した専門子
会社FDグリーン社は、タイにおけるトップクラスの有機系肥料メーカーとなってい
ます。味の素グループは、今後も技術開発や地域に根ざした活動を通じ、
“アミノ酸発
酵まるごと製品化”を追求します。
13
味の素グループ CSRレポート2005
この図は味の素グループが
1年間に世界各地で生産す
る「味の素」約50万トンす
べてを、サトウキビを原料
としたと仮定して表したモ
デルです。サトウキビ栽培
ならびに製糖産業にかかわ
る数値は世界の標準的な数
値を用い、「味の素」生産に
関する数値は味の素グルー
プの実績に基づきます。
飼料用アミノ酸による環境負荷の低減
アミノ酸は、私たち人間にとって必須の栄養
素であり、輸液・医薬・化粧品など、生活のさま
豚における窒素代謝
空気汚染
(慣用飼料中のタンパク質窒素を100とした場合)
ざまな場面で利用されています。また、一般の
方にはあまり知られていませんが、飼料への利
100
慣用飼料
用も行われています。
たとえば、アミノ酸のバランスを整えた植物
性タンパク質を畜産動物に与えることで、良質
蓄積
39
飼料用アミノ酸
の使用
アミノ酸補充
低タンパク飼料
アンモニア
排出
61
排泄
28%削減
83
44
排泄
土壌/地下水/
河川や湖沼へ
な畜産物(肉、卵、乳)を供給することができま
す。食糧問題の改善とともに、環境負荷の低減
にもつながっています。
穀物中の必須アミノ酸要求量に対する充足率
リジン
バリン
ロイシン
37 53
コーン
イソロイシン
トリプトファン
81
スレオニン
メチオニン+シスチン
フェニルアラニン+チロシン
バリン
ロイシン
イソロイシン
リジン
41 83 トリプトファン
小 麦
71
スレオニン
メチオニン+シスチン
飼料中のタンパク質は豚の体内で消化・吸収されますが、
慣用飼料の場合、そのうち6∼7割は排泄物として体外に
放出され、過剰な窒素排出が土壌・水・大気の汚染の遠因
となります。飼料用アミノ酸の補充により、飼料中のア
ミノ酸バランスが改善され、窒素排出を削減できます。
水質汚染
一般的配合飼料を与えられた豚の場合、飼料中のタンパク質の約
3分の2は排泄物として体外に放出され、その排泄物の処理が不十分
な場合は、土壌汚染などの遠因となります。一般的に使われる、コ
ーンや小麦などの飼料原料(左図参照)はリジンが少なく、動物によ
って利用されるアミノ酸の量がリジンの供給量で制限されてしまい
ます。リジンより含有量の多い他のアミノ酸は有効に利用されず分
解され、その過程で尿素態窒素が生じ、体外に排泄されます。過剰
な窒素排出は、天然の飼料原料に含まれるアミノ酸のアンバランス
によって引き起こされているのです。窒素排泄物による環境負荷を
抑えることは、畜産業の大きな関心事となっています。
フェニルアラニン+チロシン
飼料用アミノ酸による窒素排泄量低減効果
オニンに代表される飼料用アミノ酸で補充する
ことにより、アミノ酸バランスが改善され、飼
(g/d)
60
50
改善
20
総窒素排出量は25∼50%、畜舎からのアンモ
10
0
ニア揮散量は最大50%削減することが可能と
なります。
(ppm)
2,500
改善
120
2,000
100
30
により、家畜の成長や生産性を落とすことなく、
鶏
(ppm)
140
40
料の低タンパク化を図ることができます。これ
鶏舎の床に排泄される糞尿中の窒素量
およびアンモニア揮散量
豚
糞尿中に排出される窒素量
飼料中に不足するアミノ酸を、リジンやスレ
80
1,500
60
1,000
40
500
20
0
15%
11%
慣用飼料
アミノ酸補充低タンパク飼料
飼料タンパク含有量
22.5%
慣用飼料
20%
17.5%
0
アミノ酸補充低タンパク飼料
飼料タンパク含有量
・ 棒グラフ:糞尿中窒素量 ・ 折れ線グラフ:環境中に排出されるアンモニアガス
※低タンパク肥料には、リジン、スレオニンなどのアミノ酸を添加
味の素グループ CSRレポート2005
14
特集②
アミノ酸で実現する豊かで質の高い生活
健康とは、一人ひとりが生き生きと前向きな姿勢で毎日を過ごすことだと
味の素グループは考えます。
最先端のアミノ酸技術を用いて、健康な人も病気の人も区別なく、
個人の可能性を最大限にいかすことのできる、質の高い生活の実現を応援します。
すべてのライフステージでQOLを高めるために
QOLという言葉を聞いたことがあるでしょうか? QOLとはクオリティ・
オブ・ライフの略で、「生活の質」あるいは「人生の質」と訳されます。このQOL
を高めることこそ、味の素グループの求める健康です。なぜなら「健康」とは、
単に病気でないことではなく、何ごとに対しても前向きの姿勢で取り組める
ような、精神および身体の状態だと考えるからです※。
さまざまなライフステージや、さまざまな環境において、一人ひとりが積極
的に人生を楽しめるようにすることを、味の素グループは卓越したアミノ酸
技術で応援します。
※WHOの定義:Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the
absence of disease or infirmity. 完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病
又は病弱の存在しないことではない。(日本語訳:厚生労働省ホームページより)
健康寿命80へ向けて
健康寿命とは、人間の一生の中で、元気で活動的に暮らす
ことができる期間のことを示す概念です。日本人の平均寿命
は男性78.6歳、女性85.6歳といずれも世界でトップクラ
スですが、健康寿命はそれぞれ71.4歳、75.8歳であり、平
均寿命よりいずれも短くなっています。すべてのライフステー
ジにおいてQOLを上げるという意味からも、単に平均寿命だ
けではなく健康寿命を延ばし、平均寿命に近づけることが求
められています。
これは一人ひとりの幸せという意味からはもちろん、家族の負担や医療費負担を減
らすという点で、社会全体へも大きなメリットがあります。2005年に内閣府が発表
した「日本21世紀ビジョン」では、2030年の健康寿命の政府目標は80歳です。健康
寿命80歳達成に向けて、味の素グループはアミノ酸技術を活用した医療でQOLを高
めるなど、健康分野での取り組みを行っています。
15
味の素グループ CSRレポート2005
TNC(トータル・ニュートリション・ケア)の推進
TNCとは、生活・医療における「栄養」
を総合的にマネジメン
トしながら、健康や充実した人生のサポートをする活動で、
「治
入院期間短縮
療から予後までの患者様のトータル栄養管理」を意味します。現
QOL向上
在医療現場では、院内での栄養管理レベルを向上させる取り組
在宅推進
早期社会復帰
みが広がりつつあり、専門的な栄養管理チーム
(NST*)
の設立が
全国の医療機関で急増しています。患者様とそのご家族のQOL
向上に貢献するため、味の素グループではアミノ酸技術を用い
て、TNCに必要な情報や医薬品、医療食の提供に積極的に取り
環境変化
組んでいます。
*NST:Nutrition Support Team
医師、看護士、栄養士、薬剤師などで構成される専門的な栄養管理チームのこと。
癌
クローン病
寝たきり老人
糖尿病
手術
肝障害
脳梗塞後遺症
トータル・
ニュートリション・ケア
栄養
リジン強化プロジェクト
世界では約8億人が慢性的な栄養不足状態にあり、約2億人の子どもがエ
ネルギー・タンパク質不足であるといわれています。これは、発育不良はもち
ろん、免疫力の低下や無気力にもつながる重大な問題です。
小麦粉にはリジンなどの必須アミノ酸が不足していますが、リジンを補う
ことで摂取タンパク質の体内における有効利用率が改善されます。味の素
(株)は、タンパク源のほとんどを小麦粉に依存しているパキスタンや中国・
シリアにおいて、リジン強化による栄養改善プロジェクトを、国連大学など
と共同で実施しました。
味の素グループ CSRレポート2005
16
特集②
アミノ酸で実現する豊かで質の高い生活
健康への貢献
健康とは、単に病気にかかっていない状態を表すものではありません。肉体的
アミノ酸
20%
その他
20%
水
60%
にも精神的にも充実しているためには、身体に十分な栄養素が供給され、また身
体機能が作用していることが重要です。アミノ酸は三大栄養素のタンパク質を構
成するだけでなく、生体内でさまざまな機能をもつことから、私たちの健康状態
を維持するために重要な物質です。その機能の詳細が明らかになるにつれ、食を
通じて私たちの健康づくりに大きく貢献できることがわかってきました。
アミノ酸“グリシン”による睡眠の質の向上
ヒトの睡眠には「夜間に脳と身体に十分な休息をもたらし、日中に最大
のパフォーマンスを発揮させる」という目的があります。味の素(株)は、
アミノ酸の1つであるグリシンの研究の結果、就寝前のグリシン摂取によ
って、睡眠に問題を感じている人の「すっきり起床できない」
「日中眠い」
といった状態が改善されることを発見しました。医療機関と実施した脳波
試験でも、就寝前にグリシンを摂取したときには自然な深い眠りへすみや
かに移行することを確認、グリシンが「睡眠の質」を改善することを明ら
かにしました。
研究開発ページ内「睡眠の質」を高めるアミノ酸“グリシン”
アミノ酸“グリシン”は、私たちが本来持っている「健康に生きる力」を
URL http://www.ajinomoto.co.jp/kenkyu/
強化することで、健康をサポートし、いきいきとした毎日を応援します。
アミノ酸の「味」を活用した健康への貢献
内臓脂肪型肥満によって、さまざまな生活習慣病が引き起こされやすくなった状態をメタボリックシン
ドロームと呼びます。原因は、高カロリー・高脂肪の食事と運動不足なので、規則正しい食事と、適切な
カロリー摂取、適度な運動が最大の予防法です。
アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸からできているアスパルテームは、砂糖によ
く似た自然な味質と砂糖の200倍の甘味度を持ち、上手にカロリーコントロールができる甘味料です。食
生活の多様化を背景に、メタボリックシンドロームの改善をはじめ、健康で豊かな食生活に貢献していき
ます。
辛くないトウガラシの機能成分「カプシエイト」
トウガラシの辛味成分、カプサイシンは、脂肪を燃焼させるという機能を持つ
ことが知られています。味の素
(株)
では、カプサイシンと同様の機能を持ちなが
ら、辛味が極めて弱く、消化器への刺激性も弱い成分「カプシエイト」を含む、辛
くないトウガラシの研究を進めています。この辛くないトウガラシを摂取するこ
とにより体重が減少することが、すでにヒトによる臨床実験で確かめられていま
す。この
「カプシエイト」
を応用することにより、メタボリックシンドロームなど
に効果のある、植物由来の安全な食品の開発が期待されています。
17
味の素グループ CSRレポート2005
医療への貢献
医薬事業の重点分野
手術前後の栄養補給を目的とするアミノ酸輸液
輸液栄養透析
(国内主体からグローバルへ )
をはじめ、特定のアミノ酸やその組み合わせが健
康促進や疾病の治療に効果があるなど、アミノ酸
技術はさまざまな医療分野に応用できます。また
消化器病
最近では、健康状態のチェックや疾病の診断のた
(国内&グローバル)
めにも、アミノ酸分析技術が活用できることが分
肝疾患・
IBD
(炎症性腸疾患)
領域
生活習慣病
(国内&グローバル)
糖尿病関連を中心に
かってきました。
アミノ酸インフォマティクス
体内、とくに細胞や血液中の遊離アミノ酸の量やバランスを調べたり、そのデータを統計的に分析す
ることで、現在の健康状態等の診断に利用できることが分かってきました。味の素グループの高度なア
ミノ酸分析技術と組み合わせれば、微量の血液サンプルから、短時間に健康状態等を調べられる可能性
があります。患者様に負担をかけない検査法として、今後実用化が期待されます。
アミノ酸の「栄養」を活用
肝臓NAVI
URL http://www.kanzou.net/
肝疾患およびIBD
(炎症性腸疾患)
に関する情
報提供ホームページ「肝臓 NAVI」「IBDNAVI」を公開しています。疾患情報の提供
とともに患者様の食事をサポートするホーム
ページです。食事シミュレーション、献立の
カロリー、気を配らなければいけない栄養成
分などを確認できます。
アミノ酸をベースにした経腸成分栄養剤
「エレンタール」は、もともとNASAの宇宙食
として開発されたものを応用し、日本で初め
て生まれた成分栄養剤です。当初は、手術前
後の栄養管理に使われましたが、その後、窒
素源がアミノ酸であり低脂肪である組成が、
難治性のIBD(炎症性腸疾患)であるクローン
病の栄養治療に有効であることが分かり、現
在はクローン病の第一選択薬として主に使わ
れています。「『エレンタール』に助けられた」
と語る患者様も少なくなく、こうした人たち
のニーズに応え、製品改良を重ねながら社会
IBD-NAVI
に役立ち続けていきます。
URL http://www.ibdnavi.net/
アミノ酸創薬
バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの分岐鎖アミノ酸を配合してつくられている「リーバクト顆
粒」は、食事摂取量が十分なのに血清アルブミン値が低い肝硬変患者様の低アルブミン血症を改善し、疲
れやすさや腹水など、低アルブミン血症による症状の改善を目的とした薬です。最近、「リーバクト顆
粒」の長期投与によって重篤な肝硬変合併症の発症が3分の2に抑制されることが国内の大規模臨床試験
で明らかにされました。
味の素グループ CSRレポート2005
18
特集③
CSRビジョン策定ワークショップ
今から100年後にも、社会から必要とされ、信頼される企業であり続けるため、
味の素グループは地球的な視野にたち、
“食”
と
“健康”そして明日のより良い生活に貢献します。
社会に対して常に正直で公平であり続けるとともに、さまざまなステークホルダーと対話をしながら、
グループ全体でCSRビジョンを実現していきます。
味の素グループのCSRビジョン策定に向けて
ここ数年、CSRについて盛んに議論されています。味の素グループは、
CSRは単なる責任ではなく、社会から信頼を得ることであると認識していま
す。味の素グループはその企業理念にもあるように、地球的な視野から、食
と健康を通じて、お客様の明日のより良い生活に貢献することをめざしてお
り、このことを真摯に追求することが、お客様をはじめとするステークホル
ダー(→P.24)の皆様から信頼を得る道であると考えています。
企業理念を追求し、より具体的な活動とつなげるためには、味の素グループがどのよう
な企業となり、社会にどのように貢献をするかを明確にイメージし、それをCSRビジョ
ンとして社内外に示すことが重要だと考えました。
グループごとに認識された主な課題
ワークショップでは、地球環境も含めて6つのステークホルダーのグループに分かれ、
ステークホルダーの立場から「味の素グループの課題」を洗い出しました。
グループ
お客様
取引先様
投資家・株主様
項目
グループ
項目
安全と安心の実現で永遠に愛される商品の提供
食資源の持続可能な循環型社会の実現
リーデイングカンパニーとしての食育のリード
食文化の保護・普及、人材の育成
多様な消費者に配慮した商品デザイン、パッケージの工夫
食に関する教育、啓発
地域社会
分かりやすい情報開示
企業市民としてのインテグリティ(正直で誠実な行動)
健康で長生きできる食生活の提案
地域への貢献(経済面、雇用面、社会福祉、生活の向上)
取引条件・情報の公開
地域との交流・協働・コミュニケーションの充実
社会的側面も含めた基準による評価の導入
働きがいや自己実現の場の提供
原材料生産地の環境への配慮
公平・公正・透明な評価(納得性の高い人事制度)
購買方針の公開とそれを保証する仕組みの構築
従業員
ワーク&ライフバランス(仕事と生活のバランス)の取れた生活
必要な業界統一基準づくりのリーダーシップ発揮
メンタル面を含めた健康への配慮
業務用ユーザー向け社内システムの完備
良好な職場環境(上司・部下の関係、多様な雇用形態対応、セクハラ防止等)
企業価値向上による株価の上昇努力
適正な給与水準
適切な株価対策の実施
環境情報発信、コミュニケーションの強化
市場・投資家とのコミュニケーションの充実
エコ生活提案
魅力ある配当政策の実施
環境に配慮した商品の改善
環境
リーディングカンパニーとしての責任ある行動
環境修復(積極的に良い環境創造に貢献)
品質保証の徹底
ゼロエミッションの推進
環境改善に向けた責任ある行動
19
味の素グループ CSRレポート2005
CSRビジョン策定ワークショップ
2005年6月、味の素グループの従業員35名に、
向社会性研究所主任研究員の小榑雅章氏と、消費生活
アドバイザーの大石美奈子氏の社外専門家2名に加わ
って頂き、味の素グループのCSRビジョン策定ワーク
ショップを開催しました。
ワークショップでは、まず個人の立場から2020年
の地球環境・世界と日本の社会について、次にステー
クホルダーの立場から「社会から味の素グループが期待
されていること」を「今現在できていること」、「今後行
うべきこと」に分けて検討しました
(→P.19表参照)。
「お客様」や「従業員」など、異なる立場に立ち課題を抽
出し、緊急に取り組む必要があるものから優先順位づ
けを行いました。
現在、味の素グループのCSRビジョンを策定中です。今後、ステークホルダー
ごとの議論をいかしながら、グループとしてのCSRビジョンをつくり上げていき
ます。2005年9月に1度社内意見の取りまとめを行い、企業理念(→P.6)で方
向性を示しながら、ロードマップに落とし込んでいきます。来年のレポートでは、
味の素グループのこれからありたい姿、 あるべき姿を表すCSRビジョンと、ビ
ジョン達成に向けた道筋を示すロードマップを発表する予定です。
CSR ビジョン
2020年
企業理念を実現していく中で、2020 年
には味の素グループがどのような会社になっ
ているのか、そしてそこからはどのよう
な風景
(社会)が広がって見えるのかを文
章
(シナリオ)とイラストで具体的に描き、
社内外で共通認識がもてるようにします。
2015 年
企業理念
コンパスのように、
行先の方向を指し
示します。
ロードマップ
2020年への
道程を示します。
現 在
味の素グループ CSRレポート2005
20
第三者意見
正確性および客観性の向上を目的に、前述の3つの特集に合わせて、3名の専門家に第三者意見を頂きました。
頂いたご意見は、当社の事業に反映させていきます(→P.70)。
循環型社会の視点より
「食」と「農」の関係性、とくに地域単位での「食育」の具
体的な実践、産地と消費者との顔の見える関係性を日
本国内でこれからどのように構築すべきかという視点
アミタ(株)
持続可能経済研究所
も重視していただきたい。経済的繁栄の陰で、食料自
代表 嘉田 良平
給率の低迷、中山間地域の疲弊、国内農業の衰退はと
「食」を通して、企業は循環型社会づくりに向けて
どまることを知らない。日本農業と農山漁村はまさに
何をなすべきか。特集①「循環型社会への挑戦」の中で、
崖っぷち状態にある。味の素グループには、こうした
味の素グループは自然サイクルを最大限に活用しつつ、
国内の農山漁村とのかかわりの中で、CSRの新しい展
「各地域の暮らしに根ざした事業展開を心がける」と高
望あるいは新機軸をぜひ打ち出していただきたいと大
らかに謳っている。これは実に印象的であった。すで
いに期待している。⇒P.11
に多くの企業が、廃棄物の削減や副生物の有効利用と
いう循環型技術を採用しつつあるが、味の素グループ
医療の視点より
ではこれらに加えて、地域社会の持続可能性にこだわ
り、実践するという。まさに、新しい時代の到来を予
感させてくれる。
つまり、食の分野においても、単なるおいしさや品
武藤 泰敏
質の向上というこれまでの消費者ニーズから、より確
味の素(株)CSRレポートの特集ページ「アミノ酸で
かな安全・安心の確立と環境問題への取り組み、とく
実現する豊かで質の高い生活」には、各領域に対して
に循環型社会作りへと時代が大きくシフトしつつある
企業としてなみなみならぬ決意と将来の展望が記され
ことを本レポートは示唆している。
ている。その原点には“アミノ酸”栄養という伝統が
味の素グループの取り組みの中でとくに興味深かっ
脈々として流れているからであろう。一方、この十数
たのは、サステナブル農法の重視、
「ほんだし」のかつ
年の間に栄養学は大きな変貌を遂げつつあることも見
お節をつくる際のかつおの100%食用化、飼料用アミ
逃せない。すなわち、従来の食品栄養学から人間栄養
ノ酸による窒素排出量低減効果などであった。さらに、
学へステップ・アップしており、食品に含まれる栄養
「味の素」製造段階の副生物を資源化し、液肥として原
成分のみをテーマとするのではなく、同時にそれを受
料のサトウキビ畑に還元するという「バイオサイクル」
け入れる人間の側に立って考えていくことが重視され
にも私は注目した。発酵工程で生じる副生物の資源化
てきた。とくに、高齢者には“人間の尊厳”という視点
率は、実に99%に達したというが、これぞ驚異的な高
からの配慮が求められている。
いリサイクル率である。蛇足ながら、2005年レポー
21
岐阜大学名誉教授
私は、アミノ酸創薬とくに「リーバクト顆粒」の開発、
トの表紙「サトウキビの断面写真」は味の素グループの
製造承認、臨床的実証に関わってきたので、この面か
食と環境へのこだわりが強く感じられ、非常に印象的
ら述べてみたい。この経緯は、拙書『続 勉強は定年
だったことも付記しておきたい。
からが面白い』の一章に詳しく記している。第一の関
最後に、今後のCSRへの期待について一言。当然、
門は、BCAAが肝硬変患者の蛋白代謝
(窒素出納)に必
これまで同様に循環型社会づくり、トレーサビリティ、
須であるかを証明することであった。結局、約2,000
食品安全対策、品質向上への取り組みなどは最重要項
を越す試料中の窒素定量をなんの迷いもなく味の素
目として継続して頂きたい。ただし、これに加えて、
(株)
に依頼した。これが「リーバクト顆粒」誕生の起源
味の素グループ CSRレポート2005
となり、当時、世界的な企業という味の素グループの
よいイメージが多大に影響した。
臨床試験は大変手間のかかるものであるが、これこ
そが患者にとって新薬開発の唯一の道である。かつて
医学界では“治験”は蔑視されていたが、次第に医薬品
・「バイオサイクル」や飼料用アミノ酸(P.13-14)、
冷凍食品製造後の廃油をボイラー燃料として使用す
る(P.63)などの取り組みにより、資源の循環や最
大活用に配慮した生産工程をめざしていること。
・「CSRビジョン策定ワークショップ」
(P.19-20)を
開発の迅速化・効率化を図るという趨勢の中で見直さ
開催し、外部専門家と現場レベルの社員が協力し、
れてきた。
ボトムアップでCSR戦略を立案しつつあること。
「リーバクト顆粒」の長期予後試験(LOTUS試験)
・ 社会貢献活動(P.40-44)において、本業である食
は大規模なもので、研究開始から20年にして国際性
と健康をテーマに、各国のニーズに合致したプログ
をもった
「リーバクト顆粒」へと成長したといえよう。
ラムを継続的に展開していること。
目下、高齢者の介護栄養ケアは大きく変貌を遂げよ
うとしている。経口栄養摂取と味覚の保持を重視した
いっそうの努力が求められる点
栄養学、時間栄養学
(おやつ)
からみた筋肉・骨の健康、
・「トップコミットメント」
(P.3-5)
の社会責任の言明
介護予防からみた筋肉トレーニングのためのサプリメ
で、重点的な課題や戦略上の焦点について踏み込ん
ント
(
「アミノバイタル」
:BCAAなど)
の導入、生活習
でいないこと。とくに「安心」や健康づくりについ
慣病からみた認知症(痴呆)の予防・治療などの難問が
ては、それを実現する要素や、拡充するための戦略
山積みで、味の素
(株)
の社会的責任が益々増大しつつ
など、「どんな社会の実現のために、自社がどうい
あるといってよい。それには味の素(株)の「食品」
「ア
う役割を果たすか」を今後は明示して頂きたい。
ミノ酸」
「医薬」の3つの事業が連携し実現することを
・ 巻頭部の3つの特集(P.11-20)は、同社の取り組
大いに期待している。最後に、
「アミノ酸はなお無限の
みを詳しく、かつ分かりやすく表現しているが、そ
可能性を秘めている」といっても過言ではない。その
の3つのトピックが同社の最も重要な取り組み課題
扉を開くには“幸運な偶然serendipity”が必要なのか
と連動していることが望ましい。
もしれない。そのためには、
“平均的な人材”の育成だ
・「CSRビジョン策定ワークショップ」
(P.19-20)
けではなく、
“出る杭”を育てるような風土(環境)を培
において、認識された主な課題として挙げられた項
っていくべきであろう。⇒P.15
目について取り組みを進める上で、時期的・地域的
な優先順位を明確に示すこと。
CSRコミュニケーションの視点より
・「品質監査」
(P.27)
や「労働災害」
(P.48)
など、課
題が明らかになった項目について、具体的な改善プ
ログラムを明示すること。
I
IHOE [人と組織と地球のための国際研究所]
・ ユニバーサルデザインや食品添加物、遺伝子組換え
代表者 川北 秀人
食品に関する取り組み(P.30)について、考え方を
当レポートは、同社のCSRへの取り組みを網羅し
示すだけでなく、たとえば視覚や上肢に障碍を持つ
ており、積極的に報告しようという姿勢が感じられ、
人に配慮したパッケージや、どのような食品添加物
評価できます。
をどういう理由で採択したかという根拠を示したリ
ストなど、具体的な取り組みを示すこと。
高く評価できる点
・「トップコミットメント」
(P.3-5)
において社長自身
が、同社の社会責任の対象となることがらや範囲に
・ 同社の医薬品を常用する難病患者に対する、資金や
社員ボランティアなどの提供を、社会貢献活動の新
たな重点テーマとして検討すること。⇒P.19
ついて、明確に言明していること。
味の素グループ CSRレポート2005
22
第1章
社会のなかで
ステークホルダーとのかかわり
お客様とともに
安全・品質への取り組み
25
トレーサビリティ
27
すべてのお客様が使いやすいデザイン・表示をめざして
29
食品添加物・GMOの活用・表示について
30
お客様とのコミュニケーション
31
お客様情報の保護
33
味の素グループのノウハウをお客様・社会へ発信
34
取引先様とともに
35
公正な取引の実施
35
サプライチェーンマネジメント
35
株主・投資家様とともに
37
資金調達
37
信用格付
37
株主資本
37
配当政策
38
社会的責任投資(SRI)
38
コミュニケーション
38
地域社会とともに
39
地域とのコミュニケーション
39
社会貢献活動
40
グローバルプログラム
41
ローカルプログラム
43
財団活動
44
従業員とともに
23
24
25
45
人材の雇用
45
職場環境
46
働きがいの重視
47
健全な労使関係の構築
47
安全な職場づくり
48
教育・人事制度
49
従業員の社会活動
51
味の素グループ CSRレポート2005
ステークホルダーとのかかわり
お客様
地球規模の問題
取引先様
従業員
地域社会
●地球規模の問題
株主・
投資家様
取引先様
地域社会
世界には、貧困や環境破壊など多くの
取引先様は味の素グループの重要な
味の素グループは、意見交換会や工場
問題があります。これらは私たちだけで
パートナーであり、原料サプライヤー様
見学などのコミュニケーション活動の充
は解決できない問題ですが、ステークホ
や製造委託先様だけでなく、流通業の皆
実に努めるとともに、広い視点に立った
ルダーの皆様との対話、環境に優しい技
様も含みます。公正・自由な取引と法令
企業市民活動を通して、地域社会の生活
術の追求、自然環境との共生を通して、
遵守を徹底し、
情報の共有化を図るなど、
の向上や、
食文化の普及・研究、
教育など、
少しでも持続可能な社会の実現に近づ
取引先様とともに発展する企業をめざ
地域に根ざした活動を通してより良い生
けるよう、味の素グループは努力を続け
します。
活の実現に向けて取り組んでいます。
ます。安全でおいしい食の提供を続ける
⇒P.35
⇒P.39
ため、
地球的な視野に立ち、
“食”
と
“健康"、
そして明日のより良い生活に貢献します。
お客様
株主・投資家様
従業員
味の素グループのお客様は、世界中で
企業価値向上のため、積極的な情報
味の素グループの従業員は世界中に
商品やサービスをご利用頂いているす
開示をめざし、CSR視点での外部機関
約3万人います。安全で快適な職場にお
べての皆様です。安全で高品質な商品
の評価を経営に取り入れていきます。信
いて、従業員一人ひとりが能力を十分に
の提供、
ご指摘・ご要望のすみやかな事
用格付の維持・向上にも努めるほか、連
発揮できるよう、労働環境の整備、教育・
業活動への反映、
双方向コミュニケーショ
結業績に応じた株主配当を行い、株主資
訓練・啓発などの能力向上を応援します。
ンの活性化を通して、お客様との信頼関
本の効率的な運用に努め、株主の皆様
研修制度も充実させ、味の素グループの
係を構築します。
の期待に応えていきます。
人材バリューをもつ人材を育てます。
⇒P.25
⇒P.37
⇒P.45
味の素グループ CSRレポート2005
24
第1章 社会のなかで
お客様とともに
安全でおいしい食の提供を通して世界中のお客様に安心を感じていただけるよう、
お客様との双方向コミュニケーションをさらに進め、商品にいかします。
デザインのわかりやすさ・使いやすさにも考慮し、すべての人に優しい商品を考えます。
お
客
様
安全・品質への取り組み
品質保証体制
取
引
先
様
味の素グループ品質方針
味の素グループは「味の素グループ経営基本方針(→
P.6)」のなかで、“安全で高品質な商品・サービスの提
株
主
・
投
資
家
様
理念
私たちは、安全で高品質な商品・サービスを通して、世界
供”を明記しています。また、この姿勢をもとに「味の
のお客様のよりよい生活に貢献します。
素グループ品質方針」を制定、独自の品質保証システ
方針
ム 「ア ス カ( ASQUA): Ajinomoto System of
1. 私たちは、お客様の要望に真摯に耳を傾け、お客様に
Quality Assurance」によって厳格な品質保証を実施
満足いただける商品・サービスをお届けします。
2. 私たちは、適切な情報を積極的に提供し、お客様の信頼
しています。
にお応えします。
味の素冷凍食品(株)では、原料、包材などを、統合
的に管理・運用が可能な、商品情報統合管理システム
「メルクリウス(Mercrius)」の導入も検討しています。
3. 私たちは、安全性については妥協すること無く可能な限
りの調査・研究を尽くし、関連する法律を遵守し、常に
一定品質の商品・サービスをお届けします。
4. 私たちは、国際基準であるISOの考え方を基本にした
味の素(株)品質保証システム【アスカ】で品質を保証し
地
域
社
会
品質保証システム「アスカ」
「アスカ」は味の素グループの全商品・全サービスを
対象にした品質保証システムです。ISO9001 :
ます。
5. 私たちは、経営のリーダーシップのもと、研究・開発か
ら生産・物流・販売・サービスに至るまでの社員一人一人
が、安全で高品質な商品・サービスの提供に最善を尽く
します。
2000 *1 やHACCP *2 などの国際的な品質保証基準に
加え、安全性や品質にかかわる独自の基準* 3 や、具体
従
業
員
品質保証体制図
お客様
的な数値目標なども取り入れ、グループ各社の経営者
ご指摘・ご要望など
味の素
(株)
が責任をもってマネジメントすべき事項が明記されて
品質保証会議
います。
品質保証部
「アスカ」を活用することで、自主的な品質保証活動
全社の品質保証規定
品質監査
を推進するとともに、お客様からのご指摘・ご要望など
をすみやかに事業活動や商品、サービスの改善にいか
カンパニー
品質監査
各カンパニー
(商品群)の規定
しています。
地
球
環
境
工場
研究所
事業部
支社
その他
*1 ISO9001:2000:品質マネジメントシステムの国際規格。
国際貿易の円滑化をめざし、世界共通の品質保証モデル
としてISO(国際標準化機構)により制定された。
*2 HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析重要管
理点)
。安全な食品をつくるための衛生管理手法。
*3
独自の基準(→P.26表の縦軸)
味の素グループの品質保証最高機関は、経営トップをメンバーと
する「品質保証会議」です。
議長 品質保証担当役員 メンバー コーポレート・コミュニケーション部役付執行役員、
生産戦略部担当役付執行役員、関係会社統括部担当
役付執行役員、カンパニープレジデント、議長が指名
するその他のコーポレート役付執行役員
メンバー以外の参加者 議長が認めた者
事務局 品質保証部
開催頻度 原則2回/年。必要な場合は臨時に召集
25
味の素グループ CSRレポート2005
ウェブでも安全・安心への取り組みの情報を公開しています 〉
〉
〉URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/anzen/
原料調達から販売までの品質保証体制
「アスカ」を使い、製品の開発から販売までの全工程を通して、
お客様の声の把握、新製品導入前の品質アセスメント、最終製品
の出荷可否判定など、あらゆる過程で厳しく品質がチェックされ
お
客
様
ます。
※製造過程詳細は、ヴァーチャルファクトリー(→P.34)にてご確認頂けます。
製品の開発からお客様へお届けするまでのステップ
(チェックポイント)とアスカの基準
【加工食品(
「Cook Do」
、スープなど)の場合】
ステップ
アスカの基準例と適用
原材料の品質管理基準
G M P* 基 準
H A C C P 基 準
品質アセスメント基準
品質規格設定基準
包材規格設定基準
食品包材の安全衛生基準
商 品 表 示 基 準
製造委託品の品質管理基準
商品クレーム対応基準
品質緊急対応基準
品 質 教 育 基 準
品 質 監 査 基 準
製品の開発
原料、製
法、包材
の安全性
評価
●
●
●
●
●
原料の調達
製品規格
の 設 定 、 製品表示
製造フロ の設定
ーの開発
●
●
●
●
●
●
●
●
製品の製造
原料、サ サプライ
原料の
プライヤ ヤーの管
受け入れ
ーの選定 理、指導
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
混合、
調理
●
●
●
充 填
●
●
●
製品の物流
包 装
●
●
●
出荷判定
●
●
●
保管、
運送
●
●
●
製品の販売
販 売
販売後の
アフター
ケア、回
収
取
引
先
様
●
●
●
●
●
株
主
・
投
資
家
様
●
●
●
●
●
●
●
●
●:各基準がカバーする範囲
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
*GMP:Good Manufacturing Practiceの略。適正製造規範のこと。食品に関するGMPは、食品および
食品添加物の製造管理に関する基準で、食品等の安全性と品質を確保することを目的としている。
ISO取得について
地
域
社
会
「味の素グループ品質保証グローバル会議」開催
味の素グループは、02/04年三ヵ年計画で、全社
2004年8月30・31日、「味の素グループ品質保証
でのISO9001取得を目標としましたが、事業所の増
グローバル会議」を開催しました。グループを代表して
加などから目標を達成できませんでした。再度2007
16ヵ国42社の品質保証責任者*が参加し、世界トッ
年までにグループ全組織がISO9001の取得をめざし
プレベルの品質保証体制構築に向けて、品質保証責任
ます。
者の役割と課題を共有しました。
また、ISO9001には品質に加えお客様の商品に対
会議では「安心と安全を保証するAJINOMOTOブラ
する満足度がかかわるため、味の素グループでは、最終
ンドをもつ」ことを目標に、全グループ会社への品質保
的にはISOの輪で全社をつなぐことを目的に、サイト
証システム「アスカ」の早期導入と定着をめざす方針が
ごとではなく業態ごとにISO9001を取得しています。
従
業
員
あらためて確認されました。
*品質保証責任者:味の素グループ各社およびカンパニーで1名ずつ選任されて
いる品質保証の最高責任者
ISO9001認証取得状況(2005年5月現在)
対象
取得済み
地
球
環
境
未取得
味の素(株)
::
対象単位組織
33(28) 29(22)
4(6)
国内連結子会社
29(29) 18(17) 11(12)
海外連結子会社
42(42) 26(18) 16(24)
※カッコ内は2004年8月の数値
品質保証グローバル会議
味の素グループ CSRレポート2005
26
第1章 社会のなかで
お客様とともに
トレーサビリティ
品質監査
味の素グループは、商品の履歴情報を速やかに調査
味の素グループでは、品質保証部を中心に7名の従
お
客
様
業員を品質監査員に任命し、年間品質監査計画に沿っ
(→P.28図)。
て品質監査を実施しています。監査結果は半期ごとに
味の素
(株)では、原料に関する情報
(原産地、アレル
「品質保証会議」、「経営会議」で報告し、翌年の計画に
ギー物質、GMO*など)のデータベース化を進める一
反映します。
方、正確な原料情報入手に不可欠な、適切なサプライ
2004年度は、前年度に課題と判断された、①品質マ
ネジメントシステムへのトップの関与 ②原材料サプ
取
引
先
様
できるトレーサビリティシステムを構築しています
ヤー管理にも力を入れています。また、製品流通段階
も追跡可能なデータベース構築も強化しています。
ライヤーの管理 ③製造委託先の管理 を含む5つの
また、品質トラブルの発生時に製品や原料にかかわ
重点項目を中心に、グループの品質保証にかかわる全組
る情報を速やかに収集するために、「トレーサビリティ
織の半数以上にあたる66組織を対象に監査をしまし
訓練」を2003年度より実施しています。
た。その結果、多くの組織で原料や製造委託品の管理が
*GMO:Genetically Modified Organisms
(遺伝子組換え作物)
強化されていた一方で、前年の不適合項目の改善が十
株
主
・
投
資
家
様
BSE・残留農薬問題への取り組み
分でない組織も見られました。
過去3年間で重点を置くべき項目や組織の把握がで
地
域
社
会
きたため、2005年度からは、重点組織を対象として、
を使用する全商品を調査し、厚生労働省が定めた使用
重点項目を中心に監査を実施します。また、ISO
禁止原料を使用していないことを確認しています。
9001:2000を取得した組織にアスカ構築を要請す
残留農薬の問題については、使用する野菜の安全性
るなど、品質マネジメントシステムの継続的改善につ
確保のため、上海味の素食品研究開発センター
(株)で、
ながるフォローアップにも力点を置いていきます。
各現地法人の検査とは別に独自の自主的な検査体制を
品質監査の実施状況(2004年度)
整備し、管理体制の強化に取り組んでいます。
味の素(株)
分社
従
業
員
BSE問題について味の素グループでは、牛由来原料
計画数
実施数
34
25
4
6
国内連結子会社
21
19
海外連結子会社
18
16
合計
77
66
商品回収の仕組み
品質緊急情報
商品回収の仕組み図
味の素(株)は、商品の安全性に関して、万一の場合を想定した
商品回収の仕組みを構築しています。
緊急情報を入手した場合、味の素グループの品質緊急対応判断
基準に照らして情報を評価、「品質緊急対応会議」を開き、対応方
地
球
環
境
法などを討議・決定・実施します。緊急情報には、原材料名や賞味
期限など製品表示の誤記・印字のかすれから、微生物や異物の混入
など、品質にかかわるものすべてが幅広く含まれます。
回収実施後には、商品担当部門が適切な再発防止策をとり、必
要に応じて品質保証部が特別監査を実施します。
品質緊急対応会議…………… 緊急対応会議:商品所管事業部長、
・原因の特定
品質保証部長、
・重大さの判定
コーポレート・コミュニケーション部長、
総務・リスク管理部長、
・影響する製品の範囲の
カンパニー品質保証責任者
明確化(遡及と追及)
回収の判断………………回収判断の基準:お客様の健康への影響、
法令への適合、企業姿勢
商品回収
・お客様への告知
・行政への報告
・マスコミへの伝達
再発防止
27
味の素グループ CSRレポート2005
トレーサビリティ事例「SPF技術で飼育した豚」
●SPF技術で飼育した豚とは?
●餌の厳選
1
餌は、バランスよく配合した大麦・トウモロコシ・大豆・ふすま*3
SPF* 技術で飼育した豚とは、豚の発育に悪い影響を及ぼす5
2
種の特定病原菌* に感染しないように、管理して飼育した豚のこ
など、植物性飼料だけが与えられます。
お
客
様
とをいいます。
●徹底した管理体制を構築した海外施設も
● 徹底した安全管理
食の安全、安心への関心が高まる中、原料から製品まで一貫供
無菌状態で生まれた子豚は、何世代にもわたり厳重に隔離され、
給体制による豚肉加工冷凍食品会社として、味の素ベタグロ・ス
厳しい基準を満たした設備と衛生管理の環境下で飼育されます。
ペシャリティフーズ(株)を2004年2月にタイに設立。安心な豚
また、屠畜場・食肉処理場・加工場でも、通常の豚との接触を防ぐ
肉原料を使用した加工冷凍食品の生産を開始し、2005年7月か
ための徹底した管理が行われます。
取
引
先
様
ら外食(レストラン・居酒屋)給食業態向けに使用しています。
*1
SPF:Specific-Pathogen-Free(特定病原菌不在)
*2 5種の特定病原菌:①トキソプラズマ病、②豚赤痢、③オーエスキー病、
④マイコプラズマ肺炎、⑤萎縮性鼻炎
*3
ふすま:小麦の外皮と胚芽の混合物でミネラルが豊富
株
主
・
投
資
家
様
タイ国農業省畜産局
豚肉加工の仕組み
育成管理
常駐指導
定期点検
母豚
ベタグロ社
管理養豚場
味の素ベタグロ・
スペシャリティ
フーズ(株)
ベタグロ社
肉処理場
地
域
社
会
日本農林水産省認定
味の素
冷凍食品(株)
アミノ酸 味の素(株)
ベタグロ社
飼料工場
飼料添加物(カルスポリンなど)
カルピス(株)
従
業
員
トレーサビリティフロー図
サプライチェーンのさらに上流に対象を拡大
直接仕入先
原料供給
生産・加工
味の素(株)
流通
地
球
環
境
消費者
原料供給
原料遡及性
トレーサビリティ
生産・加工
原料遡及性
工程遡及性
製品追求性
トレーサビリティ トレーサビリティ トレーサビリティ
工程遡及性
トレーサビリティ
流通
製品追求性
トレーサビリティ
味の素グループ CSRレポート2005
28
第1章 社会のなかで
お客様とともに
すべてのお客様が使いやすいデザイン・表示をめざして
味の素グループは、食品衛生法やJAS法・健康増進
お
客
様
法・景品表示法・資源有効活用法などの法律を遵守し、
容器包装改善事例
一括表示(品名・原材料名・内容量・賞味期限・保存方法・
うま味調味料「味の素」
詰め替えタイプ
ジッパー付き
製造者または販売者)
、栄養成分表示、容器包装の識別
表示および材質表示など、商品パッケージに適切な表
示を行っています。また、2002年から、表示が義務
付けられた小麦・乳・落花生・卵・そばのアレルギー5品
目について表示しているほか、2004年度からは家庭
取
引
先
様
用商品を対象に、表示が推奨されている20品目すべ
ての表示を始めました。味の素グループでは、これら
の表示だけでなく、商品購入や使用・廃棄の際に役立つ
各種の情報(商品特性・使用の目安・調理方法・分別方法
店頭にて商品が取り出し
大容量のものにはジッ
にくい平パウチ型の容器
パーを付け、瓶に詰め替
を、商品を立てて並べられ
えた後、残りを輪ゴムな
るガゼットタイプに変更し
どで留める必要がなくな
ました。使うときにも取り
りました。
出しやすくなりました。
など)を積極的に掲載しています。
株
主
・
投
資
家
様
パッケージ表示例
味の素冷凍食品(株)
「ギョーザ」
︵
冷
凍
食
品
︶
地
域
社
会
生産
工場名
召しあがり方
1 フライパン
2
をあたためる
フライパンをよく
あたため、一度火
を止めます。
フライパン
電子レンジ不可
なめらかでコシのあるモチモチの特製皮
にんにくは、においが
お問合せ用
フリーダイヤル
お問合せ番号
じょうずに取り出せます。
●お好みの調味料(しょうゆ、
酢など)
をつけてお召し
あがりください。
本製品のアレルギー物質は●印のついたものです。
ホームページへアクセス
味の素グループ CSRレポート2005
召しあがり方の注意
http://www.ffa.ajinomoto.com/ ※必要以上の加熱は品質低下の原因に
なります。
工場へいってみよう! 「ギョーザ」ができるまで ※水分が残っている場合、フタを取ると
アレルギー
物質
有・無
素材ひとつひとつを大切に、ていねいに
調理して商品が出来あがるまでを
ホームページでわかりやすく
説明しています。
アレルギー物質の表示
油ハネの原因となります。
※調理後のフタは大変熱くなっております。
※表面に霜のついている場合は、油ハネの
原因となりますので、霜を軽く落として
からお使いください。
※この袋ごと電子レンジに
入れないでください。
ホームページアドレス http://www.ffa.ajinomoto.com/
生産に関する情報
調理方法
(味の素冷凍食品
(株)
では
2005年度から図で表記しています)
お問合せ番号
味の素冷凍食品
(株)
では、2005年秋以降、家庭用商品「ギョーザ」から、
順次包装時に1 商品に1 つの番号を印字していきます。 包装時間が特定
できるため、製造状況や原料特定が容易になり、お客様のお問合せに対
して素早い対応が可能になります。
29
中火で水気を
とばす
フタをして
フタを取り、中火で水気をとばし、こんがり
焼き目がついたらできあがりです。
面を下にして並べ、
水1/2カップ弱
(80 )
をいれます。 中火で約5分
焼き蒸しします。 ※ぬれ布巾の上にフライパンをおくと、
お問合せ:味の素冷凍食品(株)お客様相談室
賞味期限
約5分
※鉄のフライパンをご使用の場合はこげつきやすい
ので、少量の油(小さじ1杯)を
ひいて焼いてください。
※水の量は6個∼12個の場合です。
少量調理の場合は水の量を加減して
ください。
も しお
賞味期限
外 袋:PP(ポリプロピレン)、 を再び凍らせると、
M (アルミ蒸着)
品質が変わることが
トレイ:PP(ポリプロピレン) あります。
※塩素系の包装材料は使用しておりません。
冷凍室(-18℃以下)
※リサイクルは、
お住まいの自治体の区分に
で保存してください。
したがってください。
フライパンに油をひかず、凍ったままの「ギョーザ」を平らな
かいそう
原料に関する情報
保存上の注意
※いったん解けたもの
包装材料の材質表示
3 中火で 4
「ギョーザ」を並べ、
水カップ1/2弱(80 )を入れる
残りにくいハーブにんにくを
オーストラリア産
使用。平日も安心して
小麦粉 「プライムハード」を
中心(80%以上)に最適なブレンド。 お召しあがりいただけます。
海藻の持つヨード分を含み、
塩
皮のおいしさを引き出す「藻塩」。
SAMPLE
活性炭フィルターで、ろ過した
水
皮づくりに適した水。
地
球
環
境
容器の包装材質
および識別表示
栄養成分
表示
名 称 ぎょうざ
内 容 量 グラム
袋( 個 )
原材料名 野菜(キャベツ、にら、
たまねぎ、にんにく)、食肉(鶏肉、豚肉)、豚脂、賞味期限 枠外の側面に記載してあります
当たりの標準栄養成分
粒状大豆たん白、
日本酒、
ごま油、食塩、
ゼラチン(豚)、砂糖、
チキンエキス、 保存方法 以下で保存してください
エネルギー
香辛料、皮(小麦粉、
なたね油、
でん粉、食塩、
しょうゆ、大豆粉、卵白粉)、 凍結前加熱の有無 加熱してあります
たん白質
調味料(アミノ酸等)、
カゼイン 、
レシチン、
キシロース、
加熱調理の必要性 加熱して召しあがってください
脂 質
(その他 乳成分由来原材料を含む)
販 売 者 味の素株式会社 東京都中央区京橋 の の
皮の率 製造所固有記号は枠外の賞味期限表示の下に記載 炭水化物
●キシロース
:とうもろこしなどの植物から作られており、
きれいに焼けるように使用しています。
ギョーザ生産工場:味の素冷凍食品
(株)関東工場・ ナトリウム
●カゼイン :牛乳に含まれるたん白質から作られており、
油をひかずに焼けるように使用しています。 四国工場・九州工場・中部工場 (食塩相当量 )
調理器具
従
業
員
専門的な原料と
その使用目的
一括表示
食品添加物・GMOの活用・表示について
味の素グループは食品添加物やGMOの活用・表示
ユニバーサルデザインへの取り組み
ユニバーサルデザインは、「すべての人のためのデザイ
ン」を意味し、年齢や体格・身体的能力の違いにかかわらず、
できるだけ多くの人が利用しやすいようにデザインをする
ことです。
味の素(株)広告部では1999年、商品開発にユニバーサ
ル視点を折り込むため、「ユニバーサルデザイン・ハンドブ
ック」を発行しました。視力障害者の方に、実際に商品を触
にあたって、安全性・有用性および法適性の面から厳
お
客
様
しくチェックしています。
最近、「○○無添加」、「△△不使用」をキャッチフレー
ズにした加工食品が増えています。味の素(株)は、国
の基準や科学的根拠に基づき安全と認められている食
品添加物やGMOが、あたかも安全ではないような印
って頂きながら改善点を探ったり、2004年には「容器包
象をお客様に与える表示方法は、食品メーカーとして
装エコインデックス(→P.65)」の評価項目にも「ユニバー
控えたいと考えます。不要な混乱を招くことは、お客
サル視点」を追加し、商品開発の際、常に担当者がユニバー
様にとっても不利益と考えるためです。
取
引
先
様
サルデザインを意識できる仕組みづくりをしてきました。
現在は、「ユニバーサルデザイン・ハンドブック」の改訂作
業を行っています。商品担当者だけではなく、全従業員が
参照できるように、イントラネットにも公開し、商品開発担
当者が確認のためにチェックしやすいページをつくる予定
です。
食品の容器包装形態の大半を箱・袋が占めるなかで、今以
上にユニバーサルデザインとして何が必要なのかを、包装
技術部門と連携し、お客様のご意見などを参考に考えてい
くことが、今後の課題だと考えています。
食品添加物について
食品添加物は、味を良く、香りを高め、栄養を強化
株
主
・
投
資
家
様
することで豊かな食生活を実現するほか、保存性など
を高めることで、食料資源の流通や有効活用を促すと
いう重要な役割を担っています。食品添加物の歴史は、
食材をそのまま食べることに始まり、もっとおいしく、
安全に、便利に、調理や保存の工夫を重ねてきた食文
化の歴史でもあります。これら食品添加物は、多くの
GMOのコンタミネーションの検出技術
遺伝子組換え作物は、 生産 ・ 流通 ・ 加工の各段階で非
遺伝子組換え作物と混ざらないよう分別され、それを証明
する書類を付けて管理しています(分別生産流通管理)。
味の素
(株)
では、分別生産流通管理が正しく行われている
ことをチェックしたり、未承認の遺伝子組換え作物(GMO)
地
域
社
会
人々の口に入るものなので、各種の厳しい試験が行わ
れ、安全性が確認されています。
味の素グループでは、商品の開発・製造に適切な食品
添加物を使用し、法に基づいた表示をしています。正
確で、お客様に分かりやすい表示に努めます。
のコンタミネーション(混入)を防止するために、自社でも
検出の技術を確立しています。
検査では、食品からDNAを抽出し、そのDNAに組み換
わった部分があるかを分析することで、食品へのGMOの
従
業
員
GMOについて
遺伝子組換え技術は、農作物に害虫耐性を付与して
コンタミネーションの有無を判定します。
使用農薬を低減するなど、食料問題や環境問題の解決
遺伝子組換え作物の検査
に大きな役割が期待される、重要な技術だと考えてい
1. 試料の準備(検査対象の食品を準備)
2. 前処理(食品からDNAを抽出しやすくする)
ます。一方で、活用にあたっては、安全性を十分に確
認する必要があると考えます。
地
球
環
境
現在、各国では安全確保のため、GMOの承認に厳格
3. DNA抽出(DNA部分を抽出)
4. PCR*増幅と電気泳動(DNAの組換えの有無を分析)
な安全性評価を実施しており、日本では内閣府食品安
全委員会、厚生労働省にて安全性審査が行われていま
す。必要な情報を消費者に提供するため、表示基準も
5. 結果の判定(分析結果から、組換え体の混入の有無を判定)
*PCR:Polymerase Chain Reaction
DNA配列の断片を大量に増幅する分子生物学の手法
定められており、味の素
(株)
もこの基準に従っています。
また味の素グループでは、未承認GMO混入防止のた
めに、自社で検査技術を確立しています(→左図参照)
。
味の素グループ CSRレポート2005
30
第1章 社会のなかで
お客様とともに
お客様とのコミュニケーション
■ お客様と味の素(株)をつなぐ
「コンシューマー・コミュニケーション・センター」
お
客
様
お客様に対する姿勢をより鮮明に打ち出し、
組織的に浸透させるため、下記の方針を制定しました
CS推進方針(2004年制定)
味の素(株)は、「従業員全員がCS*(お客様満足)意識
をもった企業」をめざして、受信した幅広い情報を収
集・解析し、その情報を社内外に発信する役割を担う
私たちは、お客様の声に素直に耳を傾け、お客様の目線で
考え、知恵を結集し、お客様にご満足いただける商品・サー
ビスを提供します。そして、お客様に信頼される誠実な企業
をめざします。
「コンシューマー・コミュニケーション・センター
(C.C.C.)」を2003年度に開設し、活発な活動を展開
取
引
先
様
具体的な行動指針(2004年制定)
しています。
C.C.C.は、「お客様相談センター」「生活者情報担当」
「料理情報担当」の3つの部門で構成され(下記参照)、
それぞれが、お客様からの声、生活者の意識・行動に関
する情報、料理研究家からの意見などを分析する情報
株
主
・
投
資
家
様
(1)私たちは、お客様に、安全で安心してお使いいただける
商品・サービスを提供します。
(2)私たちは、お客様からのご指摘、ご要望、お問い合わせに、
正確・迅速・親切にお応えします。
(3)私たちは、お客様からいただいた貴重な声をもとに、より
価値ある商品・サービスに反映するように努めます。
センターの役割を果たします。得られた総合的な知見
(4)私たちは、お客様に対して、適切な情報を積極的に開示
します。
は、経営や各事業部門へフィードバック、生活者や社
(5)私たちは、お客様の個人情報を、味の素グループ情報
セキュリティポリシー*に基づき、保護します。
会に情報発信され、同時に商品やサービスへ的確に反
*味の素グループの理念、経営方針、行動規範に基づいて、情報取扱に
関する基本的考え方をまとめたものです。
映されます。
*CS:Customer Satisfaction
地
域
社
会
コンシューマー・コミュニケーション・センター(C.C.C.)
従
業
員
お客様相談センター
料理情報担当
生活者情報担当
最新の料理情報をホームページ「レ
今日の多様な「食」の背景にある生活
シピ大百科」に掲載、
1万レシピを有
者の意識や価値観を把握するため、
「よくお寄せいただくご質問」「お客様
し、
企業レシピサイトのなかでNO.1
広い視野からのさまざまな調査・研
の声に学びました」「安全・安心をめざ
の評価を得ています。また、料理専
究を行い、それらの分析結果を事業
して」など、生活者に向けて、お役に
門家を通じた食情報の発信や当社商
戦略や商品開発における基盤情報と
立てて頂きたい情報を発信してい
品の理解促進、社内における商品開
して活用しています。
ます。
7 0120-688181
⇒P.32
発・販売促進の支援を通し、より良い
食生活への貢献をめざします。
地
球
環
境
「お客様相談センター」
URL http://www.ajinomoto.co.jp/
okyakusama/
レシピ大百科
URL http://www.ajinomoto.co.jp/recipe/
31
味の素グループ CSRレポート2005
社内情報誌
「AMC調査レポート」「マーケティング・アイ」
ウェブでも商品改善例や商品の情報を公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/okyakusama/
■ 「お客様相談センター」に寄せられた声を
商品やサービスに反映
「お客様の声」の概要
2004年度は、国内で販売されている家庭用商品約
お
客
様
600品種、販売個数約12億個の商品についてのお問い
「お客様相談センター」は、お客様と味の素(株)を直
合わせとご指摘を約5万件受けました。お問い合わせ
接結ぶ重要な情報パイプです。電話やメールで寄せら
は、賞味期間、使用方法・保存方法、安全性に関するも
れるお問い合わせやご指摘・ご要望に「正確・迅速・親切」
の、ご指摘は容器や表示に関するものなどがありました。
にお応えし、お客様との対話から得たものを商品やサ
ービスの改善・開発に確実に反映する仕組みを整えてい
ます。とくに緊急性の高いものは、「Consumer ’
s
Voice」として事業部門へ発信します。
分析図
その他
30%
ご提案
1%
ご感想
1%
お問い合わせ
内訳
お客様の声を事業に反映させる仕組み
包装・容器
1%
販売施策
1%
栄養成分 安全性
5%
4%
お 客 様
お問い合わせ
78%
お問い合わせ・ご指摘
お客様相談センター
Consumer’
s
Voice
お客様の声読み込み
担当者
お客様の声読み込み
会議(毎月)
お客様の声活用会議
(四半期ごと)
事業部門
市場調査
販売
取扱店
12%
ご要望
7%
ご指摘
13%
商
品
改
善
・
商
品
開
発
に
よ
る
お
客
様
満
足
の
向
上
商品開発
アセスメント
R&Dセンター・工場
取
引
先
様
賞味期限
20%
使用方法
11%
品種・価格
9%
株
主
・
投
資
家
様
原料・製法
7%
お客様の声を反映した商品改善例
お客様の声によって、さまざまな商品の改善が実現さ
れています。たとえば「Cook Do」ひき肉入り麻婆豆腐用
地
域
社
会
甘口の中袋は、銀色のパッケージにオレンジ色でつくり
方が印刷されているため読みづらいとのご指摘より、文
字を緑色に変更しました。また、袋には開け方について
の注意書きを追加しました。こうした改善の事例は、ホー
ムペ ー ジ 「 お
客様相談セン
従
業
員
ター」の「お客
様の声に学び
ました」コー
ナーでご紹介
社内での情報共有化を徹底
しています。
改善前
改善後
お客様相談センターに寄せられた声は、さまざまな形
にして社内に発信しています。社内イントラネットで
地
球
環
境
第1回CS大会で改善の知恵を共有
は全従業員がお客様の声を商品やお問い合わせの内容
味の素グループは、2004年9月に第1回CS大会を
で検索でき、商品の改善・開発のための情報収集に役立
開催。生産・販売にかかわる主な部署、関係会社の開発
てています。新商品・改訂品開発時には、お客様相談セ
責任者・品質保証管理者の総勢80名が参加しました。
ンターの従業員が商品開発アセスメント(事前評価)に
パッケージ改善や品質改善など、お客様の声に基づく
参加をして、お客様の視点から表示などをチェックす
具体的な事例の発表と討議を行い、味の素グループと
ることで、より良い商品づくりに努めています。
してのCS向上とは何かを考えるきっかけとしました。
味の素グループ CSRレポート2005
32
第1章 社会のなかで
お客様とともに
お客様情報の保護
お客様相談センター実習
お
客
様
取
引
先
様
個人情報管理体制の整備
従業員誰もがお客様の目線で商品やサービスを見直
味の素グループは行動規範に基づき、お客様情報な
すことができるように、味の素
(株)
では、従業員の「一日
ども含めた社内のすべての情報を、2004年4月に定
お客様相談センター実習」を実施しています。これは、
めた「味の素グループ情報セキュリティポリシー」に従
昇格者研修に組み込んで行う実習で、お客様と当社を
い責任をもって管理しています。グループ各社でもこ
直接結ぶ「お客様相談センター」で実際にお問い合わせ
のポリシーに基づき、「情報取扱規程」を制定し、情報
に応対し、お客様の声に耳を傾け、自らじかにお答え
管理を実践しています。年々増加する情報を安全に利
することで、お客様の目線で商品やサービスを捉え直
用するため、グループ全体でセキュリティ向上に取り
すきっかけをつくります。2003年度からスタートし、
組みます。
2004年度には中堅社員約100名が参加しました。
株
主
・
投
資
家
様
味の素
(株)
では、2004年7月に「個人情報保護法対応
この実習を通して、お客様からの期待を身をもって
小委員会」を設置し、個人情報保護法対応の準備を進め
実感し、信頼にお応えすることの大切さを再確認する
ています。各部門で管理している個人情報の見直しを
ことが、日常の業務の中で一人ひとりがCS向上に向
行い、それぞれについて管理ルールを明確にしました。
けてアクションを起こす原動力となるように、今後も
また、一人ひとりが個人情報について正しい知識をも
定期的に実施していきます。
ち、確実な取り扱いができるよう「個人情報取扱の手引
き」を作成し、従業員全員に教育を実施しました。
c
地
域
社
会
o
l
u m n
従業員一人ひとりの意識の向上
実習風景
味の素
(株)
では、2004年に「個人情報・セキュリティ
確認テスト」を社内イントラネットで実施しました。目
これからの課題
従
業
員
はすべて手づくりで10問、実施のたびに出題内容が変
ベトナムなど数ヵ国にあります。味の素グループの、
わるよう設定しました。解答の画面では、問題の背景
お客様に対する基本的な考え方は、国内でも海外でも
や解答の根拠を説明した上で、関連
同じですが、各国の特性に合わせたCSを追求してい
規程にリンクをさせて、学習できる
よう工夫しました。イントラネットが
使えない環境の従業員には用紙で解
した「CS推進方針」と「具体的な行動指針」(→P.31)を
答をもらい、ほぼ100%の受講を
グループ内に浸透させるため、まずアドバイザリース
達成しました。今後も新人研修など
タッフ
(電話応対者)
がお客様のご要望をいかに正確に
で実施し、情報セキュリティレベル
聴きとることができるか、また頂いた情報をさまざま
が高く保たれるよう努めます。
な角度から分析し、具体的な解決策および企業活動に
イントラネットを使用した確認テ
ストは、一人ひとりの従業員の負担は
結びつけられるかを実践し、CSを追求していきます。
少なく大きい効果を生むことができ
また、そのほかの組織にはCS大会やお客様相談セン
好評です。今回の確認テストをモデ
ター実習などの継続実施で、CSの大切さ、根本にCS
のある業務の進め方を、さらに広く啓発していきます。
33
行動を自然にとれるようになることです。問題と解説
現在お客様の窓口は、日本のほかにブラジル、タイ、
きます。お客様相談センターでは、2004年度に制定
地
球
環
境
的は、役員も含めた全関係者が規範や規程に記された
味の素グループ CSRレポート2005
味の素(株)生産
技術開発センター
ルに他の研修でも活用を検討中です。 柞木 素子
味の素グループのノウハウをお客様・社会へ発信
味の素(株)は、食と健康に関する最新情報や、アミ
ホームページでの情報公開
ノ酸研究のパイオニアとして蓄積してきた知識や技術
ホームページ上で、安全・安心への取り組みやアミノ
を、ホームページや情報誌を通して積極的に公開して
酸についての情報をはじめ、食と健康などの分野で最
います。また、セミナー、ワークショップ、見学会な
近問題になっている事柄の説明とそれに対する当社の
どを実施し、オピニオンリーダーや研究者など社外の
取り組みの解説も公開しています。
方々とのネットワークを構築し、食の安心・安全や食文
商品に含まれるアレルギー物質の検索
化への理解を広めることで、社会に貢献するよう努め
ています。また、ホームページでは双方向のコミュニ
お
客
様
家庭用商品を対象に、25品目のアレルギー物質が検索可能です。
取
引
先
様
ケーションにも力を注いでいます。
セミナー・ワークショップの実施
BIO JAPAN 2004への出展
2004 年 9月、 バイオ総合イベ ント「BIO JAPAN
株
主
・
投
資
家
様
2004」に出展、セミナーに参加しました。展示ブー
スでは、「アミノ酸を通した食糧・健康・環境への貢献」
をテーマに、アミノ酸の基本機能に関する最新の研究
「お客様相談センター」ページ内(→P.31)
情報と、それらを応用した
ヴァーチャルファクトリー
活動をパネルや口頭で報告
工場見学にお越しになれない方にも「安全・安心へのこだわり」を
ご理解頂けるように、「クノール カップスープ」工場の製造工程
を、写真や動画で紹介しています。
しました。大勢の方にご来
場頂き、アミノ酸への関心
地
域
社
会
の高さをあらためて知る、
良い機会となりました。
BIO JAPAN 2004
食情報の発信
食と健康に関する学術情報や味の素(株)のトピック
従
業
員
スについて掲載する「Ajico News」を1973年から季
刊発行。また、うま味調味料を使った簡単メニューを
紹介した「一汁三菜」や「うま味」の基礎知識をまとめた
「味の素グループの安全・安心への取り組み」ページ内
「うま味の秘密」なども発刊しています。
その他のページ
地
球
環
境
味の素グループの安全・安心への取り組み
URL
http://www.ajinomoto.co.jp/company/anzen/
アミノ酸大百科
URL
http://www.ajinomoto.co.jp/amino/
「アジパンダ」
の部屋
URL
http://www.ajinomoto.co.jp/ajipanda/
ビギナーズ・クッキングスクール
食情報の出版物
URL
http://www.beginners-cooking.com/
味の素グループ CSRレポート2005
34
第1章 社会のなかで
取引先様とともに
取引先様の信頼を得られるよう、自らの行動規範を設定する一方で、技術などのサポートを積極的に行います。
高品質で環境負荷の低い循環型生産プロセスをめざし、社会の発展に貢献できるよう、
公正に事業を行いながら、取引先様とともに成長していく企業になります。
お
客
様
公正な取引の実施
味の素グループは、
「味の素グループ行動規範
(→P.6)
」
取
引
先
様
で、購入先や業務委託先の選定などの取引開始にあた
株
主
・
投
資
家
様
方(→P.25「アスカ」参照)を伝え、品質に対する意見
交換を行う機会にもなっています。
っては、どの取引先様とも常にオープンに接し、購買
2004年度、味の素(株)購買部では原料関係で70
担当者個人の好みなど会社の利益と無関係な要素で決
件、包装材料で23件、食品原料部では31件の品質監
定するのではなく、取引先様の経営内容や信頼性・技術
査を実施しました。品質監査は購買部・食品原料部員の
力・実績などを踏まえ、価格・品質・サービスなどの条
ほか、生産部門の品質担当者など、内部で認定した監
件を公正に比較して決定すること、および新規取引先
査員がアスカのチェック項目に基づいて実施します。
にも公平な参入機会を設けることを定めています。
前年度の改善項目の進捗状況を確認し、新たな改善点
購買取引業務を的確に遂行し、取引先様の選定にあ
に対しては取引先様から改善計画を受領、味の素(株)
たって総合的な判断をするために、味の素グループで
と取引先様で内容について合意します。
は組織ごとに詳細な「内規」を定めています。取引開始
※購買部と食品原料部:味の素(株)では、食品原料部が食品カンパニーで扱う
原料を、購買部がそれ以外の原料や燃料、包装材料を購
後も下請法を遵守し、組織ごとにOJT*でバイヤー教
地
域
社
会
入しています。
育を行うなど、公正な購買取引の継続に努めています。
また、グループ共通のガイドラインおよび取引先様に
対する「購買基本方針」の策定が必要と認識しており、
現在策定作業を行っています。企業理念・行動規範をベ
ースに、グリーン調達・CSRの要素を含んだものにし
たいと考えています。
従
業
員
*OJT:On the Job Training(職場内訓練)
サプライチェーンマネジメント
■品質保証
取引先様の品質監査の様子
サプライヤーヒアリング
味の素グループは、取引先様は“味の素グループの
地
球
環
境
サプライヤー品質監査
35
重要なパートナー”であると考えます。品質に関する
味の素(株)購買部と食品原料部※では、取引先様に
アスカ要求事項の共有化や、トレーサビリティ確保を
対して年度監査計画に沿って定期および臨時の品質監
図る勉強会や、情報交換会
(原料サプライヤーミーティ
査を行っています。これは、取引先様の品質レベルの
ング)
などを、必要に応じて原料サプライヤー様や製造
向上をサポートするとともに、サプライチェーンのす
委託先様を対象に実施しています。
べてについて管理を徹底するためです。同時に、取引
味の素
(株)食品原料部では2004年度は原料サプラ
先様に対して品質保証に対する味の素グループの考え
イヤーミーティングを実施しませんでしたが、2005
味の素グループ CSRレポート2005
年2月より、食品の品質管理に関して主要な取引先様
上などの各種情報の共有化を行い、グループでの産廃・
にヒアリング調査を行っています。これは「食品衛生法
リサイクル管理の効率化と高度化を図っています。
等の一部を改正する法律」の影響と対応について意見交
今後は、グループで作成した廃棄物処理委託業者の
換を行い、2006年5月までに予定される同法の施行
委託判定基準・監査チェック票と合わせて、食品リサイ
に取引先様とともに備えるためです。このヒアリング
クル法に基づく登録再生利用事業者や各自治体での業
活動を通じて、味の素(株)と取引先様の品質保証の考
者の格付け・公表制度、2005年度より始まる環境省
え方を相互に再確認しています。
の産廃処理業の優良化推進事業等を参考に、味の素グ
お
客
様
ループでの業者選定を再検討し集約化を図ります。優
良で信頼できる業者とのパートナーシップを築き、健
■環境管理
全な産廃市場と循環型社会に貢献する体制を構築して
味の素グループでは、2004年6月に「味の素グルー
取
引
先
様
いきます。
プグリーン調達ガイドライン」を策定し、その中で取引
先様に対して環境マネジメントシステムの構築を求め
ることを定めました。味の素(株)購買部では、2004
年7月に原料・包装材料の全取引先様と間接材の主要な
サプライヤー様との共同開発
味の素グループは常に食品技術の改良に努め、より良い
取引先様の、環境マネジメント取り組み状況を調査し
グループの情報と技術では足りない部分を、サプライヤー
ました。その結果、購買部の取引先様については、約
様の工業化技術などでサポートして頂き、共同開発に努め
半数がすでにISO14001を取得していることが分か
りました。今後は、環境マネジメントシステムを構築
できていない取引先様に対して、味の素グループのグ
リーン調達に関する考え方を伝え、取引先様から要請
ています。
■事例
味の素(株)が長年パートナーシップを築き上げてきたサ
プライヤー様と共同で研究所を設立しました。循環型社会
かつおの100%食用化をめざしています。かつおの頭、腹
るアドバイスを行っていく考えです。
皮、内臓、骨など、かつお節の製造には不要な部分の高度
ISO取得調査結果
利用技術の研究・開発に取り組んでいます。
回答社数
ISO取得社数
率(%)
地
域
社
会
に向けて、「環境への配慮。資源を大切に」をモットーに、
がある場合は、環境マネジメントシステム構築に関す
業 種
株
主
・
投
資
家
様
製品の開発を進めています。主要原料については、味の素
また、2004年の「ほんだし」製品改訂にあたり、主原料
であるかつお節の製法を見直し、香りを際立たせることに
原 料
131
68
52
包装材料
93
45
48
成功しました。
“かつお焙焼香り節”
(特許出願中)を使った
間 接 材
39
9
23
新「ほんだし」の発売で、
製品評価をさらに高めることができ
従
業
員
ました。
産業廃棄物・リサイクル処理の管理
産業廃棄物の不法投棄が大きな社会問題となってい
ますが、リサイクル処理された再生品も、販売の困難
さなどから再生処理業者に不法投棄されるケースが生
じています。味の素グループは、「味の素グループ・ゼ
水揚げされたかつお
地
球
環
境
ロエミッション」計画に基づき、全事業領域において廃
棄物の99%以上の資源化に取り組んでおり、再生処
理業者に委託するリサイクル処理の管理も強化してい
ます。
かつお節特有の風味や香りをつける「焙乾」の様子
国内味の素グループでは、「味の素グループ産業廃棄
物・リサイクル管理」のホームページをイントラネット
上に開設し、廃棄物処理リスクへの対応、資源化率向
味の素グループ CSRレポート2005
36
第1章 社会のなかで
株主・投資家様とともに
株主・投資家様からの信頼を得、企業価値を高めるために、会社情報の適時・適切な開示、
双方向のコミュニケーション、安定的・継続的な配当、効率的な資金調達
および連結株主資本当期純利益率(ROE)の向上をめざしていきます。
お
客
様
資金調達
連結有利子負債の推移
(億円)
資金需要に応じた資金調達と地域別の
資金管理を実践
取
引
先
様
1,800
1,722
1,555
味の素グループは、調達コストの低減とリスク分散
1,510
1,437
1,256
1,200
の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、過度
に短期に依存しないよう、長期・短期のバランスを考
600
慮しながら、資金調達の多様化を図ることとしていま
株
主
・
投
資
家
様
す。また、社債による長期資金調達については、償還
0
2000
2001
2002
2003
時期を分散することとしています。
2004
(年度)
一方で、味の素グループは、連結有利子負債の削減
に努めています。その一環として、グループ会社の財
信用格付
務管理の一元化に取り組んでおり、日本、米国、欧州、
その他の地域において、地域別の資金管理を実践して
地
域
社
会
います。
味の素
(株)は、金融市場から直接資金調達を行って
こうした取り組みもあり、2004年度末における味
おり、以下の格付機関から格付が付与されています。
の素グループの有利子負債は、2003年度末に対して
当社はより低コストで資金調達を行うために、信用格
181億円減少し、1,256億円となりました。今年度
付の維持とさらなる向上に努めています。
よ り ス タ ー ト し た 0 5 / 1 0 中 長 期 経 営 計 画(
従
業
員
信用格付の維持とさらなる向上へ
-
dvance10)においては、長期的な視野で、株主資
本・有利子負債の水準を適切な範囲に保つことを基本
スタンダード&プアーズ社
(株)
格付投資情報センター
ムーディーズ社
方針としており、その前半においては事業収益拡大視
長期
短期
AA−
A -1+
AA
a -1+
A1
−
(2005年7月末現在)
点からの積極的投融資を基本とし、D/Eレシオ*は
30%以内、積極投資期間においても40%を上限とし
株主資本
て管理していきます。
*D/Eレシオ:負債・株主資本比率(Debt / Equity ratio)のことで、ここでいう
地
球
環
境
負債は連結有利子負債を示す
中長期のトレンドでROE二桁台維持
味の素グループにおける2004年度末の株主資本
は、営業収益の増加などにより、前期の4,280億円か
ら392億円増加し、4,672億円となりました。その
結果、連結株主資本比率は51.7%となりました。
またROEは、1.1ポイント増加して10.0%となり、
02/04三カ年計画における目標を達成しました。
37
味の素グループ CSRレポート2005
ウェブでもIR情報について公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/ir/
-dvance10においても、中長期のトレンドで
社会的責任投資(SRI)
ROE二桁台維持をめざします。
国内外のSRI評価機関から高い評価を獲得
財務的側面だけでなく、社会・倫理・環境面から企
連結株主資本比率 の 推移
60
50
43.6
45.4
45.2
49.1
お
客
様
業の社会的責任を積極的に果たす企業を評価し、投資
(%)
51.7
する社会的責任投資(SRI)は、1980年代に欧米で本
格化して以来、近年はアジア諸国や日本においても
40
徐々に一般化しつつあります。
30
こうしたなか、味の素
(株)は、国内外のSRI評価機
20
関から高い評価を獲得しています。
10
取
引
先
様
2005年6月現在、味の素
(株)は、英国のファイナ
0
2000
2001
2002
2003
2004 (年度)
ンシャルタイムズ社とロンドン証券取引所の合弁会社
FTSE社のSRIインデックス、「FTSE4Good」イン
デックスシリーズに組み入れられているほか、国内外
ROEの推移
(%)
10
のさまざまなSRIファンドに組み入れられています。
株
主
・
投
資
家
様
10.0
8.5
8.9
8.6
コミュニケーション
5
積極的な情報開示
味の素
(株)は、「適時・適切・正確・公平・自発的・継続
0
的」を基本原則として、投資家の皆様への情報発信・対
-3.0
-5
2000*
2001
2002
2003
2004 (年度)
*2000年度は、退職給付会計基準変更時差異を一括費用処理したことにより、ROEが
マイナスとなっています。
地
域
社
会
話に努めています。
機関投資家・アナリストの皆様に対しては、年2回
の決算説明会のほか、個別事業説明会や施設見学会を
適宜開催するとともに、取材への対応など、対話の場
配当政策
を多く設けています。
従
業
員
また、個人の投資家や海外の投資家の皆様にも同様
安定的・継続的な利益配分を実施
の情報を提供するために、機関投資家・アナリスト向
味の素
(株)は、従来1株当たり10円の安定配当を継
けの説明会で配布した資料などを和・英それぞれのホ
続していましたが、2002年度より中期計画の達成状
ームページに掲載しています。このほかにも、アニュ
況をみながら「各期の連結業績に応じた、かつ安定的、
アルレポートやファクトシートなどを準備し、ホーム
継続的な利益配分」を行うことを基本方針とし、
ページに掲載しているほか、ご要望に応じて配布して
2002・2003年度に続き、2004年度も前期より年間
います。なお2004年より、知的財産報告書を新た
1円増配しました。2005年度につきましても、更に
に発行しています。
地
球
環
境
1円増配し、1株当たり年間14円(うち中間配当金7
円)
とすることを予定しています。
株主・投資家様の声を経営に反映
-dvance10においても、連結業績に応じて、安
味の素
(株)
は、株主・投資家の皆様から頂いた貴重な
定配当を継続することをめざし、株主資本の効率的な
ご意見・ご要望や、IR活動を通じて得た情報を企業統
運用に努め、引き続き株主の皆様の期待に応えていき
治・環境経営・事業戦略などの経営方針の策定にいかし
ます。
ています。
味の素グループ CSRレポート2005
38
第1章 社会のなかで
地域社会とともに
良き企業市民として、地域の生活や文化を大切にし、
持続的な循環型社会の実現や、地域社会の発展を考えた取り組みを通して、
コミュニティの一員として信頼される企業となります。
お
客
様
地域とのコミュニケーション
世界の23の国と地域において事業を展開する味の
取
引
先
様
素グループは、日頃からお世話になっている地域の皆
様に信頼される企業でありたいと考えます。
開かれた事業所として地域の皆様と定期的に対話を
株
主
・
投
資
家
様
北海道クノール食品(株)の地域交流
2005年5月北海道クノール食品(株)は、北海道常
呂郡の訓子府小学校3年生の総合的な学習の一環とし
て、スイートコーン栽培観察への協力を始めました。
行い、積極的な情報開示をするなど、私たちの事業に
種まきから収穫までの期間中、 畑管理の担当従業員が
ついて知って頂けるようさまざまな取り組みを行って
「コーンレンジャー」となり、「ジュニア隊員」となった
います。
子どもたちの観察活動を
私たちはコミュニティの一員として地域社会の発展
サポートします。期間中の
への貢献、自然環境への配慮を行い、地域とともに成
活動記録は、味の素(株)の
長していける企業をめざします。
ホームページ上で公開して
います。地域や地場産業と
川崎事業所の地域交流
地
域
社
会
のかかわり合いを理解して
「ほんだし」や「Cook Do」などを生産している味の
もらい、広義の「食育」活動
種まき観察の様子
素
(株)川崎事業所では、団体見学に加え、どなたでも
にもつなげていきます。
URL http://corn.ajinomoto.co.jp/
参加できる個人見学会を実施しています。2004年度
からは、地域の「環境モニター*」25名を対象に、排水
設備や資源回収センターなどの見学会と情報交換会も
始めました。また、事業所にほど近い多摩川河川敷の
従
業
員
清掃活動を、昼休みなどの時間を利用して定期的に
行っています。
味の素グループは、世界の「食と健康」に貢献していくと
いう企業理念のもと、各地域の文化・慣習などの特徴をいか
した事業活動を展開しています。
アフリカのナイジェリアでは、1日ごとの使いきりタイプ
数年前から毎年、中国瀋陽市より環境技術研修生を
受け入れています。環境保護局幹部職員2名に対し、
生産現場における環境対策とその維持管理について研
修や交流を行いました。
地
球
環
境
地域の特徴をいかした事業活動
の「AJI-NO-MOTO」を販売していますが、商店を直接訪問
して取引を行うダイレクトマーケティングによって、お客
様との密接なつながりをつくっています。
2003年に進出したばかりのインドでは、商品の普及、
販売促進を目的
*環境モニター:近隣町内会の皆様に、工場の音など気になることを何でも伝えて
とした試食販売
を行う「キャラ
頂く制度
バン」活動を実
施しています。
環境モニター様との
定例会
39
味の素グループ CSRレポート2005
インドの
「キャラバン」活動
ウェブでも社会貢献活動について公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kouken/
社会貢献活動
味の素グループは世界が環境 ・ 貧困 ・人権 ・ 教育な
味の素グループの社会貢献活動ミッション
ど多岐にわたる問題に直面する今日、21世紀を豊か
私たち味の素グループは、社会における役割と責任を認識
で希望に満ちた世紀にしていくことは人類共通の課題
お
客
様
し、「食と健康」を中心とする社会貢献活動をグローバルに
であると認識しています。私たちは、健全で活力ある
推進することにより、健康で活力ある社会の実現に努めます。
社会があってこそ、企業として事業活動を営むことが
できると考えるからです。
活動の基本方針
味の素グループは社会における企業市民の一員とし
1. 目的を明確にして重点指向の活動を行います。
て、21世紀の地球が抱える多くの問題を自らの課題
取
引
先
様
2. 味の素グループが持っている経営資源を有効に活用します。
として受けとめ、「健康で活力ある社会」の実現をめざ
3. 活動内容を適切に評価し、内外への情報の発信を積極的
した社会貢献活動(企業市民活動)を推進しています。
に行います。
グループ理念にある「食と健康」をテーマにした活動
4. 味の素グループの主体性を発揮し、従業員が実感できる
活動を大切にします。
を中心に、世界の人々のより良い生活の実現に向け、
5. 外部の活動組織と連携を図り、活動のレベルアップを図
外部の活動組織とも連携しながらグループ一丸となっ
ります。
株
主
・
投
資
家
様
て取り組んでいきます。
社会貢献活動 地域別/プログラム別マップ
●グローバルプログラム
● 財団による社会活動
味の素グループが統一テーマを掲げてグローバルに展開する活動
味の素グループ関連の財団が、それぞれの運営綱領に基づいて行う活動
●ローカルプログラム
グループの各法人、事業所が、地域のニーズを踏まえ、地域ごとに行う活動
グローバルプログラム
AIN
財団による社会活動
従業員の社会活動
( ⇒P.43)
( ⇒P.44)
( ⇒P.51)
日本
食の教育/国際理解
食文化/教育支援
タイ
社会福祉/教育支援
社会福祉/教育支援
※栄養教育/栄養改善
マレーシア
ア
ジ
ア
インドネシア
カンボジア
※栄養改善/地域開発
南
米
※農村開発
住宅建設/災害支援
栄養改善
教育支援
欧
州
リア
カフ
ペルー
社会福祉/教育支援
「AJINOMOTO
GROUP
CITIZENSHIP
DAY」
チャリティーイベント
地
球
環
境
※栄養改善
USA
ブラジル
環境保護/寄付活動
地域交流
中国
バングラデシュ
従
業
員
地域交流
地域交流/社会福祉
シンガポール
ベトナム
北
米
従業員が主体的に行う社会活動
ローカルプログラム
(⇒P.41- 42)
フィリピン
地
域
社
会
● 従業員の社会活動
環境保護
社会福祉/教育支援
※栄養改善
栄養改善
EU
教育支援
研究開発支援
環境保護
ナイジェリア
チャリティーイベント
※ 現在支援中
味の素グループ CSRレポート2005
40
第1章 社会のなかで
地域社会とともに
グローバルプログラム
―地球の食のあしたのために―
グローバルプログラムは、味の素グループがグロー
バルな視点に立ち、統一テーマのもとに取り組む社会
お
客
様
1976
タイ:社会貢献財団「AJINOMOTO FOUNDATION」設立
貢献活動です。1999年にスタートした「味の素『食と
1979
インドネシア:社会貢献財団「YAYASAN AJI DHARMA
BHAKTI」設立
健康』国際協力ネットワーク」活動を充実・強化するとと
1987
全国高校家庭クラブ連盟主催事業に協賛開始
1989
日本:「(財)
味の素食の文化センター」設立
もに、今年度、新たに導入予定の「AJINOMOTO 人と
1997
「99/01経営計画」戦略のひとつとして「社会への貢献」が
提示される
大地のプロジェクト」を中心に、統一スローガン「地球
1998
広報部に社会貢献専任チーム設置
の食のあしたのために」を掲げ、グローバル食品企業と
取
引
先
様
社会貢献のあゆみ
1999
味の素(株)社会貢献推進委員会設置
「味の素『食と健康』国際協力ネットワーク(AIN)
」設立
全国老人給食協力会(ミールズ・オン・ホイールズ日本協会)
協賛開始
しての社会貢献活動
(企業市民活動)
を進めていきます。
「食・栄養・保健分野の国際協力事業」への支援開始
ブラジル:社 会 貢 献 財 団 「INSUTITUTO ASSISTENCIAL
AJINOMOTO」設立
「食と健康」国際協力支援プログラム
味の素グループでは、開発途上国の人々の生活の質
の向上をめざし、「食・栄養・保健分野における国際協
株
主
・
投
資
家
様
力活動」のための推進組織「味の素『食と健康』国際協力
第1回「食・栄養・保健分野における国際協力」活動報告会開催
2001
「AJINOMOTO CITIZENSHIP WEEK」キャンペーン開始
表彰制度「社会活動賞」制定
2002
国際理解教育プログラム「食の探検隊」開始
2003
ペルー:社会貢献財団「FUDACION AJINOMOTO PARA
EL DESARROLLO DE LA COMUNIDAD」設立
ネットワーク:AIN *」を、創業90周年を迎えた1999
「AJINOMOTO GROUP CITIZENSHIP DAY」キャンペーン開始
年に設立し、NGOなどとの連携のもと、現地活動支
「あしたのもとクリック募金」開始
援を行っています。
*AIN:Ajinomoto International Cooperation Network for Nutrition and Health
代表 足立己幸(女子栄養大学教授・大学院栄養学研究科科長)
副代表 溝田 勉(長崎大学医歯薬学総合大学院・熱帯医学研究所教授)
地
域
社
会
2000
c
o
l
第4回「食・栄養・保健分野における国際協力」フォーラム開催
「あしたのもとフードサポートGIFT」開始
2004
食育プログラム「食のガーデン」開始
「味の素『食と健康』国際協力ネットワーク
(AIN)
」支援事業第1回公募開始
2005
CSR推進本部 CSR 部新設。社会貢献チームが広報部から
CSR部所属となる。
日本:「(財)味の素奨学会」設立
u m n
AIN海外パートナーからのメッセージ
従
業
員
私たちが実施してきた養蜂事業は、メディアによっ
て貧困削減効果などが報じられ、政府からも養蜂トレー
ニングの要請が寄せられています。味の素
(株)の支援
のもと本事業をさらに発展させることで、バングラデ
シュの抱えている深刻な栄養問題や経済状況を改善し、
人々のより良い健康をめざしたいと考えます。中でも、
AIN支援事業「プロジェクト地域の住民たち
(フィリピン)」
(写真提供:Global Action for Development Foundation, Inc.)
バングラデシュ公用語のベンガル語で書かれた養蜂関
地
球
環
境
連文書はほとんどないため、教材出版の取り組みは、
国民のみならず国際機関からも歓迎され、現地のモデル
事業となることが期待されていま
す。2006年度には、他地域への
事業拡大を検討しています。
特定非営利活動法人
ハンガー・フリー・ワールド
アタウル・ラーマン・ミトン
AIN支援事業「養蜂トレーニングを受ける農村の若者
(バングラデシュ)
」
(写真提供:ハンガー・フリー・ワールド)
41
味の素グループ CSRレポート2005
2005年度新規支援事業
2005年度から支援事業の選考基準に「味の素グループの参加
性」を盛り込みました。経済的な支援だけではなく、味の素グルー
募集・選考を実施しました。
プのもつ技術や知識・施設などを活用することで、味の素グループ
団体としての経験・能力、公益性、自立発展性などを選考基準と
らしく支援先の活動をサポートすることが目的です。また、社会
し、2回の審査会を経て計6件、年間合計金額700万円の支援を
的なニーズをより広範に捉えるという主旨から、一般公募による
決定しました。
支援事業
実施団体
栄養改善のための養蜂事業
特定非営利活動法人
ハンガー・フリー・ワールド
ベトナム北西部山岳地域住民参加型
農村開発
特定非営利活動法人
日本国際ボランティアセンター
実施国
期間
支援金額(万円)
バングラデシュ
1年
100
ベトナム
2年
400
(200/年)
1年
100
妊婦及び5歳未満児とその親を対象
とした栄養・健康教育によるコミュ
ニティを基盤とした障害予防事業
Community Based Rehabilitation Development
and Training Center
(現地非営利団体)
インドネシア
インドネシアの村落における健康・
栄養に関する知識及び行動改善の
ための能力開発
Department of Nutrition, Polytechnic of Health,
Denpasar
(現地非営利団体)
インドネシア
1年
100
栄養に関する知識と実践活動を通し
た母子の健康改善
Global Action for Development Foundation,Inc.
(現地非営利団体)
フィリピン
1年
100
ブラジル
1年
100
エイズ児童の栄養欠乏症改善のため
の強化食開発
お
客
様
2005年度は、国内外の非営利団体計18件の応募を受け付け、
Department of Nutrition in Public Health
School, University of Sao Paulo(現地大学)
取
引
先
様
株
主
・
投
資
家
様
地
域
社
会
「AJINOMOTO 人と大地のプロジェクト」
人類が、21世紀を通して豊かで幸せな生活を送る
ためには、生命の基盤である「食」「栄養」が安定して供
給されることが大切です。味の素グループは、「食と健
従
業
員
康」で世界の人々のより良い生活に貢献するという理念
のもと、地球の“食”の未来を、安心・安全で持続可能
なものとするための活動をスタートします。
人類の大切な「食資源」の安定確保と、そのための持
続循環型社会の実現をテーマとして、 ①食資源の保
全・育成 ②食資源供給地域コミュニティの生活の向上
地
球
環
境
③「食」に関する啓発・教育 を柱として、国内外の活動
組織との連携のもと グローバルに展開していきます。
第1弾の予定計画としては、インドネシアのランプン
州にてキャッサバの収量を向上させる新農法の普及活
動を実施し、発展途上国での食料事情の安定化、農産
原料の保全、将来の需要増が見込まれるバイオマスの
AIN支援事業「アヒル水稲同時作のトレーニングを受ける住民たち(ベトナム)
」
(写真提供:日本国際ボランティアセンター)
供給力の向上への貢献をめざします。
味の素グループ CSRレポート2005
42
第1章 社会のなかで
地域社会とともに
ローカルプログラム
ローカルプログラムは、地域社会の発展やコミュニ
お
客
様
「食のガーデン」
ティとの交流を目的とした活動として、世界の味の素グ
学校や家庭で、食生活や食習慣、食文化の理解を深
ループの各法人、事業所、職場を中心として行われて
める「食育」が注目を集めています。味の素(株)では、
います。活動テーマは、「食・健康」「教育」「福祉」「地域
子どもたちが自ら作物を育てる体験を通して、食の大
交流」「環境」などと幅広く、地域のニーズを踏まえた活
切さや、人や自然への感謝の気持ちを育む体験型食育
動を行っています。
プログラム「食のガーデン」を2004年度から実施して
います。「おいしさ感じよう 人と自然にありがとう!」
「食の探検隊」
取
引
先
様
をスローガンとするこのプログラムでは、野菜を育て、
味の素
(株)
は、「食の教育」プログラムの一つとして
株
主
・
投
資
家
様
観察活動や俳画づくりなど栽培の過程でのユニークな
国際理解教育プログラム「食の探検隊」を2002年度か
学習に取り組むほか、収穫した野菜を調理して味わい、
らNPOとの協働により実施しています。世界各国の料
地域の食文化や生活習慣について学習をします。
理を自らが体験して、地球規模で考えることの大切さを
2005年度は、北海道・関東・関西・九州地区を対象
伝えるプログラムで、首都圏を中心に学校や公民館など
に、約5,000名の小学生が参加しており、全員に野菜
で開催し、2004年度は100回約6,500名の参加を
苗、鉢、土、支柱、児
頂きました。東京都品
童用活動ノートを提供
川区にある「船の科学
しました。
館」では、毎月第 4 日
曜日に定期開催してい
ます。
地
域
社
会
収穫の様子
マンゴージャムづくり体験
「あしたのもとクリック募金」
c
o
l
u m n
味の素
(株)
は、ホームページ閲覧者が気軽に社会貢
献活動に参加できるサイト「あしたのもとクリック募
熊本県知事からのメッセージ
従
業
員
食育の推進には、行政をはじめ家庭や学校、地域住
金」を提供しています。
これは、サイト上に紹介した活動団体から、支援し
民の方々との連携・協働が必要です。企業市民としての
たい団体を選びクリックすると、味の素
(株)
が閲覧者
企業の社会貢献活動にも大きな役割が期待されます。
に代わって1クリック1円を寄付するものです。寄付先
味の素(株)の「食のガーデン」プログラムは、企業によ
団体の広報活動の一助にもなり好評です。2004年度
る参加体験型の社会貢献活動として大きな成果をあげ、
本県の重要施策の1つである食育を推進する活動とし
は、約365万(365万円)ものクリックを頂きました。
て、大変有意義であったと思います。
NPO・企業・学校の協働で取り組まれたこの活動は、
地
球
環
境
本県の県政の基本理念である「パートナーシップ」を具
現化した素晴らしい事例だと考えています。今後も多
くの子どもたちに、身近な学びと気付きの場を与えて
頂き、食について、主体的に楽しく
学ぶ機会を提供して頂きますことを
期待しております。
熊本県知事
潮谷義子
あしたのもとクリック募金
URL http://www.ajinomoto.co.jp/phila/
43
味の素グループ CSRレポート2005
財団活動
味の素グループは、事業を展開している国・地域の社
会への貢献を目的として、財団による社会貢献活動に
も力を入れています。
「AJINOMOTO FOUNDATION」(タイ)
味の素グループ初めての財団。両親のいない子ども、
身体の不自由な人々、高齢者施設へ備品提供をするほ
現在、味の素グループに関連する社会貢献財団は世
か、栄養学・食品科学・家政学を学ぶ大学生への奨学金
界に5ヵ国6財団あります。日本・タイ・インドネシア・
提供、小学校の教室棟建設の支援、タイ赤十字と連携し
ブラジル・ペルーで、各国の文化、生活習慣、地域ニー
た献血プロジェクトの実施など、地域のニーズを踏ま
ズなどに根ざした活動や人材育成、社会福祉、栄養問
え、教育・福祉分野を中心とした活動を展開しています。
お
客
様
題の改善などに取り組んでいます。
取
引
先
様
「YAYASAN AJI DHARMA BHAKTI」
(財)味の素食の文化センター(日本)
(インドネシア)
1989 年、味の素(株)は創業 80 周年を記念して
大学院生を対象とした奨学金制度を毎年継続してい
「(財)味の素食の文化センター」を開設し、以来食文化
るほか、栄養教育プログラムなど、地域に密着した特
に関する研究の普及と研究協力を展開しています。毎
徴ある活動を展開しています。
株
主
・
投
資
家
様
年テーマを決めて発表・討論を行う「食の文化フォーラ
ム」を開催し、その結果を出版するほか、食文化誌
「INSTITUTO ASSISTENCIAL AJINOMOTO」
「vesta」を季刊発行。 2004年、 高輪研修センター
(ブラジル)
開設にともなって移転し、食文化に関する蔵書約3万
地域の医療機関への緊急用搬送車の寄贈、老朽化し
5千冊の「食の文化ライブラリー」と「食文化展示室」を
た公立幼稚園の改築への費用支援、支援を実施したコ
一般公開しています。
ミュニティセンターでの子どもたちとの交流、食品加
地
域
社
会
工関連大学の教室のリフォーム、福祉施設への図書の
寄贈など、医療・教育・社会福祉の分野における地域に
根ざした活動を行っています。
「FUDACION AJINOMOTO PARA EL
DESARROLLO DE LA COMUNIDAD」(ペルー)
従
業
員
栄養に関する研究開発の支援のほか、食品の品質と
平成17年度
第1回「食の文
化フォーラム」
〈味覚と嗜好〉
安全に関する知識の普及をめざして、食物栄養学に関
する書籍を出版したり、栄養講習会を開催しています。
2004年10月から、財団法人海外職業訓練協会が
(財)味の素奨学会(日本)
1957年以来「鈴木奨学会」の名で、将来社会に貢献
主催する、「低開発地域での雇用促進を目的とする職業
技能訓練の取り組み」にも参加し、女性を意識した食品
する科学者を育成するため、主として化学系の学科を
の栄養管理・品質
専攻する大学生・大学院生・研究生を対象とした奨学金
管理と安全衛生管
の貸与または給与を行ってきました。2005年度から
理の研修を実施し
は「
(財)
味の素奨学会」と名称を変更し、従来の制度を
ています。
地
球
環
境
拡充するとともに、「在日留学生奨学制度」を新設し、
アジア・南米地域出身で「食・栄養・保健」分野で修学し
ている留学生への支援を開始しました。
ペルー味の素財団の
人材養成技能研修事業
味の素グループ CSRレポート2005
44
第1章 社会のなかで
従業員とともに
多様化する個人の価値観を受け入れることで信頼関係を築き、個人の自己実現を通じて、
従業員とその家族の幸せを大切にします。「食品・アミノ酸系の、日本から出発した世界企業」として
グローバルに活躍する人材を育成し、従業員が誇りをもてる会社になります。
お
客
様
人材の雇用
味の素
(株)人員構成
味の素グループは、2003年に「味の素グループ人
取
引
先
様
材バリュー」と「味の素グループ人事ポリシー」から成
る「味の素グループ人事理念」を明文化し、「あなたは、
パート
4%
派遣
11%
受入出向
4%
味の素の『あしたのもと』です」という考え方を柱に、
基幹職
24%
嘱託
1%
一般職
56%
合 計
約5,000人
求める人材像を明確に打ち出し、人材教育や人事の施
策を実施しています。
株
主
・
投
資
家
様
※2005年4月1日現在
味の素グループ地域別人員構成
味の素グループ人材バリュー
あなたは、味の素の「あしたのもと」です。
●
あなたにしか、つくれないものがある。
(独創性の重視)
あなたのお客さまは、世界中にいる。
(地球規模の発想)
あなたには、いっしょに働く仲間がいる。(共に働く喜び)
地
域
社
会
(人)
ヨーロッパ
6%
アメリカ地域
10%
(%)
味の素
(株)女性基幹職数・率
日本
40%
アジア
44%
海外の非日本人
役員比率
32%
合 計
約30,000人
1,233
1,000
∼
男女基幹職総数
※2005年4月1日現在
障害を持つ方の雇用について
∼
味 の 素(株)は 、 2 0 0 3 年 度 以 降 、 法 定 雇 用 率
(1.8%)を超える障害者雇用率を維持しています。
40
従
業
員
30
20
10
0
18
16
2001
2002
3
2.7
2.3
1.8
1.5
1.3
33
27
22
2003
女性
2004
2004年度は国内グループ会社にも障害者雇用推進
2
を呼びかけ、
新聞に5社合同の募集広告を掲載し、
7名を
1
採用しました。
今後も法遵守の観点だけではなく、
CSR
0
2005(年度)
の重要な課題としてグループで取り組みを進めます。
※2005年4月1日現在
味の素
(株)新卒・通年採用実績
(人)
100
90
地
球
環
境
80
81
52
50
17
14
50
40
30
20
10
0
34
7
35 27
2002
1.81
19
33
61 30
16
13
36
62
女
40
男
17
2003
2004
91
77
82
1.44
0
2005 (年度)
77
1.6
1.4
78
1.2
20
男
17
1.8
1.63
80
60
(%)
1.80
1.72
100
女
30
70
60
120
91
■…通年採用
■…新卒採用
味の素
(株)障害者雇用者数・率
(人)
∼
2001
2002
※2005年4月1日現在(新卒)
、2005年3月31日現在
(通年)
2003
2004
0
2005(年度)
※2005年4月1日現在
※雇用者数は毎年4月1日現在の人数、雇用者率は前年度の年間平均に、今年度
より変更しています。
45
味の素グループ CSRレポート2005
定年退職者の再雇用制度
産系・事務系に分かれ、すべての従業員と面接を行っ
味の素(株)では、定年退職者の再雇用制度を2000
年に始めました。再就職を希望する定年退職者の、長
ています。また、月間残業時間が一定以上になる従業
員にアンケートや面接などを行っています。
年培ってきた豊富な経験と高度な技能がいかせる仕組
みで、グループ会社を窓口に、定年退職者がグループ
各社と個々に契約を結びます。2006年以降は高年齢
者雇用安定法の内容に沿って制度改訂する予定です。
人権について
お
客
様
味の素グループは、「味の素グループ行動規範」
(→P.6)の中であらゆる差別行為を禁じています。
味の素
(株)では、人権問題の全社啓発計画・立案を、
(人)
味の素(株)退職者数
600
各事業所の「エリア・支社人権啓発推進委員」を通じて
532
500
展開、関係会社にも研修の実施を求め、2004年度は
467
定年退職者数
400
344
の実施による、人権意識のさらなる浸透に努めます。
353
189
自己都合
退職者数
200
224
100
155
0
2002
味の素
(株)大阪支社では、参加型学習「人権ふれあい
92
21
114
2001
558名(内グループ会社74名)が研修を受講しまし
た。2005年度は研修の充実を図ったり、アンケート
308
300
取
引
先
様
71
2003
2004(年度)
※2005年3月31日現在
道場」で、企業が人権問
株
主
・
投
資
家
様
題に取り組む意義や、身
近な人権問題を中心に人
権啓発研修を実施。また、
職場環境
人権問題に関する情報を
本社に提言しています。
大阪支社の人権啓発研修の様子
味の素グループは、すべての従業員が心身ともに健
康で、生き生きと働ける制度を整備しています。従業
員の多様な価値観を重視し、ワーク&ライフバランス
のとれた職場環境の実現をめざします。
地
域
社
会
生き生きと働くための休暇制度
味の素
(株)は、従業員の多様な生活スタイルを支援
する休暇制度を充実させています。
ライフプランを考える機会として取得できる「リフ
ハラスメントへの対応
味の素グループは、ハラスメントを受けた場合に相
レッシュ休暇」は、2004年度に改善され、25歳以
従
業
員
降8年に1度、計4回取得できるようになりました。
談できる相談窓口を、外部と内部の両方に設けていま
す。また、味の素
(株)では相談体制の機能をチェック
するために、2003 年度からアンケートを実施。
2004年度は男性従業員も対象とし、パワーハラス
*
発明補償制度
味の素
(株)は、「技術立社」の基盤をより強固なもの
とするために、発明補償制度の全体を見直し、2005
メント の質問項目も加えました。今後もハラスメン
年6月新たな発明補償制度を施行しました。新制度で
ト対策と啓発活動を充実させます。
は、出願・登録補償金が増額され、実施補償金が新設
*パワーハラスメント:上下関係や取引関係などの社会的勢力を利用し、職務とは
されたほか、実績スライドの補償金が一定の基準にし
地
球
環
境
直接関係の無い嫌がらせを繰り返すこと。行為を受けた側
がそれをハラスメント
(嫌がらせ)と感じること。
たがって支払われます。
なお、控訴審に係属中であったアスパルテーム職務
メンタルヘルス
味の素グループは、ワーク&ライフバランスの取れ
発明訴訟*は、
2004年11月に和解が成立しました。
*アスパルテーム職務発明訴訟:主力商品の1つである「アスパルテーム」の製法特
許をめぐり、開発を担当した従業員が、「正当な
た職場環境実現には、メンタルヘルスケアが不可欠だ
と考えます。定期健康診断では、産業医が営業系・生
対価を受け取っていない」として20億円の支払い
を味の素
(株)に求めた。
味の素グループ CSRレポート2005
46
第1章 社会のなかで
従業員とともに
働きがいの重視
仕事と家庭の両立の実現
お
客
様
健全な労使関係の構築
味の素(株)と味の素労働組合は、相互の信頼に基づ
味の素(株)は、従業員が出産・育児・介護などをしな
いた労使関係を確立し、従業員一人ひとりの成長と企
がら、職場で継続的に能力が発揮できるよう、仕事と
業の継続的発展をめざしています。2002年以降、味
家庭生活の両立を支援する制度を整えています。「育児
の素労働組合は、「働きがいの向上」と「味の素グルー
休業制度」「育児短時間勤務制度」「子供看護休暇制度」
プの健全な発展」に重点を置いて取り組んでいます。
などの規程には、ヒアリングやアンケートから職場の
声をできる限り反映し、従業員が利用しやすいように
制定・改訂しています。
取
引
先
様
2004年4月には、「育児関連ハンドブック」を発行。
株
主
・
投
資
家
様
働きがいの向上
味の素労働組合は、賃金などの制度面での向上に留
まらず、職場環境の改善や業務改革・マネジメント改革
妊娠から育児期間まで、利用できる制度を時系列で説
も含めた広い領域を視野に入れ、従業員の総合的な生
明し、制度を利用する従業員だけではなく、上司や同
活の充実に向けた活動をしています。組合員から日常
僚に制度への理解を求める手引きとしても活用してい
的に意見を収集するだけでなく、2004年度には「組
ます。
合員総合意識調査」を実施し、組合員のニーズ・意識を
こうした積極的な取り組みの結果もあり、全従業員
把握しています。
数に占める女性の割合は、基幹職・一般職ともに増加し
ています(→P.45)
。今後は、「次世代育成支援対策推
進法」に基づいて策定する行動計画をもとに、職場にお
けるきめ細かな対応をしていく予定です。
味の素グループの健全な発展
味の素労働組合は2002年度以降毎年、イントラ
ネット上で、「味の素グループ行動規範」に照らして問
題となるような事象がないか、アンケートを行ってい
地
域
社
会
高齢化社会への対応・看護休職制度
従
業
員
ます。回答者に対してさらに詳細のヒアリングを実施
味の素(株)は、高齢化社会に向けた対応の1つとし
し、課題を抽出して味の素(株)と改善に向けた協議を
て、1991年に「看護休職制度」を制定。従業員の家族
行っています。味の素グループ内の10労組で構成す
や親族が病気・ケガをした場合、1年間まで休職ができ
る「味の素グループ労働組合協議会」においても同様の
るようになりました。そのほかにも、勤務時間の短縮
アンケートを実施し、味の素グループ全体のコンプラ
や深夜業の制限などを定めています。2005年4月に
イアンス徹底に努めています。
一部改訂を行い、今後も社会の変化に即した、使いや
すい制度をつくり上げていきます。
なかよし保育園
地
球
環
境
味の素パッケージング(株)関西工場は、1974年(当時は大味
(株)
)から工場敷地内で「なかよし保育園」を運営しています。職場
に隣接しているので、従業員は子どもと一緒に通勤し、休憩時間
に園庭で遊ぶ子どもの姿を見ることもできます。親子2代で通っ
ている方や、親子2代で味の素グループの従業員として働く方が
いるのは、その安心感ゆえです。園児の教育を、同工場のTPM *
活動の考え方を取り入れ展開したことなど、社会的にも高く評価
されています。
工場敷地内のなかよし保育園
*TPM活動:一般的には「Total Productive Maintenance」(全員参加の生産保全
活 動 )で す が 、 味 の 素 パ ッ ケ ー ジ ン グ( 株 )で は 「Total Profit
Management」と称し、さらに利益改善をも含む会社運営そのもの
としている。
47
味の素グループ CSRレポート2005
安全な職場づくり
味の素グループは、防災安全基本理念と方針を定め、
2件は営業活動中の交通事故、残り2件は生産工場に
グループ全体に発信し、安全に対する考え方を全従業
おける事故で、すでに安全管理体制・不安全箇所などの
員と共有しています。「味の素グループ防災安全基本方
改善処置を実施しています。
針」は、ライン主導で従業員一人ひとりの安全を向上さ
今年度は2004年度に達成できなかった「重大災害
せていくことを明確にしており、この考えの延長にコ
を昨年度の2分の1にする」を再度目標として、以下の
ーポレート・カンパニー・分社の最高責任者による「防
重点施策を設定しました。これらの施策を確実に実施
災安全会議」があります。会議では、各部門の1年間の
し、災害低減に取り組んでいきます。
総括と次年度の目標・取組施策を決定します。
・災害の多い事業所の防災安全点検の実施と点検に基づく対策の実施
お
客
様
取
引
先
様
・危険源の認識と削減の取り組みの実践
(KYT*、
リスクアセスメント)
・危険なポイントを明確にしたラインによる安全教育の実施・労働
味の素グループ防災安全基本理念
安全衛生マネジメントシステムのグループへの展開の継続
味の素(株)及びそのグループは、
また、特別施策として、以下の2項目を設定しました。
人間尊重を基本とし、防災・安全衛生を
・地震に強い会社に向けた、防災対策の継続推進
企業活動の最も重要な基盤のひとつと考え行動します。
・工事安全管理基準の作成と運用による工事作業中の事故の防止
味の素グループ防災安全基本方針
*KYT:危険【キケン】のK、予知【ヨチ】のY、トレーニングのTをとった「危険予
味の素(株)及びそのグループは、
災害の発生件数および度数率(※1)・強度率(※2)
株
主
・
投
資
家
様
知訓練」の略称
1. 災害及び事故の未然防止のために、危険性を発掘・評価
し、その低減除去を絶えず講じます。
重 大
2. 「決めたことを守り、守らせる」ことを徹底し、ライン主
導のもと、安全衛生活動の継続的な向上を図ります。
3. 非常事態発生時の被害を極小化するため、体制の強化と
国内
総計
休 業
不休業
対応の円滑化を図ります。
4. 従業員一人ひとりが常に健康に業務を遂行できるよう支
重 大
援活動を積極的に行い、また、職場の安全衛生に充分配
海外
総計
慮します。
休 業
不休業
2005年度防災安全改善目標
味の素グループは、2004年度「重大災害を昨年度の
2分の1にする」を残念ながら達成できませんでした。
災害件数
災害件数
度 数 率
強 度 率
災害件数
度 数 率
災害件数
災害件数
度 数 率
強 度 率
災害件数
度 数 率
2003年度
2004年度
19
26
1.02
0.026
85
3.34
82
150
4.60
0.056
153
4.69
24
31
1.23
0.046
72
2.85
92
139
4.66
1.059
194
6.50
地
域
社
会
※1労働災害による死傷者数÷延べ実労働時間数×1,000,000
※2労働損失日数÷延べ実労働時間数×1,000
従
業
員
労働安全衛生マネジメントシステム
国内では物流会社の災害が増加、強度率も悪化しま
味の素グループは、災害や労働安全レベル向上のた
した。安全点検・労働安全コンサルタントの導入などを
め、労働安全衛生マネジメントシステム構築を始めま
行い、災害削減に重点的に取り組んでいきます。海外
した。2003年から運用を開始した味の素
(株)九州事
も死亡事故が4件発生、強度率は大きく増えました。
業所に続き、2004年は東海事業所でも部分運用を開
始、川崎事業所も2005年上期には部分運用を始めま
防災安全活動の実行・推進体制図
経営会議
防災安全会議
事務局:味の素(株)生産戦略部
推進体制
防災安全推進本部
事務局:味の素(株)生産戦略部
部会
・生産部会・オフィス部会・R&D部会
実行体制
食品
コーポ
アミノ酸
医薬
レート カンパニー カンパニー カンパニー
中国事業
総轄部
味の素
味の素
冷凍食品 ベーカリー
(株)
(株)
す。海外でもブラジルの3工場がOHSAS
地
球
環
境
18001*の認証を取得するなど、国内外の事業場でシ
ステム構築に向けた取り組みを行っています。
今年度導入予定事業所/味の素(株)川崎事業所、エース構内サービス
(株)
、
(株)味の素コミュニケーションズ、マレーシアパッケージングイ
ンダストリー(株)、クノール食品(株)、東海クノール食品(株)、中部
クノール食品(株)、アメリカ味の素(株)ノースカロライナ工場、味の
素ユーロリジン(株)、味の素冷凍食品(株)関東工場・中部工場・四国工
場・九州工場の13事業場
*OHSAS18001:労働衛生マネジメントの国際規格
味の素グループ CSRレポート2005
48
第1章 社会のなかで
従業員とともに
教育・人事制度
味の素グループは、23の国と地域にネットワーク
お
客
様
をもつグローバル企業として、またアミノ酸のリーデ
21世紀の味の素グループを発展させる人材確保と
ィングカンパニーとして、今後さらなる事業展開をし
育成を推進するため、2004年4月からGEM *1 制度を
ていくため、世界に通じる人材の育成に力を入れてい
スタートしました。この制度は、グループ経営戦略上
ます。
特に重要なポスト(グループ経営基幹職:GEM)を定
味の素グループの人事理念として、3つの人材バリ
ューに対応した3つの人事ポリシーを定め、これに基
づいて人事の施策や人材教育を実施しています。
取
引
先
様
め、優秀な人材をグループベースで世界中から登用・配
置するものです。
グローバルリーダーの育成として、GEM制度に連
2004年12月には新しく「味の素グループ高輪研修
動した教育体系も「グループ経営プログラム」として整
センター」を開設。ここを拠点としながら、2005年
備。役員研修・GEM研修・プレGEM研修のほか、国内
度は人材育成のステージアップの年として、より力強
外のマネジメント層を対象とした「AIMS * 2 」も含め、
い「個」と「組織」の育成に向けて各種教育施策を拡充し
グループの価値観の確認、経営知識の習得、リーダー
ます。
株
主
・
投
資
家
様
グローバルに活躍できる人材の配置・育成
シップスキルを高める研修などを行っていきます。
*1
GEM:Group Executive Manager
*2 AIMS:Ajinomoto International Management Seminar
ライン
マネジメント
教育
通
年
採
用
者
プ
ロ
グ
ラ
ム
地
域
社
会
役員研修
GEM研修
プレGEM研修
キ
ャ
リ
ア
教
育
階層別プログラム
国内関係会社
味の素
グループ AIMS
経営研修
味の素(株)
海外関係会社
グループ教育での人材交流
若手育成
プログラム
従
業
員
味の素(株)では、上記のように目的を絞ったプログラムを
従業員のやる気を高める教育制度
体系化し、その仕組みとプログラム内容を「キャリア開発ガ
イド」にまとめています。2002年度から毎年改定発行し、
私は、1986年に技術者として味の素グループに加
全従業員に配布。研修には一部のグループ会社従業員も参
わりました。現在は工場の総務人事に加え、新アミノ
加できます。
酸工場完成後は工場長になります。私にとっては大き
な挑戦ですが、これまでの味の素グループでの経験が
自信を与えてくれています。私は、味の素グループの
地
球
環
境
成功の理由は、グローバル化と従業員教育に焦点を当
て、現地従業員にも成長の機会を
提供する経営方針だと考えます。
このような会社だからこそ、味の
素グループの成長のためにこれか
らも私はベストを尽くしたいです。
CARLOS TETSUYA TAKATA
味の素インテルアメリカーナ
(有)技術開発センター
味の素グループ高輪研修センター
49
味の素グループ CSRレポート2005
競争力強化に向けた専門性の向上
振り返って自分のキャリアの軌跡を確認でき、今後の
味の素(株)では、各業務で必要とされるスキル向上
キャリアプランを立てる際の参考にもなります。これ
のために、2004年度から専門性を強化するプログラ
をもとに、年1回上司と今後のキャリアデザインにつ
ムを整備しました。マーケティング・生産・研究・営業・
いて話し合う「キャリア開発フォロー面接」を実施。希
財務・人事・法務に関する「機能別プログラム」と、食品
望者は、人事部が選定したカウンセラーによるキャリ
事業・アミノ酸事業・医薬事業を対象にした「事業別プ
アカウンセリングを受けることができます。
ログラム」の2本柱で従業員の専門性を磨き、会社の競
争力を高めていきます。
お
客
様
また、人材を求める部署が社内で公募の告知をし、
キャリア変更を望む人が応募する「人材公募制度」もあ
取
引
先
様
ります。
生産現場の従業員サポートを強化
味の素
(株)では2005年度から生産部門の研修とし
て各業務・部門で必要とされるスキル向上や個人CDP*
実現に向けた「テクノスクール」を設置しました。これ
株
主
・
投
資
家
様
は、上司の推薦と本人の希望により、最大半年間の教育
を受けてキャリアアップをめざす仕組みです。2005
年度はテスト・ランを開始し、2006年度開校予定です。
*CDP:Career Development Planの略
キャリア開発プランのこと
キャリア開発ガイド
自己申告による評価の仕組み
地
域
社
会
キャリアサポートセンター
味の素(株)は、従業員の主体性を重視した評価・昇
味の素(株)は、2005年に「キャリアサポートセン
格・処遇を推進するために、半期に1度自己評価を行っ
ター」を開設する予定です。現在実施している年1回の
ています。これをもとに上司と面談し、各自の役割と
エントリー制キャリアカウンセリングだけでなく、希
期間中の成果を適切に評価するよう努めています。
望者がいつでもカウンセリングやガイダンスを受ける
基幹職への昇格についても、年功序列ではなく個人
ことができる体制をつくり、相談機能を強化します。
が自ら選択するキャリア開発の1つと位置づけ、従業
また、現在は希望者対象に行っているキャリア開発
員が条件を満たせば基幹職に挑戦できる「チャレンジボ
研修に年齢別必須研修を加え、個々人が自らキャリア
ックス制度」を設けています。面接と論文の審査を経
をデザインし、グループ内外に通用する価値ある人材
て、5年以内のチャレンジボックス期間中に実力が認
に成長するための支援を行います。また人材情報を集
められれば基幹職になれる仕組みです。
約し、グループとして人材の効率的な活用や、能力発
従
業
員
揮の場の拡大を図ります。
地
球
環
境
キャリア支援制度
味の素(株)は、従業員一人ひとりが自分のキャリア
を明確に描き、描いたキャリアを実際に実現できるよ
う、キャリア支援を整備しています。
「キャリアデザインシート」は、自分と上司だけが見
られるイントラネット上のページに、自分の職務の履
歴や目標・成果・満足度などを毎年記入するものです。
味の素グループ CSRレポート2005
50
第1章 社会のなかで
従業員とともに
従業員の社会活動
味の素グループは、社会貢献活動への意識を浸透さ
せるため、従業員が主体的に行うボランティア活動を
奨励しています。
お
客
様
味の素
(株)京橋地区
「ラオスの子どもたちにラオス語の絵本を送ろう」体
験ボランティアを実施しました。参加者は、楽しそう
に絵本を読むラオスの子どもたちを想像しながら作業
■「味の素グループ社会活動賞」
2001年に「味の素グループ社会活動賞」を導入し、
取
引
先
様
を行い、国際協力の一端を体験することができました。
海外事例
長年にわたって社会貢献に参加している従業員を毎年
ペルー味の素
(株)
表彰しています。2004年度は国内・海外合わせて12
事務所と工場、
名が受賞しま
グループ会社従業
した。
員が児童養護施設
児童養護施設訪問 ペルー味の素(株)
を訪問し、一日交流会を実施しました。今私たちにで
株
主
・
投
資
家
様
社会活動賞を受賞した、
味の素インテルアメリ
カーナ(有)従業員の活
動の様子
きる一番の支援は何かを真剣に考え、当日は、ガーデ
ニング・料理・ゲーム・パーティーなど、グループごと
に子どもたちと楽しい交流を行いました。
味の素
(香港)
(株)
■「AJINOMOTO GROUP CITIZENSHIP DAY」
一人暮らしの高齢者の集いを開催し、「京劇の名前当
てゲーム」などの従業員自作のゲームで大いに盛り上が
味の素グループは、2003年から毎年6∼8月の3
地
域
社
会
りました。
ヵ 月 間 、 「AJINOMOTO GROUP CITIZENSHIP
DAY」を実施しています。これは、従業員と家族が社
会貢献活動に参加し、地域社会と交流を深めて、社会
2004年10月の新潟県中越地震の被災地に対し、味の素
の一員であることを実感する日を主体的に創造するこ
グループはレトルト「おかゆ」製品の提供と、従業員による
とを奨励するキャンペーンです。キャンペーン終了後、
従
業
員
新潟県中越地震ボランティア
義捐金を支援しました。また、日本経団連が主催し、日本
NPOセンターの呼びかけで実施された「企業人ボランティ
全実施企画の内容をまとめて報告書を作成しています。
アプログラム」
に、味の素
(株)の従業員2名が参加しました。
2004年度は、国内海外合わせて54件、約2,900人
参加者のコメント
「倒壊したブロック塀・瓦礫の片付け作業、仮設風呂の掃
の参加がありました。
除、飲料水の積込み・運搬・荷卸作業を行う中での被災され
た皆様およびボランティアの方々との交流は、深いつなが
国内事例
りを感じるものになりました。」
味の素ベーカリー(株)と東海クノール食品(株)
協賛している大井川花火大会で、花火大会後のゴミ
地
球
環
境
の放置が問題になっていることから、寄付だけでなく
(生産技術開発センター 桜井 秀真)
「少しずつでも、大勢が集まれば大きな力になるというこ
とをあらためて感じさせられました。
」
(健康基盤研究所 秋山 愛)
後始末にも参加しよ
うと声かけをし、花
火大会翌日の会場清
掃にボランティア参
加しました。
花火大会清掃 味の素ベーカリー(株)、東海クノール(株)
51
味の素グループ CSRレポート2005
新潟県中越
地震被災地
の様子
第2章
地球環境のために
味の素グループ環境基本方針
環境ビジョン
「味の素グループ・ゼロエミッション」
53
53
目標と実績
55
マテリアルバランス
57
環境マネジメント
59
環境マネジメントシステム(EMS)
59
環境監査
60
環境アセスメント
61
環境事故、法令違反、苦情の状況
61
環境教育
62
環境リスクへの対応
62
グリーン調達
62
環境パフォーマンス
63
地球温暖化防止に向けて
63
排水負荷削減
64
廃棄物削減
65
容器包装への取り組み
65
化学物質の管理
66
土壌汚染への対策
66
モーダルシフト
67
物流におけるその他の取り組み
67
生物多様性
68
オフィスにおける取り組み
68
環境コミュニケーション
69
味の素グループ CSRレポート2005
52
第2章
地球環境のために
資源循環型プロセスを取り込み、技術開発を積極的に推進し、環境負荷ゼロを実現します。
地域社会に支えられながら事業活動を行う味の素グループは、生態系にも配慮した事業展開を
めざすとともに、生活者の視点に立ち、ありのままの姿をいつでもお見せする事業所となります。
お
客
様
味の素グループ環境基本方針
取
引
先
様
環境理念
味の素グループは環境問題に対して、環境マネジメ
私たちは、地球環境とグローバルな企業活動との調和を
図り、継続的な環境改善に努め、よりよい社会の実現に
ントシステム
(EMS)の構築や、各国・各地域における
貢献します。
法令遵守の徹底など着実な取り組みを続けてきました。
味の素グループは、農畜水産物を主な原料にして、国際的な
ルールに従い、多くの国や地域でビジネスを展開しています。
気候、政治、文化、宗教、法律などが異なる地域の人々と一緒
株
主
・
投
資
家
様
環境ビジョン
「味の素グループ・ゼロエミッション」
に考え、行動し、自然との共生を図り、それらの環境を継続的に
よりよい方向に変えていくよう努めます。
しかし、法規制を遵守しても実際には相応の環境負荷
を与えています。グループで統一した考え方・基準をも
って、環境負荷低減により積極的に取り組むことが必
要と考えました。そこで、2003年度から「味の素グ
ループ・ゼロエミッション」という考え方に基づき、あ
環境基本方針
らゆる事業領域から発生する各種の環境負荷を極小化
1. 環境に対するグローバルな動向に関心を持ち、的確な
する目標を定め、活動を展開しています。
対応に努めます。
全地球的な国際規格や国際的な枠組みなどの国際標準と、世界
地
域
社
会
各国における環境行政や規制を常に注視し、それらに対して的
確に対応するとともに、自主基準を定めて、計画的に対応して
「味の素グループ・ゼロエミッション」05/10計画を
策定しました。「味の素グループ05/10中長期経営
いきます。
2. 地球環境への負荷の低減に努めます。
計画(
事業活動にともなう地球環境への影響(オゾン層の破壊、地球温
暖化、酸性雨、海洋汚染、砂漠化、野生生物種の減少など)を常
に考慮し、すべての事業活動から生じる環境への負荷を低減し
ていきます。
従
業
員
2004年度には、この考え方を具現化するために、
3. 資源を大切にすることを原点に、省資源・省エネルギー
に努めます。
-dvance 10)」の一環として、重要な環境負
荷項目について2010年度までに達成するグループ共
通の具体的な目標値を定めています。
これらの達成目標値は、現在の法規制値のさらに約
10分の1をめざすものも含まれるなど厳しい内容とな
主要製品の「味の素」やその他のアミノ酸の製造は資源・エネルギー
多消費型の産業です。その製法の歴史は省資源・省エネルギーへ
の取り組みの連続といっても過言ではありません。さらなる生
産効率の向上や、副生物の有効利用を重点に、日常のきめ細か
な取り組みを含めて省資源・省エネルギーを進めていきます。
4. 資源の有効利用や環境の改善に役立つ、新技術、新シス
っていますが、味の素グループは、こうした積極的な
取り組みこそが技術革新を加速させ、企業としての永
続的な発展を強化し、地球環境の保全につながると確
信しています。
テムの開発に努めます。
廃棄物や副生物を有効利用するための技術開発はもちろんのこ
地
球
環
境
と、生産効率の向上や廃棄物などの発生抑制など、商品の設計
段階から廃棄段階までを意識して、環境負荷のより一層少ない
生産技術やシステムの開発に取り組みます。
5. 環境保全に関する教育、啓発と情報提供及び外部との
連携に努めます。
環境への取り組みの情報を開示、 提供し、 社会とのコミュニ
ケーションのより一層の向上を図るとともに、グループ内への
情報発信と教育体系を整備し、一人ひとりの環境意識の向上に
努めます。
1997年11月制定
味の素グループ各国の環境方針
53
味の素グループ CSRレポート2005
ウェブでも環境への取り組みについて公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
02/04グループ環境保全3ヵ年計画の総括
事業の永続的発展
● 競争力強化・ブランドへの信頼
● 事業を通じての社会貢献
● 環境・資源の永続的な保全
2004年終了の味の素グループ環境保全3ヵ年計画
では、具体的目標を設定し、下記の成果を出しました。
お
客
様
環境マネジメントでは、環境マネジメントシステム
(EMS)構築のほか、グループ環境監査の実施、内部監
環境負荷の
極小化
環境に貢献する
事業・製品の推進
コスト削減
査員の育成をほぼ予定通り実施し、環境アセスメント
の運用強化も図りました。環境パフォーマンスでは、コ
環境マネジメントシステム
ISO14001規格への準拠
ンプライアンスに大きな問題が生じることもなく、「グ
取
引
先
様
内部監査の実施
環境アセスメントの徹底
環境教育
*
ループ・グローバル・ミニマム環境基準(GGM基準)
」
の導入など、管理体制が強化されました。環境コミュ
「味の素グループ・ゼロエミッション」の追求
ニケーションでは、環境報告書へのCSR視点加味、ス
テークホルダーとの対話の開始など、大きな進展があ
アミノ酸発酵関連商品
調味料・加工食品
副生物・廃棄物の削減
容器包装類の削減
排水負荷の削減
販売不能商品の削減
CO2排出量の削減
環境保全
テーマ
医薬・化成品・包材関連
生ゴミなどの廃棄物削減
りました。
株
主
・
投
資
家
様
*GGM基準:世界中どの地域であっても、味の素グループとして最低限遵守する
環境に関する自主基準。
物流・サービス・オフィス
05/10グループ環境保全6ヵ年計画に向けて
2010年には、地球環境問題に対する企業の取り組
みがさらに求められ、環境経営があたり前になるとい
c
o
l
u m n
地
域
社
会
う認識のもと、「味の素グループ・ゼロエミッション」
05/10計画を達成するため積極的に活動します。
持続可能な社会を
ゼロエミッションで実現
具体的には、環境マネジメントシステムを「構築」か
ら「運用の定着化」の段階へ移行し、これをベースに地
国連大学は、国連地球サミット宣言「持続可能な発展
球環境の持続性と事業の永続的発展を図るため、具体
のための人類の行動計画」を受けて、1994年からゼロ
的な環境負荷削減の取り組みを推進します。環境パフ
エミッションを推進しています。単に廃棄物ゼロのみ
ォーマンスでは、容器包装のグリーン化やグリーン調
ではなく、社会の全ステークホルダーの協働による持
続可能な社会形成をめざしています。
これまでも世界の「食」と「健康」に貢献されてきた味
達、環境視点からの商品・技術の差別化も推進します。
また、その取り組みを社内外へ積極的に情報開示し、
の素グループが、あらゆる環境負荷極小化の追求を通
ステークホルダーとの対話を行い、企業価値の向上を
して、世界の持続可能な発展と社会形成のための行動
図ります。さらに、環境コミュニケーションではCSR
を開始し、すでに多くの成果を挙げられていることは
視点の取り込みやステークホルダーとの交流を積極的
喜びに堪えません。今後も、ゼロエミッションのスピ
リッツをいかしたこの活動を推進し、世界からいっそ
う尊敬と信頼を受けられる企業グ
ループであられることを祈念します。
従
業
員
地
球
環
境
に展開します。また、個別事業所による情報発信を推
進します。
なお、「味の素グループ・ゼロエミッション」05/
10計画は2010年に向けた6ヵ年計画として策定し
国際連合大学
ゼロエミッションフォーラム
会長
藤村宏幸
ていますが、環境問題の動向が活発であることを踏ま
え、その中間年で計画の見直しを行い、地球社会の要
請に真摯にかつ適切に対応していきます。
味の素グループ CSRレポート2005
54
第2章
地球環境のために
目標と実績
2004年度に味の素グループ環境保全3ヵ年計画(2002∼2004年度)を終了し、
2005年度より新たな6ヵ年計画(2005∼2010年度)を開始しました。
2002∼2004年度 味の素グループ環境保全 3ヵ年計画
お
客
様
3ヵ年の目標
3ヵ年の実績概要(および2004年度の実績)
環境経営実現のための仕組みの構築と運用(国内外グループ全体を網羅するグループ環境マネジメント体制の構築とその運用)
2005∼2010年度
味の素グループ環境保全 6ヵ年計画
参照頁
2010年度までの目標
「仕組み構築」から「運用の定着化」へ
環境マネジメント運用体制
環境マネジメント推進体制
●「環境規程」などを随時改定し、社会の要求に対応した国内外グ
ループ全事業領域での環境経営を推進
●新カンパニー体制でのEMS運用の
定着化
●グループ各社のEMS構築推進
●カンパニー制の導入に合わせ、味の素
(株)
を中枢とする国内外
グループ全体にわたる環境マネジメント体制に再編(2002年度)
●内部管理面強化のための環境会計
システムの導入(2007年度)
●グループ環境マネジメント基準の設定
●「環境部」を「コーポレート環境経営推進部」に改称(2003年度)
●環境目標達成・環境貢献度の業績評価
への反映
●本社の環境マネジメントシステム(EMS)
構築・運用
○
取
引
先
様
●味の素(株)本社・支社の認証取得(2003年4月)により味の素
(株)全社で取得完了
●国内外グループ65サイトで認証取得済み(2004年度)
ISO14001等認証取得
○
●国内外主要事業所での取得完了
〈2005年度末までに 約100サイト
(当初)
〉
●事業拡大による新サイト増加、非子会社関係会社への適用拡大、
自主的取り組み増加により対象サイトを114サイトに拡大
(2004年度)
●おおむね計画通り2005年度までに取得完了見込み。ほかも取
得計画を策定。
株
主
・
投
資
家
様
マ
ネ
ジ
メ
ン
ト
●グループ全事業領域を対象範囲とする環境担当役員直結の環境
監査を運用
環境監査
●グループ環境監査の運用強化と効率化
△
▲事業拡大や環境テーマの範囲拡大に対応するため、重点化や
監査部監査との連携を図ったが、さらなる効率化に課題
●「グループ・グローバル・ミニマム」環境最低
基準の制定・導入と対応完了
○
環境アセスメント
○
●検討する事業範囲、項目の拡大
●実施・運用の徹底
●年次実績集計の対象範囲拡大
△
〈味の素(株)生産部門から国内外
グループ全体へ〉
環境教育
●経営層、従業員の啓発教育
●専門教育、訓練による職責能力の保持、向上
○
●内部監査員の増員
環境監査
●グループ環境監査の効率的実施
P.60
遵法体制の再徹底
●法規制動向の把握(特に海外)
●環境アセスメントの実施対象を工場設備投資案件に加え、商品
廃棄、不動産売買、新商品開発など広範な環境テーマに拡大。
稟議案件における環境アセスメント審議の義務化(2002年度)
環境アセスメント
●環境報告内容の拡充
○
●ステークホルダーとの対話推進
社会からの評価の向上
●環境視点からの商品、技術等の差別化推進
●環境経営格付への対応、表彰など
●味の素(株)全社、国内主要生産・非生産部門、海外主要生産部門
を範囲とする年次実績集計体制を運用
環境実績集計
▲海外非生産部門などへの展開に課題
●国内外全事業領域の集計
▲迅速な集計体制に課題
●各事業ドメインでの内部管理活用
●ISO14001認証取得活動を通じ実施。新入社員研修や昇格研修
などで体系的に実施。専門教育・訓練を各部門で計画的に実施
環境教育
●年次教育ビデオによる全国内外グループ従業員の啓発を開始
(2004年度)
味の素グループ CSRレポート2005
P.61
●迅速な集計体制の確立
ウェブ
●経営層、管理者層の啓発
●専門教育、訓練による職責能力の
保持・向上
P.62
●内部監査員のレベルアップ
CSR視点からの企業価値評価の向上
○
○
●川崎地区の土壌汚染状況・対策を公表(2002年度)
●CSRを網羅した「社会・環境報告書」を発行(2004年度)
●環境NPOなど各種ステークホルダーとのダイアローグを開催
(2004年度)
社会・環境コミュニケーションの
強化
●副生物有効利用ビジネスの拡大
●CSRコミュニケーション強化のため
の体制整備
●植物由来プラスチック技術開発、アミノ酸の環境性・有用性研究
●「容器包装エコインデックス」の随時改訂
○
●CSRレポートの早期発行
〈2005年9月〉
●LCA指標による評価手法を検討
●積極的な情報公開、ステークホルダー
との対話推進
●「FTSE4Good」インデックスに組み入れ(2003年度)
●個別サイト(全事業所)における
サイトレポート発行の推進
●「環境経営格付」に参加
●「東海バード・サンクチュアリ」が諸表彰を受賞
●サステナビリティ、CSRへの展開
●仕組みの改善と確実な運用
P.61
●年次環境報告書を継続発行
(2002年11月、2003年11月、2004年10月)
情報公開、環境広報の強化
55
●新規サイトでの着実な対応
●すべての生産系事業場で対応完了(2004年度)
環境視点からの企業ブランド力の向上
地
球
環
境
P.59
●累計111サイトで取得(2005年度)
●「グループ・グローバル・ミニマム」制定(2002年度)
●「内部監査員養成講座」の定期開催により、累計700名以上を
育成(2004年度)
〈国内グループ500名育成〉
コ
ミ
ュ
ニ
ケ
ー
シ
ョ
ン
●対象サイトを130サイトに拡大
(2005年度)
●100%実施体制構築
環境実績集計
従
業
員
ISO14001等認証取得
環境自主基準
〈廃棄物の自社所有地への埋立禁止〉
〈COD、窒素に関する排水中の環境負荷量規制〉
地
域
社
会
●計画通り年間約40拠点の監査を実施
P.59
●CSR推進本部を設立(2005年4月)
P.62
P.66
P.69
ウェブでも環境への取り組みについて公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
自己評価
注1)一部の項目の達成目標は、2007‐2010年度を達成時期として決定された。これらの項目については、
2004年度までの進捗状況について、実績評価を示した
注2)2007-2010年度までに達成
注3)2007年度までに達成
○:目標をほぼ達成
△:目標に対し、実績を上げたが課題もあり
×:目標未達成
2002∼2004年度 味の素グループ環境保全 3ヵ年計画 注1
3ヵ年の目標
2001年
温室効果ガスの
排出量削減
〈CO2 排出量原単位10%
削減(対2001年度)〉
○
●環境ビジョン
「味の素グループ・
ゼロエミッション」を
策定(2003年度)
●原単位指数*1
△
●排出量
*2
100
187万トン
*1:対生産重量あたり
*2:生産部門
お
客
様
参照頁
2010年度までの目標
2004年
環境保全の管理強化と環境負荷の改善(「味の素グループ・ゼロエミッション」計画の推進)
環境ビジョン
「味の素グループ・ ビジョン・行動計画の策定
ゼロエミッション」
2005∼2010年度
味の素グループ環境保全 6ヵ年計画
3ヵ年の実績概要(および2004年度の実績)
「味の素グループ・ゼロエミッション」行動計画の策定と着実な推進
●「味の素グループゼロ
エミッション」
05/10計画として
達成目標を見直し
強化(2004年度)
*1
●原単位指数
84
*2
●排出量 211万トン
▲事業拡大による発生
総量増加に課題
●「味の素グループ・ゼロエミッション」
05/10計画達成に向けた各部門の
ロードマップ策定と遂行
P.53
●全生産系事業場CO2 排出量原単位
(対売上高)20%削減(対2002年度)
取
引
先
様
●全国内生産系事業場CO2 排出総量46万トン以下
●全国内非生産系事業場CO2 排出総量
2002年度実績より増加させない
P.63
●全国内商品物流部門CO2 排出総量
2002年度実績より増加させない
排水汚濁負荷
削減
〈個別事業所到達目標:
“排水ゼロエミ工場”
△ ●排水量 201百万トン※
(BOD10ppm以下、
TN5ppm以下)達成 注2 〉
〈廃棄物単純処分量
○ ●120トン
50%削減(対2001年度)
〉
廃棄物削減
パ
フ
ォ
ー
マ
ン
ス
〈グループ全体到達目標:
資源化率 99.0% 注3 〉
〈個別事業所到達目標:
“廃棄物ゼ
ロエミ工場”
(資源化率99.0%
以上)達成 注3 (約70生産事
業所対象)〉
販売不能商品
〈廃棄商品発生重量50%
発生量削減
削減(返品率0.5%達成)
(国内家庭用
(対2002年度)注3 〉
商品)
●全グループ
○
○
▲個別の改善は着実に
進展したが、負荷総量
の評価集計に課題
●全生産系事業場廃水処理設備出口における
排水汚濁負荷濃度
BOD≦10ppm、TN≦5ppm
93.2%
P.65
●全グループ
97.8%
●発酵関連生産部門
99.0%
●廃棄物ゼロエミ工場 ●廃棄物ゼロエミ工場 24工場
9工場※
(国内11、海外13)
(国内1、海外8)
3,800トン※
●重量 ●返品金額 13.3億円※
●返品金額
●返品率
●返品率
1.0%※
2,242トン
8.2億円
0.6%
●全生産系事業場および非生産系事業場
資源化率99%以上
●国内全販売事業場2007年度までに50%削
減
(対2002年度)
し、以降増加させない。海外
については、実態調査の上、数値目標を設定
大気汚染負荷
削減
●全生産系事業場・全物流部門 NOx、SOx
など実態調査の上、個別に削減目標設定
有害化学物質
削減
●全生産系事業場有害化学物質排出量
実態調査の上、個別に削減目標設定
*1:味の素
(株)
(「味液」バルク輸送
を除く)
、味の素冷凍食品
(株)
●モーダルシフト率* 1
○
*2:味の素
(株)
、
味の素冷凍食品
(株)
の国内製品輸送
21.8%※
●モーダルシフト率* 1
26.3%
●CO2 排出量原単位* 2
139g-CO2 /トンキロ※
●CO2 排出量原単位* 2
130g-CO2 /トンキロ
グリーン調達の
推進
容器・包装の
グリーン化
(環境配慮)
推進
●全国内商品物流部門CO2 排出総量
2002年度実績より増加させない
●間接材エコ品購入金額比率
(味の素
(株)
)
50%(2005年度) 70%(2007年度)
●家庭用容器包装材重量*1
21.1千トン
商品開発段階からの
設計・材質検討
*1:味の素
(株)
容器包装リサイク
ル法対象容器包装
△
P.66
従
業
員
−
P.66
P.67
P.62
地
球
環
境
●家庭用容器包装材重量 *1
19.0千トン
・「容器包装エコインデックス」運用により
個別改善実施
・「日本パッケージングコンテスト」で受賞
・「Ecoデザイン開発部会」活動を開始(2003年度)
・植物由来プラスチックを一部商品に採用
(2003年度)
▲取り組み全体の定量的評価手法、グループ
全面展開に課題
環境視点からの商品、
技術等の差別化推進
P.65
●国内外販売事業場廃棄商品の資源化率
99%以上
●全生産系事業場特定フロン保有量
2007年度までにゼロ化
物流効率の改善
およびグリーン化
の推進
P.65
地
域
社
会
フロン保有量
削減
モーダルシフト率向上
およびCO2 排出量の削減
株
主
・
投
資
家
様
P.64
●全生産系事業場排水量原単位
(対生産量)
20%以上削減(対2002年度)
●44トン
●発酵関連生産部門
94.7%
●重量
○
●排水ゼロエミ工場
6工場(国内4、海外2)
●排水量190百万トン
●「エコインデックス」評価点の向上へ向けて
の全社横断的取り組み
●自社、他社製品の「エコインデックス」評価
によるベンチマーキング
P.65
●「Ecoデザイン開発部会」の機能発揮
(2005年度)
●環境視点からの商品開発、技術開発
P.57,61,
63,65
※2002年度数値
味の素グループ CSRレポート2005
56
第2章
地球環境のために
マテリアルバランス
INPUT 資源・エネルギーの投入
お
客
様
医薬・化成品・
包材関連
10%
食品関連
10%
エネルギー
*
32,100TJ
物流・サービス・
その他関連
2%
210万 MWh
購入エネルギー(蒸気)
3万2千
TJ
取
引
先
様
購入電力
エネルギー投入量
発酵関連
78%
63万 t
3
ガス
270百万 m
石油
290百万 r
石炭
2,500 t
*TJ:テラジュール。T
(テラ)=1012
食品関連
11%
株
主
・
投
資
家
様
医薬・化成品・包材関連
3%
原材料
主 原 料
農畜水産物等
副 原 料
酸・アルカリ
820 千t
他
540 千t
3,970千
4,110千t
トン
容器包装材料
(主・副原料3,970千t)
主・副原料使用量
地
域
社
会
食品関連
12 %
発酵関連
86%
医薬・化成品・包材関連
9%
水
2,610 千t
プラスチック類
46 千t
紙、ダンボール
55 千t
他
39 千t
上水
6,000 千t
工業用水
46,000 千t
河水・井水(直接使用)
40,000 千t
2億2千5百万
225,000千t
従
業
員
トン
水使用量
発酵関連
79%
河水・井水(間接冷却使用)
133,000 千t
事業ごとの環境負荷の特徴
発酵関連の事業
地
球
環
境
57
食品関連の事業
発酵関連事業の売上高はグループ全体の約27%で
食品関連事業における環境負荷低減には、廃棄商品
すが、発酵法によるアミノ酸の製造では、電気や蒸気
の削減、食品廃棄物の削減・資源化、容器包装の改善や
などのエネルギーを大量に使用するほか、水資源も大
容器包装廃棄物の資源化など、市民生活や流通業界と
量に使用するなど、ほかの事業に比べて大きな環境負
の緊密な連携が必要となります。そのため味の素グルー
荷をもたらします。
プでは、生産・販売活動によって発生する環境負荷の低
そこで味の素グループでは、製造工程の革新による
減はもちろん、流通各社との連携や消費者への啓発活
省資源・省エネに努めるとともに、排水量の削減、副生
動を積極的に行い、社会全体の環境負荷低減や持続可
物の有効利用を進めています。
能な循環型社会への改善に努めています。
味の素グループ CSRレポート2005
ウェブでも環境への取り組みについて公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
環境実績データの集計範囲は、M&Aや事業の拡大、実績集計が新たに可能になったなどの理由により、2004年度の報告と比較し、国内で5事業所、海外で5事業所拡大してい
ます。過去のデータについては集計範囲の拡大を可能な限り反映して再集計しています。
物質の排出・環境への影響
OUTPUT
お
客
様
廃棄物処理(外部処分) 45千t
製品
1,580千t
大
気
へ
の
排
出
物
質
副生物・排出物
医薬・化成品・
包材関連
3%
物流・サービス・
その他関連
1%
2,076 千
トン
食品関連
3%
医薬・化成品・ 物流・サービス・
包材関連
その他関連
8%
2%
CO2
216 万t-CO2
・直接燃焼分
・購入エネルギー分
NOx
SOx
煤塵
フロン 特定フロン等
216万
トン‐CO2
120万 t-CO2
96万 t-CO2
47,000 t
9,200 t
5,100 t
14.4 t
1.6 t
代替フロン
食品関連 CO2排出量 発酵関連
10%
80%
取
引
先
様
発酵関連
93%
副生物・排出物発生量
医薬・化成品・
包材関連
10%
食品関連
14 %
副製品・
再資源化
排
水
2,031
千t 資源化率
1億9千7百万
トン
排水量
97.8%
食品リサイクル法に基づく物質収支
生産
製品
発酵関連
76%
株
主
・
投
資
家
様
排出先
公共水域(処理後放流など) 52,000千 t
公共水域(間接冷却水) 132,000千 t
公共下水
4,400千 t
灌漑用水に利用
8,900千 t
排水負荷量(処理後放流など)
BOD
360 t
窒素
1,670 t
地
域
社
会
集計対象範囲:味の素(株)、
味の素冷凍食品(株)、
クノール食品(株)グループ、味の素パッケージング(株)、
食品
(株)、
味の素ファルマ(株)など28会社・事業所の
味の素ヘルシーサプライ
リサイクル率
国内食品商品群(容器包装材料は含まない中味重量)
93.0%
517千t
販売不能商品
工程生ゴミ
2,242t
20,736t
医薬・化成品・包材関連の事業
医薬・化成品・包材関連の事業では省エネ、廃棄物削
減などのほか研究開発や製造時における化学物質の適
正な使用に努め、管理の強化に取り組んでいます。
物流・サービス関連、その他の事業
食品リサイクル対象廃棄物
22,978t
再資源化
外部委託処理
21,377t
従
業
員
1,601t
連結売上高※
※提携事業
(油脂、コーヒー、乳製品等の事業)
を除く味の素グループの事業を、製
造方法などによる環境負荷の特徴をもとに区分したもの。 連結財務会計上の事業
セグメントの区分とは異なる。
発酵関連
物流・サービス・
その他関連
27%
11%
物流事業(倉庫業務を含む)では、燃料消費による
地
球
環
境
連結売上高
約8,243億円
CO2 排出量の削減、排出ガスによる大気汚染の防止、廃
棄商品の遵法適正処分、事故にともなう環境汚染への
医薬・化成品・
包材関連
食品関連
対策など安全・環境対策に注力しています。
17%
45%
味の素グループ CSRレポート2005
58
第2章
地球環境のために
環境マネジメント
■ 環境マネジメントシステム
(EMS)
ISO14001認証取得状況
味の素グループでは、ISO14001規格を環境マネ
味の素グループは「味の素グループ環境基本方針」と
お
客
様
「環境規程」に基づき、ISO14001に則した環境マネ
のすべての組織とともに、製造、包装、物流、エンジ
ジメントシステムを構築しています。
ニアリングを事業内容とする連結子会社などの事業所
環境方針では、全事業活動において環境との調和を
取
引
先
様
株
主
・
投
資
家
様
ジメントにおける基本ツールと位置づけ、味の素(株)
130ヵ所での認証取得をめざしています。
図り、持続可能な循環型社会の実現に貢献することを明
2005年4月現在、味の素(株)のすべての組織(工
示。社会の変化に応じ、2005年度も環境規程を改定
場・研究所・本社・支社など)24ヵ所、国内外子会社な
しました。環境活動に関するグループの意思決定は、年
ど 4 1 ヵ 所( 国 内 2 3 、 海 外 1 8 )の 計 6 5 ヵ 所 で
2回開催される「環境会議」で行われ、各カンパニー・分社
ISO14001認証を取得しています。
などの責任者である統括環境管理者が出席します。各カ
ISO14001認証取得を基本としているものの、一
ンパニーなどの環境管理事務局による「EMS推進事務
部ではエコアクション21やグリーン経営認証につい
局会議」は毎月開催され、EMSの定着を図っています。
ても環境マネジメントのツールとして活用しています。
たとえば、グリーン経営認証は、物流業務に即した
○連結子会社
○原則各単位組織
経営会議
環境会議
●食品カンパニー
○連結子会社
○原則各単位組織
●アミノ酸カンパニー
○連結子会社
○原則各単位組織
●医薬カンパニー
○連結子会社
○原則各単位組織
●中国事業総轄部 ○各事務所・各社・
各事業所・工場など
議 長:環境担当役員
(常務執行役員
CSR推進本部長)
メンバー:統括環境管理者
事務局:環境経営推進部
開 催:2回/年以上
地
域
社
会
環境マネジメントシステムです。運送業務を行うグルー
[コーポレート]
●環境経営推進部
●総務・リスク管理部
●経営企画部
●生産戦略部
体制図
注 ●:統括環境管理者
○:環境管理者
されます。ただし、グループの物流事業を統括する子
○各事務所・各社・
各事業所・工場など
●味の素冷凍食品
(株)
○各事務所・各社・
各事業所・工場など
●味の素
ベーカリー(株)
従
業
員
プの運送子会社が取得することで効果的な運用が期待
○各事務所・各社・
各事業所・工場など
●味の素物流(株)
会社が、ISO14001認証を取得し、物流事業全体を
EMSの範囲とすることで、味の素グループとして統一
した環境配慮を推進する体制を整備しています。
ISO取得状況
(ヵ所)
120
国内連結子会社
34
味の素(株)
80
65
60
18
39
8
7
40
2
1
3
53
23
6
7
16
1 10 5
24
24
24
3
4
0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005(年度)
20
味の素
(株)
川崎工場環境マネジメント体制図
111
海外連結子会社
100
1
1
2 3
6
(目標)
川崎事業所
(工場エリア)
は、
防災安全・安全衛生・
環境管理を一体化させ
た管理を行っている。
地
球
環
境
工場エリア経営会議
安全衛生委員会(安衛法)
環境会議
環境委員会
●
公害防止主任管理者
同代理者 (組織整備法)
●
●
URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
ISO取得予定
04までの予定
防災安全会議
●
職場安全衛生
環境会議
●
防災安全会議
●
防火管理者(消防法)
防災責任者
●
大気・水質・騒音・
土壌など各管理者
環境保全組織
(検討機関)
産業医(安衛法)
(審議機関)
●
詳細情報はホームページで公開しています。
●
職場活動組織
ダイオキシン管理
委員会など(安衛法)
防災・安全衛生管理組織
対象
サイト数
味の素(株)単体
24
24
国内連結子会社など
59
23
海外連結子会社など
合 計
累計取得済みサイト数
59
味の素グループ CSRレポート2005
実績
予定
05
取得
06
取得
30
6
07
取得
07
以降
47
18
16
10
1
2
130
65
46
16
1
2
―
65
111 127 128 130
ウェブでも環境への取り組みについて公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
■ 環境監査
2004年度の改善指摘項目(抜粋)
●小規模事業所でいっそうの環境管理体制強化が必要
味の素グループでは、環境基本方針や目標の遂行状
況などを確認するために環境監査を実施しています。
ISO14001規格に基づいて内部監査員が実施する
お
客
様
●サービス ・ 物流 ・ 業務部門における廃棄物などのリスク
管理や、省エネなど環境負荷低減対策の強化が必要
●「味の素グループ・ゼロエミッション」に基づく積極的な環
境負荷低減の取り組みが必要
「内部環境監査」を主軸に、「外部審査」、「グループ環
境監査」、「監査部監査」を実施しています。
ISO14001に基づく内部環境監査との連動が必要
であり、また事業拡大にともなう新事業領域や海外な
取
引
先
様
どにおける生産系以外の活動領域をどのように監査し
監査の種類
ていくかが課題となっています。
ISO14001
認証取得事業所
など
・内部環境監査
・外部審査
グループ
環境監査
味の素(株)および主に
製造・物流系の関連会社、事業所
内部監査員の育成
味の素グループでは、環境マネジメントシステムの
監査部
監査
グループ環境監査計画対象外の
関連会社・事業所
株
主
・
投
資
家
様
維持・強化を図るため、内部監査員の育成に努めていま
す。2004年度は内部監査員養成講座を8回開催し、
211名が受講、国内グループ全体の内部監査員は累計
で700名を超えました。さらに、内部監査員に対す
グループ環境監査
るフォローアップとして、ISO14001:2004年版の
グループ環境監査は、環境経営推進部の監査員資格
周知や、「味の素グループ・ゼロエミッション」の推進
を有する従業員が、味の素
(株)
および主に製造・物流事
を図り、内部監査のレベルアップを目的とした新規講
業を行う国内外の関係子会社を対象に実施します。
座も計画しています。
地
域
社
会
2004年度は、国内外の35事業所に実施、環境マ
ネジメントのレベルアップに努めました。環境監査の
結果は経営トップと環境会議に報告されます。
味の素グループでは、ISO14001の内部監査の仕
組みを効果的に運用するため、事業所の枠を超えて内
グループ環境監査実施実績*
従
業
員
部監査員を相互乗り入れさせています。実業務を知る
監査実績拠点数
実施年度
監査員の相互乗り入れ
国内
海外
計
内部監査員ならではの指摘や、パフォーマンス実績の
要求などができるという考えより始めました。
2001年度
33
14
47
2002年度
32
11
43
2003年度
13
24
37
2004年度
24
11
35
※環境経営推進部が直接実施したもの。2003年度以降は、このほかに監査部によ
る監査を実施しました。
味の素(株)
の支社部門では、マルチサイト一括認証
の特長をいかして、国内の各支社の内部監査員が食品
カンパニーのEMSスタッフとともに他支社の内部監査
地
球
環
境
に参加しています。内部監査員として現場を詳細に観
2004年度の監査における取り組みテーマ
*
1. 「自己採点シート 」による環境監査基準の徹底
2. グループ目標の周知徹底
3. 周辺環境への配慮(リスク管理・回避)の徹底
4. 監査範囲の拡大および監査メンバーの育成
察することで、良い取り組みへの
理解が深まり、迅速な課題共有が
可能となる利点があります。
今後も、グループ会社や海外工
*自己採点シート:監査項目が網羅された「自己採点シート」を各事業所に
配布し、事前チェックを行うことで、実際の監査結果との
違いを明確化し、監査基準を徹底する。
場間など、さまざまな内部監査の
相互乗り入れを図っていく考えです。
重油保管設備の点検
味の素グループ CSRレポート2005
60
第2章
地球環境のために
■ 環境アセスメント
みを構築しています。また、再発防止のために、
トラブル
*
やヒヤリ
(ニアミス)
も含めて原因追究を行っています。
味の素グループでは、新しい事業の開始や従来の原
お
客
様
* ヒヤリ
(ニアミス)
:たとえば、工程液の保管設備から漏洩があっても、2次容器や事
業所の緊急遮断設備などで食い止め、場外に流出しなかった場
料・生産工程などを変更・停止するときに、その計画段
合など。
階で環境への影響を評価する環境アセスメントを行い、
環境問題発生の未然防止に努めています。
具体的には、環境影響が想定される案件について、
実施責任部門が環境アセスメントを行い、結果を環境
取
引
先
様
経営推進部がチェックした後、稟議決裁しています。
株
主
・
投
資
家
様
環境事故、トラブルの状況
2004年度、環境に重大な影響を与える事故はあり
ませんでした。
しかし、国内グループ会社の2工場で、冷凍機設備
2004年度に環境アセスメントを実施した稟議案件
の故障などにより合計約1トンの代替フロンを漏洩し、
は102件。環境問題未然防止だけでなく、環境負荷を
大気に放出する事故が発生しました。再発防止のため、
極小化するため、「味の素グループ・ゼロエミッション」
グループ内でフロン漏洩防止管理を徹底しています。
計画に沿った観点からもアセスメントを実施しました。
海外グループ会社では、副生液の漏洩など軽度な事故
2005年6月にはチ
が4件発生しました。
ェックリストを改定
環境法令等の違反状況
強化。原料調達から
地
域
社
会
消費に至る全プロセ
2004年度、重大な環境法令違反、立件はありません
スを視野に入れて環
でしたが、行政による指導や改善要請を国内2件、海外7
境アセスメントを実
件
(うち海外2件の軽徴違反について合計12万円の過料
施していきます。
環境アセスメント実施の様子
環境アセスメント項目
従
業
員
地
球
環
境
を納付)
受けました。いずれも、速やかに対処しています。
軽微違反・指導・改善要請の状況
国内
海外
典型7公害に関する項目
大気汚染・水質汚濁・騒音・臭気・
土壌汚染など
大 気
−
3
廃棄物の処分に関する項目
廃棄物適正処分・排出者責任など
廃棄物
1
1
地球環境問題に関する項目
地球温暖化・生物多様性保全・酸性雨など
水 質
−
2
有害物質管理に関する項目
PRTR対象物質・アスベスト・
新規化学物質など
臭 気
−
1
届 出
1
−
循環型社会形成に関する項目
3R・省資源・省エネルギー・
廃棄物発生抑制など
建築物の影響に関する項目
日照権・電波障害など
不動産売買に関する項目
土壌汚染・説明責任・瑕疵担保など
新規科学技術に関する項目
化学物質汚染・微生物汚染など
社会的責任に関する項目
行動指針・情報開示・
地域コミュニケーションなど
商品開発に関する項目
エコデザイン・原料調達・物流・
ライフサイクルアセスメントなど
苦情などの状況
2004年度、製造事業所に対して、主に近隣住民の
方から46件(国内35件、海外11件)の苦情が寄せら
れました。いずれも原因究明の上、速やかな説明とと
もに必要な対策を実施しました。
苦情などの状況
■ 環境事故、法令違反、苦情の状況
61
国内
海外
騒 音
15
1
6
臭 気
08
味の素グループでは、環境に関する法令違反や事故
大 気
01
2
が発生した場合に、速やかに適切な対策を講じる仕組
その他
11
2
味の素グループ CSRレポート2005
■ 環境教育
■ 環境リスクへの対応
味の素
(株)
は、環境経営や「味の素グループ・ゼロエ
味の素グループでは、安全・環境に関するリスクマネ
ミッション」への取り組みをテーマとした教育ビデオを
ジメントを実施し、重要なリスクへの対応を図ってい
制作、国内外のグループ会社へも配布し、全従業員に
ます。たとえば、アミノ酸の生産に必要なアンモニア
環境配慮への自覚を促しています。また職務内容や年
を保管する発酵関連製品の製造事業所では、漏洩する
次別に、海外赴任者研修や新入社員研修などの各種研
と環境へ重大な影響を及ぼすため、法に基づく設備管
修に合わせて、地球環境問題や企業の社会的責任に関
理・取り扱いを徹底しています。緊急事態への備えとし
する教育を実施しています。とくに、商品開発から廃
て、自動遮断や漏洩拡散防止のための設備を設け、事
棄までの業務にかかわるすべてのプロセスにおいて環
業所内での緊急対応訓練を行っているほか、近隣住民
境に配慮するための教育に力点を置いています。国内
や行政機関への通報連絡体制を構築しています。
外のマネジメント層を対象とした「AIMS(→P.49)」で
も環境教育を取り入れています。
2004年 環境教育講座
取
引
先
様
また、市街地の事業所における地域との共同防災体制
を構築するため、環境モニター制度を味の素(株)川崎・
株
主
・
投
資
家
様
九州各事業所で導入するなど、
・環境経営・「味の素グループ・ゼロ
エミッション」説明ビデオテープ
・通年採用者環境教育
近隣住民に開かれた事業所をめ
・新任管理職環境教育
ざしています。一方海外では、
・内部監査員養成講座
・海外赴任者環境教育
・EMS構築セミナー
・容器包装リサイクル法勉強会
タイやベトナムで近隣住民を対
・新任環境管理者・担当者研修
・廃棄商品・販促物の適正管理
象に工場見学を行っています。
・新入社員環境教育
・経営層の啓発
工場の環境リスクや労働安全に関する専門教育、全
お
客
様
ベトナム味の素(有)での、
近隣に住む方々の工場見学
地
域
社
会
■ グリーン調達
部門での緊急時を想定した訓練なども定期的に行って
います。
味の素グループでは「環境規程」に明記された活動の
1つとして、「環境に配慮した原料、資材、間接材および
c
o
l
u m n
サービス等の調達」を掲げ、事業活動の一環としての調達
活動で環境に配慮する「グリーン調達」を定めています。
環境教育への取り組み
東北支社は東北六県を管轄するため、従業員が平等
に環境教育を受講できるよう、全従業員が集まる年2
2004年6月にはこの活動をさらに進めるため、「味
の素グループグリーン調達ガイドライン」を策定・導入
しました。ガイドラインでは、使用禁止物質や、規制物
回の勉強会に環境教育を含めるなどの工夫をしていま
質に留意すること、取引先様に対して環境マネジメン
す。特に営業部門にかかわりの深い廃棄物適正処分や、
トシステムの構築を要請することなどを定めています。
容器包装リサイクル法の理解を深めるほか、廃棄商品
削減への取り組みも共有しました。また、 東北支社ビ
ルにはグループ5社が在籍して
いるので、グループ会社へもゴ
また、環境配慮物品(エコ品)の購入を推進するため、
入目標を設定。2005年度からは、「間接材購買シス
テム」のカタログ上でエコ品が最初に表示されるように
しています。
なり、エコ品の購入実績やグリーン購入率を把握して
総務グループ
蘇武喜代子
地
球
環
境
味の素(株)の国内事業場を対象に間接材のグリーン購
ミ分別やリサイクル教育を実施
味の素(株)
食品カンパニー東北支社
従
業
員
います。なお、海外のグループ会社においては、ガイ
ドラインをベースに各国の法令や国情を考慮して運用
していく方針です。
味の素グループ CSRレポート2005
62
第2章
地球環境のために
環境パフォーマンス
使用エネルギーの種類別内訳データ(2004年度)
■ 地球温暖化防止に向けて
使用量
エネルギー構成比
CO2 構成比
購入電力
210 万MWh
23.1%
32.8%
購入エネルギー(蒸気)
630 千トン
果ガスの排出量削減に取り組んでいます。「味の素グル
ガス
ープ・ゼロエミッション」05/10計画では、2002年
度比でCO2 排出量原単位を20%削減すること、国内
味の素グループは、地球温暖化の原因となる温室効
お
客
様
生産系事業場のCO2 排出総量を1990年度比6%減の
5.4%
7.4%
270 百万m3
34.9%
24.3%
石油
290 百万r
36.4%
35.2%
石炭
2.5 千トン
0.2%
0.3%
合計
32,100TJ
100%
100%
46万トン以下にすることを目標にしました。
取
引
先
様
2004 年度、 グループのエネルギー使用量は
32,100TJ、化石燃料由来のCO2 排出量は216万ト
ンで前年より約7%増加しました。生産部門のCO2 排
出量は7%増加しましたが、原単位では4%減少して
います。CO2 排出量の80%を占める発酵関連部門で
株
主
・
投
資
家
様
は、工程水削減による濃縮負荷の軽減や、省エネ機器
CO2 排出量(発酵関連生産部門)と原単位*
(万t-CO2)
200
175
150
125
100
75
50
25
0
100
(指数)
95
161
156 158
172
CO2発生量
86
78
原単位
2001
2002
2003
2004
100
95
90
85
80
75
70
65
60
(年度)
の導入などの改善から、原単位は前年比で約10%減
少しました。国内生産系事業場の排出総量は、エネル
* 原単位:2001年度の生産量あたり原単位を100として表した指数
ギー多消費製品増加により、前年に比べて3万トン増
加。省エネ技術開発を課題に取り組んでいきます。
また、特定フロン(CFC)の保有量を2007年度ま
地
域
社
会
でにゼロにし、他のフロン類(HCFC,HFC)も自然冷
媒に切り替えるなど脱フロン化を進めます
(→P.66)
。
CO2 排出量削減への取り組み
発酵関連事業は味の素グループCO2 排出量の約8割を占
めること、事業規模が急速に拡大していることから、CO2
排出量削減が重要な課題です。農産物由来の原料(炭水化
物)
から微生物の働きでアミノ酸などを生産する発酵工程で
は、殺菌や加熱濃縮・乾燥に蒸気を、撹拌・送液や冷却に電
力を消費して、CO2 を排出します。バイオテクノロジーに
事業別のCO2 排出量比率(2004年度)
生産部門
発酵関連 79.6%
従
業
員
国内 2.3%
海外は未集計
国内 8.9%
海外 70.7%
食品関連 10.1%
国内
海外
8.4%
1.7%
その他 国内
海外
よる生産効率のよい微生物の開発や、省エネ型生産プロセ
サービス・物流・
オフィス部門
合計
216万
ス開発などの革新的な技術開発でCO2 排出量削減を図り、
地球温暖化防止に努めます。
エネルギ ー
t-CO 2
8.0%
5.4%
2.6%
原料
サトウキビなど
地
球
環
境
CO2
発酵
分離・精製
製品・アミノ酸
地域別のCO2 排出量比率(2004年度)
中国
6%
南米
8%
優秀な発酵菌が糖分を
取り込んでアミノ酸に
変えて発酵液中に出す。
効率的な省エネプロセス
で発酵液からアミノ酸を
取り出す。
東南アジア 37%
食品工場でもCO2 排出量削減に取り組んでいます。たと
北米 10%
えば、味の素冷凍食品
(株)
の工場では年間約700トン発生
欧州 14%
日本 25%
する廃植物油をボイラー燃料に利用して重油を削減、CO2
発生量を約1,600トン削減しています。
63
味の素グループ CSRレポート2005
ウェブでも環境への取り組みについて公開しています 〉
〉
〉http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
■ 排水負荷削減
BDN法(微生物脱窒素法)による処理のイメージ
① 工場からの工程廃水を、
硝化菌のいる硝化槽に流します。
味の素グループは、「味の素グループ・ゼロエミッショ
ン」に基づき、排水負荷を極小化する
“排水ゼロエミッ
工場からの
工程廃水
ション”
をめざしています。
NH2
NH2
NH2
NH2
NH2
NH2
NH2
NH2
窒素(N)を
含む有機物
アミノ酸など、発酵関連製品製造時の工程廃水には、
工程からの廃水には窒素を含む有機物
が多く含まれています。 これをそのま
ま外部へ流すと環境に負荷を与えます。
高濃度の窒素や有機物などのBOD *を高める成分が含
まれます。そのため、革新的な製造プロセス導入によ
脱窒菌
お
客
様
硝化菌
N03
N2
硝酸態
窒素ガス
取
引
先
様
② 硝化菌が働きやすい環境をつくり、 ④ 脱窒菌が働きやすい環境をつくり、処理
有機物中の窒素を硝酸態にします。 水中の硝酸態を窒素ガスに変換します。
る工程廃水削減や、高度な廃水処理技術の開発など、
硝化槽
さまざまな取り組みを行っています。また発酵関連製
品は製造過程で大量の水資源を使用するため、節水型
脱窒槽
NH2
NH2
NH2
NH2
N2
N2
N2
N03
N03
硝化
脱窒
有機物は消費
製造工程の開発など、水使用量抑制も重要なテーマと
考えています。
“排水ゼロエミッション”
の具体的な目標として、味
の素グループは、すべての生産系事業所で2010年度
硝化槽では硝化菌が有機物を消費(除
去)
し、有機物中の窒素を硝酸態に変
えます。
脱窒槽で硝酸態は窒素ガスに変換され、
窒素ガスは大気中に戻されます
(大気の
約 5 分の 4は窒素ガスです)。
③ 硝化槽での処理水を、脱窒菌
のいる脱窒槽に流します。
⑤ 残った処理水には、有機物や
窒素はほとんど含まれません。
N03
硝化槽処理水
までに、浄化処理後の排水をBOD10ppm以下、全窒
株
主
・
投
資
家
様
沈殿槽
N03
素5ppm以下にします。排水量は、2002年度比で対
放流水
生産量原単位として20%以上削減をめざします。
有機物が除去された処理水中には、窒
素が変換された硝酸態が残っています。
このままではまだ放流はできません。
2004年度は、国内4事業所、海外2事業所で“排水
処理に使われた微生物は分離され、有機
質肥料や土壌改良材として使われます。
浄化された水は放流されます。
地
域
社
会
ゼロエミッション”を達成しました。
* BOD:Biochemical Oxygen Demand
(生物化学的酸素要求量)
微生物が水中の有機物を分解する際に消費する酸素量で、この値が大きい
ほど汚染度合いが高い。
c
水使用量の内訳・排水量の排出先内訳(2004年度)
河水・井水(プロセス直接利用)18%
水使用量の合計
225,000千トン
河水・井水(間接冷却)
59%
上水 3%
l
u m n
初の“排水ゼロエミッション”工場
「タイ・カンペンペット工場」
従
業
員
工業用水
20%
公共下水送り 2%
灌漑用水 5%
排水量の合計
197,000千トン
o
公共水域への直接放流(間接冷却水など)
67%
廃水処理後の公共水域への
放流など 26%
タイ味の素(株)カンペンペット工場では微生物脱窒
法
(BDN法)
設備が2003年より稼動しており、2004
年度には、発酵工場の中で初めてグループの排水濃度
BOD 窒素
360t 1,670t
ゼロエミ基準を達成、
“排水ゼロエミッション”工場にな
りました。発酵関連製品製造工程からの廃水に含まれ
る高濃度の窒素やBOD成分を削減するため、より高度
排水量と原単位 (発酵関連生産部門)
た成果です。
(千t)
(t/t*)
200,000
400
150,000
100,000
141,000
148,000
150,000
180
170
162
300
排水量
原単位
50,000
200
100
0
0
2002
2003
地
球
環
境
な廃水処理設備を導入し
*
ベトナム工場やタイ・パ
トンタニ工場でもBDN法
が稼動しており、“排水ゼ
ロエミッション”達成に
向けて努力しています。
タイと日本の環境技術者
2004 (年度)
*生産量1tあたりの排水量(t)のこと
味の素グループ CSRレポート2005
64
第2章
地球環境のために
■ 廃棄物削減
■ 容器包装への取り組み
味の素グループでは、廃棄物削減のため生産効率向
お
客
様
*1
上や廃棄物・副生物 の資源化に取り組んでいます。
来、商品開発の段階から、容器包装の設計や材質につ
用いて生産効率の向上と副生物発生量の削減を、食品
いて検討するチェックリストとして活用しています。
製造では生産工程の改良で歩留まり を改善、廃棄ロ
今後は、海外や医薬品事業へのエコインデックスの
導入も検討していきます。
スの削減を図っています。
廃棄物や副生物の有効活用に向けて、各事業所は資
源化率*399.0%以上の“廃棄物ゼロエミッション”を進
めています。非生産系事業所も対象とし、2010年ま
での資源化率99.0%達成をめざします。
株
主
・
投
資
家
様
計指針「容器包装エコインデックス」を策定し、それ以
たとえば、アミノ酸製造ではバイオテクノロジーを
*2
取
引
先
様
味の素グループでは、1991年に環境に配慮した設
*1
副生物:製造工程から生産にともない発生する不要物(濃縮副生液など)
*2
歩留まり:生産される製品から、不良製品を引いたものの割合のこと
*3 資源化率:味の素グループ独自の指標。事業活動から発生する廃棄物(工程
副生物、一般廃棄物)のうち、副製品化、再資源化(熱回収を含
む)
、有効利用されるものの重量割合
味の素グループ廃棄物・副生物の発生量・資源化率(2004年度)
容器包装エコインデックス
目的
地
球
環
境
負
荷低
の減
循
環
型
社
会
実
現
省資源
地
域
社
会
総発生量
2,076 千t
包材重量の削減
重量削減比率
多重包装度合
詰め替え商品の有無
温暖化防止
二酸化炭素発生量の削減
植物由来材料の使用
素材選定
再生素材の利用率
へ
の
貢
献
リサイクル
の推進
訴求
特別加点項目
資源化率
評価項目
廃棄包材重量
97.8%
リサイクルの
容易性
表示
分別収集対応性
リサイクルシステムへの適合性
リサイクル・廃棄時減容度
環境対応表示の有無
環境視点
ユニバーサルデザイン視点
資源化量 2,031千t
処分量 45千t
主な容器包装改善事例
「アミノバイタル」ゼリードリンク4品種
事業別の廃棄物・副生物発生量、資源化率(2004年度)
資源化率
総発生量
2,076 千t
従
業
員
99.0%
資源化率
93.9%
発酵関連 1,937千t
食品関連 68千t
パウチの厚さを薄くして1袋あたり1g(17%)削減。
あわせて中箱、外箱ダンボールの重量も削減しました。
プラスチック重量
42t /年削減
中箱、外箱ダンボール重量
19t /年削減
CO2 発生量
309t /年削減
その他 71千t
c
o
l
u m n
返品削減に向けた営業を中心とした取り組み
地
球
環
境
味の素
(株)の2002年度国内食品事業家庭用商品(ギフト除く)で発生した返品は、金額で13.3憶円、
返品率1.0%で、その多くは廃棄処分されていました。
そのため、廃棄処分商品の環境影響やコストの削減に向け、2002年10月に「返品削減プロジェクト」
焼却炉に外箱ごと入れられる返品
を始動。家庭用返品率0.5%を目標に、廃棄処分の実態を収録した廃棄商品削減啓発ビデオの作成、返品削減を考える合宿、取引先
様にもご協力頂くための廃棄物処分場見学ツアー実施など、各支社にて営業を中心に、全従業員が力を合わせた取り組みを行いまし
た。返品率は、2003年下期には0.6%まで減少し、環境にも配慮した取り組みとして、2003年度の社内表彰を受けました。
65
味の素グループ CSRレポート2005
フロンを用いたものからアンモニアと炭酸ガスを用い
■ 化学物質の管理
たものに切り替え、今後も切り替えを継続する予定です。
味の素グループでは、主に医薬・化成品の研究開発と
お
客
様
*1 CFC:クロロフルオロカーボン。モントリオール議定書で1996年に製造禁
止(先進国)
。特定フロンのひとつ。
製造にPRTR *対象物質などの化学物質を使用してい
*2 HCFC:ハイドロクロロフルオロカーボン。モントリオール議定書で2020
ます。化学物質の種類や量はデータベース化され、管
*3 HFC:ハイドロフルオロカーボン。オゾン層を破壊せず、代替フロンと呼ばれる。
年に製造禁止(先進国)
。特定フロンのひとつ
理規則を設けて適正な管理をしています。また、化学
物質を取り扱う作業者には各種の教育・訓練制度を設
■ 土壌汚染への対策
け、知識・技能の習得や、意識啓発を促しています。
使用済みの化学物質の廃棄に際しては、法令などに
基づいた安全な処分に万全を期しています。
染状況の調査を自主的に進めています。対策が必要と
*PRTR:Pollutant Release and Transfer Register
環境汚染物質のあらゆる媒体
(大気・水域・土壌)
を経由して排出される量、お
判断した敷地については、関係行政機関に報告し、適
よび廃棄物として廃棄物処理業者に移動される量を調査し、登録する「環境
取
引
先
様
味の素グループは国内外の生産工場を中心に土壌汚
切な対策を講じています。
汚染物質排出・移動登録」制度
2004年度は、味の素
(株)
川崎事業所にて汚染対策
株
主
・
投
資
家
様
工事を実施しました。行政機関および近隣住民の皆様
PRTR対象物質の正確な把握・管理
のご理解も頂きながら、2005年3月に無事完工しま
*
味の素グループの国内事業所では、PRTR法 の第
一種特定化学物質
(354物質)
を対象に、1事業所での
した。また、定期的な地下水のモニタリングと関連用
地の環境調査も従来通り実施しました。
取り扱い量が年間100kg以上の物質について、取扱
量・排出量・移動量を把握しています。
2004年度は、取り扱い量が1トン以上のPRTR対
象物質が27物質ありました。なお、海外では、化成
品製造を主とする事業所がトルエンの溶剤など21物
質を使用していることを確認しています。
*PRTR法:特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に
関する法律
土壌汚染に関する基本方針
地
域
社
会
1. 土壌汚染関連法規
(法律、条例)
を遵守する。
2. 人の健康、周辺の環境への影響がないように土壌を
管理する。
3. ステークホルダーへ土壌汚染について必要な情報を
適切に開示する。
4. 新たな土壌汚染の発生を防止する。
従
業
員
詳細情報はホームページで公開しています。
URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
土壌汚染調査結果(主に2004年度)
場所
フロンの管理
味の素グループでは、冷凍機などの冷媒としてフロ
ン類を保有しています。そのうちCFC *1 とHCFC *2 は
味の素(株)川崎事業所
環境対策工事
(第1期∼第4期:
2002年2月∼2005年3月)
オゾン層破壊物質として規制されており、HFC *3 は温
暖化係数が高く、京都議定書での削減対象物質となっ
ています。
「味の素グループ・ゼロエミッション」05/10計画で
メルシャン(株)
旧工場跡地
(新食品研究棟建設予定地)
汚染状況および対策
敷地内の一部の土壌・地下水から鉛等の重
金属を検出。段階的に表土対策および地
下水対策工事を実施。地下水のモニタリ
ングを行い、周辺地域への汚染の拡散が
無いことを確認。随時行政機関に報告。
地
球
環
境
自主調査を実施し、汚染は確認されなか
ったが、建設工事時の搬出残土は条例に
基づき適切に対応する予定。
詳細情報はホームページで公開しています。
URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
は、CFC保有量を2007年度までにゼロにすること、
HCFC・HFCを使用した冷凍機などはフロン以外の自
然冷媒などに切り替えていくことを目標としました。
味の素冷凍食品
(株)
では2004年度に2台の冷凍機を
味の素グループ CSRレポート2005
66
第2章
地球環境のために
エコレールマークとは
■ モーダルシフト
鉄道貨物輸送を一定割合以上利用している企業・商品
味の素グループは1995年、輸送手段の多様化を主
お
客
様
取
引
先
様
の認定マーク。環境にやさしい鉄道コンテナ輸送を積
目的に、鉄道コンテナ輸送の導入を始めました。その
極的に導入している企
後、CO2 排出がトラックの8分の1という環境負荷の
業を認定し、企業広告
低さに着目、2000年以降はトラック輸送を鉄道輸送
や商品に表示を認めて
に転換する「モーダルシフト」を、物流の環境対策の中
いる。2005年5月現
心として取り組んでいます。2004年のモーダルシフ
在、9社を取組企業と
ト率は対前年度2.9ポイント向上の26.3%、500km
して認定。事務局は
以上の区間に限定すると45%に達します。さらに、
(社)鉄道貨物協会。
2004年8月には、トラック輸送が主流である中距離
区間の往復で、パレット8枚分が積載可能な15フィー
トコンテナを導入。年間CO2 排出量は同区間輸送の約
株
主
・
投
資
家
様
■ 物流におけるその他の取り組み
2,060トン−CO2 に対し、約540トン−CO2 の削減を
見込んでいます。
味の素物流
(株)グループの配送業務にかかわる数千
2005 年 5 月には国土交通省の「エコレールマー
地
域
社
会
台の車輌のうち、約15%が自社車輌(約500台)で、
ク」第一次認定企業に、環境に優しい鉄道貨物輸送に
約85%は配送委託先会社の車輌です。そのため、環
取り組む企業として、味の素
(株)
、味の素冷凍食品
(株)
、
境管理システムの一環として、配送委託先会社への働
味の素ゼネラルフーヅ(株)が選ばれました。
きかけが重要であり、他社車輌も含めたCO2 排出量の
把握が今後の課題です。 2004年度、 グループ子会
商品群別モーダルシフト率
(%)
2003年度
従
業
員
2004年度
社の中央エース物流(株)が、運送業者を対象にしたグ
鉄道
海上
計
鉄道
海上
計
リーン経営認証を取得。2005年度には、残りの7つ
調味料食品
20.9
2.8
23.7
21.2
3.4
24.6
の運送子会社でも取得を予定しており、配送委託先会
ギ フ ト
23.5
2.4
25.9
28.8
0.0
28.8
社にも認証取得を勧めていきます。
冷凍食品
19.4
3.1
22.5
24.8
4.0
28.8
グループ全体
20.4
2.9
23.4
22.8
3.5
26.3
※モーダルシフト率については、味の素
(株)
(「味液」バルク輸送を除く)
、味の素冷
凍食品
(株)
。鉄道利用分と海上利用分とし、単位はトンキロとする
味の素物流(株)グループでは2004年度、「ディー
ゼル車排ガス規制」への対応として25台の車輌を、よ
り排出ガスの少ない車輌に代替し、24台の車輌に粒
子状物質の排出を抑えるPM* 低減装置を装着しまし
国内製品輸送によるCO2 排出量と原単位
た。2005年度には、46台の車輌を代替、5台に装置
装着の予定で、規制対象車輌のほとんどが対応を終え
(t-CO2/年)
50,000
地
球
環
境
40,000
(g-CO2/トンキロ)
44,812
139
44,933
150
ます。また、運行記録計の搭載を計画する490台のグ
CO2排出量
140
ループ所有車輌のうち、408台にデジタル式の運行記
原単位
130
録計を取り付け、低燃費運行によるCO2 排出量削減、
120
粒子状物質などの環境負荷物質の排出量削減によるエ
42,788
134
130
30,000
20,000
10,000
コドライブを推進しています。
∼
0
0
2002
2003
2004
(年度)
※CO2 排出量の算出については、味の素(株)
(「味液」バルク輸送を含む)
、味の素冷
凍食品(株)
67
味の素グループ CSRレポート2005
*PM:Particulate Matterの略。粒子状物質のこと
■ 生物多様性
■ オフィスにおける取り組み
味の素グループは、生物多様性に直接脅威を与える
味の素
(株)
本社ビル食堂では、「味の素グループ・ゼロ
ような事業活動は行っていません。しかし、製品原料と
エミッション」達成へ向けた活動の一環として、食堂か
して農水産資源を使用し、容器包装資材などに森林資
ら出る廃棄物の減量化、再資源化に取り組んでいます。
源を利用する企業として、また世界トップレベルのバイ
小分け調理や付け合わせの盛り方の工夫、白米の量
オテクノロジーを保有する企業として、生物多様性の保
を申告してもらうポスターの掲示、残飯の水切りの徹
全が持続可能な地球環境にとって重要であることを認
底などで、2005年度は生ゴミが前年比約1割削減さ
識しています。
れる見込みです。
現在、生物多様性の保全を目的とした、グループ全
また、2005年2月より、使用後のてんぷら油の再
体での取り組みは行っていませんが、環境アセスメン
資源化に取り組んでいます。廃油の量は年間で約1ト
ト(→P.61)では農水産原料調達検討の際に生物多様
ン。これまではすべて廃棄処分していましたが、飼料・
性に関する事項も含めた地域環境への影響確認を行っ
石鹸・「VDF*」に加工する業者に委託して、全量リサイ
ています。 また、グリーン調達ガイドライン
(→P.62)
クル可能となりました。「VDF」は一部地域のバスの燃
の紙の調達リストに森林認証紙*をあげ、森林資源の
料として利用されています。
持続可能な利用に向けて努力をしています。
*森林認証紙:適切に管理された森林からの木材
(認証材)
からつくられる紙。保護価
お
客
様
取
引
先
様
株
主
・
投
資
家
様
2005年6月の環境月間を機に、本社ビル従業員の
環境意識啓発として、「紙・ゴミ・電気」削減活動も推進
値の高い森林、違法伐採材などを入れないように管理されている
しています。
液肥施用のモニタリング
味の素グループは、アミノ酸発酵副生物より製造さ
れた液肥を、世界各地で農業・水産養殖用に提供してい
*VDF:Vegetable Diesel Fuelの略。植物油のディーゼル燃料のこと
地
域
社
会
使用後のてんぷら油
回収車(右)
と
てんぷら油をこす様子(下)
るため、土壌や水質への影響をモニターし、生態系を
含む自然環境への液肥の影響を調査しています。
土壌に関しては、タイ・インドネシア・ベトナム・ペルー
などの農業試験場や地元農家と共同で、同一地で10
従
業
員
年以上の繰返栽培を行い、モニタリングをしています。
バード・サンクチュアリ
味の素
(株)
東海事業所では2002年より、敷地内の
「大池」(約1,500坪)を、野鳥保護区「バード・サンク
バードサンクチュアリの
チョウトンボ(右)と
アオサギ(下)
チュアリ」として整備しています。生物多様性の保全と
地
球
環
境
ともに、四日市市のイメージアップにもつながると、
多くの方々から高い評価を頂いています。
水辺の自然を形成し野鳥の生息密度が高く、カモな
どの渡り鳥の越冬地・中継地であるほか、チョウトンボ
などの希少な昆虫が繁殖し、固有の魚類が外来魚の影
響を受けずに生息できるなど、生物多様性の保全に寄
与しています。
バードサンクチュアリの詳細情報はホームページで公開しています。
URL http://www.ajinomoto.co.jp/company/kankyo/
味の素グループ CSRレポート2005
68
第2章
地球環境のために
環境コミュニケーション
味の素グループの環境活動を広く理解して頂くため、
お
客
様
セミナーの開催
2004年度はステークホルダーとの対話の推進と、情
NPO「Eco Japan学生委員会」の主催により、味の
報公開に重点をおきました。事業所の一部では、地域
素グループと環境に関心のある公募大学生9名が参加
の方への環境モニター制度の導入や詳細な工場公開、
し、環境セミナーを味の素
(株)
本社にて開催しました。
事業所の環境報告書発行などの取り組みを行っていま
学生の皆様からは、廃棄物削減で苦労したこと、資源
す。 今後はグループ全体に活動を展開していきます。
調達国の環境や住民への配慮、住民との対話や消費者
への環境活動 PRなどさまざまな質問が出され、活発
川崎事業所
取
引
先
様
株
主
・
投
資
家
様
地
域
社
会
な意見交換の場となりました。
味の素(株)川崎事業所では、事業所がある鈴木町の
セミナーの結果、企業の環境への取り組みを報告書
近隣住民の皆様を対象に、「すずきちょうだより」を月に
のみを通して理解して頂くのは難しいことが明らかと
1回のペースで発行しています。紙面では、工場内の
なり、より直接的な双方向のコミュニケーションに力を
工事計画や多摩川河川敷の清掃などの活動報告のほか、
入れる必要があると認識しました。また、環境と品
近隣住民の皆様との定例会について掲載しています。
質(安全・安心)を切り離さずにPRすることも大切であ
2005年4月からは「川崎エコツアー」を開始。これ
ると考えました。今後、有識者や専門家とのダイアログ
まで実施してきた通常の工場見学とは別に、廃水処理
に加えて、環境と品質
設備や資源回収センター、廃水処理で生じた余剰汚泥
をテーマとした、消費
を加工した肥料なども見学し、ビーカーを使った実験
者や学生向けのダイア
で廃水浄化システムを分かりやすく説明するなど、目
ログの開催も検討して
で見て体感頂けるプログラムとしています。
いきます。
学生向け環境セミナー
「報告書を読む会」
環境NPO・NGOを対象に「報告書(2004年版)を読
従
業
員
地
球
環
境
む会」を味の素
(株)
川崎事業所で開催し、環境分野を中
日本では毎年、環境に配慮した商品や取り組みを紹
心とした意見交換を行いました。報告書の編集につい
介する「エコプロダクツ展」が開催されていますが、海
ては、容器包装関連の記載の充実、ステークホルダー
外では初となる国際展が2004年9月マレーシアで開
別の編集に評価を頂く一方で、文章量が多く難解、ど
催されました。
の取り組みに重点を置いているのか分かりづらいなど
味の素グループでは、マレーシア味の素
(株)
スタッ
のご指摘を頂きました。活動内容は、臭気対策など川
フの協力のもと、グループ全体の環境活動をPRしま
崎事業所の取り組みには高い評価を頂きましたが、食
した。 発酵工程でできた副生物を肥料としてサトウキ
の安全・安心についてはより詳しい説明が必要とのご指
ビ畑に戻す「バイオサイクル」や、廃棄時にゴミの分別
摘を頂きました。
がしやすい容器包装の展示に注目が集まりました。
報告書を読む会
69
エコプロダクツ展2004(マレーシア)
味の素グループ CSRレポート2005
ナショナルスタッフによる説明
第三者意見を受けて
本年度は従前の
「社会・環境報告書」
から「CSRレポート」に刷新し、
味の素グループのCSRを明確にしています。できるだけ分かりやすく
誠実に記述することを心掛けました。とくに客観性と透明性を高める
ため、また私たちの活動を足元から見つめなおすためにも、3名の専門
家の方々に第三者意見を伺いました。
CSRレポート全体を通して、
1.将来どのような社会を実現するのか、そのために当社が果たす役割は
何か、どのように果たしていくのかを明確にすること 2.特集記事と当社の重要課題がリンクしていること
3.明らかになった課題やテーマを解決するプロセスを明確にすること 取締役 常務執行役員
CSR推進本部長 寺師 並夫
4.考え方を示すだけでなく、その根拠や具体的な取り組みを示すこと
など貴重なご意見・ご指摘を頂きました。
これらを真摯に受け止め、ひとつひとつ着実に解決することにより、
味の素グループのCSRを生き生きとさせ、地球社会の持続的発展の
ため、責任を果たしていきたいと考えています。
お問い合わせ先
味の素株式会社
〒104- 8315
東京都中央区京橋一丁目15番1号
CSR推進本部 CSR部
TEL:03-5250-8165 FAX:03-5250-8378
E-mail:[email protected]
URL:http://www.ajinomoto.co.jp/company/csr/
本報告書記載記事の無断転載・複製を禁じます。
©味の素株式会社2005
味の素グループ CSRレポート2005
70
表紙メッセージ
表紙の写真は、何の写真かわかりますか?
答えは「サトウキビ」
(縦割り断面)。
サトウキビはご存知の通り砂糖の原料で
すが、味の素グループでは、「アミノ酸」の
原料に使っています。サトウキビをしぼっ
た糖蜜に発酵菌を加えると、うま味調味料
「味の素」
の主成分であるグルタミン酸など、
さまざまなアミノ酸をつくることができる
のです。ブラジルやタイなどの工場では、
その土地で収穫されるサトウキビをアミノ
酸原料に使用しています。
Cert no. SA-COC-1210
印刷用紙は、適切に管理された森林で生産されたことを示すFSC森林認証紙
(表紙のみサトウキビの繊維で作られたバガス紙)
。
印刷インクは、大気汚染の原因となるVOC
(揮発性有機化合物)
の発生を減らすため、植物性の大豆油インキを使用。
印刷工程では、有害廃液を出さない水なし印刷方式を採用。