板ガラスと防火性 - 旭硝子の Glass Plaza

7-1
板ガラスと防火性
木造建築物の多い日本では、これまで多くの都
表 1 地域による建築物の規制
市災害や戦災を経験してきました。そのため、
建築基準法・同施行令では火災に対して厳しい
規定が設けられています。
①対象地域による防火規定
②建築物に対する防火規定
③火災発生時の避難及び消火活動の規定
地域
階数又は延べ面積
建築物
階数3以上、又は100m2超え
防火地域
準防火地域
耐火建築物
その他の建築物
耐火建築物又は準耐火建築物
階数4以上、又は1500m2超え
耐火建築物
500m2超え、1500m2以下
耐火建築物又は準耐火建築物
階数3以上
耐火建築物、準耐火建築物又は※1の建築物
※1 外壁の開口部の構造及び面積、
主要構造部の防火の措置その他の事項について防火上必要な政令で定める技術的基準
に適合する建築物
これらの規定のうち、①、②では開口部に対す
る防火対策として板ガラスが関連します。③で
は非常用進入口に替わる窓として板ガラスが関
連します。
1開口部に対する防火対策
●対象地域による防火規定
A
隣地境界線
ある建物で発生した火災が他の建築物に延焼し
1 敷地内に建築物が1棟の場合
定めたもので
●防火地域(法第61条) ●法第22条地域(法第22条)
防火・防災関連
7-1
などがあります。
②隣地境界線側または道路の反対側などに川、公
園がある場合、耐火構造の壁などがある場合に
はそれからの延焼を考えなくてよい。
●建築物に対する防火規定 1
これらの地域では建築物に対する防火規制が定
内、2階以上で5m以内にある部分をいう。
1
川・公園など
●準防火地域(法第62条) ①隣地境界線または道路中心線から1階で3m以
隣地境界線
1
ないように、地域による集団的な規制を目的に
道路中心線
延焼のおそれのある部分 1階 1 =3m
2階以上 1 =5m
められており、 表 1 のようになります。
●建築物の定義
①耐火建築物
B
主要構造部が
(1)又は
(2)のいずれかに該当し、
隣地境界線
火戸その他の政令で定める防火設備を有してい
るものです。
(法第2条第9号の二、令第108条の
X
2 敷地内に建築物が2棟以上の場合
Y
2
2
B
A
(600m
3)
①複数個の建築物の延べ面積の合計が500m2以
2)
2
(300m2)
(1)耐火構造
隣地境界線
道路中心線
外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防
C
(2)
次に掲げる性能に関して政令で定める技術
2
2
(100m2)
2
的基準に適合するもの。
1 と同
内の時は、これを1個の建築物と見なし 様に算定する。
②500m2を超える時は、延べ面積500m2以内ご
とのブロックに区画して間に防火境界線(相接
する建物の外壁間中心線、図BのX−X、Y−Y)
をひき、隣地境界線と同様に扱い、1 と同様に
(i)
当 該建築物の構造、建築設備及び用途に
X
2
応じて屋内において発生が予測される火
Y
道路中心線
算定する。
災による火熱に当該火災が終了するまで耐
えること。
C
道路中心線
の火災による加熱に当該火災が終了する
まで耐えること。
②準耐火建築物
主要構造部が
(1)又は
(2)のいずれかに該当と
X
5m
5m
外壁間
中心線
(ii)
当該建築物の周囲において発生する通常
図 B において、B+C>500m2であれば、B−C
間の境界線Y−Yからも、
延焼のおそれのある部分
2階
3m
を考えなければならない。
3m
A=200m2
B=200m2 の場合にはA+B<500m2、
B+C<
し、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分
しているものです。
(法第2条第9号の三)
道路
(1)準耐火構造
3m
3mX
延焼のおそれのある部分 1階 2 =3m
2階以上 =5m
2
(1)に掲げるものと同等の準耐火性能を有
(2)
するものとして主要構造部の防火の措置そ
の他の事項について政令で定める技術的基
準に適合するもの。
7-1-1
1階
隣地
に、防火戸その他の政令で定める防火設備を有
図1
延焼のおそれのある部分
C=200m2 500m2になるので、防火境界線はX
−X、またはY−Yどちらをとっても
よいとされている。
③延焼のおそれのある部分
図 1 のように隣地境界線、道路中心線又は同
●防火戸の認定番号
●防火設備および特定防火設備の試験方法
開閉方式(はめ殺し窓、引き窓等)ごとに、以下
従来の防火戸の試験方法を示した平成2年建設
一敷地内の二以上の建築物(延べ面積の合計
の認定番号が定められています。
省告示第1125号は廃止され、新たにISO規格
500m2以内の建築物は1の建築物とみなす)相
詳しくは
(社)カーテンウォール・防火開口部協
に基づいた試験方法が各公的機関に導入され
互の外壁間の中心線から、1階にあっては3m以
会発行の資料をご参照ください。
ています。ISO834による加熱曲線を 図 2 に示
下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建
主にビル用としては
します。この加熱曲線で、防火設備は20分間加
築物の部分をいいます。
●防火設備
(アルミニウム合金製防火戸)
熱、特定防火設備は60分間加熱します。合否の
判断基準は上記の所定加熱時間の間、イ〜ハを
EB-9101〜EB-9108
なお、防火地域又は準防火地域内にある建築物
● 防火設備
(耐熱板ガラス入り鋼製防火戸) 満足することです。
で、耐火建築物および準耐火建築物以外のもの
EB-9131〜EB-9133
イ.非 加熱面へ10秒を超えて継続する火炎の
も、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部
●防火設備
(木質系開き戸)
分に、防火戸その他の政令で定める防火設備を
噴出がないこと
ロ.非 加熱面側で10秒を超えて継続する発炎
EB-9141
有しているものとします。
主に3階建て以下木造住宅用としては、
法第22条地域(特定行政庁が防火地域及び準防
●防火設備
(アルミニウム合金製防火戸)
火地域以外の市街地について指定する区域)
で
は耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物
の屋根は、不燃材料とすることになります。
がないこと
ハ.火 炎が通る亀裂等の損傷及び隙間を生じ
ないこと
EB-9111〜EB-9117
●防火設備
(木質系開き戸)
EB-9121〜EB-9124
また、地域に関係なく、特殊建築物(法別表第
防火設備や特定防火設備の要求性能は以下の
一)のうち、法令(法第27条、令第115条の3)に
試験により確認します。
より耐火建築物又は準耐火建築物にする必要
のあるものがあります。さらに特殊建築物(令第
防火・防災関連
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128条の4)は法令(法第35条の2)により内装制
限をうけ、壁及び天井(天井のない場合には、屋
根)の室内に面する部分の仕上げを不燃材料、
準不燃材材料などにする必要があります
(令第
129条)。
●防火設備および特定防火設備について
防火設備には耐火建築物、準耐火建築物におい
て外壁の延焼のおそれのある部分に用いるもの
防火設備の性能確認試験例
写真 1
と防火地域又は準防火地域内にある建築物で、
耐火建築物および準耐火建築物以外のものに用
いるものがあります。また、防火区画では特定
防火設備を使用することとなります。防火設備
及び特定防火設備の要求性能について 表 2 に
示します。
表 2 防火設備および特定防火設備の要求性能
設備名
対象建築物
耐火建築物、
準耐火建築物に用いる
防火地域又は準防火地域内
にある建築物に用いる
防火設備
防火設備
特定防火設備
防火区画部に用いる
要求性能
遮炎性能(通常の火災時の火炎を20分間遮る性能)
準遮炎性能(建築物の周囲において発生する通常の火
災時の火炎を20分間遮る性能)
遮炎性能(通常の火災時の火熱が加えられた場合に加
熱開始後1時間当該加熱面以外の面に火炎を出さない
もの)
炉内温度 T
︵ ℃︶
1000
945
800
781
600
1時間耐火
(特定防火設備)
(1時間耐火間仕切壁)
400
20分耐火
(防火設備)
200
0
図2
0
10 20 30 40 50 60 70
時間t(分)
T=345 log10(8t+1)+20
T=炉内温度(℃)
t =時間(分)
耐火標準加熱温度曲線図(ISOに準ずる)
7-1-2
●防火区画検証法
(令第108条の3第5項)
ます。
( 平成12年建設省告示第1401号「準不燃
防火設備および特定防火設備の試験方法以外
材料を定める件」)
に開口部に設けられる防火設備の遮炎に関する
難燃材料とは建築材料のうち通常の火災による
性能を検証する方法が導入されました
(保有遮
火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間法令
炎時間≧火災継続時間)。参考として、その他の
(令第108条の2各号)に定める条件を満たして
関連検証法としては次のような物があります。
●耐火性能検証法
(令第108条の3、告示第1433号)
●階避難安全性検証法
(令第129条の2、告示第1441号)
●全館避難安全性検証法
(令第129条の2、告示第1442号)
いるものとして、国土交通大臣が定めたもの又
は国土交通大臣の認定を受けたものとあります。
(平成12年建設省告示第1402号「難燃材料を
定める件」)
なお、不燃性能及びその技術的基準として令第
108条の2において通常の火災における火熱が
加えられた場合に、加熱開始後20分間次の各号
に掲げる要件を満たしていることとあります。
●耐火構造の屋根について
●燃焼しないものであること
令第107条「耐火性能に関する技術的基準」の
●防 火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷
第3項において屋根にあっては通常の火災によ
る火熱が30分加えられた場合に、屋外に火災
を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じな
を生じないものであること
●避 難上有害な煙又はガスを発生しないもので
あること
い物であることとあり、平成12年建設省告示第
1399号「耐火構造の構造方法を定める件」で令
防火・防災関連
7-1
第107条に適合する屋根の構造として鉄材で補
屋根
強されたガラスブロック若しくは網入板ガラス
開口部
間仕切壁
で造られたものとあります。
●耐火構造の間仕切壁について
30分耐火構造の屋根
防火設備
特定防火設備
1時間耐火間仕切壁
令第107条「耐火性能に関する技術的基準」の
第2項において非耐力壁の間仕切壁にあっては
遮炎性
遮炎性、遮煙性
遮炎性、遮煙性
遮炎性、遮煙性
非損傷性
非損傷性
非損傷性
遮熱性、非損傷性
網入板ガラス
耐熱強化ガラス
低膨張防火ガラス
耐火・遮熱積層ガラス
ヒシワイヤ/クロスワイヤ
マイボーカ
ピラン
ピロベル
通常の火災による火熱が1時間加えられた場合
に、当該加熱面以外の面の温度が当該面に接す
る可燃物が燃焼するおそれのある温度(可燃物
燃焼温度)以上に上昇しないこととあります。
防火設備や特定防火設備、屋根、間仕切壁に使
用するガラスの選択方法として 図 3 を示しま
す。
●不燃材料、準不燃材料、難燃材料について
不燃材料とは建築材料のうち不燃性能(通常の
火災時における火熱により燃焼しないことその
他の政令で定める性能、令第108条の2)に関し
て政令で定める技術的基準に適合するもので、
国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣
の認定を受けたもの
(法第2条第9号)とありま
す。平成12年建設省告示第1400号「不燃材料
を定める件」により、
「ガラス」は不燃材料とさ
れています。
準不燃材料とは建築材料のうち通常の火災によ
る火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間
法令(令第108条の2各号)に定める条件を満た
しているものとして、国土交通大臣が定めたも
の又は国土交通大臣の認定を受けたものとあり
7-1-3
図3
防火設備や特定防火設備、屋根、間仕切壁に使用するガラスの選択方法
※防火設備及び特定防火設備で、個々の製品ごとに指定評価機関での試験に合格し、国土交通大臣から認定を受けた製品
(個別認定品)については、認定を取得した仕様でご使用いただく必要があります。
使用できるガラスについては、認定を取得したメーカー等へお問い合わせください。
2非常用進入口と無窓階の取扱い
赤色灯(20W∼60W)
直径10㎝以上の半球、
常
時点灯、
またはフリッカー
状態。
予備電源付
(建築基準法施行令第126条の6)
火災時の消火活動や救出活動の際に、外部から
の進入を容易にするための進入口です。建築基
屋外
赤色反射塗料
1辺20㎝の正三
≧10㎝
角形のマーク
10㎝≦
準法で、
「建築物の高さ31m以下の部分にある
3階以上の階には、非常用の進入口を設けなけ
手摺
ればならない。」と規定されています。
≧75㎝
ただし、次に該当する場合は、設置が免除され
ます。
・非常用エレベーターを設置している場合
バルコニー
バルコニー
≧4m
≧1m
屋内
≦80㎝ ≧1.2m
●非常用進入口
図4
・非常用進入口に代わる窓その他の開口部
非常用進入口の構成
(代替開口部)
を規定通りに設置している場合
それの少ない用途に使用する階、または国土交
上階床
通大臣が定める特別の理由
(平成12年建設省告
示第1438号に規定、冷蔵倉庫、美術品収蔵庫、
天井面
50㎝
電磁遮へい室等)により、屋外からの進入を防
以上
不燃材料
階から進入することができるものは除きます。
(含むガラス)
でつくる
扉5
図
(建築基準法施行令第126条の7)
50㎝
以上
≧75㎝
段違い天井
低い天 井 面から
50㎝以上垂れ下
非常用進入口の代替開口部の大きさ
(施行令第126条6)
げる
道路または道路に通ずる幅4m以上の通路や
空地に面する各階の外壁面に、40m以内の間隔
(外壁端部からは20m以内)
で設けます。
● 無窓階
無窓階とは、建築物の地上階のうち、総務省令
の、または破壊して室内に進入できるものとし
で定める避難上又は消火活動上有効な開口部
なければなりません。
を有しない階のことです。
(令第126条の6)
● 無窓階の取扱いとならない開口部構造 (消防法施行規則第5条の2第2項第3号)
道路又は道路に通ずる幅4m以上の通路や空地
避難上又は消火活動上有効な開口部は、外部か
に面する各階の外壁面に、10m以内ごとに設け
ら開放し、または容易に破壊することにより進
ます。
入できる構造とします。ガラスの種類による無
図 5 に示す直径1m以上の円が内接できる大き
7-1
(消防法施行令第10条第1項第5号)
図 4 に示す構造とし、屋外から開放できるも
●非常用進入口の代替開口部の位置と構造
または
1200×750の寸法は、
割って入る場合は内法
寸法、
開けて入る場合は
外法寸法とみる必要が
あります。
防火・防災関連
●非常用進入口の位置と構造 床面
間仕切壁
止する必要がある階で、その直上階または直下
1m
不燃材料
でおおう
直径1m以上の円が
内接できる大きさで
あれば、窓の形は楕
円や三角形等どのよ
うな形でもよい。
≧1.2m
また、不燃性の物品の保管等の火災の発生のお
窓階の取扱いは管轄の消防局等によって異なる
さ、または幅75cm以上、高さ1.2m以上の大き
ため、東京消防庁の例を 表 3 に示します。
さの窓とし、格子その他の屋外からの進入を妨
なお合わせガラスの一部の品種については、総
げる構造を有しないものとします。
務省消防庁予防課長より各都道府県消防防災
主管部長および東京消防庁・各指定都市消防庁
●非常用進入口や代替開口部とガラス
宛てに通知が出ており、 表 4 に示します。
非常用進入口や代替開口部にガラスを使用する
またLow-Eガラスについては平成23年に、
「薄
場合、ガラスの種類による開口部の取扱いは建
膜が基板の強度を変えるものではないと判断
築主事等の判断によって異なります。非常用進
し、基板と同等なものとして取り扱ってさしつか
入口や代替開口部使用できるガラス種類は、後
えない。」という見解が、総務省消防庁予防課よ
記する無窓階判定で開口部として取扱うことが
り各都道府県消防防災主管課および東京消防
できるものに準じます。また、進入口に防火設
庁・各指定都市消防本部宛てに発信されていま
備の性能が要求される場合は、網入板ガラスを
す。
使用するなど、それに適合させることが必要で
す。
7-1-4
表 3 ガラスの種類による無窓階の取扱い
(東京消防庁)
無窓階判定(省令第5条の2)
足場なし
開口部の条件
ガラス開口部の種類
足場有り
普通板ガラス
フロート板ガラス
厚さ8ミリ以下
磨き板ガラス
(厚さが6ミリを超えるものは、ガラスの大きさが概ね2㎡以下かつガラスの天端の高
型板ガラス
さが、設置されている階の床から2m以下のものに限る。)
熱線吸収板ガラス
熱線反射ガラス
引き違い
○
○
○
△
FIX
○
○
○
×
引き違い
△
△
△
△
FIX
×
×
×
×
引き違い
△
×
×
×
FIX
×
×
×
×
引き違い
○
○
○
△
FIX
○
○
○
×
フロート板ガラス6.0ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)30mil(膜厚0.76㎜)以下+
フロート板ガラス6.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)30mil(膜厚0.76㎜)以下+
フロート板ガラス5.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
フロート板ガラス5.0ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60mil(膜厚1.52㎜)以下+
フロート板ガラス5.0ミリ以下
引き違い
△
×
×
×
FIX
×
×
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60mil(膜厚1.52㎜)以下+
フロート板ガラス6.0ミリ以下
引き違い
△
×
×
×
FIX
×
×
×
×
フロート板ガラス3.0ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60mil(膜厚1.52㎜)以下+
型板ガラス4.0ミリ以下
引き違い
△
×
×
×
FIX
×
×
×
×
フロート板ガラス6.0ミリ以下+
EVA
(エチレン酢酸ビニル共重合体)
中間膜0.4mm以下+PETフィルム0.13㎜以下+
EVA中間膜0.4mm以下+フロート板ガラス6.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
フロート板ガラス6.0ミリ以下+
EVA
(エチレン酢酸ビニル共重合体)
中間膜0.8mm以下+
フロート板ガラス6.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
EVA
(エチレン酢酸ビニル共重合体)
中間膜0.4mm以下+PETフィルム0.13㎜以下+
EVA中間膜0.4mm以下+フロート板ガラス5.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
EVA
(エチレン酢酸ビニル共重合体)
中間膜0.8mm以下+
フロート板ガラス5.0ミリ以下
引き違い
△
△
△
×
FIX
×
×
×
×
引き違い
×
×
×
×
FIX
×
×
×
×
厚さ6.8ミリ以下
網入板ガラス
線入板ガラス
厚さ10ミリ以下
強化ガラス
耐熱板ガラス
防火・防災関連
7-1
合わせガラス
厚さ5ミリ以下
倍強度ガラス
複層ガラス
窓ガラス用 窓ガラス用 窓ガラス用
フィルム
フィルム
フィルム
なし
A
B
―
構成するガラスごとに本表(網入板ガラス及び線入板ガラス
(窓ガラス用フィルムを貼付したもの等を含む)
は、厚さ6.8ミリ以下のものに限る。
)
により
評価し、全体の判断を行う。
備考 1 ガラスの厚さの単位は、日本工業規格(JIS)
において用いられる「呼び厚さ」の「ミリ」を用いる。
2 「足場有り」とは、避難階又はバルコニー(建基政令第126条の7第5号に規定する構造以上のもの)
、屋上広場等破壊作業のできる足場が設けられているもの
3 「引き違い」とは引き違い窓、片開き戸、開き戸等、通常は部屋から開放することができ、かつ、当該ガラスを一部破壊することにより外部から開放することができるもの
4 「FIX」とは、はめ殺し窓をいう。
5 合わせガラス及び倍強度ガラスは、それぞれ JIS R 3205 及び JIS R 3222 に規定するもの
7-1-5
6 「窓ガラス用フィルムなし」は、ポリエチレンテレフタレート
(以下「PET」という。
)製窓ガラス用フィルム
(JIS A 5759に規定するもの。以下同じ。
)等を貼付していないガラスをい
う。
7 「窓ガラス用フィルムA」は、次のものをいう。
⑴ PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層
(引裂強度を強くすることを目的として数十枚のフィルムを重ねて作られたフィルムをいう。以下同じ。
)
以外で、基材の厚さが100μm
以下のもの
(内貼り用、外貼り用は問わない)
を貼付したガラス
⑵ 塩化ビニル製窓ガラス用フィルムのうち、基材の厚さが400μm以下のもの
(内貼り用、外貼り用は問わない)
を貼付したガラス
⑶ 低放射ガラス
(通称Low-E膜付きガラス)
(金属又は酸化金属で構成された薄膜を施した低放射ガラスであること。
)
8 「窓ガラス用フィルムB」は、次のものをいう。
⑴ PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層以外で、基材の厚さが100μmを超え400μm以下のもの
(内貼り用、外貼り用は問わない)
を貼付したガラス
⑵ PET製窓ガラス用フィルムのうち、多積層で、基材の厚さが100μm以下のもの
(内貼り用、外貼り用は問わない)
を貼付したガラス
9 「足場有り」欄の判定は、窓ガラス用フィルムの有無にかかわらず、すべて
(窓ガラス用フィルムなし、窓ガラス用フィルムA、窓ガラス用フィルムB)
同じ判定であること。
10 合わせガラスに用いるEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)
中間膜は株式会社ブリヂストン製のものに限る。
凡例 ○……省令第5条の2第2項第3号後段に規定する開口部として取り扱うことができる。
△……ガラスの一部を破壊し、外部から開放できる部分(引き違い窓の場合概ね1/2の面積で算定する。
)
を省令第5条の2第2項第3号後段に規定する開口部として取り扱うことができ
る。
× ……省令第5条の2第2項第3号後段に規定する開口部として取り扱うことはできない。
参考資料:東京消防庁 23予予第1222号「無窓階の取扱い基準の一部改正について
(通知)
」
表 4 合わせガラスの無窓階判定
(総務省消防庁)
ガラス開口部の種類
足場無し
フロート板ガラス6ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)30miℓ(膜厚0.76ミリ)以下+
フロート板ガラス6ミリ以下
引き違い窓等
△
△
はめ殺し窓
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)30miℓ(膜厚0.76ミリ)以下+
フロート板ガラス5ミリ以下
引き違い窓等
△
△
はめ殺し窓
×
×
フロート板ガラス5ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60miℓ(膜厚1.52ミリ)以下+
フロート板ガラス5ミリ以下
引き違い窓等
△
×
はめ殺し窓
×
×
網入板ガラス6.8ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60miℓ(膜厚1.52ミリ)以下+
フロート板ガラス6ミリ以下
引き違い窓等
△
×
はめ殺し窓
×
×
フロート板ガラス3ミリ以下+
PVB
(ポリビニルブチラール)60miℓ(膜厚1.52ミリ)以下+
型板ガラス4ミリ以下
引き違い窓等
△
×
はめ殺し窓
×
×
7-1
防火・防災関連
合わせガラス
足場有り
備考 1 「足場有り」とは、開口部の外部にバルコニー、屋上広場等の破壊作業のできる足場が設けられているもの。
2 「引き違い戸」とは、2以下の鍵(クレセント錠又は補助錠をいう。)
を解錠することにより、開放することができる開口部。
3 合わせガラスは、JIS R 3205に規定するもの。
凡例 △……ガラスを一部破壊することにより、外部から開放することができる部分を消防法施行規則第5条の2に規定する開口部として取り扱う。
× ……消防法施行規則第5条の2に規定する開口部として取り扱わない。
参考資料:‌総務省消防庁 消防予第111号「合わせガラスに係る破壊試験ガイドラインの策定及び無窓階の判定等運用上の留意事項について
(通知)
(平成19年3月27日)
」
3スパンドレルとガラス
4避難階段とガラス
(建築基準法施行令第107条、第112条10項)
(建築基準法施行令第122条、第123条)
スパンドレル部は、外壁の非耐力壁として延焼
建築物の5階以上の階*または地下2階以下の
の恐れのある部分では1時間の遮熱性能、その
階*に通じる直通階段は、避難階段または特別
他の部分は30分の遮熱性能を有することと規定
避難階段としなければならないとされています。
されていますが、通常のガラスでは遮熱性能を
避難階段や特別避難階段には、避難上の安全性
満足しませんので、スパンドレル部にガラスを
を考慮して採光上有効な開口部(または予備電
使用の場合は、ガラス以外で遮熱性能を得る構
源付きの照明設備)の設置が求められています。
造にしなければなりません。
このなかでガラスに関連のある内容は次のとお
りです。
*‌その主要構造部が準耐火構造であるか又は不燃材で造
られている建築物で地下二階以下の階の床面積の合計
が100m2以下である場合を除く。
(1)
屋内に設ける避難階段の場合
(建築基準法施行令第123条1項)
●階段室に設ける採光上有効な開口部は外壁側
に設けられるもので、階段室以外の部分の開
口部、壁および屋根(耐火構造のものを除く)
から90cm以上はなれていること。90cm未満
である場合は開口面積が1m2以内で法第2条
第9号の2ロに規定する防火設備ではめごろし
戸とすること。
7-1-6
は、面積1m2以下の防火戸その他の政令で定
める防火設備としなければなりません。
(2)
屋外に設ける避難階段の場合
(建築基準法施行令第123条2項)
階段は、その階段に通じる出入口以外の開口部
から2m以上の距離に設けます。
この距離が確保できない場合は、開口面積が
2
1m 以内の法第2条第9号の2ロに規定する防火
設備ではめごろし戸としなければなりません。
(3)
避難階段に通じる扉
(建築基準法施行令第123条2項)
50cm以上の防煙壁などを用いる。
●排 煙設備の代わりに設ける場合、特殊建築物
建築物(地下階も階数に算入)。
などを除く建築物の高さ31m以下の部分にあ
≧75㎝ る居室の場合、床面積100m2以内ごとに防煙
3)
延 べ面積が1000m2を超える建築物の居室
で、その床面積が200m2を超えるもの。
区画する。ただし50cm以上の防煙壁などを用
いる。共同住宅の住戸の場合は200m2以内と
4)開 放できる部分の面積の合計が当該居室の
床面積の1/50未満の居室及び開口部を有し
する。
ない居室。
(2)地下街の場合の設置基準
(2)排煙設備設置義務の除外
(昭和44年建設省告示第1730号第2)
(建築基準法施行令第126条の2)
2
●地下道の床面積300m
以内ごとに防煙区画す
る。ただし80cm以上の防煙壁などを用いる。
●前 項2)
〜4)に規定した建築物のうち、建築物
階段に通ずる出入口には、法第2条第9号の2ロ
の高さが31m以下の部分にある居室で、床面
に規定する防火設備で政令に規定する構造とし
積100m2以内ごとに防煙壁によって区画され
8道路内の建築制限とガラス
なければなりません
(従来の乙種防火戸または
たもの。
(建築基準法第44号)
甲種防火戸)。
(4)
特別避難階段の場合
(建築基準法施行令第123条3項、昭和
●前 項1)
の②に掲げた用途の特殊建物のうち、
公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行
準耐火構造の床若しくは法第2条第9号の2ロ
政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の
に規定する防火設備で区画された部分で、そ
利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれ
44年建設省告示第1728号、平成12年
の床面積が100m(共同住宅の住戸にあって
がないと認めて許可した建築物の構造は、次の
建設省告示第1435号)
は、200m2)以内のもの。
ように定められています。
●階段室に設ける採光上有効な開口部は屋内に
設ける避難階段の場合と同様です。
●階 段室の付室、またはバルコニーに面する部
分に窓を設ける場合、この窓ははめごろしとし
ます。
2
●前 項1)
〜4)に規定した建築物のうち、階段の
部分、昇降機の昇降路(乗降ロビーも含む)、
・主要構造部が耐火構造であること。
その他これに類する部分。
・‌耐火構造とした床若しくは壁又は特定防火 設
画されていること。
ケート場、水泳場又はスポーツの練習場。
●機 械工場、不燃性の物品を保管する倉庫、そ
部分以外に、屋内に面して開口部を設けては
の他これに類する用途に供する建築物で主要
いけません。
口には所定の構造の特定防火設備を、バルコ
ニーまたは付室から階段室に通じる出入口に
は所定の構造の防火設備を設けます。
構造部分が不燃材料で造られたもの。その他
これらと同等の火災発生の恐れの少ない構造
イ .随時閉鎖若しくは作動した状態にあるか、
又は随時閉鎖若しくは作動をできるもの。
赤色灯(20W∼60W)
直径10㎝以上の半球、
常
ロ.避 難上及び防火上支障のない遮煙性能を
時点灯、
またはフリッカー
有し、かつ、常時閉鎖又は作動した状態に
状態。
予備電源付
あるもの以外のものにあっては、火災によ
のもの。
火災が発生した場合の避難上支障のある高さ
屋内
屋外
赤色反射塗料
り煙が発生した場合に自動的に閉鎖又は
1辺20㎝の正三
作動するもの。
角形のマーク
≧10㎝
まで煙又はガスの降下が生じない建築物の部
・‌道路の上空に設けられる建築物にあっては、屋
●平 成12年建設省告示第1436号に規定される
10㎝≦
分。
≧75㎝
(建築基準法施行令第126条の2、3)
建物の安全確保のための規定のひとつに、排煙
7防煙壁の設置基準と構造
設備の規定があります。排煙設備の規定は、一
(1)建築物の場合の設置基準
手摺
5排煙設備、防煙壁とガラス
備のうち、次の要件を満たすもので道路と区
●学 校、体育館、ボーリング場、スキー場、ス
●階 段室には、バルコニーおよび付室に面する
●屋 内からバルコニーまたは付室に通じる出入
●建築基準法施行令第145条
≦80㎝ ≧1.2m
防火・防災関連
7-1
≧1.2m
●階 段室の屋内に面する壁に窓を設ける場合
1,200×750の寸法は、
割って入る場合は内法
寸法、
開けて入る場合は
外法寸法とみる必要が
ただし
500m2以内ごとに防煙壁で区画する。
あります。
直径1mの円が内
接できる大きさであ
③博物館、美術館、
図書館など
れば、
窓の形は楕
または
円 でも三 角 、何 で
④百貨店、マーケット、
飲食店など
もよい
2)階1数が3以上で、
延べ面積が500m2を超える
m
外に面する部分には、ガラス
(網入板ガラスを
除く)、瓦、タイル、コンクリートブロック、飾
バ ルコニー
バルコニー
石、テラコッタ、
その他これらに類する材料を
≧4m
定の規模や特定用途(不特定多数の人が集ま
(建築基準法施行令第126条の2、3)
る)の建築物には、発生した煙を速やかに屋外
●排 煙 設 備の一 部として設ける場 合、床 面 積
用いない。ただし、
道路上に落下する恐れのな
≧1m
い部分はこの限りではない。
へ誘導排出する設備を設置することを義務づけ
たものです。排煙設備の規定のなかで、ガラス
上階床
に関するものは、排煙窓と防煙壁に関する規定
です。
天井面
不燃材料
でおおう
不燃材料
(含むガラス)
でつくる
(1)
建築基準法による排煙設備を要する建築物
(建築基準法施行令第126条の2)
1)延べ面積500m2を超える特殊建築物
床面
(法別表第一(い)欄(一)項から
(四)項まで)
扉
間仕切壁
6排煙設備の設置基準
50㎝
以上
50㎝
以上
段違い天井
低い天 井 面から
50㎝以上垂れ下
げる
①劇場、映画館、演芸場、公会堂など
②病院、ホテル、旅館、共同住宅など
7-1-7
図6
防煙壁の構造(地下街を除く)
(建築基準法施行令第126条の2)
防火・防災関連
7-1
7-1-8
7-2
板ガラスと防災
地震や台風でガラスが破損することは通常は心
表 1 防災対策をお勧めしたい施設
配ありませんが、想定を越えた地震や台風が発
生する可能性はあります。より一層の安全を確
保するために、特に不特定多数の人が集まる病
院、コンビニエンスストアや競馬場など、また
学校、市民会館、福祉施設などの公共施設、特
特に安全への配慮が必要な施設
災害復旧など緊急時の重要性の高い建物
大勢の人が集い、事故の発生頻度が高い施設
に災害時に避難場所となる施設においてガラス
が破損した場合の安全対策が不可欠となります
表 2 災害の種類と求められるガラスの分類
( 表 1 )。
災害の種類
ここでは財団法人日本建築防災協会が策定し
た「防災に有効なガラスのガイドライン」講習会
地震
として取り込まれています。
1.
災害の種類と求められるガラスの分類
防火・防災関連
7-2
建築に用いられるガラスの破損を防ぐには様々
飛来物の衝突など
ブラウン管・液晶テレビ:台の上から飛来する、倒れる
10〜80kg前後
ピアノ:床の上を滑ってくる
200kg〜500kg
棚・本棚:倒れかかる
10〜100kg以上
参考文献
「板ガラスの衝撃強度の研究」
(湯浅他 日本建築学会大会学術講演梗概集S45.9)
「板ガラスの衝撃強度
(その1.
ガラスの曲げ破壊)
(白橋他 日本建築学会大会学術講演梗概集S53.9)
」
表 4 ガラスの種類と被害の評価
(地震被害)
(ガラスの衝撃実験および過去の知見を基に作成)
た、万が一としてガラスの破損を想定すると、破
損したガラスが人に危害を加えることのないよ
強風時に有効なガラス
風圧
表 3 地震時にガラスに衝突する可能性のある代表的な物品と想定荷重
な外力によってガラスに過大な応力・変形を生
じないように計画することが基本となります。ま
地震時に有効なガラス
層間変位
強風
ており、その中で「防災に有効なガラスのガイド
ン」と「強風時に有効なガラスのガイドライン」
求められるガラス
(適正なクリアランスを設けて破損させないのが基本)
に「安全・安心ガラス設計施工指針」を策定し
ライン」は「地震時に有効なガラスのガイドライ
作用する外力
家具、什器の衝突など
テキストの内容等を抜粋して紹介します。
なお、(財)
日本建築防災協会では、2011年2月
具体的な施設
保育園・幼稚園、小・中・高等学校(体育館)、病院・医療施
設、老人福祉施設
警察・消防施設、市役所・町役場、
市民会館・町民会館(避難場所として使用)
百貨店・スーパー・コンビニエンスストア、コンサートホール、
ショッピングモール
衝突物による
破片の
飛散脱落した
貫通防止 飛散脱落防止 破片自体の安全性
ガラスの種類
フロート5ミリ
×
×
×
網入6.8ミリ
×
△
△
ガラスに損傷を与える恐れのある自然災害と
フロート5ミリ+ガラス飛散防止フィルム50μm
△
○
△
して代表的なものに地震、強風があります。発
薄い膜の合わせ
(FL3+15mil+FL3)
△
○
○
厚い膜の合わせ
(防犯合わせ)
(FL3+30mil, 60mil+FL3)
◎
◎
○
強化
×
×
◎
うに計画する必要があります。
生する外力として、地震は家具等(以下、
「衝突
物」)
の衝突や層間変位に伴う強制変形、強風は
風によって飛ばされたもの
(以下、
「飛来物」)の
衝突や風圧があります。それぞれの災害に対し
ては、 表 2 のように「地震時に有効なガラス」、
「強風時に有効なガラス」が求められます。
2.
地震時の衝突物に対して有効なガラス
(1)
地震時に想定されるガラスへの衝撃荷重
凡例 ◎:高い安全性が得られる。 ○:効果が期待できる。 △:ある程度効果がある。 ×:効果が期待できない。
表 5 地震時の衝突物に対して有効なガラスの選定
最も有効なガラス
新築の場合
合わせガラス
(中間膜30mil以上)
改修の場合
合わせガラス
(中間膜30mil以上)
に交換
地震、強風時に想定される荷重などのうち、衝
有効なガラス
合わせガラス
(中間膜15mil)
飛散防止フィルム貼りガラス
合わせガラス
(中間膜15mil)
に交換
合わせガラスに交換できない場合は、ガラス飛散防止フィル
ムを貼る
突による衝撃はある程度の想定はできますが正
確に捉えることは難しいです。地震時にガラス
に衝突する可能性のある代表的な物品と想定荷
重は 表 3 のとおりです。 (2)
地震時に有効なガラスとその選び方
室内の家具等の衝突への対策は、家具の固定
た衝撃実験結果(参考資料1)と層間変位によ
が基本となりますが、固定が不十分であったり、
る面内変形破損試験(参考資料2)を基に、
「地
想定以上の揺れが生じた場合に備えて、家具の
衝突を想定したガラスの選択が必要です。
ここでは 表 3 に示すような家具の重量を考慮
し、平均値として質量100kgの加撃体を選定し
7-2-1
震時に有効なガラス」の選定を提案しています
( 表 4 、 表 5 )。
■参 考資料1 重量物衝撃実験(室内の家
表 6 実験に用いた各ガラスの仕様
具等の衝突を想定した衝撃実験)について
ガラス種類
より移動・転倒する室内家具の衝突に伴う衝
網入板ガラス
(JIS R3204)
撃力があります。
(財)
日本建築防災協会に設け
られた「防災に有効なガラスのガイドライン」
合わせガラス
(JIS R3205)
が低速でガラス面に衝突する場合の実験がお
こなわれました。
を保持する部分と、ガラスに衝突する加撃体
を貫通してガラスの大部分が飛散・脱落するも
のもみられました
( 図 2 、 図 3 参照)。
1500mmです。
FL5+50μm、FL3+15mil+FL3は加撃体先端
実験では振り子式に振り上げた加撃体を自由落
部がガラス面を貫通するもののガラスの飛散・
下させてガラス面を一撃し、その際の破損状況
脱落は加撃体先端部が貫通した箇所付近のみ
をみます。ガラスのとめ付け状況や衝突物の材
でした
( 図 4 、 図 5 参照)。
FL3+30mil+FL3は中間膜に若干膜切れが生じ
破損状況の相対的な比較が可能です。加撃体の
たものはありましたが加撃体先端部の貫通には
落下高さを15cm
(住宅想定)
に設定し、 表 6 に
至っていません
( 図 6 参照)
。FL3+60mil+FL3
示すガラスに関し、試験をおこないました。
はガラスにひびは入るものの中間膜に膜切れは
FL5、FL8、PW6.8は加撃体先端部がガラス面
生じませんでした
( 図 7 参照)
。
FL3+15mil+FL3
(貫通)
FL5+15mil+FL5
図3
図6
PW6.8 (貫通)
FL3+30mil+FL3
(若干膜切れ、貫通なし)
7-2
防火・防災関連
質などは実際の状況と異なるものの、ガラスの
図5
FL3+60mil+FL3
飛散防止フィルム貼り FL5+50μm
フロート板ガラス FL8+50μm
試験装置構成図
います。加撃体は総重量100kg、吊り長さは
FL5 (貫通)
FL3+30mil+FL3
FL5+30mil+FL5
図1
及びそれを振り子式に吊るす部分からなって
図2
PW6.8
FL3+15mil+FL3
検討委員会において、比較的質量のある物体
試 験 装 置 は 図 1 に示すようであり、ガラス
ガラス構成
フロート板ガラス FL5
(JIS R3202)
FL8
地震時にガラス面に加わる外力として、震動に
図4
FL5+フィルム (貫通)
図7
FL3+60mil+FL3
(膜切れなし、貫通なし)
7-2-2
■参考資料2 面内変形破損試験について
●合わせガラスの飛散防止性能
合わせガラスの場合、破壊後さらに変形を加え
150
一般的な窓ガラスでは、面内層間変位により
サッシからガラスに力が伝わらないように、ガ
ても、飛散率は2%を下回っており、最大破片
の重さも小さく、地震時の破壊や余震による揺
が十分確保されています。しかし万が一、想定
れ戻しに対しても、他のガラスに比べると安全
される範囲を超える層間変位が生じた場合を
性が高い事が示されています。
また、比較対象とした網入ガラスも、飛散防止
1325
考えると、ガラスが破損しても破片が飛散しに
くいガラスを選択しておくことが必要です。
1695
ラスとサッシの間は隙間(エッジクリアランス)
性能は高く、ほぼ合わせガラスと同等という結
試験体ガラス
ここでは地震時にガラスが破損した場合の破
果が得られています。
片の飛散状況を、試験的に確認した結果を示
一方、フィルム貼りガラスは、合わせガラスの
します。
2倍以上の破片が飛散し、最大破片の重さは合
この試験結果は、東京大学 坂本功教授を委
わせガラスに比較すると10倍以上の300gを超
える重量となっています。
員長として結成された「ガラス飛散防止性能検
面内方向の変形
討委員会」がまとめたものであり、破壊試験は
独立行政法人建築研究所が実施したものです。
(財)日本建築防災協会「ガラス飛散防止性能検討業務報告書平
成15年3月」参照
1)試験方法
図 8 のように、試験体ガラスを試験装置
(仮想
防火・防災関連
7-2
躯体)に取り付け、地震を想定した面内方向の
変形を強制的にガラスに加えることで、ガラス
を破損させ、ガラス破片の飛散量や大きさを測
定することで、合わせガラスの飛散防止性能を
確認しています。
この試験では、ガラスを取り付けた試験装置に
図8
● 合わせガラスの飛散防止経年変化
ガラス飛散防止性能検討の試験装置
「新規品」と「14年経過品」とを比較すると、
“飛散率”、“最大破片重さ”共にほとんど変わら
ないという結果が得られています。このように、
表 7 試験体
記号
試験体名
合わせガラスの飛散防止性能は経年変化によ
構成
Ⅰ 新規合わせガラス
フロート5+フロート5
る劣化もないという事が示されました。
なお、フィルム貼りガラスのフィルムは、ここで
Ⅱ 新規合わせガラス
フロート6+網入6.8
Ⅲ 単板ガラス
フロート8
Ⅳ 単板ガラス
(網入)
網入6.8
は経年変化品の試験は実施していませんので、
Ⅴ フィルム貼りガラス
フロート8+フィルム50μm
(ガラス飛散防止用フィルム)
Ⅵ 新規合わせガラス
フロート3+フロート3
Ⅶ 14年経過合わせガラス フロート3+フロート3
フィルムの接着力の劣化については不明です
が、一般には劣化する可能性もあるといわれて
います。
与える強制変形として、変形角
(rad)を以下の
ように制御しています。
○第1ステップ
70
変形角0→破壊または+1/60→破壊しない場
60
変形角0→+1/30→0に戻す→−1/30→0に戻
す
2)試験結果
表 7 に示す試験体について試験をおこないま
した。 図 9 は各ガラスの飛散率を、 表 8 は各
●フィルム貼りガラス
50
( )
○第2ステップ
各ガラスの飛散率 %
合は破壊する迄→0に戻す→−1/60→0に戻す
●単板ガラス
(フロート8)
(フロート8)
●新規合わせガラス
6
(フロート5+フロート5)
5
●新規合わせガラス
(フロート5+網入6.8)
4
●単板ガラス
(網入6.8)
3
●14年経過合わせガラス
2
(フロート3+フロート3)
1
0
●新規合わせガラス
(フロート3+フロート3)
1次破壊時
ガラスの最大破片重さを示したものです。
ここで飛散率とは、飛散した破片の重さをガラ
ス全体の重さに対する百分率(%)で表したも
のです。
飛散した試験体の
質量[g]
飛散率=
×100[%]
試験前の試験体の
質量[g]
ー1/60
枠 変形量
2cm
1/30
枠 変形量
4cm
ー1/30
枠 変形量
4cm
変形角
(rad)
出典:財団法人 日本建築防災協会「ガラス飛散防止性能検討業務 報告書 平成15年3月」より
図9
各ガラスの飛散率(板硝子協会「防災ガラスのすすめ」)
表 8 各ガラスの最大破片重さ
(板硝子協会「防災ガラスのすすめ」)
新規合わせガラス 新規合わせガラス 単板ガラス 単板ガラス フィルム貼りガラス 新規合わせガラス 14年経過合わせガラス
(フロート5+フロート5) (フロート5+網入6.8) (網入6.8)(フロート8)(フロート8)(フロート3+フロート3) (フロート3+フロート3)
4試験体のうち
最大片の
重さ(g)
25.2
22.7
13.3
1764.7
326.8
出典:財団法人 日本建築防災協会「ガラス飛散防止性能検討業務 報告書 平成15年3月」より
7-2-3
7.4
6.2
3.
強風時に有効なガラス
表 9 ガラスの種類と被害の評価
(風被害)
(過去の知見及び今までの実績を基に作成)
強風によるガラスの破損の被害には、風圧によ
るものと、衝突によるものがあります。
飛来物による
破片の
飛散脱落した
貫通防止
飛散脱落防止 破片自体の安全性
ガラスの種類
フロート5ミリ
×
×
×
網入6.8ミリ
×
△
△
フロート5ミリ+ガラス飛散防止フィルム50μm
△
○
△
薄い膜の合わせ
(FL3+15mil+FL3)
△
○
○
ないます。想定すべき耐風圧は基準法告示に示
厚い膜の合わせ
(防犯合わせ)
(FL3+30mil, 60mil+FL3)
◎
◎
○
された値以上になるように設計者が指定する必
強化
×
×
◎
(1)
風圧に関する対策
風圧に関しては平成12年建設省告示第1458号
に示された方法を基本にして耐風圧設計をおこ
要があります。
強風による開口部の被害報告には、サッシ枠が
凡例 ◎:高い安全性が得られる。 ○:効果が期待できる。 △:ある程度効果がある。 ×:効果が期待できない。
表 10 飛来物の衝突に対して有効なガラスの選定
外壁から外れる、障子が脱落する、サッシが変
形し、ガラスが破損するといった例があります。
これらの原因の多くは、①耐風圧計算のミス、
②サッシに想定以上の風圧がかかった、③施工
有効なガラス
新築の場合
合わせガラス
(中間膜は厚い方が有効)
改修の場合
合わせガラスに交換
の不備、④障子の施錠忘れ、であることが想定
されます。①②③は設計者・施工者の慎重な設
計・施工によって解決可能ですが、④障子の施
錠忘れは設計・施工関係者から使用者へ、強風
時には施錠が必要なことを正しく伝える必要が
有ります。
4.防災ガラスに関する基本的な考え方
以上、地震時、強風時の評価結果より、
「合わせ
ガラス」が被害軽減に最も有効なガラスとなり
飛散防止フィルム貼りガラス
ます。合わせガラスとは2枚の板ガラスの間に特
殊中間膜をはさんで熱と圧力で接着させたもの
飛来物の衝突に関する対策としては、まず飛来物
です。接着性が強く、耐貫通性に優れているの
をガラスに衝突させないことが挙げられます。こ
で、万が一破損しても破片がほとんど飛び散ら
れには雨戸やシャッターが有効です。しかし、予
ず、衝撃物が貫通しにくい安全性の高いガラス
測し得ない突然の強風に対しては、雨戸やシャッ
です。またガラスにフィルム貼りをした場合に比
ターを閉めるなどの対策はできない場合があり
べて、耐貫通性、脱落防止性が優れている上、
ます。このような状況では、ガラスの種類の選択
経年変化による透視性、接着性の劣化がほとん
により、被害を小さくすることが可能です。
どありません。
(3)
飛来物の衝突に対して有効なガラス
●ガラスの持つべき安全性能
強風時に有効なガラスの選び方は、基本的に地
災害に対して、ガラスが持つべき安全性能とし
震の場合と同様です。地震の場合の衝突物は部
ては、以下のように大別されます。
屋の内側から衝突し、風の場合の飛来物は屋外
①破片が飛散しにくいこと
から衝突する、という違いがありますが、被害防
②破片が鋭利でなく、小片であること
止方法は本質的に変わらないと考えられます。
③加撃物が貫通しにくいこと
また、地震の場合と同様に、高い安全性を求め
万が一、地震、台風・突風等によって破損した際
られる場合にはグレードの高いものを使い、高
の飛散防止には、合わせガラスと網入ガラスが
いところの窓は割れないようにするというのが
有効であるといえます。一方、破片が小片である
原則です。
という点からは、強化ガラスが挙げられますが、
これまでのガラスに関する知見、過去の実績を
ガラス破片の飛散や耐貫通性という面から、安
基にし、ガラスの種類と被害の評価をまとめま
全性能としては十分ではありません。地震時の
した。 表 9 、表10 に示します。
破損では面内変形の他に人体や什器などの衝突
また参考資料3に台風等の強風時における飛来
による破損も考えられます。この場合、網入ガラ
物などの衝突に関する衝撃試験を示します。
スは耐貫通性能があまり高くないので、やはり、
なお、表11 に飛散防止フィルム貼りガラス 、強
合わせガラスが最も適したガラスであるといえ
化ガラス、網入板ガラスの長所・短所をまとめ
ます。
ました。
これらは強風時の被害軽減を目的としたもので
はないので注意が必要です。
強化ガラス、網入板ガラスの長所・短所
長所 飛散防止効果がある。
大きく割れたときは大きな破片が落下するお
短所
それがある。
強化ガラス
衝突に対して割れにくくなっている。割れた場
長所 合でも破片は小さい粒状になるので安全性が
高い。
割れた場合、全面的に割れ、落下する恐れが
短所
ある。
網入板ガラス
フロート板ガラスと比較して破損した場合の
長所
ガラスの飛散・脱落を軽減する。
衝撃によって破損した場合は網が切れると大
短所
きな破片が落ちることがある。
7-2
防火・防災関連
(2)
飛来物の衝突に関する対策
表 11 飛散防止フィルム貼りガラス 、
参考文献
・防災に有効なガラスのガイドライン講習会テキスト
(財団法人日本建築防災協会 平成21年3月)
・安全・安心ガラス設計施工指針
(財団法人日本建築防災協会 平成23年2月)
7-2-4
■参考資料3 台風等の強風時
まで飛ぶのに対して重い飛来物は高くは飛ば
飛来物などの衝突に関する衝撃実験
ず、低い所で建築物に衝突するという被害観察
台風や突風などが発生した時に、強風にあおら
結果から決められています。
れて勢いよく飛んできた物体が窓にぶつかり、
加撃体Aは小石等の破片を模擬したもので、加
ガラスが破損する被害が近年、各地で発生して
撃体B,C,D,Eは木片を想定しており、加撃体は
います。台風の場合、飛来物が窓にぶつかった
AからEになるに従い、より大きな衝撃力をもつ
図 2 に示す通りで、速度や衝突位置が定めら
れています。
・加撃体がガラスを貫通した場合は不合格とな
ります。
分的な損傷が見られた場合は、引続き圧力載
・部
後も強風が継続するため、繰り返す風圧にガラ
飛来物を想定しています。
荷試験
(2,490Pa、正負9,000回)
を行い、脱落や
スは耐えることが必要です。
ここでは本試験のうち、京都大学防災研究所
開口が開くことがない場合に合格となります。
台風や突風などの強風時の飛来物に対する建
と
(一財)
日本建築総合試験所にて行われた、
築物の防御設計としては、国際標準規格ISOに
防火・防災関連
7-2
球と木片が用いられます。加撃体は 表 1 と
表 1 のうちA,B,C及び瓦相当
(BとCの中間)
2)
試験結果
・ 表 3 に加撃体A,B,C及び瓦相当
(BとCの中
規定があります。ISO 16932-2007「建築物の
の加撃体を用いた試験結果を示します。ISO規
間)
の結果を示します。
ガラス-破壊的に暴風に耐える安全ガラス-試
格はA~Eの5種類だけですが、日本における強
瓦相当の加撃体では、合わせガラス
(FL3+
験と分類」です。
風時の代表的な飛来物として和瓦
(約3kg)を
60mil+FL3)
、
(FL5+60mil+FL5)
、
(FL5+
本試験は、初めに衝撃性能試験を行い、加撃体
選定し、合わせガラスの破壊形状を確認した結
90mil+FL5)
が合格しています。
が貫通した場合は不合格、部分的な損傷に収
果、ISOのBとCの間になることが確認されてい
加 撃 体Cは、合 わ せ ガ ラ ス
(FL5+90mil+
まった場合には繰り返し載荷の圧力試験を行
ます。
います。
一般的な強風ゾーン1
(東京、大阪などの設計
FL5)
がISO合否判定で合格しています。
・ 図 3 に加撃体Bの結果を示します。
衝撃試験の加撃体は 表 1 に示すように、材料、
基準風速34m/sの地域)
を想定し、各種板ガラ
合わせガラス
(FL3+60mil+FL3)
はISO合否
質量、衝突速度により、A,B,C,D,Eの5つのタ
ス及びフィルム貼りガラスの試験を行いました。
判定で合格となります。
イプが定義されています。この加撃体は 表 2
1)
試験方法
フロート板ガラス5ミリ+飛散防止フィルム
に示す建築物の防御レベルと強風ゾーンごと
・ 図 1 に示す衝撃試験装置で、加撃体を飛ば
に、建築物のガラスが設置される高さによって
し、試験体ガラス
(幅0.9m×高さ1.1m)
に衝突
選定されます。ガラスの設置高さによって加撃
させます。
(部分貼り)
は不合格でした。
・上記の結果より、中間膜の厚い合わせガラス
は台風や突風などの強風による飛散物に対し
て有効であることがわかります。
・衝 突させる加撃体はミサイルと呼ばれ、鋼
体のタイプが異なるのは、軽い飛来物が高い所
試験体取付治具
エアータンク
リザーブタンク
【A 鋼球】
試験体
砲身
加撃体
コンプ
レッサー
加撃位置
取付台座
衝撃試験装置
図1
表 1 試験に用いる加撃体
(逆くの字)
タイプ
材料
質量
衝突速度 (誤差)
A
鋼球10個
2g±0.1g/個
39.7m/s (±1% )
B
ツーバイフォー木片
2.05kg±0.1kg
12.2m/s (±2% )
瓦相当※
ツーバイフォー木片
3.0kg±0.1kg
15.3m/s (±2% )
C
ツーバイフォー木片
4.1kg±0.1kg
15.3m/s (±2% )
D
ツーバイフォー木片
4.1kg±0.1kg
24.4m/s (±1% )
E
ツーバイフォー木片
6.8kg±0.1kg
24.4m/s (±2% )
(中央部)
(くの字)
【B~E ツーバイフォー木片】
加撃位置
※日本における強風時の代表的な飛来物として和瓦
(JIS規格J型桟瓦、約3kg)を速度20.5m/sで衝突させ、合わせガラスの破壊性状
を確認した結果、加撃体が3kgのツーバーイフォー木片で衝突速度が15.3m/sの時と同等の試験結果であることを確認した。
表 2 階級分けのための試験に要求される加撃体のタイプ
防御レベル
ガラスの設置高さ
強風ゾーン1
(32≦V10<35m/s)
強風ゾーン2
(35≦V10<38 m/s)
強風ゾーン3
(38≦V10<41 m/s)
強風ゾーン4
(41 m/s≦V10)
7-2-5
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
>10m
≦10m
>10m
≦10m
>10m
≦10m
>10m
≦10m
N
N
A
B
C
C
C
D
N
N
A
B
C
C
C
D
A
B
A
C
C
D
D
E
A
B
B
C
C
D
D
E
(逆くの字)
(中央部)
(くの字)
(右上部)
図2
(中央部)
(左下部)
加撃体と加撃位置
・防御レベルは建築物の重要性によって決まる。
レベル1:重要性の低い建築物、レベル2:通常の建築物、レベル
3:大規模建築物、レベル4:重要な建築物
・V10は10分間平均風速で、日本の基準風速に換算した。
・A〜Eは表1に示す加撃体、Nは試験が要求されないことを示す。
(右上部)
表 3 各種ガラスの衝撃試験結果
合わせガラス
フィルム貼りガラス
フロート板ガラス
厚さ
(ミリ)
厚さ
(ミリ)
厚さ
(ミリ)
FL3+30mil+FL3
網入
板ガラス
FL3+60mil+FL3
強化ガラス
FL5+30mil+FL5
部分貼り
FL5+60mil+FL5
全面貼り
FL5+90mil+FL5
ガラス
品種
A
○
○
○
○
○ (○)(○)(○) ×
○
○ (○) ○
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
B
○
○
○
○
× (○)(○) ×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
瓦相当
○
○
×
○
×
-
-
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
C
○
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
加撃
タイプ
ガラス厚(ミリ)
5
5
5
5
ガラス厚(ミリ)
6
6
フィルム厚(μm)
6
5
5
5
5
フィルム厚(μm)
450 350 100 50 450 350 100 450 350 100 50
10
8
6
5
10
6.8
12
10
8
6
5
ISO規格合否判定 合格:○ 不合格:×
・(○)
は予想判定結果であり、ISOで規定された圧力載荷試験を行っていないため、最終的な判定結果が異なる可能性がある。
・‌フィルム貼りガラスの「部分貼り」とは、フィルムがガラス全面に貼られておらず、サッシ等のフレーム内に収められていない状態。ガラス施工後にフィルムを貼ることを想定し、約2ミリの隙間がある。
・‌フィルム貼りガラスの「全面貼り」とは、フィルムをサッシ等のフレーム内にしっかり収め、ガラス全面に貼られた状態。
防火・防災関連
7-2
フロート板ガラス8ミリ
<不合格>
網入板ガラス10ミリ
<不合格>
強化ガラス8ミリ
<不合格>
フロート板ガラス5ミリ
+飛散防止フィルム100μ
(部分貼り*)
<不合格>
フロート板ガラス5ミリ
+飛散防止フィルム350μ
(部分貼り*)
<不合格>
合わせガラス
FL3+60mil+FL3
<合格>
ミサイルは貫通、亀裂が全体に広がり大きな開口と
なった
(見やすいようにガラスに塗料を塗っている)
ミサイルは貫通、衝突部周辺のガラスは破損したが
破片は飛び散らなかった
ミサイルは貫通、亀裂は全体に広がらず破片は飛び
散らなかった
ミサイルは貫通、衝突部から円筒状及び放射状に亀
裂が生じたが破片は飛び散らなかった
ミサイルは貫通、亀裂は全体に広がり衝突部周辺が
円筒状の開口となった。ガラス片は小粒状であった
ミサイルは貫通しなかった。衝突部から円筒状及び
放射状に亀裂が生じたが破片は飛び散らなかった
*部分貼り:ガラス施工後にフィルムを貼る場合。フィルムがガラス全面に貼られておらず、サッシ等のフレーム内に収められていない状態
図3
加撃体Bの試験結果
ツーバイフォー木片
(質量2.05kg)
を衝突速度12.2m/sでガラス中央部に加撃
(ISO 16932-2007準拠)
ガラスに加撃体(ミサイル)
が衝突した瞬間を超高速度カメラで撮影
参照文献
・河井 宏允,丸山 敬,西村 宏昭,
「板ガラスの耐衝撃破壊性状
(実験結果データ集)
」
,
平成23年8月30日
・丸山 敬,河井 宏允,西村 宏昭,花谷 真由子,
「種々の加撃体を用いた合わせガラスの耐衝撃試験と標準加撃体の提案」
,
日本風工学会論文集第39巻第1号
(通号第138号)
,
平成26年1月
7-2-6