1 2012.1.20 欧州プラスチック施行規則(PIM)

2012.1.20
欧州プラスチック施行規則(PIM)業界ガイダンス
塩ビ食品衛生協議会
PlasticsEurope と Cefic FCA は PIM に関する業界ガイダンス「プラスチック製食品接触
材料及び製品に関する規則(EU)No 10/2011 に対する説明上の見解」を公表した。
PlasticsEurope & Cefic FCA「プラスチック製食品接触材料及び製品に関する規則
(EU)No 10/2011 に対する説明上の見解」。
http://www.plasticseurope.org/documents/document/20111208094327-foodcontact_pim_
explanatory_document_7_december_2011.pdf
「宣言:
この書類は規則(EU)No 10/2011 を支援するものとして開発された技術資料である。法的な
テキストを代替するものではない。PlasticsEurope 及び Cefic FCA は読者に、EU 健康消
費者保護総局のウエブサイトで参照できるオリジナルの規則をリファーするよう
http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/documents_en.htm
及び彼/彼女が責任をもつこの規則の要件に整合するようアドバイスする。
1.
一般的序論:
EU 食品接触法規制は、食品接触用の全ての材料及び製品に適用可能な一般規則をカバーす
る(規則(EC)No 1935/2004)。プラスチックのような特定材料には、より詳細な規則が数年
に亘り追加策定されてきた。
規則(EU)No 10/2011 の発行により、PlasticsEurope 及び Cefic FCA は、ポリマー製造者
を援助しガイダンスを提供し、食品接触用プラスチック材料及び製品に係る規則(EU)No
10/2011 の解釈についてサプライチェーンでの彼らの立場を説明するため、この書類を作成
した。
加えて欧州委員会は 2010~2011 年加盟国会合で、“プラクティカルガイド”と題された古
い書類を代替することになるガイダンスドキュメントを発行し、適合性を保障するとき
我々を支援し、特定の要件に技術説明を与えるとアナウンスした。
2.
規制の背景:
食品接触材料はいわゆる枠組み規則 2004 年 10 月 27 日付(EC)No 1935/2004 で規制されて
1
いる。この枠組みは食品接触材料の全ての材料に基本的規則を設定し、こうして国家規制
間で長く存在している差異を除くものである。枠組み規則に付帯された GMP 規則(EC)No
2023/2006 は、全ての食品接触材料及び製品に適正製造基準の要件/原則を示している。
枠組み規則はまた特定材料に規則を施行する開発を認めている。2011 年 1 月 14 日付食品
接触用プラスチック材料及び製品規則(EU)No 10/2011 はこうして施行規則(いわゆる
“PIM”又はプラスチック施行規則)として特にプラスチックに係るものである。
食品接触法規制はつぎのように要約できる:
特定の材料(例えば:紙、インキ、コーティング)には何らの欧州規制も利用可能とされ
ていない一方、スイスの印刷インキに関する条例のような国家規制、欧州評議会決議のよ
うな国際的勧告が考慮に入れることができ、協議会から提案された適正基準は工業界にこ
れら特定の要件の施行を助けるものである。規則(EU)No 10/2011 は既存の指令 2002/72/EC、
移行試験条件、食品擬似溶媒及び VCM に係る特定規制に係る指令の統合を単一の規則に中
に含む。
この規則はつぎの 6 つの章と 6 つの付属書から構成される:
-
第Ⅰ章は、総則を示し主題、規制範囲、定義、上市を含む(第 1~4 条)
2
-
第Ⅱ章は構成上の要件に係る(第 5~12 条)
-
第Ⅲ章はある種の材料及び製品に対する特定の規制に係る(第 13~14 条)
-
第Ⅳ章は適合宣言及び書類に係る(第 15~16 章)
-
第Ⅴ章は適合性に係る(第 17~19 章)
-
第Ⅵ章は最終的な規制に係り、欧州の法の廃止、暫定規制及び発効を含む(第 20~23
章)
-
付属書:
○
付属書Ⅰは認可された化学物質のリストを示す
○
付属書Ⅱは最終材料及び製品に係る特定要素の規制に係る
○
付属書Ⅲは食品擬似溶媒に関する
○
付属書Ⅳは適合宣言に係る
○
付属書Ⅴは適合を検証する試験条件を記述する
○
付属書Ⅵは対照表に係る
この新たな規則は 2011 年 5 月 1 日発効し、暫定規制を 2016 年 1 月 1 日まで予想している
(第 22 条参照)。第 22 条第 5 項及び≪リサイタル≫46 に拠り、2011 年 5 月 1 日以前に法
的に上市された全ての材料及び製品は、2012 年 12 月 31 日まで継続上市することができる。
第 21 条によりつぎの指令は 2011 年 5 月 1 日より廃止される:
-
指令 80/766/EEC、81/432/EEC
-
指令 2002/72/EC 及びその改訂、
食品擬似溶媒に関する指令 85/572/EEC 付属書は、規則(EU)No 10/2011 付属書Ⅲポイント
3 により代替され、指令 85/572/EEC の残りの部分はそのまま発効する。指令 82/711/EEC
(移行試験)は古い試験制度に従い試験が継続可能な間、そのまま有効である(失効日は
2016 年 1 月 1 日)-パラグラフ 7.1 試験への規制参照。
この規則はつぎが大きく変更されたことに留意されたい:
-
規制範囲
-
定義
-
試験方法
-
食品擬似溶媒
これらの変更はこの書類で更に説明される。
3.
総則(第Ⅰ章)
3.1 主題と規制範囲(第 2 条)
主題は第 1 条にある。
3
この規則はプラスチック材料及び製品の製造及び販売に対する特別な要件を設定す
る:
(a)
食品接触用;又は、
(b)
既に食品に接触しているもの;又は、
(c) 食品に接触すると合理的に予測されるもの。
この規則は特定規制であり、排他的に単層膜のプラスチック及び接着剤で貼り合わせ
た多層プラスチックを扱う。それらは印刷され又はコートされたプラスチック層、又はコ
ーティングされた発泡ガスケット及び多材料多層材料及び製品のプラスチック層であるこ
とができる。
以前の指令 2002/72/EC 及びその改訂に比べ、この規則の規制範囲は拡大し、今や多材
料多層膜材料及び製品(MMML)の一部であるプラスチック層も扱う(例えば液体飲料水
カートン….)
。多材料多層膜材料及び製品では、プラスチック層だけが、その構成が関連す
る限り規則を課せられる。詳細は後で見られる(第 14 章へのコメント参照)。
この規則はプラスチック食品接触包装材料だけではなく、例えば食品工業に使用され
る全てのプラスチック材料及び製品(食品貯蔵タンク、パイプ、ポンプ、コンテナ、コン
ベヤベルト…)及び台所用品(カップ、皿、刃物、食品調理エリアの食卓表面、冷蔵庫の
内面や棚)にも適用される。
この規則は、印刷された及び又はコーティングでカバーされたプラスチック材料及び
製品に認可を与えていることに注意されたい。プラスチック層はこの規則の規制範囲にあ
る一方、コーティングや印刷インキは枠組み規則(規則(EC)No 1935/2004)及びもし存
在すれば特定の国内規制に適合しなければならない(第 2 章第 3 項参照)。しかし、もし印
刷インキ及び/又はコーティングが欧州のポジティブリストにあり PIM の下で制限される
化学物質を含むとき、適合性保証を可能にするべく充分な情報が最終製品製造者に提供さ
れねばならないという責務は存在する(≪リサイタル≫30)。この同様の規則は、2 つのプ
ラスチック層の間又は包装及び表示の間にある接着剤にも適用される。
この規則は、EU 市場に上市されているつぎの材料及び製品に適用してはならない(第
2 条第 2 項)
:
-
イオン交換樹脂
-
ゴム
-
シリコーン。
4
このことは規則の≪リサイタル≫7 に説明されている。これら材料が重合工程で得られ
た高分子化学物質であっても、それらはプラスチックとは異なる化学物質を構成し、異な
る物理的化学的性状を有している。従い、これらには特定の規則(例えばゴムには国家の
規則、イオン交換樹脂には、シリコーンには欧州評議会の決議又はフランスの法的テキス
ト)が適用される必要があり、そしてそれらがこの規則の規制範囲内にはないことが強調
されねばならない。
これらの材料に対する国家の規制はつぎの URL を用い見出すことができる:
http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/docs/ReferencesEurNatLeg_20
091026.pdf
http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/sum_nat_legis_en.pdf
3.2 定義(第 3 条):
この規則は以前の法規制に比較しより良い理解を提供する 18 の定義を含む。
我々はより説明が必要な特定の定義だけに我々のコメントを絞る。
規則(EU)No 10/2011 の≪リサイタル≫8 は、高分子構造を形成するため化学反応する
モノマー又は他の出発物質により製造されるプラスチックが、プラスチックの主要な構造
的構成物を形成するポリマーとしてリファーされることを明確に説明している。ポリマー
に対し、添加剤は規定された技術的効用を達成するため添加される。ポリマーそのものは
不活性な高分子の重量構造体である。これらプラスチックはさらに加工されプラスチック
材料及び製品を形成する(図 1 参照)。
5
添加剤の定義の中で、古い法的テキストに使用されていた“技術的効用”が PIM では
“物理的又は化学的効用”に変更されたことに留意されたい(第 3 条定義番号 7 参照)。
PIM は添加剤とポリマー製造助剤(PPA、第 3 条定義番号 8 参照)の間に明確な差異
を作った。
ポリマー製造助剤という用語は、以前の用語“重合製造助剤”を代替している。これ
は、ポリマー製造助剤が過去の重合段階で使用された化学物質を含むことを意味している。
PPA は最終的な材料又は製品に存在することを意図していないことに留意することが重要
である。
今や重合助剤に明確な定義がなされる(AP、第 3 条定義番号 10)。一方以前の指令
2002/72/EC では、付属書Ⅲにつぎの記述を見出すだけだろう:“…ポリマー製造に直悦影
響する化学物質…”
この規則は非意図的添加物(NIAS)に明確な定義を与え、それが使用された化学物質
に含まれる不純物、又は製造工程の間で形成される反応中間体、又は分解又は反応生成物
を意味する。今や≪リサイタル≫18,20 及び第 19 条がこれらの化学物質に適用される。
3.3 プラスチック材料及び製品の上市に関する一般条件(第 4 条):
・
不活性、組成、表示、トレーサビリティ及び GMP の一般条件の参照
○
この特定規制が、いわゆる“枠組み”規則(EC)No 1935/2004 の姉妹規則であり、
この新たな規則は自動的に食品接触材料及び製品に枠組み規則の一般条件をリファーする。
このことは、
(食品接触用)プラスチック製品及び材料がつぎのとき上市できることを意味
する。
(a)
GMP に適合し(枠組み規則の)第 3 条に適合している。即ち、ひとの健康を損な
い、又は食品の成分に影響し、又は食品の感覚的性質を劣化させる(即ち、匂いや味に影
響する)ような量で、食品に化学物質が移行しないこと。不活性の一般条件は食品衛生の 2
つの主要な観点に係る、即ち、食品安全の管理と食品の性状の保持
(b) 規則(EC)No 1935/2004 第 15 条に示された表示の要件に合致する。最終製品(=
市場に置かれたもの)の表示はつぎの言葉を持たねばならない。“食品接触用という言葉又
はスープスプーン、サラダカートレー、飲料水ボトル又はシンボル”
6
(c) 規則(EC)No 1935/2004 第 17 条に拠るトレーサビリティの規則に合致する。トレ
ーサビリティとは、消費者への情報提供、同様にその責任を明確にする責任を負い欠陥製
品を回収させるものでなければならない。
この規則は、もし或いは化学物質の統合リストが特定規制の 1 つで予見されると
き、欧州レベルで認可される化学物質にフォローする手続きを詳細に記述する。これは、
化学物質の EU リストが規制の一部をなすプラスチックに当てはまる。
(d) 規則(EC)No 1935/2004 に拠り“GMP”の責務に適合する。この規則は食品接触
材料及び製品(プラスチックだけではない)の製造業者を意図しており、出発物質の製造
者を除外している。彼らがコンパウンドから直ちに彼ら自身の包装材料を製造するときを
除き、これら材料のユーザーを意図していない。
4.
構成上の要件(第Ⅱ章):
規則(EU)No 10/2011 第Ⅱ章は、食品接触用プラスチック材料及び製品の構成に関する要
件をまとめている。第 5 条は認可化学物質の統合リストの内容を規定する。
4.1 認可物質
4.1.1 統合リスト:
規則(EU)No 10/2011 付属書Ⅰの統合リストは、改訂された指令 2002/72/EC 付属書
Ⅱ及び付属書Ⅲを代替する。我々は今や 1 つのリストしか持たないが、モノマー又は他の
出発物質対添加剤(及び/又は PPA)の認可用途間にある差異は残っている。添加剤はモ
ノマーなどに使用できないことを注意されたい。もしリストされたモノマーを添加剤とし
て使用する意図があるとき、新たな申請を行わねばならない。
注記:ある種の化学物質は今日添加剤及びモノマー及び又は出版物質として使用が
認可されていることに注意されたい。
統合リストはつぎの使用される化学物質を含む:
-
モノマー及び他の出発物質(第 3 条の 6 番目の定義参照)
-
着色剤を除く添加剤
-
溶媒を除くポリマー製造助剤(非消費リスト)
-
微生物発酵で得られた高分子
注記
溶媒及び着色剤は統合リストから除外されたが、使用したとき枠組み規則第 3
条に適合しなければならないことに注意されたい。
規制が ND=不検出と表示された化学物質は、個々の化学物質に個別に特定されない
限り、検出限界 0.01mg-化学物質/kg-食品が適用できることに注意。分析誤差の原則はこの
7
規則に特に触れられていないが、不検出 0.01mg/kg は分析誤差を除外しているというのが
我々の理解である。
新規化学物質は、新規化学物質に対する認可要求を施行する規則(EC)No 1935/2004
(第 8~12 条)で規定された手続きに従いこのリストに追加できる。この申請書類作成の
規則は“ガイダンスの注記”に記述され、
http://www.efsa.europa.eu/en/scdocs/doc/21r.pdf
そして国家当局の一つを通じ、当該化学物質をリスク評価し意見書を発行する EFSA
に提出する。欧州委員会はこの意見書をリスク管理に基づき用い、その後統合リストに収
載されることで当該化学物質は認可される。
4.1.2 除外:
第 6 条は統合リストでカバーされない化学物質への除外に係る(第 5 条及び第 6 条
第 3 項)。これらは国内法で認可されている又は PIM 第 19 条に拠るリスク評価を課すとき
使用できる。これら化学物質はつぎの分類の一つに帰属する:PPA(第 6 条第 1 項)
、溶媒、
着色剤(第 6 条第 2 項)
、NIAS、重合助剤(第 6 条第 4 項)
、暫定リストにある添加剤(第
6 条第 5 項)
。
統合リストにより認可されカバーされることを考慮し、条文に記述される条件の点
で第 6 条第 3 項に記述されるケースは:塩類、混合物、モノマーとしてもリストされたポ
リマーの添加剤、プレポリマーである。我々はここにいくつかの特別な場合に光を当てた
いと思う:
a) 第 6 条第 3 項(a)は元の酸又はフェノール又はアルコールのエントリが認可さ
れている塩の拡大を導入する。この拡大は今や、Ba,Co,Cu,Li 及び Mn 塩を含む。加えて付
属書Ⅱポイント 1 において、あなたはカウンターイオンへの規制を見出すことになる。例
えば硫酸バリウムを示す参照番号 92000 は、この硫酸バリウムが今や元の酸“硫酸”のエ
ントリが参照番号 91920 で認可されたことから、消除されている。バリウムの制限 1mg/kg食品又は食品擬似溶媒は残っている。
b)
≪リサイタル≫15 及び第 6 条第 3 項(c)は、ポリマー添加剤の注記を導入し、
この規則で規定された主に構造的構成物としての機能をもつことができるポリマー、又は
ポリマー添加剤と考えられるポリマーのいずれかである添加剤に存在する差異を明らかに
する。両方とも重合工程又は何らかのその他の工程で得られた高分子量体である。もし高
分子物質の重量分子量が充分高く、その 1000Da 未満の画分がひと健康に危害を与えない
ほどに充分少なく、そしてポリマーがプラスチック材料又は製品(シート、フィルム….)
を作成できるとき、この高分子量体は構造的なポリマーと見なされ、その結果そのモノマ
8
ーが認可されている限り、そのモノマーでカバーされる。ここではそのポリマーは添加剤
として申請する必要はない。プラスチックで主な構造的構成物として使用できないポリマ
ー添加剤や微生物発酵で得られた高分子は申請が求められる。
c) 2015 年 12 月 31 日以降、キャップや栓のプラスチック層又はプラスチックコ
ーティングで使用される可塑剤以外の添加剤リスト 1 はポジティブリストになる。この用途
で使用される可塑剤は既に今日認可が課せられていることに注意されたい(第 23 条参照)。
1http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2008:164:0012:0013:EN:
PDF
d)
2015 年 12 月 31 日まで、付属書Ⅰにリストされていないガラスファイバー強
化プラスチック用のガラスファイバーサイジングに使用される添加剤は、第 19 条に示すリ
スク評価規制に適合しなければならない(第 22 条第 4 項参照。その日以降、この添加剤リ
ストがまたポジティブリストになる)。
枠組み規則(EC)No 1935/2004 第 3 条への適合を保証するため、第 19 条は工業界に、
この規則で認可されたものを除き、プラスチック材料及び製品に使用される化学物質のリ
スク評価について、世界的に認知された科学的原則に従い自ら評価を実施することを認め
ている(着色剤、溶剤、PPA、AP 及び NIAS)。
まとめると、認可が必要ないリストされない化学物質には、つぎの方法論が使用可
能である:
○
当該化学物質が国際的推奨により又は国家レベルで認可されているか、又は;
○
第 19 条に従い国際的に認められた科学的原則に基づきリスク評価を行う
モノマー及び添加剤は、特定の規制があるファンクショナルバリヤーの後方にある
ものを除き、明らかに認可されねばならない。
こうして新たなモノマー、出発物質及び添加剤(ポリマー添加剤を含め)について、
又はこれら既存の認可化学物質の用途変更が生じたとき、EFSA への申請書類提出が強制さ
れる。
4.2 一般要件、制限及び規格
第 8 条は化学物質の一般要件に係る。これは新たな要件ではない。このことは指令
2002/72/EC 及び改訂の付属書Ⅱ及び付属書Ⅲの双方でつぎのように取り上げられている:
“化学物質は純度基準の観点で良好な技術的品質をもたねばならない。”
今やこの要件は規則の基本的テキスト、第 8 条に現れる。それはサプライヤーの法的責務
9
が、消費者自身の規制の責務と合致させるものであることを明らかにする。
規格に関する第 3 条定義 18 は、この規則の内容の中で見なければならない。我々は例
えば抗酸化剤やレオロジー改良機能のような化学物質の技術的機能をリファーしていない。
むしろ消費者の安全性を保証するとき必要な規格をリファーしている。顧客とサプライヤ
ー間の会話はつぎを含むことができる:
○
いくつかの溶媒/擬似溶媒への溶解性のような物理-化学的性状が、移行の潜在
力を評価するとき重要である
○
化学物質の純度プロファイルや製造は、この純度プロファイルの一貫性を保証す
るため重要である
○
純度プロファイルの変更は、変更に管理を課されねばならない。
第 9 条第 2 項は、ナノ形態の化学物質が、もし統合リストにカラム 10 に示す規格とと
もに明らかにリストされているときだけ、その使用を認めるものである。ファククショナ
ルバリヤーの後方でさえ、ナノ形態の化学物質は認可が求められる。これはレスポンシブ
ルケアの原則に基づくもので、ナノ形態をもつ化学物質の移行量制限を決定する方法に懸
念があるという事実によっている。他の全ての認可されていない化学物質(第 13~14 条)
は、CMR 物質を除き、移行量が間違いなく検出限界 0.01mg/kg 以下であれば、ファンクシ
ョナルバリヤーの後方で使用できる。
4.3 一般的な特殊移行:
第 11 条第 2 項は、SML 又は他の制限が存在しない化学物質に“一般的な特殊移行”
を導入する。これは既に指令 2002/72/EC で記載されている:付属書Ⅰ、総移行量に係る特
定規制、ポイント 8、パラグラフ 2。この条文の意図することは、それら化学物質が適合宣
言で開示される必要があることを含むものではない。付属書Ⅰ及び付属書Ⅱに述べられた
制限のある化学物質だけが開示される必要がある。
5.
適合性(第Ⅴ章):
ポリマー樹脂の製造には NIAS 及びそれらの樹脂に適用される制限の使用に注意を払うこ
とが求められる。しかしそれは下流のユーザーに最終製品での適合性確認の責任をもつこ
とをいうものではない。
5.1 適合性確認の規則
第 17 条は移行試験結果の表現に関する規則を与え、第 18 条は移行制限との適合性評
価についての規則を与える。
スクリーニング方法は残存量、他の擬似溶媒又は抽出試験の使用、非蒸発物の OML、
10
移行のモデル化を含め、一般に、それらが過大評価するほどよりシビアであるとき引用す
る。もし以前述べられた方法が全て間違っていれば、そのときは実際の移行試験結果が、
適合性の確認(或いは確認しない)ために優先される。
つぎの試験結果のヒエラルキーがまた考慮されねばならない:
a) もしスクリーニングで適合したが擬似溶媒での検証で不適合のとき、そのときは
不適合とする
b) もし擬似溶媒で適合したが食品での検証で不適合のとき、そのときは不適合とす
る
食品での適合性は、スクリーニング方法に勝る食品擬似溶媒よりも勝る。
第 18 条第 4 項は、移行について食品擬似溶媒を使用し測定できることを説明している。
新たな擬似溶媒は付属書Ⅱで導入された。水は今や食品であっても食品擬似溶媒でないこ
とに注意されたい。しかし水にだけ接触が意図されるプラスチック材料なら、水での試験
が実施できる。
追加された変更はここに明らかにすると:
●
擬似溶媒 A:10%エタノール(以前:蒸留水)
●
擬似溶媒 C:20%エタノール(以前:10%エタノール)
●
擬似溶媒 D2:全ての植物油(付属書Ⅲ表 1 の規格参照)
●
擬似溶媒 E:乾燥食品に Tenax(新規)
参照
食品擬似溶媒
食品のタイプ
A
10%エタノール
水性食品
B
3%酢酸
親水性の性状をもち、親水性の化学物質を抽出でき、そして
pH<4.5 の食品
C
20%エタノール
親水性の性状をもち、親水性の化学物質を抽出できる食品、アル
コール濃度 20%までのアルコール性食品及び食品をより新油性
にする有機添加物を関連する量含むそれら食品
D1
50%エタノール
アルコール濃度 20%超のアルコール性食品及び乳製品
D2
植物油
油性食品及びフリーの脂肪が表面にある食品
E
ポリ(2,6-ジフェ
乾燥食品
ニル-p-フェニレ
ンオキシド)*
* 粒子径 60~80 メッシュ、ポアサイズ 200nm
5.1.1 親水性化学物質への FRF
11
FRF に係る新油性の化学物質を統合リストのカラム 7 に示す。FRF は脂肪 20%以上
含む食品への新油性化学物質の特定移行に適用する(付属書Ⅴ第 4.1 章参照):
●
FRF は総移行量制限を超える特殊移行に導いてはならない
●
FRF は指令 2006/141/EC 及び 2006/125/EC に拠る乳児及び若い子供用食品
の接触様材料又は製品に使用してはならない
●
FRF は表面積とそれに接触している食品の量との関係が推定できない材料及
び製品に適用してはならない
5.1.2 食品擬似溶媒への移行の補正係数
付属書Ⅲ表 2 は食品分類の食品擬似溶媒への特定の配置を示す。食品擬似溶媒 D2
への移行を食品への移行に計算するための補正係数は、レビューされたことに注意された
い(例えばチュコレートについてファクターは 5 の代わりに 3)。
換算は、付属書Ⅰ統合リストにありカラム 8 の特殊移行量制限が‘検出されず’
とされた化学物質、及び検出量移行してはならない第 13 条第 2 項(b)の規則でカバーされる
プラスチックファンクショナルバリヤーの後方で使用されるリストにない化学物質の特殊
移行には適用されない。
5.2 新たな試験条件
この規則は OML と SML とで分離した標準試験条件のセットを導入した。一方昔の同
様の条件は両方でカバーされた。追加の情報は付属書Ⅲ及びⅤで見ることができる。
擬似溶媒及び試験条件の選択に係るヒエラルキーは依然受容可能であるが、これらは
以前の状況とは変わっている可能性がある:
a) 全ての食品タイプに対する OML への適合立証の例:試験は、蒸留水又は擬似溶媒
A(10%エタノール)のいずれか、及び擬似溶媒 B(3%酢酸)及び擬似溶媒 D2(植物油)
で実施が必要。さらに詳細については、付属書Ⅲポイント 4 を確認されたい。
b) 全ての食品タイプに対する SML への適合立証の例:試験は擬似溶媒 A,B,D2 で実
施が必要。さらに詳細については、付属書Ⅴ第 2 章セクション 2.1.2 を確認されたい。
5.2.1 OML 試験
総移行量への試験条件(接触時間及び温度)は付属書Ⅴ第 3 章表 3 に示されている。
OM への試験条件の殆どが以前指令 97/48/EEC に示されたものと同じだが、つぎの状況に
例外がある:
a)
OM1 の導入:冷凍及び冷蔵条件で食品に接触するあらゆるものをカバーするた
12
め 20℃×10 日
b) 食品擬似溶媒 D2 による OM7 への代替試験の導入:食品擬似溶媒 D2 による OM7
実施が技術的に不可能な場合、試験は OM8 又は OM9 により代替できる。
ここではまた試験条件のヒエラルキーが記載された。例えば:OM2 はまた OM1 及
び OM3 に記述された食品接触条件をカバーする。
付属書Ⅴ第 3 章パラグラフ 3.1 にある、総移行量試験条件のヒエラルキーの説明を与
える記述を注意深く読まれたい。
加えて、OML 試験結果は今や、より高い比表面積になる小さい包装にはより厳しく
するため mg/kg-食品又は食品擬似溶媒の単位を残した乳幼児用食品を除き、mg/dm2 で表
示されることに注意されたい。
5.2.2 SML 試験
特殊移行の試験条件(接触時間及び温度)は付属書Ⅴ第 1 及び 2 章に示されている。
いくつかの顕著な変更の例をつぎに取り上げる:
a) 接触時間は最大 4 時間から最大 6 時間に変更。
b)
3 日で試験させるため、1 日から 3 日までの時間を導入。
c) 室温長期間に対し特殊な規則を導入。これらの変更は市場での貯蔵条件の変化を
反映している。
●
室温で 6 ケ月の貯蔵時間に対し、試験を 50℃×10 日にする必要がある。
●
室温で 6 ケ月超の貯蔵時間に対し、試験条件 60℃×10 日と定義してきた。
●
これらの条件の除外は、前者 40℃×10 日が使用可能なら、ポリマーに含まれ
る関連化学物質がこの試験条件下平衡に達したことを科学的に立証できれば可能である。
●
加えて室温及びそれ以下での 30 日超の接触時間について、最大 10 日間で 60℃
への温度上昇による加速試験を使用できる可能性がある(即ち 60℃×10 日の最悪ケースで
の条件をシミュレート)
。
試験時間及び温度はつぎの式に基づかねばならない:
t2=t1*Exp((-Ea/R)*(1/T1-1/T2))
Ea は最悪ケースの活性エネルギー80kJ/mol
R は係数で 8.31J/Kelvin/mol
t1 は接触時間
t2 は試験時間。
T1 は Kelvin での接触温度である。室温貯蔵ではこれは 298K(25℃)とする。冷
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蔵冷凍条件では 278K(5℃)とする。
T2 は Kelvin での試験温度である。
d) 移行試験は、これら物理的又は他の変化が生じない予見できる最悪条件の下で実
施しなければならないとの原則に従い、温度変化はつぎを導入した:
T>175℃について、試験温度を食品界面の真の温度に調整することが推奨され
●
る。脚注に注意しなければならない。我々にこの温度は食品擬似溶媒 D2 と E に使用され
るべきと伝えている。
■
擬似溶媒 A,B,C 及び D1 には、試験は、100℃で又は表 1 で選ばれる時間の
4 倍の期間還流温度で代替することができる。
■
加圧下加熱される用途には、加圧下での移行試験は関連の温度で実施する
ことができる。
e) 室温又はそれ以下で異なる回数接触する用途に反し、全ての食品タイプをカバー
する高温用途に示される最悪ケースでの試験条件は存在しない。
f) モデリング:≪リサイタル≫32、第 16 条及び付属書Ⅴ第Ⅱ章セクション 2.2.3
に拠り、モデリングは適合性確認のスクリーニング試験として利用できる。
PIM 技術会議の討議と決定として、最大 10 日間の接触時間は、より現実的な DP,S と
LP,F を決定するまで、依然適用できる。このモデルは現在移行を過大評価することが知られ
ている。
モデル化についての更なる情報はつぎを確認されたい:
http://ihcp.jrc.ec.europa.eu/our_labs/eurl_food_c_m/resource-centre-legislative-docs
5.2.3 繰り返し使用:
製品の繰り返し使用に対し、移行試験は 3 回実施し、3 回目の結果が前の結果より
低くなる限り、その適合性を 3 回目の試験で見出された移行レベルに基づき確認しなけれ
ばならない。付属書Ⅴ第 2 章ポイント 2.1.6 は、特殊移行が検出されない化学物質に対し、
及びプラスチックファンクショナルバリヤーの後方にあるリストにない化学物質に対し、
適合性は最初の移行試験に基づき確認しなければならないとする要件を導入した。
6.
適合宣言及び書類(DoC)(第Ⅵ章)
DoC は、製造チェーンの中で最終製品の適合性への情報に関し通貨させる方法として理解
されねばならない。
14
顧客にわたされる書類による DoC の内容は、サプライチェーンでの企業の立場に依存して
いる。欧州委員会は、これについて DoC を扱うガイダンスドキュメントの章の中でより詳
細に説明するとアナウンスした。
この DoC は、製造又は構成に顕著な変更が生じたとき及び/又は新たな科学的データが参
照可能になったとき改訂される必要があることに注意されたい。
説明資料は全体に部屋に置かれる書類である;それは食品接触製品、材料、製品をカバー
する DoC を策定する基礎情報を含む。それは組成情報、製造情報、分析情報、試験結果な
どを含む。
説明資料は規制当局だけに利用可能とされる必要がある。それは下流のユーザーにこれを
渡す法的責務はない。
7.移行期間の規制(第Ⅵ章):
7.1 試験への規制:
2011 年 5 月 1 日から 2012 年 12 月 31 日まで:古い試験制度が適用される。しかし新
たな試験制度は便利であれば工業界により利用することができる。
2013 年 1 月 1 日から 2015 年 12 月 31 日まで:説明資料は 2 つの試験制度、古いのと
新しいもののどれかに基づくことができる。
2016 年 1 月 1 日以降:新たな試験制度だけが適用可能である。
それ故工業界は新たな制度を適用する必要があり、上記期限までに慣れておく必要が
ある。
7.2 他の規制
2011 年 5 月 1 日以前に法的に上市された材料及び製品は、2012 年 12 月 31 日まで市
場に継続上市することができる。加えてこれは、それら材料及び製品について指令
2002/72/EC 及び改訂でリファーされる適合制限が、何ら変更がないとき、2012 年 12 月 31
日まで有効であることを意味している。
蓋のプラスチック及び発泡ガスケットのコーティングに使用される添加剤及びガラス
繊維強化プラスチックへのフイルムサイジング材の添加剤のリストについては、2016 年 1
月 1 日以降ポジティブリストになる。
15
8.
文献:
1: « Les matériaux en plastique au contact des aliments : nouveau règlement
communautaire (1er partie), A. SOROSTE, Option Qualité, mars 2011, n° 302, p. 21-25.
2: « Les matériaux en plastique au contact des aliments : nouveau règlement
communautaire (2ème partie), A. SOROSTE, Option Qualité, avril 2011, n° 303, p.
17-23.
3. Presentation of Annette Schaefer on PIM at PIRA, Cefic-FCA conferences and
PlasticsEurope meetings 」
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