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ポピュラー音楽と日本の女性ファン Popular Music and Japanese

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ポピュラー音楽と日本の女性ファン
Popular Music and Japanese Female Fans
吉光 正絵
Masae YOSHIMITSU
Abstract
In this paper, I analyzed for the female fans of Japanese popular music.
Music consumption is thriving in Japan. Also, fan behavior and build a fan community
is flourishing in Japan. Female fans of popular music, has created fashion and unique
concert, comics and novels for fans to read. Activities that chasing the star is also
thriving. Fans such action, be accused of deviant behavior and media addiction there
are many in the West area, but it is common in Japan. In this paper, the background of
fan behavior unique to Japan, such as this have been constructed, to reveal on the basis
of the content analysis of the relevant literature.
Keywords
Popular Music, Japanese Female Funs, Fashion,Fan Fiction,Community
はじめに
本稿では、ポピュラー音楽ジャンルで見られる日本の女性ファンについて分析する。日
本はいまだに CD や DVD といったパッケージ消費が成り立つ世界で第二位のポピュラー音
楽市場を持つ、世界でも稀に見るほどに音楽消費が盛んな国である。また、おっかけと呼
ばれる番記者のような活動やファンの間で共有されるファッション、雑誌、小説、動画や
ブログといったファンによるファンのための活発な創作といった、応援対象への過剰な一
体化やファンコミュニティへの能動的な参加を行なう者も多い。このようなファン行動は、
欧米圏ではメディア中毒や逸脱行動と誹られることも多いが、日本では多様に盛大に発達
している。本稿では、このような日本独自のファン行動が構築されてきた経緯について、
関連する書籍や内容分析の内容分析をもとに明らかにする。
本稿では、この中でも特にポピュラー音楽の中でも流行歌の側面が強い産業化やメディ
ア化、商業化の度合いが非常に高い領域における女性のファン行動について言及する。自
身 の 当 事 者 と し て の 視 点 を 元 に 日 本 で ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 が メ デ ィ ア 化 、産 業 化 さ
れる1970年代以降から現在までの日本の女性ファンの行動と心理につい
て 分 析 し た 作 家 に 島村麻里がいる。島村は、日 本 の 熱 心 な 女 性 フ ァ ン が 大 量 に 発
生 す る ジ ャ ン ル の 共 通 傾 向 に 、「 無 給 の 育 成 期 間 を 経 て 番 付 が 年 功 序 列 で あ が
っ て い く 丸 抱 え 式 の シ ス テ ム を 抱 え る 同 性 だ け の 群 像 シ ス テ ム 」 1を あ げ て い
る 。こ の シ ス テ ム は 、ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 に 限 ら ず 、相 撲 や 歌 舞 伎 と い っ た 伝 統 芸
能 か ら サ ッ カ ー な ど の ス ポ ー ツ 、お 笑 い 、宝 塚 、ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 で は ジ ャ ニ ー
ズ や ロ ッ ク 、 GS 、 声 優 、 ヴ ィ ジ ュ ア ル 系 、 K-POPな ど で 特 徴 的 に み ら れ る 。
女性達が大挙して熱狂的な嬌声を浴びせる対象の背後には必ず上記の堅固な
シ ス テ ム の 存 在 が あ る 。社 会 学 者 の 太 田 省 一 は 、上 記 の 堅 固 な シ ス テ ム に 丸 抱
1
え に さ れ た メ デ ィ ア・ス タ ー の フ ァ ン の 女 性 達 の 生 き 方 を 、
「戦略的ミーハー」
2と 呼 ん で い る 。 フ ァ ン の 女 性 達 は 、 ア イ ド ル の 応 援
をする一方で、現実世界
では結婚によりある程度の安定した収入源や家庭の安息を維持しつづけ若さ
を 維 持 し て い る 。太 田 に よ れ ば 、こ の よ う な 生 き 方 は 、女 性 が 好 み の 男 性 と 結
ば れ た い と 思 う よ う に な っ た が 、現 実 に そ の よ う な 相 手 と 結 ば れ る こ と の リ ス
ク 回 避 の 結 果 発 展 し た 生 き 方 で あ り 、女 性 が 男 に 見 た 目 へ の 気 配 り や 上 品 さ を
求 め る 欲 求 = 恋 愛 を ア イ ド ル に 求 め 、付 加 価 値 の な い 相 手 と 現 実 の 安 定 し た 家
庭 生 活 を 営 む 生 き 方 で あ る と の こ と で あ る 。女 性 た ち は 、ア イ ド ル の フ ァ ン で
あ り 続 け る こ と で 、自 分 の 生 き 方 を 俯 瞰 的 に と ら え た う え で よ う や く 手 に し た
選 択 の 自 由 と 若 さ を 保 ち 続 け 、途 中 で や め て も い つ で も 好 き な 時 に 復 帰 で き る
ようにジャニーズなどの集合体のファンになっているとのことだ。本論では、
このようなシステム化された集合体に支えられたポピュラー音楽ジャンルの
フ ァ ン の 女 性 達 の 文 化 と 行 動 が ど の よ う に 構 築 さ れ て き た の か を 、先 行 研 究 や
当事者視点から自分のファン行動について書かれた文献や書籍や雑誌で企画
されたインタビューの内容分析から、明らかにする。
第1節
流行歌のファン心理
日本の女性のファン行動について具体的に言及する前に、ポピュラー音楽という言葉が
まだ普及していない時代に発表され、日本のポピュラー音楽研究と地続きになっている所
も多く、ポピュラー音楽のファンの心性の基盤の基底をなしていると考える。そのため、
日本の流行歌に関する社会心理学の論考について検討する。マスコミュニケーションの利
用者や大衆娯楽を楽しむ人々の心理に関する研究の土台を作った社会心理学者に南博がい
る。南博は、1950年代半ばに発表された論考の中で、流行歌は、
「娯楽コミュニケーシ
ョンの中でも最も広い受け手をもっている」ので、流行歌を調べることで、今日の「大衆
心理」や「流行歌が大衆におよぼす心理的な社会統制」を知る一つの手がかりが得られる、
3と書いている。南によれば、日本の流行歌は、明治初年、落語家の三遊亭円遊が「ステテ
コ踊り」にあわせて高座で歌ったころから、自由民権論の政治宣伝に使われた「ダイナマ
イト節」などを経て、1905 年、円板レコードの売り出しによって形をとり始め、1929 年の
トーキー出現による映画と流行歌の結びつきによって売り上げで浪花節を追い越した。南
によれば、流行歌は、都会と農村を問わず、放送、レコードの媒体やファンの口コミを通
じて広がり、1950 年代には娯楽コミュニケーションの中でも、もっとも広い受け手をもつ
存在になったとのことだ。南によれば、日本の流行歌は、表現型式としては「主語、主体
を欠いた無意味の情趣性」が目立ち、テーマとしては、
「別れの悲哀、あるいは別れている
状態についての苦悩」が多く、
「日本的情調とまぜあわされて、独特な悲哀への陶酔、日本
的マゾヒズムとでも呼ぶような心理状態を表現している」とのことである。南は、日本の
民衆の多くは、暗い運命にもてあそばれて「あきらめる」心境に、一種の自己満足、消極
的な快感を覚えるが、これは、アメリカの流行歌にみられるあきらめや絶望感が、そのま
ま不幸感に結びついているのとはおもむきが違うと指摘している。一方で、この「運命的
なマゾヒズム」でゆがめられ、圧迫されているエネルギーをなんらかの形でいくらでも発
散するために、酒席向けの歌も歌われるが、これは、三味線の伴奏で芸妓が歌うのに適し
2
たお座敷向きのみじめな陽気さで、封建的な女性侮蔑を歌った内容が多く、やけくそなエ
ネルギー放出に終わっていると批判している。南はこのような日本の流行歌の特徴は、フ
ァシズムの統治下の戦時下に育まれた消極的な抵抗の習慣が、流行歌の中に反映されて、
明るい健康的な歌の流行にブレーキをかけたのではないかと指摘している4。
久慈によれば、ニューミュージックによって日本の音楽嗜好の分水嶺に世代が入り込み、
旧世代が好む「演歌」とは異なる若者向けの日本の音楽が誕生したようだ5。ニューミュー
ジックについては諸説あるが、1969 年に『ニューミュージック・マガジン』が誕生してお
り、日本の若者が自作の「うた」と英米ロックを融合させた手法で誕生した新しいポップ
スで 1970 年代から 1980 年代にかけて使われた呼称のようだ。ニューミュージックでは、
戦後に比べて主語や主体は明確になったが、曲のテーマはあいかわらず「昔の楽しかった
思い出」や失った恋を懐かしむ悲哀に陶酔する傾向が見られたようだ。
トレンディドラマの主題歌が流行しマーケティング戦略と結びついた「つくりだされる
流行歌」の時代の 1994 年に発表された『ファンとブームの社会心理』では、当時の若い女
性の憧れの存在だった「ユーミン」こと松任谷由実のファンの女性達の心理について計量
分析によって明らかにしている。女性ファン達は、ニューミュージックのプリンセスから
素敵な旦那様との結婚を経て松田聖子の歌詞作家、トレンディドラマの主題歌のヒットメ
ーカーというキャリアと、年齢を重ねても細い身体と足やファッショナブルなライフスタ
イルに憧れ、彼女が書く歌詞に出てくる、「可愛くて依存的な一面もあるが、確固たる自分
があって母親のようなやさしさももっている女性」6像に感情移入しているとのことである。
そして、同書は、
「ユーミン現象」は、女性のために「流行」を意識する男性と、そんな男
性に母親的な愛情をもつ女性の間の「やさしさ」の現れではないかと結んでいる。
第2節
贔屓とおっかけ
日本の伝統芸能や演歌などから引き継いでいるファン行動の習慣に、
「贔屓」
が あ る 。贔 屓 は 、日 本 の 歌 舞 伎 に お け る「 贔 屓 」が 典 型 例 で あ る 伝 統 芸 能 に お
け る フ ァ ン・シ ス テ ム で あ る 。贔 屓 は 、観 劇 中 に は 自 分 が 見 込 ん だ 俳 優 へ の 褒
め 言 葉 を 連 ね 、劇 場 前 に 幟 を 立 て て 進 物 を 積 み 、幕 を 贈 り 、< ○ ○ 連 > と 称 し
て 団 体 見 物 を し て い た 。歌 舞 伎 の 俳 優 に と っ て の 贔 屓 の 有 無 が 自 己 の 芸 の 成 否
に関わっていたために贔屓を大切にして一層の引き立てを願う。
また、日本の伝統的な芸能ファンの行動に「おっかけ」がある。
「おっかけ」は、オッカ
ケ、追っ掛け、追っかけ、追駆とも表記される。
「追っかけ」という言葉の由来は、明治の
中頃に落語や講談と並ぶ当時の三大ポピュラー芸能の一つ「娘義太夫」を追っかけた「追
っかけ連」と呼ばれた青年たちに由来する。
「追っかけ連」の青年たちは、下駄を鳴らして
寄席から寄席へと東京中を追いかけ廻し、時には義太夫が乗った人力車をかついで運んで
いったり、楽屋の中にまで入り込んだり、自宅についていったり、おっかけが高じて娘義
太夫と結婚する者までいたという7。
「おっかけ連」の他には、曲のあいまに「ドースルドー
スル」と大声であいの手をいれる「どうする連」というのもあったそうだ。
日本では、多くの「おっかけ本」が出版されてきた。「おっかけ」と銘打った出版物は大
きく分けると、雑誌社などがまとめたおっかけのためのハウツー本、すなわちスターの生
年月日やプロフィール、オンステージやオフステージでの出会える場所などが地図や電話
3
番号入りで掲載されているデータ網羅本と、「おっかけ」の当事者の立場から実況や実感、
回顧や自己分析をまとめた本の二種類に大別できる。
女性ファンを読者対象としたおっかけのハウツー本として最も有名なものには鹿砦社か
ら出版され続けている『ジャニーズおっかけマップ』のシリーズがある。この本は、ジャ
ニーズ出身の芸能ライターとジャニーズ出身タレントやジュニアの集まりであるジャニー
ズ同窓会が著者となっている8。この本には「おっかけの心得」がまとめられている。
「おっ
かけの心得」には、
「大好きなアイドルの側にいたくてたまらないファンは、タレントの行
くとこ、帰るとこ、ずーっと離れたくないからおっかける、それがおっかけ」とある9とあ
る。また、おっかけの基本は常識を持った24時間の「待ち」で、テレビ局やラジオ局、レ
ッスン中のスタジオの外、自宅マンションの入り口や駐車場、最寄りの駅など、アイドル
の行く所なら雨の日も風の日も猛暑の費も待つことがおっかけの宿命だと書いている10。ま
た、おっかけ対象のスケジュールなどの情報収集手段として「ファンの第一拠点」として
東京にある「ジャニーズファミリークラブ」とのコンタクトの必要性が書かれている。こ
の「ジャニーズファミリークラブ」に集う人たちは、「昔からファンをやっていてタレント
や事務所側にも親しいおっかけは常連にかけて『上連』
」と呼びコンサート会場やイベント
会場でもしきっており続いて「中連」、「下連」と、言葉のあやのように序列づけがあり、
上の者への服従や敬意が必要で、悪いことをやると会員証をとりあげられるなど厳しい規
則と序列があるとのことだ11。一方でジャニーズファミリークラブやコンサート会場などで
地方のファンと東京のファンとのおっかけ相手に関する情報交換によって生まれた交流か
ら全国区でのおっかけや情報収集が可能となり、ファンを卒業した後までも続く居住地が
離れたファン同士のネットワーク構築の価値も書かれている12。
アイドルのおっかけの女子高生を主人公にした村田順子のマンガでは、
「おっかけの勢力
構造」が図示してある。階級構造の最上位に「彼女」がその下に「事務所にコネのある特
別ファン」
、その下に「トップ」と「お気に」が、その下に「上連」、
「中連」
、「下連」、
「イ
ッピ(一般ファン)」、
「イモファン」
(グッズをそろえたりコンサートにだけ来るファン)、
「タメモン」
(ど田舎のファン)が位置するとのことだ13。
おっかけの当事者視点から書かれた代表的なものに『おっかけパラダイス』がある。作
者は地方から高校中退で上京した出版当時18才のフリーライターの女性だ。
「有楽町のニッ
ポン放送前」を中心にキャッチしたインディーズバンドやお笑い、アイドル、外タレなど
をおっかける高校生や進学準備中、20代前半の会社員に対して行ったインタビューがまと
められている。この本は、100万人をこえる女性達が、さまざまなスターのファンクラブに
所属し音楽や演劇といった芸能活動を支えているのに、
「グルーピーとして性的な部分だけ
をクローズアップされたり、集団片思いとか寂しい若者文化といったニュアンスに偏る」
ことへのイラだちによる14。この本では、女性たちがおっかけをすることで学校や会社の外
側に構築した膨大な人脈と自分の興味関心と向き合うための情熱や行動力の獲得が繰り返
されている。おっかけ行動には、自分の居住地から遠く離れた場所で行われる芸能活動の
観賞や芸能活動以外の場所での接触を試みる行動が含まれている。ライヴやコンサートな
どの全通やおっかけ対象に関する24時間体制の情報収集なども行われる。具体的な企てと
しては、コンサートや番組などに「お客」として参加すること以外に、移動中やプライベ
ート空間での接触待ちなども含まれている。おっかけ対象に接触を試みたいという心性は、
4
一般的によく言われているグルーピーなどに代表的な性交渉や恋愛関係を持ちたいといっ
た彼女志向のもの以外に、おっかけ対象が自己表現や職業選択の引き金や糧となっている
自己表現志向のものや、おっかけ対象からある程度の距離を持った場所で自分達しかしら
ない秘密の噂話しで騒ぎあいたい、仲間内で一目おかれたいといったファン同士の関係性
への志向があると考えられる。多くの場合、これらの志向は一人一人のファンごとにはっ
きりと分かれているわけではなく、一人のファンの中に混在しつつ存在しているとも考え
られる。
また、情報収集のために培ったスキルや情熱や居住区域を越えて知り合ったファン同士
のネットワークはファンを辞めた後も貴重な人生の宝になることがあると考えられている
ことがわかる。
第3節
ファッション
3-1 ストリート・ファッション
ロ ッ ク や ヒ ッ プ ホ ッ プ 、パ ン ク な ど の ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 と 連 動 し た 服 飾 ス タ イ
ル は 、ス ト リ ー ト ・ フ ァ ッ シ ョ ン と 呼 ば れ て い る 。深 井 晃 子 は 、ス ト リ ー ト ・
フ ァ ッ シ ョ ン を「 か つ て 西 欧 社 会 で 多 く の 人 が 信 じ て き た フ ァ ッ シ ョ ン の 流 れ 、
言 い 換 え れ ば エ レ ガ ン ト な 階 層( 社 会 的 優 位 と 見 ら れ た 階 層 、上 流 社 会 )の テ
イ ス ト が 大 多 数 の そ う で な い 階 層( 下 位 と 見 ら れ た 階 層 )に 模 倣 さ れ る の と は 、
ま さ に 逆 の 方 向 性 を 示 す も の 」、「 ス ト リ ー ト 、つ ま り 街 の 大 衆 に 支 持 さ れ て
あ ふ れ 出 す の だ が 、そ こ に は 必 ず 核 と な る も の が な く て は な ら な か っ た 」と 指
摘する。この核となるところに、ポピュラー音楽が位置するファッションが、
日 本 で も 表 れ て き た 15。
渡 辺 明 日 香 に よ る と 、 1950年 代 に は 、 日 本 で も 、 ジ ェ ー ム ス ・ デ ィ ー ン や
エルビス・プレスリーといった若いアイドルが熱狂的なブームを巻き起こし、
衣 服 、音 楽 、レ ジ ャ ー を 通 じ て 個 性 を 体 現 し 、そ の 一 端 と し て 、音 楽 と ス ト リ
ー ト フ ァ ッ シ ョ ン の 関 係 が 密 に な っ た と の こ と だ 16。 様 々 な 族 は 、 「 仲 間 で あ
る こ と の 証 と し て 、類 似 の フ ァ ッ シ ョ ン を 着 用 し 群 れ を 作 っ て 街 を 歩 く こ と で 、
新 し い フ ァ ッ シ ョ ン が 生 ま れ て い く 。 1950年 代 の 「 マ ン ボ 族 」 や 「 ロ カ ビ リ
ー 族 」 、 「 カ ミ ナ リ 族 」 、 1960年 代 の 「 み ゆ き 族 」 や 「 原 宿 族 」 、 1970年 代
の「ヒッピー」や「竹の子族」など様々な「族」が現れた。
1974年 に 創 刊 さ れ た 雑 誌 『 宝 島 』 ( 1974年 、 JICC出 版 ) の 創 刊 と と も に 一
般 化 し て い く 。彼 女 た ち は 、日 本 の イ ン デ ィ ー ズ レ ー ベ ル 音 楽 を 好 ん だ 中 高 生
がメインであり代表的なものにナゴムというインディーズレーベルのファン
の 女 性 達 を 呼 ん だ「 ナ ゴ ム ギ ャ ル 」が あ る 。日 本 の イ ン デ ィ ー ズ の ミ ュ ー ジ シ
ャ ン の 真 似 を す る ス タ イ ル の 一 般 化 は 、マ イ ナ ー 文 化 の ア ヴ ァ ン ギ ャ ル ド さ を
反映させたファッションへと向かいアンチ管理社会をファッションで表そう
と し た と の こ と で 、フ リ ー タ ー 層 の 増 加 と 共 に 、他 の ジ ャ ン ル が 消 滅 し て い く
の に 対 し 、 脈 々 と 続 い て い る と の 見 方 も あ る 17。
1970年 代 に は 、 コ ン サ ー ト や SF大 会 と い っ た 、 フ ァ ン が 集 ま る 集 会 用 の 衣
装 と し て 限 定 さ れ た 場 所 で 、ミ ュ ー ジ シ ャ ン の ス テ ー ジ 衣 装 を 模 し た 衣 裳 や メ
5
イ ク を 楽 し む こ と は 、 1970年 代 か ら 行 わ れ て い た 。 SF大 会 や コ ミ ケ ッ ト な ど
で、
「 ロ ッ ク 系 の フ ァ ッ シ ョ ン 、た と え ば グ ラ ム 、フ リ ル ド レ ス 、男 装 ス ー ツ 、
ナ チ ス 系 黒 服 な ど 」 が 見 ら れ た 18。
一 方 で 、パ ン ク の 影 響 で ロ ッ ク・バ ン ド を 組 む 女 の 子 達 に と っ て の フ ァ ッ シ
ョ ン の 影 響 力 の 大 き さ を 挙 げ て い る 。井 上 貴 子 は 、フ ァ ッ シ ョ ン か ら 入 る 音 楽
も あ り だ っ た 語 っ て い る 。当 時 を 振 り 返 り 、「 当 時 は そ も そ も ロ ッ ク ・ バ ン ド
は 女 の 子 が や る も の で は な か っ た 。 1970年 代 中 葉 ま で 、 私 の 周 り に 、 一 緒 に
ラ イ ブ に 行 く ロ ッ ク・フ ァ ン の 女 友 達 は た く さ ん い た が 、バ ン ド を や っ て い る
女 の 子 は 一 人 も い な か っ た 。そ れ が 、パ ン ク の 登 場 に よ っ て 事 態 が 一 変 し 、女
の だ け の バ ン ド も あ り だ と わ か っ た の で あ る 」と 書 い て い る 。ま た 、パ ン ク の
魅 力 と し て D.I.Y( Do it
yourself)や 中 性 的 な メ イ ク や フ ァ ッ シ ョ ン な ど の
「 フ ァ ッ シ ョ ン 性 」 を あ げ て い る 19。 自 分 が 体 験 し た 、 パ ン ク に 影 響 さ れ る こ
と を 例 に 、「 外 見 的 な 形 か ら ロ ッ ク に 入 る こ と も 、た と え そ れ が き っ か け に す
ぎ な い と し て も 、十 分 に 異 文 化 受 容 で あ り え る し 、さ ら に 土 着 化 し て い く 可 能
性 を も っ て い る は ず で あ る 。少 な く と も 、当 時 、ロ ッ ク と い う 文 化 現 象 の 一 部
と し て フ ァ ッ シ ョ ン が 存 在 し 、そ れ は オ ル タ ナ テ ィ ヴ な 感 性 の 表 現 手 段 と し て
十 分 に 機 能 し て い た こ と を 忘 れ て は な ら な い 」と 指 摘 し て い る 。女 子 の 場 合 に
は 、欧 米 の 音 楽 に 影 響 を 受 け て 自 ら バ ン ド を 組 み 衣 装 を 作 り ス テ ー ジ に 立 つ と
い っ た 行 動 は 、異 国 か ら の 外 来 文 化 と し て の ロ ッ ク を 日 本 の も の と し て 取 り 入
れ吸収する身体化の機能の大きな部分を果たしたと考えられる。
湯 山 玲 子 も 、パ ン ク か ら 受 け て バ ン ド を 組 ん だ 時 の 状 況 を 語 っ て い る が 、特
に 、ラ ン ナ ウ ェ イ ズ の ラ ン ジ ェ リ ー フ ァ ッ シ ョ ン と 中 世 的 な ジ ョ ー ン・ジ ェ ッ
ト の バ ラ ン ス で 、「 女 性 と い う 性 」を 自 分 の ハ ン ド リ ン グ で 積 極 的 に 操 作 し 遊
ぶ姿勢を学んだことを書いている。
3-2 クール・ジャパンのファッション
成美弘志によると、2000 年前後の日本は、経済の不調による雇用情勢の悪化など社会不
安の増大があった。日本のファッション業界は、グローバル化の波による高級ブランドの
アジア進出や低価格衣料品の躍進による国内の DC アパレルやブランドの倒産や廃業が相
次いだ。一方で、原宿にはロリータ、ゴス、ゴスロリ、秋葉原にはメイドやコスプレ、渋
谷にはガングロ、ヤマンバ、アゲ嬢といったサブカルチャーが百花繚乱に咲き誇り海外メ
ディアが漫画やアニメと同様にクール・ジャパン現象と結びつけて報道していた20。
クールジャパンのファッションの中でもゴスロリは、根強いファンがいるジャンルであ
る。ゴスロリのスタイルの確立には、
『KERA』創刊(1999 年)、
『KERA』別冊『ゴシック
&ロリータバイブル』創刊(2000 年)
、
『ゴシック&ロリータバイブル』を創刊したバウハ
ウスの営業担当者の活躍による「ゴシック&ロリータ協会」の立ち上げが大きな影響を与
えたようだ21。
『ゴシック&ロリータバイブル』創刊号の表紙には、
「日本初のゴシックファ
ッション BOOK」とあり、パンクやロリータなどのストリートファッションの描写が得意
な三原ミツカズが描いたゴスロリのイラストと共に、MALICE MIZEL の Mana 様や
Raphael の華月、Plastic Tree の竜太郎などヴィジュアル系の男性ミュージシャンの写真が
6
掲載されている。巻頭グラビアは、ヴィジュアル系バンド MALICE MIZER22(マリスミゼ
ル)の男性ギタリスト Mana 様だが、彼が欧米のドラキュラ映画と異性装や悪魔崇拝など
をテーマにしたロックからイメージを得て23立ち上げた Moi-même-Moitié(モワメームモワ
ティエ)という服飾ブランドの E.G.L(Elegant Gothic Lolita)というラインが、ゴシックロ
リータという呼称の由来だという説が濃厚だ。2008 年ジャパンエキスポでアンケート一番
有名な日本人はこの mana 様(mana-sama)で、ヴィジュアル系のファンの女性をバンギ
ャと呼ぶが、このバンギャ文化が、ゴスロリとして定式化されたことで海外に「輸出」さ
れ日本を代表するストリートカルチャーとして認知されているとのことだ24。
ゴスロリ独自のスタイルの源流に日本のライヴハウスに集まる女性達の中で自然発生的
に共有されていたファッションや文化の存在が大きい。特に、トランスギャルやナゴムギ
ャルといった 1980 年代のインディーズバンドのファンの女性達のファッションや行動が源
流として語られる場合が多い25。トランスギャルは、
『YBO2』や『アサイラム』のファン
で目黒鹿鳴館に集い『夜想』や『月光』を愛読する全身黒づくめで俯き加減の女性達で、
ナゴムギャルはケラが主宰するナゴムレコードの『たま』や『人生』、『筋肉少女帯』など
のファンで幼稚園児や昭和初期の雰囲気のグッズや服装を好む女性達である。両者とも、
一方は19世紀末ヨーロッパ、一方は幼児期や昭和初期と志向方向に違いはあるが、双方
ともに失われた過去を追憶するノスタルジーや哀愁に浸るスタイルでもある。また、そん
な 1980 年代の日本のインディーズバンドの風俗を描いた『kiss××××』
(楠本まき、集
英社、
『別冊マーガレット』
、1988 年-1991 年)や『NANA』
(矢沢あい、集英社、
『Cookie』
1999 年-2009 年)など、
「音楽、ファッション、マンガの三叉路の中央」26に位置する作
品の影響もあげられている。ゴスロリは、ポピュラー音楽、ストリートファッション、マ
ンガといった日本の若い女性向けのメディア文化が結合して生まれたサブカルチャーの流
れに位置づけられる。
ゴシック&ロリータ協会は、平成 10 年にマルイワンが団塊ジュニアをターゲットとした
店舗へ改装して KERA ショップをスタートさせる時に BABY,THE STARS SHINE
BRIGHT(ベイビー・スターズ・シャイン・ブライト)の磯辺氏を会長に立ち上げられた。
磯辺氏は、
「不思議の国のアリス」や金子國義が描く頽廃的な少女像をブランドイメージに
したアツキオオニシから独立して BABY,THE STARS SHINE BRIGHT を立ち上げている。
「ゴシック&ロリータ協会」は、関西と関東のブランド間で交流しながら、ヴィジュア
ル系バンドとコラボレーションしたファッションショーや雑誌広告展開、ラフォーレミュ
ージアムで恋月姫の人形との合同展示といった異業種間恊働によるイベントを継続的に実
施した27。そのうちに、外苑前の陸橋やラフォーレの地下フロア、マルイワン、原宿や代官
山の路面店にゴスロリファッションを着た女性達が集まり「カルチャー」として自然発生
的に広がって行った28。
ゴスロリを代表するブランド h.NAOTO のデザイナーの廣岡は、2000 年前後の第二次ヴ
ィジュアルブームの中で、自分がデザインした血糊をハンドペイントする T シャツがヴィ
ジュアル系バンドのメンバーや顧客の好みにあい噂になることで、『KERA』編集長の目に
とまり、雑誌の企画で毎月新しいヴィジュアル系バンドとコラボをするためアーティスト
に同じものは着せられないので、ゴス、ロリ、パンクを基軸にしながらネタを広げていく
中でブランドが軌道にのっていったと述懐している29。デザインについては、「お客さんは
7
何が一番欲しいのか。デザイナー発信ではないです。これを着ろよってことではなくお客
さんとのつながりを強めていく」ことに注力し、イベントやパーティを企画して顧客との
交流を強化し「服を着てもらうきっかけをつくる」ことに尽力していくうちに、近隣のア
ジア諸国からも客が来ることになり、アメリカやヨーロッパからも客が来るようになった
と語る30。
第4節
活字メディア
4−1 少女マンガ
戦 後 の 芸 能 史 で は 、テ レ ビ 時 代 を 迎 え 、熱 狂 の 風 景 が リ ア ル タ イ ム な 映 像 で
人 々 に 届 き 、心 に 残 る よ う に な っ た 1950年 代 後 半 の ロ カ ビ リ ー・ブ ー ム か ら 、
「 ス タ ー に 殺 到 す る フ ァ ン 」「 親 衛 隊 」「 舞 飛 ぶ テ ー プ 、失 神 す る フ ァ ン 」と
い っ た 女 性 フ ァ ン の 熱 狂 が 新 聞 や 雑 誌 、テ レ ビ で 報 じ ら れ る よ う に な っ た と の
こ と で あ る 31。
ロ カ ビ リ ー・ブ ー ム の 後 に 、日 本 の ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 の 女 性 フ ァ ン の 文 化 と 行
動 の 原 点 と も い え る ほ ど に 著 し い 影 響 を 与 え た も の に 1 9 6 0年 代 後 半 に 生 ま れ
た GS( グ ル ー プ サ ウ ン ズ )ブ ー ム が 指 摘 さ れ て い る 。GSの 登 場 は 、戦 後 の「 貧
乏 時 代 」か ら「 裕 福 さ の 時 代 」へ 変 遷 を 指 し 日 本 人 の 価 値 観 が「 生 活 」か ら「 遊
び 」へ と 向 か い 、少 女 達 が フ ァ ッ シ ョ ン 指 向 を 高 め て い く 傾 向 の 中 で 、青 春 歌
手 で あ る と 同 時 に 肉 体 性 を 持 た な い「 夢 の 王 子 様 」と し て 生 ま れ た 。「 夢 の 王
子 様 」と し て の GSは「 ル ッ ク ス・ム ー ド 」と い っ た も の が 売 り に 成 る「 TV時 代 」
の 高 ま り と と も に 、同 時 期 に 週 刊 誌 化 し た 少 女 マ ン ガ と 共 謀 関 係 に あ り 、タ イ
ガ ー ス の ジ ュ リ ー に「 夢 の 王 子 様 」を 見 、テ ン プ タ ー ズ の シ ョ ー ケ ン の 不 良 っ
ぽ さ に 憧 れ 、オ ッ ク ス の 愛 君 の か わ い ら し さ を 愛 で 、ワ イ ル ド ワ ン ズ に 大 学 生
の お 兄 様 を 感 じ る と い う ラ ブ コ メ が 描 く「 恋 の 相 手 = 男 の 子 」像 の 四 つ の パ タ
ー ン を 作 り 出 し た 。夢 見 る た め の「 ラ ブ 」が 、は っ き り と 少 女 た ち の も と し て
「 対 象 」 た る G Sと と も に 、 少 女 マ ン ガ の 中 に 根 付 き 、 ラ ブ と 結 び つ い た 恋 に
ま み れ た 華 や か さ へ と 導 い て い く 32。
GSの 音 楽 は 、 「 君 だ け に 」 と 指 を 指 す ジ ュ リ ー の パ フ ォ ー マ ン ス に 象 徴 さ れ
る よ う に 、G S フ ァ ン の 少 女 た ち は 、「 あ の 人 た ち は < 私 た ち > し か 分 か っ て
あ げ ら れ な い 。で も そ の < 私 た ち > は < 大 人 > や < 周 囲 > か ら 分 か っ て も ら え
な い 」と 、自 分 の 置 か れ 方 を 彼 ら の 置 か れ 方 に 投 射 す る こ と で 自 分 を 鼓 舞 し て
お り 、こ の 聴 き 手 の 自 己 投 射 が 、G S の パ フ ォ ー マ ン ス を ミ ュ ー ジ シ ャ ン の「 自
己 表 現 」と し て 受 け 取 ら せ る こ と な り 、< 私 た ち > と 同 じ 境 遇 に い る 彼 ら が <
私 た ち > に 代 わ っ て 自 ら を 表 現 し て い る と い う「 聴 き 手 へ の 委 ね 」や「 聴 き 手
の 自 己 意 識 に 相 関 的 な 享 受 」 の あ り 方 を 可 能 に し た と 指 摘 さ れ て い る 33
4−2 JUNE
欧米ではスラッシュフィクションとも呼ばれるファンが描くファンのため
の物語も、日本でも書かれた。
ク イ ー ン は 、男 性 性 と 強 く 結 び 付 き「 マ ッ チ ョ な 不 良 少 年 の 音 楽 」と い う イ
8
メージが強かったハードロックに女性の聴き手を増やしたことが指摘されて
い る 34。青 池 靖 子 や 木 原 敏 江 な ど 24年 組 と 呼 ば れ る 少 女 マ ン ガ の カ リ ス マ 達 も 、
ク イ ー ン や レ ッ ド・ツ ェ ッ ペ リ ン な ど の イ ギ リ ス の ハ ー ド ロ ッ ク の ミ ュ ー ジ シ
ャ ン を 、マ ン ガ の キ ャ ラ ク タ ー と し て 登 場 さ せ て い た 。こ の よ う な 作 品 群 に よ
っ て 、「 新 し い 少 女 趣 味 」と 米 沢 喜 博 が 呼 ん だ「 高 級 で ひ ね く れ た フ ァ ッ シ ョ
ン 」35が 生 ま れ た 。こ の「 新 し い 少 女 趣 味 」は 、「「 ロ マ ン ス 」だ け で は な い 、
ホ モ 、ペ ダ ン ト リ ー を 含 め た そ れ ま で の 裏 返 し の 少 女 趣 味 を 力 と す る 、日 常 の
異 化 作 用 を も た ら す 」 36も の だ と さ れ る 。
4−3 ロック雑誌
1960年 代 末 ま で 、日 本 で た だ 一 つ の“ ロ ッ ク 雑 誌 ”だ っ た ミ ュ ー ジ ッ ク ラ イ
フ は 、 女 の 子 が 作 る 女 の 子 の た め の 雑 誌 だ っ た 。 ビ ー ト ル ズ が 来 日 し た 1966
年 当 時 は 、ビ ー ト ル ズ を 通 じ た 少 女 た ち の 不 良 化 ま で 議 論 さ れ た と の こ と だ が 、
男の子がギターを弾くことに熱中したことに対して、
“女の子のエレキバンド”
は ま だ な か っ た の こ と だ 37。
日 本 で 最 初 の ロ ッ ク 雑 誌 は『 ミ ュ ー ジ ッ ク ラ イ フ 』( ML)で あ る 。MLは 星 加
ル ミ 子 が 編 集 長 と な っ た 1961年 か ら「 女 の 子 に よ る 女 の 子 の た め の 雑 誌 」に 編
集 方 針 を 変 え 、取 材 手 段 が 限 ら れ た 中 で ビ ー ト ル ズ や 他 の リ バ プ ー ル 系 ミ ュ ー
ジ シ ャ ン に 日 本 人 で 最 初 に 取 材 を す る な ど し て 部 数 を 伸 ば し た 。星 加 が 刀 を 持
ってエプスタインに会いにいった逸話やビートルズの四人と着物を着た星加
の 写 真 は 有 名 で 、星 加 自 身 が「 外 タ レ 」と 呼 ば れ る 欧 米 の ロ ッ ク ミ ュ ー ジ シ ャ
ン に 憧 れ る 日 本 の 女 の 子 た ち の ロ ー ル モ デ ル の 一 つ と な っ た 。M L の 編 集 部 は
「 女 子 校 生 の 昼 休 み み た い な 騒 動 」で 情 報 が 少 な い 中 で「 ビ ー ト ル ズ に 会 っ た
こ と が あ る と い う 一 が い れ ば す ぐ さ ま 取 材 し 、そ の と き の 様 子 や 格 好 を 逐 一 報
告。まさに一挙一投足を逃すまい、という編集部の貪欲さたるやすさまじく、
そ れ は ま た 、自 分 の お 気 に 入 り の ア ー テ ィ ス ト の 情 報 を 少 し で も 知 り た い と い
う 読 者 と 呼 応 し 、こ の 双 方 の テ ン シ ョ ン の 高 さ こ そ 、“ 女 の 子 に よ る 女 の 子 の
た め の 雑 誌 ” M L の 持 ち 味 だ っ た 」 と あ る 38。
日本で最初のロック雑誌は、女の子が女の子のために作る側面が強かった
『 ミ ュ ー ジ ッ ク ラ イ フ 』 ( ML) だ っ た 。 MLの 視 点 は 、 男 性 か ら 「 ミ ー ハ ー 」
と 揶 揄 さ れ る こ と も あ る が 、 1 0代 後 半 の 女 性 の 感 性 を 活 か す こ と で 世 界 中 の
どこよりも早く見出し育て上げ世界のトップスターを作り出すことにもつな
が っ た 。万 博 ブ ー ム も あ り 、欧 米 の ス タ ー に 憧 れ て 、英 語 を 習 う と い っ た 側 面
で の 異 文 化 の 身 体 化 が 行 わ れ た 。雑 誌 の 文 通 欄 を 通 し て 、海 外 の フ ァ ン と の 交
流をするケースも見られ、ファン行動としての英語の学習も盛んに行われた。
ま た 、 日 本 の 女 性 フ ァ ン 特 有 の 感 性 は 、 日 本 の 10代 の 女 子 の た め の メ デ ィ
ア と し て 急 成 長 し て き た 少 女 マ ン ガ 雑 誌 に よ っ て 醸 成 さ れ た 。GSを モ デ ル に 、
女 性 が 好 む 理 想 の 男 性 像 が 構 築 さ れ 、ブ リ テ ィ ッ シ ュ・ロ ッ ク の ミ ュ ー ジ シ ャ
ン を モ デ ル に 、 少 年 愛 や 耽 美 退 廃 な ど を 好 む 新 し い 少 女 趣 味 が 生 ま れ た 。 SF
大 会 な ど で は 、ナ チ ス の 軍 服 や イ ギ リ ス の ロ ッ ク ス タ ー の ス テ ー ジ 衣 装 を 真 似
9
た男装などで参加するコスプレも始まった。
パンクムーブメントの動きを受けて、ロックバンドを組む女性が増加した。
そ の 理 由 に 、パ ン ク は 既 存 の 価 値 の 全 て を 空 虚 だ と 嘲 笑 す る こ と が 唯 一 の 価 値
で あ り 、ミ ュ ー ジ シ ャ ン と 聴 衆 、フ ァ ッ シ ョ ン の 作 り 手 と 消 費 者 、男 性 と 女 性 、
といった社会的な役割の互換性を強調したことがある。
日本で最初のロック雑誌は、女の子が女の子のために作る側面が強かった
『 ミ ュ ー ジ ッ ク ラ イ フ 』 ( ML) だ っ た 。 MLの 視 点 は 、 男 性 か ら 「 ミ ー ハ ー 」
と 揶 揄 さ れ る こ と も あ る が 、 1 0代 後 半 の 女 性 の 感 性 を 活 か す こ と で 世 界 中 の
どこよりも早く見出し育て上げ世界のトップスターを作り出すことにもつな
が っ た 。万 博 ブ ー ム も あ り 、欧 米 の ス タ ー に 憧 れ て 、英 語 を 習 う と い っ た 側 面
で の 異 文 化 の 身 体 化 が 行 わ れ た 。雑 誌 の 文 通 欄 を 通 し て 、海 外 の フ ァ ン と の 交
流をするケースも見られ、ファン行動としての英語の学習も盛んに行われた。
そ の 後 も 、音 楽 雑 誌 に は 、ジ ャ パ ン と Y M O の 交 流 な ど を 描 い た ギ ャ グ マ ン
ガ に 志 摩 あ つ こ の『 エ イ ト ビ ー ト ・ ギ ャ グ 』な ど も あ り 、メ デ ィ ア に 掲 載 さ れ
たささいな断片を面白可笑しく男性アーティスト同志の恋愛関係として描く
作品も描かれ人気だった。
『 エ イ ト ビ ー ト・ギ ャ グ 』は そ の 後 、日 本 の ヴ ィ ジ ュ ア ル 系 の 勃 興 と と も に 、
登 場 人 物 を 、 X-JAPANや LUNA-SEAに 変 え 復 活 す る 。
3- 2
私たちが作り出すロック・スター
上 記 の 向 き 合 い 方 を も っ た 女 性 た ち は「 ロ ッ ク 少 女 」と 呼 ば れ て い る 。室 田
は 自 身 の 当 事 者 的 体 験 を も と に ロ ッ ク 少 女 の 心 性 に つ い て 分 析 し て い る 。「 ロ
ッ ク 少 女 」と は「 そ の ア ー テ ィ ス ト の 生 き 方 と か 発 言 と か フ ァ ッ シ ョ ン 哲 学 と
か 、も ち ろ ん 音 楽 性 も 含 め た す べ て を 総 合 的 に 見 て 、そ れ で 彼 女 た ち が よ し と
思 っ た も の に 対 し て キ ャ ー キ ャ ー 言 う 」 39存 在 で あ る 。 室 田 が 言 及 し て い る の
は、クイーンやチープトリック、ジャパンなどの「ビッグ・イン・ジャパン」
と 呼 ば れ る 、M L が 紹 介 し 日 本 で 人 気 に 火 が つ い た 欧 米 の ロ ッ ク ス タ ー の フ ァ
ンの女性たちを主に指している。
そ れ ら の バ ン ド が 全 米 を 代 表 す る ビ ッ グ・ス タ ー = 本 物 の ビ ッ グ ス タ ー に な っ
た 場 合 に は 物 悲 し さ を 感 じ て し ま う 心 性 に つ い て 、「 少 女 と い う の は 、自 分 が
見 つ け 出 し て 愛 し た も の を 、ほ か の 誰 か に 渡 し た く な い 、と 考 え る も の だ 。
「私
だ け が 彼 の 本 当 の よ さ を わ か っ て い る 」と い う 幻 想 は 、特 に ロ ー テ ィ ー ン の 少
女 に と っ て こ と の ほ か 甘 い 」 40と 説 明 し て い る 。 特 に 、 ジ ャ パ ン の ジ ャ パ ン の
メ イ ク か や 音 楽 か ら 感 じ る 自 己 の 確 立 へ の 格 闘 は 、自 分 た ち へ の 強 い 肯 定 と し
て 受 け 止 め ら れ た し 、ま た 、そ う し た 格 闘 が 非 常 な 困 難 を 伴 う も の( 多 く の 曲
の な か で デ ヴ ィ ッ ド は そ れ に 絶 望 し 、そ こ か ら 逃 避 し よ う と し て い る か に さ え
見 え た )だ と い う 認 識 は 、ジ ャ パ ン に 対 し て 強 い 同 一 感 を 抱 か せ る に 十 分 だ っ
た 。「 自 分 と 同 じ で あ る 」「 自 分 の こ と を わ か っ て く れ る 」、 そ れ は 、少 女 に
と っ て の「 理 想 の 男 性 像 」で あ り 、だ か ら こ そ ジ ャ パ ン の フ ァ ン の 圧 倒 的 多 数
を 少 女 が 占 め て い た の だ ろ う 」 と 書 く 41。 母 国 の 欧 米 で は ま だ 無 名 の 欧 米 の ロ
10
ックバンドを日本の女の子たちが見つけて過剰な同一化とともに育て上げ本
国 で も 有 名 に す る と い っ た「 ジ ャ パ ン ・ プ レ ミ ア ム 効 果 」が 、1980年 代 の 洋 楽
ロックシーンと日本の女性ファンの関係にあった。
「 < 私 > だ け が 彼 ら を わ か る 」( = 奴 ら に は 分 か ら な い )と い う < 相 互 浸 透
> に よ っ て 特 徴 づ け ら れ て い る「 再 < 相 互 浸 透 > 化 」の 動 き を 加 速 す る も の に 、
ナ ゴ ム や ト ラ ン ス な ど の イ ン デ ィ ー ズ レ ー ベ ル や BOOWY、 JUNE的 世 界 観 や
や お い 文 化 と 結 び つ い た Xや バ ク チ ク で 上 昇 し 続 け る こ と が 指 摘 さ れ て い る 42。
まとめ
日本の女性ポピュラー音楽ファンの行動
日 本 の ポ ピ ュ ラ ー 音 楽 の 女 性 フ ァ ン の 文 化 は 、「 テ レ ビ 世 代 」が 成 熟 し 視 聴 者 が
チ ャ ン ネ ル 全 体 を 操 作 的 に 遊 ぶ モ ー ド が 一 般 化 し 、放 送 局 自 体 が 遊 び 場 に な っ て い
る 様 子 が よ く わ か る 。こ の よ う な 時 代 に 、テ レ ビ が 放 送 し て い る 枠 の 外 側 を「 見 た
い 知 り た い 」と い う 欲 求 か ら お っ か け が 女 子 の 行 動 と し て 一 般 化 し て い く こ と が わ
か る 。年 代 が 下 が る に 従 っ て 、ジ ャ ニ ー ズ 、香 港 明 星 、相 撲 、イ ン デ ィ ー ズ バ ン ド 、
お 笑 い 、韓 国 、と 、多 チ ャ ン ネ ル 化 や ビ デ オ の 普 及 に よ り 視 聴 者 の「 見 た い 知 り た
い 」欲 求 が 細 分 化 し て い く 状 況 や 、日 本 の マ ス メ デ ィ ア が 放 送 し な い モ ノ を 見 た い 、
知 り た い と い う 欲 求 を 叶 え る 環 境 が 整 備 さ れ て き た 状 況 が 伺 え る 。同 時 に 、対 象 や
方 法 を 選 び 努 力 す れ ば 、「 ド ラ マ や ニ ュ ー ス み た い な 体 験 が し て み た い 」や「 ス タ
ー に 囲 ま れ た 生 活 」と い う 視 聴 者 の 願 望 が そ の ま ま 実 現 で き る 環 境 に な っ た こ と が
わかる。そのことは、おっかけ対象となるスターの存在根拠でもある「テレビ界」
に 圧 倒 的 存 在 感 の ス タ ー や カ リ ス マ が い な く な り 、わ れ わ れ を し ば っ て き た 常 識 や
権 威 も 解 体 し て 何 で も あ り に な っ て し ま っ た こ と で 、結 局 は 最 後 の 拠 で あ る「 自 分 」
が 中 心 に 据 わ り 、視 聴 者 一 人 一 人 が 誰 で も 主 役 に な り う る と い う「 幻 想 」( ポ ジ テ
ィブに「夢」と言い換えても良い) が実現する環境になったことを意味している
と考えられる。
おっかけの対象は、『おっかけパラダイス』のころから現在まで、島村が書くよ
う に 、無 給 の 育 成 期 間 を 経 て 番 付 が 年 功 序 列 で あ が っ て い く 丸 抱 え 式 の シ ス テ ム を
抱 え る 男 だ け の 群 像 シ ス テ ム で あ る 。安 住 の『 お っ か け パ ラ ダ イ ス 』で は 、「 テ レ
ビ 世 代 」が 成 熟 し 視 聴 者 が チ ャ ン ネ ル 全 体 を 操 作 的 に 遊 ぶ モ ー ド が 一 般 化 し 、放 送
局 自 体 が 遊 び 場 に な っ て い る 様 子 が よ く わ か る 。こ の よ う な 時 代 に 、テ レ ビ が 放 送
し て い る 枠 の 外 側 を「 見 た い 知 り た い 」と い う 欲 求 か ら お っ か け が 女 子 の 行 動 と し
て一般化していくことがわかる。年代が下がるに従って、ジャニーズ、香港明星、
相 撲 、イ ン デ ィ ー ズ バ ン ド 、お 笑 い 、韓 国 、と 、多 チ ャ ン ネ ル 化 や ビ デ オ の 普 及 に
よ り 視 聴 者 の「 見 た い 知 り た い 」欲 求 が 細 分 化 し て い く 状 況 や 、日 本 の マ ス メ デ ィ
ア が 放 送 し な い モ ノ を 見 た い 、知 り た い と い う 欲 求 を 叶 え る 環 境 が 整 備 さ れ て き た
状 況 が 伺 え る 。同 時 に 、対 象 や 方 法 を 選 び 努 力 す れ ば 、「 ド ラ マ や ニ ュ ー ス み た い
な 体 験 が し て み た い 」や「 ス タ ー に 囲 ま れ た 生 活 」と い う 視 聴 者 の 願 望 が そ の ま ま
実 現 で き る 環 境 に な っ た こ と が わ か る 。そ の こ と は 、お っ か け 対 象 と な る ス タ ー の
存在根拠でもある「テレビ界」に圧倒的存在感のスターやカリスマがいなくなり、
11
われわれをしばってきた常識や権威も解体して何でもありになってしまったこと
で 、結 局 は 最 後 の 拠 で あ る「 自 分 」が 中 心 に 据 わ り 、視 聴 者 一 人 一 人 が 誰 で も 主 役
に な り う る と い う 「 幻 想 」 ( ポ ジ テ ィ ブ に 「 夢 」 と 言 い 換 え て も 良 い ) (稲 増
20
03,151)が 実 現 す る 環 境 に な っ た こ と を 意 味 し て い る 。
安住磨奈の『おっかけパラダイス』は、「家内」という言葉で象徴されていた日
本 の 女 性 た ち の「 家 の 外 」で の 活 動 が 盛 ん に な り 、1989年 の 参 議 院 選 挙 、1990年 の
衆議院選挙でマドンナ候補と呼ばれる女性候補者が乱立し女性支援者の熱心な支
援 活 動 に 支 え ら れ て 当 選 し た「 女 の 時 代 」と 呼 ば れ た 時 代 の 蠢 動 期 に 出 版 さ れ た( 武
田
1999,196)。安 住 磨 奈 は 、「 女 の 時 代 」に 関 す る ラ イ タ ー の 武 田 徹 の イ ン タ ビ
ュ ー に 答 え て「 今 は 、突 っ 張 っ て い た 時 代 が 一 段 落 し て 、好 き な も の は 好 き 、男 の
人 も 好 き だ し 、子 供 も か わ い い 、そ う し た 素 直 な 気 持 ち を 全 面 に 出 せ る 人 が 、特 に
同 性 に 好 感 を も た れ て い る 」、「 女 の 子 は 、自 分 の 好 き な こ と を 好 き な よ う に や っ
ているから、話にもハリがあって嬉しい」と答えている(武田
1999,200) 。
サ イ モ ン・フ リ ス は 、「 女 性 の 人 生 は あ る 家 事 シ ス テ ム か ら 他 の 家 事 シ ス テ ム へ の
移 行 に す ぎ な い 」こ と や 女 性 は 家 庭 に 行 動 を 管 理 さ れ す ぎ て い る 限 り「 ス ト リ ー ト
に出る機会」がなく「まともな趣味がもてない」と書いている(フリス
1991) 。
島 村 麻 里 は 、お っ か け は 、日 本 の 女 性 た ち が 家 事 シ ス テ ム の 循 環 以 外 の 人 生 の 選 択
肢 を も ち は じ め 、家 庭 の 外 、文 字 通 り ス ト リ ー ト で 女 性 が 自 分 の「 肉 体 」を 使 っ て
「 好 き な こ と を 好 き な よ う に や る 」こ と を 模 索 し 始 め る 一 つ の 表 れ だ っ た と 考 え ら
れ る 。ま た 、香 港 明 星 や 宝 塚 の 場 合 の よ う に 、安 定 し た 収 入 源 や 家 庭 の 安 息 を 維 持
し た ま ま 文 字 通 り 別 世 界 で 夢 を 生 き る 生 き 方 を 、太 田 省 一 は「 戦 略 的 ミ ー ハ ー 」と
呼 ん で い る 。こ れ は 、女 性 が 好 み の 男 性 と 結 ば れ た い と 思 う よ う に な っ た が 現 実 に
そ の よ う な 相 手 と 結 ば れ る こ と の リ ス ク 回 避 の 結 果 発 展 し た 生 き 方 で あ り 、女 性 が
男 に 見 た 目 へ の 気 配 り や 上 品 さ を 求 め る 欲 求 = 恋 愛 を ア イ ド ル に 求 め 、付 加 価 値 の
な い 相 手 と 現 実 の 安 定 し た 家 庭 生 活 を 営 む 生 き 方 で あ る 。女 性 た ち は 、ア イ ド ル の
フ ァ ン で あ り 続 け る こ と で 、自 分 の 生 き 方 を 俯 瞰 的 に と ら え た う え で よ う や く 手 に
し た 選 択 の 自 由 と 若 さ を 保 ち 続 け 、途 中 で や め て も い つ で も 好 き な 時 に 復 帰 で き る
よ う に「 ジ ャ ニ ー ズ 」な ど の 集 合 体 の フ ァ ン に な っ て い る と 太 田 は 指 摘 す る (太 田 2
010
187)。
前 出 の 武 田 は 、「 女 性 の 時 代 」の 凱 歌 の 陰 に あ る 、女 性 性 の 無 条 件 な 肯 定 が「 肉 」
の 側 に 偏 り す ぎ る こ と に よ る 、「 女 と し て 楽 し く 生 き ら れ る「 今 」の「 刹 那 感 」や
「 賞 味 期 限 内 」で の 自 己 の 効 率 的 な 稼 ぎ に 傾 斜 す る 危 険 性 を 語 っ て い た 。安 住 同 様
に 、雨 宮 も 、札 幌 出 身 で 自 分 の 肉 体 を 路 上 に 投 げ 出 す こ と で キ ャ リ ア を 構 築 し て 行
っ た が 、1990年 代 に 入 る と 、「 肉 」の 側 、ス ト リ ー ト の 側 に 傾 斜 し す ぎ た 場 合 の「 天
国 」だ け で は な く「 地 獄 」を 見 る ケ ー ス に 注 目 が 集 ま っ た よ う で あ る 。し か し 、 雨
宮 と 同 様 に バ ン ギ ャ 出 身 の 竹 内 の 場 合 に は 、別 の 本 で 元 バ ン ギ ャ の 友 人 た ち と の レ
ズ ビ ア ン の コ ミ ュ ニ テ ィ や ハ プ ニ ン グ・バ ー な ど で の 体 験 を マ ン ガ と し て 発 表 し て
いるが、
「 肉 」の 体 験 に 基 づ く 壮 絶 な 体 験 や ク ィ ア な 体 験 が 、淡 々 と 描 か れ て い る 。
こ れ は 、竹 内 の 立 ち 位 置 が レ ズ ビ ア ン と お っ か け の 女 子 だ ら け の 編 集 と い う 女 同 志
の絆に基づく恋愛関係と仕事関係に足場をおいていることと関係しているのかも
12
し れ な い 。も し く は そ れ ぞ れ の 文 化 系 が 堅 牢 に 内 閉 的 に 構 築 さ れ て き た 結 果 、日 常
生 活 へ の 影 響 が な い こ と に よ る の か も し れ な い 。本 稿 で は 、1 9 8 0 年 代 後 半 か ら
現 在 ま で の「 お っ か け 」を 振 り 返 っ て き た が 、こ の 過 程 は 、女 性 た ち が「 家 事 労 働
シ ス テ ム 」以 外 の 場 所 に 居 場 所 を み つ け 、女 性 た ち の 欲 求 が 尊 重 さ れ る 女 性 た ち の
関係性を確立していく過程のサイドストーリーであったとも考えられる。
1島村麻里、2005、
『女はみんなミーハーです』河出書房新社.
2太田省一、2011、
『アイドル進化論-南沙織から初音ミク、AKB48まで』筑摩書房
187
頁
3 南博、1957、
『体系社会心理学』
、光文社、564 頁。
4 南博、1957、前掲書、568 頁。
5 久慈利武、1982、
「流行歌の社会学 : 人々の愛好曲の考察」、
『三重大学教育学部研究紀要
33 巻』
、19−39 頁。
6 松井豊、1994、
『ファンとブームの社会学』
、サイエンス社、30 頁。
7
水 野 悠 子 、1998、『 知 ら れ ざ る 芸 能 史 娘 義 太 夫 ― ス キ ャ ン ダ ル と 文
化 の あ い だ 』 、 中 公 新 書 、 5-6頁
ジャニーズ同窓会著、平本淳也監修、『ジャニーズおっかけマップ』、鹿砦社、1996 年
9 前掲書、196 頁
10前掲書、196-198 頁
11前掲書、200-201 頁
12前掲書、200 頁
13 村田順子、1990、
『キャーツ!!①おっかけ立志編』、角川書店、12 頁
14前掲書、211 頁
15 深井晃子、
『ファッションの世紀―共振する 20 世紀のファッションとアート』、平凡社、
227 頁
16 渡辺明日香、
『ストリートファッション論―日本のファッションの可能性を考える』
、産
業能率大学出版部、2011 年、84-85 頁。
17 アクロス編集室、
『東京の若者』PARCO 出版、1989 年、312 頁
18篠宮亜紀 1998「二十分でわかる!コスプレの超常識」
、『私をコミケにつれてって!』別
冊宝島 358 号宝島社
19井上貴子、2009、前掲著、37 頁
20 成実弘至、
「ジャパニーズファッションの 30 年―ブランド、スタイル、リアル」
、高木陽
子、成実弘至、西谷真理子、堀元彰、2011、
『感じる服 考える服:東京ファッションの現
在』以文社 10-11 頁
21 ストリートモード研究会『Street Mode Book』株式会社グラフィック社、2007 年、39
頁
22 MALICE MIZER は 1992 年に Mana と Ko~ji を中心に結成。
目黒鹿鳴館を中心に活動。
1994 年完全自主製作&プロデュースで 1st アルバム『memoire』リリース。自主レーベル
Midi/Nette 設立。1995 年 Camui Gackt 加入。1996 年『Voyage』リリース。オリコン・
インディーズチャート 1 位。
1997 年初のビデオ『sans retour Voyage”derniere~encoure une
fois~』リリース。メジャーデビューシングル「ヴェル・エール~空白の瞬間の中で」
(ビデ
オ付き)
オリコン初登場 20 位。1998 年 Camui Gackt 脱退。加納一美編集、
『MALICE MIZER
retour1992-1998』
、FOOL’S MATE PLUMBING。
23舟見佳子、2001、
「Mana(MALICE MIZER) [INTRODUCE TO GOTHIC WORLD]」田中宏
一(編) 『SHINKO MUSIC MOOK Pride Vision01』シンコー・ミュージック株式会社、84-85
8
13
頁.
24 栗田亮のクール・ジャパン新展開 Vol.6
ゴシックアンドロリータ
(http://www.apparel-web.com/column/kurita/vol_6_3.html)2014 年 10 月 16 日最終確認
25古賀令子、前掲書、107 頁
26『トーキングヘッズ叢書(TH seriese)No.33 ネオ・ゴシック・ヴィジョン』2008 年、
アトリエサード、66 頁
27 ストリートモード研究会『Street Mode Book』株式会社グラフィック社、2007 年、56
頁
28 ストリートモード研究会、前掲書、39 頁
29廣岡直人「クール・ジャパンのスタイル」
、「ジャパニーズファッションの 30 年―ブラン
ド、スタイル、リアル」
、高木陽子、成実弘至、西谷真理子、堀元彰、2011、
『感じる服 考
える服:東京ファッションの現在』以文社 52-53 頁
30廣岡直人「クール・ジャパンのスタイル」
、「ジャパニーズファッションの 30 年―ブラン
ド、スタイル、リアル」
、高木陽子、成実弘至、西谷真理子、堀元彰、2011、
『感じる服 考
える服:東京ファッションの現在』以文社 58 頁
31島村麻里、2007、
『ロマンチックウイルス―ときめき感染症の女たち』集英社新書、108
頁
32米沢嘉博 pp.124-125 新評社
33宮台真司、石原英樹、大塚明子、2007、前掲著、146 頁。
34室田尚子、2009、前掲書、190 頁
35沢嘉博『戦後少女マンガ史』pp.200 新評社
36米沢嘉博『戦後少女マンガ史』pp.188 新評社
37 篠原、2005、前掲書、77 頁。
38 篠原章、2005、56 頁。
39 東郷かおる子「あとにも先にも例のない唯一無二の個性」
、前掲『総特集 QUEEN クイ
ーン』85-86 頁。
40 室田尚子「ロック少女は王子様の夢を見たか―「ビッグ・イン・ジャパン」と呼ばれた
バンドたち」井上貴子『日本でロックが熱かった頃』青弓社、2009、184 頁
41室田尚子、2009、前掲書、190 頁
42宮台真司、石原英樹、大塚明子、2007、前掲書、172 頁
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