データシート

ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
8 ビットシリアル I/O アナログマルチプレクサ内蔵 A/D コンバータ
概要
ADC0831 シリーズは、8 ビットの逐次比較形 A/D コンバータで、シ
リアルI/Oと8チャネルまでの入力マルチプレクサを備えています。シ
リアル I/O は、COPS™ファミリ・プロセッサへのインタフェースを容
易にする、ナショナル セミコンダクター社の MICROWIRE™シリア
ル・データ・インタフェース規格に対応するよう構成されており、ま
た、標準のシフト・レジスタやマイクロ・プロセッサへのインタフェー
スも可能にしています。
2、4、8 チャネルのマルチプレクサは、チャネルの割り付けと同様、
ソフトウェアによりシングル・エンド入力及び差動入力としての構成
が可能です。
差動アナログ電圧入力は、同相電圧の除去比を増大したりアナログ
ゼロ入力電圧値のオフセットを可能にします。加えて、基準電圧入力
は、どのような小さなアナログ電圧スパンも全 8 ビットの分解能へエ
ンコードできるように調整が可能です。
■ レシオメトリック動作、5VDC の基準電圧での動作が可能
■ ゼロ調整、フルスケール調整不要
■ アドレスロジックによる 2、4、8 チャネルのマルチプレクサ・オプ
ション
■ 高電源電圧動作を可能にするシャント・レギュレータ
■ 5V 単一電源による 0V から 5V までの入力レンジ
■ シリアル・デジタル・データ・リンクによるリモート動作
■ TTL/MOS 入出力コンパチブル
■ 標準0.3 インチ幅、8、14、20 ピン DIP パッケージ
■ 20 ピン PLCC パッケージ(ADC0838 のみ)
■ 表面実装パッケージ
主な仕様
■
■
特長
■
■ ナショナル セミコンダクター社 MICROWIRE とコンパチブルで、 ■
COPS ファミリ・プロセッサとの直接接続が可能
■
■ すべてのマイクロ・プロセッサとのインタフェースが容易で、スタ
ンド・アロン動作も可能
分解能
総合無調整誤差
単一電源
低消費電力
変換時間
8 ビット
± 1LSB
5VDC
15mW
32µs
代表的なアプリケーション
TRI-STATE® はナショナル セミコンダクター社の登録商標です。
COPS™ と MICROWIRE™は、ナショナル セミコンダクター社の商標です。
© National Semiconductor Corporation
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Printed in Japan NSJ 3/2000
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838 8 ビットシリアル I/O アナログマルチプレクサ内蔵 A/D コンバータ
August 1999
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
ピン配置図
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
製品情報
NS パッケージ番号 M14B、M20B、N08E、N14A、N20A または V20A を参照下さい。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
絶対最大定格(Note1、2)
本データシートには軍用・航空宇宙用の規格は記載されていません。 リード温度(ハンダ付け 10 秒)
関連する電気的信頼性試験方法の規格を参照下さい。
デュアルインラインパッケージ(プラスチック)
260℃
モールドチップキャリアパッケージ(PLCC)、SO パッケージ
V +入力電流(Note 3)
15mA ベイパーフェイズ(60 秒)
215℃
6.5V 赤外線(15 秒)
電源電圧、VCC (Note 3)
220℃
電圧
静電耐圧(Note5)
2000V
ロジック入力
− 0.3V ∼ VCC + 0.3V
アナログ入力
− 0.3V ∼ VCC + 0.3V 動作定格(Note1、2)
各端子の入力電流(Note 4)
± 5mA
4.5 VDC ∼ 6.3 VDC
パッケージの入力電流
± 20mA VCC 範囲
TMIN ≤ TA ≤ TMAX
保存温度
− 65℃∼ + 150℃ 温度範囲
ADC0832/8CIWM
− 40℃∼+ 85℃
消費電力
0.8W ADC0831/2/4/8CCN
− 20℃∼+ 80℃
TA = 25℃(基板実装時)
ADC0838CCV
− 20℃∼+ 80℃
ADC0831/2/4/8CCWM
− 20℃∼+ 80℃
コンバータとマルチプレクサの電気的特性
以下の仕様は、特記のない限り、VCC = V + = VREF = 5V、VREF ≦ VCC + 0.1V、TA = TJ = 25℃、fCLK = 250kHz に対して適用されます。太文
字表記のリミット値は、TMIN ∼ TMAX の温度範囲に対して適用されます。ただし CCN、CCV および CCWM のバージョンについては 0℃∼+ 70
℃の温度範囲を適用します。
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AC 電気的特性
以下の仕様は、特記のない限り、VCC = 5V、tr = tf = 20ns、25℃に対して適用されます。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
コンバータとマルチプレクサの電気的特性(つづき)
以下の仕様は、特記のない限り、VCC = V + = VREF = 5V、VREF ≦ VCC + 0.1V、TA = TJ = 25℃、fCLK = 250kHz に対して適用されます。太文
字表記のリミット値は、TMIN ∼ TMAX の温度範囲に対して適用されます。ただし CCN、CCV および CCWM のバージョンについては 0℃∼+ 70
℃の温度範囲を適用します。
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AC 電気的特性(つづき)
以下の仕様は、特記のない限り、VCC = 5V、tr = tf = 20ns、25℃に対して適用されます。
Note 1: 絶対最大定格とは、IC に破壊が発生する可能性のあるリミット値をいいます。この規格を越えて動作させている IC には、DC 特性・
AC 特性いずれの規格も適用されません。
Note 2: すべての電圧は、グランド端子を基準にして測定されたものです。
Note 3: 内部ツェナーダイオード(6.3 ∼ 8.5V)は、V +から GND、VCC から GND に接続されています。V +におけるツェナーダイオードは、
シャント・レギュレータとして使用でき、ダイオードを通して VCC 接続されます。ツェナー電圧が A/Dのブレーク・ダウン電圧に等
しいので、デバイスが V +により動作している場合、そのダイオードは、VCC がブレーク・ダウン電圧以下であることを確実にしま
す。したがって結果的に VCC の電圧が絶対最大規格で指定された 6.5V を超えたとしても、V +動作に対する機能は保証されます。V
+への最大電流をおさえるために、抵抗を使用することを推奨します(6.0 項の機能説明内 Figure 3 参照)。
Note 4: 電源電圧範囲を超える入力電圧(VIN <V −または、VIN > V+)が各端子に印加された場合には、その端子に流れる電流の最大値が5mA
となるよう回路上の制限をかけて下さい。この 5mA の電流が流れる端子数は、パッケージの定格入力電流(20mA)より、4 本となり
ます。
Note 5: 使用した試験回路は、人体モデルもとづき、100pF のコンデンサより、1.5kΩ の抵抗を通して各端子に放電させます。
Note 6: 総合無調整誤差には、オフセット、フルスケール、直線性およびマルチプレクサによる誤差が含まれます。
Note 7: ADC0832 は、テストされません。
Note 8: VIN(−)≧ VIN(+)の場合、デジタル出力コードは、0000 0000 となります。2 つのオンチップ・ダイオードは、それぞれのアナログ入
力に接続され(ブロック・ダイヤグラム参照)、それらはグランドより 1 ダイオードドロップ分小さいあるいは、VCC より 1 ダイオー
ドドロップ分大きいアナログ入力電圧に対し順方向の導通となります。低レベルVCC(4.5V)のテストでは、特に高温時に高レベル・ア
ナログ入力(5V)によってこの入力ダイオードを導通させ、ほぼフルスケール付近のアナログ入力に対し誤差を発生するので、注意し
なければなりません。スペックは、1つのダイオードに 50mV の順方位バイアスを許しています。これの意味するところは、VIN また
は、VREF が電源電圧を 50mV 以上超えない限り、出力コードは正しいということです。したがって 0VDC から5VDC の絶対入力電圧範
囲の動作のため、温度変化、初期公差や負荷に対し最低4,950V DC の電源電圧が必要となります。
Note 9: 漏れ電流は、クロックが変化しない状態で測定されたものです。
Note 10: ディーティ・サイクルを40% から60% にすることにより、すべてのクロック周波数にわたって正確な動作が保証されます。この制限
からはずれたデューティ・サイクルのクロックを用いる場合、クロックが High になっている最小時間またはクロックが Low になっ
ている最小時間は、最低1µsとなります。クロックが Highの最大時間は 60µsです。クロックが Low の場合、アナログ入力電圧が安定
して残っている間は、止めておくことができます。
Note 11: MSBファーストのデータは逐次比較ループで使われているコンパレータの出力であるため、コンパレータの応答時間に対応したディ
レイが加わっています(ブロック図参照)。
Note 12: 代表値(Typical)は、TA = + 25℃で得られる最も標準的な数値です。
Note 13: Limit 値は、弊社工場出荷検査時の品質レベルに基づき保証されます。
Note 14: Design Limit は設計保証されますが、全数検査は実施されません。この数値は、出荷品質水準を計算するために用いられません。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
代表的な性能特性
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
Leakage Current Test Circuit
TRI-STATE Test Circuits and Waveforms
タイミング図
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
タイミング図(つづき)
ADC0831 Timing
*ADC0831 においては、LSB ファースト出力は有効ではありません。
ADC0832 Timing
ADC0834Timing
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── が Low になる前に、18 番目のクロック・エッジが LSB において同期していることを確認して下さい。
*SE
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タイミング図(つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
ADC0838 機能ブロック図
* これら機能 / 端子のうち、いくつかは他のオプションには、ありません。
Note 1: ADC0834 では、D1は SELECT1の D入力に直接入力されます。SELECT0 は強制的に“1”にされます。ADC0832 で、D1 は ODD/SIGN の
DI 入力に、直接入力されます。SELECT0 は、強制的に“0”にされ、SELECT1 は、強制的に“1”にされます。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明
1.0 マルチプレクサ・アドレッシング
これらのコンバータは逐次比較ルーチンによる差動アナログ入力の
変換機能を備えたサンプル・データ・コンパレータを用いています。
実際の変換電圧は、常に“+”端子に割り当てられた入力と“–”端
子に割り当てられた入力との差になります。変換される一対の入力端
子の極性は、
どのラインが正極性であるかということを示しています。
“+”に割り当てられた入力電圧が“–”に割り当てられた入力電圧より
低い場合は、コンバータは、オール・ゼロの出力コードを返します。
独特な入力マルチプレクサ方式により、シングルエンド入力、差動
入力または、あるアナログ入力とコモン端子との差を変換する、新し
い擬似差動入力をもったソフトウェアで構成可能な多様なアナログ
チャネルを実現しています。トランスデューサデータ収集システムに
求められるアナログ信号の処理は、この入力柔軟性により、大いに簡
易化されます。1つのコンバータで、グランドを基準にした入力、真の
作動入力さらに任意の電圧を基準にした信号を処理することが可能で
す。
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1つ 1つの入力構成は、変換の開始に先立って MUX アドレッシング
処理の間に割り当てられます。MUXアドレスにより、どのアナログ入
力がイネーブルになりこの入力がシングルエンドであるか、差動であ
るかを選びます。差動入力の場合、チャネルの極性も割り当てます。
差
動入力は、隣接したチャネルペアに限定されます。例えば、チャネル0
とチャネル 1を差動ペアとして選ぶことはできますがチャネル 0 また
は1は、他のチャネルとの差動動作ではできません。加えて、差動モー
ドの場合、符号もまた選択されます。チャネル0 を正入力、チャネル1
を負入力に、逆に、チャネル 0を負、チャネル 1を正に選択することも
できます。このプログラム可能な機能性は各製品に対して下記の表に
示される MUX アドレッシング・コードにより明確にされます。
MUX アドレスは DI ラインを通してコンバータにシフトされます。
ADC0831 は、極性も含め、ただ 1 つの差動入力チャネルしかもってい
ないため、アドレッシングは要求されません。
ADC0838 の共通入力線は、疑似差動入力として使用できます。この
モードでは、この端子の電圧は、別の入力チャネル1つに対して“–”
入力として扱われます。この電圧は、かならずしもアナログのグラン
ドレベルである必要はなく、全入力の共通の基準電位となり得ます。
この特性は、アナログ回路がグランド以上の電位にバイアスされ、出
力信号がすべてこの電位を基準とする単一電源回路に大変便利です。
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明(つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明(つづき)
入力選択は、ソフトウェアでコントロールできるので、変換ごとに
必要に応じて変更することができます。1つのチャネルは、ある変換に
おいてシングル・エンド、グランド基準入力として扱う事ができ、他の
変換においては差動チャネルの一入力とすることができます。
Figure 1
に柔軟な入力構成を示します。
それぞれのチャネルのアナログ入力電圧は、変換の精度を落とすこ
となしに、グランド以下 50mV から VCC(代表値 5V)以上 50mV まで変
化できます。
タイミング図、機能ブロック図を参照し、
変換手順を追うと、これら
のコンバータの動作を理解できます。明瞭にするため、デバイスごと
に個別のダイアグラムが示されています。
1. 変換は、最初に ──
CS(チップセレクト)が Low になった時に開始され
ます。このラインは、変換期間中ローに保たれていなければなりま
せん。コンバータは、スタートビットとMUX割り当てワードを待ち
ます。
2. それからクロックは、(連続していなければ)プロセッサにより発生
され、A/D クロック入力に出力されます。
2.0 デジタル・インタフェース
3. データ入力(DI)ラインの情報はクロックのそれぞれの立ち上がりで、
これらのコンバータの最も重要な特性は、制御プロセッサとのシリ
MUXアドレスのシフト・レジスタに入力されます。スタート・ビッ
アル・データ・リンクです。シリアル伝送フォーマットの採用により、
トは、このラインに現れる最初の論理“1”です(すべての先行ゼロ
2つの大変重要なシステムの改善を可能にしました。
すなわちパッケー
は無視されます)。スタート・ビットに続いてコンバータは、MUX割
ジ・サイズを増加させることなしに、多機能化を実現し、アナログ・セ
り当てワードとなる次の 2 ビットから 4 ビットを要求します。
ンサの近くにコンバータを置くことにより、低レベルのアナログ信号
伝送が不要になりました。また、耐ノイズ特性のよいデジタル・データ
をホストのプロセッサに返します。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明(つづき)
4. スタート・ビットがMUXレジスタの開始位置にシストされると、入
力チャネルが割り当てられ、変換がすぐに始まります。自動的に 1/
2 クロック周期のインターバルが(この間は何も起きません)選択さ
れた MUX チャネルを安定にするために挿入されます。この時 SAR
ステータス・ラインは、ハイになり変換が進行中であり、DIライン
はディスエーブル状態である(データを受けとりません)という信号
を送ります。
5. データ出力(DO)ラインは、トライ・ステートから抜け出し、この
MUXセトリングタイムの1クロックの周期の間、先行ゼロを出力し
ます。
6. 変換が始まると、アナログ入力が内部レジスタ・ラダーからの連続
した逐次電圧より高いか、それとも低いかを示すSARコンパレータ
の出力がクロック立ち下がりエッジで DO ラインに出力されます。
このデータは、シフト・アウト(MSB が最初)される変換の結果で、
直接プロセッサにより読み込まれます。
7. 8 クロックの周期の後、変換が完了します。SAR ステータス・ライン
は、1/2クロック・サイクルの後、Lowに戻りこのことを知らせます。
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8. プログラマの希望により、データは LSB先行形式で供給することも
──
できます〔これは、シフト・イネーブル(SE)制御ラインの使用によ
ります〕
。結果の全 8ビットは、出力シフトレジスタ内にストアされ
ます。──
SE 制御ラインをもたないデバイスではMSB 先行データ列の
後、LSB 先行データが自動的に DO ライン上にシフト・アウトされ
ます。するとDOラインはLowになり、──
CSが HighにもどるまでLow
──
に保たれます。ADC0838 の場合SEラインがHighに保たれると、
LSB
──
の値は、DOライン上に残ります。
SEがLowになると、データは、
LSB
から出力されます。ADC0831 だけは例外で、データは、MSB先行形
式で出力されます。
──
9. CS ラインが High になると、すべての内部レジスタはクリアされま
── は High から Low に変化しアドレス情
す。次の変換をする場合、CS
報が続きます。
DIと DOラインを結び、双方向プロセッサの I/Oビットを通して、1
本の線で制御することもできます。これは、DO ラインがハイ・イン
ピーダンス状態である、MUXアドレッシング期間中のみ、DI入力が読
み込まれるので、可能となります。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明(つづき)
3.0 基準電圧の考察
これらのコンバータの基準入力の印加される電圧は、256 通りの出
力コードが相応するアナログ入力の電圧範囲(VIN(MAX)と VIN(MIN)の電
圧差)を決定します。このデバイスは、レシオメトリック・アプリケー
ションかまたは絶対精度を求めるシステムのどちらにも使用できま
す。基準電圧入力端子は、代表値3.5kΩ の基準入力抵抗をドライブで
きる電圧源に接続されなければなりません。
この端子は逐次比較変換
に使われている抵抗分圧回路のトップにあります。
レシオメトリック・システムでは、アナログ入力電圧は A/Dの基準
に使われている電圧に比例します。この電圧は一般的にはシステムの
電源電圧なので、VREF 端子は VCC に接続されます(ADC0832 では内部
で接続されています)。このテクニックは、アナログ入力とA/D基準が、
与えられた入力条件に対し同じ出力コードを出力するよういっしょに
変動するので、システムの基準に対する安定条件が緩和されます。
4.0 アナログ入力
これらのコンバータの最も重要な特長は、コンバータがアナログ信
号ソースのすぐ近くに配置されることと、わずか、数本の信号線を通
して耐ノイズ特性のよいシリアル・ビット列により制御プロセッサと
通信できることです。これは本来、
回路を非常に小さくし、一般的には
大変ノイズを拾いやすいアナログ信号精度を維持します。しかし入力
に最初からノイズが乗っているか、または大きな同相電圧に乗ったよ
うなアナログ入力に関しても考慮しなければなりません。
これらのコンバータの差動入力は、現実に同相入力ノイズの影響を
軽減します。同相入力信号は変換のために選択された“+”と“−”入
力の両方に共通な信号(60Hz が最も代表的)です。
“+”入力と“−”入力のサンプリングの間の時間間隔は、クロック
周期の1/2です。この短時間の同相電圧が変化すると、変換誤差の原因
になります。正弦波同相信号のこの誤差は
となります。
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絶対精度の場合、アナログ入力は高精度が要求される電圧範囲を動
きますが、基準端子は、時間と温度に対して安定した電圧でバイアス
されます。LM385およびLM336 基準ダイオードは、これらのコンバー
タに使われる高性能低電流ダイオードです。
基準の最大値は、VCC 電源電圧に制限されます。しかし最小値はい
たって小さいため、
出力のスパンが5Vより小さいトランスデューサの
出力を直接変換することができます(代表的な性能特性参照)。コン
バータの感度(1LSB は、VREF /256 に等しい)を上げるため、スパンを減
じた動作の場合、特にノイズのピック・アップ、回路の配置、システム
誤差を引き起こす電圧源に配慮しなければなりません。
fCM は、同相信号の周波数、VPEAK はそのピーク電圧値、fCLK は、A/D
クロック周波数です。
250kHz のコンバータ動作で、60Hz の変換信号が、1/4LSB 誤差(約
5mV)を発生させた場合、そのピーク値は、6.63Vとなり、これは、最大
アナログ入力の限界を越え許容されている値よりも大きくなります。
アナログ入力のサンプリングの性質上、
実際の変換の間、ショート・
スパイク電流がクロックのエッジのところで、
“+”入力に入り“−”
入力に出ます。
これらの電流は急速に減衰し、内部コンパレータは、
ク
ロック周期の終了でストローブされるため、
誤差の原因になりません。
入力におけるバイパス・コンデンサは、これらの電流を平均化し、アナ
ログ信号源の出力抵抗を通して流れる重大な DC 電流を発生します。
信号源抵抗が 1kΩ より大きい場合、バイパス・コンデンサを用いるべ
きではありません。
この信号源抵抗の限定は、入力マルチプレクサの DC 漏れ電流に関
しても重要です。最悪の場合、全温度範囲での± 1µA の漏れ電流は、
1kΩ の信号源抵抗で1mV の入力誤差を発生させます。高インピーダン
ス信号源が要求されている場合、オペアンプの RC アクティブ・ロー・
パス・フィルタは、
インピーダンスのバッファリングと、ノイズの除去
の両方に有効です。
5.0 オプション調整
6.0 電源
5.1 ゼロエラー
A/Dのゼロ調整は必要ありません。
最小アナログ入力電圧値、
VIN(MIN)
がグランドでない場合、ゼロオフセットが実行されます。この VIN(MIN)
値で VIN(−)入力をバイアスすることによって、この最小入力電圧に
対し 0000 0000 のデジタルコードを出力するようにコンバータを設定
できます。これは、A/D の差動モード動作の応用です。
A/D コンバータのゼロエラーは、伝達関数の最初の立ち上がりの位
置に関係し、VIN(−)入力をグランドにして小さい正電圧を VIN(+)入
力に加えることによって測定されます。ゼロエラーは、0000 0000 から
0000 0001に出力デジタルコードを変化させるのに必要な実際のDC入
力電圧と 1/2LSB の理想値(VREF = 5.000VDC において 1/2LSB = 9.8mV)
との差です。
ADC0838と ADC0834 の独特な特長は、V +端子からグランドに、ま
た、シリコン・ダイオードを通して VCC 端子(実際のコンバータの電
源)に接続されている、ツェナー・ダイオードを内蔵していることで、
それを Figure 3 に示します(Note 3 参照)。
5.2 フル・スケール
フル・スケール調整は、要求されるアナログ・フルスケール電圧範囲
から 1.5LSB だけ下がった差動入力電圧を与え、次に、デジタル出力
コードがちょうど1111 1110から1111 1111に変化するようにVREF 入力
(ADC0832 の場合は VCC)電圧を調整することにより行われます。
5.3 任意のアナログ入力電圧範囲の調整
A/D アナログ・ゼロ電圧がグランドからシフトされる場合(例えば、
グランドまで下がらないアナログ入力信号を供給する場合)、
この新し
いゼロ基準電圧は、はじめに、
適切に調整される必要があります。この
希望のゼロ基準電圧プラス1/2LSB(LSBは、1LSB = アナログ幅/256に
よって、要求されるアナログ幅に対し計算します)に等しい VIN (+)電
圧を選択された“+”入力に加え、次に対応している“−”入力におけ
るゼロ基準電圧を、ちょうど00HEX から01HEX へのコード変化が得られ
るように調整します。
フル・スケール調整は、適切な電圧をVIN(–)に加え、次式で与えられ
る電圧を VIN (+)入力にかけることにより行われます。
VMAX = アナログ入力範囲の最大値
VMIN = アナログ入力範囲の最小値(オフセットゼロ)
(共にグランド基準で与えられます。)
それから VREF(または VCC)電圧は、FEHEX からFFHEX へコードが変化
するように調整されます。これで、調整手順は、完了です。
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このツェナー・ダイオードは、シャント電圧レギュレータとして使
用することを意図したもので、他のレギュレートパーツの追加の必要
性を取り除きました。これは、コンバータがシステム電源から離れた
ところに置かれた場合、とても価値があります。Figure 4、5は、外部に
トランジスタを使う余裕がある時の、このオン・ボード・ツェナー・ダ
イオードの使いやすい 2 つの応用例を示します。
V+とVCC 間に内蔵されているダイオードの重要な使用方法をFigure
6と 7 に示します。ここでは、このダイオードは、クロックによりコン
バータの VCC 電源を供給するための整流器として使われています。
この A/D は低電流で動作し、比較的高いクロック周波数を使用(代
表値は、10k-400kHzの範囲内)するので、
VCCライン上でリップルをLSB
の1/4以下に保つためのフィルター・コンデンサの容量を小さくできま
す。
シャント・ツェナー・レギュレータをこのモードで使うこともでき
ます。これは、VZ以上のクロック電圧振幅を必要とします。ツェナー・
ダイオードの電流制限は必要で、クロック・ジェネレータに内蔵する
かまたは抵抗を CLK 端子から V +端子へ接続することも可能です。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
機能説明(つづき)
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
*ADC0838 の端子配置を示します。他の製品の場合、指示された機能の端子へ接続します。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
コントローラは、入力の極性(9 ビット例)または、どのチャネルペア(10 ビット例)が、ノンゼロ出力コードを供給するかを確定するルーチ
ンを実行します。この情報が、増加分のビットを供給します。
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
ダイオードは 1N914 を使用
+ VIN > − VIN の場合、D0 はすべて 1
+ VIN < − VIN の場合、D0 はすべて 0
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
・ロード・セル自身よりも、一本多い信号線を使用します。
・デジタル出力トランスデューサのために、ロード・セル内部に 2 つのミニ DIP が使用されます。
・電気的オフセットとゲインの調整を行なうことによって、ゲージ・ファクタやオフセットの様な機械的な仕様をゆるめることができます。
・低レベル・セル出力は、高い耐ノイズ特性を得るため、ただちに変換されます。
・ループで全ての電源が供給
・出力で 1500V の絶縁
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
・リモート側では電力の供給は不要
・1500V の絶縁
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DS005583-21
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・追加接続はありません。
── は CLK ライン上で 100µsHigh の状態を続けて、そこから得ます。
・CS
・タイミングは、40kHz に設定されていますが、使用部品の変更により、上下に変更することもできます。
・使用部品の変更なしに、10% の CLK 周波数の変化は可能です。
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
アプリケーション(つづき)
• 8 チャネルのより簡単なバージョン
• 長い CLK パルスから得られる CS
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
外形寸法図 特記のない限り inches(millimeters)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
外形寸法図
特記のない限り inches(millimeters) (つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838
外形寸法図
特記のない限り inches(millimeters) (つづき)
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ADC0831/ADC0832/ADC0834/ADC0838 8 ビットシリアル I/O アナログマルチプレクサ内蔵 A/D コンバータ
外形寸法図
特記のない限り inches(millimeters) (つづき)
生命維持装置への使用について
弊社の製品はナショナル セミコンダクター社の書面による許可なくしては、
生命維持用の装置またはシステム内の重要な部品として使用す
ることはできません。
1. 生命維持用の装置またはシステムとは(a)体内に外科的に使用さ
れることを意図されたもの、または(b)生命を維持あるいは支持す
るものをいい、ラベルにより表示される使用法に従って適切に使用
された場合に、これの不具合が使用者に身体的障害を与えると予想
されるものをいいます。
2. 重要な部品とは、
生命維持にかかわる装置またはシステム内のすべ
ての部品をいい、
これの不具合が生命維持用の装置またはシステム
の不具合の原因となりそれらの安全性や機能に影響を及ぼすことが
予想されるものをいいます。
ナショナル セミコンダクター ジャパン株式会社
本 社/〒 135-0042 東京都江東区木場 2-17-16 TEL.(03)5639-7300
製品に関するお問い合わせはカスタマ・レスポン
ス・センタのフリーダイヤルまでご連絡ください。
フリーダイヤル
http://www.nsjk.co.jp/
0120-666-116
にやさし
ゅう
い
き
ち
み
どり
をまも
る
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は予告無く変更されることがありますのでご了承下さい。