ポイント別PC自作・ アップグレード入門講座

Original PC
&
DIYUpgrade
Guide
ポイント別PC自作
アップグレード
入門講座
43
限目
講師
伊藤裕也
HDDをメンテナンスする
HDDユーティリティと言えばバックアップソフトが定番だが、
パーティション操作やデフラグ、データ消去などの機能を持つメンテナンスソフトを使えば、
PCの運用やデータの保護がぐっと楽になる。
大事なデータの保護は
HDDのメンテナンスから
ないように冷却したりといった気づかい
をするだけで、HDDの寿命は確実に延び
る。さらに不測の事態に備えるなら、ユ
PCのHDDには、OSのシステムファイ
ーティリティソフトを利用すれば万全だ。
ルはもちろん、アプリケーションの実行
HDDメンテンスと言えばバックアップ
ファイルやユーザーが作成した文書/動
が代表格だが、ソフトによってはデフラ
画ファイルなど、多くの情報が記録され
グやパーティションの分割、リカバリー
ている。そのため、不良セクタの発生な
CD/DVDの作成、廃棄前のHDDの完全
どでHDDが不調になると、最悪の場合、
消去など、さまざまな機能が用意されて
すべてのデータが失われてしまう。
いる。こうしたソフトを1本持っておく
こうした事態を回避するには、普段か
だけで、メンテナンスは格段に楽になる
らHDDのメンテナンスを行なうことが重
はずだ。今回はネットジャパンの「Pow
要だ。ケースに固定しない不安定な状態
erX Hard Disk Manager 7.0」を例に、
で使うのをやめたり、異常な高温を持た
HDDメンテナンスについて解説しよう。
ネットジャパン
PowerX Hard Disk Manager 7.0
11,760
標準価格:
円
問い合わせ先:03-5256-0855
URL:http://www.powerx.jp/
パーティション操作、システム/データのバ
ックアップ、HDD全体のコピー、データの完
全消去など、各種HDDメンテナンスが行なえ
る。いずれもウィザード形式で、簡単な操作
で多彩な機能を利用できる
環境を壊さずにパーティションを分割する
1
パーティション作成を選択
2
ドラッグしてサイズを変更
市販PCの多くは、OS本体とユーザー
データを同じパーティション(HDD
の論理的な領域)に記録する状態で出
荷されている。しかし、両者のパーテ
ィションを分けておけば、ファイルの
よけいな断片化を防げる上、OSの再
インストール時にデータの待避が楽に
行なえるなどといったメリットがある。
一般的にパーティションを分割する際
にはHDDのフォーマットが避けられな
いが、Hard Disk Managerには、シ
ステムを破壊せずにWindows上から
パーティションを操作する機能が用意
されている。
Hard Disk Managerのメインメニュー。パーティション操
メニューからパーティションの作成を選ぶと、既存パー
作や各種バックアップなどは、すべてここから始める
ティションのサイズ縮小と新規パーティションの作成を
まとめて行なえる。サイズ指定はスライダーをドラッグ
するだけ
HDD、光学メディア、HDDの隠し領域にバックアップ
1 バックアップ要素を選択
2 圧縮レベルなどを決定
HDDは熱や衝撃に弱いデリケ
ートな消耗品なので、システ
ムはともかくユーザーデータ
のバックアップは定期的に行
なっておきたい。データのみ
のバックアップならDVD-Rな
どの光学メディアに書き込め
ばよいが、Hard Disk Mana
gerを使うとシステムのバック
アップも可能になる。HDDか
らOSを起動できない状態で
も、LinuxベースのCD/DVD
から起動してリストアできる
ので、万一のときに重宝する。
バックアップウィザードでは、ドライブ、パー
ティション、マスターブートレコードなど、バ
ックアップする要素を選択できる。通常はドラ
イブ全体かパーティション単位で選択する
「バックアップの詳細
オプション」がチェ
ックしてあると、バ
ックアップするファ
イルの圧縮や、生成
するファイルの分割
についても指定でき
るようになる
3 出力先を選ぶ
4 アーカイブ名を決定
5 メインメニューから実行
HDDやCD/DVDメディアなど、バックアップファイル
の出力先を選ぶ。Hard Disk Managerには、HDDにOS
から見えない隠し領域を作る機能も用意されている
内蔵/外付けHDDに出力する場合は、出力先のドライ
ブとパスを指定する。HDDの隠し領域を作る場合は、
隠しパーティションを選択するためのメニューが表示さ
れる
ウィザードによる設定が終わっても、すぐ
にバックアップは始まらない。処理の実行
は、メインメニューに戻って「適用」ボタ
ンを押すことで行なわれる
HDDを廃棄する前にデータを完全消去する
1
消去する領域を選ぶ
2
データの痕跡を残さない
Windows上でファイルを削除
しても、実際には「ファイル
を削除した」という情報が作
られるだけで、新たなデータ
が上書きされるまで古いデー
タは残ってしまう。データ復
旧ソフトで削除したファイル
を取り出せるのはこのためだ。
つまり、個人情報などを保護
するには、HDDを廃棄すると
きは物理的に破壊するか、確
実にデータを消去しておく必
要 がある。データの上 書 き
(=完全消去)を手動で行なう
の は 大 変 だ が 、 Hard Disk
Managerには自動処理する機
能が用意されている。
抹消ウィザードは、データを消したいドライブま
たはパーティションの選択から始まる。ここでは、
パーティションを選択している
データの消去では、その時点で存在しているファイルやフ
ォルダはもちろん、過去に削除したデータの痕跡について
も消去可能だ
インプレスジャパン刊 DOS/V POWER REPORT 2006 年 9 月号に掲載された記事です。
© Impress Japan