ITCL『リア王』あらすじ 1幕 神聖なる王室。古代ブリテン(英国)の支配者であるリアは王としての責任を 手放すことを決め、分割した領土を三人の娘:ゴネリル、リーガン、コーディ リアに分け与えようとしている。そこで娘たちに、誰が父親への愛を最も上手 く言葉にできるかという屈辱的な対決をさせる。コーディリアは姉達のように 中身の無い言葉を並べることはできないと、父親への愛を言葉にすることを断 る。リアは激怒し、末娘コーディリアをブリテンから追放。求婚者であるフラ ンス王のもとへ追い出す。 グロスター伯爵の私生児であるエドモンドは、自分の母親が妾だったことで受 けてきた偏見について、“社会の慣習”というよりむしろ“自然界の女神”に 向かって、声を上げ抗議している。グロスターが現れると、自ら用意した手紙 を、嫡子で兄のエドガーが書いたもので、父親殺しを脅かす内容だと嘘をつき 信じ込ませる。グロスターが去りエドガーが現れると、今度は、父がエドガー に対し不信感を抱いているので、誤解が溶けるまで隠れているようにと言いく るめる。 王位を退いたリアは騎士達と酒を飲み遊びほうけている。無礼な‘宮廷道化師’ がリアのお供だ。長女のゴネリルは父親の振る舞いにうんざりし、リアが彼女 の城に滞在することを拒む。ゴネリルの夫アルバニーは父と娘の仲をとり持と うとするがリアは腹をたて、自然界の女神の名の下に娘を罵る。リアは次女の リーガンのもとへ行くことにする。 道化がリアの愚行をばかにする。 2幕 エドモンドは、自らを切りつけ、兄のエドガーに暴行されたかのように振舞う。 怪我をしたエドモンドを見てグロスターはエドガーの裏切りを確信する。そこ へリーガンがやって来て、エドガーの不義とリアや騎士たちの奔放な行動を結 びつける。リーガンはエドガーを捕らえるための使いを出し、エドモンドの忠 義に感謝する。リーガンは彼に対しては大変好意的である。 田舎の森へ逃げてきたエドガーは、身元を偽ることを決意する。 リア王がリーガンの城に到着、しかしリーガンは父親と会うことを拒否する。 リアは自分の権力で娘を動かすことが出来なくなってしまったことに腹を立て る。結局対面することになったものの、リーガンは父親を冷たくあしらい非難 し、姉ゴネリルの肩を持つ。ゴネリルも登場、娘二人はお供の騎士たちを解散 させるよう、リアに要求する。リアはこれに激情し、その場を去り、吹き荒れ る嵐の中へと飛び出す。 3幕 グロスターはリアを救い出し、リーガンとゴネリルに反逆する計画を、エドモ ンドに持ちかける。しかしエドモンドはこの計画を姉妹に明かすつもりだ。 荒野にて。リアは(お供は道化)吹き荒れる嵐に向かって大声で叫んでいる。 王権を譲り、家族を失った今、彼はたった独りで自然に向き合っている。グロ スターが現れ、二人を近くの小屋(というよりも物置小屋)へと非難させる。 小屋(物置小屋)に着くとリアは取り乱し始め、正気を失う寸前である。小屋 の中からエドガーが登場 -彼は狂った物乞いのふりをしている。父親である グロスターさえもエドガーであることに気がつかない。彼の狂気ぶりはリアを 益々狂気へと後押しする。グロスターは奇妙さと狂気が増していくこの状況か らリアを隔離しようとするが、リアは今となっては道化や狂人と一緒にいるこ とを望んでいる。 休憩 (Interval) エドモンドはリーガンに、グロスターの計画を密告する。リーガンはこれを裏 切行為としグロスターを罰するよう命令をだす。 グロスターはリアと道化、身の上を偽ったエドガーをより良い避難場所である 農家へと連れて来る。しかし、もはやリアは正気を失っている。彼らはゴネリ ルとリーガンの裁判の真似事を行う。ゴネリルとリーガンの忠臣達に見つかり 危害を加えられることを恐れ、グロスターは安全のためにリア達をドーヴァー へと導く。 リーガンはコーディリアが率いるフランス軍がリアを支援する為にドーヴァー に到着したとの報告を受ける。グロスターは息子エドモンドの手引きで捕らえ られ、リーガンとゴネリルの元へ連行される。エドモンドはアルバニーのもと で、コーディリアの軍隊と戦うためにブリテン軍の準備をする。グロスターは リーガンから拷問を受け、目をえぐり抜かれ、盲目となる。 4幕 エドガーは荒野でさまよう父グロスターを見つける。狂人の振りをしたまま父 を安全なドーヴァーへと導く。 ゴネリルとエドモンドが戦争の準備をしている。ゴネリルはエドモンドに対す る愛情と欲望を告白する。ゴネリルの夫、アルバニーが登場-彼はゴネリルと リーガンのリアへの仕打ちを耳にし、彼女の振る舞いにぞっとする。グロスタ ーの目を潰した拷問のこと、そしてグロスターの確保にはエドモンドが関与し ていたことを知る。そこでアルバニーはグロスターの敵を討つことを誓う。 フランス軍を率いるコーディリアはドーヴァーへの道中、父リアが狂人となっ て発見されたと知る。またリーガンとゴネリルのブリテン軍が攻めてきている との知らせを受ける。じきに戦争が始まるのだ。 リーガンは姉ゴネリルがエドモンドに書いた手紙が気になって仕方がない。リ ーガンはエドモンドを夫として迎えたいのだ。 絶望したグロスターはドーヴァーの崖から飛び降り、自殺をしたいと願ってい る。エドガーは盲目のグロスターを地面が平な所へ連れて行き、そこが急な傾 斜を登った崖の頂上であると嘘をつく。グロスターは身を投げ、倒れ込むが、 もちろん怪我はない。様子を見ていたエドガーはグロスターの元へ近寄り、あ たかもグロスターが奇跡的に助かったように振舞う。グロスターは自殺を思い 直し、苦しみを受け入れる決心をする。 花飾りをしたリアが登場 -一種の自然である!彼はグロスターに自分の目 を提供したいと思っている。リアは娘からの使者に見つかるが、逃げ出してし まう。ゴネリルの従者オズワルドが登場 -エドガーとオズワルドは争い合い、 エドガーはオズワルドを殺害。死ぬ間際、オズワルドは財布の中にある手紙を エドモンドに渡すように言い残す。エドガーはそれがゴネリルからの手紙であ り、彼女が夫のアルバニーを殺しエドモンドを夫にしようとしていることを知 る。エドガーはグロスターを避難させる。 リアはコーディリアの元へと連れて行かれ、二人は和解するが、リアは苦しみ から乱心気味のままである。 5幕 ドーヴァー近くのブリテン軍の陣営、リーガンはエドモンドに自分と姉、どち らを取るのか選択をせまる。 そこへゴネリルとアルバニーがやって来る。リーガンとゴネリルはエドモンド をめぐって言い争う。 姉妹とエドモンドが去った後、エドガーが登場。オズワルドに託された手紙を アルバニーに手渡す。アルバニーを殺害し、エドモンドを王とする陰謀を綴っ たゴネリル手紙だ。エドモンドが戻って来たため、アルバニーは手紙を読まず に戦場へ向かう。残されたエドモンドは姉妹のどちらを選ぶべきか思いを巡ら す。 エドガーとグロスターは軍と軍の合間を渡り歩く。 戦争 明らかに優勢であるエドモンドはリアとコーディリアを捕虜にし、連行してく る。リアとコーディリアは今や完全に和解していて、リアの知力も少し回復し ているように見える。エドモンドはリアとコーディリアを解放。しかしそれは 兵士らに二人を殺害させるためである。 アルバニー、リーガン、ゴネリルが登場。姉妹がエドモンドを巡り衝突する。 リーガンは体調が優れないが、エドモンドには公爵の地位を自分のものとする ように勧め、異議ある者は決闘を申し込むべきだと煽る。 手紙を読み、自分自身に対する陰謀を知ったアルバニーはエドモンドとゴネリ ルの裏切り行為を告発する。リーガンは倒れ、今にも息絶えそうである。 - ゴネリルに毒を盛られていたのだ。エドモンドはブリテンの王になる一歩手前 だ。伝令官はラッパを鳴らし、エドモンドへの挑戦を呼びかける。エドガー(ヘ ルメット姿なので誰だかは分からない)が挑戦を申し出る。決闘中、エドガー はエドモンドに致命傷を負わせる。ゴネリルは逃げ出し自ら命を絶つ。エドガ ーは自分の正体を打ち明ける。エドモンドは死に際の慈善行為でリアとコーデ ィリアを死刑にかける命令を出したことを告白する。エドガーは二人を救うた めに使いを送る。リアが登場。使者が何とか間に合い、死を免れたが、コーデ ィリアの刑は執行された。リアはコーディリアの亡骸を抱き運んでいる。そし て、悲しみのあまり死んでしまう。 エドガーはリアの王冠を悄然と受け取る。神聖かつ社会的な責任は再度受け継 がれ、二度とこのような不幸な日々は来ないであろうという希望が見える。
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