4 日医大医会誌 2007; 3(1) ―グラビア― 抗癌剤による乳癌細胞の形態変化 マルチモード顕微鏡の観察から 工藤 光洋 石渡 俊行 恩田 宗彦 藤原 ゆり 内藤 善哉 日本医科大学病理学第二教室 Morphology Change of Breast Cancer Cell by Anticancer Drug : Observation of Multi-Mode Microscope Mitsuhiro Kudo, Toshiyuki Ishiwata, Munehiko Onda, Yuri Fujiwara and Zenya Naito Department of Pathology, Nippon Medical School B A Fi g.1 解説 現在,乳癌細胞の表面に HER2! ErbB2 受容体が過剰発現している乳癌に対してモノクローナル抗体 herceptin (trastuzumab)による化学療法や抗癌剤 paclitaxel を用いた治療が行われ,過去に比べ著明な予後の改善がみられている. これら HER2 陽性乳癌では,herceptin と cisplatin,paclitaxel や docetaxel など抗癌剤の併用は herceptin 単独より有効性 が高く,その効果は Receptor-Enhanced Chemosensitivity(REC)と呼ばれている.今回,HER2 を強発現しているヒト乳 癌細胞株 SK-BR-3 を用い,herceptin と paclitaxel の併用効果について Confocal laser scanning microscope Digital Eclipse C1 TE2000-E で観察した.さらに得られた画像を Meta Imaging Series 7.0 や Volocity Ver. 3.6 の画像解析ソフトを用い 3 次元的に細胞を観察した. 連絡先:内藤善哉 〒113―8602 東京都文京区千駄木 1―1―5 E-mail: [email protected] Journal Website(http : ! ! www.nms.ac.jp! jmanms! ) 日本医科大学病理学第二教室 日医大医会誌 2007; 3(1) 5 Fi g.2 Fi g.3 Fig. 1 Fig. 2 Fig. 3 ヒト乳癌細胞株 SK-BR-3 細胞の HER2! ErbB2 抗体を用いた蛍光抗体染色で,HER2! ErbB2 が細胞膜に強発現 している.A:HER2! ErbB2 蛍光抗体染色の 2 次元画像を示す.B:A の画像の 3 次元構築後,XY,XZ,YZ 方向の slice 画像の観察では,細胞膜上の HER2 の発現がより明瞭にみられる.HER2(Texas Red;red) ,核 (DAPI;blue) ,Bar:25 µm SK-BR-3 細胞培養液に B:10 µg! ml herceptin の単独投与,C:0.8 µg! ml paclitaxel の単独投与,D:10 µg! ml herceptin と 0.8 µg! ml paclitaxel を同時投与し,24 時間後,細胞を観察した.A は対照.ミトコンドリア は MitoTracker®,アクチンフィラメントは Alexa Fluor®-phalloidin で染色した.A:未処置の細胞では豊富な ミトコンドリアが観察され,アクチンファイバーも明瞭に観察される.B:明らかな形態的な変化はみられな い.C:細胞は小型化し,ミトコンドリアの凝集が起こり,核の断片化も散見される.D:C に比し,さらに ミトコンドリアの凝集や核の断片化が明瞭に観察される.アクチンフィラメント(green) ,ミトコンドリア (red) ,核(blue) ,Bar:25 µm Herceptin と paclitaxel 同時処理群での乳癌細胞の核断片化やアポトーシス像を示す.A:2 次元像を示す.B: A の中心に位置する細胞の 3 次元構築像を示す.C:B の 3 次元構築像から核のみを画像にした.D:同様に B からミトコンドリアのみを抽出した画像を示す.アクチンフィラメント(green) ,ミトコンドリア(red) , 核(blue) ,Bar:25 µm
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