ニッケルとジュエリー

アドバイザリノート
ニッケルとジュエリー
ニッケル スチュワードシップ
ニッケルには、貴金属の合金や低価格なアクセサリーに使用されてきたという長い歴史
があります。
貴金属ジュエリーでは、金の基色を変えてホワイトゴールドを作るため、様々な分量の
ニッケルが、亜鉛、
マンガン、パラジウム等の金属と共に金に添加されます。
ニッケルは
ホワイトゴールドを白色化する添加剤の役割に加え、耐久性と強度も上げることができ
ます。
アクセサリーは、光沢のある仕上がりにするためにニッケルでめっき加工されるのが一
般的です。
また、
ニッケルは、
クロム、金、
ロジウムといった仕上げ加工を施されたベース
メタルの低価格アクセサリーの中にも見られます。
ニッケルは、長時間直接皮膚に触れると、元々ニッケルに対してアレルギーのある人に
アレルギー反応を引き起こす可能性があり、
またまれにニッケルアレルギーを発症させ
る可能性がある元素の1つであると長く認識されてきました。
このアドバイザリノート
は、貴金属ジュエリー及び低価格なアクセサリーのメーカーと消費者に対し、ニッケル
に関連する接触皮膚炎のリスクを最小化する方法についてのガイダンスを提供するこ
とを目的としています。
リスク評価
ニッケルアレルギー性接触皮膚炎に関するリスクの評
価と管理にあたり、考慮すべき重要な要素が2つありま
す。1つは、物質の表面が汗と触れたときにニッケルを
溶出させる能力と速度、
もう1つは、皮膚とどのように接
触しているかです。
そのため、
リスクの大きさは品物の使用パターン、
ジュ
エリーを身につけている環境、ニッケル皮膚炎に対す
る感受性など様々な要因で変わってきます。
イヤリングやボディピアス等のジュエリーが治りかけの
傷に触れる場合は、特に考慮が必要です。
これに関す
る詳細については、
アドバイザリノート
「ニッケルとボデ
ィピアス」
をご覧ください。
www.nickelinstitute.org
2009年6月改訂
推奨事項
貴金属ジュエリーのメーカーの方へ:
EU市場向けのジュエリーの製造については、EUニッ
ケル指令[94/27/EC改訂]に準拠してください。
この
EU指令では、長時間直接皮膚に触れるジュエリーに
対するニッケルの溶出速度は、1週間当たり0.5μg/
cm2を超えないことが義務付けられています。
ニッケルの含有量によってホワイトゴールド合金の
特性は変わります。
これにより、長時間直接皮膚に触
れる場合のニッケルの溶出速度も異なりますのでご
注意ください。
一般的に、パラジウムがホワイトゴールドに多く含ま
れる場合(10%以上)は、ニッケルに関するEU指令に
準拠したニッケル溶出速度になります。
アドバイザリノート
ニッケルとジュエリー(つづき)
腕時計の本体やベルト、イヤリングの留め具等の製
品の外装部分には、適切な鋼種のステンレス鋼を使
用してください。これらの製品に最も一般的なのは
304Lタイプまたは316Lタイプです。
消費者の方へ:
EU諸国に在住の場合、長時間直接皮膚に触れる製
品はすべてニッケル指令に準拠しており、ほとんどの
消費者に安全であると言えます。
EU諸国以外に在住でニッケルアレルギーの方、ある
いは、ニッケルとの皮膚の接触を制限したい方は、以
下にご留意ください。
•ニッケルが含まれている可能性については、製品
説明書をご確認ください。ニッケルが含まれていな
い場合は、通常その旨が製品説明書に記載されて
います。
•皮 膚に触れる面にニッケルが使用されている可能
性が考えられる場合、及びニッケル形態に疑問があ
る場合は、EU諸国でその製品が販売可能かどうか、
そのお店に確認してください。そのお店が必要な
情報を提供できなければ、それが消費者にとって
購入するかどうか考え直す1つの判断材料になりま
す。
•ホワイトゴールドのジュエリーについては、パラジウ
ムの含有量をご確認ください。10%以上が推奨され
ます。
•金 めっき加工された低価格なジュエリーについて
は、金の下にニッケルがある場合があり、
また、金の
層は薄くなったり軟らかくなったりして磨耗しやす
いのでご注意ください。
この件等に関する消費者の方への注意点は、当協会
のウェブサイト(www.nickelinstitute.org)でもご覧い
ただけます。
ニッケルの含有量によっ
てホワイトゴールド合金内
のニッケル溶出速度は異
なりますのでご注意くださ
い。ニッケルアレルギーが
起こらないように、対象の
ジュエリー商品がEUニッ
ケル指令に準拠している
ことを確認してください。
www.nickelinstitute.org
2009年6月改訂
ニッケル協会の行動指針
ニッケル協会は、ニッケルスチュワードシップの一環と
して、Council for Responsible Jewellery Practices(責
任あるジュエリー産業のための協議会)等の関連団体
やウォルマート等の小売販売業者と共に、ニッケルア
レルギー性接触皮膚炎に関する情報の周知に積極的
に取り組んでいます。
業界との協力のもと、ニッケルアレルギー性接触皮膚
炎について様々な研究や専門家による評価が多数
行われました。最近では、ニッケルの美観をそのまま
に、EUニッケル指令のニッケル溶出基準を満たすよう
な新たなニッケルの表面配合組成についての研究等
があります。
ニッケル 協 会は、ニッケル 指 令を履 行するための
CEN(欧州標準化委員会)の標準化作業に参加してい
ます。Nickel Dermal Advisory Panel (NDAP)は、皮膚
の研究や臨床に関してニッケル協会にアドバイスを行
う皮膚科専門医の国際団体です。
ニッケル協会は、あらゆる個人、産業界、皮膚科学会、
政府機関と連携し、知識の向上や業務の改善、
あるい
は消費者への周知に努めます。ニッケル協会は、一般
製品から多量のニッケルが溶出して長時間直接皮膚
と接触しないように、EU規制に類似する規制の使用を
後押ししています。
役立つ参考情報
接 触 皮 膚 炎に関する詳 細 情 報は、当 協 会ウェブサイト
(www.nickelinstitute.org)に掲載される”Nickel Allergic
Contact Dermatitis - Statement of Position of the
Member Companies of the Nickel Institute(ニッケル
アレルギー性接触皮膚炎-ニッケル協会会員企業の意
見書)及びNickel Allergic Contact Dermatitis – Basic
Science Paper(ニッケルアレルギー性接触皮膚炎-基礎
科学論文)
でご覧いただけます。
ジュエリー 等 の 一 般 消 費 者 向 け 商 品 を 製 造 する 際
の ニッケ ル 使 用 に 関 す るご 質 問 や お 問 い 合 せ は 、
Peter Cutler([email protected])に直接お送りく
ださい。