目次 1. 非臨床試験計画概略 ....................................................

Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
目次
1. 非臨床試験計画概略 ..................................................................................................................................... 3
2. 薬理試験 ......................................................................................................................................................... 5
2.1. 効力を裏付ける試験 ............................................................................................................................ 5
2.2. 副次的薬理試験 .................................................................................................................................... 7
2.3. 安全性薬理試験 .................................................................................................................................... 7
2.4. 薬力学的薬物相互作用 ........................................................................................................................ 7
3. 薬物動態試験 ................................................................................................................................................. 7
3.1. 分析法 .................................................................................................................................................... 7
3.2. 吸収 ........................................................................................................................................................ 8
3.3. 分布 ........................................................................................................................................................ 9
3.4. 代謝 ...................................................................................................................................................... 10
3.5. 排泄 ...................................................................................................................................................... 11
3.6. 薬物動態学的薬物相互作用 .............................................................................................................. 12
4. 毒性試験 ....................................................................................................................................................... 13
4.1. 一般毒性 .............................................................................................................................................. 15
4.2. 遺伝毒性試験およびがん原性 .......................................................................................................... 17
4.3. 生殖発生毒性 ...................................................................................................................................... 17
4.4. 局所刺激性試験 .................................................................................................................................. 18
4.5. その他の毒性試験 .............................................................................................................................. 18
5. 総括および結論 ........................................................................................................................................... 19
6. 参考文献 ....................................................................................................................................................... 22
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2.4 非臨床試験の概括評価
非臨床試験の概括評価
tafamidis meglumine(開発コード:Fx-1006A)[2-(3,5-dichlorophenyl)-1,3-benzoxazole-6-carboxylic acid
mono(1-deoxy-1-methylamino-D-glucitol)]は,活性成分である遊離酸(tafamidis,Fx-1006)のメグル
ミン塩である。構造式を Figure 1 に示す。tafamidis はトランスサイレチン(TTR)の天然構造である
4 量体に特異的に結合し,その 4 量体構造を安定化する薬剤であり,成人のトランスサイレチン型家
族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)の末梢神経障害の進行抑制を適応症とした,経口剤
として開発されている。
Figure 1.
tafamidis meglumine の構造式
Cl
HO
N
H
H
HO
O
CO2H
HO
H
H
OH
H
N
CH3
OH
Cl
アミロイドーシスは正常機能に障害をきたす量の不溶性線維状蛋白(アミロイド)が組織に沈着する
ことで生じる疾患である。TTR 型アミロイドーシスの一つである TTR-FAP は,TTR 遺伝子の変異が
原因で TTR 線維が末梢神経系に沈着することにより,下肢の知覚神経障害から致死性の神経変性に
至る重篤な疾患である。TTR アミロイド線維形成には TTR の天然構造である 4 量体の解離が必要で
あり,解離過程がアミロイド形成の律速段階と考えられている1。解離した TTR 単量体は正しく折り
たたまれていない(ミスフォールド)単量体に変性,会合し,アミロイド線維を形成すると考えられ
ている2。本疾患の原因となる TTR の遺伝子変異は 4 量体構造を不安定化することが知られており,
アミロイド形成が促進されるものと考えられる3,4。また,ミスフォールド単量体またはこれらが少
数会合した可溶性凝集体が主な神経毒性分子種であるとの報告もある5,6。
TTR アミロイド生成の抑制性遺伝子変異である Thr119Met(以下,T119M)または Arg104His(R104H)
と病原性変異である Val30Met(V30M)の複合ヘテロ接合体においては,V30M 変異によるアミロイ
ドーシス症状の発生が遅延または抑制されると報告されている7,8,9。T119M および V30M 変異の複
合ヘテロ接合体から採取した血清 TTR について尿素変性条件下における単量体への解離を検討した
ところ,4 量体の安定性は V30M 変異キャリアから採取した TTR より安定で,健康被験者と同等で
あったことが報告されている10。さらに,4 量体サブユニット交換実験において,T119M 変異サブユ
ニットを含有する混成 4 量体の交換速度は,V30M 変異 TTR 4 量体のサブユニット交換速度に比べて
遅く,さらに酸性変性条件下における線維形成も混成 4 量体では抑制されたとの報告11もある。この
ように,TTR 4 量体の解離に対する安定化作用は,複合ヘテロ接合体でみられる臨床でのアミロイ
ドーシス症状の発生抑制と関連していることが示唆される。
tafamidis meglumine は TTR に特異的に作用する新規な安定化剤である。
その有効成分である tafamidis
は TTR 4 量体に結合することにより,単量体への解離を阻害する。非ステロイド性抗炎症薬である
ジフルニサルやジクロフェナクは TTR 4 量体のサイロキシン結合部位に結合することにより,TTR
を安定化させる作用を有していることが知られている。tafamidis は TTR に対する選択性を高めたこ
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とにより,これらの薬剤とは異なりシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性を示すことなく,TTR
を安定化することが期待される。tafamidis meglumine の分子式は C21H24Cl2N2O8,分子量は 503.33 で
あり,tafamidis は分子式 C14H7Cl2NO3,分子量 308.12 である。なお,非臨床試験における本薬の用量
は特記しない限り,tafamidis 遊離酸当量として示す。
1.
非臨床試験計画概略
tafamidis の効力を裏付ける試験では,
本薬の作用機序に関連する薬理作用に注目し in vitro 評価を行っ
た。一方,TTR-FAP に対する薬効を評価するうえで,適切な動物モデルが存在しないため,本薬の
効力を裏付けるための in vivo 試験は実施しなかった。また,副次的薬理試験では本薬がオフターゲッ
ト薬理作用を有する可能性について,in vitro で検討した。
非臨床安全性評価に用いる動物種を選択する際に,ヒト TTR とラット,イヌおよびウサギの TTR の
アミノ酸配列を比較したところ,ヒトとラット,イヌおよびウサギとの同一性はそれぞれ 82%,83%
および 84%であった(Figure 2)。さらに,中央チャネルaを形成するほとんどのアミノ酸および中央
チャネルにおいてサイロキシン(T4)との結合に関与するすべてのアミノ酸は,これらの動物種間で
保存されている12,13。また実際,甲状腺ホルモン(T4 および T3)の解離定数は,ヒトおよびラット
TTR の間で同程度であった(Table 1)14。このようにヒト,ラット,イヌおよびウサギ TTR のアミ
ノ酸配列は相同性が高く,T4 結合部位で本薬との結合に関与するアミノ酸残基は保存されているこ
とから,TTR への tafamidis の結合能はこれらの動物種間で同様であると推察される。さらに,薬物
動態プロファイルおよび in vitro 代謝産物がヒトと類似していることから,安全性薬理試験および毒
性評価に用いる動物種としてラットおよびイヌを,加えて,がん原性評価のためマウスを選択した。
Figure 2.
TTR アミノ酸配列の動物種間の比較
Human
Rat
Dog
Rabbit
gptgtgeskc
**g*a*****
s*a**sgp**
**v***d***
plmvkvldav
**********
**********
**********
rgspainvav
*****vd***
*****v****
*****vd*s*
hvfrkaaddt
k**krt**gs
k**k*t**e*
***k****e*
wepfasgkts
*********a
**********
**********
Human
Rat
Dog
Rabbit
algispfheh
*********y
s********y
*********y
aevvftands
**********
**********
**********
gprrytiaal
*h*h******
*l*h******
*h*s******
lspysystta
**********
**********
***f******
vvtnpkd
**s**qn
l*s***e
**s**qe
esgelhgltt
**********
*f********
kt********
(NCBI
(NCBI
(NCBI
(NCBI
Protein
Protein
Protein
Protein
eeefvegiyk
d*k*t**v*r
v*k****v**
s*k****v**
database
database
database
database
veidtksywk
**l*******
**l*******
**l*******
accession
accession
accession
accession
P02766)
NP_036813)
XM_537290)
P07489)
*:ヒト TTR と同一の残基,下線部:中央チャネルに存在する残基,灰色部:中央チャネルにおけるサイロキシン結
合部位の残基 13
Table 1.
ヒトおよびラット TTR の甲状腺ホルモンに対する解離定数
動物種
ヒト
ラット
a
P
P
K d T 4 (nM)
13.6  0.6 a
8.0  0.8
B
B
B
B
P
P
K d T 3 (nM)
56.6  0.4
67.2  7.1
B
B
B
B
Kd値(平均値  SEM)はスキャッチャード・プロットの直線回帰の勾配から算出した 14
a
TTR のサイロキシン結合部位は,4 量体構造の中央部(比較的強く結合している 2 つの 2 量体の間)にあるチャネ
ルの内側と考えられている
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2.4 非臨床試験の概括評価
in vivo 試験の投与経路は臨床適用経路である経口投与とした。経口投与時の溶媒としては,初期の試
験では,0.5%メチルセルロース溶液(0.5%MC)に本薬を懸濁して投与したが,ラットに高用量を反
復投与した場合,胃内に薬物が析出し蓄積がみられた。これを避けるため,長期の反復投与毒性,生
殖発生毒性試験,がん原性試験および光毒性試験の溶媒は,本薬を溶液として投与できるよう 7.5%
ビタミン E d--トコフェロール-ポリエチレングリコール 1000 コハク酸エステル溶液(7.5%ビタミン
E TPGS)を用いた。
以上を考慮し,また医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験実施について
のガイダンス(ICH M3R2)の推奨に従い,tafamidis の非臨床試験では主に以下の項目について検討
した。なお,ラットを用いた 2 年間がん原性試験を現在実施中である。
薬理試験

tafamidis の TTR に対する結合能および他の血漿蛋白と比較した選択性

生理的条件下における野生型 TTR 4 量体安定化作用に関する in vitro 評価

酸性変性条件下での野生型およびアミロイド原性変異型 TTR の線維形成に対する抑制作用

ヒト(健常人および TTR-FAP 患者)血漿における尿素変性条件下での野生型および変異型 TTR
の安定化作用

tafamidis の TTR 以外の薬物結合部位(受容体,酵素,イオンチャネルおよびトランスポーター)
への親和性(COX 阻害作用および-オピオイド受容体に対する作用を含む)

中枢神経系,心血管系および呼吸系に関する安全性薬理試験(ICH S7A および S7B に基づく)
薬物動態試験

ラットおよびイヌにおける tafamidis の絶対的バイオアベイラビリティ

毒性試験に用いた動物種(マウス,ラット,ウサギおよびイヌ)における経口投与時の吸収プロ
ファイル

放射性ラベルした tafamidis を用いた,ラットにおける組織分布,胎盤移行性および乳汁を介した
出生児への移行性の検討

マウス,ラット,ウサギ,イヌおよびヒトの肝ミクロソームまたは肝 S9 画分,およびヒト代謝
酵素分子種発現系を用いた in vitro 代謝

マウス,ラット,ウサギ,イヌおよびヒト血漿中における in vivo 代謝物プロファイル

放射性ラベルした tafamidis の胆汁排泄および尿・糞中排泄

tafamidis が薬物動態学的相互作用を引き起こす可能性
毒性試験
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
げっ歯類およびイヌにおける急性毒性

ラットを用いた 10 日間,28 日間,13 週間および 26 週間反復経口投与毒性試験,ならびにイヌ
を用いた 7 日間,28 日間,13 週間および 39 週間反復経口投与毒性試験

in vitro および in vivo 遺伝毒性試験

Tg.rasH2 マウスにおける 26 週間経口投与がん原性試験(マウスを用いた 28 日間経口投与用量設
定試験を含む)

ラットにおける受胎能および着床までの初期胚発生に関する経口投与試験,ラットおよびウサギ
における胚・胎児発生に関する経口投与試験,ならびにラットにおける出生前および出生後の発
生ならびに母体の機能に関する経口投与試験

光毒性試験,不純物および新規添加剤(モノオレイン酸ソルビタン)の安全性評価
2.
薬理試験
効力を裏付ける試験では,TTR に対する本薬の結合活性を検討し,野生型およびアミロイド原性変
異型 TTR の安定化作用を in vitro で検討した。また,tafamidis の TTR 以外の薬物結合部位(受容体,
酵素,イオンチャネルおよびトランスポーター)への親和性,および類薬(ジフルニサル)が有する
COX 阻害活性を検討する目的で副次的薬理試験を実施した。安全性薬理試験では,tafamidis の生命
維持に重要な器官および機能への影響を評価するため,in vitro 試験ならびにラットおよびイヌを用
いた in vivo 試験を実施した。安全性薬理試験は,心血管系に関する in vitro 予備試験を除いて,医薬
品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準(GLP)適用下で実施した。
2.1.
効力を裏付ける試験
TTR に対する tafamidis の親和性を,等温滴定熱量測定およびサブユニット交換の経時変化を測定す
ることにより検討した。本薬と TTR の結合には負の協調性がみられ,解離定数は 2~3 nmol/L(Kd1)
および 154~278 nmol/L(Kd2)であった。tafamidis の TTR に対する親和性は,血清アルブミンに対
する親和性(KD=2.1~2.5 mol/L,CTD 2.4.3.3 項参照)と比較して非常に強かった。このことから,
血漿中のアルブミン濃度(600 mol/L)は TTR 濃度に比べ高いものの,本薬は TTR に選択的に結合
するものと考えられる。実際,ヒト血漿中において血漿中 TTR 濃度の 2 倍量の tafamidis をインキュ
ベートすることにより,
TTR に対して少なくとも 0.8 倍のモル濃度比の本薬が結合したと計算された。
生理的(非変性)条件下での TTR 安定化作用を検討するため,tafamidis 共存下に,野生型ホモ 4 量
体 TTR と N 末端に酸性タグ標識した野生型ホモ 4 量体 TTR を等モルでインキュベーションし,2 種
類の TTR 分子間のサブユニット交換を測定した。TTR をモル濃度比 1.5 倍の tafamidis 存在下で 96
時間インキュベートしたときの 4 量体解離はわずかであった(交換割合は 5%未満)。一方,非存在
下で 96 時間インキュベートした場合では完全な交換がみられた。当モルの tafamidis 存在下でも 4 量
体解離速度は明らかに低下し,24 時間後の交換割合は 15%を下回っていた。
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アミロイド原性変異型 TTR に対する安定化作用を検討するため,野生型,V30M または Val122Ile(以
下,V122I)変異型 TTR(3.6 mol/L)を含む緩衝液に tafamidis または溶媒を加え,酸性化緩衝液を
添加して 72 時間インキュベートすることによりアミロイド線維形成を誘導した。tafamidis は,野生
型およびこれら 2 つの主要なアミロイド原性変異型 TTR の線維形成を濃度依存的に抑制した。その
EC50 値は野生型,V30M および V122I 変異型でそれぞれ,2.7,3.2 および 4.1 mol/L であり,TTR と
ほぼ等モルであった。また,7.2 mol/L では,V30M および V122I 変異型に対して,それぞれ 99%お
よび 93%の線維形成抑制作用を示した。
TTR 4 量体は高濃度の尿素の存在下で解離し変性すると,それらの再折りたたみ・再会合(TTR 4 量
体への回復)は阻害される。そこで,尿素変性条件下における TTR 4 量体の残存量を測定すること
により,安定化作用を検討した。TTR(1.8 mol/L)および tafamidis(TTR に対するモル濃度比とし
て 0,1 および 2 倍)を含有する溶液に尿素を最終濃度 5.2 mol/L となるよう添加し,インキュベート
した。0 および 72 時間後に,円偏光二色性スペクトルを測定し,変性(折りたたみの消失)した単
量体量を求めた。その結果,TTR に対して等モル濃度の tafamidis は,尿素変性条件下の TTR の解離
を対照の 33%に抑制した。また,tafamidis のモル濃度を TTR の 2 倍としたとき,解離は無視しうる
程度(3%未満)であった。
健常人および TTR-FAP 患者から採取したヒト血漿中における,尿素変性条件下での TTR 安定化作用
をウェスタンブロット法により定性的に検討した。tafamidis meglumine(7.2 mol/L)は V30M 変異
型 TTR-FAP 患者から採取した血漿試料中の TTR 安定化作用を示し,その作用は健常人の血漿試料と
比較して同等と考えられた。
血漿試料中における TTR 安定化作用を定量的に測定するため,尿素変性条件下で 2 日間インキュベー
トした後,免疫比濁法により TTR 4 量体の量を測定した。この試験法は,患者を対象とした臨床試
験で用いられた。本法を用い,tafamidis meglumine を血漿試料に添加することによる TTR 安定化作
用を検討した。
その結果,
野生型,
V30M および V122I 変異型を有するヒト血漿試料において,
tafamidis
meglumine の 3.6 および 7.2 mol/L による,濃度依存的な TTR 安定化作用が認められた。
さらに,26 種の異なる変異型 TTR を有する 27 例の被験者から採取した血漿試料において,尿素変
性条件下における tafamidis meglumine(7.2 mol/L)の TTR 安定化作用を免疫比濁法により測定した
ところ,26 種の TTR 変異型のうち 25 種(96%)で,安定化作用を示した。1 例(Pro24Ser)で安定
化が確認できなかった原因として,長期間保存した血漿試料を用いたことによる可能性もある。
TTR-FAP に対する薬効を評価するための適切な動物モデルは存在していない。いくつかの遺伝子改
変動物が検討されているが,TTR-FAP 患者にみられる病態は再現されていない15。ヒト TTR(野生
型または最も重症のアミロイドーシスを発症する変異型である Leu55Pro 変異型)を発現する遺伝子
改変マウスでは,腎臓,腸管および皮膚等に TTR 沈着物を認めたが,大部分の動物における沈着物
は非アミロイド性でコンゴレッド染色陰性であった16,17。また,ヒト V30M 変異型 TTR を発現する遺
伝子改変マウスではアミロイド性の沈着物が報告されているが,末梢神経には沈着物は認められな
かった 12。最近,熱ショック転写因子 1(Hsf1)を欠損し,ヒト V30M 変異型 TTR を発現する新た
なマウスモデルが報告された18。このモデルでは大量の非アミロイド性 TTR の沈着に伴って,末梢神
経系に線維性沈着物(ただし,コンゴレッド陽性のアミロイドは認められず)および無髄神経線維密
度の減少が認められた。しかしながら,このマウスモデルでは 24 ヵ月齢においても顕著な神経障害
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2.4 非臨床試験の概括評価
の発症は報告されていない。このように TTR-FAP に対する薬効を評価するうえで,適切な動物モデ
ルが存在しなかったため,本薬の効力を裏付けるための in vivo 試験は実施しなかった。
2.2.
副次的薬理試験
tafamidis(10 mol/L)の 52 種の受容体,酵素,イオンチャネルおよびトランスポーターにおけるリ
ガンド結合または酵素活性の阻害作用を検討した。tafamidis は-オピオイド受容体のみで明らかな活
性(リガンド結合阻害作用)がみられ,Ki 値は 4.9 mol/L であった。そこで,-オピオイド受容体
に対する機能的影響を,ハムスター輸精管の摘出標本を用いて in vitro で検討した。その結果,本薬
は-オピオイド受容体に対する軽度のアゴニスト活性(EC50 値は 10 mol/L 超)を有することが判明
した。また,ヒト血液を用いた in vitro 試験では,本薬に COX-1 または COX-2 阻害作用は認められ
なかった。
2.3.
安全性薬理試験
中枢神経系に関する試験において,tafamidis meglumine を 10,30,100 mg/kg の用量で雌雄のラット
に単回投与したとき,行動に変化は認められなかった。体重減少が 30 mg/kg の投与により雌ラット
に,100 mg/kg の投与では雌雄のラットに認められた。
心血管系に関する試験として,hERG カリウムチャネルを発現した HEK-293 細胞株を用いて in vitro
試験を実施した。予備試験では,tafamidis の 10 mol/L の濃度において,hERG カリウムチャネル電
流への影響はみられなかった。本試験においても,本薬の 1,3,10 および 30 mol/L の濃度で,hERG
カリウムチャネル電流に対する阻害作用はみられなかった。in vivo 試験では,テレメータを装着した
覚醒下のビーグル犬に tafamidis meglumine を 10,
100 および 300 mg/kg の用量で経口投与したところ,
血圧(収縮期,拡張期および平均血圧),心拍数に生物学的意義のある変化は認められず,心電図異
常または QT/QTc 延長もみられなかった。なお,100 mg/kg 以上の投与により,嘔吐,流涎,肢の筋
攣縮がみられた。
呼吸系に関する試験として,上述の心血管系の試験において,呼吸パラメータを測定した。tafamidis
meglumine は呼吸パラメータ(呼吸数および血液ガス)に影響を及ぼさなかった。
2.4.
薬力学的薬物相互作用
薬力学的薬物相互作用に関する試験は実施していない。
3.
薬物動態試験
tafamidis の細胞膜透過性,薬物トランスポーターとの相互作用,蛋白結合率,代謝および薬物動態学
的薬物相互作用に関する in vitro 試験を実施した。また,吸収,分布,代謝および排泄に関する in vivo
試験(トキシコキネティクス評価を含む)をマウス,ラット,ウサギおよびイヌを用いて実施した。
3.1.
分析法
薬物動態およびトキシコキネティクス評価における非標識 tafamidis の血漿中濃度の定量は
LC-MS/MS 法を用いて実施した。GLP 適用のトキシコキネティクス試験はすべて,各動物種の血漿
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2.4 非臨床試験の概括評価
ごとにバリデートした分析法を用いた。14C-tafamidis meglumine を用いて実施した薬物動態試験およ
び胎盤通過・乳汁排泄試験では,液体試料または可溶化した個体試料中の放射能濃度を液体シンチ
レーション計測(LSC)法により測定した。
3.2.
吸収
tafamidis の非臨床試験では,経口投与時の溶媒として 2 種類の異なる溶媒(0.5%MC および 7.5%ビ
タミン E TPGS)を用いた。初期の試験では 0.5%MC に本薬を懸濁して投与したが,ラットに高用量
を反復投与した場合,胃内に薬物の析出,蓄積がみられた。7.5%ビタミン E TPGS はこれを避ける目
的で,本薬を溶液として投与するため用いた。7.5%ビタミン E TPGS を溶媒とすることで,0.5%MC
の場合と比較してラットおよびイヌにおける tafamidis の吸収は増加したが,Cmax および AUC0-tlast
に大幅な変化はなかった。さらにイヌでの吸収を促進させる試みとして,カプセル製剤を使用したが
tafamidis の吸収率が向上することはなかった。
ラットおよびイヌにおける絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ,2 および 1 mg/kg の用量で検
討し,高い値(それぞれ,108%および 91%)が得られた(経口投与時の溶媒:0.5%MC)。これらの
試験における静脈内投与時の分布容積は細胞外液量に近い値を示し(ラットで 316 mL/kg,イヌで
317 mL/kg),血漿クリアランスはそれぞれ,24.0 および 22.9 mL/h/kg であった。
tafamidis meglumine 投与後 168 時間にわたり試料を採取した 3 試験における tafamidis の終末相消失半
減期(t½)は,ラットで 28.5~43.1 時間,イヌで 54.7~62.3 時間の範囲であり,用量依存性は認めら
れなかった(Table 2)。一方,最終採血時点が投与後 24 時間である試験から t½を推定した場合,ラッ
トで 8.2~18.2 時間,イヌで 7.0~26.2 時間の範囲であったが,これらの試験における試料採取時間は
得られた t½と比較して,十分ではないと考えられた。したがって,最終採血時点が投与後 24 時間で
ある試験では,Cmax および tmax を評価すべきと考えられた。また,168 時間にわたり試料を採取し
た試験における AUC0-は,3~30 mg/kg の範囲で検討したラットでは用量に比例して増加し,30~
80 mg/kg の範囲で検討したイヌでは用量比を下回って増加した。
Table 2.
tafamidis meglumine を単回経口投与したときの PK パラメータ(投与後 168 時間にわた
り採血を実施した試験における成績)
動物種
試験番号
ラット b
420372
ラット
イヌ
a
SYI00047
SYI00048
溶媒
Vit E
TPGS
Vit E
TPGS
Vit E
TPGS
用量
(mg/kg)a
分析法
(h)
t½
tmax
(h)
Cmax
(g/mL)
AUC0-
(g•h/mL)
43.1
2
11.3
368
41.9
1
9.06
216
28.5
0.5
35.3
512
29.0
4
102
2590
62.3
2
87.6
1455
54.7
1.5
130
2260
56.5
1.5
160
3390
14
3
3
10
30
30
60
80
C
(LSC)
LC-MS/
MS
LC-MS/
MS
b
用量は tafamidis 当量, 雄のデータのみ表示(他の試験が雄のみを用いて実施しているため)
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
食餌の影響を検討した試験では,非絶食下のラットに 0.5%MC を溶媒として tafamidis を 1 mg/kg の
用量で単回強制経口投与し,絶食ラットでのデータと比較した。Cmax は 1.61 µg/mL(絶食ラットで
は 3.57 µg/mL),AUC0-tlast は 28.5 µg•h/mL(絶食ラットでは 52.4 µg•h/mL)であった。摂食下では
tafamidis の吸収が低下することが示唆された。
マウス,ラットおよびウサギにおける反復投与時の Cmax および AUC0-tlast は,初回投与時の約 1.5~
2 倍に増加した。蓄積率に明らかな用量依存性は認められなかった。また,ラットに 5 日間反復投与
時と 178 日間投与時の蓄積率は近似しており,投与期間の延長に伴う蓄積率の増加は認められなかっ
た。一方,イヌでは反復投与時の投与前値から持続的曝露が確認されたものの,Cmax および AUC0-tlast
に明らかな蓄積性は認められなかった。また,マウス,ラットおよびイヌのトキシコキネティクス評
価では,薬物動態パラメータに明らかな性差は認められなかった。
3.3.
分布
tafamidis は受動的経細胞経路により効率的に Caco-2 細胞単層膜を透過した。この輸送に,検討した
トランスポーター[P-糖蛋白質(P-gp),多剤耐性関連蛋白質 2(MRP2)および有機アニオン輸送
ポリペプチド(OATP)]の関与は認められなかった。
tafamidis の血漿蛋白結合率は in vitro で検討されており,マウス,ラット,イヌおよびヒトでそれぞ
れ,97.1,99.0,99.1 および 99.2%であった。また,ヒト血清アルブミンおよび α1-酸性糖蛋白質に対
する結合率はそれぞれ 99.6%超および 12%であった。さらにヒト血清アルブミンとの解離定数(KD)
を算出したところ,その値は 2.1~2.5 mol/L であった。
14
C-tafamidis meglumine(3 mg/kg)をラットに投与した in vivo 組織分布試験では,放射能は速やかか
つ広範囲に分布し,ハーダー腺,胃および肝臓中に高い濃度が検出された。大部分の組織において,
組織中放射能濃度は投与後 2 時間以内に Cmax に達し,投与後 168 時間においても残存した。雄ラッ
トの組織のうち,t½が最も長かった組織は膀胱(87.6 時間)であり,次いで精巣上体(84.1 時間)お
よび唾液腺(80.8 時間)であった。一方,t½が最も短かった組織は脳線条体(尾状核被殻)の 14.4
時間であった。なお,雄ラットにおける血漿中の t½は 43.1 時間であった。また,雌ラットの組織の
うち,t½が最も長かった組織は腸間膜リンパ節(76.1 時間)であり,次いで骨(65.4 時間)および膵
臓(63.8 時間)であった。一方,t½が最も短かった組織は海馬(16.9 時間)であった。なお,雌ラッ
トにおける血漿中の t½は 40.9 時間であった。雌雄とも,腎周囲脂肪,肝臓および皮膚では t½は算出
できなかった。投与後 0.5 時間における組織/血漿中濃度比は雌雄とも,肝臓および胃を除くすべて
の組織で 1 未満であった。
1 時間以降では,
大部分の組織で組織/血漿中濃度比は 1 未満であったが,
ハーダー腺,肝臓,腎周囲脂肪および皮膚で 1 以上の時点があった。組織/血漿中濃度比が特に高かっ
た組織は,ハーダー腺および肝臓であった。投与した放射能の分布割合が最も高かった組織は肝臓で
あり,次いで小腸,胃,雄ではハーダー腺,雌では大腸,腎臓の順であった。投与後 168 時間では,
肝臓,消化管内容物,屍体で投与した放射能の分布割合が高く,本薬が腸肝循環を受けることと一致
した。AUC0-tlast 値が最も高かった組織は肝臓およびハーダー腺であり,AUC0-tlast 値が低かった組織は
海馬および CSF であった。
血液および血漿中の放射能濃度から tafamidis の血球移行性を検討したところ,雌雄ともに血球移行
性は低いことが示された。
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
妊娠ラット(妊娠 15 日および 19 日)に 14C-tafamidis meglumine(15 mg/kg)を投与した試験では,
tafamidis の胎盤通過が認められた。投与後 1 時間で放射能は母動物および胎児組織の広範囲に分布し,
妊娠 15 日では投与量の 1%未満,妊娠 19 日では約 3~4%であった。
胎児から回収された放射能量は,
3.4.
代謝
tafamidis または tafamidis meglumine をマウス,ラット,ウサギ,イヌ,サルおよびヒトの肝ミクロソー
ムまたは肝 S9 画分とともにインキュベートしたとき,未変化体の残存量は 93%以上であり,代謝的
な安定性が示唆された。肝ミクロソームで得られた少量の代謝物について構造解析を実施したところ,
マウス,ラット,イヌおよびヒト肝ミクロソームのインキュベーション液から,代謝物として tafamidis
のカルボキシル基に対するモノグルクロン酸抱合体(当該代謝物を以下,アシルグルクロニドと呼ぶ)
が,さらに,マウスにおいて一酸化体の生成が確認された。一方,ウサギにおいては,代謝物の生成
は確認されなかった。ヒトに特異的な代謝物の生成は認められなかった。また,遺伝子組換えヒト
UGT 分子種発現系を用いた検討から,アシルグルクロニドの生成に関与する主な UGT 分子種は
UGT1A9,UGT1A1 および UGT1A3 であり,UGT1A6,UGT1A7,UGT1A8 および UGT2B7 にも弱い
活性が認められた。
tafamidis meglumine を投与したマウス,ラット,妊娠ウサギ,イヌおよび男性健康被験者の血漿試料
を用いて,tafamidis の in vivo 代謝を検討した。検討したすべての動物種において,血漿中の薬物由
来物質の主成分は未変化体であることが明らかになった。さらに,代謝物として,アシルグルクロニ
ドがマウス,ラット,イヌおよびヒトの血漿中に存在したが,ウサギ血漿中には認められなかった。
一酸化体はマウスおよびウサギ血漿中にのみ存在し,微量の硫酸抱合体がイヌ血漿中に検出された。
また,14C-tafamidis meglumine を投与したラットの血漿,尿,糞および胆汁試料中の代謝物を同定し
たところ,上記知見と一致し,血漿中の主成分は未変化体であり,同定された代謝物はアシルグルク
ロニドのみであった。胆汁および尿中の主成分はアシルグルクロニドであり,血漿中と同一の代謝物
に加えて,そのジアステレオマーも検出された。また,糞中に代謝物は認められず,検出された放射
能はすべて未変化体であった。
tafamidis の推定代謝経路を Figure 3 に示す。tafamidis の主代謝経路は,マウス,ラット,イヌおよび
ヒトにおいて認められたアシルグルクロニドの生成と考えられた。さらに,イヌでは硫酸抱合体の生
成も検出された。また,tafamidis の酸化的代謝は,雌雄のマウスおよび妊娠ウサギのみで,一酸化体
の生成が認められた。この代謝に関与する代謝酵素および酸化部位は同定されていない。
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
マウス,ラット,ウサギ,イヌおよびヒトにおける tafamidis の代謝経路
Figure 3.
O
OH
O
O
O
O
Cl
O
N
Cl
N
Cl
Cl
tafamidis
tafamidis 硫酸抱合体
ビーグル犬
HO
OH
O
HO
O
O
O
OH
OH
O
O
Cl
O
Cl
N
N
Cl
Cl
tafamidis アシルグルクロニド
CByB6F1 系マウス
Sprague-Dawley 系ラット
ビーグル犬
ヒト
3.5.
O
S OH
+O
tafamidis 一酸化体
CByB6F1 系マウス
NZW ウサギ
排泄
ラットに 14C-tafamidis meglumine(3 mg/kg)を投与したときの排泄は緩徐であり,投与後 48 時間ま
での累積排泄率(投与放射能に対する百分率)は雄で 58.2%,雌では 50.2%であった。投与後 168 時
間までに雌雄とも 88%の放射能が排泄されたが,大部分が未変化体として糞中に排泄された(雄お
よび雌でそれぞれ投与放射能の 67.3%および 78.6%)。投与後 168 時間までの尿中排泄量はこれより
も少なく(雄および雌でそれぞれ投与放射能の 19.0%および 7.06%),その大部分はアシルグルクロ
ニドで,未変化体は少量であった。放射能の排泄率および排泄経路に明らかな性差はみられなかった
が,尿中排泄の割合は若干雄の方が高かった。
胆管カニューレを装着したラットでは,14C-tafamidis meglumine の投与後 72 時間までに投与した放射
能のおよそ 50%が胆汁中に排泄された。さらに,採取した胆汁を別のラットの十二指腸内に投与し
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
たところ,胆汁および尿中に放射能が排泄されたことから,tafamidis が腸肝循環を受けることが確認
された。また,この腸肝循環のために排泄が長時間に及ぶものと考えられた。
授乳期のラット(授乳 4 および 11/12 日)に 14C-tafamidis meglumine を投与した試験では,乳汁中へ
の放射能排泄および乳汁を介した出生児への曝露が確認された。授乳 11/12 日における出生児血漿中
AUC0-tlast は母動物血漿中の AUC0-tlast の約 1/2 であった。
3.6.
薬物動態学的薬物相互作用
CYP の阻害および誘導作用,薬物トランスポーターの阻害作用,ならびに蛋白結合を介した薬物相
互作用の可能性を検討した。
ヒト肝ミクロソーム画分において,tafamidis meglumine の CYP1A2,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C19,
CYP2D6 および CYP3A4/5 に対する阻害作用は非常に弱かったが,CYP2C8 に対しては中等度の阻害
作用が認められた(Ki 値:2.9~24 µmol/L)。ヒトに本薬の臨床用量を反復投与時の定常状態におけ
る Cmax は 2.61 µg/mL であり,蛋白結合率が 99%超であることを考慮すると非結合型濃度は
0.026 µg/mL(0.085 µmol/L)未満と推定される。したがって,本薬が CYP2C8 によって代謝される薬
物に対して薬物相互作用を引き起こす可能性は低いと考えられる。
初代培養ヒト肝細胞を用いた CYP 誘導試験において,tafamidis meglumine(5~50 µmol/L)による
CYP3A4 の誘導作用が女性由来の肝細胞(2 例)で認められたが,男性由来の肝細胞(1 例)では認
められなかった。この女性由来の肝細胞における誘導作用は,免疫ブロット解析による CYP3A4 の
蛋白レベルでも確認された。しかし,tafamidis が血漿中での蛋白結合率が高いことから,生理的濃度
のアルブミン(40 mg/mL)存在下で検討したところ,誘導作用はごく軽度な影響しか認められなかっ
た。
Caco-2 細胞単層膜を用いた透過性アッセイにおいて,tafamidis は受動的経細胞経路により効率的に
透過し,この輸送にトランスポーターの関与は認められなかった。しかし当該試験でトランスポー
ター基質輸送に対する影響を検討したところ,tafamidis meglumine(30 µmol/L)存在下では OATP ま
たは BCRP および MRP2 阻害作用ならびに P-gp の軽度阻害作用が認められた。上記の通り,ヒト定
常状態における Cmax(非結合型濃度)は 0.085 µmol/L 未満であると推定されることから,上述のト
ランスポーター阻害が臨床上問題となる可能性は低いと考えられる。
ヒト血漿中において,tafamidis meglumine(3.6 µg/mL)は,シクロスポリン A,タクロリムスおよび
ワルファリンの血漿蛋白結合率に明らかな影響は及ぼさなかったが,プレドニゾンの蛋白結合率を約
10%低下させた。プレドニゾンが薬理活性を発揮するためには,活性代謝物であるプレドニゾロンに
代謝される必要があることから,この相互作用の臨床的意義は不明である。
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
4.
毒性試験
tafamidis の毒性試験プログラム(Table 3)では,マウス,ラットおよびイヌを用いた単回投与毒性ま
たは反復投与毒性試験によって一般毒性を評価した。また,遺伝毒性試験,がん原性試験および生殖
発生毒性試験を実施し,加えて,不純物の毒性評価,光毒性試験を行った。
イヌを用いた単回および 7 日間反復投与毒性試験,ラットを用いた 10 日間反復投与試験,ならびに
ラットおよびウサギを用いた胚・胎児発生に関する用量設定試験を除き,すべての重要な毒性試験は
GLP に準拠して実施した。また,初期に実施した試験(イヌを用いた単回および 7 日間投与試験な
らびにラットを用いた 10 日間投与試験)は tafamidis 遊離酸を用いて実施したが,以降の試験ではす
べてメグルミン塩(tafamidis meglumine)を用いた。薬物動態試験の結果,tafamidis の主代謝物はア
シルグルクロニドであることが判明している。当該代謝物はヒトにおいて検出されている唯一の代謝
物であり,マウス,ラットおよびイヌ血漿中でも同様に検出されている。したがって,当該代謝物の
毒性は上記の動物種を用いた毒性試験の中で十分評価されていると考えられる。
また,tafamidis meglumine 製剤中に含まれるモノオレイン酸ソルビタンは,臨床投与条件下では 1 日
あたりの最大摂取量( mg)が使用前例(6 mg:経口投与時)を超えることから,新規添加剤とし
て安全性を評価した。
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
Table 3.
tafamidis の毒性試験プログラム
試験の種類および期間
単回投与毒性試験
単回投与試験
反復投与毒性試験
10 日間投与試験
28 日間投与および 14 日間回復
試験
13 週間投与および 4 週間回復
試験ならびに 26 週間投与試験
7 日間投与試験
28 日間投与および 14 日間回復
試験
13 週間投与および 4 週間回復
試験ならびに 39 週間投与試験
遺伝毒性試験
細菌を用いる復帰突然変異試
験
in vitro 染色体異常試験
in vivo 小核試験
がん原性試験
28 日間投与用量設定試験
投与経路
被験物質
濃度または用量
報告書番号
強制経口
投与
イヌ,ビーグル
tafamidis
0, 30, 100, 300,
600 mg/kg
SYI00028*
強制経口
投与
強制経口
投与
強制経口
投与
強制経口
投与
強制経口
投与
強制経口
投与
ラット,
Sprague-Dawley
ラット,
Sprague-Dawley
ラット,
Sprague-Dawley
イヌ,ビーグル
tafamidis
SYI00006*
イヌ,ビーグル
tafamidis
meglumine
イヌ,ビーグル
tafamidis
meglumine
0, 10, 30,
100 mg/kg/日
0, 10, 30, 100,
300 mg/kg/日
0, 3, 10,
30 mg/kg/日
0, 100,
300 mg/kg/日
0, 10, 100,
300/200amg/kg/日
0, 5, 15,
45 mg/kg/日
in vitro
ネズミチフス菌お
よび大腸菌
ヒト末梢血リンパ
球
ラット,
Sprague-Dawley
tafamidis
meglumine
マウス,CByB6F1
tafamidis
meglumine
マウス,Tg.rasH2
tafamidis
meglumine
ラット,
Sprague-Dawley
in vitro
強制経口
投与
強制経口
投与
26 週間投与がん原性試験
強制経口
投与
生殖発生毒性試験(括弧内は投与期間)
強制経口
受胎能および着床までの初期
胚発生に関する試験(雄:交配 投与
前 4 週間,交配期間中,雌:交
配前 2 週間~妊娠 7 日)
胚・胎児発生に関する用量設定 強制経口
試験(妊娠 7~17 日)
投与
胚・胎児発生に関する試験(妊 強制経口
娠 7 日~17 日)
投与
胚・胎児発生に関する用量設定 強制経口
試験(妊娠 7 日~19 日)
投与
胚・胎児発生に関する試験(妊
娠 7 日~19 日)
出生前および出生後の発生な
らびに母体の機能に関する試
験(妊娠 7 日~哺育 20 日)
その他の試験
動物種
強制経口
投与
強制経口
投与
tafamidis
meglumine
tafamidis
meglumine
tafamidis
SYI00010
SYI00012
SYI00028*
SYI00011
SYI00013
0.158~5000 μg/
プレート
6.25~3081 μg/
mL
0, 10, 30,
100 mg/kg
960707
0, 10, 30, 45, 60,
120, 240,
480 mg/kg/日
0, 0, 10, 30,
90 mg/kg/日
AB44FV.2G3
R.BTL
AB44FV.7G8
R.BTL
tafamidis
meglumine
0, 5, 15, 30 mg/kg
SYI00060
ラット,
Sprague-Dawley
ラット,
Sprague-Dawley
ウサギ,ニュー
ジーランド白色
tafamidis
meglumine
0, 30, 60,
90 mg/kg/日
0, 15, 30,
45 mg/kg/日
SYI00037*
SYI00038*
ウサギ,ニュー
ジーランド白色
ラット,
Sprague-Dawley
tafamidis
meglumine
1 回目:0, 10,
30,90 mg/kg/日
2 回目:0, 5, 10,
20 mg/kg/日
0, 0.5, 2,
8 mg/kg/日
0, 5, 15,
30 mg/kg/日
tafamidis
meglumine
tafamidis
meglumine
tafamidis
meglumine
tafamidis
meglumine
tafamidis
meglumine
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960708
960709
SYI00039
SYI00040
SYI00068
Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
試験の種類および期間
不純物の遺伝毒性試験(細菌を
用いる復帰突然変異試験)
投与経路
in vitro
動物種
ネズミチフス菌お
よび大腸菌
被験物質
化合物A*
化合物B*
濃度または用量
50~5000
μg/プレート
15.8~5000
g/プレート
tafamidis
0, 10, 30,
光毒性試験(単回投与毒性試
強制経口
ラット,
meglumine
100 mg/kg
験)
投与
Long-Evans 系
* GLP 非適用試験
a
高用量群では,投与 8 日(雌)または 9 日(雄)に 300 mg/kg/日から 200 mg/kg/日に減量
4.1.
報告書番号
963260
SYI00075
一般毒性
げっ歯類における急性毒性をマウスの 28 日間経口投与用量設定試験およびラットの 28 日間経口投与
毒性試験の投与初期成績により評価した。すなわち,マウスでは自発運動量の減少,歩行障害,痙攣,
努力性呼吸/呼吸困難および背弯姿勢がみられ,240 mg/kg 以上の用量で死亡例が認められた。ラット
では 300 mg/kg までの用量で急性毒性徴候と考えられる所見および死亡例はみられなかった。これら
より,マウスでは 240 mg/kg 以上の少数回投与で死亡が生じ,ラットでは概略の致死量が 300 mg/kg
を超えるものと考えられた。また,イヌを用いた単回投与毒性試験では 600 mg/kg 投与により軟便お
よび ALP の増加がみられたが,重篤な毒性所見は認められず,死亡例もなかった。したがって,イ
ヌにおける概略の致死量は 600 mg/kg 超と考えられた。
反復経口投与試験では,
マウスでは 240 mg/kg/日以上,ラットでは 100 mg/kg/日以上
(投与 8 日以降)
,
イヌでは 100 mg/kg/日以上(投与 7 日以降)の用量で死亡例または瀕死状態がみられた。げっ歯類で
は胃内に投与薬物の蓄積がみられ,tafamidis(遊離酸)が胃内の酸性環境で物理化学的に沈殿,固化
した可能性が高く,そのため胃からの排出が遅延して胃拡張を生じ,腹腔内圧の上昇,血流障害およ
び多臓器障害を誘発したものと推察された。また,イヌでは嘔吐とそれに続く嘔吐物の誤嚥が生じた
ものと考えられた。このように,げっ歯類およびイヌともに,胃への影響に伴う二次的変化として,
切迫屠殺または死亡が発生したものと考えられた。また,本薬の高用量投与時にイヌでは催吐作用を
生じるが,げっ歯類には嘔吐反射がないため薬物が胃に蓄積したものと推察された。
一般症状についてもマウスでは 240 mg/kg/日以上,ラット,イヌでは 100 mg/kg/日以上の用量でほぼ
同質の所見が認められた。すなわち,マウスでは自発運動量の減少,歩行障害,痙攣,努力性呼吸/
呼吸困難および背弯姿勢,ラットでは背弯姿勢,嗜眠,粗毛,尿による汚れ,糞量減少,冷感および
振戦,イヌでは嗜眠,削痩,冷感,運動失調,頭振,筋攣縮および糞便異常に加えて断続的な嘔吐が
みられた。
体重および摂餌量は,いずれの動物種でも,投与期間の延長または用量増加に伴い抑制または減少が
認められた。すなわち,Tg.rasH2 マウスにおける 26 週間がん原性試験では,30 および 90 mg/kg/日
投与により対照群と比較した体重の低値が認められた。また,ラットでは 100 mg/kg/日以上の投与で
摂餌量の減少を伴う体重減少または体重増加抑制がみられた。一方,イヌでは,300/200 mg/kg/日投
与により摂餌量の減少が認められたが体重への影響はなかった。イヌでは体重への影響は少ないが,
げっ歯類で強く認められた理由として,げっ歯類では高用量の投与により投与薬物が胃内に蓄積して
食欲が低下したものと考えられた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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Tafamidis
2.4 非臨床試験の概括評価
血液学的検査値への影響として,マウスではリンパ球数の減少が 120 および 240 mg/kg/日投与により
認められたが,ストレスに起因すると考えられた。ラットでは 100 mg/kg/日以上の投与により貧血が
みられたが,回復性試験において網状赤血球数の増加が確認され,回復傾向にあることが示唆された。
死亡例が頻発した 300 mg/kg/日群では,赤血球に加えて白血球パラメータの減少がみられ,死戦期状
態に関連する変化と考えられたが,血中リンパ球数の減少はリンパ系組織におけるリンパ球減少との
関連も示唆された。一方,イヌでは毒性学的意義のある血液学的変化はみられなかった。
血液生化学的検査ではいずれの動物種においても,反復投与試験の中でより高用量を投与した 28 日
間投与試験で肝酵素の増加が認められた。マウスでは 60 mg/kg/日以上の投与により ALT および AST
が増加した。ラットでは 100 mg/kg/日投与により ALT が増加し,300 mg/kg/日投与では ALT,AST,
ALP および GGT の増加も認められた。イヌでも 100 mg/kg/日以上の投与により ALT,ALP および
GGT の増加が認められた。また,ラットでは 30 mg/kg/日以上の 28 日間投与によりクレアチニンの
増加が認められたが,関連する病理組織学的変化および検査値の変化がみられないことから毒性学的
意義に乏しいと考えられた。そのほか,100 mg/kg/日以上の投与により総コレステロール,グルコー
ス,尿素窒素,トリグリセリドおよび総ビリルビンの増加が認められたが,これらは投与薬物の胃内
蓄積による胃拡張およびこれに伴う全身状態の悪化の影響を受けている可能性が示唆される。ラット
の 26 週間投与試験でもクレアチニン(1.41 倍,対照群との比較),尿素窒素(1.18 倍)および総
ビリルビン(1.72 倍)の増加がみられたが,その程度が小さかったこと,および関連する病理組織
学的変化がなかったことから,毒性学的意義は乏しいと判断された。イヌでは上述の肝酵素の増加の
ほか,300/200 mg/kg/日投与により尿素窒素,総ビリルビンの増加およびカルシウムの減少が認めら
れた。
器官重量測定における主な変化として,
Tg.rasH2 マウスにおいて腎臓重量の減少(30 および 90 mg/kg/
日)および肝臓重量の増加(90 mg/kg/日)がみられた。また,ラットでは 10 mg/kg/日以上の投与に
より肝臓重量の用量依存的な増加が認められたが,回復性試験により可逆性が確認された。イヌでは
300/200 mg/kg/日投与により雄で肝臓および腎臓重量の増加傾向がみられた。ラットおよびイヌでみ
られた器官重量変化はいずれも病理組織学的変化を伴っておらず,毒性学的意義は乏しいものと考え
られた。また,マウスでみられた肝臓重量の増加は,病理組織学的に認められた小葉中心性の肝細胞
肥大との関連が示唆された。
剖検所見として,マウスの 240 mg/kg/日以上およびラットの 100 mg/kg/日以上の投与により胃での投
与薬物の蓄積が認められた。またイヌでは死亡例の肺において,嘔吐後の誤嚥を示唆する所見が認め
られた。
病理組織学的検査では,マウスでは野生型および Tg.rasH2 マウスともに,30 mg/kg/日以上で肝臓の
単細胞壊死または肝細胞肥大が認められた。また,マウスの 240 mg/kg/日およびラットの 100 mg/kg/
日以上の群では,リンパ節,脾臓または胸腺にリンパ球の減少が認められたが,ストレス誘発性の変
化であると考えられた。その他のストレス誘発性所見として,マウスでの性周期の乱れによる所見が
みられた。Tg.rasH2 マウスにおいてはさらに,雄の腎臓で腎症がみられ,90 mg/kg/日投与により発
現頻度および重症度が明らかに増加した。イヌでは死亡例で嘔吐物の誤嚥によると考えられる肺の病
変(うっ血,血管周囲浮腫および炎症)が認められた以外,病理組織学的変化は認められなかった。
眼科学的検査,心電図検査および尿検査では,いずれの動物種においても tafamidis 投与の影響はみ
られなかった。
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2.4 非臨床試験の概括評価
また,ラットおよびイヌの反復投与毒性試験で認められた一般症状,臨床病理検査値,器官重量の変
化(回復性試験に供することができなかったラット 300 mg/kg/日群のみでみられた所見を除く)につ
いては,2 週間または 4 週間の回復性試験により,回復性または回復傾向が確認された。
4.2.
遺伝毒性試験およびがん原性
細菌を用いる復帰突然変異試験,培養ヒトリンパ球を用いる染色体異常試験およびラット小核試験の
結果はいずれも陰性で,tafamidis には遺伝毒性はないものと考えられた。なお,ヒトリンパ球を用い
る染色体異常試験において代謝活性化系の存在下 4 時間処理で倍数体の出現頻度に軽度な増加傾向
が認められたが,染色体の構造異常はみられず,in vivo 小核試験の結果も陰性であったことから,こ
の成績は異数性誘発能を示唆するものではないと考えられた19。
Tg.rasH2 マウスにおける 26 週間がん原性試験では,90 mg/kg/日まで投与したが,腫瘍性病変の発生
頻度への影響は認められなかった。
4.3.
生殖発生毒性
ラットにおける受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験では,雄の一般状態,剖検所見,体
重,摂餌量,交尾能(平均交配所要日数,交尾動物数),授胎動物数,生殖器重量および精子検査パ
ラメータに投与の影響は認められなかった。また雌では,30 mg/kg/日群の交配前投与期間中におい
て,摂餌量減少を伴う体重の減少が,また,妊娠期間中に散発的な体重の低値が,対照群と比較して
有意に認められたが,一般状態,剖検所見,性周期,交尾能,受胎動物数,帝王切開成績(黄体数,
着床数,生存および死亡胚数)には投与による影響はみられなかった。
ラットにおける胚・胎児発生に関する試験では,45 mg/kg/日群で脱水,糞量減少,液状便または軟
便,被毛粗剛,背弯姿勢の他,冷感,無便,鼻周囲に赤色物質および疎毛が認められ,一般状態が悪
化し体重減少がみられた母動物を屠殺した。また同群では,摂餌量減少を伴う体重減少および体重増
加抑制がみられた。また,生存胎児重量の有意な減少が 30 および 45 mg/kg/日群で認められたが,黄
体数,着床数,同腹児数,生存胎児数,吸収胚数,生存胎児の性比,胎児の外表,内臓および骨格の
異常(奇形および変異)に投与による影響は認められず,骨化進行度も群間でほぼ同程度であった。
ウサギにおける胚・胎児発生に関する試験では,8 mg/kg/日群で流産がみられ,糞便異常(糞量減少,
軟便または液状便,無便)の発現頻度が増加した。また,2 mg/kg/日以上の群で摂餌量の減少を伴う
用量依存的な体重減少または体重増加抑制が認められた。8 mg/kg/日群では,後期吸収胚数および胚
吸収率の増加ならびに生存胎児重量の減少が有意に認められた。また,8 mg/kg/日群の 2 母動物から
得られた 3 例の胎児で眼球隆起の抑制(外表観察),眼球の小型化(内臓観察)および眼窩の小型化
(骨格観察)がみられ,同群では前後肢指骨の骨化数が有意に低値であった。2 および 8 mg/kg/日群
では過剰肋骨の発生頻度の有意な増加が認められ,明らかな用量反応関係はないものの,0.5 および
2 mg/kg/日群で鼻骨あるいは頭蓋全体の不規則骨化の発生頻度の有意な増加が認められた。
ラットにおける出生前および出生後の発生ならびに母体の機能に関する試験では,30 mg/kg/日群の
25 例中 20 例で生存出生児がいなくなったため,哺育 4 日までに全例を屠殺し,同群の評価を終了し
た。15 mg/kg/日群でも 25 例中 4 例で生存出生児がいなくなったため,哺育 2 日または 3 日に屠殺し
た。母動物の一般症状として,30 mg/kg/日群で妊娠中に腹部の疎毛がみられ,妊娠中の体重が対照
群と比較して有意な低値を示した。F1 世代では,30 mg/kg/日群では出生児全例が生後 1~4 日に死亡
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2.4 非臨床試験の概括評価
した。15 および 30 mg/kg/日群では,死亡発見または喰殺されたと推測される出生児の数が生後 1~4
日に高値を示し,生存率が減少した。授乳期間中,15 および 30 mg/kg/日群において,哺育放棄され,
胃内に乳汁が存在せず,全身,尾の先端,正中線下部,頭部,頸部または胸部が紫色または黒色に変
色した F1 出生児が増加した。また,15 mg/kg/日群では紅涙,全身蒼白化および脱水を示す出生児数
の増加がみられた。さらに,15 mg/kg/日群の同腹から得られた出生児 2 例でドーム頭が認められた
が,剖検で異常は認められなかった。離乳後は,15 mg/kg/日群の F1 雌雄で一時的なドーム頭,小眼
球,流涙,眼窩周囲の脱毛または紅涙の発現頻度が有意に増加し,加えて同群では,疎毛(四肢),
眼瞼下垂,被毛の尿による汚れ,眼球陥入,被毛粗剛,運動失調,流涎および冷感などもみられた。
15 mg/kg/日群では,F1 雄 1 例が生後 38 日に死亡発見され,他の F1 雄 1 例が一般状態の悪化のため生
後 111 日に切迫屠殺された。出生児体重の有意な低下が 15 および 30 mg/kg/日群で生後 1 日にみられ
た。また,離乳後も 15 mg/kg/日群で一時的な体重の低値または摂餌量の減少がみられ,雄の性成熟
の遅れ,雌雄で水迷路試験における学習・記憶障害が認められた。一方,F1 出生児の交尾能および受
胎能に影響はみられなかった。離乳前 F1 出生児の剖検では,15 および 30 mg/kg/日群で胃内に乳汁が
存在しなかった出生児数,30 mg/kg/日群では,胃腸にガスが充満していた出生児数が増加した。F1
出生児(離乳後検査動物)の剖検および器官重量測定(精巣,精巣上体および脳),ならびに脳の神
経病理組織学的所見には,tafamidis 投与の影響は認められなかった。また,F2 世代に対し 15 mg/kg/
日群でみられた F2 雌胎児重量の有意な低値を除き,F1 母動物の帝王切開パラメータおよび F2 胎児パ
ラメータへの影響はみられなかった。
4.4.
局所刺激性試験
局所刺激性試験は実施しなかった。ただし,tafamidis の胃腸管に及ぼす影響については反復投与毒性
試験の中で評価した。
4.5.
その他の毒性試験
tafamidis meglumine の原薬中に含まれ,安全性の確認が必要とされる閾値(0.15%)20を超える不純物
類縁物質A*
については,反復投与毒性試験および遺伝毒性試験に使用した原末ロット中に臨
床使用製剤の規格値相当以上の量で含まれていたことから,これらの毒性試験で安全性は評価された
化合物A*
ものと考えられた。また,tafamidis 合成工程の出発物質(
)および中
化合物B*
間体(
)については,細菌を用いる復帰突然変異試験において遺伝毒性はみられなかった。
有色ラット(Long Evans 系)における光毒性試験では,100 mg/kg 投与によっても皮膚および眼に光
毒性を示唆する反応は認められなかった。
新規添加剤(モノオレイン酸ソルビタン)の安全性評価については,モノオレイン酸ソルビタンに加
え,物理化学的に類似した特性を有するモノステアリン酸ソルビタンの毒性試験(単回投与毒性試験,
反復投与毒性試験,遺伝毒性試験,がん原性試験および生殖発生毒性試験)の成績より,モノオレイン
酸ソルビタンを 1 日
mg(
mg/kg,体重 60 kg 換算)摂取しても,臨床上問題となる毒性が発
現する可能性は低いと考えられた。
*:新薬承認情報提供時に置き換えた
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2.4 非臨床試験の概括評価
5.
総括および結論
tafamidis は,TTR-FAP の末梢神経障害の進行抑制を適応とし,TTR に特異的に作用する安定化剤と
して開発されている。
効力を裏付ける試験では,tafamidis が TTR 4 量体の 2 つのサイロキシン結合部位に負の協調性を示
して結合することが確認された。また tafamidis は,生理的または非生理的条件下(酸性または尿素
変性条件下)において 4 量体の解離速度を低下させ,TTR 安定化作用を示した。サブユニット交換
を指標とした生理的条件下での検討では,tafamidis は濃度依存的に 4 量体解離を抑制し,tafamidis:
TTR のモル濃度比 1.5:1 でインキュベートした場合,4 日間のインキュベーションによっても 4 量
体解離はわずかであった。酸性変性条件下では,tafamidis は野性型,V30M および V122I 変異型 TTR
の線維形成を阻害し,その EC50 値は tafamidis:TTR のモル濃度比としておよそ 1:1 に相当した。尿
素変性条件下での TTR の解離は,TTR と等モル量の tafamidis により対照の 33%に抑制された。また
免疫比濁法によっても,尿素変性条件下でのヒト血漿中における,tafamidis(3.6 および 7.2 mol/L)
の野生型および変異型(V30M および V122I)TTR 安定化作用が確認された。ヒトにおける血中 TTR
濃度の正常範囲は 20~40 mg/dL(3.6~7.3 mol/L)である。上記の検討から,これとほぼ等モル濃度
にあたる血漿中濃度が 3.6~7.2 mol/L(1.1~2.2 g/mL)の tafamidis は,少なくとも正常濃度範囲の
TTR を安定化すると推察された。なお臨床試験の結果では,臨床用量の本薬(tafamidis meglumine と
して 20 mg)をヒトに 1 日 1 回反復投与することで,定常状態においてこの薬物濃度に到達すること
が確認されている(平均血漿中濃度として 2.22 g/mL)。
副次的薬理試験において,TTR 以外の薬物結合部位に対する tafamidis の親和性を検討したところ,
-オピオイド受容体のリガンド結合阻害作用(Ki 値:4.9 mol/L)を除き,TTR に対する高い選択性
が示された。バイオアッセイ試験で検討した tafamidis の EC50 は 10 mol/L 超であること,および
tafamidis のヒト血漿蛋白結合率は非常に高く(99%超),ヒトに臨床用量を反復投与したとき定常状
態で予想される Cmax は総濃度として 2.61 g/mL(8.5 mol/L)であることも考慮すると,臨床にお
いて-オピオイド受容体を介した有害作用が生じる可能性は低いと考えられた。また,全血中におい
て,tafamidis は 0.1~300 mol/L の濃度で COX-1 または COX-2 阻害作用を示さなかった。このこと
から,類薬(ジフルニサル)で認められているような COX 阻害作用に基づく有害作用も発現しない
ものと考えられた。
安全性薬理試験では,ラットを用いた中枢神経系に関する試験において,100 mg/kg までの用量の投
与により,体温,反射,行動,自律神経機能,一般症状および握力に影響は認められなかった。また,
hERG カリウムチャネルに対する影響を in vitro で検討したところ,1,3,10 および 30 mol/L にお
ける濃度依存的な hERG カリウム電流の阻害作用は認められなかった。覚醒下のイヌを用いた心血管
系および呼吸器系に関する試験では,300 mg/kg の用量を単回経口投与したとき,投与後 24 時間まで
血行動態パラメータ,呼吸数,動脈血液ガスおよび深部体温に対し生物学的意義のある影響,および
心電図異常または QT/QTc の延長は認められなかった。なお,100 mg/kg(Cmax は 135 g/mL,ヒト
Cmax の 52 倍)以上の投与により,嘔吐,流涎および肢の筋攣縮が認められた。
薬物動態試験では,非臨床試験で用いた動物種に tafamidis または tafamidis meglumine を経口投与し
たときの薬物動態学的挙動を検討した。tafamidis を経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリ
ティは 90%超であった。曝露量(Cmax および AUC)は,おおむね 30 mg/kg 以下の用量では用量に
比例して増加するものの,それ以上の用量では用量比を下回って増加した。t½は,ラットで 28.5~43.1
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時間,イヌで 54.7~62.3 時間の範囲であると考えられた。マウス,ラットおよびウサギに反復経口投
与したときに曝露量の蓄積が認められたが,イヌでは明らかな蓄積性はみられなかった。
tafamidis は消化管から速やかに吸収され,血漿中では 97%以上が血漿蛋白と結合するものと考えられ
た。tafamidis は組織に広く分布し,胎盤通過および乳汁を介した出生児への移行性も確認された。
本薬は代謝的に安定であることが示され,生体内変換は限定的であると考えられた。ヒトおよび大半
の非臨床動物種(マウス,ラットおよびイヌ)における血漿中の主代謝物としてアシルグルクロニド
が同定された。一方,マウスおよびウサギの血漿では一酸化体が検出された。ヒトに特異的な代謝物
は認められなかった。ラットにおける tafamidis の消失経路は主に胆汁を介した糞中排泄であり,腸
肝循環を受けることが確認された。また,尿中排泄の比率は糞中に比べて小さかった。
ヒト血漿中において,tafamidis はシクロスポリン A,タクロリムスおよびワルファリンの血漿蛋白結
合率に明らかな影響は及ぼさなかったが,プレドニゾンの蛋白結合率を約 10%低下させた。プレド
ニゾンが薬理活性を発揮するためには,活性代謝物であるプレドニゾロンに代謝される必要があるこ
とから,この相互作用の臨床的意義は不明である。また,CYP2C8 に対する中等度の阻害作用および
CYP3A4 に対する誘導作用が認められたが,本薬の臨床用量投与時のヒト血漿中濃度および高い血漿
蛋白結合率を考慮すると,これらの代謝酵素により代謝される薬物に対して薬物相互作用を引き起こ
す可能性は低いと考えられた。
マウス,ラットおよびイヌを用いた一連の毒性試験により,tafamidis の一般毒性学的プロファイルを
評価した。マウスでは 240 mg/kg 以上の少数回投与で死亡が生じたものの,ラットおよびイヌにおけ
る概略の致死量(経口投与)はそれぞれ,300 mg/kg 超および 600 mg/kg 超であり,本薬の過量投与
時のリスクは小さいものと考えられた。
ラットを用いた 26 週間反復投与毒性試験およびイヌを用いた 39 週間反復投与毒性試験において,忍
容性は良好であり,標的臓器毒性は見出されなかった。しかし,より高用量を投与した 28 日間投与
試験では,ラットにおける投与薬物の胃内蓄積,イヌにおける嘔吐によると考えられる死亡や切迫屠
殺がいずれも 100 mg/kg/日以上の用量で生じた。この用量は体表面積で補正したヒト等価用量として,
ラットでは臨床用量(体重 60 kg のヒトに換算して,tafamidis として 0.204 mg/kg)の 78 倍,イヌで
は 275 倍であった。また,血漿中濃度がヒト定常状態における Cmax のラットで 52/69 倍(雄/雌;以
下同じ),イヌで 48/48 倍に到達してもこのような消化管毒性は生じていない。ヒトで十分な安全域
が得られていることから,上記のような胃への影響を介した毒性変化が臨床で発現する可能性は低い
ものと考えられる。一方,マウスを用いた 28 日間投与試験および Tg.rasH2 マウスを用いた 26 週間
がん原性試験では,30 mg/kg/日以上の投与により肝臓で小葉中心性の単細胞壊死および肝細胞肥大
が認められた。また,Tg.rasH2 マウスの雄では腎症が認められ,90 mg/kg/日において頻度・重症度
とも増加した。30 mg/kg/日投与時(Tg.rasH2 マウス,雄)の AUC0-tlast はヒト AUC の 12 倍であり,
これらの変化が認められなかった用量(10 mg/kg/日)における AUC0-tlast はヒト AUC の 3.6 倍であっ
た。マウスでは,ラットおよびイヌには存在せず,ヒト血漿中からも検出されていない代謝物(一酸
化体)が生成されることが判明している(CTD 2.4.3.4 項)。この一酸化体と肝臓または腎臓の病変
との因果関係は証明されておらず,臨床への外挿性は不明である。
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2.4 非臨床試験の概括評価
tafamidis に遺伝毒性は認められなかった。また,Tg.rasH2 マウスに 90 mg/kg/日の用量で 26 週間反復
投与しても[AUC0-tlast に基づくヒトとの曝露量比は 31/29 倍(雄/雌)],雌雄とも腫瘍性病変の発生
頻度の上昇は認められなかった。
ラットを用いた受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験では,30 mg/kg/日投与によっても
雌雄の生殖能への影響は認められなかった。ラットにおける胚・胎児発生に関する試験では,
30 mg/kg/日投与により生存胎児重量の減少が認められ,胚・胎児発生に関する無毒性量は 15 mg/kg/
日と考えられた。ウサギにおける胚・胎児発生に関する試験では,0.5 mg/kg/日投与で胎児の鼻骨あ
るいは頭蓋全体の不規則骨化の発生頻度の有意な増加,2 mg/kg/日投与で過剰肋骨の発生頻度の有意
な増加,8 mg/kg/日投与で後期吸収胚数および胚吸収率の増加ならびに生存胎児重量の減少がみられ,
ウサギの胚·胎児発生に関する無毒性量は 0.5 mg/kg/日未満と判断された。0.5 mg/kg/日投与時の曝露
量(AUC0-tlast)はヒト AUC の 2.9 倍であった。また,ラットにおける出生前および出生後の発生に
関する試験では,15 mg/kg/日以上で哺育放棄,死亡発見または喰殺による出生児の死亡例の増加,
F1 出生児におけるドーム頭,小眼球および眼球陥没などの一般症状への影響,体重抑制,性成熟(雄)
および記憶・学習への影響などが認められたため,母動物の生殖および次世代発生に関する無毒性量
は 5 mg/kg/日と判断された。本試験ではトキシコキネティクスは評価していないが,ラットにおける
5 および 15 mg/kg/日はヒト等価用量としてそれぞれ,臨床用量の 4 倍および 12 倍であった。このよ
うに,妊娠動物において十分な安全域が得られなかったことから,添付文書(案)に以下の通り注意
喚起する:妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある
婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤の消
失半減期を考慮し、本剤の投与期間中及び最終投与後 1 ヵ月間は、妊娠する可能性のある患者には適
切な避妊法を用いるように指導すること。[妊娠ウサギを用いた実験において、臨床曝露量の 2.9 倍
の曝露により胎児の骨格奇形及び変異の発生頻度の軽度増加が認められ、胎児の生存率及び体重の減
少も報告されている。また、妊娠及び授乳期ラットに臨床投与量の 12 倍以上に相当する用量の投与
により、出生児の生存率及び体重の減少、性成熟の遅延、学習・記憶障害が認められた。]
結論として,tafamidis は臨床投与量において TTR 4 量体を安定化させ,単量体への解離を抑制する
ことが期待される。また,本薬は予測可能な薬物動態学的挙動を示し,相互作用を引き起こす可能性
は低いと考えられた。毒性試験では,26 週間までのラットおよび 39 週間までのイヌの反復投与毒性
試験において広い安全域が確認され,遺伝毒性を有さず,Tg.rasH2 マウスにおいてがん原性も示さな
かった。さらに,光毒性や不純物による毒性も認められなかった。これらの成績は臨床において本薬
を長期間治療に用いるときの安全性を担保するものと考える。しかしながら,生殖発生毒性試験では
次世代発生に関する十分な安全域が得られなかったことより,妊婦又は妊娠している可能性のある婦
人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与するべきと考える。
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