子宮頸がんに対する根治目的の放射線治療または同時化学放射線療法後の頸部腫瘍 残存例における救済的子宮摘出術の実施状況に関する調査研究のお知らせとお願い 残存例における救済的子宮摘出術の実施状況に関する調査研究のお知らせとお願い 本研究は 2005 年から 2014 年に根治的(同時化学)放射線治療(外部照射+腔内照射)を 行った子宮頸がん IB 期から IVA 期症例のうち、放射線治療後に子宮頸部に腫瘍の残存が疑わ れ、放射線治療 1 年以内に子宮摘出術、化学療法あるいは放射線治療追加のいずれかを行っ た症例の情報を集積し、根治的放射線治療後の再発症例への治療及び今後の研究方法を検索 するものです。 根治的放射線治療後の子宮頸部への腫瘍残存例は「進行・再発子宮頸がん」に分類され、 その治療法としては一般的に全身化学療法、あるいは Best Supportive Care (BSC)が選択さ れますが、その予後は極めて不良と考えられており、新たな治療開発が必要な病態と言われ ています。 米国で行われた進行・再発子宮頸がんを対象とした化学療法に関する 3 つの第 III 相試験 に参加した 428 例を対象に、化学療法後の予後に影響を及ぼす因子について後方視的解析が 行われ、骨盤内再発、radiosensitizer の既往および 1 年以内の再発、が最も重要な予後不 良因子として同定されました。この結果は放射線治療後の腫瘍残存例が極めて予後不良な集 団であることを示唆しており、標準的に行われる全身化学療法ではコントロール困難な病態 と考えられます。その研究では放射線治療後に組織学的に残存が確認された症例のうち、手 術療法以外の治療が行われた 23 例全例が死亡し、その生存期間中央値は 11 ヶ月(6-34 ヶ月) であったと報告しています。 いっぽう、現時点では根治の可能性のある唯一の治療法として、残存腫瘍を摘出する手 術療法が挙げられており、根治的放射線療法を行った局所進行子宮頸がん 1590 例のうち治療 後残存を認めた 162 例を対象に、放射線治療後の子宮摘出群 35 例と非子宮摘出群 127 例につ いて予後の差を検討し、子宮摘出群で有意に予後良好であったとされています。 しかし放射線治療後の子宮摘出術の安全性についての報告では、G2 以上の合併症が 16-25%と高率に発生しており、周術期死亡例についても報告されているのが現状です。 本研究は根治的(同時化学)放射線治療後の子宮頸部における腫瘍残存例を対象とした前 向き試験を計画するにあたり、JCOG 婦人科腫瘍グループにおける日常診療の実態把握ととも に計画している試験の rationale の確認を目的とした調査研究であります。今後「根治的(同 時化学)放射線療法後に子宮頸部に残存腫瘍を有する子宮頸がん症例に対する子宮摘出術の 非ランダム化第 II 相試験」を計画するに当たり、本研究データをもとに適切な研究方法を模 索することにあります。 本研究はこれまで当科で根治的放射線治療後に子宮頸部に残存腫瘍を有する子宮頸がん症 例の情報を連結可能匿名化したうえで、JCOG データセンターに郵送し解析を行うものです。 患者さんのデータは個人情報とは無関係な番号を付与し匿名化した上で管理しており、その 他、通常の診療と同様にプライバシーは保護されます。 自分の情報を研究に使わないでほしいというご希望があれば、研究リストの連絡先までご 連絡ください。 なお、患者さんが臨床データの研究への使用を拒否されても当科における診療には全く何 の影響もなく、患者さん自身が不利益をこうむることはありません。 防衛医科大学校病院 産科婦人科 古谷 健一 〈研究事務局〉 防衛医科大学校 産科婦人科学講座 医局 〒359-8513 埼玉県所沢市並木 3-2 電話:04-2995-1511(内線 2363) FAX:04-2996-5213
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